説明

フレグランスとして有用なホモアリルアルコール類



式中、RおよびRは、HまたはMeであり、および、Rは、H、MeおよびEtから選択される、分岐した、高度に置換された、式IのC〜C13ホモアリルアルコール類。該化合物はフローラルノートが所望されるフレグランス利用品において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な香気性ホモアリルアルコール類、より具体的には、新規のグリーン−フローラルの香りを有する、2,5,5−トリアルキル−3−メチレンヘキサン−1−オール類、およびフレグランス利用品(application)におけるこれら香料物質の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
フローラルブーケは、フレグランスの領域において常に熱心に探求されてきており、多くの例が調製され、および商品化されてきた。特に望ましいものは、より自然に思われて香る甘さの少ない着臭剤(odorant)を生み出すためのグリーン−ハーブ様のサイドノートであるかまたは、ドライなほぼアーシー(earthy)−ウッディの特徴を保有するかであるローズノートである。
【発明の概要】
【0003】
2,5−ジアルキル−5−メチル−3−メチレンヘキサン−1−オール類は、ローズ、ヒヤシンスおよびライラックの間に位置する新しい、明確に定義されたクラスの着臭剤を構成すること、ならびに、これらは、ローズの着臭剤の型通りの甘さを減少させるこれらの極めて望ましい様相を保有し、および、グリーン−ハーブ様からアーシー−ウッディまでの範囲にある新しい自然なサイドノートを包含することが、今、見出された。
【0004】
したがって、式I
【化1】

式中、RおよびRは、HまたはMeから選択され、および、Rは、H、MeおよびEtから選択される、
で表わされる化合物が提供される。
式Iの化合物は、単体で、または2種もしくは3種以上のかかる化合物の組み合わせで用いられてもよい。
【0005】
特に好ましい式Iの化合物は、2,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン−1−オール、2,5,5−トリメチル−3−メチレンヘキサン−1−オール、2−エチル−5−メチル−3−メチレンヘキサン−1−オール、2−エチル−5,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン−1−オール、2−イソプロピル−5−メチル−3−メチレンヘキサン−1−オールおよび2−イソプロピル−5,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン−1−オールである。
【0006】
置換基RおよびRの性質に依存して、本発明の化合物は、1個または2個のキラル中心を含み、したがってラセミ体または鏡像異性的に富んでいる鏡像異性体の混合物として存在する。立体異性体を分割することまたはキラルな出発物質を利用することは、これらの着臭剤のコストを増加させ、したがって、ラセミ体混合物として化合物を用いることが、単に経済的理由から好ましい。しかしながら、個々の立体異性体を調製することが所望される場合、これは、当該技術分野において周知の方法、例えば、分取HPLCおよびGC、または立体選択的合成によるもの、あるいは入手可能であるキラルな原料から出発するもの、に従い達成されてもよい。
【0007】
式Iで表わされる化合物は、単体または他のフレグランスとの混合物に用いらてもよい。好ましくは、それらは、他のフレグランス原料と混合される。式Iの化合物の使用は、いかなる特定の香料のタイプにも、または、のいかなる特定の嗅覚方向、着臭剤または群の物質にも限定されない。したがって、一般式で表わされる化合物は、例えば以下のものと混合してもよい。
【0008】
−エーテル性油および抽出物、例えばベルガモット油、コリアンダー油、ガルバナム油、ゼラニウム油、ジャスミンアブソリュート、レモン油、ライム油、ネロリ油、オークモスアブソリュート、パチョリ油、プチグレン油、ローズ油、ビャクダン油またはイランイラン油;
−アルコール類、例えばシトロネロール、ジヒドロミルセノール、Ebanol(登録商標)、オイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコール、Sandalore(登録商標)、Super Muguet(登録商標)、テルピネオールまたはTimberol(登録商標);
【0009】
−アルデヒド類およびケトン類、例えばα−アミルシンナムアルデヒド、デカナール、Hedione(登録商標)、ヒドロキシシトロネラール、イソオイゲノール、Iso E Super(登録商標)、Isoraldeine(登録商標)、メチルイオノンまたはバニリン;
−エーテルおよびアセタール、例えば、Ambrofix(登録商標)、ゲラニルメチルエーテル、Magnolan(登録商標)、ローズオキサイドまたはSpirambrene(登録商標);
【0010】
−エステル類およびラクトン類、例えばアンブレットリド、酢酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、クマリン、γ−デカラクトン、エチレンブラシレート、Serenolide(登録商標)、Thibetolide(登録商標)、γ−ウンデカラクトンまたは酢酸ベチベニル(vetivenyl acetate);
−ヘテロ環類、例えば、ガルバジン、インドール、イソブチルキノリンと混合されてもよい。
【0011】
それらの独特なグリーン−フローラルなローズの特徴のために、式Iで表わされる化合物は、フローラルな女性的ファインフレグランスにおいて、または洗濯もしくはホームケア利用品のための組成物において用いるのに特に良好に適する。
【0012】
他のフレグランスとのそれらの混合物に加えて、本発明の化合物は、フレグランス組成物において着臭剤と組み合わせて慣用的に用いられる1種もしくは2種以上の成分もしくは賦形剤、例えば担体材料と、ならびに当該技術分野において一般的に用いられている他の補助剤、例えばジプロピレングリコール(DPG)、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、およびクエン酸トリエチル(TEC)等の溶媒と混合してもよい。
【0013】
本発明の化合物を、広範囲のフレグランス利用品、例えば上質であり機能的な香料、例えば香水、家庭用品、ランドリー製品、ボディケア製品および化粧品のすべての分野において用いることができる。当該化合物を、特定の利用品ならびに他のフレグランスの性質および量に依存して広範囲に変化する量で用いることができる。本発明の化合物を用いる比率は、大きい範囲の値の中で変化し得、香水に対して意図される利用品の性質、例えば共同成分(co-ingredient)の性質、および香料製造者が求めている特定の効果に依存してもよい。しかし、一般的に、ファインフレグランスにおいて、約10重量%まで、例えば約0.5重量%〜約5重量%、および他のフレグランス利用品、例えばランドリー製品における香料組成物を基準として、約20重量%まで用いることができる。しかし、経験豊かな香料製造者がまた効果を達成し得、またはより低い、もしくはより高い濃度を有する新規な調和を作成し得るため、これらの値を例により示すに過ぎない。
【0014】
本発明の化合物を、単に香料組成物をフレグランス利用品に直接混合することによりフレグランス利用品中に用いることができ、またはそれらを、比較的早期の段階において捕獲材料、例えばポリマー、カプセル、マイクロカプセルおよびナノカプセル、リポソーム、被膜形成剤、吸収剤、例えば炭素またはゼオライト、環状オリゴ糖類ならびにそれらの混合物で捕獲することができ、かつ/またはそれらを基質に化学的に結合させ、それを外部の刺激、例えば光、酵素などを適用することによりフレグランス分子を放出するように適合させ、次に利用品と混合することができる。
【0015】
したがって、フレグランス利用品およびそれから得られる消費者製品の製造方法であって、慣用の手法および方法を用いて、化合物を利用品に直接混合することにより、または式Iで表される化合物を含む香料組成物を混合し、次にフレグランス利用品に混合することにより、式Iで表わされる化合物をフレグランス成分として包含させることを含む、前記方法をさらに提供する。嗅覚的に許容できる量の本発明の化合物またはその混合物を加えることにより、フレグランス利用品の香りのノートは改善、強化または修正される。
【0016】
フレグランス利用品を改善、強化または修正する方法であって、それに嗅覚的に許容できる量の式Iで表わされる化合物またはその混合物を添加することを含む、前記方法もまた、提供する。
【0017】
さらに、
a)着臭剤として式Iで表される化合物またはその混合物;および
b)消費者製品ベース
を含むフレグランス利用品が提供される。
【0018】
本明細書中で用いる、「フレグランス利用品」は、ファインフレグランス、例えばオードパルファム(eaux de perfume)およびオードトワレ;家庭用品、例えば食器洗い機用洗剤、表面洗浄剤、エアフレッシュナー;ランドリー製品、例えば柔軟剤、漂白剤、洗剤;ボディケア製品、例えばアフターシェーブローション、シャンプー、シャワージェル、シャワーおよびバスソルト、衛生;および化粧品、例えばデオドラント、バニシングクリームなどの、着臭剤を含むあらゆる製品を含む。この製品のリストは例により示すものであり、いかなる方法においても限定的であると考慮するべきではない。
【0019】
式Iの化合物は、例えばP. Kraft, W. Eichenberger, Eur. J. Org. Chem. 2004, 334-365に記載されているように、4−メチルペンタン−2−オンまたは4−アルキル−4−メチルペンタン−2−オンの2−(ジエトキシホスホリル)酢酸エチルとのウィティッヒ−ホーナー−エモンズ反応(Wittig-Horner-Emmons reaction)、続いて、例えばR. M. Cory, B. M. Ritchie, A. M. Shrier, Tetrahedron Lett. 1990, 31, 6789-6792に記載されているように、形成されたα,β−不飽和エチルエステルのリチウムジイソプロピルアミド(LDA)および好適なハロゲンアルカンによる脱共役アルキル化により、都合よく調製してもよい。例えば水素化リチウムアルミニウム(LAH)による得られるβ,γ−不飽和エステルの還元、によって、式Iで表わされるホモアリルアルコール類を提供する。
【0020】
ここで、本発明を、以下の非限定的例を参照してさらに記載する。これらの例は例示のみの目的のためであり、変化および修正が当業者によりなされ得ることが理解される。NMRデータを、内部のSiMe標準と相対させて示す。
【0021】
例1:2,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン−1−オール
攪拌したTHF(200ml)中水素化ナトリウムの懸濁液(鉱油中55%、43.6g。1.00モル)に、THF(800ml)中の2−(ジエトキシホスホリル)酢酸エチル(224g、1.00モル)を室温で滴下して加え、反応混合物を1時間還流した。反応混合物を室温まで冷却させ、THF(300ml)中4−メチルペンタ−2−オン(100g、1.00mol)を45分間にわたり滴下して加えた。反応混合物を、一晩還流し、飽和NHCl水溶液(700ml)でクエンチ(quench)し、EtO(500mlで3回)で抽出した。合わせた有機抽出物を、乾燥し(NaSO)、減圧下で濃縮した。得られた残渣を、20cmのビグリューカラム上で蒸留により精製し、72〜74℃/2mbarで、(E/Z)−3,5−ジメチルヘキサ−2−エン酸エチル(119g、70%)を異性体の混合物(E/Z=7:3)として得た。
【0022】
【化2】

【0023】
香りの記載:追加的なアニスの様相が加えられ、わずかにスウェッティ(sweaty)およびウッディでさえある性状を有する、ワインを連想させる興味深いフルーティノート。
【0024】
THF(300ml)中(N,N’−ジメチルプロピレン尿素(DMPU,40.4g,315mmol)の溶液を、−70℃において30分以内で、リチウムジイソプロピルアミド(LDA、THF中2M、157ml、315mmol)の攪拌溶液に加えた。−70℃で10分の攪拌後、THF(300ml)中(E/Z)−3,5−ジメチルヘキサ−2−エン酸エチル(35.7g、210mmol)の溶液を45分間にわたり加えた。反応混合物が−20℃まで温め、ヨードメタン(44.7g、315mmol)を滴下して処理し、室温で一晩攪拌した。その後、飽和水性NHCl溶液(600ml)を滴下して加え、反応混合物をEtO(400mlで3回)で抽出した。合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥し、ロータリーエバポレーターで蒸発させた。得られる残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ペンタン/EtO、98:2、R=0.18)により精製し、2,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン酸エチル(23.2g、60%)を無色液体として得た。香りの記載:フルーティ、グリーン、酸味のアクセントおよびアグレストな(agrestic)アンダートーンを伴うフルーティ−フローラル−グリーンノート。
【0025】
THF(100ml)中水素化リチウムアルミニウム(LAH、4.63g、122mmol)の攪拌された懸濁液に、THF(500ml)中の2,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン酸エチル(22.5g、122mmol)の溶液を、3〜5℃の間で1時間の期間内に滴下して加え、および、結果として生じる反応混合物を還流下3時間攪拌する。氷浴中で冷却して、水(5.00ml)を滴下して加え、続いて、15%NaOH水溶液(5.00ml)および再び水(15.0ml)を加える。さらに30分間の室温での攪拌後、形成した沈殿をグラスフィルター(sintered funnel)の補助で吸引によりろ去し、EtO(100ml)で洗浄した。合わせたろ液を減圧下で蒸発させ、および、結果として生じる残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ペンタン/EtO、8:2、R=0.18)により精製し、2,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン−1−オール(13.6g、79%)を無色香気性液体として提供する。
【0026】
【化3】

【0027】
香りの記載:自然でわずかにアグレスト−アーシーの性状およびライラック、ヒヤシンスおよびシャクヤク(peony)の「ベール・ドゥ・リラ(vert de lilas)」様の様相を伴う非常に爽快で新鮮なグリーン−ローズノート。
【0028】
例2:2,5,5−トリメチル−3−メチレンヘキサン−1−オール
(E/Z)−3,5−ジメチルヘキサ−2−エン酸エチルの調製(上記参照)のために記載されたとおり、THF(900ml)中4,4−ジメチルペンタン−2−オン(65.0g、569mmol)、水素化ナトリウム(鉱油中55%、24.8g、569mmol)および2−(ジエトキシホスホリル)酢酸エチル(127g、569mmol)から、(E/Z)−3,5,5−トリメチルヘキサ−2−エン酸エチル(E/Z=7:3、65.6g、63%)を標準のワークアップおよび20cmビグリューカラム上での78〜80℃/2mbarにおける蒸留による精製後に、無色液体として得た。
【0029】
【化4】

【0030】
香りの記載:フローラル、脂肪−バルサミコおよびシナモンの性状を伴うフルーティ−グリーンな食物様ノート
【0031】
2,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン酸エチルの調製(上記参照)のために記載されたとおり、THF(200ml)中(E/Z)−3,5,5−トリメチルヘキサ−2−エン酸エチル(11.8g、64.0mmol)ならびにLDA溶液(THF中2M、48.0ml、96.0mmol)、DMPU(12.3g、96.0mmol)および2−ヨードメタン(18.2g、128mmol)から、エチル2,5,5−トリメチル−3−メチレンヘキサン酸エチル(9.39g、74%)を標準のワークアップおよびシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ペンタン/EtO、98:2、R=0.19)による精製後、無色液体として得た。香りの記載:フローラル、バターおよびピーチのアクセントおよびわずかな紅茶の含みを伴うフルーティなワイン様ノート。
【0032】
2,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン−1−オールの調製(上記参照)のために記載されたとおり、THF(250ml)中2,5,5−トリメチル−3−メチレンヘキサン酸エチル(8.33g、42.0mmol)およびLAH(1.60g、42.0mmol)から、2,5,5−トリメチル−3−メチレンヘキサン−1−オール(5.71g、87%)を、標準のワークアップおよびシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ペンタン/EtO、8:2、R=0.20)による精製後、無色香気性液体として得た。
【0033】
【化5】

【0034】
香りの記載:ハチミツの性状およびアグレストなカリオフィレン(caryophyllene)様の抑揚を伴う、ヒヤシンスおよびローズの方向の爽快で新鮮なグリーン−フローラルノート。
【0035】
例3:2−エチル−5−メチル−3−メチレンヘキサン−1−オール
2,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン酸エチルの調製(上記参照)のために記載されたとおり、THF(700ml)中(E/Z)−3,5−ジメチルヘキサ−2−エン酸エチル(36.3g、213mmol)ならびにLDA溶液(THF中2M、160ml、320mmol)、DMPU(41.0g、320mmol)およびヨードエタン(66.5g、426mmol)から、2−エチル−5−メチル−3−メチレンヘキサン酸エチル(27.9g、66%)を、標準のワークアップおよびシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ペンタン/EtO、98:2、R=0.17)による精製後、無色液体として得た。香りの記載:グリーン、フルーティ−フローラルノート。
【0036】
2,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン−1−オールの調製(上記参照)のために記載されたとおり、THF(500ml)中2−エチル−5−メチル−3−メチレンヘキサン酸エチル(26.8g、135mmol)およびLAH(5.12g、135mmol)から、2−エチル−5−メチル−3−メチレンヘキサン−1−オール(17.5g、83%)を、標準のワークアップおよびシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ペンタン/EtO、8:2、R=0.18)による精製の後、無色香気性液体として得た。
【0037】
【化6】

【0038】
香りの記載:わずかにアーシーな傾向を伴うビートルートをいくらか連想させる、スパイシーなアンダートーンおよび自然でアグレストな性状を伴う爽快で新鮮なグリーン−フローラルノート。
【0039】
例4:2−エチル−5,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン−1−オール
2,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン酸エチルの調製(上記参照)のために記載されたとおり、THF(250ml)中(E/Z)−3,5,5−トリメチルヘキサ−2−エン酸エチル(11.9g、62.0mmol)ならびにLDA溶液(THF中2M、46.5ml、93.0mmol)、DMPU(11.4g、93.0mmol)および2−ヨードメタン(19.4g、124mmol)から、2−エチル−5,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン酸エチル(9.35g、71%)を、標準のワークアップおよびシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ペンタン/EtO、98:2、R=0.19)による精製後に、無色液体として得た。
香りの記載:ローズの方向の、フルーティ−フローラルノート。
【0040】
2,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン−1−オールの調製(上記参照)のために記載のとおり、THF(250ml)中7(8.49g、40.0mmol)およびLAH(1.52g、40.0mmol)から、2−エチル−5,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン−1−オール(6.07g、89%)を、標準のワークアップおよびシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ペンタン/EtO、8:2、R=0.19)による精製後に、無色香気性液体として得た。
【0041】
【化7】

【0042】
香りの記載:自然なアグレストなおよびダマスコン様の性状ならびにフルーティで、ワイン様のアンダートーンおよびチョコレートタイプの様相を伴うグリーン−フローラルな、カビ様ノート。
【0043】
例5:2−イソプロピル−5−メチル−3−メチレンヘキサン−1−オール
2,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン酸エチルの調製(上記参照)のために記載されたとおり、THF(700ml)中(E/Z)−3,5−ジメチルヘキサ−2−エン酸エチル(36.3g、213mmol)ならびにリチウムジイソプロピルアミド(THF中2M、160ml、320mmol)およびDMPU(41.0g、320mmol)の溶液ならびに2−ヨードプロパン(72.4g、426mmol)から、2−イソプロピル−5−メチル−3−メチレンヘキサン酸エチル(28.5g、63%)を、標準のワークアップおよびシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ペンタン/EtO、98:2、R=0.18)により精製後、無色液体として得た。香りの記載:エーテル、グリーンの様相を伴うアグレストな、フルーティ、バルサミコノート。
【0044】
2,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン−1−オールの調製(上記参照)のために記載されたとおり、THF(450ml)中2−イソプロピル−5−メチル−3−メチレンヘキサン酸エチル(27.2g、128mmol)およびLAH(4.86g、128mmol)から、2−イソプロピル−5−メチル−3−メチレンヘキサン−1−オール(17.2g、79%)を、標準のワークアップおよびシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ペンタン/EtO、8:2、R=0.19)により精製後、無色香気性液体として得た。
【0045】
【化8】

【0046】
香りの記載:自然なアグレストおよびウッディ−アーシー、ベチバータイプの性状およびフルーティ−アロマの、ルバーブの様相を伴うグリーン−フローラルなフルーティノート。
【0047】
例6:2−イソプロピル−5,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン−1−オール
2,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン酸エチルの調製(上記参照)のために記載されたとおり、THF(800ml)中(E/Z)−3,5,5−トリメチルヘキサ−2−エン酸エチル(40.6g、220mmol)ならびにLDA溶液(THF中2M、165ml、330mmol)、DMPU(42.3g、330mmol)および2−ヨードプロパン(74.8g、440mmol)から、2−イソプロピル−5,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン酸エチル(41.4g、83%)を、標準のワークアップおよびシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ペンタン/EtO、98:2、R=0.18)による精製後、無色液体として得た。香りの記載:グリーンの性状を伴う甘い、フルーティノート。
【0048】
2,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン−1−オールの調製(上記参照)のために記載されたとおり、THF(750ml)中2−イソプロピル−5,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン酸エチル(41.4g、183mmol)およびLAH(6.95g、183mmol)から、2−イソプロピル−5,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン−1−オール(28.9g、86%)を、標準のワークアップおよびシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ペンタン/EtO、8:2、R=0.22)による精製後、無色香気性液体として得た。
【0049】
【化9】

【0050】
香りの記載:ウッディ−アンバーの様相およびムスクの背景を伴う爽快でソフトな、フローラル−アグレストなノート。
【0051】
例7:フロリエンタル様の女性的なファインフレグランス
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
【表4】

【0055】
1%のみで、2,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン−1−オールは、この複雑かつなおバランスの良いフロリエンタルの女性的なファインフレグランスのトップノートに、エチルリナロールの周りの非常に自然で爽快なグリーン、フローラル−ローズのシグナチャーであって、ピーチ、ヘスペリディック(hesperidic)、フラワリィフレッシュでアグレストな調和を運び、スパークリングなグリーン−ナチュラルスズランの様相がかすかに通り抜ける。その上、2,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン−1−オールは、トップからフローラルローズのハートまでの組成を持っており、ローズオイル、ジャスミンおよびスズランのブーケを伴う香料のメインテーマに関与するその甘美なヒヤシンスの特徴を伴いつつそのフローラル組成の強さおよび特徴を押し出す。その後、そのにおいは、オリエンタルでウッディ−バルサミコ様の、バニリンを含んだ底の匂い(fond)にたどり着き、それは、重く何か暗くさえある特徴を伴い、2,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン−1−オールの非常に特別な特徴のおかげで、豊富に存在しても、すべての様相において、新しく、新鮮で、前例をみないローズの繊細さを強調する。
【0056】
例8:化粧品処方のための「グリーンティー」フレグランス
【表5】

【0057】
2.5%より少ない量で、2,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン−1−オールは、化粧品処方のためのこの「グリーンティー」フレグランスに、ライラック、ヒヤシンスおよびシャクヤクを連想させる「ベール・ドゥ・リラ」(”vert de lilas”)の様相を伴う「グリーンティー」のテーマを豊かにする特別なグリーン−フローラルのシグナチャーを運び、強さと、そのわずかにアグレスト−アーシーな性状を伴い、組成の自然な特徴とを、大きく増加させる。さらに、この新しいグリーン−フローラル着臭剤は、所定の化粧品処方の機能性のスキンケア特性を強調する、高揚および気分が安らぐ特徴を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

式中、RおよびRは、HまたはMeから選択され、および、Rは、H、MeおよびEtから選択される
で表される化合物。
【請求項2】
2,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン−1−オール、2,5,5−トリメチル−3−メチレンヘキサン−1−オール、2−エチル−5−メチル−3−メチレンヘキサン−1−オール、2−エチル−5,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン−1−オール、2−イソプロピル−5−メチル−3−メチレンヘキサン−1−オールおよび2−イソプロピル−5,5−ジメチル−3−メチレンヘキサン−1−オールからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
a)少なくとも1種の請求項1において定義されるとおりの化合物;および
b)消費者製品ベース
を含む、フレグランス利用品。
【請求項4】
製品ベースが、ファインフレグランス、家庭用品、ランドリー製品、ボディケア製品および化粧品からなる群から選択される、請求項3に記載のフレグランス利用品。
【請求項5】
フレグランス原材料としての、少なくとも1種の、請求項1において定義されるとおりの化合物の使用。
【請求項6】
少なくとも1種の、請求項1において定義されるとおりの化合物の有効量をベース物質に取り込むステップを含む、香料組成物またはフレグランス利用品を改良、増強または改変する方法。

【公表番号】特表2011−504469(P2011−504469A)
【公表日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534337(P2010−534337)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際出願番号】PCT/CH2008/000493
【国際公開番号】WO2009/065244
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(501105842)ジボダン エス エー (158)
【Fターム(参考)】