説明

フレグランス組成物

活性化された快適な気分を促進する方法であって、グリコール酸アリルアミル;サリチル酸ベンジル;ベルガモット油;コリアンダー油;シクラメンアルデヒド;1−(2,6,10−トリメチルシクロドデカ−2,5,9−トリエン−1−イル)エタノン;(シクロヘキシルオキシ)酢酸アリル;ダマセニア185 SAE;2,4−ジメチルヘプタン−1−オール;バルサムノキ;モミ葉油;3−(4−エチルフェニル)−2,2−ジメチルプロパナール;ジンジャー油;グアイアクウッド;酢酸リナリル;リツェアクベバ油;2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチル安息香酸メチル;ナツメグ油;乳香油;橙花油;オゾナールAB 7203C;パチョリ油;ローズオキサイド;ローズマリー油;セージクラリー油;スペアミント油;タマリンAB 8212E;タラゴン油を含む、少なくとも75重量%、好ましくは85重量%の香料材料を含む、元気づける、非ストレス性のフレグランス(活性化フレグランス)を吸入することによる、前記方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、新規なフレグランス組成物およびかかるフレグランスを包含する消費者製品に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
感覚は、我々に、我々の環境についての基本的な情報を提供する。最初のレベルにおいて、感覚の情報は、この構成部分に分類され得、この各々は次に、およそしきい値より高いとして知覚され得る。匂いについて、我々は香料を種々の特徴に分解し、各々の相対的な優勢を知覚することができる。臭気について、感覚の世界の要所「ディメンジョン」は、しきい値、強度および特性である。このようにして、我々は、匂いの定量的な、または半定量的な記述的分析を導くことができる。しかし、臭気はまた、気分および感情の強力な推進力でもあり、多くの場合において、臭気に対する我々の主要な応答は感情的である。
【0003】
嗅覚情報は、嗅球を通して辺縁系、即ち脳の感情的な中心に直接供給される。この発見は、臭気が感情を呼び起こす強力な能力を有するという結論を補強する。他の感覚は、はるかに一層実際的なレベルに感覚の情報を付与する。視覚が最重要であることにより、これが強調される。
【0004】
視力は、色、形状、大きさ、距離、運動、方向、質感を解明するための高度な能力を提供する;これは、認識を通知する。これを、内観(introspection)を通して芸術的または抽象的なレベルで享受することができるが、最初の経験は実際的であり、感覚的な情報である。一層高いレベルの知覚が続く。
【0005】
臭気については、プロセスは一般的に逆転される。経験のない対象における臭気の認識は低い。臭気に対する記憶は乏しく、言語および画像についての記憶よりも確実に低い。臭気に対する主要な反応は、快楽的、連想的および感情的である。これらの応答が対象の注意に匂いをもたらした後に、これは、例えば、この感覚的属性に関してさらに特徴づけられ得る。
【0006】
感情(例えば喜び)は、一時的であり、短時間の事象である。事象の発現は、1分を超えて継続することはまれである。
気分(例えば幸福感)は、はるかに一層長時間、何時間さえも継続し得る。これらは、脈絡を感情に提供する背景状態である。
【0007】
気分は、実現する要因と障壁との両方であり得る。対象が幸福な気分にある場合には、当該対象が喜びを経験することは比較的容易である。逆に、対象が悲痛な気分にある場合には、当該対象が喜びを感じることは比較的困難である。これらは、満足できる生活状態の我々の感情への入力であり、これは次に、一体となって生命体の状態を定める、感情的および身体的な入力の統合であると明らかにすることができる。
【0008】
我々の気分は、感情を感じるための基準をリセットする。気分および感情は、我々が生存する機会および楽しみを増大するように行動するのを我々に促す動機付けとして作用し得る。
【0009】
気分の構造は、Russell (1980)およびE Diener & R J Larsen (1984)によって記載され、当該著者らは、彼らの快さおよび関係する活性化の程度に関して感情の範囲を分類することができた。サーカムプレックス(circumplex)モデル(L. Feldman Barrett and J.A. Russell, 1999, Current Directions in Psychological Science, 8, p.11 (American Psychological Society)を参照)には、原子価および活性化の2つの直交する属性に関する影響が記載されている。活性化された快適な気分は、活性化および刺激の状態を含んでいた。不活性化された快適な気分は、リラックスした気分を含んでいた。陰性の活性化された気分は、悩んだ気分または神経質な気分によって代表され得、一方陰性の不活性化された気分は、退屈によって例証され得る。気分の重要な属性は、刺激−冷静および幸福−悲痛である。本発明者らは、フレグランスが気分を増強することができることを見出し、本発明者らは、活性化された快適な気分を増強するためにいかにしてフレグランスを具体的に調合することができるかを本明細書中に記載する。
【0010】
脈絡は、臭気によって呼び起こされた気分に対する影響を有し得、これは特に、陽性の、活性化する匂いに関連する。これは主に、種々の消費者製品利用品、例えば皿洗浄製品のレモンにおいて、異なる芳香の群の使用との関係によって推進された。黄色の飲料が「レモンネス(lemon-ness)」の予想を送達する際に、これは、味覚において見出されたものと同種の現象である。色は、味覚および臭気の予想を準備する。
【0011】
本発明は、臭気の固有の気分効果に限定されており、例えばアロマテラピーにおけるように、消費者製品中に存在し得、さらなるプライミング効果を有するさらなる外部の情報に起因し得るものを扱わない。アロマテラピーは、エッセンシャルオイルが刺激性効果を付与することができることを教示する。この伝統的な形態において、アロマテラピストは、マッサージで患者の皮膚にオイルを塗布して、気分を含む利益を送達する。時折、アロマテラピストは、オイルを混合して所望の効果を達成する。芳香性の植物およびアロマオイルを用いることは、古代にさかのぼる。神聖な香料は、精神的な雰囲気を呼び起こすかまたは精神的な認識を高めるために、香またはアロマオイルとして用いられた。アッシリアおよびバビロニアの時代には、アロマオイルは、温泉および浴室で人気があった。
【0012】
これらの人々は、彼らが彼らの健康を維持して、これにより一層長く生きるためにフレグランスエッセンスを用いることができると信じていた。伝統的に、アロマテラピー術は、治癒に関係する。エッセンシャルオイルが口、鼻、咽頭、胃腸の粘膜を通して、およびまた無傷の皮膚を通して吸収されることが、より最近示された。オイルは、特定の細胞膜脂質と相互作用し、これにより、他の影響の中でもカルシウムイオンチャネル機能の変更をもたらす。この直接の分子的作用に加えて、すべての我々の感情ならびに感覚、例えば不安、恐れ、健康であることの感覚、調和および性欲に関与する脳中の辺縁系における刺激もある。行動のこの方式によって、美しさ、一般的な満足できる生活状態、感情的な援助および特定の疾患のために、アロマテラピーはいくつかの治療的な利益を有する。処置を、ストレス解消の有効な方法として用いることができるか、またはこれらは、人々が一層元気づけられるのを補助し得る。
【0013】
これらの実際が、用いられる材料の芳香から利益を得るが、主要な利益が芳香自体、または例えば皮膚接触、マッサージ、対象の予想および/またはアロマテラピストの教示から生じることは、明らかではない。刺激性効果を有すると考えられるエッセンシャルオイルの臭気の間には、ほとんど整合性がない。
【0014】
本発明者らの研究により、気分を増強する臭気の能力がこれらの複雑さに関連することが示された。類似した嗅覚カテゴリー中の複雑な臭気は一般的に、単純なブレンドより有効であり、単純なブレンドは、単一の材料およびオイルより有効であった。皮膚利用品およびマッサージとは対照的に純粋な匂いを伴う実験において、より複雑な創作物は、気分の発生に関してこれらの単純な類似物よりも性能が優れていた。すべての場合において、当該分野によって開発された香料は、より単純なアロマテラピーオイルよりも性能が優れていた(例の部を参照)。
【0015】
アロマテラピーの広範囲にわたる使用は別として、文献には、いかにして複雑なフレグランスを設計して目標とする感情的な利益を送達するかを明らかにする開示は、ほとんどない。欧州特許第EP 1,343,466号には、くつろぎおよび冷静化を補助する香料が記載されており、同時係属出願PCT/GB2006/002285には、比較的限定された香料成分パレットを用いて、いかにして活気をつける香料を調合するかが記載されている。米国特許第7,097,863号には、バラ様、フローラル、じゃ香様、琥珀様(ambery)、スイートおよび/または粉末状として記載される芳香ノートの吸入を通して、背中、肩または首の筋肉を弛緩させるための方法が開示されている。EP 1,218,023は、ヒトおよび特に約1日〜12年齢のヒトを含む哺乳類を冷静化するために用いることができる、フレグランスが付与された(fragranced)パーソナルケア組成物に関する。これらの組成物は、特定の香料成分と共に特定のエッセンシャルオイルを含む感覚的成分を含む。
【0016】
香料成分の感覚的相互作用は、極めて複雑であると当業者により十分知られており、調香師が成分の広い能力の範囲で良好に働くのに有能になる前に、長年の訓練が必要である。同様のコメントは、香料によって送達される気分の効果に該当するが、驚異的なことに、以下に記載する創造的なルールを用いる望ましい感情的な利益を有する香料を調合することが可能である。
【0017】
参考文献
Diener, E. & Larsen, R. J. (1984). Temporal stability and cross-situational consistency of affective, behavioural, and cognitive responses, Journal of Personality and Social Psychology, 47, 871〜883頁
Russell, J. A. (1980). A circumplex model of affect. Journal of Personality and Social Psychology, 39, 1161〜1178頁
【発明の概要】
【0018】
本発明において、有効量の元気づけの非ストレス性(non-stressing)フレグランス(活性化フレグランス)の吸入を通して、活性化した、快適な気分を促進する方法を、提供する。また提供するのは、フレグランス組成物自体、これと共に望ましい感情的な利益をもたらすためにこのようなフレグランスを包含する消費者製品である。
【0019】
本発明のフレグランス組成物は、少なくとも75重量%、好ましくは85重量%の以下の群から得られる香料材料から構成される:
A)群「IMP」から得られる合計で少なくとも10重量%の少なくとも3種の材料、これは、以下のものを含む:グリコール酸アリルアミル;サリチル酸ベンジル;ベルガモット油;コリアンダー油;シクラメンアルデヒド;1−(2,6,10−トリメチルシクロドデカ−2,5,9−トリエン−1−イル)エタノン;(シクロヘキシルオキシ)酢酸プロプ−2−エニル;ダマセニア(Damascenia)185 SAE;2,4−ジメチルヘプタン−1−オール;バルサムノキ;モミ葉油;3−(4−エチルフェニル)−2,2−ジメチルプロパナール;ジンジャー油;グアイアクウッド(guaiacwood);酢酸リナリル;リツェアクベバ油;2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチル安息香酸メチル;ナツメグ油;乳香油;橙花油;オゾナール(Ozonal)AB 7203C;パチョリ油;ローズオキサイド(rose oxide);ローズマリー油;セージクラリー油;スペアミント油;タマリン(Tamarine)AB 8212E;タラゴン油。
【0020】
B)任意に、90%までの以下の群からの材料:
群「HMR」:
アリルイオノン;酢酸ベンジル;シス−ジャスモン;シトロネロール;エチルリナロール;エチレンブラシレート;4−メチル−2−(2−メチルプロピル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オール;ゲラニオール;ゼラニウム油;イソオイゲノール;レモン油;3−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)シクロヘクス−3−エン−1−カルバルデヒド;4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)シクロヘクス−3−エン−1−カルバルデヒド;アルファ−イソ−メチルイオノン;3−メチルシクロペンタデク−2−エン−1−オン;シクロペンタデカノン;シクロヘキサデカノリド;ガンマ−ウンデカラクトン。
【0021】
群「HMI」:
1−{[2−(1,1−ジメチルエチル)シクロヘキシル]オキシ}ブタン−2−オール;3a,6,6,9a−テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1−{b}]フラン;アルファ−ダマスコン;ジヒドロミルセノール;オイゲノール;3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−メチルプロパナール;2,4−ジメチルシクロヘクス−3−エン−1−カルバルデヒド;マンダリン油;オレンジ油;酢酸2−(1,1−ジメチルエチル)シクロヘキシル。
【0022】
群「HMP」:
1−(2,6,6,8−テトラメチルトリシクロ[5.3.1.0{1,5}]ウンデク−8−エン−9−イル)エタノン;シクロヘキシルプロピオン酸アリル;ヘプタン酸アリル;Apple Oliffac S pcmf;7−メチル−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3(4H)−オン;カシスベース(cassis base);サリチル酸シス−3−ヘキセニル;ダマセノン(damascenone);ガンマ−デカラクトン;アセト酢酸エチル;エチルマルトール;エチルメチルフェニルグリシデート;酢酸ヘキシル;(3E)−4−メチルデク−3−エン−5−オール;2,5,5−トリメチル−6,6−ビス(メチルオキシ)ヘクス−2−エン;4−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン−2−オン;酢酸スチルアリル;2,2,5−トリメチル−5−ペンチルシクロペンタノン;イラン油(ylang oil)。
【0023】
群「RMP」:
アニスアルデヒド;(2Z)−2−エチル−4−(2,2,3−トリメチルシクロペント−3−エン−1−イル)ブト−2−エン−1−オール;ベンゾインシャムレジノイド(benzoin siam resinoid);エチルバニリン;オキサシクロヘキサデク−12(13)−エン−2−オン;サリチル酸ヘキシル;ヒドロキシシトロネラール;ジャスミン油;3−メチル−5−フェニルペンタン−1−オール;2−メチルプロパン酸2−(フェニルオキシ)エチル;アルファ−テルピネオール;バニリン。
【0024】
群「GEN」:
シクロペンタデカノリド;ヘキシルケイ皮アルデヒド;イオノンベータ;イソボルニルシクロヘキサノール;1−(2,3,8,8−テトラメチル−1,2,3,4,5,6,7(8),8(8a)−オクタヒドロナフタレン−2−イル)エタノン;3−[4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]−2−メチルプロパナール;リナロール;ジヒドロジャスモン酸メチル;2−フェニルエタノール。
ただし以下の条件が適合する:
(a)IMPs>=HMPs+HMRs
(b)IMPs+HMIs+GENs>=70%
(c)(IMPs+HMIs)/(IMPs+HMIs+RMPs+HMRs)>=0.7
(d)IMPs/(HMPs+RMPs+IMPs)>=0.5
(e)IMPs/[(HMPs+RMPs+IMPs)+(100−TOTAL)]>=0.3
式中、「IMPs」は、群IMP内の物質の百分率の合計を示し、残りの群についても同様であり、記号「>=」は、「少なくとも等しい」を示し、「TOTAL」は、HMPs、HMRs、HMIs、IMPs、RMPsおよびGENsの合計であり、低い臭気を有するかまたは臭気を有しない溶媒がこれらの合計の計算から除外される。
【0025】
香料成分の重量パーセントの本明細書中での言及は、香料組成物中の香料成分の総重量に対するものであることを意味しており、例えばすべての任意の溶媒、希釈剤などを除外する。
本明細書中に開示するのは、香料の当業者が活性化および元気づけの感覚と関連する活性化された気分状態を促進する高い可能性で香料を作製するために用いることができる、香料処方ルールである。
【0026】
本発明者らは、香料配合物と、香料を吸入する際に生じる気分状態との関係について、鋭意研究を行った。種々の技術、例えば脳活動マッピング、視覚的気分の鑑定および生物物理学的モニタリングを用いた。典型的な方法および生産物を、以下に記載する。
【0027】
香料成分の複雑な混合物が気分に影響する方法は、十分に理解されていない。リラックスすることのような気分状態と関係している香料材料は、それにもかかわらず、反対の影響をもたらすフレグランス配合物において有用であり得る。この多義性は材料ごとに変化し、特定の気分のために設計されるフレグランスを作製する際に考慮しなければならない。
【0028】
理論に束縛されずに、本発明者らの観察に基づいて、本発明者らは、香料成分を種々の気分の群に属すると分類した。これにより、実際には極めて有用である多数の前兆となる香料作製ルールを構成するのが可能になった。ルールは、群の構成要素が「あいまいであり」得ると認識すること、例えば特定の材料が「幸せな」フレグランスのための建築材料(building material)として有用であり得るが、同様に良好に、他の香料配合物において例えばリラックス気分または活性化気分をサポートするために有用であり得ることを基礎とする。特定の材料が、種々の気分状態をサポートするためにフレグランス(本明細書中で特定するレベルにて)において使用可能であることが、見出された。
【0029】
群は、次のように特定される:幸せな気分と強度に関連する香料成分を含む「HMP」;幸せな気分とリラックス気分とを共にサポートすることができる成分を含む「HMR」;幸せな気分と活性化気分とを共にサポートすることができる成分を含む「HMI」;リラックス気分を強度にサポートする成分を含む「RMP」;活性化気分を強度にサポートする成分を含む「IMP」;および種々の気分をサポートすることができる成分を含む「GEN」。本明細書中に開示する投薬量およびパターン制約の下で当業者(例えば調香師)が用いるように、これらの記号表示が成分に関連することを、強調しなければならない。
【0030】
材料
下記のリストは、本発明の材料を詳述し、香料産業内で用いられる各々の材料の一般的な名称を、対応するIUPAC名称および/または商品名(1または2以上)ならびに供給者と共に(可能である場合または関連する場合)示す。特定の材料(例えばマンダリン油)は、正確な組成が地形および季節に伴って変化し得る複雑な混合物である。このような場合において、本明細書中では、本発明は、起源とは無関係にオイルの一般的な種類に言及するものと解釈される。
【0031】
群IMP:
[(2−メチルブチル)オキシ]酢酸プロプ−2−エニルとも知られているグリコール酸アリルアミル;
2−ヒドロキシ安息香酸フェニルメチルとも知られているサリチル酸ベンジル;
ベルガモット油;
コリアンダー油;
2−メチル−3−[4−(1−メチルエチル)フェニル]プロパナールとも知られているシクラメンアルデヒド;
Cyclisone(登録商標)(Q)の名称で入手できる1−(2,6,10−トリメチルシクロドデカ−2,5,9−トリエン−1−イル)エタノン;
酢酸アリル(シクロヘキシルオキシ)およびシクロガルバネート(cyclogalbanate)とも知られている(シクロヘキシルオキシ)酢酸プロプ−2−エニル;
ダマセニア185 SAE(登録商標)(F);
ジメチルヘプタノールとも知られている2,4−ジメチルヘプタン−1−オール;
バルサムノキ;
モミ葉油;
【0032】
Floralozone(登録商標)(IFF)の名称で入手できる3−(4−エチルフェニル)−2,2−ジメチルプロパナール;
ジンジャー油;
グアイアクウッド;
酢酸1−エテニル−1,5−ジメチルヘクス−4−エニルとも知られている酢酸リナリル;
リツェアクベバ油;
Moss Oakmoss Syntheticとも知られている2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチル安息香酸メチル;
ナツメグ油;
乳香レジノイド(olibanum resinoid)とも知られている乳香油;
橙花油;
オゾナールAB 7203C(登録商標)(G);
パチョリ油;
4−メチル−2−(2−メチルプロプ−1−エニル)テトラヒドロ−2H−ピランとも知られているローズオキサイド(ラセミ形態およびキラル形態を含む);
ローズマリー油;
セージクラリー油;
スペアミント油;
タマリンAB 8212E(登録商標);
タラゴン油。
【0033】
群HMP:
Acetyl Cedrene、Vertofix Coeur(登録商標)(IFF)およびメチルセドリルケトンの名称で入手できる1−(2,6,6,8−テトラメチルトリシクロ[5.3.1.0{1,5}]ウンデク−8−エン−9−イル)エタノン;
3−シクロヘキシルプロパン酸プロプ−2−エニルとも知られているシクロヘキシルプロピオン酸アリル;
ヘプタン酸プロプ−2−エニルとも知られているヘプタン酸アリル;
Apple Oliffac S pcmf(登録商標)(IFF);
Calone 1951(登録商標)(CAL)の名称で入手できる7−メチル−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3(4H)−オン;
カシスベース;
2−ヒドロキシ安息香酸(3Z)−ヘクス−3−エニルとも知られているサリチル酸シス−3−ヘキセニル;
(2E)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−1,3−ジエン−1−イル)ブト−2−エン−1−オンとも知られているダマセノン;
デカラクトンガンマおよび5−ヘキシルジヒドロフラン−2(3H)−オンとも知られているガンマ−デカラクトン;
3−オキソブタン酸エチルとも知られているアセト酢酸エチル;
【0034】
2−エチル−3−ヒドロキシ−4H−ピラン−4−オンとも知られているエチルマルトール;
3−メチル−3−フェニルオキシラン−2−カルボン酸エチルとも知られているエチルメチルフェニルグリシデート;
酢酸ヘキシル;
Jadenol(G)およびUndecavertol(G)の名称で入手できる(3E)−4−メチルデク−3−エン−5−オール;
Methyl Pamplemousse(G)の名称で入手できる2,5,5−トリメチル−6,6−ビス(メチルオキシ)ヘクス−2−エン;
ラズベリーケトンまたはラストン(Rastone)とも知られている4−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン−2−オン;
酢酸1−フェニルエチルとも知られている酢酸スチルアリル;
Veloutone(F)の名称で入手できる2,2,5−トリメチル−5−ペンチルシクロペンタノン;
イランイラン油とも知られているイラン油。
【0035】
群HMR:
(1E)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘクス−2−エン−1−イル)ヘプタ−1,6−ジエン−3−オンとも知られているアリルイオノン;
酢酸フェニルメチルとも知られている酢酸ベンジル;
3−メチル−2−[(2Z)−ペント−2−エニル]シクロペント−2−エン−1−オンとも知られているシス−ジャスモン;
3,7−ジメチルオクト−6−エン−1−オールとも知られているシトロネロール;
(6Z)−3,7−ジメチルノナ−1,6−ジエン−3−オールとも知られているエチルリナロール;
1,4−ジオキサシクロヘプタデカン−5,17−ジオンとも知られているエチレンブラシレート;
Florosa(登録商標)(G)またはFlorol(登録商標)(F)の名称で入手できる4−メチル−2−(2−メチルプロピル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オール;
(2E)−3,7−ジメチルオクタ−2,6−ジエン−1−オールとも知られているゲラニオール;
ゼラニウム油;
【0036】
2−(メチルオキシ)−4−[(1E)−プロプ−1−エニル]フェノールとも知られているイソオイゲノール;
レモン油;
3−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)シクロヘクス−3−エン−1−カルバルデヒドおよび4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)シクロヘクス−3−エン−1−カルバルデヒドならびにこれらの混合物(例えば、Lyral(登録商標)(IFF)の名称で入手できる);
メチルイオノンアルファイソおよび(3E)−3−メチル−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘクス−2−エン−1−イル)ブト−3−エン−2−オンとも知られているアルファ−イソ−メチルイオノン;
Muscenone(登録商標)(F)の名称で入手できる3−メチルシクロペンタデク−2−エン−1−オン;
シクロヘキサデカノリドおよびシクロペンタデカノンならびにこれらの混合物、例えばSilvanone(登録商標)(G)の名称で入手できる;
5−ヘプチルジヒドロフラン−2(3H)−オンおよびPeche Pure(登録商標)(G)とも知られているガンマ−ウンデカラクトン。
【0037】
群HMI:
Amber Core(登録商標)(G)の名称で入手できる1−{[2−(1,1−ジメチルエチル)シクロヘキシル]オキシ}ブタン−2−オール;
Amberlyn Super(登録商標)(G)およびCetalox(登録商標)(F)の名称で入手できる3a,6,6,9a−テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1−{b}]フラン;
ダマスコンアルファおよび(2E)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘクス−2−エン−1−イル)ブト−2−エン−1−オンとも知られているアルファ−ダマスコン;
2,6−ジメチルオクト−7−エン−2−オールとも知られているジヒドロミルセノール;
2−(メチルオキシ)−4−プロプ−2−エニルフェノールとも知られているオイゲノール;
Aquanal(登録商標)(G)およびHelional(登録商標)(IFF)の名称で入手できる3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−メチルプロパナール;
Ligustral(登録商標)(G)とも知られている2,4−ジメチルシクロヘクス−3−エン−1−カルバルデヒド;
マンダリン油;
オレンジ油;
Ortholate(登録商標)(G)およびVerdox(登録商標)(IFF)の名称で入手できる酢酸2−(1,1−ジメチルエチル)シクロヘキシル;
【0038】
群RMP:
4−(メチルオキシ)ベンズアルデヒドとも知られているアニスアルデヒド;
Bangalol(登録商標)(G)およびBacdanol(登録商標)(IFF)の名称で入手できる(2Z)−2−エチル−4−(2,2,3−トリメチルシクロペント−3−エン−1−イル)ブト−2−エン−1−オール;
ベンゾインシャムレジノイド;
3−(エチルオキシ)−4−ヒドロキシベンズアルデヒドとも知られているエチルバニリン;
Habanolide(登録商標)(F)の名称で入手できるオキサシクロヘキサデク−12(13)−エン−2−オン;
2−ヒドロキシ安息香酸ヘキシルとも知られているサリチル酸ヘキシル;
7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクタナールとも知られているヒドロキシシトロネラール;
ジャスミン油;
Mefrosol(登録商標)(G)とも知られている3−メチル−5−フェニルペンタン−1−オール;
イソ酪酸フェノキシエチルとも知られており、Prunella(登録商標)(F)中の主要成分として入手できる2−メチルプロパン酸2−(フェニルオキシ)エチル;
テルピネオールまたは2−(4−メチルシクロヘクス−3−エン−1−イル)プロパン−2−オールとも知られているアルファ−テルピネオール;
4−ヒドロキシ−3−(メチルオキシ)ベンズアルデヒドとも知られているバニリン。
【0039】
群GEN:
オキサシクロヘキサデカン−2−オンとも知られているシクロペンタデカノリド;
(2E)−2−ヘキシル−3−フェニルプロプ−2−エナールとも知られているヘキシルケイ皮アルデヒド;
ベータ−イオノンおよび(3E)−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘクス−1−エン−1−イル)ブト−3−エン−2−オンとも知られているイオノンベータ;
3−(5,5,6−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)シクロヘキサノールとも知られており、Sandela(登録商標)(G)の名称で入手できるイソボルニルシクロヘキサノール;
Iso E Super(登録商標)およびIsoambois(登録商標)の名称で入手できる1−(2,3,8,8−テトラメチル−1,2,3,4,5,6,7(8),8(8a)−オクタヒドロナフタレン−2−イル)エタノン;
ユリアルデヒド(lily aldehyde)の名称で入手できる3−[4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]−2−メチルプロパナール;
3,7−ジメチルオクタ−1,6−ジエン−3−オールとも知られているリナロール;
(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)酢酸メチルとも知られているジヒドロジャスモン酸メチル;
フェニルエチルアルコールまたはフェニルエタノールとも知られている2−フェニルエタノール。
【0040】
供給者についてのキー:
F=Firmenich
G=Givaudan
IFF=International Flavors and Fragrances
SYM=Symrise
【0041】
溶媒
多種の液体は、溶解するのが困難であり加工が困難な化合物、例えば固体もしくはゴムのための溶媒として、または強度な臭気を有する強力な材料のための担体として、香料の範囲内で一般的に用いられる。このような溶媒の例には、ジプロピレングリコール(DPG)、フタル酸ジエチル(DEP)、安息香酸ベンジル、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、トリアセチンおよびクエン酸トリエチル(TEC)が含まれる。典型的に、通常の濃度(60%より低い、通常40%より低い、しばしば20%より低い)にて存在する際には、これらの材料は、臭気を有しないかまたは極めて低い臭気を有しており、香料の全体的な臭気に対してほとんど寄与しない。本発明の目的のために、このようなビヒクルは、組成の百分率の計算に含まれず、したがって、例えば、各々10%の5種の香料材料と共に50%(w/w)のDPGを含む香料混合物は、5種の材料を各々20%(w/w)にて有する香料であると、考慮される。この溶媒の補正は、香料の臭気保有部分の真実の概念を提供するのに必要である。
【0042】
「臭気を有しないかまたは極めて低い臭気」は、EP0404470(酢酸ベンジルをジプロピレングリコールに溶解した10%溶液の対照試料の臭気強度との比較を基準とし、これは、100の指数に相当する)に記載されているように、これが80より低い臭気指数の基準のスコアであることを意味し、フタル酸ジエチル、ジプロピレングリコール、トリアセチン、安息香酸ベンジル、クエン酸トリエチル、Herculyn D(商品名)、ミリスチン酸イソプロピルおよびトリブチルクエン酸アセチルを含む。
【0043】
好ましいもの
好ましいフレグランス組成物は、群IMPから得られる少なくとも15重量%の成分を含む(溶媒を考慮する香料組成物の以下の調整)。さらに、群IMP、HMIおよびGEN内にある成分の百分率の合計は、好ましくは少なくとも80%である。好ましくは、比率IMPs/(HMPs+RMPs+IMPs)は、少なくとも0.6である。好ましくは、比率IMPs/[(HMPs+RMPs+IMPs)+(100−TOTAL)]は、少なくとも0.5である。また、好ましいのは、群IMPの要素である少なくとも5種の成分、尚一層好ましくは少なくとも8種の成分を含む香料である。一般的に、本発明の香料は、少なくとも15種の香料成分(本明細書中で分類していないものを含むが、溶媒を除外する)を含み、これらが少なくとも25種の成分、尚一層好ましくは40種の成分を含むのが、好ましい。成分の数を計算する目的のために、0.1%より少量で存在する材料を無視してもよく、エッセンシャルオイルを単一の材料として計数する。
【0044】
最も好ましいのは、群IMPから得られる少なくとも25重量%の成分を含むフレグランス組成物である。さらに、群IMP、HMIおよびGEN内にある成分の百分率の合計は、最も好ましくは少なくとも90%である。最も好ましくは、比率IMPs/(HMPs+RMPs+IMPs)は、少なくとも0.8である。最も好ましくは、比率IMPs/[(HMPs+RMPs+IMPs)+(100−TOTAL)]。
【0045】
本発明のフレグランス組成物は、吸入による有効量の香料の嗅覚的サンプリングを介して、気分の利益を奏する。吸入は、香料自体の上方の、または香料、例えばコロン、浴室および身体調製物のようなアルコール系、消臭スプレーおよび多くの他のものを含む消費者製品の上方の上部の空間であり得る。本明細書中で用いる用語「上部の空間」は、製品を包囲する空間を意味し、これは「ビンからの匂い」のみならず、例えばシャワーを浴びる間の使用において発生するものにも関する。用語「有効量」は、消費者製品中に導入して元気づけの望ましい状態を促進するために必要な活性化フレグランスの重量百分率を表す。
【0046】
他の観点において、本発明は、美学的に魅力的な形態、例えばコロン、消臭スプレーまたはシャンプーにおいて本明細書中に記載した少なくとも1種の活性化フレグランスの有効量を吸入することにより、満足できる生活状態および幸福の気分を促進する方法を提供する。
【0047】
フレグランス組成物を、「そのまま」(例えば100%)または「コロン」において用いることができる。使用量および使用頻度ならびに配合物、例えば夏および冬の配合物における変化についての指示を用いて、有効なレベルの活性化フレグランス(1種または2種以上)を投与することができるのを確実にすることができる。本発明の目的のために、以下に例証する用語「コロン」は、アルコール溶液または含水アルコール溶液中に導入される活性化フレグランスを意味する。活性化フレグランスを、1〜99%の間で変化させることができ、製剤の残余は、アルコールまたは水とアルコールとの混合物で構成される。水:アルコール重量比は、50:50から0:100まで変化させることができる。これらの製品において典型的に用いられるアルコール類の例は、SDA 39−CおよびSDA−40、「プルーフ」または無水のいずれかの190である(“Ethyl Alcohol Handbook”, 第5版、Published by National Distillers and Chemical Co.を参照)。コロンはまた、可溶化剤、皮膚軟化剤、保湿剤、増粘剤、静菌薬または他の美容用に用いる成分を含むことができる。
【0048】
消費者組成物
本明細書中で用いる「消費者組成物」には、部屋用フレッシュナーまたは部屋用消臭剤;衣類消臭剤;柔軟剤;ドライヤーを加えた(dryer-added)柔軟剤物品;家庭用クレンザー;便器用洗剤;化粧品、例えばパウダー、クリーム、消臭剤、ハンドローションおよびサンスクリーン;パーソナルケア製品、例えば制汗剤およびわきが止め、一般的な身体消臭剤、ヘアケア製品、例えばヘアスプレー、コンディショナー、リンス、シャンプー;フットケア製品;コロン、アフターシェーブローションおよびボディーローション;固体の、または液体の石鹸およびアニオン性、カチオン性、非イオン性または両性イオン性洗浄剤;臭気制御製品;芳香で満たされたポリマー;空間臭気物質;コロン、化粧水、毛髪製剤、例えばラッカー、ブリリアンティーンおよびポマードが含まれるが、これらには限定されない。
【0049】
消費者組成物は、タルク、ダスティングパウダー(dusting powder)、おしろいなどのようなパウダー、棒、スティック、錠剤、ムース、ジェル、液体、スプレー、織物コンディショニングシート、クレンジング組成物(cleansing composition)、パウダー、オイル、浴用オイルおよび他の浴室組成物、エアゾール、ロウソク、噴霧器により用いることができる物質、拭き取り繊維、洗剤、シャンプー、ジェル、石鹸、スティック、香油、小袋、枕、ムース、スプレー、ローション、クリームおよびクレンジング組成物を含むがこれには限定されない、種々の形態を採り得る。
【0050】
フレグランス組成物を消費者組成物の嗅覚成分として用いる、例えば固体または液体アニオン性、カチオン性、非イオン性または両性イオン性洗浄剤または化粧用パウダーまたはデオドラント棒、芳香で満たされた物品におけるフレグランス構成の0.1重量%程度の少量が十分である。他方、空間臭気物質利用品において、99%程度の多量の混ぜ合わせた担体香料物質およびフレグランス組成物(1種または2種以上)が、存在し得る。このように、消費者組成物は、約0.1%〜約99%までの範囲内の、本質的に本発明のフレグランス組成物(1種または2種以上)からなる物体の組成物を含み得る。
【0051】
用語「消費者組成物」にはまた、固体形態のポリマー、例えば孔を含むポリエチレン、ポリプロピレンおよび他のポリマー類が含まれる。このような芳香で満たされたポリマーを、通常の当業者に十分知られているすべての技術により製造することができる。
フレグランス組成物はまた、さらに消費者に対する魅力を改善する目的のために用いることができる他の臭気成分を含んでいてもよい。
【0052】
分配
本発明の尚他の観点において、少なくとも1種のフレグランス組成物を、蒸気の放出を吸入用に提供するのに有効な量および時間において分配する。
【0053】
フレグランス組成物の分配は、例えば任意にバルブおよびノズル機構を有する臭気物質を含む容器、エアゾールまたは非エアゾールスプレー、ガス、固体または液体消臭スプレー、香りを有する布、ローション、クリーム、香水、コロン、ポプリ、香、電球リング、ロウソク、柔軟剤、カーペット洗浄剤またはフレッシュナー、プラグイン消臭スプレーなどから、任意の従来の手段によるものとしてもよい。活性化フレグランスを、鉱油または水のような無臭の液体担体と組み合わせて分配することができ、エアロゾル化を可能にするのに有効な粘性で配合することができる。
【0054】
フレグランス組成物をまた、製造の物品の一部またはキットとして包装してもよい。キットは、例えば、(a)有効量の活性化フレグランスを含む、収容手段、例えばバイアル、ジャー、ポーチ、缶、ビン、布、エアゾール缶、ブリスターパックなど中に配置される組成物を形成するための担体および他の任意の添加物;ならびに(b)活性化フレグランスならびに満足できる健康状態および幸福を促進するためのこの使用に関して指示するための手段を、共同して含むことができる。キットの部分を、包装材、例えば箱もしくは袋内に収容するかまたは別個に包装することができる。
【0055】
フレグランス組成物を、液体溶液、エアゾールスプレー、固体、マイクロカプセルまたは他の好適な形態の形態で送達して、嗅ぐことおよび吸入のために鼻通路中に着臭剤のしきい値超(suprathreshold)量を送達することができる。フレグランス組成物を、鉱油または水のような無臭の液体担体と組み合わせて投与することができ、エアロゾル化を可能にするのに有効な粘度で配合することができる。フレグランス組成物を、例えば、フレグランス組成物で被覆された布材料により、ふたをした容器中に含まれる固体または液体形態として、エアゾールまたはポンプタイプスプレーデバイスから、スプレー式点鼻薬として、ミクロスフェアの形態で臭気物質を含むブリスターパックまたはこすると香りが出る臭気パッチを開放することにより、芯材料などに吸着される液体形態のフレグランス組成物を含むペン形状のディスペンサーから、分配することができる。
【0056】
フレグランス組成物の送達は、付近の人が携帯可能であり、混乱の発生を最小限にするデバイスを用いることができる。活性化フレグランスをまた、例えば換気口を通って活性化フレグランスを含む空気をポンプ輸送し、エアゾールまたは非エアゾール(non-aerosol)スプレーなどを用いて噴霧または乾燥粉末として、活性化フレグランスを空気中に噴霧することにより、限定された領域内の人の群に投与することができる。
【0057】
本発明のフレグランスが即座の効果に対して長期にわたる気分の増強(例えば数時間にわたる)が可能であるのが、好ましい。これらの効果を、唾液コルチゾールを測定し、「臭気を有しない」対照からのものと結果を比較することにより、モニタリングすることができる。身体は、ストレスに対する反応として一層多量のコルチゾールを産生し、身体のコルチゾールの濃度は、唾液中のコルチゾールの濃度において反映される。唾液コルチゾールは、数時間にわたりストレスの程度を評価するのに好都合な経路を提供する。
【0058】

本発明を、以下の詳細な例を参照することによりさらに説明し、ここで方法は、以下に記載する通りである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、ベース、調和または完成したフレグランスのいずれかであると記載されるフレグランス組成物についての、種々の気分の属性に対する匂いスコアのグラフである。
【0060】
例1:香料の複雑さに関する研究
合計20種の異なる臭気を、消費者のスニッフテストにおいて評価した。臭気を、これらの複雑さによって3つの群に分類した:複雑な完成したフレグランス、調和として知られているフレグランス材料の混合および単純なフレグランス混合またはベース。消費者に、臭気のサブセットの匂いを知覚して、属性に対してスコアを定めるように依頼した:流行の、冷静な、ノスタルジックな、リラックスできる、暖かい、気分が安らぐ、刺激的な、モダンな、心休まる、セクシーな、さわやかな、クール、元気づける。図1に示す結果は、比較的複雑なフレグランスがこれらの属性の各々を通じてこれらの比較的単純な類似物より性能が上回っていることを示す。
【0061】
例2
表1で詳述するフレグランス組成物を調製し、これに種々の試験プロトコルを施した。フレグランスを付与された(fragranced)I1〜I4に分類されたものは、本発明のフレグランス組成物であり、一方C1〜C4に分類されたものは、比較である。ここで行う群分類によるこれらの組成物の分析を、以下に示す。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
【表3】

【0065】
【表4】

【0066】
【表5】

【0067】
供給者についてのキー:
B=Biolandes
F=Firmenich
G=Givaudan
IFF=International Flavors and Fragrances
注:1)「成分Y X%DPG」は、DPG溶液中の成分YのX%を示す。
2)「N/A」は、割り当てられない材料を示す(即ち、群は未知である)。
3)「SOLV」は、材料が溶媒であるべきことを示す。
【0068】
【表6】

【0069】
注: * 溶媒補正は、100/(100−SOLV)として得られる。
比率1=(IMPs+HMIs)/(IMPs+HMIs+RMPs+HMRs)
比率2=IMPs/(IMPs+HMPs+RMPs)
比率3=IMPs/[(IMPs+HMPs+RMPs)+(100−合計)]
条件1は、IMPs>=HMPs+HMRsである。
条件2は、IMPs+HMIs+GENs>=70%である。
【0070】
例3
唾液コルチゾールは、1日を通じてストレスの程度を評価するのに好都合な経路を提供する。以下のプロトコルにおいて、2種の香料に、主にWO 2002/049629に開示されているものに基づくコルチゾール試験を施した。芳香性のフージェール(fougere)芳香を有し、活性化させると知覚された、本発明の香料I3は、就業日の間、香料を除外した対照手順より高いコルチゾールレベルを促進しないことが、見出された。比較香料C4、即ちリラックスすると知覚される香辛料のきいた東洋のタイプは、予測されたように、顕著に一層高いレベルのコルチゾール低下を生じることが、見出された。
【0071】
プロトコル:
一群の健康な対象(3人の男性および2人の女性、対象A〜Eとして知られる)は、数日にわたり試験に参加して、唾液コルチゾールレベルの変化により示されるように、2種のフレグランスの匂いを知覚するくつろぎ/活性化効果を評価した。評価を、毎日起床から少なくとも4時間後に行った。
1)最初の唾液試料を提供した(約1ml)
2)15分にわたりフレグランス(1日を通じて無秩序にする)の匂いを知覚した、即ち2分おきに20秒にわたりフレグランスが付与されたソルボロッド(sorborod)から匂いを知覚した。
3)第2の唾液試料を、匂い知覚の終了から30分後に提供した。
4)試料を、すべての日の実験が完了するまで冷蔵庫中に保存した。
5)すべての試料を、Immunodiagnostic Systems Limited(コードSLV-2930)から入手できるELISAキットを用いて分析した。
【0072】
結果:
処置なしの効果は、コルチゾールの小幅な(約4.5%)低下であった。香料I3の匂いを知覚することにより、わずかに比較的大幅な低下(約8%)が生じたが、これは実験誤差内で同一であった。リラックスさせるフレグランスにより、顕著に比較的大幅なコルチゾール低下(約28%)が生じた。したがって、フレグランスI3は、コルチゾール産生の顕著な増大をもたらさずに活性化をもたらす。
【0073】
【表7】

【0074】
【表8】

【0075】
例4
表1のフレグランスに、これらが生じる気分応答に関する情報が得られるように設計した2つのプロトコルを施した。
【0076】
A)気分属性試験(MAT)
これは、英国で行われた集合スニッフテストであった。
150人の投薬を受けていない消費者を、通りにおける遮断によって予備採用したか(pre-recruit)または採用して、会場テストに出席させた。当該消費者を、フレグランスの匂いを知覚することに対するあらゆる鼻障害またはアレルギー感受性についてプレスクリーニングした。パネリストは全員女性であり、18歳から55歳までの年齢の標本および社会階級の標本を代表するように、選択した。
【0077】
各々の対象に、予め定められた順序でフレグランスの匂いを知覚するように依頼した。各々のフレグランスの匂いを知覚した際に、当該対象に、どのようにフレグランスが当該対象を感じさせたか(例えば気分が安らいだ、安全な、落ち着く)に従って一連の所定の気分の尺度を記録するように依頼した。24の気分の尺度が全部にあり、各々を0〜10の尺度で、「完全にない」から「極度に」までスコアを記録した。
【0078】
B)気分の描写
これもまた、英国で行われた集合スニッフテストであり、Mood Attribute Scalingに関しては、150人の投薬を受けていない消費者を、通りにおける遮断によって予備採用したかまたは採用して、会場テストに出席させた。当該消費者を、フレグランスの匂いを知覚することに対するあらゆる鼻障害またはアレルギー感受性についてプレスクリーニングした。用いたパネリストは全員女性であり、18歳から55歳までの年齢の標本および社会階級の標本を代表するように、選択した。
【0079】
各々の対象に、予め定められた順序でフレグランスの匂いを知覚するように依頼した。この試験のために、当該対象らに、フレグランスによって呼び起こされる気分または感情を経験し、次に表示された画像のライブラリーから、同一であるかまたは類似した気分または感情を呼び起こすものを5つまで選択するように依頼した。Questにおいて以前行われた研究により、画像によって呼び起こされる気分または感情が確立され、各々のフレグランスについて画像選択頻度データを気分プロフィールに変換する統計的方法もまた、開発された。
【0080】
各々の試験からのランク順序を、以下の表5に示し、最も活性化させるフレグランスに、「1」のランクを付す。ノイズがデータ中にあるが、本発明による活性化させるフレグランスのサブセットは、比較のフレグランスとは明らかに区別される。
【0081】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも75重量%、好ましくは85重量%で以下の群から選択される香料材料を含む、フレグランス組成物:
A)グリコール酸アリルアミル;サリチル酸ベンジル;ベルガモット油;コリアンダー油;シクラメンアルデヒド;1−(2,6,10−トリメチルシクロドデカ−2,5,9−トリエン−1−イル)エタノン;(シクロヘキシルオキシ)酢酸プロプ−2−エニル;ダマセニア185 SAE;2,4−ジメチルヘプタン−1−オール;バルサムノキ;モミ葉油;3−(4−エチルフェニル)−2,2−ジメチルプロパナール;ジンジャー油;グアイアクウッド;酢酸リナリル;リツェアクベバ油;2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチル安息香酸メチル;ナツメグ油;乳香油;橙花油;オゾナールAB 7203C;パチョリ油;ローズオキサイド;ローズマリー油;セージクラリー油;スペアミント油;タマリンAB 8212E;タラゴン油を含む群「IMP」から選択される少なくとも3種の材料で、合計が少なくとも10重量%:
B)任意に、90%までの以下の群からの材料:
アリルイオノン;酢酸ベンジル;シス−ジャスモン;シトロネロール;エチルリナロール;エチレンブラシレート;4−メチル−2−(2−メチルプロピル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オール;ゲラニオール;ゼラニウム油;イソオイゲノール;レモン油;3−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)シクロヘクス−3−エン−1−カルバルデヒド;4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)シクロヘクス−3−エン−1−カルバルデヒド;アルファ−イソ−メチルイオノン;3−メチルシクロペンタデク−2−エン−1−オン;シクロペンタデカノン;シクロヘキサデカノリド;ガンマ−ウンデカラクトンを含む群「HMR」、
1−{[2−(1,1−ジメチルエチル)シクロヘキシル]オキシ}ブタン−2−オール;3a,6,6,9a−テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1−{b}]フラン;アルファ−ダマスコン;ジヒドロミルセノール;オイゲノール;3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−メチルプロパナール;2,4−ジメチルシクロヘクス−3−エン−1−カルバルデヒド;マンダリン油;オレンジ油;酢酸2−(1,1−ジメチルエチル)シクロヘキシルを含む群「HMI」、
1−(2,6,6,8−テトラメチルトリシクロ[5.3.1.0{1,5}]ウンデク−8−エン−9−イル)エタノン;シクロヘキシルプロピオン酸アリル;ヘプタン酸アリル;Apple Oliffac S pcmf;7−メチル−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3(4H)−オン;カシスベース;サリチル酸シス−3−ヘキセニル;ダマセノン;ガンマ−デカラクトン;アセト酢酸エチル;エチルマルトール;エチルメチルフェニルグリシデート;酢酸ヘキシル;(3E)−4−メチルデク−3−エン−5−オール;2,5,5−トリメチル−6,6−ビス(メチルオキシ)ヘクス−2−エン;4−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン−2−オン;酢酸スチルアリル;2,2,5−トリメチル−5−ペンチルシクロペンタノン;イラン油を含む群「HMP」、

アニスアルデヒド;(2Z)−2−エチル−4−(2,2,3−トリメチルシクロペント−3−エン−1−イル)ブト−2−エン−1−オール;ベンゾインシャムレジノイド;エチルバニリン;オキサシクロヘキサデク−12(13)−エン−2−オン;サリチル酸ヘキシル;ヒドロキシシトロネラール;ジャスミン油;3−メチル−5−フェニルペンタン−1−オール;2−メチルプロパン酸2−(フェニルオキシ)エチル;アルファ−テルピネオール;バニリンを含む群「RMP」、

シクロペンタデカノリド;ヘキシルケイ皮アルデヒド;イオノンベータ;イソボルニルシクロヘキサノール;1−(2,3,8,8−テトラメチル−1,2,3,4,5,6,7(8),8(8a)−オクタヒドロナフタレン−2−イル)エタノン;3−[4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]−2−メチルプロパナール;リナロール;ジヒドロジャスモン酸メチル;2−フェニルエタノールを含む群「GEN」、
ただし、以下の条件が適合する:
(a)IMPs>=HMPs+HMRs
(b)IMPs+HMIs+GENs>=70%
(c)(IMPs+HMIs)/(IMPs+HMIs+RMPs+HMRs)>=0.7
(d)IMPs/(HMPs+RMPs+IMPs)>=0.5
(e)IMPs/[(HMPs+RMPs+IMPs)+(100−TOTAL)]>=0.3
式中、「IMPs」は、群IMP内の物質の百分率の合計を示し、残りの群についても同様であり、記号「>=」は、「少なくとも等しい」を示し、「TOTAL」は、HMPs、HMRs、HMIs、IMPs、RMPsおよびGENsの合計であり、低い臭気を有するかまたは臭気を有しない溶媒は、これらの合計の計算から除外される。
【請求項2】
少なくとも15重量%、好ましくは少なくとも25重量%の群IMPからの材料を含む、請求項1に記載のフレグランス組成物。
【請求項3】
群IMP、群HMIおよび群GENの全体からの少なくとも80重量%の材料を含む、請求項1または2に記載のフレグランス組成物。
【請求項4】
IMPs/(HMPs+RMPs+IMPs)の比率が少なくとも0.6、好ましくは少なくとも0.8である、請求項1〜3のいずれかに記載のフレグランス組成物。
【請求項5】
IMPs/[(HMPs+RMPs+IMPs)+(100−TOTAL)]の比率が少なくとも0.5、好ましくは少なくとも0.7である、請求項1〜4のいずれかに記載のフレグランス組成物。
【請求項6】
群IMPから選択される少なくとも5種の材料を含む、請求項1〜5のいずれかに記載のフレグランス組成物。
【請求項7】
群IMPから選択される少なくとも8種の材料を含む、請求項6に記載のフレグランス組成物。
【請求項8】
少なくとも15種の香料成分を含む、請求項1〜7のいずれかに記載のフレグランス組成物。
【請求項9】
少なくとも25種の香料成分を含む、請求項8に記載のフレグランス組成物。
【請求項10】
少なくとも40種の香料成分を含む、請求項9に記載のフレグランス組成物。
【請求項11】
群IMP、群HMIおよび群GENから選択される少なくとも90重量%の材料を含む、請求項1〜10のいずれかに記載のフレグランス組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載のフレグランス組成物を含む、消費者組成物。
【請求項13】
活性化された快適な気分を提供する方法であって、有効量の請求項1〜11のいずれかに記載のフレグランス組成物を吸入することによる、前記方法。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれかに記載のフレグランス組成物を分配する方法であって、対象が吸入するのに有効な蒸気の放出を提供するための量および時間でなされる、前記方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−507712(P2010−507712A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533929(P2009−533929)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【国際出願番号】PCT/GB2007/003892
【国際公開番号】WO2008/050084
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(509115292)ジボダン ネーデルランド サービシーズ ビー.ヴイ. (8)
【氏名又は名称原語表記】GIVAUDAN NEDERLAND SERVICES B.V.
【住所又は居所原語表記】Huizerstraatweg 28, NL−1411 GP Naarden Netherlands
【Fターム(参考)】