説明

フレッシュジュース製造装置

【課題】取り扱いが容易で製造が容易なフレッシュジュースの製造装置を提供する。
【解決手段】発明のフレッシュジュース製造装置は、カップを覆うキャップを用いる。回転シャフトは、キャップを貫通し、先端の回転刃はカップ内に配置される。キャップの内面には、突起部が形成されている。回転シャフトによって回転刃を回転させると、カップ内の液は回転し、遠心力によって、液面は回転放物面状になる。液は、カップの内壁を這い上がり、キャップの内面に到達し、突起部に衝突する。それによって、液の回転運動が乱れ、液と共に回転する固形物と回転刃の間に相対的な回転速度差が生じ、固形物は、回転刃によって切断され、粉砕される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜、果物等より生ジュースを製造するフレッシュジュース製造装置に関し、特に、市販のガラス製のコップを用いるフレッシュジュース製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ジューススタンド等のジュースの販売場所においては、オレンジジュースやメロンジュース等の予め決められた何種類かのジュースを販売用のタンクに入れておき、お客様の求めに応じて販売用のカップに入れて販売している。一方、客が注文してから、客の目の前で、果物、野菜等の生ジュースを作り、それを提供するフレッシュジュース製造装置も知られている。例えば、特許文献1には、客が注文してから1杯分の生ジュースを製造するフレッシュジュース製造装置の例が記載されている
【0003】
【特許文献1】特開2006−025881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたフレッシュジュース製造装置では、カップホルダに保持されたカップに対して、回転刃が上下駆動する。しかしながら、特許文献1に記載されたフレッシュジュース製造装置では、カップを上から押えるインナーカバーには、下方に延びる支柱が設けられている。従って、インナーカバーの取り扱いが不便であり、また、インナーカバー及び支柱の製造方法が煩雑である。
【0005】
本発明の目的は、取り扱いが容易で製造が容易なフレッシュジュースの製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明のフレッシュジュース製造装置によると、カップを覆うキャップを用いる。回転シャフトは、キャップを貫通し、先端の回転刃はカップ内に配置される。キャップの内面には、突起部が形成されている。回転シャフトによって回転刃を回転させると、カップ内の液は回転し、遠心力によって、液面は回転放物面状になる。液は、カップの内壁を這い上がり、キャップの内面に到達し、突起部に衝突する。それによって、液と共に回転する固形物と回転刃の間に相対的な回転速度差が生じ、固形物は、回転刃によって切断され、粉砕される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、取り扱いが容易で製造が容易なフレッシュジュースの製造装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明によるフレッシュジュース製造装置の例の外観を示す。本例のフレッシュジュース製造装置は、本体ケース1を有する。本体ケース1の前面には、操作ボタン4が設けられている。本体ケース1には、カップホルダ2が設けられている。カップホルダ2にはカップ3が保持される。
【0009】
図2はフレッシュジュース製造装置の断面構成を示す。カップホルダ2の上には、モータ11と、モータの軸に接続された回転シャフト12と、回転シャフトの下端に取り付けられた回転刃13とが設けられている。モータ11と回転シャフト12は一体的に上下方向に移動することができる。回転シャフト12には、回転刃13の上側の位置に、キャップ支持部材14が設けられている。このキャップ支持部材14によって、キャップ20が保持されている。キャップ20の上にバネホルダ21が配置されている。バネホルダ21は凹部21aを有する。この凹部21aにバネ22が保持されている。回転シャフト12は、バネ22を貫通し、キャップ20及びバネホルダ21を貫通している。回転シャフト12は、キャップ20の中心を貫通して延びている。回転シャフト12の上端には、バネ押え部材15が装着されている。
【0010】
図3を参照して本例のキャップの構造を説明する。キャップ20は、円筒部201と底部202を有する円筒容器状の形状を有する。底部202には、円筒状突起部203が形成され、この円筒状突起部203の中心には、回転シャフトが貫通する孔204が形成されている。円筒部201の外面には、全周に延びる鍔部205と突起206が形成され、円筒部201の内面には、軸線方向に沿って延びる、即ち、回転シャフトと同一方向に延びる、3つの突起部211、212、213が形成されている。突起部211、212、213は、三角形の断面を有する。即ち、突起部211、212、213の、軸線方向に垂直な断面は、三角形である。
【0011】
本例では、3つの突起部を設けるが、1個、2個、又は、4個以上の突起部を設けてもよい。また、突起部の断面は三角形であるが、三角形以外の断面、例えば、4角形又は半円であってもよい。
【0012】
キャップ20の材料は、好ましくは、弾性材料によって形成され、例えば、シリコンゴムによって形成される。しかしながら、キャップ20は、樹脂、プラスチック、等によって形成されてもよい。また、キャップは成型法によって一体的に形成される。
【0013】
キャップの使用方法は、後に詳細に説明するが、キャップの開口が下に向いた状態で、カップの上を被せるように配置される。このとき、キャップの円筒部の外面の鍔部205は、カップの上端に当接し、円筒部の外面の突起206は、カップの内面に接触する。
【0014】
図4を参照して、本例のフレッシュジュース製造装置の使用方法を説明する。図4Aは、モータ(図示なし)、回転シャフト12、バネ22、バネホルダ21、及び、キャップ20が上側の待機位置に配置されている状態を示す。回転シャフト12のキャップ支持部材14の上に、キャップ20の円筒状突起部203の先端が配置されている。このキャップ支持部材14によって、キャップ20が支持されている。キャップ20の上に、バネホルダ21が配置されている。バネホルダ21によってバネ22が保持されている。従って、このキャップ支持部材14によって、キャップ20、バネホルダ21及びバネ22が支持されている。
【0015】
図4Bは、モータ(図示なし)及び回転シャフト12が下降した状態を示す。回転シャフト12が下降すると、回転シャフト12に支持されたキャップ20、バネホルダ21、及び、バネ22が下降する。図4Bは、キャップ20の鍔部205がカップ3の上端に当接した状態を示す。このとき、バネ22は圧縮していない。
【0016】
図4Cは、モータ(図示なし)と回転シャフト12が、更に、下降した状態を示す。回転刃13は、カップ3の底より僅か上側に配置されている。回転シャフト12が下降しても、キャップ20及びバネホルダ21は、カップ3の上に保持されている。しかしながら、回転シャフト12が下降すると、バネ押え部材15も下降する。従って、バネホルダ21とバネ押え部材15の間の距離が小さくなり、バネ22は圧縮される。バネ22の圧縮力によって、バネホルダ21は下方に押し付けられる。この押し付け力によって、キャップ20は、カップ3の上に保持される。
【0017】
本発明によると、キャップ20の内面には、図3を参照して説明したように、3つの突起部211、212、213が形成されている。この突起部の機能を説明する。回転刃13が回転すると、カップ内の液体と固形物は、回転刃13と共に回転する。固形物が、回転刃13と共に回転すると、回転刃13によって固形物を切断することはできない。固形物を切断するためには、回転刃13を、固形物に対して相対的に早い速度で回転させる必要がある。そのためには、固形物の回転を妨害する障害を設ければよい。本発明によると、キャップの内面に突起部211、212、213を設ける。この突起部211、212、213は、固形物の回転を妨害する。
【0018】
回転シャフト12が回転し、回転刃13が回転すると、カップ内の液体は、果物等の固形物と共に回転する。カップ内の液体は遠心力によって外側に押出され、中心付近の液面が下がる。その結果、液面は、回転放物面状になる。カップの内面では、液がカップの内壁に沿って這い上がり、カップの上端を越え、キャップの内面に沿って登る。即ち、回転放物面状の液面の縁は、キャップの内面を登る。液に含まれる固形物は、液より比重が大きいから、遠心力の影響によって、半径方向外側に押出され、カップ及びキャップの内面近くに移動する。
【0019】
回転する液は、キャップの内面に沿って円周方向に流れる。キャップの内面には、図3を参照して説明したように、3つの突起部211、212、213が形成されている。従って、円周方向に流れる液も、3つの突起部に衝突する。それによって、液の回転が乱れる。液と共に回転する固形物も、液と共に、ランダムな方向に放り出される。勿論、固形物が直接突起部に衝突した場合には、ランダムな方向に放り出される。こうして、3つの突起部によって、液の回転運動が乱され、固形物がランダムな方向に放出されることによって、固形物の回転速度と回転刃の回転速度に差が生じ、固形物は切断される。
【0020】
こうして、固形物が切断され粉砕されたら、モータの回転を停止し、モータ(図示なし)及び回転シャフト12を上昇させる。それによって、図4Bに示すように、バネ22が元の状態に戻り、回転シャフトのキャップ支持部材14が、キャップの円筒状突起部203に当接する。更に、モータ及び回転シャフトを上昇させると、図4Cに示すように、回転シャフトのキャップ支持部材14によって、キャップ20が持ち上げられる。キャップ20が持ち上げられると、バネホルダ21及びバネ22も持ち上げられる。モータ及び回転シャフト、バネ、バネホルダ、及び、キャップが待機位置に保持されると、ジュースを収容するカップを取り出すことができる。
【0021】
モータの回転数は、固形物が切断される回転数であればかまわないが、スロースタータで少しずつ回転数が上がり、最高5000rpm〜100,000rpm程度である。より好ましくは10,000〜20,000rpmである。
【0022】
本例のフレッシュジュース製造装置は、ファーストフード店やコンビニエンスストア等のカウンタに置くことができる卓上サイズであり、その場でお客様の要望に応じて新鮮なフレッシュジュースを作ることができる。また、毎回異なるジュースを1カップ分だけ作るので、お客様の多様なニーズに答えることができるものである。
【0023】
本例によると、お客様の多様な好みに応じた新鮮なフレッシュジュースを提供することができると共に次のお客様も同じ材料を注文しなかった場合や、数間以上お客様が途切れた場合等に、キャップ、回転刃等の洗浄を行うことで衛生的に使用できる。また、使い捨ての薄肉のプラスチックカップや紙カップに材料を入れたままジュースにできるので、容器の洗浄の必要がなく、メンテナンスが非常に楽になる。また、操作が自動化されているので、熟練を要さず、誰でも簡単に均一な品質のフレッシュジュースを製造することができる。
【0024】
以上本発明の例を説明したが本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは当業者によって容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明によるフレッシュジュース製造装置の一実施例を示す斜視図である。
【図2】本発明によるフレッシュジュース製造装置の構成を示す断面図である。
【図3】本発明によるフレッシュジュース製造装置のキャップの斜視図である。
【図4】本発明によるフレッシュジュース製造装置の動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0026】
1…本体ケース、2…カップホルダ、3…カップ、4…操作ボタン、11…モータ、12…回転シャフト、13…回転刃、14…キャップ支持部材、15…バネ押え部材、20…キャップ、21…バネホルダ、21a…凹部、22…バネ、201…円筒部、202…底部、203…円筒状突起部、204…孔、205…鍔部、206…突起、211、212、213…突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップを保持するカップホルダと、該カップホルダに保持されたカップを覆うためのキャップと、該キャップを貫通し、下端に回転刃を有する回転シャフトと、該回転シャフトを回転させるモータと、を有し、ジュースを製造するときには、上記回転刃が上記カップ内に挿入された状態で、上記モータによって上記回転シャフトを回転させるように構成され、
上記キャップは、円筒部と底面を有し下側が開口された容器状に形成され、上記底面に上記回転シャフトが貫通する孔が形成され、上記円筒部の内面に少なくとも1つの突起部が形成されていることを特徴とするフレッシュジュース製造装置。
【請求項2】
請求項1記載のフレッシュジュース製造装置において、上記突起部は、上記キャップの円筒部の縁から上記底面までの深さ方向に沿って延びるように形成されていることを特徴とするフレッシュジュース製造装置。
【請求項3】
請求項2記載のフレッシュジュース製造装置において、上記突起部は、上記キャップの円筒部の縁から上記底面までの深さの少なくとも一部分に亘って延びていることを特徴とするフレッシュジュース製造装置。
【請求項4】
請求項2記載のフレッシュジュース製造装置において、上記突起部の断面は三角形であることを特徴とするフレッシュジュース製造装置。
【請求項5】
請求項1記載のフレッシュジュース製造装置において、上記キャップの円筒部の外側の円筒面には、上記カップに当接する鍔部が形成されていることを特徴とするフレッシュジュース製造装置。
【請求項6】
請求項1記載のフレッシュジュース製造装置において、上記キャップの円筒部の外側の円筒面には、上記カップの内面に当接する突起が形成されていることを特徴とするフレッシュジュース製造装置。
【請求項7】
請求項1記載のフレッシュジュース製造装置において、上記キャップはシリコンゴムによって一体的に形成されていることを特徴とするフレッシュジュース製造装置。
【請求項8】
請求項1記載のフレッシュジュース製造装置において、上記キャップの上にバネホルダが配置され、該バネホルダに保持されたバネの押し付け力によって、上記キャップは上記カップの上に押し付けられるように構成されていることを特徴とするフレッシュジュース製造装置。
【請求項9】
回転刃を備えた回転シャフトを有するフレッシュジュース製造装置用のキャップにおいて、フレッシュジュースを収容するカップを覆うように、円筒部と底面を有し下側が開口された容器状に形成され、上記底面に上記回転シャフトが貫通する孔が形成され、上記円筒部の内面に少なくとも1つの突起部が形成されていることを特徴とするフレッシュジュース製造装置用のキャップ。
【請求項10】
請求項9記載のフレッシュジュース製造装置用のキャップにおいて、上記突起部は、上記キャップの円筒部の縁から上記底面までの深さ方向に沿って延びるように形成されていることを特徴とするフレッシュジュース製造装置用のキャップ。
【請求項11】
請求項9記載のフレッシュジュース製造装置用のキャップにおいて、上記突起部は、上記キャップの円筒部の縁から上記底面までの深さの少なくとも一部分に亘って延びていることを特徴とするフレッシュジュース製造装置用のキャップ。
【請求項12】
請求項9記載のフレッシュジュース製造装置用のキャップにおいて、上記突起部の断面は三角形であることを特徴とするフレッシュジュース製造装置用のキャップ。
【請求項13】
請求項9記載のフレッシュジュース製造装置用のキャップにおいて、上記キャップの円筒部の外側の円筒面には、上記カップに当接する鍔部が形成されていることを特徴とするフレッシュジュース製造装置用のキャップ。
【請求項14】
請求項9記載のフレッシュジュース製造装置用のキャップにおいて、上記キャップの円筒部の外側の円筒面には、上記カップの内面に当接する突起が形成されていることを特徴とするフレッシュジュース製造装置用のキャップ。
【請求項15】
請求項9記載のフレッシュジュース製造装置用のキャップにおいて、上記キャップはシリコンゴムによって一体的に形成されていることを特徴とするフレッシュジュース製造装置用のキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−301919(P2008−301919A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−149986(P2007−149986)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(500357552)株式会社エス・エフ・シー (20)
【Fターム(参考)】