説明

フレーム構造体

【課題】構造が簡単で、組立作業及び分解作業が容易なフレーム構造体を提供する。
【解決手段】所定の長さをなす複数のフレーム10、複数のフレーム同士を連結する複数の連結部材20、フレームに取り付けられる複数のパネル30を備え、隅部をもつ筐体を画定するフレーム構造体において、フレーム10は、連結部材を嵌合する嵌合溝G1と、パネル30を挿入する挿入溝G2を一体的に画定するように、アルミニウム材料等を用いて型成形により形成され、又は、金属板に折り曲げ加工等を施すことにより形成されている。これによれば、ボルト及びナット、接着剤等を用いることなく、構造の簡素化、低コスト化、組立作業の簡素化等を達成しつつ、筐体を画定するフレーム構造体を容易に組み立てかつ分解することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のフレームを着脱自在に連結したフレーム構造体に関し、特に、フレームにより画定される輪郭に沿ってアクリル板等の透明なパネルを取り付けることができるフレーム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のフレーム構造体としては、エアコン室外機を載置する置台として使用するべく、断面がコ字状又はL字状をなすように屈曲して形成された4つの柱フレーム、2つの縦フレーム、及び2つの横フレームを備え、縦フレームに対して突起及びナットを固着した差込み部を一体的に設け、横フレームに対して差込み部を受け入れる隙間及び突起を掛止する爪部並びにボルトを通すボルト孔等を設け、差込み部を隙間に差し込んで、突起を爪部に掛止させ、その後ボルト孔にボルトを通してナットに捩じ込むことにより、縦フレームと横フレームを堅固に連結するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他のフレーム構造体としては、フレーム組立体同士を連結するべく、それぞれのフレーム組立体の四隅に貫通孔をもつコーナプレートを溶接し、コーナプレート同士をボルト及びナットにより締結して連結するようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、他のフレーム構造体としては、アルミフレーム同士を連結するべく、板状の2つの嵌合部を一体的に有する略L字状のコーナ継手を形成し、それぞれの嵌合部をフレームの長溝に嵌合した後、アルミフレームの外側からボルトを通して嵌合部に捩じ込むようにしたものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
さらに、他のフレーム構造体としては、U字断面をなすフレームの両端面にボルト穴および位置決め突起を形成し、中実立方体形状をなすジョイントブロックに十字に交差するネジ孔およびフレームの位置決め突起を受け入れる凹部を形成し、フレームの端面にボルトを用いてジョイントブロックを連結することでフレーム同士を連結し、又、連結されたフレーム同士の外壁面に対して、接着剤あるいは留め金等を用いて、金属材料あるいはプラスチック材料により形成されたパネルを組み付けるようにしたものが知られている(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
しかしながら、これらのフレーム構造体においては、フレーム同士をボルト及びナット(あるいは、ネジ穴、ジョイントブロックのネジ穴)により連結しているため、部品点数が多く、構造も複雑で、コストの増加を招き、又、組立作業としては、フレームの接合(嵌合)作業の後にボルトの締結作業を要するため組立作業が煩雑であり、さらに、フレームの組立完了後に、接着剤あるいは留め金を用いてパネルをフレームに取り付けているため、全体としての組立作業がより煩雑であり、接着剤等を用いて取り付けた場合、パネルを取り外すのが困難であった。さらに、ボルト等が露出する場合、デザイン上においても好ましいものではなかった。
【0007】
【特許文献1】特開2002−89888号公報
【特許文献2】特開平6−61654号公報
【特許文献3】特開2006−329305号公報
【特許文献4】特開2001−87049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、構造の簡素化、部品点数の削減、低コスト化等を図りつつ、組立作業及び分解作業を容易に行うことができ、組立後においては堅固な機械的強度を確保することができるフレーム構造体を提供することにあり、特に、機械部品あるいは電子部品等の生産ライン等において、加工、組立、検査、搬送等の種々の処理を施す自動処理機あるいはロボット等を覆うための筐体(カバーケース)を形成し得るフレーム構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点に係るフレーム構造体は、所定の長さをなす複数のフレームと、複数のフレーム同士を連結する複数の連結部材と、フレームに取り付けられる複数のパネルを備え、隅部をもつ筐体を画定するフレーム構造体であって、上記フレームは、所定方向に伸長する主壁と、主壁に対して所定隙間をおいて対向する対向壁と、主壁と対向壁を連結する連結壁とを一体的に有し、主壁、対向壁、及び連結壁は、連結壁を境にして連結部材を嵌合する嵌合溝及びパネルの外縁部を挿入する挿入溝を画定するように形成されている、ことを特徴としている。
この構成によれば、複数のフレーム同士を連結部材により連結する際に、連結部材をフレームの嵌合溝に嵌合することで、複数のフレームを容易にかつ堅固に組み立てることができ、又、フレームを組み立てる際に、パネルの外縁部をフレームの挿入溝に挿入することで、複数のパネルをフレームに容易に組み付けることができる。これにより、フレームを組み立てるためのボルト及びナットを用いることなく、又、パネルを取り付けるためのネジあるいは接着剤等を用いることなく、構造の簡素化、低コスト化、組立作業の簡素化等を達成しつつ、少なくともフレームと連結部材の二種類の部品及びパネルだけで、隅部をもつ筐体(例えば、立方体、直方体、その他の多面体等の輪郭をなす筐体)を組み立てることができ、又、組み立てた筐体を容易に分解することもできる。
特に、互いに平行な主壁と対向壁及び両者を連結する連結壁のみにより、嵌合溝及び挿入溝を画定するため、フレームの構造を簡素化及び薄型化することができ、又、工業的な意匠性にも優れたフレーム構造体を得ることができる。
【0010】
また、本発明の第2の観点に係るフレーム構造体は、所定の長さをなす複数のフレームと、複数のフレーム同士を連結する複数の連結部材と、フレームに取り付けられる複数のパネルを備え、隅部をもつ筐体を画定するフレーム構造体であって、上記フレームは、所定方向に伸長する主壁と、主壁に対して所定隙間をおいて対向する内側対向壁と、内側対向壁に対して所定隙間をおいて対向する外側対向壁と、主壁と内側対向壁を連結する内側連結壁と、内側対向壁と外側対向壁を連結する外側連結壁とを一体的に有し、主壁、内側対向壁、及び内側連結壁は、連結部材を嵌合する嵌合溝を画定するように形成され、内側対向壁、外側対向壁、及び外側連結壁は、パネルの外縁部を挿入する挿入溝を画定するように形成されている、ことを特徴としている。
この構成によれば、複数のフレーム同士を連結部材により連結する際に、連結部材をフレームの嵌合溝に嵌合することで、複数のフレームを容易にかつ堅固に組み立てることができ、又、フレームを組み立てる際に、パネルの外縁部をフレームの挿入溝に挿入することで、複数のパネルをフレームに容易に組み付けることができる。これにより、フレームを組み立てるためのボルト及びナットを用いることなく、又、パネルを取り付けるためのネジあるいは接着剤等を用いることなく、構造の簡素化、低コスト化、組立作業の簡素化等を達成しつつ、少なくともフレームと連結部材の二種類の部品及びパネルだけで、隅部をもつ筐体(例えば、立方体、直方体、その他の多面体等の輪郭をなす筐体)を組み立てることができ、又、組み立てた筐体を容易に分解することもできる。
特に、互いに平行な主壁と内側対向壁及び両者を連結する内側連結壁により嵌合溝を画定し、互いに平行な内側対向壁と外側対向壁及び両者を連結する外側連結壁により挿入溝を画定するため、フレームの構造を簡素化及び薄型化することができ、又、工業的な意匠性にも優れたフレーム構造体を得ることができる。
【0011】
上記第1の観点に係る構成において、主壁及び対向壁は、略L字状の断面をなすように、フレームの伸長方向に伸びる直線に沿って屈曲して形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、主壁及び対向壁により画定されるフレームが略L字状の断面をなすため、曲げ剛性(断面二次モーメント)を大きくすることができ、筐体としての機械的強度及び剛性を高めることができる。
【0012】
上記第2の観点に係る構成において、主壁は、略L字状の断面をなすように、フレームの伸長方向に伸びる直線に沿って屈曲して形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、フレームの主壁が略L字状の断面をなすため、曲げ剛性(断面二次モーメント)を大きくすることができ、筐体としての機械的強度及び剛性を高めることができる。
【0013】
上記第1及び第2の観点に係る構成において、連結部材は、フレームの端部において嵌合溝に嵌合される複数の嵌合部材と、複数の嵌合部材を一体的に連結する連結ブロックとを含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、複数のフレームの端部に嵌合部材の一端部を嵌合し、これら嵌合部材の他端部を連結ブロックに連結(嵌合)することで、複数のフレーム同士を容易に連結することができる。また、連結部材を、複数の嵌合部材と連結ブロックに分離して形成することにより、連結部材の製造が容易になる。
【0014】
上記第1及び第2の観点に係る構成において、連結部材は、隅部においてフレーム同士を連結するコーナ連結部材を含み、コーナ連結部材は、フレームの端部において嵌合溝に嵌合されるべく三方向に延出すると共に略L字状の断面をなす3つの嵌合部を含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、1つのコーナ連結部材を用いて、3つのフレーム同士を容易に連結することができ、8個のコーナ連結部材を用いて12個のフレームを連結することができ、例えば立方体又は直方体をなす筐体を容易に組み立てることができる。特に、連結部材及びフレームが共に略L字状の断面をなすため、曲げ剛性(断面二次モーメント)を大きくすることができ、筐体としての機械的強度及び剛性を高めることができる。また、連結部材を一体的に形成することにより、部品点数を削減できる。
【0015】
上記第1及び第2の観点に係る構成において、主壁は、略L字状の断面をなすように、フレームの伸長方向に伸びる直線に沿って屈曲して形成され、フレームは、主壁と同一面の領域においてその両端から突出してコーナ連結部材を覆うように形成された突出壁を有する、構成を採用することができる。
この構成によれば、コーナ連結部材を介して三方向から連結される3個のフレームは、お互いに協働してコーナ連結部材を覆うと共に、それぞれの突出壁が互いに当接することで、フレームに加わる荷重(外力)を、コーナ連結部材に負担させることなくフレーム同士で支持することができる。これにより、隅部(コーナ連結部材の領域)の変形を防止でき、より堅固なフレーム構造体を得ることができる。
【0016】
上記第1及び第2の観点に係る構成において、連結部材は、隅部以外の領域において、フレーム同士を連結する中間連結部材を含み、中間連結部材は、所定方向の両端から延出してフレームの嵌合溝に嵌合される2つの嵌合部を有する、構成を採用することができる。
この構成によれば、2つのフレームの対向する端部(嵌合溝)にそれぞれ中間連結部材の嵌合部を嵌合することで、それぞれ所定長さをなす2つのフレーム同士を直線的に並べて連結することができるため、必要に応じて種々の寸法をなす筐体を組み立てることができる。
【0017】
上記第1及び第2の観点に係る構成において、中間連結部材は、所定方向の両端から延出してフレームの嵌合溝に嵌合される2つの嵌合部の他に、所定方向に直交する他方向に延出してフレームの嵌合溝に嵌合される少なくとも1つの嵌合部を有する、構成を採用することができる。
この構成によれば、少なくとも3つのフレームの対向する端部(嵌合溝)にそれぞれ中間連結部材の少なくとも3つの嵌合部を嵌合することで、2つのフレーム同士を直線的に並べて連結しかつ少なくとも1つのフレームを直線的に連結されたフレームに対して直交するように連結することができる。
【0018】
上記第1及び第2の観点に係る構成において、中間連結部材は、略L字状の断面を含むように、所定方向又は他方向に伸びる直線に沿って屈曲して形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、中間連結部材が略L字状の断面を含むため、曲げ剛性(断面二次モーメント)を大きくして、中間連結部材の領域における機械的強度を高めることができる。
【0019】
上記第1及び第2の観点に係る構成において、嵌合部は、主壁、対向壁、又は内側対向壁と係合する凸部を有する、構成を採用することができる。
この構成によれば、連結部材の嵌合部を嵌合溝に嵌合する際に、凸部が主壁、対向壁、又は内側対向壁に食い込むように組み込まれるため、嵌合部の嵌合状態をより堅固にすることができ、容易に離脱するのを防止することができる。
【0020】
上記第1及び第2の観点に係る構成において、フレームは、主壁、対向壁、又は内側対向壁において、上記凸部を嵌合させる凹部又は嵌合孔を有する、構成を採用することができる。
この構成によれば、連結部材の嵌合部を嵌合溝に嵌合する際に、凸部が主壁、対向壁又は内側対向壁の凹部又は嵌合孔に入り込むように組み込まれるため、嵌合部を所定位置に位置決めしつつより確実に嵌合することができる。
【0021】
上記第1及び第2の観点に係る構成において、フレームは、金属板を用いて折り曲げ加工により形成され、又は、アルミニウム材料を用いて型成形されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、フレームを、金属板を折り曲げて(折り返して)屈曲成形することで、嵌合溝及び挿入溝を画定するように容易に形成することができ、低コスト化等を達成することができる。また、アルミニウム材料により型成形することで、軽量化及び量産化を達成することができる。
【発明の効果】
【0022】
上記構成をなすフレーム構造体によれば、構造の簡素化、部品点数の削減、低コスト化等を達成しつつ、組立作業及び分解作業を容易に行うことができ、組立後においては堅固な機械的強度を確保することができ、特に、機械部品あるいは電子部品等の生産ライン等において、加工、組立、検査、搬送等の種々の処理を施す自動処理機あるいはロボット等を覆うための筐体(カバーケース)等を形成し得るフレーム構造体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の最良の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1ないし図6は、本発明に係るフレーム構造体の一実施形態を示すものであり、図1は外観斜視図、図2はパネルを取り除いた状態を示す斜視図、図3はフレームを示す斜視図及び断面図、図4及び図5はコーナ連結部材を示す斜視図及び断面図、図6はフレーム構造体の組み立てを説明するための部分斜視図である。
【0024】
このフレーム構造体は、立方体をなす透明な筐体(カバーケース)を画定するものであり、図1及び図2に示すように、12個のフレーム10、フレーム10同士を隅部において連結する8個のコーナ連結部材20、底面を除いてフレーム10に取り付けられる5枚のパネル30を備えている。
【0025】
フレーム10は、図3(a),(b)に示すように、薄板状の金属板に折り曲げ加工を施して所定方向Lに伸長するように形成されており、所定方向Lに伸長する主壁11、主壁11に対して所定隙間をおいて対向するべく所定方向Lに伸長する2つの内側対向壁12、主壁11と内側対向壁12を連結する内側連結壁12a、それぞれの内側対向壁12に対して所定隙間をおいて対向するべく所定方向Lに伸長する2つの外側対向壁13、内側対向壁12と外側対向壁13を連結する外側連結壁13a、内側対向壁12及び外側対向壁13の伸長方向(所定方向L)の両端を越えて突出するように主壁11と同一面領域において形成された2つの突出壁14を一体的に備えている。
ここで、内側対向壁12、外側対向壁13、内側連結壁12a、及び外側連結壁13aは、フレーム10の伸長方向(所定方向L)に伸びる直線Sに対して、線対称的に二組形成されている。
【0026】
主壁11は、図3(a),(b)に示すように、その伸長方向(所定方向L)に伸びる直線Sに沿って略直角に屈曲されて、略L字断面をなすように形成されている。
内側対向壁12は、図3(a),(b)に示すように、主壁11の幅方向Wの外縁部を閉じるように外側から内側に折り返されて内側連結壁12aを画定すると共に主壁11よりも狭い幅でかつ主壁11と所定隙間をおいて重なり合うように形成されている。
そして、主壁11及び内側対向壁12は、図3(a),(b)に示すように、お互いに対向する領域の伸長方向Lの両端において、後述するコーナ連結部材20の嵌合部21を嵌合する嵌合溝G1を画定している。
ここで、主壁11と内側対向壁12の隙間(すなわち嵌合溝G1)の幅は、後述するコーナ連結部材20の嵌合部21を密接に嵌合させるべく、内側連結壁12aの高さを調整することで、嵌合部21の厚さに応じて任意に設定され得る。
【0027】
外側対向壁13は、図3(a),(b)に示すように、主壁11の幅方向Wにおいて内側対向壁12を内側から外側に折り返して外側連結壁13aを画定すると共に内側対向壁12と所定隙間をおいて重なり合うように形成されている。
そして、内側対向壁12及び外側対向壁13は、図3(a),(b)に示すように、お互いに対向する領域において、パネル30の外縁部を挿入する挿入溝G2を画定している。
ここで、内側対向壁12と外側対向壁13の隙間(すなわち、挿入溝G2の幅)は、後述するパネル30をガタツキ無く挿入するべく、外側連結壁13aの高さを調整することで、パネル30の厚さに応じて任意に設定され得る。
すなわち、フレーム10は、コーナ連結部材20(の嵌合部21)を嵌合する嵌合溝G1及びパネル30の外縁部を挿入する挿入溝G2を一体的に画定するように、かつ、挿入溝G2を直線Sに対して対称的に2つ画定するように形成されている。
突出壁14は、図3(a)に示すように、コーナ連結部材20の一部を覆うと共に直線S上に頂点をもつ先細り(三角形)形状に形成されている。
【0028】
上記のように、フレーム10は、主壁11が略L字状の断面をなすように形成されているため、曲げ剛性(断面二次モーメント)を大きくすることができ、組み立て後の筐体としての機械的強度及び剛性を高めることができる。
また、フレーム10は金属板を折り曲げ加工して形成されているため、主壁11、内側対向壁12、及び外側対向壁13が所定間隔をおいて重なり合うように容易に形成することができ、低コスト化等を達成することができる。
突出壁14は、直線S上に頂点をもつ先細り形状に形成されているため、コーナ連結部材20を介して三方向から連結される3個のフレーム10は、お互いに協働してコーナ連結部材20を覆うようにそれぞれの先細り形状をなす突出壁14が互いに当接することで、フレーム10に加わる荷重(外力)を、コーナ連結部材20に負担させることなくフレーム10同士で支持することができる。これにより、隅部(コーナ連結部材20の領域)の変形を防止でき、より堅固なフレーム構造体を得ることができる。
尚、ここでは、フレーム10の長さが全て同一のものを用いて立方体をなす筐体を形成する場合を示したが、これに限定されるものではなく、直方体をなす筐体を形成する場合は、12個のフレームとして、2種類又は3種類の長さをもつグループに分けたフレームを用いてもよい。
【0029】
コーナ連結部材20は、図4(a),(b)に示すように、金属板に屈曲成形あるいは絞り加工等を施すことにより形成されており、略L字状の断面をなすと共にそれぞれ互いに直交する三方向(X方向,Y方向,Z方向)に延出する3つの嵌合部21、それぞれの嵌合部21においてフレーム10の主壁11と係合する凸部22等を備えている。
嵌合部21は、図3(a),(b)及び図6に示すように、フレーム10の端部において、主壁11及び内側対向壁12の間に画定される2つの嵌合溝G1に密接に嵌合されるように、直角に屈曲された(略L字状の断面で)所定厚さの板状をなすように形成されている。
凸部22は、嵌合部21と一部(嵌合部21の先端側寄りの部分)が繫がった状態で主壁11と係合する側に突出するように打ち抜かれ、嵌合部21の隅部側に向って切り起こされ爪状に形成されている。これにより、嵌合部21を嵌合溝G1に嵌合する際に、凸部22が主壁11に食い込むように組み込まれるため、嵌合部21の嵌合状態をより堅固にすることができ、容易に離脱するのを防止することができる。
【0030】
また、凸部22がフレーム10の主壁11と係合するように形成される場合において、図5(a),(b)に示すように、主壁11に対して、凸部22を受け入れる嵌合孔15又は凹部(不図示)を設けてもよい。この場合、コーナ連結部材20の嵌合部21を嵌合溝G1に嵌合する際に、凸部22が主壁11の嵌合孔15又は凹部(不図示)に入り込むように組み込まれるため、嵌合部21を所定位置に位置決めしつつより確実に嵌合することができる。
【0031】
尚、凸部22は、打ち抜かれて爪状に形成されたものに限らず、一方側に突出するように、凸状に半抜きして形成された突起あるいは半球の形態をなすものでもよい。
ここでは、凸部22が、主壁11と係合するように形成された場合を示したが、これに限定されるものではなく、内側対向壁12と係合するように反対側(逆向き)に突出するように形成されて、内側対向壁12に食い込むように組み込まれてもよい。この場合、内側対向壁12に対して、凸部22を受け入れる凹部又は嵌合孔を設けてもよい。
【0032】
上記のように、コーナ連結部材20は、お互いに直交する三方向に延出すると共に略L字状の断面をなす3つの嵌合部21を有するため、曲げ剛性(断面二次モーメント)を大きくすることができ、フレーム構造体の組み立て後における筐体としての機械的強度及び剛性を高めることができる。
【0033】
パネル30は、図3及び図6に示すように、所定厚さで略矩形の平板状に形成された透明なアクリル板である。そして、パネル30は、その外縁部がフレーム10の内側対向壁12と外側対向壁13と外側連結壁13aにより画定される挿入溝G2にガタツキ無く挿入されるように形成されている。
尚、パネル30としては、アクリル板に限らず、その他の樹脂あるいはガラス製の面状パネルでもよく、又、用途に応じて、不透明な面状パネルを用いてもよく、さらには、格子状パネルを用いてもよい。
【0034】
次に、上記フレーム構造体の組み立てについて、図6を参照しつつ説明する。
先ず、12個のフレーム10、8個のコーナ連結部材20、及び5枚のパネル30を準備する。
続いて、筐体の底面に位置する4個のフレーム10を、4個のコーナ連結部材20を用いて相互に連結する。この連結作業は、図6に示すように、コーナ連結部材20の2つの嵌合部21をフレーム10の嵌合溝G1に嵌合することにより完了する。
【0035】
続いて、筐体の上下方向に方向付けられる4個のフレーム10の下端部に4個のコーナ連結部材20の上向きの嵌合部21を嵌合する。
このとき、パネル30の外縁部を、底面に位置する4個のフレーム10の上向きの挿入溝G2及び直立して対向するフレーム10の横向きの挿入溝G2に挿入するようにして、4枚のパネル30を組み付けて直立した4つ側面を形成する。
【0036】
続いて、筐体の上面に位置する4個のフレーム10を、1枚のパネル30の外縁部を挿入溝G2に挿入しつつ、4個のコーナ連結部材20を用いて相互に連結する。
続いて、4個のコーナ連結部材20の下向きの嵌合部21を、上下方向に方向付けられる4個のフレーム10の嵌合溝G1に嵌合しつつ、直立した4枚のパネル30の上側の外縁部を挿入溝G2に挿入する。
これにより、フレーム構造体の組み立てが完了し、図1に示すような透明な筐体(カバーケース)が形成される。
一方、組み立てられたフレーム構造体は、上述の組み立てとは逆の手順を辿ることにより完全に分解される。この分解時において、図5に示すように、主壁11に嵌合孔15を設けた場合は、嵌合孔15に棒状のものを差し込むだけで爪状の凸部22を押し戻して嵌合孔15から外すことができる。したがって、特別な工具を用いることなく、フレーム10とコーナ連結部材20を容易に分解することができる。尚、上記組み立て及び分解の手順は、一例であって、その他の手順を採用してもよい。
【0037】
このように、複数のフレーム10同士をコーナ連結部材20により連結する際に、コーナ連結部材20の嵌合部21をフレーム10の主壁11と内側対向壁12と内側連結壁12aにより画定される嵌合溝G1に嵌合することで、複数のフレーム10を容易にかつ堅固に組み立てることができ、又、フレーム10を組み立てる際に、パネル30の外縁部をフレーム10の内側対向壁12と外側対向壁13と外側連結壁13aにより画定される挿入溝G2に挿入することで、複数のパネル30をフレーム10に容易に組み付けることができる。
これにより、フレーム10を組み立てるためのボルト及びナットを用いることなく、又、パネル30を取り付けるためのネジあるいは接着剤等を用いることなく、構造の簡素化、低コスト化、組立作業の簡素化等を達成しつつ、フレーム10とコーナ連結部材20の二種類の部品及びパネル30だけで、隅部をもつ立方体をなす筐体(カバーケース)を容易に組み立てることができ、又、組み立てた筐体を容易に分解することもできる。
【0038】
図7は、本発明に係るフレーム構造体を構成するフレーム及び連結部材の他の実施形態を示す部分斜視図である。
このフレーム構造体においては、図1に示すフレーム構造体を構成するフレーム10及びコーナ連結部材20に加えて、平坦なフレーム10´及び中間連結部材20´を採用して、直方体をなす筐体を形成するものである。尚、前述の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0039】
フレーム10´は、図7に示すように、前述の主壁11に替えて断面が直線状に形成され所定方向Lに伸長する平坦な主壁11´、主壁11´に対して所定隙間おいて対向する2つの内側対向壁12、主壁11´と内側対向壁12を連結する内側連結壁12a、それぞれの内側対向壁12に対して所定隙間をおいて対向する2つの外側対向壁13、内側対向壁12と外側対向壁13を連結する外側連結壁13a、内側対向壁12及び外側対向壁13の伸長方向(所定方向L)の両端を越えて突出するように主壁11´と同一面領域において形成された先細り形状の平坦な2つの突出壁14´を一体的に備えている。
【0040】
中間連結部材20´は、図7に示すように、金属板に対して打ち抜き、切断、屈曲あるいは絞り加工等を施すことにより形成されており、所定方向の両端から延出すると共に略L字状の断面をなす2つの嵌合部21、2つの嵌合部21が延出する所定方向に対して直交しかつ互いに直交する他の二方向に延出する2つの平坦な嵌合部23´、嵌合部21,23´に設けられた凸部22を備えている。
2つの嵌合部21は、略L字状の断面をなすように所定方向Lに伸びる直線に沿って屈曲して形成され、2つの嵌合部23´は、所定方向Lに直交する2つの他方向に延出する平板状に形成されている。
【0041】
上記のように、中間連結部材20´及びフレーム10´を用いることにより、2つのフレーム10,10の対向する端部(嵌合溝G1)にそれぞれ中間連結部材20´の嵌合部21を嵌合することで、2つのフレーム10,10同士を直線的に並べて連結することができ、又、2つのフレーム10´の端部(嵌合溝G1)にそれぞれ中間部ラケット20´の嵌合部23´を嵌合することで、直線的に連結された2つのフレーム10,10に対して2つのフレーム10´,10´を直交するように連結することができる。
これにより、図1に示すフレーム構造体よりも長め(大きめ)で中間領域がフレーム10´により補強された堅固な筐体(例えば、透明な直方体形状のカバーケース)を得ることができる。
【0042】
図8は、本発明に係るフレーム構造体の一部をなすフレーム10´の他の実施形態を示すものであり、突出壁の形状を変更したものである。
すなわち、図8(a),(d)に示すフレーム10´は、主壁11´、内側対向壁12、内側連結壁12a、外側対向壁13、外側連結壁13aの他に、主壁11´と同一面上において、内側対向壁12及び外側対向壁13の両端部を越えて(主壁11´の両端部から)突出する台形をなす突出壁14´´を備えている。
図8(b),(c)に示すフレーム10´は、主壁11´、内側対向壁12、内側連結壁12a、外側対向壁13、外側連結壁13aの他に、主壁11´と同一面上において内側対向壁12及び外側対向壁13の両端部を越えて(主壁11´の両端部から)突出する先細り形状の突出壁14´及び台形をなす突出壁14´´を備えている。
フレーム10´は、平面状のものに限定されるものではなく、フレーム10´を直角に屈曲して、略L字状の断面をなすように形成されたL字型のフレーム210(図10参照)であってもよい。
【0043】
図9は、本発明に係るフレーム構造体の一部をなす中間連結部材の他の実施形態を示すものであり、嵌合部の形状を変更したものである。
図9(a)に示す中間連結部材20´´は、所定方向に延出する2つの平坦な嵌合部23´、所定方向に直交する他方向に延出する2つの平坦な嵌合部23´、それぞれの嵌合部23´上に設けられた複数の凸部22を備えている。
図9(b)に示す中間連結部材20´´は、所定方向に延出する2つの平坦な嵌合部23´、所定方向に直交する他方向に延出する1つの平坦な嵌合部23´、それぞれの嵌合部23´上に設けられた複数の凸部22を備えている。
図9(c)に示す中間連結部材20´は、所定方向に延出する略L字状の断面をなす2つの平坦な嵌合部21、所定方向に直交する他方向に延出する1つの平坦な嵌合部23´、それぞれの嵌合部21,23´上に設けられた複数の凸部22を備えている。
【0044】
上記のように、フレーム10及びコーナ連結部材20の他に、形状の異なる突出壁14´,14´´を備えたフレーム10´、種々の嵌合部21,23´を備えた中間連結部材20´,20´´を用いることで、例えば、図10に示すように、種々の形態をなす連結を行うことができ、それらの連結に応じた種々の筐体を画定するフレーム構造体を得ることができる。
【0045】
図11ないし図16は、本発明に係るフレーム構造体のさらに他の実施形態を示すものであり、図11は外観斜視図、図12筐体の隅部の連結状態を示す部分斜視図、図13はフレーム10´´´と中間連結部材20´´´を示す斜視図、図14及び図15は隅部以外の中間連結部の連結状態を示す部分斜視図、図16は図15に示す中間連結部の部分断面図である。尚、前述の実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0046】
このフレーム構造体は、図11に示すように、直方体をなす透明な筐体(カバーケース)を画定するものであり、略L字状の断面をなす12個のフレーム10´´、フレーム10´´同士を隅部において連結する8個のコーナ連結部材20、フレーム10´´同士の中間領域を連結する10個のフレーム10´´´、フレーム10´´とフレーム10´´´を連結する20個の中間連結部材20´´´、底面を除いてフレーム10´´,10´´´に取り付けられる15枚のパネル30を備えている。
尚、フレーム10´´,10´´´は、それぞれ3種類の長さに分類して形成され、パネル30は、4種類の広さに分類して形成されている。
【0047】
フレーム10´´は、前述同様に、主壁11、2つの内側対向壁12、2つの内側連結壁12a、2つの外側対向壁13、2つの外側連結壁13a、2つの突出壁14、図12及び図14に示すように、突出壁14に設けられて後述する凸部22´を受け入れる長孔状の嵌合孔15、主壁11の中間領域に設けられて後述する凸部22´´を受け入れる長孔状の嵌合孔15´、後述する嵌合部23´´を挿入するスリット16等を備えている。
フレーム10´´´は、図13(a),(b)及び図14に示すように、主壁11´、2つの内側対向壁12、2つの内側連結壁12a、2つの外側対向壁13、2つの外側連結壁13a、主壁11´の伸長方向の両端領域において後述する凸部22´´を受け入れる円形の嵌合孔15´´等を備えている。尚、このフレーム10´´´においては、前述のような突出壁が廃止されている。
【0048】
コーナ連結部材20は、図12に示すように、3つの嵌合部21、それぞれの嵌合部21に長尺に突出して形成されて嵌合孔15に嵌合される凸部22´を備えている。
中間連結部材20´´´は、図13ないし図16に示すように、所定方向に延出する2つの平坦な嵌合部23´´,23´´´、嵌合部23´´に設けられて嵌合孔15´に嵌合される長尺な凸部22´、嵌合部23´´´に設けられて嵌合孔15´´に嵌合される円形の凸部22´´を備えている。
尚、凸部22´,22´´は、平面視にて、長円、楕円、円、矩形等、いずれの形状に形成されてもよい。また、ここでは、凸部22´,22´´を受け入れる嵌合孔15,15´,15´´を示したが、完全に貫通する孔ではなく、プレス成形等により窪むように形成された凹部を採用してもよい。
【0049】
上記構成をなすフレーム構造体によれば、複数のフレーム10´´,10´´´同士をコーナ連結部材20及び中間連結部材20´´´により連結する際に、嵌合部21,23´´,23´´´をフレーム10´´,10´´´の主壁11,11´と内側対向壁12と内側連結壁12aにより画定される嵌合溝G1に嵌合することで、複数のフレーム10´´,10´´´を容易にかつ堅固に組み立てることができ、又、フレーム10´´,10´´´を組み立てる際に、パネル30の外縁部をフレーム10´´,10´´´の内側対向壁12と外側対向壁13と外側連結壁13aにより画定される挿入溝G2に挿入することで、複数のパネル30をフレーム10´´,10´´´に容易に組み付けることができる。
これにより、フレーム10´´,10´´´を組み立てるためのボルト及びナットを用いることなく、又、パネル30を取り付けるためのネジあるいは接着剤等を用いることなく、構造の簡素化、低コスト化、組立作業の簡素化等を達成しつつ、隅部をもつ直方体をなす筐体(カバーケース)を容易に組み立てることができ、又、組み立てた筐体を容易に分解することもできる。
【0050】
また、嵌合部21,23´´,23´´´に対して、凸部22´,22´´を設け、フレーム10´´,10´´´に対して、嵌合孔15,15´,15´´を設けたことにより、コーナ連結部材20及び中間連結部材20´´´の嵌合部21,23´´,23´´´を嵌合溝G1に嵌合する際に、凸部22´,22´´が嵌合孔15,15´,15´´に入り込むように組み込まれるため、嵌合部21,23´´,23´´´を所定位置に位置決めしつつより確実に嵌合することができる。
【0051】
図17ないし図19は、本発明に係るフレーム構造体のさらに他の実施形態を示すものであり、図17はフレーム構造体の部分斜視図、図18はコーナ連結部材の斜視図、図19はフレームの断面図である。
すなわち、この実施形態において、フレーム110は、アルミニウム材料を用いて型成形により形成され、図17及び図19に示すように、所定方向Lに伸長する主壁111、主壁111に対して所定隙間をおいて対向するべく所定方向Lに伸長する対向壁112、主壁111と対向壁112を連結する2つの連結壁113等を一体的に備えている。
ここで、主壁111及び対向壁112は、略L字状の断面をなすように、フレーム110の伸長方向(所定方向)Lに伸びる直線Sに沿って屈曲して形成されている。
そして、主壁111、対向壁112、及び2つの連結壁113が、連結壁113を境にして、1つの屈曲した1つの嵌合溝G1と、直線Sに対して対称的に配置される2つの挿入溝G2を画定している。
【0052】
このフレーム110によれば、互いに平行な主壁111と対向壁112及び両者を連結する連結壁113のみにより、嵌合溝G1及び挿入溝G2を画定するため、フレーム110の構造を簡素化及び薄型化することができ、又、工業的な意匠性にも優れたフレーム構造体を得ることができる。
また、主壁111及び対向壁112は略L字状の断面をなすように、伸長方向Lに伸びる直線Sに沿って屈曲して形成されているため、曲げ剛性(断面二次モーメント)を大きくすることができ、筐体としての機械的強度及び剛性を高めることができる。
【0053】
コーナ連結部材120は、図18に示すように、フレーム110の端部に接合される連結ブロック121と、連結部ブロック121及び3つのフレーム110(の嵌合溝G1)に嵌合される3つの嵌合部材122を備えている。
連結ブロック121は、図18に示すように、外壁121a、外壁121aと所定隙間をおいて対向する内壁121b、外壁121aと外壁121bを連結する連結壁121cを備えるように形成されている。
そして、外壁121a、内壁121b、及び連結壁121cにより、嵌合部材122の端部を嵌合する嵌合溝G1と、パネル30の外縁部を挿入する挿入溝G2を画定している。
これらの嵌合溝G1と挿入溝G2は、フレーム110が組み付けられたときに、フレーム110の嵌合溝G1と挿入溝G2に対してそれぞれ連続するように形成されている。
嵌合部材122は、図18に示すように、略L字状の断面をなすように金属板を折り曲げて、その両端がフレーム110の嵌合溝G1と連結ブロック121の嵌合溝G1に密接に嵌合されるように形成されている。
【0054】
この実施形態によれば、嵌合部材122の一端部を連結ブロック121に連結(嵌合)した状態で、嵌合部材122の他端部を複数のフレーム110の端部に嵌合することで、複数のフレーム110同士を容易に連結することができる。また、コーナ連結部材120を、連結ブロック121と複数(3つ)の嵌合部材122とを分離される別部材にて構成することにより、コーナ連結部材120の製造が容易になる。
【0055】
この実施形態においても、前述同様に、フレーム110を組み立てるためのボルト及びナットを用いることなく、又、パネル30を取り付けるためのネジあるいは接着剤等を用いることなく、構造の簡素化、低コスト化、組立作業の簡素化等を達成しつつ、少なくともフレーム110と連結部材(コーナ連結部材120)の二種類の部品及びパネル30だけで、隅部をもつ筐体(例えば、立方体、直方体、その他の多面体等の輪郭をなす筐体)を組み立てることができ、又、組み立てた筐体を容易に分解することもできる。
尚、この実施形態においては、前述実施形態と同様に、嵌合部材122に対して、主壁111又は対向壁112と係合する凸部を設けてもよく、主壁111又は対向壁112に対して、凸部を嵌合させる凹部又は嵌合孔を設けてもよい。また、フレーム110は、主壁111が平面状に形成されてもよく、前述実施形態同様に、両端部から突出する突出壁を備えていてもよい。
【0056】
上記実施形態においては、フレーム構造体として、立方体又は直方体をなす筐体を画定する場合を示したが、これに限定されるものではなく、コーナ連結部材に設けられる複数の嵌合部の延出方向を直角以外の角度に設定し、又、中間連結部材にも設けられる複数の嵌合部の延出方向の角度を適宜設定することにより、その他の多面体を画定するフレーム構造体を採用することも可能である。
上記実施形態においては、フレーム10,10´,10´´,10´´´を、金属板に折り曲げ加工を施して形成した場合を示したが、これに限定されるものではなく、小型で軽量化を図るものであれば、樹脂材料を用いて射出成形してもよく、あるいは、アルミニウム材料等を用いて型成形してもよい。
上記実施形態においては、フレーム110を、アルミニウム材料を用いて型成形した場合を示したが、これに限定されるものではなく、金属板を用いて切削加工又は溶接加工を施して形成してもよい。
上記実施形態においては、パネル30として、透明なアクリル板を採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、用途に応じて、透明あるいは不透明なガラス板、不透明な樹脂板あるいは金属板等の面状パネルを採用してもよく、あるいは、金属線あるいは樹脂成型により格子状に形成された格子状パネルを採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上述べたように、本発明のフレーム構造体は、構造の簡素化、部品点数の削減、低コスト化等を達成しつつ、組立作業及び分解作業を容易に行うことができ、組立後においては堅固な機械的強度を確保することができるため、機械部品あるいは電子部品等の生産ライン等において、加工、組立、検査、搬送等の種々の処理を施す自動処理機あるいはロボット等を覆うための透明な筐体(カバーケース)として適用できるのは勿論のこと、パネルを適宜選択することにより、筐体をなすテーブル、台座、収納ケース、その他種々の用途として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係るフレーム構造体の一実施形態を示す外観斜視図である。
【図2】図1に示すフレーム構造体において、パネルを取り除いた状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示すフレーム構造体の一部をなすフレームを示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のE1−E1における断面図である。
【図4】図1に示すフレーム構造体の一部をなすコーナ連結部材を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のE2−E2における断面図である。
【図5】図4に示すコーナ連結部材及びフレームの変形例を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のE3−E3における断面図である。
【図6】図1に示すフレーム構造体の組み立てを説明する部分斜視図である。
【図7】図1に示すフレーム構造体において、中間連結部材及び他のフレームを採用する場合を示す部分分解斜視図である。
【図8】(a),(b),(c),(d)は、フレームの他の実施形態を示す斜視図である。
【図9】(a),(b),(c)は、中間連結部材の他の実施形態を示す斜視図である。
【図10】フレームを組み合わせた形態を示す模式図である。
【図11】本発明に係るフレーム構造体の他の実施形態を示す外観斜視図である。
【図12】図11に示すフレーム構造体において、Aの領域を示す部分拡大図である。
【図13】図11に示すフレーム構造体の一部をなすフレーム及び中間連結部材を示すものであり、(a)はフレームに中間連結部材を嵌合していない状態を示す分解斜視図、(b)はフレームに中間連結部材を嵌合した状態を示す斜視図である。
【図14】図11に示すフレーム構造体において、Bの領域を示す部分拡大図である。
【図15】図11に示すフレーム構造体において、Cの領域を示す部分拡大図である。
【図16】図15に示す連結状態の部分断面図である。
【図17】本発明に係るフレーム構造体のさらに他の実施形態を示す部分斜視図である。
【図18】図17に示すフレーム構造体のコーナ連結部材を示す斜視図である。
【図19】図17に示すフレーム構造体のフレームを示す断面図である。
【符号の説明】
【0059】
L 所定方向(伸長方向)
S 直線
G1 嵌合溝
G2 挿入溝
10,10´,10´´,10´´´ フレーム
11,11´ 主壁
12 内側対向壁
12a 内側連結壁
13 外側対向壁
13a 外側連結壁
14,14´,14´´ 突出壁
15,15´,15´´ 嵌合孔
16 スリット
20 コーナ連結部材
20´,20´´,20´´´ 中間連結部材
21 嵌合部
22,22´,22´´ 凸部
23´,23´´,23´´´ 嵌合部
30 パネル
110 フレーム
111 主壁
112 対向壁
113 連結壁
120 コーナ連結部材
121 連結ブロック
121a 外壁
121b 内壁
121c 連結壁
122 嵌合部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の長さをなす複数のフレームと、前記複数のフレーム同士を連結する複数の連結部材と、前記フレームに取り付けられる複数のパネルを備え、隅部をもつ筐体を画定するフレーム構造体であって、
前記フレームは、所定方向に伸長する主壁と、前記主壁に対して所定隙間をおいて対向する対向壁と、前記主壁と前記対向壁を連結する連結壁とを一体的に有し、
前記主壁、対向壁、及び連結壁は、前記連結壁を境にして前記連結部材を嵌合する嵌合溝及び前記パネルの外縁部を挿入する挿入溝を画定するように形成されている、
ことを特徴とするフレーム構造体。
【請求項2】
所定の長さをなす複数のフレームと、前記複数のフレーム同士を連結する複数の連結部材と、前記フレームに取り付けられる複数のパネルを備え、隅部をもつ筐体を画定するフレーム構造体であって、
前記フレームは、所定方向に伸長する主壁と、前記主壁に対して所定隙間をおいて対向する内側対向壁と、前記内側対向壁に対して所定隙間をおいて対向する外側対向壁と、前記主壁と前記内側対向壁を連結する内側連結壁と、前記内側対向壁と前記外側対向壁を連結する外側連結壁とを一体的に有し、
前記主壁、内側対向壁、及び内側連結壁は、前記連結部材を嵌合する嵌合溝を画定するように形成され、
前記内側対向壁、外側対向壁、及び外側連結壁は、前記パネルの外縁部を挿入する挿入溝を画定するように形成されている、
ことを特徴とするフレーム構造体。
【請求項3】
前記主壁及び対向壁は、略L字状の断面をなすように、前記フレームの伸長方向に伸びる直線に沿って屈曲して形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のフレーム構造体。
【請求項4】
前記主壁は、略L字状の断面をなすように、前記フレームの伸長方向に伸びる直線に沿って屈曲して形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のフレーム構造体。
【請求項5】
前記連結部材は、前記フレームの端部において前記嵌合溝に嵌合される複数の嵌合部材と、前記複数の嵌合部材を一体的に連結する連結ブロックとを含む、
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一つに記載のフレーム構造体。
【請求項6】
前記連結部材は、前記隅部において、前記フレーム同士を連結するコーナ連結部材を含み、
前記コーナ連結部材は、前記フレームの端部において前記嵌合溝に嵌合されるべく三方向に延出すると共に略L字状の断面をなす3つの嵌合部を含む、
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一つに記載のフレーム構造体。
【請求項7】
前記主壁は、略L字状の断面をなすように、前記フレームの伸長方向に伸びる直線に沿って屈曲して形成され、
前記フレームは、前記主壁と同一面の領域においてその両端から突出して前記コーナ連結部材を覆うように形成された突出壁を有する、
ことを特徴とする請求項6に記載のフレーム構造体。
【請求項8】
前記連結部材は、前記隅部以外の領域において、前記フレーム同士を連結する中間連結部材を含み、
前記中間連結部材は、所定方向の両端から延出して前記フレームの嵌合溝に嵌合される2つの嵌合部を有する、
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一つに記載のフレーム構造体。
【請求項9】
前記中間連結部材は、前記所定方向に直交する他方向に延出して前記フレームの嵌合溝に嵌合される少なくとも1つの嵌合部を有する、
ことを特徴とする請求項8に記載のフレーム構造体。
【請求項10】
前記中間連結部材は、略L字状の断面を含むように、前記所定方向又は他方向に伸びる直線に沿って屈曲して形成されている、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載のフレーム構造体。
【請求項11】
前記嵌合部は、前記主壁、前記対向壁、又は前記内側対向壁と係合する凸部を有する、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載のフレーム構造体。
【請求項12】
前記フレームは、前記主壁、前記対向壁、又は前記内側対向壁において、前記凸部を嵌合させる凹部又は嵌合孔を有する、
ことを特徴とする請求項11に記載のフレーム構造体。
【請求項13】
前記フレームは、金属板を用いて折り曲げ加工により形成され、又は、アルミニウム材料を用いて型成形されている、
ことを特徴とする請求項1ないし12いずれか一つに記載のフレーム構造体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−144848(P2009−144848A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324237(P2007−324237)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(391032358)平田機工株式会社 (107)
【Fターム(参考)】