説明

フロントガラスのワイパーアーム

ドライブシャフト(19)に取付可能な取付ヘッド(18)と、ピボットピン(21)によって取付ヘッド(18)に回転可能に接続されるアーム部材(20)とを有するフロントガラスのワイパーアーム(8)、特に自動車用のフロントガラスのワイパーアームであって、前記アーム部材(20)が二つの側壁(25、26)を備えて前記ピボットピン(21)近くに略U字型の断面を有し、前記取付ヘッド(18)の一部が側壁(25、26)間に前記ピボットピン(21)を越えて延びているフロントガラスのワイパーアームにおいて、突起・溝手段がアーム部材(20)の回転角を制限するために前記取付ヘッドの前記一部(18)と前記側面(25、26)とに設けられ、前記突起・溝手段が少なくとも一つの湾曲した案内溝(30)と、該案内溝(30)と協働する少なくとも一つの突起(29)とを有することを特徴とするフロントガラスのワイパーアーム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブシャフトに取付可能な取付ヘッドと、ピボットピンによって取付ヘッドに回転可能に接続されるアーム部材とを有するフロントガラスのワイパーアーム、特に自動車用のフロントガラスのワイパーアームであって、前記アーム部材が二つの側壁を備えて前記ピボットピン近くに略U字型の断面を有し、前記取付ヘッドの部分が側壁間に前記ピボットピンを越えて延びているフロントガラスのワイパーアームに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなフロントガラスのワイパーアームは特許文献1で公知である。特許文献1に記載のフロントガラスのワイパーアームと取付ヘッドは、フロントガラスのワイパーアームの回転角を制限するために協働する相補的なストッパー面を備える。特に、公知の取付ヘッドに対して、公知のフロントガラスの拭き取られるべきフロントガラスから離れる方向のワイパーアームの回転運動は、一定の最大回転角を超えると、フロントガラスのワイパーアームの突起が取付ヘッドのストッパー面によって止まり、動かないようにされる。
【0003】
上記の特許文献1で公知のフロントガラスのワイパーアームの欠点は、多くの車が上述の最大回転角に関してそれぞれ固有の仕様を有するために、それらの車のために、個別のフロントガラスのワイパーアームと取付ヘッドを設計したり製造したりしなければならないということである。明らかに、このことは、関連するあらゆる出費を伴う複雑な機械や道具を必要としてしまう。
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0755833号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この欠点を克服するための本発明の目的は、最低限のコストで、つまり複雑な機械と追加の道具を用いることなく、最低限の変更を行うだけで様々な車に取付可能な、フロントガラスのワイパーアームを提案することである。なお、本発明は車に限定されず、鉄道列車や他の(高速の)輸送手段にも適用される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
さらに、本発明では、冒頭で述べたフロントガラスのワイパーアームは、突起・溝手段がアーム部材の回転角を制限するために取付ヘッドの一部と側面とに設けられ、前記突起・溝手段が、少なくとも一つの湾曲した案内溝と、該案内溝と協働する少なくとも一つの突起とを有することを特徴としている。特に、前記突起はアーム部材の拭取位置に対応する第一位置と、ワイパーアームの取付位置に対応する第二位置との間で前記案内溝内を移動可能である。対応する成形型をわずかに修正することによって案内溝の形状(特に有効長さ)を変更する点で異なるだけで、すべてのタイプの車に関し、フロントガラスのワイパーアームを共通して取り付けることが可能となる。
【0007】
本発明によるフロントガラスのワイパー機構の好適な実施形態において、前記取付ヘッドの一部は側壁に接するように対向する接触面を備え、前記突起が一つの側壁から該対応する側壁に接する一つの接触面に設けられた前記案内溝内へ横方向内方へ延びている。別の実施形態では、前記取付ヘッドの一部は側壁に接するように対向する接触面を備え、前記突起が一つの接触面から該対応する接触面に接する一つの側壁に設けられた案内溝内へ横方向外方へ延びている。
【0008】
本発明によるフロントガラスのワイパー機構の別の好適な実施形態において、前記案内溝が円形の一部に沿って形成されている。
【0009】
本発明によるフロントガラスのワイパー機構の別の好適な実施形態において、アーム部材がプラスチック材でできている。好ましくは、取付ヘッドもプラスチック材でできている。
【0010】
本発明は、本発明によるフロントガラスのワイパーアームに含まれる取付ヘッドおよび/またはアーム部材にも及んでいる。
【0011】
本発明は、また、本発明によるフロントガラスのワイパーアームを有するフロントガラスのワイパー機構に関する。特に、前記フロントガラスのワイパー機構は、弾性の細長いキャリア要素と、拭き取られるべきフロントガラスに接触して配置することが可能な可撓性材料からなる細長いワイパーブレードとを有し、該ワイパーブレードはその長手方向に延びる側面に対向する長手溝を有し、該長手溝内にキャリア要素の互いに離間した長手方向に延びるストリップが配置され、該長手方向に延びるストリップの隣接する端部が対応する接続片によって相互に接続されており、フロントガラスのワイパー機構が本発明によるフロントガラスのワイパーアームのための接続機構を有している。従って、このようなフロントガラスのワイパー機構は、互いに回転可能に接続されるいくつかのヨークを使用することなく、そして、特定の湾曲が得られるようにワイパーブレードがキャリア要素によって付勢されている「ヨークレス」ワイパー機構として設計されている。また、本発明のフロントガラスのワイパーアームはその片側に接続機構の貫通孔に横から挿入されるピボットピンを有する。なお、本発明は有利ではあるがこのような「ヨークレスブレード」に限定されず、先に言及したヨークを備える他のタイプのフロントガラスのワイパー機構にまでも拡大適用される。
【0012】
最後に、本発明は、ドライブシャフトに取付可能な取付ヘッドと、ピボットピンによって取付ヘッドに回転可能に接続されるアーム部材とを有するフロントガラスのワイパーアーム、特に自動車用のフロントガラスのワイパーアームであって、前記アーム部材が二つの側壁を備えて前記ピボットピン近くに略U字型の断面を有し、前記取付ヘッドの一部が側壁間に前記ピボットピンを越えて延びているフロントガラスのワイパーアームの製造方法において、突起・溝手段がアーム部材の回転角を制限するために前記取付ヘッドの前記一部と前記側面とに設けられ、前記突起・溝手段が少なくとも一つの湾曲した案内溝と、該案内溝と協働する少なくとも一つの突起とを有することを特徴とする製造方法にも関連している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、以下、図面に表される図を参照してより詳細に説明する。
【0014】
図1〜7は本発明による好適な改良型のフロントガラスのワイパー機構1を示す。このフロントガラスのワイパー機構は、長手方向に延在する側面に対向する長手方向に延びる溝3が形成された弾性ワイパーブレード2と、長手溝3内に取り付けられるばね帯鋼からなる長手方向に延びるストリップ4とでできている。ストリップ4はゴム製のワイパーブレード2のために柔軟なキャリア要素を形成し、該キャリア要素は言わば湾曲した状態に付勢されている(動作状態における曲率は拭き取られるべきフロントガラスの曲率である)。ストリップ4の隣接する端部5同士は、接続片6によってフロントガラスのワイパー機構1の両側で相互に接続されている。フロントガラスのワイパー機構1は揺動アーム8とスポイラー9のための接続機構7をさらに備えている。
【0015】
図2と図3は、図1のフロントガラスのワイパー機構1の自由端を示しており、図4はワイパーブレード2無しの前記自由端の底面図を示している。対応する部分は同じ参照符号で示されている。図2、図5、図6から分かるように(図5、図6は構造的に分離した要素として接続片6を斜視図で示している)、接続片6は、該接続片6が使用中にワイパーブレード2を阻止しないように、接続片6の内側でストリップ4に沿ってワイパーブレード2の相対運動を可能にするために開口10を備える。接続片6はプラスチック片でできている。
【0016】
前記のようなストリップ4の上面図に関する図7を参照すると、各ストリップ4は、該ストリップ4の長手方向内側のエッジ12から横方向に延びる突起11を備えている。接続片6がストリップ4の隣接する端部5にスライドされて取り付けられたときに、突起11が接続片6の内側のストッパー13(ノッチ13)の間にパチッとまたはカチッと嵌るスナップ接続またはクリック接続が実現される。各突起11はこれら対向するストッパー13間の小さい溝14内に落ち着く。こうして、ストリップ4は接続片6に対して長手方向に動かないようにされる。また、各接続片6は該接続片に一体的に作られた二つの係合部材15を備え、該係合部材15は、ストリップ4周りに係合してストリップ4をスライドさせるための溝16を形成する。また、係合部材15は、ストリップ4が接続片6に対して横方向に動かないようにすることも確実にする。各接続片6はスポイラー9の自由端を収容するための空洞17を有する。
【0017】
図8〜11に示すように、本発明によるフロントガラスのワイパーアーム8は、小さいモーターによって図示してない機構を介して駆動されるシャフト19に、回転するように取り付けることができるプラスチック製の取付ヘッド18を有する。フロントガラスのワイパーアーム8は取付ヘッド18によって支持されるプラスチック製のアーム部材20をさらに有し、そして該アーム部材20は、図1に示すように、接続機構7によってワイパーブレード2を支持している。アーム部材20はピボットピン21によって取付ヘッド18に回転可能に接続される。アーム部材20ひいてはそれに接続されるワイパーブレード2が拭き取られるべきフロントガラス上に押しつけられることを確実にするために、ばね22の第一端部が取付ヘッド18のピン23に引っ掛けられ、第二端部がアーム部材20の部分24に引っ掛けられている。使用時、シャフト19は取付ヘッド18が回転するように時計回りと反時計回りに交互に回転し、そしてそれによってアーム部材20を回転させると共に接続機構7によってワイパーブレード2を動かす。
【0018】
図に示すように、アーム部材20は、二つの側壁25、26を備えてピボットピン21近くで略U字型の断面を有し、取付ヘッド18の一部が二つの側壁25、26間にピボットピン21を越えて延びている。前記部分は側壁25、26に接する対向する接触面27、28を備えている。側壁25から該側壁25に接する接触面27に設けられる案内溝30内へ円筒状の突起29が横方向内方へ延びている。前記案内溝は、円形の一部の形状、例えば円形の半分の四分の一の形状を有する。アーム部材20は、拭き取られるべきフロントガラスに面している第一位置(つまり拭取位置、図1参照)から拭き取られるべきフロントガラスからそらされる第二位置(つまり、例えば、取付、清掃、および/または、修理位置、図9参照)に取付ヘッド18に対して回転させられるとき、突起29が最大回転角に達するまで案内溝30によって案内される。アーム部材20が前記最大回転角を超えて取付ヘッドに対して回転できないように、突起29は案内溝30の壁によって止められ/阻止される。当然のことながら、さらに、側壁26から横方向内方へ延びる円筒状の突起と協働する接触面28にも案内溝が設けられている。別の好適な実施形態では、案内溝30が側壁25、26の一つまたは両方に設けられ、それと協働する円筒状の突起29が接触面27、28の一つまたは両方に存在する(図11)。
【0019】
本発明は、示した実施形態に制限されず、添付した特許請求の範囲内に含まれる他の実施形態にも拡大適用される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明によるフロントガラスのワイパーアームを備えるフロントガラスのワイパー機構の好適な実施形態の略視図であって、フロントガラスのワイパーアームは拭取位置にある。
【図2】図1のフロントガラスのワイパー機構の細部を示す。
【図3】図1のフロントガラスのワイパー機構の別の細部を示す。
【図4】図1のフロントガラスのワイパー機構のさらに別の細部を示す。
【図5】図1のフロントガラスのワイパー機構のさらに別の細部を示す。
【図6】図1のフロントガラスのワイパー機構のさらに別の細部を示す。
【図7】図1のフロントガラスのワイパー機構のさらに別の細部を示す。
【図8】図1のフロントガラスのワイパーアームの底面図である。
【図9】フロントガラスのワイパーアームが取付位置にある点で異なるが図1に対応する図である。
【図10】異なる実施形態による図9の細部を示す。
【図11】異なる実施形態による図9の別の細部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライブシャフトに取付可能な取付ヘッドと、ピボットピンによって前記取付ヘッドに回転可能に接続されるアーム部材とを有するフロントガラスのワイパーアーム、特に自動車用のフロントガラスのワイパーアームであって、前記アーム部材が二つの側壁を備えて前記ピボットピン近くに略U字型の断面を有し、前記取付ヘッドの一部が前記側壁間に前記ピボットピンを越えて延びており、突起・溝手段が前記アーム部材の回転角を制限するために前記取付ヘッドの前記一部と前記側面とに設けられ、前記突起・溝手段が少なくとも一つの湾曲した案内溝と、該案内溝と協働する少なくとも一つの突起とを有することを特徴とするフロントガラスのワイパーアーム。
【請求項2】
前記突起が前記アーム部材の拭取位置に対応する第一位置と前記ワイパーアームの取付位置に対応する第二位置との間で前記案内溝内を移動可能である請求項1に記載のフロントガラスのワイパーアーム。
【請求項3】
前記取付ヘッドの前記一部が前記側壁に接するように対向する接触面を備え、前記突起が一つの前記側壁から該対応する側壁に接する一つの前記接触面に設けられた前記案内溝内へ横方向内方に延びている請求項1または2に記載のフロントガラスのワイパーアーム。
【請求項4】
前記取付ヘッドの前記一部が前記側壁に接するように対向する接触面を備え、前記突起が一つの前記接触面から該対応する接触面に接する一つの前記側壁に設けられた前記案内溝内へ横方向外方に延びている請求項1または2に記載のフロントガラスのワイパーアーム。
【請求項5】
前記案内溝が円形の一部に沿って形成されている請求項1から4のいずれかに記載のフロントガラスのワイパーアーム。
【請求項6】
前記アーム部材がプラスチック材でできている請求項1から5のいずれかに記載のフロントガラスのワイパーアーム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のフロントガラスのワイパーアームに形成される取付ヘッドおよび/またはアーム部材。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載のフロントガラスのワイパーアームを有するフロントガラスのワイパー機構。
【請求項9】
弾性の細長いキャリア要素と、拭き取られるべきフロントガラスに接触して配置することが可能な可撓性材料からなる細長いワイパーブレードとを有するフロントガラスのワイパー機構であって、前記ワイパーブレードがその長手方向の側面に対向する長手溝を有し、該長手溝内に前記キャリア要素の互いに離間した長手方向に延びるストリップが配置され、該長手方向に延びるストリップの隣接する端部が対応する接続片によって相互に接続されており、当該フロントガラスのワイパー機構が請求項1から6のいずれかに記載のフロントガラスのワイパーアームのための接続機構を有する請求項8に記載のフロントガラスのワイパー機構。
【請求項10】
ドライブシャフトに取付可能な取付ヘッドと、ピボットピンによって前記取付ヘッドに回転可能に接続されるアーム部材とを有するフロントガラスのワイパーアーム、特に自動車用のフロントガラスのワイパーアームであって、前記アーム部材が二つの側壁を備えて前記ピボットピン近くに略U字型の断面を有し、前記取付ヘッドの一部が前記側壁間に前記ピボットピンを越えて延びているフロントガラスのワイパーアームの製造方法において、突起・溝手段が前記アーム部材の回転角を制限するために前記取付ヘッドの前記一部と前記側面とに設けられ、前記突起・溝手段が少なくとも一つの湾曲した案内溝と、該案内溝と協働する少なくとも一つの突起とを有することを特徴とするフロントガラスのワイパーアームの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−504995(P2007−504995A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525817(P2006−525817)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052015
【国際公開番号】WO2005/023611
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(502173615)フェデラル−モーグル ソシエテ アノニム (12)
【Fターム(参考)】