説明

フローセル固定装置及びそれを用いたDNA分析装置

【課題】フローセルの交換作業が容易なフローセル固定装置を実現し、それを用いたDNA分析装置のDNA分析時間の短縮化を可能とする。
【解決手段】フローセル2をX軸方向にスライドさせてストッパ16とホルダ18との間に取り付ける。位置決めスライドYホルダ18はヒートプレート13に固定されているので位置決めスライドY17がY軸方向に移動しようとする。位置決めストッパY16もヒートプレート13に固定されているのでフローセル2は位置決めスライドY17に押されて位置決めストッパY16に当たり位置決めされる。フローセル2、スライドY17、ストッパY16に面取りがされていることによりY軸方向の荷重はZ軸方向の荷重に変換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DNA配列の解析を行う分析装置に用いられるフローセルの固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のDNA分析装置では、基板上に多数のDNA断片を固定し、大量に並列検出することでスループットを向上させる方法が提案されている。この基板のことを便宜的にフローセルと呼ぶ。
【0003】
多数のDNA断片が固定されたフローセルを装置内に固定し、試薬の注入や温度調整を行い、蛍光等を検出することでDNA配列を読み取ることができる。
【0004】
DNA分析装置の構成としては、フローセルを設置するためのホルダ機構、フローセル内の試料と試薬を反応させるための温度調整機構、試薬をフローセルに注入するための送液機構、蛍光検出を行う検出機構、フローセルを移動させるステージ機構等から成っている。
【0005】
フローセルの取り付けに関する公知例としては、特許文献1に記載された技術がある。
【0006】
特許文献1に記載の技術においては、2つのフローセルをフレームに取り付け、それらのフレームを温度調整可能なヒートプレートに型締アームにて固定する構造である。このフレーム固定方式では、部品の加工精度を上げることで位置決め再現性を向上させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許公報2009/0139311A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術においては、異なる試料の検出を行うたびに、その都度フローセルをフレームに取り付け、そのフレームを型締アームにて固定し、設置し直す必要があった。
【0009】
このため、試料の交換作業が煩雑であり、DNA分析時間の短縮化が困難で、DNA検出に長時間が必要であった。
【0010】
本発明の目的は、フローセルの交換作業が容易なフローセル固定装置を実現し、それを用いたDNA分析装置のDNA分析時間の短縮化を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ヒートプレートの周辺に互いに対向する側面ストッパ部材及び側面ホルダ部材と、側面ホルダ部材に形成され方形状のフローセルの側面を押圧する弾性部材とを有するフローセル固定装置であり、弾性部材の弾性力により、フローセルがフローセル保持手段に挿入され、取り出される。
【発明の効果】
【0012】
フローセルの交換作業が容易なフローセル固定装置を実現し、それを用いたDNA分析装置のDNA分析時間の短縮化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明が適用されるDNA分析装置の一例の概略構成図である。
【図2】本発明が適用されるDNA分析装置の他の例の概略構成図である。
【図3】本発明の実施例1であるフローセル固定装置の斜視図である。
【図4】図3のA−A線に沿った断面図である。
【図5】図3のB−B線に沿った断面図である。
【図6】本発明の実施例1におけるフローセル固定方法説明図である。
【図7】本発明の実施例2におけるフローセル固定装置の斜視図である。
【図8】図7のC−C線に沿った断面図である。
【図9】図7のD−D線に沿った断面図である。
【図10】本発明の実施例3におけるフローセル固定装置の斜視図である。
【図11】図10のE−E線に沿った断面図である。
【図12】図10のF−F線に沿った断面図である。
【図13】本発明の実施例3におけるフローセル固定方法説明図である。
【図14】本発明の実施例4におけるフローセル固定装置の断面図である。
【図15】本発明の実施例5におけるフローセル固定装置の断面図である。
【図16】本発明の実施例6におけるフローセル固定装置の断面図である
【図17】本発明の実施例7におけるフローセル固定装置の断面図である
【図18】本発明の実施例8におけるフローセル固定装置の斜視図である
【図19】図18のG−G線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本願発明の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明をDNA分析装置に適用した実施例1の全体概略構成図である。図1において、DNA分析装置1は、流路が形成されたフローセル2と、このフローセル2を固定し、フローセル2の温度を調整するホルダユニット3と、フローセル2及びホルダユニット3を移動させるステージユニット4と、複数の試薬や洗浄水が収容された試薬容器5と、試薬容器5に収容された試薬を吸引しフローセル2に注入する駆動源である送液ユニット6とを備える。
【0016】
さらに、DNA分析装置1は、試薬の吸引・吐出の際、実際に試薬容器5やフローセル2にアクセスするノズル7と、ノズル7を搬送するノズル搬送ユニット8と、フローセル2に固定された試料を観察するための検出ユニット9と、廃液を収容する廃液容器10と、検出ユニット9により検出された試料のDNAを分析する分析部100と、分析部100により分析されたDNA等を表示する表示部101とを備える。
【0017】
分析装置1の動作を、図1を用いて説明する。
【0018】
まず、前処理装置にて直径1マイクロメートル程度のDNA断片が多数固定されたフローセル2を、本発明のフローセル固定装置に係るホルダユニット3に設置する。次に、ノズル7が自動的に試薬容器5にアクセスし、試薬容器5内の試薬を送液ユニット6によりノズル7から吸引する。
【0019】
ノズル7は、ノズル搬送ユニット8によりフローセル2の上面に搬送され、フローセル2に試薬を注入する。そして、ホルダユニット3にて、フローセル2内に含まれたDNA断片と試薬を温度調整することで反応が起こる。
【0020】
反応したDNA断片を観察するために、フローセル2をステージユニット4にて移動させ、励起光を当てて検出領域内にある複数のDNA断片の蛍光を検出する。検出後、フローセル2を微小に動かし同様の方法で検出する。
【0021】
以上に説明した動作を複数回繰り返す。
【0022】
全ての検出領域で観察が終了したら、試薬容器5に収容された洗浄水を送液ユニット6によりノズル7で吸引し、フローセル2へ注入する。これにより、フローセル2の流路内を洗浄する。また、別の試薬をフローセル2に注入し検出するという動作を複数回繰り返すことで、DNA配列を読み取ることが出来る。
【0023】
図2は、本発明が適用されるDNA分析装置の他の構成例を示す図である。
【0024】
図2において、分析装置1は、流路が形成されたフローセル2と、フローセル2を固定し、温度調整するためのホルダユニット3と、フローセル2及びホルダユニット3を移動させるステージユニット4と、複数の試薬や洗浄水が収容された試薬容器5と、試薬容器5に収容された試薬を吸引しフローセル2に注入する駆動源である送液ユニット6と、送液ユニット6と繋ぐ流路を試薬容器5にするかフローセル2にするかを切り換える切り替えバルブ11と、フローセル2に固定された試料を観察するための検出ユニット9と、廃液を収容する廃液容器10とを備える。
【0025】
さらに、DNA分析装置1は、分析部100と、表示部101とを備える。
【0026】
分析装置1の動作について図2を用いて説明する。まず、前処理装置にて直径1マイクロメートル程度のDNA断片が多数固定されたフローセル2をホルダユニット3に設置する。次に、切り替えバルブ11により送液ユニット6と試薬容器5の流路を繋ぎ、試薬を送液ユニット6により吸引する。切り替えバルブ11により送液ユニット6とフローセル2の流路を繋ぎ、試薬を送液ユニット6により注入する。
【0027】
そして、ホルダユニット3にて、フローセル2内に含まれたDNA断片と試薬を温度調整することで反応が起こる。反応したDNA断片を観察するために、フローセル2をステージユニット4にて移動させ、励起光を当てて検出領域内にある複数のDNA断片の蛍光を検出する。
【0028】
検出後、フローセル2を微小に動かし同様の方法で検出するという動作を複数回繰り返す。全ての検出領域で観察が終了したら、試薬容器5に収容された洗浄水を送液ユニット6により吸引し、フローセル2へ注入することで、フローセル2の流路内を洗浄する。また、別の試薬を注入し検出するという動作を複数回繰り返すことで、DNA配列を読み取ることが出来る。
【0029】
なお、ステージユニット4の動作、送液ユニット6の動作、プローブ7の移動、搬送ユニット8の動作、検出ユニット9の動作、切り替えバルブ11の動作、表示部101の動作の制御は、分析部100が行う。つまり、分析部100は制御部としての機能を有する。
【0030】
図3から図5は、本発明の実施例1におけるフローセル2とホルダユニット3との詳細構成を示す図である。
【0031】
図4は図3のA−A線に沿った断面図であり、図5は図3のB−B線に沿った断面図である。
【0032】
図3〜図5において、フローセル2は面取りが施されている。つまり、フローセル2の形状は、長方形の平板状であり、その角部(辺部)が切削されている。フローセル2には、送液ユニット6のノズル7がアクセスし、液注入を可能とさせる注入ポート12が形成されている。以下に示すX軸方向、Y軸方向、Z軸方向とは、図3に示す方向である。
【0033】
ホルダユニット(フローセル保持手段)3は、温度調整が可能なヒートプレート13、温度調整を行うペルチェ素子14、ベース15、Y軸方向に位置決めするための固定部であり、面取りが施された位置決めストッパY16、Y軸方向に位置決めするための可動部であり、面取りが施された位置決めスライドY17、位置決めスライドY17(押圧力発生手段)を保持する位置決めスライドYホルダ18、Y軸方向に位置決めするための荷重源である位置決めばねY19(フローセルの側面を押圧する弾性部材)、X軸方向に位置決めし、Z軸方向に可動可能な位置決めストッパX20(他方端部ストッパ部材)、位置決めストッパX20を保持する位置決めストッパXホルダ21、位置決めストッパX20を定位置に復帰させるための復帰ばね22、X軸方向に位置決めするための可動部である位置決めスライドX23、位置決めスライドX23を保持する位置決めスライドXホルダ24(端部ストッパ部材)、X軸方向に位置決めするための荷重源である位置決めばねX25、フローセル2と位置決めスライドX23の流路をシールするパッキンA26、パッキンA26の落下を防止するパッキンA押さえ板27、フローセル2の内部の液を廃液する廃液チューブ28を有する。
【0034】
位置決めストッパY16(押圧力発生手段)と位置決めスライドYホルダ18とは、ヒートプレート13の周辺に配置され、ヒートプレート13を間にして互いに対向する側面ストッパ部材及び側面ホルダ部材を形成している。
【0035】
フローセル2のY軸方向、Z軸方向の位置決めに関し、図4を用いて説明する。図4において、フローセル2を、ストッパ20を押し下げながら、X軸方向にスライドさせてストッパ16とホルダ18との間に取り付けると、位置決めばねY19が縮み、フローセル2に対して荷重が発生する。位置決めスライドYホルダ18はヒートプレート13に固定されているので、位置決めスライドY17がY軸方向に移動しようとする。位置決めストッパY16もヒートプレート13に固定されているので、フローセル2は位置決めスライドY17に押されて位置決めストッパY16に当たり位置決めされる。
【0036】
また、フローセル2及び、位置決めスライドY17、位置決めストッパY16に面取りが行なわれていることにより、位置決めばねY19から発生したY軸方向の荷重は、Z軸方向の荷重に変換される。つまり、Z軸方向に関して、スライド17は、ヒートプレート13に向かって傾斜する面を有し、スライド17の傾斜面に対向するフローセル2の面は、Z軸方向に関してスライド17の傾斜面に向かって傾斜しているので、スライド17の押圧力はフローセル2に対してZ軸方向の荷重に変換される。また、Z軸方向に関して、ストッパ16は、ヒートプレート13に向かって傾斜する面を有し、ストッパ16の傾斜面に対向するフローセル2の面は、Z軸方向に関してストッパ16の傾斜面に向かって傾斜している。このため、スライド17のフローセル2に対するY軸方向への押圧力により、フローセル2は、ストッパ16によっても、Z軸方向に押圧されることになる。
【0037】
そうすることにより、フローセル2とヒートプレート13が密着され、熱伝導の観点から温度調整の効率を上げることが出来る。
【0038】
次に、フローセル2のX軸方向の位置決めに関し、図5を用いて説明する。
【0039】
図5において、フローセル2をスライド23とストッパ20との間に取り付けると、位置決めばねX25が縮み、フローセル2のX軸方向の荷重が発生する。位置決めスライドXホルダ24はヒートプレート13に固定されているので、位置決めスライドX23がX軸方向に移動しようとする。位置決めストッパX20は位置決めストッパXホルダ21によりX軸方向には動かないので、フローセル2は位置決めスライドX23に押されて位置決めストッパX20に当たり位置決めされる。
【0040】
また、図5に示した構造は、フローセル2をX軸方向に位置決めするだけではなく、フローセル2と位置決めスライドX23との間に流路を形成し、かつ、この流路のシールとしての役目も果たしている。
【0041】
次に、図6を参照して実施例1におけるフローセル2の設置方法を説明する。
【0042】
図6の(A)において、操作者はフローセル2を手に持ち、位置決めストッパX20をZ軸方向にフローセル2により押し付ける。
【0043】
次に、図6の(B)〜(D)に示すように、フローセル2をX軸方向にスライドさせてストッパ16とホルダ18との間に挿入していく。このとき、既に、Y軸方向、Z軸方向の位置決め機構が動作する。位置決めスライドX23を押し付け、位置決めストッパX20が復帰ばね22により定位置に戻ることにより、X軸方向の位置決め機構が動作し、フローセル2はホルダユニット3に完全に固定される。
【0044】
フローセル2をホルダユニット3から取り外すときは、位置決めストッパX20を押すことで、フローセル2がX軸方向に移動してくるので、スライドさせて簡単に取り外すことが出来る。このスライドさせて挿入する設置方法は、図1で示したようなホルダユニット3の直上に検出ユニット9がある装置において、作業性が良いというメリットがある。
【0045】
以上のように、本発明の実施例1によれば、フローセル2を簡単な動作でホルダユニット3に取り付けることができ、取り付け作業時間を短縮することができる。
【0046】
また、フローセル2は、スライド17及びストッパ16によって、ヒートプレート13に向かって押圧されるので、フローセル2とヒートプレート13との密着性が向上し、両者の熱伝導効率を向上することができる。
【0047】
これによって、フローセル2が設定温度となるまでの時間を短縮することができる。
【0048】
取り付け作業時間の短縮及び設定温度となるまでの時間の短縮により、DNAの分析全体の時間を短縮することができ、DNA分析装置のスループットを向上することができる。
【実施例2】
【0049】
次に、本発明の実施例2であるフローセル固定装置について説明する。この実施例2のフローセル固定装置も図1、2のDNA分析装置に使用される。DNA分析装置の全体構成については、図1、図2と同様であるので、その詳細な説明は省略する。また、実施例2において、特に説明する以外は、実施例1と同等な部材には同一の符号が付されている。なお、以下に説明するその他の実施例についても同様とする。
【0050】
図7から図9は、実施例2におけるフローセル2とホルダユニット3を示す図である。図8は図7のC−C線に沿った断面図であり、図9は図7のD−D線に沿った断面図である。
【0051】
本発明の実施例2におけるフローセル2は、実施例1の注入ポート12がフローセル2には、直接形成されておらず、流路が形成された平板のみによって構成される。
【0052】
また、ホルダユニット3は、実施例1のホルダユニットの構成に、フローセル2と位置決めスライドX23とを繋ぐ流路が形成され、面取りが施されたフローセルカバー29、注入ポート12とフローセル2の流路をシールするパッキンB30、パッキンB30の落下を防止するパッキンB押さえ板31とが加えられている。
【0053】
本実施例2は実施例1のフローセル2の面取り形状が、フローセルカバー29の形状に代わったものである。つまり、フローセル2の角部(辺部)は切削されず、約90度の角度を維持している。そして、スライド17の傾斜面に対向するフローセルカバー29の面は、Z軸方向に関してスライド17の傾斜面に向かって傾斜し、ストッパ16の傾斜面に対向するフローセルカバー29の面は、Z軸方向に関してストッパ16の傾斜面に向かって傾斜している。
【0054】
したがって、本発明の実施例2においても、実施例1と同様な効果を得ることができる。
【0055】
この実施例2は、フローセル2の流路出口をこのフローセル2の面方向(横方向)に形成することが困難な場合や、フローセル2への面取りの形成が難しい場合に、実施例1のフローセルに替えて適用可能である。
【実施例3】
【0056】
次に、本発明の実施例3であるフローセル固定装置について説明する。この実施例3のフローセル固定装置も図1、2のDNA分析装置に使用される。
【0057】
図10から図12は、実施例3におけるフローセル2とホルダユニット3を示す図である。図11は図10のE−E線に沿った断面図であり、図12は図10のF−F線に沿った断面図である。
【0058】
本発明の実施例3におけるフローセル2も、実施例1注入ポート12は直接形成されておらず、フローセルカバー29が用いられている。
【0059】
また、ホルダユニット3は、実施例1で説明した位置決めストッパXホルダ21、復帰ばね22が形成されておらず、試薬を注入する注入チューブ32、位置決めストッパX20(他方端部ストッパ部材)をY軸方向に可動させるガイドとなるスライドピン33、位置決めストッパX20とフローセル2の流路をシールするパッキンA26、パッキンA26の落下を防止するパッキンA押さえ板27を有する。
【0060】
位置決めストッパX20は、実施例1及び2と構成が異なり、注入チューブ32とフローセル2の流路を繋ぐための流路が形成されている。また、ベース15にはスライドピン33のガイドとなる溝34が形成されている。
【0061】
図13は、実施例3におけるフローセル2の設置方法を示す図である。
【0062】
図13の(A)において、まず、フローセル2にフローセルカバー29に取り付ける。次に、位置決めストッパX20をフローセル2の取り付けの際に干渉しない位置に移動させる。そして、図13の(B)、(C)に示すように、フローセル2をX軸方向にスライドさせて挿入した後、図13の(D)に示すように、位置決めストッパX20を定位置に戻す。これにより、フローセル2がホルダユニット3に固定される。
【0063】
したがって、本発明の実施例3においても、実施例2と同様な効果を得ることができる。
【実施例4】
【0064】
次に、本発明の実施例4であるフローセル固定装置について説明する。この実施例4のフローセル固定装置も図1、2のDNA分析装置に使用される。
【0065】
図14は、本発明の実施例4の断面図である。この断面図は、実施例1を示す図3のA−A線に沿った断面に対応する断面図である。実施例1と実施例4との相違点は、実施例1においては、フローセル2、ストッパ16、スライド17には、図4に示すように、面取り処理がなされているが、実施例4においては、図14に示すように、フローセル2、ストッパ16、スライド17に面取り処理は行われていない。
【0066】
このため、実施例4においては、スライド17は、フローセル2をX軸方向に押圧するが、Z軸方向への押圧力は発生させていない。
【0067】
したがって、実施例4においては、フローセル2とヒートプレート13との密着性の向上は期待できないが、フローセル2を簡単な動作でホルダユニット3に取り付けることができ、取り付け作業時間を短縮することができるという効果がある。
【実施例5】
【0068】
次に、本発明の実施例5であるフローセル固定装置について説明する。この実施例5のフローセル固定装置も図1、2に示すDNA分析装置に使用される。
【0069】
図15は、本発明の実施例5の断面図である。この断面図は、実施例1を示す図3のA−A線に沿った断面に対応する断面図である。
【0070】
実施例4と実施例5との相違点は、実施例5においては、ストッパ16、スライド17には、図15に示すように、面取り処理がなされている点である。
【0071】
本発明の実施例5のように構成しても、スライド17は、フローセル2をX軸方向及びZ軸方向に押圧することができる。
【0072】
したがって、実施例5においては、フローセル2を簡単な動作でホルダユニット3に取り付けることができ、かつ、フローセル2とヒートプレート13との密着性を向上することができるという効果がある。
【実施例6】
【0073】
次に、本発明の実施例6であるフローセル固定装置について説明する。この実施例6のフローセル固定装置も図1、2に示すDNA分析装置に使用される。
【0074】
図16は、本発明の実施例6の断面図である。この断面図は、実施例1を示す図3のA−A線に沿った断面に対応する断面図である。
【0075】
実施例4と実施例6との相違点は、実施例6においては、ストッパ16、スライド17には、図16に示すように、フローセル2の面取りされた側面に対向する部分が段状となっている点である。
【0076】
本発明の実施例6のように構成しても、スライド17は、フローセル2をX軸方向及びZ軸方向に押圧することができる。
【0077】
したがって、実施例6においては、フローセル2を簡単な動作でホルダユニット3に取り付けることができ、かつ、フローセル2とヒートプレート13との密着性を向上することができるという効果がある。
【実施例7】
【0078】
次に、本発明の実施例7であるフローセル固定装置について説明する。この実施例7のフローセル固定装置も図1、2に示すDNA分析装置に使用される。
【0079】
図17は、本発明の実施例7の断面図である。この断面図は、実施例1を示す図3のA−A線に沿った断面に対応する断面図である。
【0080】
実施例1と実施例7との相違点は、実施例7においては、ばね19がスライド17をホルダ18からZ軸方向に押圧するように取り付けられている点である。
【0081】
フローセル2及び位置決めスライドY17、位置決めストッパY16に面取りが行なわれていることにより、位置決めばねY19から発生したZ軸方向の荷重は、Z軸方向に関して、スライド17は、ヒートプレート13に向かって傾斜する面を有し、スライド17の傾斜面に対向するフローセル2の面は、Z軸方向に関してスライド17の傾斜面に向かって傾斜しているので、スライド17の押圧力はフローセル2に対してY軸方向の荷重に変換される。また、Z軸方向に関して、ストッパ16は、ヒートプレート13に向かって傾斜する面を有し、ストッパ16の傾斜面に対向するフローセル2の面は、Z軸方向に関してストッパ16の傾斜面に向かって傾斜している。このため、スライド17のフローセル2に対するY軸方向への押圧力により、フローセル2は、ストッパ16によっても、Z軸方向に押圧されることになる。
【0082】
したがって、実施例7においても、フローセル2を簡単な動作でホルダユニット3に取り付けることができ、かつ、フローセル2とヒートプレート13との密着性を向上することができるという効果がある。
【実施例8】
【0083】
次に、本発明の実施例8であるフローセル固定装置について説明する。この実施例8のフローセル固定装置も図1、2に示すDNA分析装置に使用される。
【0084】
図18は、本発明の実施例8の斜視図であり、図19は図18のG−G線に沿った断面図である。
【0085】
本発明の実施例8は、実施例1におけるストッパ16及びスライド18に代えて、ヒンジカバー102がヒートプレート13上に配置されている。
【0086】
図18及び図19において、ヒンジカバー102は、ヒンジピン(ヒートプレート13の長辺に沿った軸)104を介してヒートプレート13に取り付けられ、ヒンジピン104を回転中心として回転可能に構成されている。
【0087】
そして、ヒンジカバー102は、ヒンジねじ103により、ヒートプレート13に固定することができる。フローセル2は、実施例1と同様に面取り処理が施されている。
【0088】
ヒンジカバー102を回転させ、ヒートプレート13の上面を露出した後、フローセル2をヒートプレート13上に設定後、ヒンジカバー102を回転させて、フローセル2上にこのヒンジカバー102を配置させる。
【0089】
ヒンジカバー102は、図示したように枠状の形状をしており、フローセル2の面取り処理が施された部分に対応する部分は、実施例1のストッパ16及びスライド18に形成された傾斜部と同様な傾斜部が形成されている。
【0090】
また、ヒンジカバー102は、実施例1と同様なスライド17、ばね19を備えている。
【0091】
したがって、ヒンジカバー102をフローセル2上に配置させ、ヒンジねじ103でヒートプレート13に固定すると、フローセル2は、ヒートプレート13に押圧することができる。
【0092】
したがって、本発明の実施例8においても、フローセル2を簡単な動作でホルダユニット3に取り付けることができ、かつ、フローセル2とヒートプレート13との密着性を向上することができるという効果がある。
【0093】
上述した例は単一のフローセル2を固定するフローセル固定装置であるが、上述したフローセル固定装置を2つ並列に配置して、2種類の試料等を並列にDNA分析が可能である。
【符号の説明】
【0094】
1・・・分析装置、2・・・フローセル、3・・・ホルダユニット、4・・・ステージユニット、5・・・試薬容器、6・・・送液ユニット、7・・・ノズル、8・・・ノズル搬送ユニット、9・・・検出ユニット、10・・・廃液容器、11・・・切り替えバルブ、12・・・注入ポート、13・・・ヒートプレート、14・・・ペルチェ素子、15・・・ベース、16・・・位置決めストッパY、17・・・位置決めスライドY、18・・・位置決めスライドYホルダ、19・・・位置決めばねY、20・・・位置決めストッパX、21・・・位置決めストッパXホルダ、22・・・復帰ばね、23・・・位置決めスライドX、24・・・位置決めスライドXホルダ、25・・・位置決めばねX、26・・・パッキンA、27・・・パッキンA押さえ板、28・・・廃液チューブ、29・・・フローセルカバー、30・・・パッキンB、31・・・パッキンB押さえ板、32・・・注入チューブ、33・・・スライドピン、34・・・ガイド溝、100・・分析部(制御部)、101・・・表示部、102・・・ヒンジカバー、103・・・ヒンジねじ、104・・・ヒンジピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DNA分析装置に用いられ、基板上に試料を保持するフローセルを固定するフローセル固定装置において、
上記フローセルの温度調節を行うヒートプレートと、
上記ヒートプレートの周辺に配置され上記ヒートプレートを間にして互いに対向する側面ストッパ部材及び側面ホルダ部材と、当該側面ホルダ部材に形成され方形状のフローセルの側面を押圧する弾性部材とを有し、上記方形状のフローセルを上記ヒートプレート上に保持するフローセル保持手段と、
を備え、上記弾性部材の弾性力により、上記フローセルが上記フローセル保持手段に挿入され、取り出されることを特徴とするフローセル固定装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフローセル固定装置において、上記ヒートプレートの周辺に配置され、上記フローセルの一方端の上記フローセル保持手段への挿入位置を規制する端部ストッパ部材をさらに備えることを特徴とするフローセル固定装置。
【請求項3】
請求項2に記載のフローセル固定装置において、上記フローセル保持手段は、上記フローセルを挟み込む方向に押圧する共に、上記ヒートプレート方向に押圧する押圧力発生手段を有することを特徴とするフローセル固定装置。
【請求項4】
請求項3に記載のフローセル固定装置において、上記押圧力発生手段は、上記ヒートプレートに対して傾斜した面を有する部材であることを特徴とするフローセル固定装置。
【請求項5】
請求項4に記載のフローセル固定装置において、上記フローセルをカバーするフローセルカバーを有し、このフローセルカバーの側面は、上記押圧力発生手段の上記傾斜した面にほぼ並行する傾斜面を有することを特徴とするフローセル固定装置。
【請求項6】
請求項2に記載のフローセル固定装置において、上記端部ストッパ部材に対向する位置に配置され、上記ヒートプレートの平面部に対してほぼ垂直方向に移動可能な弾性部材を有し、上記フローセルの他方端の移動を規制する他方端部ストッパ部材をさらに備えることを特徴とするフローセル固定装置。
【請求項7】
請求項2に記載のフローセル固定装置において、上記端部ストッパ部材に対向する位置とこの対向位置から離間した位置に移動し、上記フローセルの他方端の移動を規制する他方端部ストッパ部材をさらに備えることを特徴とするフローセル固定装置。
【請求項8】
DNA分析装置に用いられ、基板上に試料を保持するフローセルを固定するフローセル固定装置において、
上記フローセルの温度調節を行うヒートプレートと、
上記ヒートプレートの周辺に配置され上記ヒートプレートの長辺に沿った軸を中心にして回転し、方形状のフローセルを上記ヒートプレート上に保持するフローセル保持手段と、
を備えることを特徴とするフローセル固定装置。
【請求項9】
請求項8に記載にフローセル固定装置において、上記フローセル保持手段は、上記フローセルを挟み込む方向に押圧する共に、上記ヒートプレート方向に押圧する押圧力発生手段を有することを特徴とするフローセル固定装置。
【請求項10】
試料の流路が形成された基板上に試料を保持するフローセルと、
上記フローセルを支持し、上記フローセルの温度調節を行うヒートプレートと、
上記ヒートプレートの周辺に配置され上記ヒートプレートを間にして互いに対向する側面ストッパ部材及び側面ホルダ部材と、当該側面ホルダ部材に形成され方形状のフローセルの側面を押圧する弾性部材とを有し、上記方形状のフローセルを上記ヒートプレート上に保持するフローセル保持手段と、
上記フローセルの流路に試薬を注入する試薬注入手段と、
上記フローセル内の試料を検出する検出手段と、
上記検出手段により検出された試料のDNAを分析する分析部と、
上記分析部により分析された内容を表示する表示部と、
を備えることを特徴とするDNA分析装置。
【請求項11】
請求項10に記載のDNA分析装置において、上記フローセル保持手段は、上記フローセルを挟み込む方向に押圧する共に、上記ヒートプレート方向に押圧する押圧力発生手段を有することを特徴とするDNA分析装置。
【請求項12】
請求項11に記載のDNA分析装置において、上記押圧力発生手段は、上記ヒートプレートに対して傾斜した面を有する部材であることを特徴とするDNA分析装置。
【請求項13】
請求項11に記載のDNA分析装置において、上記端部ストッパ部材に対向する位置に配置され、上記ヒートプレートの平面部に対してほぼ垂直方向に移動可能な弾性部材を有し、上記フローセルの他方端の移動を規制する他方端部ストッパ部材をさらに備えることを特徴とするDNA分析装置。
【請求項14】
請求項11に記載のDNA分析装置において、上記端部ストッパ部材に対向する位置とこの対向位置から離間した位置に移動し、上記フローセルの他方端の移動を規制する他方端部ストッパ部材をさらに備えることを特徴とするDNA分析装置。
【請求項15】
請求項11に記載のDNA分析装置において、上記フローセルの側面は、上記押圧力発生手段の上記傾斜した面にほぼ並行する傾斜面を有することを特徴とするDNA分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−242348(P2011−242348A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116850(P2010−116850)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】