説明

フロー信号を抽出する超音波イメージング方法

本発明は、挙動する組織と流動する流動体とを有する対象領域から受信した反響信号からフロー信号を抽出する方法に関する。本方法は、少数のタイムサンプル内の反響信号からドップラー信号を計算するステップと、計算されたドップラー信号から第1及び第2の推定されたドップラー信号を分離するステップと、時間コヒーレンスをローカルに最大化する第1及び第2の推定されたドップラー信号の線形結合を計算するステップと、時間コヒーレンスの第1及び第2の最大値から第3及び第4の推定されたドップラー信号を求めるステップと、第3及び第4の推定されたドップラー信号を推定されたドップラークラッタ及びフローコンポーネントに分類するステップとを有する。本方法は最後に、推定されたドップラーフローコンポーネントから流動する流動体のモーション画像を形成するステップを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挙動する組織と流動する流動体とを有する対象領域から受信される反響信号からフロー信号を抽出する超音波イメージング方法に関する。本発明はまた、当該方法を利用するよう動作する超音波イメージングシステムに関する。
【0002】
本発明は、特に挙動する組織が典型的には動脈又は心臓壁であり、流動する流動体が血流である医療用超音波イメージング領域におけるそれの適用を見出すものである。
【背景技術】
【0003】
挙動する組織及び/又は流動する流動体を有する人体の対象領域に超音波信号ビームを送信すると、クラッタ(clutter)コンポーネントとフロー(flow)コンポーネントの両方を有する反響信号が受信される。クラッタコンポーネントを削除し、フローコンポーネントのある特性を抽出するための従来技術が開発されてきた。
【0004】
IB2003/004899により公表された国際特許出願では、
・挙動する組織と流動する流動体とを有する対象領域から少数のEL個のタイムサンプル内のマルチライン反響信号RSを受信するため、超音波データ信号ビームセットを形成する手段と、
・少数のEL個のタイムサンプル内の受信した反響信号から、挙動する組織に対応するドップラークラッタコンポーネントと、流動する流動体に対応するドップラーフローコンポーネントとを有するドップラー信号Xを計算する手段と、
・時間的には無相関であって、空間的には相関すると仮定されるドップラーフローコンポーネントとドップラークラッタコンポーネントとを分離する手段と、
・分離されたドップラーフローコンポーネントから画像を生成及び表示する手段と、
を有する超音波イメージングシステムが開示される。
【0005】
従来技術によると、この分離手段は、時間的には無相関であって、空間的には相関するドップラークラッタ及びフローコンポーネントの自己相関関数を計算するサブ手段と、自己相関関数から空間相関対角行列を計算するサブ手段と、当該対角行列からドップラークラッタ及びフローコンポーネントに対応する時間的に無相関のドップラーコンポーネントを分離するサブ手段とを有する。
【0006】
2つの直交信号を提供する主成分分析が実行される。この解析は、ドップラークラッタ及びフローコンポーネントが2つの異なる周波数を有するハーモニック信号によってモデル化することができるという仮定に基づく。限定数の送信が実行されるとき、取得されたドップラークラッタ及びフローコンポーネントが重複する複数の周波数を有する大きなスペクトルを有するという問題がある。このため、主成分分析は、ドップラークラッタ及びフローコンポーネントの確実な分離をもたらさない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上より、本発明の課題は、限定数のタイムサンプル内で計算されるドップラー信号のドップラークラッタ及びフローコンポーネントを確実に分離するための手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、
・挙動する組織と流動する流動体とを有する対象領域から、少数のEL個のタイムサンプルを有する反響信号RSを受信するため、超音波データ信号ビームセットを形成するステップと、
・前記少数のEL個のタイムサンプル内の前記受信した反響信号から、前記挙動する組織に対応するドップラークラッタコンポーネントと、前記流動する流動体に対応するドップラーフローコンポーネントとを有するドップラー信号Xを計算するステップと、
・前記ドップラー信号Xを第1の推定されるドップラー信号Zと第2の推定されるドップラー信号Zとの正規直交基底に分離するステップと、
【数3】

によって表される前記少数のEL個のタイムサンプルl上の前記ドップラー信号の時間コヒーレンスを最大化する前記第1及び第2の推定されたドップラー信号の線形結合を計算するステップと、
・前記コヒーレンスマップの第1及び第2最大値から第3及び第4の推定されるドップラー信号を求めるステップと、
・前記第3及び第4の推定されるドップラー信号を推定されるドップラークラッタコンポーネントと推定されるドップラーフローコンポーネントに分類するステップと、
・前記推定されるドップラーフローコンポーネントから前記対象領域の流動する流動体の画像を生成及び表示するステップと、
を有する方法により実現される。
【0009】
本発明によると、PCA解析がまず実行され、2つの第1の固有ベクトルが第1及び第2ドップラー信号を有する正規直交基底を提供する。その後、時間自己相関関数が、時間コヒーレンス関数として第1及び第2ドップラー信号の可能なすべての線形結合に対して計算され、この時間コヒーレンス関数を最大化する組み合わせが分離される。この時間コヒーレンス関数は、従来技術の自己相関関数と同様の方法では正規化されず、コヒーレンス最大化基準を効果的なものにする。時間コヒーレンスは、1つの信号については1に等しい又は近い値の最大値となるように、信号の組み合わせについては減少することが予想される。通常は、2つのコンポーネントが初期的なドップラー信号を形成するという仮説に従う2つのローカル最大値が検出されるが、フローコンポーネントが信号に存在しないことを意味する1つの最大値しか検出されない可能性もある。第1及び第2最大値は、必ずしも必要でない正規直交基底を構成し、それから、第3及び第4の推定されるドップラー信号を求めることが可能である。さらなる分類ステップは、第1及び第2最大値のそれぞれをドップラーフロー及びクラッタコンポーネントの中の対応するドップラーコンポーネントと関連付けするものである。
【発明の効果】
【0010】
従って、本発明による方法は、計算されたドップラー信号のドップラークラッタ及びフローコンポーネントの時間コヒーレンスの最大化に基づくものである。この結果、本発明によると、ドップラー及びフローコンポーネントのより確実な抽出が提供される。
【0011】
本発明による方法の効果は、時間コヒーレンスを計算するのに3つのタイムサンプルしか必要としないということである。
【0012】
本発明の上記及び他の特徴は、後述される実施例を参照して明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、挙動する組織と流動する流動体とを有する対象領域から受信した反響信号からフローコンポーネントを抽出し、当該フローコンポーネントのモーション画像を形成する超音波イメージング方法に関する。以下において、医療用超音波イメージングのある領域が検討され、挙動する組織と流動する流動体とは、典型的には動脈又は心臓壁と血流である。この領域では、3次元反響データセットの取得と血流のイメージングの両方が、動脈又は心臓疾患の早期の診断に対して真の付加価値を提供する。
【0014】
図1を参照するに、本発明による方法は、挙動する物体を有する対象領域から少数のEL個のタイムサンプルを有する反響信号RSを受信するため、超音波データ信号ビームセットを形成するステップ10と、当該少数のEL個のタイムサンプル内の受信した反響信号RSからドップラー信号Xを計算するステップ20とを有する。計算されたドップラー信号Xは、対象領域の挙動する組織と流動する流動体とにそれぞれ対応するドップラークラッタコンポーネントとドップラーフローコンポーネントとを有する。本発明による方法はさらに、ドップラー信号Xを第1ドップラー信号Zと第2ドップラー信号Zの正規直交基底に分離するステップ30を有する。その後、ステップ40は、上記少数のEL個のタイムサンプルlにおけるドップラー信号の時間コヒーレンスマップ(temporal coherence map)を最大化する第1及び第2ドップラー信号の線形結合を計算するためのものである。このような時間関数は、
【数4】

によって表される。
【0015】
2つのベーシスドップラー関数の線形結合から計算されるコヒーレンスマップの1又は2の最大値が決定され、対応する1又は2のドップラー信号ZM1とZM2が生成される。それらは、ドップラー信号Xの必須でない正規直交基底を構成し、それから、ドップラークラッタ及びフローコンポーネントの第3及び第4の推定されるドップラー信号X及びXがステップ50により求めることができる。分類ステップ60は、上記第3及び第4推定ドップラー信号X及びXを分類基準に従って、推定されるドップラークラッタ及びフローコンポーネントに分類するものである。ステップ70は、推定されたドップラーフローコンポーネントから流動する流動体を表すモーション画像を形成及び表示するものである。
【0016】
効果的には、ドップラー信号Xを第1ドップラー信号Z及び第2ドップラー信号Zの正規直交基底に分離するステップ30は、当業者に周知であるドップラー信号Xの主成分分析から構成される。
【0017】
ドップラー信号Xは、以下のように、ドップラーフローコンポーネントのマトリックスとドップラークラッタコンポーネントのマトリックスの線形結合として表すことができる。
【0018】
【数5】

ただし、X(P,T)は時間及び空間の関数であり、ドップラーフロー及びクラッタコンポーネントは時間のみの関数であり、それらの増幅係数A及びAClは空間のみの関数である。
【0019】
マトリックスによって、このような式は、X=A.Sとなる、ここで、Xは(n,EL)要素のマトリックスであり、nは空間ポジション番号であり、ELはタイムサンプルの個数であり、Aは(n,2)要素のマトリックスであり、Sは(2,EL)要素のマトリックスである。
【0020】
従って、分離ステップ30の目的は、Z=WX(WはA−1)に等しいマトリックスである)となるように、マトリックスSの推定Zを求めることである。これは、例えば、IB2003/004899により公表された従来技術文献に記載されるように、ドップラー信号X(P,T)の空間相関マトリックスを対角化することによって実現される。これは、フロー信号とクラッタ信号に対応する時間的に無相関のドップラーコンポーネントの分離を可能にする空間相関対角マトリックスを計算することを可能にする。このような空間相関対角マトリックスは、EL個の固有ベクトルを有し、それから、EL個の推定されたドップラー信号を求めることができる。2つの第1固有ベクトルは、推定される双方のドップラー信号の可能なすべての線形結合を形成するための正規直交基底を形成する第1の推定ドップラー信号Zと第2の推定ドップラー信号Zとして保持される。推定されたドップラー信号ZとZは、Z=WXとなるように、マトリックスZとして表すことができる。
【0021】
上記正規直交基底からスタートして、ステップ40の目的は、推定されたドップラー信号Z及びZのすべての可能な線形結合から時間コヒーレンス関数をローカルに最大化するものを検索することである。実際には、ドップラー信号の時間的に無相関なドップラーコンポーネントの1つのみに対応する線形結合が、1に等しい又は少なくとも近い時間コヒーレンスを有するべきである。なぜなら、それは他のドップラー信号と時間的に混合していないためである。
【0022】
推定されるドップラー信号Z及びZの線形結合は、
【数6】

として表すことが可能である。ただし、θ及びφは可能なすべての解をカバーすることを可能にするパラメータである。θは0〜π/2の間で変化すると予想され、φは−π〜πの間で変化すると予想される。
【0023】
時間コヒーレンスの振幅は、
【数7】

により計算される。ここで、ELは3以上である。
【0024】
図2を参照するに、θとφの関数としてZ及びZのすべての可能な線形結合を示すコヒーレンスマップが、効果的に利用される。ドップラーフロー及びクラッタコンポーネントに対応する、通常は2個の最大値がコヒーレンスマップ上で検出される。それらは、ペア(θ,φ)及び(θ,φ)により特定される。
【0025】
第1の最大値は、線形結合
【数8】

を表し、第2の最大値は、線形結合
【数9】

を表す。
【0026】
検索されたドップラーフロー及びクラッタコンポーネント
【数10】

は、式S=WZを検証するように、マトリックスWが取得され、Wは、
【数11】

として表すことができる。
【0027】
効果的には、分離指標SMは以下のように、すなわち、SM=det(W)として計算される。このような分離指標SMは、最大値ZM1とZM2の双方が互いにどの程度異なるか示し、これにより、取得された結果に関する信頼性指標を提供する。
【0028】
マトリックスSの最適化された推定は、ステップ40から求めることができる。2つのドップラーコンポーネントに対応するマトリックスSは、S=WZ=WX=WX(ただし、W=W)として表すことができる。振幅マトリックスAは、マトリックスWを反転することによって、すなわち、A=W−1により取得される。
【0029】
この結果、
【数12】

として表すことが可能な第3及び第4の推定されたドップラー信号X及びXが取得される。
【0030】
推定されたドップラー信号X及びXの何れが、それぞれドップラーフロー及びクラッタコンポーネントS及びSに対応しているかわかっていないという問題がある。
【0031】
この結果、分類ステップ60は、分類基準を利用して、上記推定されたドップラー信号をドップラーフロー及びクラッタコンポーネントに分類するためのものである。
【0032】
図3に示される本発明の実施例では、分類ステップ60は、以下の原則に基づく判定サブステップ61を有する。
・ステップ40によって、1つのみの最大値ZM1が検出された場合、ドップラー信号Xに存在するドップラーフローコンポーネントは存在しないことを意味する。このため、1つのみの推定されたドップラー信号Xが求められる。
【0033】
しかしながら、本発明による分類ステップ60は、効果的には、ドップラーフローコンポーネントが全く存在しないかチェックするサブステップ62を有する。これは、例えば、ドップラー信号Xに対して推定されたドップラー信号Xを減算することによって実現される。取得した差分となるドップラー信号X−Xの振幅が計算される。このような振幅がノイズ閾値レベルより高い場合、ドップラークラッタコンポーネントに対応する推定されたドップラー信号Xとドップラーフローコンポーネントに対応するX−Xである2つのドップラーコンポーネントが、ドップラー信号Xに存在するということが最終的に結論付けされる。そうでない場合、ドップラー信号Xのみがドップラークラッタコンポーネントを有し、流動する流動体は対象領域には存在しないことが決定される。
・2つの最大値X及びXがコヒーレンスマップにおいて検出された場合、ドップラークラッタとドップラーフローコンポーネントの間の最大値を分類するため、複数の分類基準を利用することができる。例えば、これらの分類基準は、コンポーネント寄与の振幅と測度を有するが、それらは、流動する流動体と挙動する組織に関して有している事前の知識に依存する。
【0034】
効果的には、分類ステップ60はさらに、実行された分類が検証指標と両立することをチェックすることから構成される分類を検証する検証サブステップ63を有する。このような検証指標は、例えば、分離指標SM、推定されたドップラー信号の相対振幅、
【数13】

となるような(ただし、
【数14】

はドップラー信号Xの時間空間コヒーレンスである)ドップラー信号Xのデコヒーレンス(decoherence)D、又は振幅と分離指標SMの組み合わせなど、以前に計算された指標である。
【0035】
対象領域が頸動脈であるときの分類の具体例が提供される。この場合、ドップラークラッタコンポーネントは弱いものであるかもしれず、1つの最大値のみが検出される。このチェックサブステップは、ドップラー信号Xと単一の最大値Xとの間の差分X−Xを計算する。この差分ドップラー信号が、ノイズによるだけでなく、分類基準として選択できないかチェックするのに振幅が利用される。なぜなら、この場合、ドップラークラッタコンポーネントは、ドップラーフローコンポーネントより大きな振幅を有するとは予想されないためである。好ましくは、この場合、速度の分類基準が利用される。検証として、生成されるドップラー信号XのデコヒーレンスDが計算される。このような検証指標は、ドップラー信号Xには2つのドップラーコンポーネントが存在するという事実を検証すべきである。
【0036】
本発明はまた、流動する流動体と挙動する組織などの第1及び第2の挙動する物体を有する対象領域をイメージングし、当該流動する流動体のモーション画像を形成する図3に示される医療用超音波イメージングシステムに関する。2次元トランスデューサアレイ101を有する超音波プローブ100が、当該プローブによる反響信号RSの受信と超音波信号TSの送信とを制御するビームフォーマッタモジュール110に接続される。ビームフォーマッタモジュール110は、増幅及び帯域通過フィルタリングなどの信号前処理のためのラジオ周波数(RF)信号処理モジュール120に接続される受信した反響信号を形成する。その後、RF信号は、少数のタイムサンプル内のドップラー信号Xを形成するよう動作するドップラーモジュール130に接続される。ドップラー信号Xが、対象領域の挙動する組織によるドップラークラッタコンポーネントと、流動する流動体によるドップラーフローコンポーネントとを有することが予想される。その後、ドップラー信号Xは、当該ドップラー信号Xを第2ドップラー信号Zと第1ドップラー信号Zの正規直交基底に分離するサブ手段141と、
【数15】

により表される上記少数のEL個のタイムサンプルl上のドップラー信号の線形結合の時間コヒーレンス値
【数16】

を最大化する第1及び第2ドップラー信号の線形結合を計算するサブ手段142とを有する信号プロセッサ140に接続される。通常は第1最大値ZM1と第2最大値ZM2であるいくつかの最大値が取得される。
【0037】
信号プロセッサ140はさらに、第1及び第2最大値から第3及び第4の推定されたドップラー信号X及びXを求めるためのサブ手段143と、分類基準を利用して、ドップラー信号X及びXを推定されるドップラークラッタEDCと推定されるドップラーフローEDFコンポーネントに分類するサブ手段144とを有する。本システムはさらに、信号プロセッサ140によって提供される推定されるドップラーフローコンポーネントEDFから流動する流動体のモーション画像MIと、受信した反響信号RSから2次元又は3次元構造画像とを形成するよう動作する画像処理モジュール150を有する。画像処理モジュールによって生成される画像は、画像ディスプレイ160上に表示される。図8のシステムのモジュールは、ユーザ制御インタフェース180に接続されるシステムコントローラ170の制御の下で動作する。
【0038】
上述した実施例は本発明を限定するものでなく、説明するためのものであり、当業者は、添付した請求項によって規定されるような本発明の範囲から逸脱することなく、他の多数の実施例を構成することが可能であるということに留意すべきである。請求項では、括弧内に置かれる参照符号は、請求項を限定するものとして解釈されるべきでない。要素の単数形による表現は、このような要素の複数の表現を排除するものでなく、その反対も同様である。本発明は、いくつかの異なる要素を有するハードウェアと適切にプログラムされたコンピュータとによって実現可能である。複数の手段を列挙した装置クレームでは、これらの手段のいくつかは、1つの同一のハードウェアアイテムによって実現可能である。ある手段が互いに異なる従属クレームにより記載されるという事実は、これらの手段の組み合わせが効果的に利用可能でないことを示すものではない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本発明による方法の概略図である。
【図2】図2は、2つのパラメータθ及びφの関数として第1及び第2ドップラー信号の可能なすべての線形結合のマップである。
【図3】図3は、本発明の実施例による分類ステップの概略図である。
【図4】図4は、本発明による超音波イメージングシステムの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挙動する組織と流動する流動体とを有する対象領域から、少数のEL個のタイムサンプルを有する反響信号RSを受信するため、超音波データ信号ビームセットを形成するステップと、
前記少数のEL個のタイムサンプル内の前記受信した反響信号から、前記挙動する組織に対応するドップラークラッタコンポーネントと、前記流動する流動体に対応するドップラーフローコンポーネントとを有するドップラー信号Xを計算するステップと、
前記ドップラー信号Xを第1の推定されるドップラー信号Zと第2の推定されるドップラー信号Zとの正規直交基底に分離するステップと、
【数1】

によって表される前記少数のEL個のタイムサンプルl上の前記ドップラー信号の時間コヒーレンスを最大化する前記第1及び第2の推定されたドップラー信号の線形結合を計算するステップと、
前記コヒーレンスマップの第1及び第2最大値から第3及び第4の推定されるドップラー信号を求めるステップと、
前記第3及び第4の推定されるドップラー信号を推定されるドップラークラッタコンポーネントと推定されるドップラーフローコンポーネントに分類するステップと、
前記推定されるドップラーフローコンポーネントから前記対象領域の流動する流動体の画像を生成及び表示するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記タイムサンプルの個数は、少なくとも3に等しい、請求項1記載の超音波イメージングシステム。
【請求項3】
前記線形結合を計算するステップは、前記第1及び第2最大値の分離指標を計算するサブステップを有する、請求項1記載の超音波イメージングシステム。
【請求項4】
前記分類ステップは、前記第3及び第4信号から、少なくとも1つの判定基準を用いて何れが前記ドップラーフローコンポーネントに対応するか決定する判定サブステップと、検証指標を用いて前記判定を検証する検証サブステップとを有する、請求項1記載の超音波イメージングシステム。
【請求項5】
前記判定基準は、前記第3及び第4信号の振幅を有する、請求項4記載の超音波イメージングシステム。
【請求項6】
前記判定基準は、前記第3及び第4信号の速度を有する、請求項4記載の超音波イメージングシステム。
【請求項7】
前記分類ステップは、1つのみの最大値しか検出されなかった場合、ドップラー差分信号を取得するため、前記ドップラー信号に対して前記最大値を減算することによって残りの信号が存在しないかチェックするサブステップを有する、請求項4記載の超音波イメージングシステム。
【請求項8】
前記チェックステップは、前記ドップラー差分信号の振幅とノイズ振幅閾値とを比較する、請求項7記載の超音波イメージングシステム。
【請求項9】
前記検証サブステップは、ラグ1により前記ドップラー信号から計算されたデコヒーレンス値を利用する、請求項4記載の超音波イメージングシステム。
【請求項10】
前記検証サブステップは、前記分離指標と乗算された前記第3及び第4信号の振幅に比例する検証指標を計算する、請求項3及び4何れか一項記載の超音波イメージングシステム。
【請求項11】
少数のタイムスタンプにおいて挙動する組織と流動する流動体とを有する対象領域に超音波信号ビームセットを送信する手段と、
前記対象領域から反響信号を受信する手段と、
前記反響信号から、ドップラークラッタコンポーネントと前記流動する流動体に対応するドップラーフローコンポーネントとを有するドップラー信号Xを計算する手段と、
前記ドップラー信号Xを第1の推定されるドップラー信号Zと第2の推定されるドップラー信号Zとの正規直交基底に分離する手段と、
【数2】

によって表される前記少数のEL個のタイムサンプルl上の前記ドップラー信号の時間コヒーレンスを最大化する前記第1及び第2の推定されたドップラー信号の線形結合を計算する手段と、
前記第1及び第2最大値から第3及び第4の推定されるドップラー信号を求める手段と、
前記第3及び第4の推定されるドップラー信号を推定されるドップラークラッタコンポーネントと推定されるドップラーフローコンポーネントに分類する手段と、
前記推定されるドップラーフローコンポーネントから前記対象領域の流動する流動体の画像を生成及び表示する手段と、
を有する超音波イメージングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−515521(P2008−515521A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535316(P2007−535316)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【国際出願番号】PCT/IB2005/053285
【国際公開番号】WO2006/038198
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】