説明

ブクホルジア属に属する植物の抽出物の化粧品および医薬品における使用

本発明は、ブクホルジア属に属する植物の抽出物ならびに化粧品目的に一般的な助剤および/または添加剤を含有する組成物に関する。該組成物および該抽出物を、化粧品目的に使用することができる。さらに、該抽出物を医薬品目的に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブクホルジア属に属する植物の抽出物ならびに化粧品目的に一般的な助剤および/または添加剤を含有する組成物に関する。該組成物および該抽出物を、化粧品目的に使用することができる。さらに、該抽出物を医薬品目的に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
ブクホルジア(Buchholzia)属は、植物フウチョウソウ(Capparidaceae)科に属する。植物Buchholzia coriacea Englerは、ブクホルジア属に属する植物の1種である。名称Buchholzia coriacea Englerの同義語は、Buchholzia coriacea、Buchholzia coriaceaeおよびBuchholzia coreaceaである。
Buchholzia thollonianaおよびBuchholzia macrophyllaは、ブクホルジア属に属する他の種である。
【0003】
植物ブクホルジア・コリアセア(Buchholzia coriacea)は、常緑の低木または中程度の大きさの木であり、密な樹冠、枝の末端に密集して螺旋状に配列した大きな光沢のある革のような葉、ならびに、枝の末端の総状花序において目立つクリーム白色の花を有する。植物ブクホルジア・コリアセアの樹皮は、滑らかな黒褐色または暗緑色である。切り込みは深紅色であり、暗褐色に変わる。
【0004】
植物ブクホルジア・コリアセアの葉は、次のように記述することができる:大きく、倒卵形、倒皮針形ないし楕円形であり、頂部において短く鋭いかまたは尖っており、基部において楔形であり、15〜30×5〜11cmであり、薄い革のようであり、無毛であり、主脈は下方で目立ち、約10の側部葉脈があり、それぞれが上方のものに直接つながって縁の近くに明瞭なループを形成し、下方で目立ち、柄は10〜15cm長さであり、両末端において約1cm膨らみ、淡緑色である。
【0005】
植物ブクホルジア・コリアセアの花は、次のように記述することができる:24cmまでの長さの、若枝の末端の葉の間の単純なまたはわずかに分岐した緩い総状花序において、1.3cm未満の柄を有する個々の花、4つの小さな丸い萼片が逆曲がりして厚い皿形の紫がかった花托を露出させ、花弁はなく、40〜45の雄しべはクリーム黄色の花糸および小さい紫がかった黒色の葯を有し、細く長い子房が細い柄の末端において雄しべを越えて突出している。
【0006】
植物ブクホルジア・コリアセアの果実は、次のように記述することができる:大きく、長い柄を持ち、楕円であり、アボカド果実に似ており、12×5〜8cmであり、内果皮は1.3cmまでの厚さおよび木質であり、熟したときに黄色がかっており、果肉は黄色であり、食べることができ、約2.5cm長さの、数個の大きな黒っぽい種子を含む。
【0007】
植物ブクホルジア・コリアセアは、ギニアないしカメルーンの地域およびガボンにおける低地雨林の木である。ガボンにおいて、植物ブクホルジア・コリアセアは、ときには医療および崇拝植物として栽培されている。
植物ブクホルジア・コリアセアの現地名称は、Cola pimento、elephant cola、oignon de Gorilleである。
【0008】
植物フウチョウソウ科に属する植物は、長年にわたり伝統的な民族医療に使用されており、植物のいくつかの属が、種々の疾患の治療のために記載されている。
【0009】
植物フウチョウソウ科に属する植物は、梅毒の治療、外傷の包帯、慢性潰瘍のために、また、ヘビ咬傷の治療のために使用されている。ある種のフウチョウソウ科の植物は、淋病、小児痙攣の治療のために、催淫薬として、および駆虫薬として使用されている。
【0010】
コートジボワールにおいて、植物ブクホルジア・コリアセアの小枝樹皮煎じ汁は、リウマチおよび腎臓痛の治療のために使用され、また、眼の感染症の治療(樹皮の粥状物を手のひらに注ぎ、吸入する)ならびに背痛の治療(果肉をもみ込む)のためにも使用されている。耳痛の治療のために、種子を少量の水中で粉砕し、得られた液体を耳に滴下する。エブリー(Ebrie)部族は、天然痘罹患者を植物ブクホルジア・コリアセアの樹皮煎じ汁で洗う。植物ブクホルジア・コリアセアの刺激性の味がする種衣を、コーラのように噛む。シエラレオネにおいて、植物ブクホルジア・コリアセアの葉、果実および白土からペーストが調製され、これが発熱の処置のために身体に塗られる。ナイジェリアにおいて、植物ブクホルジア・コリアセアの果実は、駆虫薬として使用されている。リベリアにおいて、植物ブクホルジア・コリアセアの種子は、内用では寄生虫および痛みに対して使用され、外用では皮膚疾患に対して使用されている。カメルーンにおいて、咳の処置のために、植物ブクホルジア・コリアセアの果実から薬剤が調製されている。植物ブクホルジア・コリアセアの若葉は、潰瘍および腫れ物のための粥状湿布剤において使用されている。ガボンにおいて、植物ブクホルジア・コリアセアの粉砕樹皮は、疥癬に対するローションとして使用され、植物ブクホルジア・コリアセアの果実は、駆虫薬として使用されている。かつては、若い戦士に植物ブクホルジア・コリアセアの生の根を与えて、戦闘の前に彼らを興奮させていた。
【0011】
植物ブクホルジア・コリアセアの化学組成については、わずかのことしかわかっていない。植物フウチョウソウ科は、グルコシノレートおよびアルカロイドの存在がよく知られている。
Delaveauら[Delaveau P.、Koudogbo B、Pousset JL.:「Alcaloides chez les Capparidaceae」、Phytochemistry、1973、Vol.12、p.2893-2895]によれば、コートジボワールからの植物ブクホルジア・コリアセアの葉試料は、アルカロイドL-スタキドリンおよびテトラメチルアンモニウム水酸化物を含有していないが、一方、これらの物質は、植物フウチョウソウ科の多くの構成員において見い出されている。
【0012】
植物ブクホルジア・コリアセアの幹の樹皮から、Koudogboらは、五環式トリテルペン(ルペオール)およびステロール類(カンペステロール、スチグマステロールおよびβ-シトステロール)ならびに3種類のアントシアンのアグリコン[ペラルゴニジン(赤-紫)、シアニジン(赤)およびアピゲニジン(黄)]を抽出した。3種類のグルコシノレートが見い出され、これらの1つがグルコカパリン(フウチョウソウ科の植物の特徴的化合物)と同定された。また、予備試験は、植物ブクホルジア・コリアセアの葉、幹樹皮および根が、タンニン、プロアントシアンおよびグリコシノレートを含有し、キノン類、フラボノイド類およびアルカロイド類を含有しないようであることを示した[Koudogbo B、Delaveau P.、Adjanohoun E.:「Sur une Capparidacee africaine、le Buchholzia coriacea Engler」、Annales Pharmaceutiques Francaises、1972、Vol.30、p.93-98]。
【0013】
植物ブクホルジア・コリアセアの葉および葉柄のメタノール抽出物は、インビトロで駆虫活性を示した[Ajaiyeoba EO、Onocha P.A、Olarenwaju OT.:「Buchholzia coriaceaeおよびGynandropsis gynandraの抽出物のインビトロ駆虫特性」、Pharmaceutical Biology、2001、Vol.39、p.217-220]。
【0014】
刊行物「VIVIEN J、FAURE JJ、Fruitiers sauvages du Cameroun、Fruits、Vol.43、1988、p.507-513」ならびに「G.E.WICKENS、Non-wood Forest products、No.5、Edible nuts、FAO編、1995、p.113」は、植物ブクホルジア・コリアセアの種子または仁は食べることができ、薬味を有し、香辛料(スパイス)として使用しうることを開示している。
【0015】
植物ブクホルジア・コリアセアのすり砕いた種子または仁は、アフリカの地方市場(カメルーン)で売られている伝統的かつ評価された催淫薬または興奮薬の成分である。アフリカの植物であるブクホルジア・コリアセアは、興奮薬、強壮薬、催淫薬として使用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の対象は、ブクホルジア属に属する植物(特に植物ブクホルジア・コリアセアの種子/仁)の抽出物が、化粧品(特に、ヒト皮膚の老化に関係する作用に対抗することを意図する皮膚用組成物)における活性成分として使用することを可能にする性質を有することを発見したことに基づく。さらに、これらの抽出物は、ヒト皮膚の疾患の治療に関係する医薬適用に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の1つの対象は、ブクホルジア属に属する植物の抽出物ならびに化粧品目的に一般的な助剤および/または添加剤を含有する組成物である。この組成物を、本発明の組成物と称する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の1つの態様において、化粧品目的に一般的な助剤および/または添加剤は、油成分、界面活性剤、乳化剤、油脂、ワックス、真珠色化ワックス、増粘剤、濃厚剤、過脂肪剤、安定剤、ポリマー、シリコーン化合物、レシチン、リン脂質、生物起源の活性成分、脱臭剤、抗微生物剤、発汗防止剤、皮膜形成剤、ふけ防止剤、膨潤剤、防虫剤、ヒドロトロープ剤、可溶化剤、防腐剤、芳香油および染料からなる群から選択される。
【0019】
本発明の1つの態様は、組成物中の抽出物の濃度が0.001〜25重量%である本発明の組成物である。重量%による量は、組成物の重量に対する乾燥抽出物の重量として算出する。
【0020】
本発明の1つの態様は、抽出物が、植物ブクホルジア・コリアセアまたはその部分の抽出物である本発明の組成物である。
本発明の1つの態様は、抽出物が、植物ブクホルジア・コリアセアの果実(好ましくは、外皮付きまたは外皮を取った種子)の抽出物である本発明の組成物である。
【0021】
本発明の1つの態様は、抽出物が、
(a)ブクホルジア属に属する植物またはこの植物の部分を、水、アルコールおよびこれらの混合物からなる群から選択される溶媒により抽出して、溶媒中の抽出物の溶液を得ること、および
(b)この溶液から溶媒を除去して抽出物を得ること、
によって得られる本発明の組成物である。
本発明の1つの態様において、この溶媒は、水または水中70容量%エタノールのいずれかである。
【0022】
極性溶媒または異なる極性溶媒の混合物、例えば、水または水とアルコール(好ましくは1〜6個の炭素原子を含むアルコール、例えばメタノール、エタノールまたはイソプロパノール)の混合物が、本発明に係る抽出物の製造に好ましい溶媒である。
2〜6個の炭素原子を含むポリオール、例えばプロピレングリコールまたはグリセロールまたはこれらの混合物を、上記した溶媒混合物におけるアルコールとして使用することもできる。
非極性または低極性溶媒も適している(例えば、超臨界二酸化炭素を使用することができる)。
マイクロ波または超音波を用いて抽出を助けることができる。
【0023】
本発明の別の対象は、ヒト身体(好ましくはヒト皮膚または頭皮)の化粧処置のための、ブクホルジア属に属する植物の抽出物または本発明の組成物の使用である。この使用を、本発明の使用と称する。
この使用の好ましい態様は、植物が上に特定した植物であるとき(または上に特定した植物の部分を使用するとき)に得られる。この使用のさらに好ましい態様は、抽出物が上に特定したように得られるときに得られる。
【0024】
本発明の使用のさらなる態様は、化粧処置が、ヒト線維芽細胞の増殖および/または代謝の刺激、あるいは、プロテオグリカン(例えばルミカンおよび/またはシンデカン)の合成の刺激、あるいは、抗老化および/または抗しわ作用、あるいは、ストレスを受けたかまたは疲労した皮膚における活力付与または活力回復作用、あるいは、老化および/または光老化した皮膚の修復の促進、あるいは、毛髪成長の促進、あるいは、毛髪損失の遅延、あるいは、特に酸化的ストレスおよび汚染物質に対する緩和および抗刺激作用、あるいは、プロテアーゼ阻害作用、あるいは、酸化防止作用、あるいは、UV-放射に対する保護、あるいは、IR-放射に対する保護、あるいは、皮膚炎症の軽減作用を含む本発明の使用である。
【0025】
本発明の使用のさらなる態様は、化粧処置が、敏感な皮膚、特に乾燥皮膚の処置を含む本発明の使用である。
本発明の使用のさらなる態様は、化粧処置が、メラニン合成の阻害作用または皮膚美白作用または皮膚色素沈着の軽減作用を含むか、あるいは、化粧処置が加齢斑の処置を含む本発明の使用である。
【0026】
本発明の別の対象は、化粧品組成物の製造のため、好ましくは請求項1〜4のいずれかに記載の組成物の製造のための、ブクホルジア属に属する植物の抽出物の使用である。
本発明の別の対象は、皮膚炎症の処置またはしゅさの処置のための薬剤の製造のための、ブクホルジア属に属する植物の抽出物の使用である。しゅさは、20〜50歳の女性において最も多く発生する真皮血管系の永久的拡張に起因する紅斑を特徴とする疾患である。血管過活動による反復顔面紅潮が、しゅさの原因であることが定着している。
【0027】
2つの上記パラグラフに規定した本発明の対象の好ましい態様は、抽出物または植物が、より具体的に規定されるときに得られる(本発明の組成物および使用に対して規定されたものと同様である)。
【0028】
本発明の対象の多くの利点は、特に、上記パラグラフ(例えばヒト線維芽細胞の増殖の刺激)および実施例に示されている。
【0029】
化粧品目的に一般的な助剤および添加剤は、油成分、界面活性剤、乳化剤、油脂、ワックス、真珠色化ワックス、増粘剤、濃厚剤、過脂肪剤、安定剤、ポリマー、シリコーン化合物、レシチン、リン脂質、生物起源の活性成分、脱臭剤、抗微生物剤、発汗防止剤、皮膜形成剤、ふけ防止剤、膨潤剤、防虫剤、ヒドロトロープ剤、可溶化剤、防腐剤、芳香油および染料からなる群から選択することができる。
【0030】
本発明の1つの態様において、化粧品目的に一般的な助剤および添加剤は、界面活性剤、乳化剤、油脂、ワックス、安定剤、脱臭剤、発汗防止剤、ふけ防止剤および芳香油からなる群から選択される。
【0031】
助剤および添加剤の合計含量は、化粧品および/または医薬品調製物を基準に、1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%であってよい。これらの調製物は、通常の冷間法または熱間法によって製造することができる。相反転温度法を使用するのが好ましい。
【0032】
本発明の目的のために、化粧品調製物はケア剤を意味することができる。ケア剤とは、皮膚および毛髪のためのケア剤を意味するものと解される。これらのケア剤には、特に、皮膚および毛髪のための洗浄および回復作用が含まれる。
【0033】
適用は、錠剤、糖衣錠、カプセル、ジュース、溶液および顆粒の形態で局所または経口であってよい。
【0034】
本発明の組成物および化粧品調製物は、化粧品および/または皮膚医薬品調製物、例えば、毛髪シャンプー、毛髪ローション、発泡浴剤、シャワー浴剤、クリーム、ゲル、ローション、アルコール性および水性/アルコール性溶液、エマルジョン、ワックス/油脂組成物、スティック調製物、粉末または軟膏の製造のために使用することができる。さらに、本発明の経口適用のための調製物は、錠剤、糖衣錠、カプセル、ジュース、溶液および顆粒に導入することもできる。
【0035】
存在していてよい界面活性剤(または界面活性物質)は、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性および/または両性または双性イオン性界面活性剤である。組成物中のこれらの含量は、通常は約1〜70重量%、好ましくは5〜50重量%、特に10〜30重量%である。
【0036】
陰イオン性界面活性剤の代表例は、石鹸、アルキルベンゼンスルホネート、アルカンスルホネート、オレフィンスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、グリセロールエーテルスルホネート、α-メチルエステルスルホネート、スルホ脂肪酸、アルキルスルフェート、脂肪アルコールエーテルスルフェート、グリセロールエーテルスルフェート、脂肪酸エーテルスルフェート、ヒドロキシ混合エーテルスルフェート、モノグリセリド(エーテル)スルフェート、脂肪酸アミド(エーテル)スルフェート、モノおよびジアルキルスルホスクシネート、モノおよびジアルキルスルホスクシナメート、スルホトリグリセリド、アミド石鹸、エーテルカルボン酸およびその塩、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、N-アシルアミノ酸(例えば、アシルラクチレート、アシルタルトレート、アシルグルタメートおよびアシルアスパルテート)、アルキルオリゴグルコシドスルフェート、タンパク質脂肪酸縮合物(特に、コムギに基づく植物生成物)、および、アルキル(エーテル)ホスフェートである。陰イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含有しているときには、これらは通常の同族体分布を有していてよいが、好ましくは狭い同族体分布を有する。
【0037】
非イオン性界面活性剤の代表例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエーテル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪アミンポリグリコールエーテル、アルコキシル化トリグリセリド、混合エーテルおよび混合ホルマール、所望により部分的に酸化したアルキル(アルケニル)オリゴグリコシドまたはグルクロン酸誘導体、脂肪酸N-アルキルグルカミド、タンパク質加水分解物(特に、コムギに基づく植物生成物)、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベートおよびアミンオキシドである。非イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含有しているときには、これらは通常の同族体分布を有していてよいが、好ましくは狭い同族体分布を有する。
【0038】
陽イオン性界面活性剤の代表例は、第四アンモニウム化合物、例えばジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、およびエステルクォート(ester quat)、特に第四級化した脂肪酸トリアルカノールアミンエステル塩である。
両性または双性イオン性界面活性剤の代表例は、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタインおよびスルホベタインである。
上記した界面活性剤は既知化合物である。これら物質の構造および製造については、関連の概説文献を参照することができる。
【0039】
特に適する穏やかな(即ち、特に皮膚に適合する)界面活性剤の代表例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテルスルフェート、モノグリセリドスルフェート、モノおよび/またはジアルキルスルホスクシネート、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、脂肪酸グルタメート、α-オレフィンスルホネート、エーテルカルボン酸、アルキルオリゴグルコシド、脂肪酸グルカミド、アルキルアミドベタイン、アンホアセタールおよび/またはタンパク質脂肪酸縮合物(好ましくは、コムギタンパク質に基づく)である。
【0040】
適する油成分は、例えば、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を含む脂肪アルコールに基づくゲルベアルコール、直鎖C6-22脂肪酸と直鎖または分岐鎖C6-22脂肪アルコールとのエステル、分岐鎖C6-13カルボン酸と直鎖または分岐鎖C6-22脂肪アルコールとのエステル、例えば、ミリスチルミリステート、ミリスチルパルミテート、ミリスチルステアレート、ミリスチルイソステアレート、ミリスチルオレエート、ミリスチルベヘネート、ミリスチルエルケート、セチルミリステート、セチルパルミテート、セチルステアレート、セチルイソステアレート、セチルオレエート、セチルベヘネート、セチルエルケート、ステアリルミリステート、ステアリルパルミテート、ステアリルステアレート、ステアリルイソステアレート、ステアリルオレエート、ステアリルベヘネート、ステアリルエルケート、イソステアリルミリステート、イソステアリルパルミテート、イソステアリルステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソステアリルオレエート、イソステアリルベヘネート、イソステアリルエルケート、オレイルミリステート、オレイルパルミテート、オレイルステアレート、オレイルイソステアレート、オレイルオレエート、オレイルベヘネート、オレイルエルケート、ベヘニルミリステート、ベヘニルパルミテート、ベヘニルステアレート、ベヘニルイソステアレート、ベヘニルオレエート、ベヘニルベヘネート、ベヘニルエルケート、エルシルミリステート、エルシルパルミテート、エルシルステアレート、エルシルイソステアレート、エルシルオレエート、エルシルベヘネートおよびエルシルエルケートなどである。
【0041】
また適するのは、直鎖C6-22脂肪酸と分岐鎖アルコール(特に2-エチルヘキサノール)とのエステル、C18-38アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖または分岐鎖C6-22脂肪アルコールとのエステル(特にジオクチルマレエート)、直鎖および/または分岐鎖脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ダイマージオールまたはトリマートリオール)および/またはゲルベアルコールとのエステル、C6-10脂肪酸に基づくトリグリセリド、C6-18脂肪酸に基づく液体のモノ/ジ/トリグリセリド混合物、C6-22脂肪アルコールおよび/またはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸(特に安息香酸)とのエステル、C2-12ジカルボン酸と1〜22個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖アルコールまたは2〜10個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシル基を含むポリオールとのエステル、植物油、分岐鎖の第一アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖および分岐鎖のC6-22脂肪アルコールカーボネート(例えば、ジカプリリルカーボネート;Cetiol CC)、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を含む脂肪アルコールに基づくゲルベカーボネート、安息香酸と直鎖および/または分岐鎖C6-22アルコールとのエステル(例えば、Finsolv TN)、アルキル基あたりに6〜22個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の対称または非対称のジアルキルエーテル(例えば、ジカプリリルエーテル;Cetiol OE)、エポキシ化脂肪酸エステルのポリオールによる開環生成物、シリコーン油(特に、シクロメチコーン、ケイ素メチコーン型)および/または脂肪族またはナフテン系炭化水素(例えば、スクアラン、スクアレンまたはジアルキルシクロヘキサン)である。
【0042】
適する乳化剤は、例えば、下記の群の少なくとも1つに由来する非イオン性界面活性剤である:
・8〜22個の炭素原子を含む直鎖脂肪アルコールへの、12〜22個の炭素原子を含む脂肪酸への、アルキル基に8〜15個の炭素原子を含むアルキルフェノールへの、および、アルキル基に8〜22個の炭素原子を含むアルキルアミンへの、エチレンオキシド2〜30モルおよび/またはプロピレンオキシド0〜5モルの付加生成物;
・アルキル(アルケニル)基に8〜22個の炭素原子を含むアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド、ならびに、そのエトキシル化類似体;
・ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油へのエチレンオキシド1〜15モルの付加生成物;
・ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油へのエチレンオキシド15〜60モルの付加生成物;
・グリセロールおよび/またはソルビタンと、12〜22個の炭素原子を含む不飽和、直鎖または飽和、分岐鎖の脂肪酸および/または3〜18個の炭素原子を含むヒドロキシカルボン酸との部分エステル、ならびに、エチレンオキシド1〜30モルを含むその付加生成物;
・ポリグリセロール(平均の自己縮合度2〜8)、ポリエチレングリコール(分子量400〜5000)、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、糖アルコール(例えばソルビトール)、アルキルグルコシド(例えば、メチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)およびポリグルコシド(例えばセルロース)と、12〜22個の炭素原子を含む飽和および/または不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の脂肪酸および/または3〜18個の炭素原子を含むヒドロキシカルボン酸との部分エステル、ならびに、エチレンオキシド1〜30モルを含むその付加生成物;
・ペンタエリトリトール、脂肪酸、クエン酸および脂肪アルコールの混合エステルおよび/または6〜22個の炭素原子を含む脂肪酸、メチルグルコースおよびポリオール(好ましくは、グリセロールまたはポリグリセロール)の混合エステル;
・モノ、ジおよびトリアルキルホスフェートならびにモノ、ジおよび/またはトリ-PEG-アルキルホスフェートおよびその塩;
・羊毛ワックスアルコール;
・ポリシロキサン/ポリアルキル/ポリエーテルコポリマーおよび対応する誘導体;
・ブロックコポリマー、例えば、ポリエチレングリコール-30 ジポリヒドロキシステアレート;
・ポリマー乳化剤、例えば、GoodrichのPemulenグレード(TR-1、TR-2);
・ポリアルキレングリコール;および
・グリセロールカーボネート。
【0043】
脂肪アルコール、脂肪酸、アルキルフェノールへの、またはヒマシ油への、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物は、既知の市販生成物である。これらは同族体混合物であり、その平均のアルコキシル化度は、付加反応を行う基質とエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドとの量比に対応する。グリセロールへのエチレンオキシドの付加生成物のC12/18脂肪酸モノエステルおよびジエステルは、化粧品調製物のための脂質層増強剤として知られている。
【0044】
アルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド、その製造およびその使用は、従来技術から既知である。これらは、グルコースまたはオリゴ糖と8〜18個の炭素原子を含む第一アルコールとを反応させることによって製造することができる。グリコシド基に関する限り、モノグリコシド(環状糖基がグリコシド結合によって脂肪アルコールに結合している)ならびにオリゴマーグリコシド(好ましくは約8までのオリゴマー化度を有する)の両方が適している。このオリゴマー化度は、統計学的平均値であり、この値は、上記のような工業用グレード製品に一般的な同族体分布に基づいている。
【0045】
適する部分グリセリドの代表例は、ヒドロキシステアリン酸モノグリセリド、ヒドロキシステアリン酸ジグリセリド、イソステアリン酸モノグリセリド、イソステアリン酸ジグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、オレイン酸ジグリセリド、リシノール酸モノグリセリド、リシノール酸ジグリセリド、リノール酸モノグリセリド、リノール酸ジグリセリド、リノレン酸モノグリセリド、リノレン酸ジグリセリド、エルカ酸モノグリセリド、エルカ酸ジグリセリド、酒石酸モノグリセリド、酒石酸ジグリセリド、クエン酸モノグリセリド、クエン酸ジグリセリド、リンゴ酸モノグリセリド、リンゴ酸ジグリセリド、ならびに、これらの工業用グレード混合物(これらは、製造方法に由来する副生成物として少量のトリグリセリドを含んでいることもある)である。また同様に適するのは、これらの部分グリセリドへのエチレンオキシド1〜30モル、好ましくは5〜10モルの付加生成物である。
【0046】
適するソルビタンエステルは、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンセスキイソステアレート、ソルビタンジイソステアレート、ソルビタントリイソステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノエルケート、ソルビタンセスキエルケート、ソルビタンジエルケート、ソルビタントリエルケート、ソルビタンモノリシノレエート、ソルビタンセスキリシノレエート、ソルビタンジリシノレエート、ソルビタントリリシノレエート、ソルビタンモノヒドロキシステアレート、ソルビタンセスキヒドロキシステアレート、ソルビタンジヒドロキシステアレート、ソルビタントリヒドロキシステアレート、ソルビタンモノタルトレート、ソルビタンセスキタルトレート、ソルビタンジタルトレート、ソルビタントリタルトレート、ソルビタンモノシトレート、ソルビタンセスキシトレート、ソルビタンジシトレート、ソルビタントリシトレート、ソルビタンモノマレエート、ソルビタンセスキマレエート、ソルビタンジマレエート、ソルビタントリマレエートならびにこれらの工業用グレード混合物である。また同様に適するのは、これらのソルビタンエステルへのエチレンオキシド1〜30モル、好ましくは5〜10モルの付加生成物である。
【0047】
適するポリグリセロールエステルの代表例は、ポリグリセリル-2 ジポリヒドロキシステアレート(Dehymuls PGPH)、ポリグリセロール-3 ジイソステアレート(Lameform TGI)、ポリグリセリル-4 イソステアレート(Isolan GI 34)、ポリグリセリル-3 オレエート、ジイソステアロイル ポリグリセリル-3 ジイソステアレート(Isolan PDI)、ポリグリセリル-3 メチルグルコース ジステアレート(Tego Care 450)、ポリグリセリル-3 蜜蝋(Cera Bellina)、ポリグリセリル-4 カプレート(Polyglycerol Caprate T2010/90)、ポリグリセリル-3 セチルエーテル(Chimexane NL)、ポリグリセリル-3 ジステアレート(Cremophor GS 32)、ポリグリセリル ポリリシノレエート(Admul WOL 1403)、ポリグリセリル ジメレート イソステアレートおよびこれらの混合物である。他の適するポリオールエステルの例は、トリメチロールプロパンまたはペンタエリトリトールと、ラウリン酸、ヤシ油脂肪酸、獣脂脂肪酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸などとの、モノ、ジおよびトリエステルである(これらを、所望によりエチレンオキシド1〜30モルと反応させてもよい)。
【0048】
さらに、双性イオン性界面活性剤を、乳化剤として使用することができる。用語「双性イオン性界面活性剤」は、分子中に少なくとも1つの第四アンモニウム基および少なくとも1つのカルボキシレート基および1つのスルホネート基を含む界面活性化合物を指す。特に適する双性イオン性界面活性剤は、ベタインであり、例えばN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばヤシ油アルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばヤシ油アシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート、および2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン(アルキル基またはアシル基にそれぞれ8〜18個の炭素原子を含む)、およびヤシ油アシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。特に好ましいのは、コカミドプロピルベタイン(Cocamidopropyl Betaine)のCTFA名称のもとで既知である脂肪酸アミド誘導体である。
同様に適する乳化剤は、両性界面活性剤である。用語「両性界面活性剤」は、分子中にC8/18アルキル基またはアシル基に加えて、少なくとも1つの遊離アミノ基および少なくとも1つの−COOH基または−SOH基を含有し、内部塩を形成することができる界面活性化合物を指す。適する両性界面活性剤の例は、N-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸(アルキル基にそれぞれ約8〜18個の炭素原子を含む)である。特に好ましい両性界面活性剤は、N-ヤシ油アルキルアミノプロピオネート、ヤシ油アシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12/18アシルサルコシンである。
最後に、陽イオン性界面活性剤も適する乳化剤であり、エステルクォート(ester quat)型の乳化剤、好ましくはメチルで第四級化したジ脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩が特に好ましい。
【0049】
使用しうる油脂およびワックスを以下に記載する。
油脂の代表例は、グリセリド、即ち、高級脂肪酸の混合グリセロールエステルから本質的になる固体または液体の植物または動物産物である。
適するワックスは、特に天然ワックス、例えばカンデリラワックス、カルナバワックス、木蝋、アフリカハネガヤワックス、コルクワックス、グアルマ(guaruma)ワックス、コメ胚油ワックス、サトウキビワックス、オウリキュリー(ouricury)ワックス、モンタンワックス、蜜蝋、セラックワックス、鯨蝋、ラノリン(羊毛ワックス)、尾羽脂、セレシン、オゾケライト(地蝋)、ペトロラタム、パラフィンワックス、微結晶ワックス;化学修飾したワックス(硬ワックス)、例えばモンタンエステルワックス、サゾール(sasol)ワックス、水素化ジョジョバワックス、ならびに、合成ワックス、例えばポリアルキレンワックスおよびポリエチレングリコールワックスである。
油脂に加えて、適する添加剤は、油脂様の物質、例えばレシチンおよびリン脂質である。用語「レシチン」は、脂肪酸、グリセロール、リン酸およびコリンからエステル化によって生成するグリセロリン脂質を意味するものと当業者に理解されている。従って、レシチンは、ホスファチジルコリン(PC)と称されることも多い。挙げることができる天然レシチンの例はケファリンである。これは、ホスファチジン酸とも称され、1,2-ジアシル-sn-グリセロール-3-リン酸の誘導体である。対照的に、リン脂質は、リン酸とグリセロールとのモノエステル、好ましくはジエステル(グリセロホスフェート)を意味するものと通常は理解されており、これは、一般に油脂と考えられている。さらに、スフィンゴシンおよびスフィンゴ脂質も適している。
【0050】
適する真珠色化ワックスの例は、アルキレングリコールエステル、特にエチレングリコールジステアレート;脂肪酸アルカノールアミド、特にヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド;部分グリセリド、特にステアリン酸モノグリセリド;多塩基性の所望によりヒドロキシ置換されたカルボン酸と、6〜22個の炭素原子を含む脂肪アルコールとのエステル、特に酒石酸の長鎖エステル;合計して少なくとも24個の炭素原子を含む脂肪化合物、例えば、脂肪アルコール、脂肪ケトン、脂肪アルデヒド、脂肪エーテルおよび脂肪カーボネート、特にラウロンおよびジステアリルエーテル;脂肪酸、例えばステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸またはベヘン酸;12〜22個の炭素原子を含むオレフィンエポキシドの、12〜22個の炭素原子を含む脂肪アルコールおよび/または2〜15個の炭素原子および2〜10個のヒドロキシル基を含むポリオールによる開環生成物;およびこれらの混合物である。
【0051】
使用しうる増粘剤および濃厚剤を以下に記載する。
適する増粘剤は、主に、12〜22個、好ましくは16〜18個の炭素原子を含む脂肪アルコールまたはヒドロキシ脂肪アルコール、さらに部分グリセリド、脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸である。これらの物質と、アルキルオリゴグルコシドおよび/または脂肪酸N-メチルグルカミド(同じ鎖長)および/またはポリグリセロール ポリ-12-ヒドロキシステアレートとの組合せが好ましい。
適する濃厚剤は、例えば、Aerosilグレード(親水性シリカ)、多糖、特にキサンタンゴム、グアール、寒天、アルギネートおよびチロース(Tylose)、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース、さらに比較的高分子量の脂肪酸ポリエチレングリコールモノエステルおよびジエステル、ポリアクリレート[例えば、CarbopolおよびPemulenグレード(Goodrich);Synthalen(Sigma);Keltrolグレード(Kelco);Sepigelグレード(Seppic);Salcareグレード(Allied Colloids)]、ポリアクリルアミド、ポリマー、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドン、界面活性剤(例えば、エトキシル化脂肪酸グリセリド)、脂肪酸とポリオール(例えば、ペンタエリトリトールまたはトリメチロールプロパン)とのエステル、狭い同族体分布を有する脂肪アルコールエトキシレートまたはアルキルオリゴグルコシド、ならびに、電解質(例えば、塩化ナトリウムおよび塩化アンモニウム)である。
【0052】
使用しうる過脂肪剤は、例えば、ラノリンおよびレシチン、さらにポリエトキシル化またはアシル化したラノリンおよびレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリドおよび脂肪酸アルカノールアミドである(後者は、発泡安定剤としても働く)。
使用しうる安定剤は、脂肪酸の金属塩、例えばステアリン酸またはリシノール酸のマグネシウム、アルミニウムおよび/または亜鉛塩である。
【0053】
使用しうるポリマーを以下に記載する。
適する陽イオン性ポリマーは、例えば、陽イオン性セルロース誘導体、例えば第四級化したヒドロキシエチルセルロース(AmercholからPolymer JR 400の名称で入手できる)、陽イオン性デンプン、ジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドのコポリマー、第四級化したビニルピロリドン/ビニルイミダゾールポリマー、例えばLuviquat(BASF)、ポリグリコールとアミンの縮合生成物、第四級化したコラーゲンポリペプチド、例えばラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン(Lamequat L、Gruenau)、第四級化したコムギポリペプチド、ポリエチレンイミン、陽イオン性シリコーンポリマー、例えばアミドメチコーン、アジピン酸とジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンのコポリマー(Cartaretin、Sandoz)、アクリル酸とジメチルジアリルアンモニウムクロリドのコポリマー(Merquat 550、Chemviron)、ポリアミノポリアミドおよびその架橋した水溶性ポリマー、陽イオン性キチン誘導体、例えば第四級化したキトサン(所望により微結晶分散している)、ジハロアルキル(例えばジブロモブタン)とビス-ジアルキルアミン(例えばビス-ジメチルアミノ-1,3-プロパン)との縮合生成物、陽イオン性グアールゴム(例えば、CelaneseからのJaguar CBS、Jaguar C-17、Jaguar C-16)、第四級化したアンモニウム塩ポリマー(例えば、MiranolからのMirapol A-15、Mirapol AD-1、Mirapol AZ-1)である。
【0054】
適する陰イオン性、双性イオン性、両性および非イオン性ポリマーは、例えば、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、ビニルピロリドン/アクリル酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル/マレイン酸ブチル/アクリル酸イソボルニルコポリマー、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマーおよびそのエステル、未架橋のポリアクリル酸およびポリオール架橋したポリアクリル酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、オクチルアクリルアミド/メタクリル酸メチル/tert-ブチルアミノエチルメタクリレート/2-ヒドロキシプロピルメタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタムターポリマーおよび所望により誘導体化したセルロースエーテルおよびシリコーンである。
【0055】
適するシリコーン化合物は、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環式シリコーン、ならびに、アミノ-、脂肪酸-、アルコール-、ポリエーテル-、エポキシ-、フッ素-、グリコシド-および/またはアルキル-修飾したシリコーン化合物である(これらは、室温で液体または樹脂形態のいずれかであることができる)。また適するのは、水素化シリケートおよび200〜300のジメチルシロキサン単位の平均鎖長を有するジメチコーンの混合物であるシメチコーンである。
【0056】
使用しうる脱臭剤および抗微生物剤を以下に記載する。
化粧品用脱臭剤は、体臭を相殺するか、遮蔽するか、または除去する。体臭は、アポクリン発汗における皮膚細菌の作用の結果として生じ、不快臭を有する分解生成物の生成を伴う。従って、脱臭剤は、抗微生物剤、酵素阻害剤、臭気吸収剤または臭気遮蔽剤として作用する活性成分を含有する。
【0057】
適する抗微生物剤は、基本的に、グラム陽性細菌に対して効果的な全ての物質であり、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸およびその塩およびエステル、N-(4-クロロフェニル)-N'-(3,4-ジクロロフェニル)尿素、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、2,2'-メチレン-ビス-(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、3-メチル-4-(1-メチルエチル)フェノール、2-ベンジル-4-クロロフェノール、3-(4-クロロフェノキシ)-1,2-プロパンジオール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート、クロロヘキシジン、3,4,4'-トリクロロカルバニリド(TTC)、抗細菌芳香物質、チモール、タイム油、オイゲノール、チョウジ油、メントール、ミント油、ファルネソール、フェノキシエタノール、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノラウレート(GML)、ジグリセロールモノカプレート(DMC)、サリチル酸N-アルキルアミド(例えば、n-オクチルサリチルアミドまたはn-デシルサリチルアミド)などである。
【0058】
適する酵素阻害剤は、例えばエステラーゼ阻害剤である。これらは、好ましくはクエン酸トリアルキル、例えばクエン酸トリメチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリブチル、特にクエン酸トリエチル(Hydagen CAT)である。これらの物質は、酵素活性を阻害し、これによって臭気の生成を減少させる。適するエステラーゼ阻害剤である他の物質は、ステロールのスルフェートまたはホスフェート、例えばラノステロール、コレステロール、カンペステロール、スチグマステロールおよびシトステロールのスルフェートまたはホスフェート、ジカルボン酸およびそのエステル、例えばグルタル酸、グルタル酸モノエチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸、アジピン酸モノエチル、アジピン酸ジエチル、マロン酸およびマロン酸ジエチル、ヒドロキシカルボン酸およびそのエステル、例えばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸または酒石酸ジエチル、およびグリシン酸亜鉛である。
【0059】
適する臭気吸収剤は、臭気生成化合物を吸収することができ、その大部分を保持することができる物質である。これらは、個々の成分の分圧を低下させ、こうしてその拡散速度を低下させる。この過程において、芳香物質が損なわれないままであることが重要である。臭気吸収剤は、細菌に対して効果的ではない。これらは、例えば主成分として、ラブダナムもしくはエゴノキの抽出物またはある種のアビエチン酸誘導体などの「保留剤」として当業者に知られている特定のほぼ臭気中性の芳香物質またはリシノール酸の錯亜鉛塩を含有する。
【0060】
臭気遮蔽剤は、その臭気遮蔽剤としての機能に加えて、そのそれぞれの芳香を脱臭剤に与える芳香物質または芳香油である。挙げることができる芳香油は、例えば、天然および合成の芳香物質の混合物である。天然の芳香物質は、花、茎および葉、果実、果皮、根、木、ハーブおよび草、針状葉および枝、樹脂およびバルサムの抽出物である。また適するのは、動物原料、例えばジャコウおよびビーバーである。通常の合成芳香化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の生成物である。エステル型の芳香化合物は、例えば、酢酸ベンジル、酢酸p-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、プロピオン酸スチラリルおよびサリチル酸ベンジルである。エーテルには、例えばベンジルエチルエーテルが含まれ、アルデヒドには、例えば8〜18個の炭素原子を含む直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアルおよびボルゲオナールが含まれる。ケトンには、例えばイオノンおよびメチルセドリルケトンが含まれ、アルコールには、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコールおよびテルピネオールが含まれ、炭化水素には、主にテルペンおよびバルサムが含まれる。しかし、好ましいのは、異なる芳香物質の混合物を使用することである(これらは一緒になって快い芳香を生じる)。また、比較的低揮発性の精油(これらのほとんどは芳香成分として使用される)も芳香油として適している。これらは、例えば、セージ油、カミツレ油、チョウジ油、メリッサ油、ミント油、シナモン葉油、シナノキ花油、ビャクシン果実油、ベチベルソウ油、オリバヌム油、ガルバヌム油、ラブダナム油およびラベンジン油である。以下のものを、単独でまたは混合物として使用するのが好ましい:即ち、ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアル、ライラール(lyral)、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイサムブレン・フォルテ(boisambrene forte)、アムブロキサン(ambroxan)、インドール、ヘジオン(hedione)、サンデリス(sandelice)、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコレート、シクロベルタール(cyclovertal)、ラベンジン油、サルビア油、β-ダマスコーン、ゼラニウム油バーボン、サリチル酸シクロヘキシル、ベルトフィックス・ケウアー(Vertofix coeur)、イソ-E-スーパー(iso-E-super)、フィクソリド(Fixolide)NP、エベルニル(evernyl)、イラルデイン(iraldein)ガンマ、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキシド、ロミラット(romilat)、イロチル(irotyl)およびフロラマット(floramat)。
【0061】
発汗防止剤は、エクリン汗腺の活性に影響を及ぼすことによって発汗を減少させ、こうして腋下の湿気および体臭を中和する。通常、水性または無水の発汗防止配合物は、1つまたはそれ以上の以下の成分を含有する:収斂性の活性成分、油成分、非イオン性乳化剤、共乳化剤、増粘剤、助剤、例えば濃厚剤または錯生成剤、および/または非水性溶媒(例えば、エタノール、プロピレングリコールおよび/またはグリセロール)。
【0062】
適する収斂性の発汗防止活性成分は、主に、アルミニウム、ジルコニウムまたは亜鉛の塩である。このような適する抗ヒドロ(antihydrotic)活性成分は、例えば、アルミニウムクロリド、アルミニウムクロロヒドレート、アルミニウムジクロロヒドレート、アルミニウムセスキクロロヒドレート、および、これらと例えば1,2-プロピレングリコールとの複合化合物、アルミニウムヒドロキシアラントイネート、アルミニウムクロリドタルトレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロヒドレート、および、これらと例えばアミノ酸(グリシンなど)との複合化合物である。
【0063】
さらに、通常の油溶性および水溶性の助剤が、発汗防止剤に比較的少量で存在していてもよい。
このような油溶性の助剤は、例えば、抗炎症性、皮膚保護性または芳香性の精油、合成の皮膚保護活性成分、および/または油溶性の芳香油であってよい。
【0064】
通常の水溶性の添加剤は、例えば、防腐剤、水溶性芳香物質、pH調節剤、例えば緩衝混合物、水溶性濃厚剤、例えば水溶性の天然または合成ポリマー、例えばキサンタンゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたは高分子量ポリエチレンオキシドである。
【0065】
使用しうる皮膜形成剤を以下に記載する。
通常の皮膜形成剤は、例えば、キトサン、微結晶キトサン、第四級化キトサン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸系列のポリマー、第四セルロース誘導体、コラーゲン、ヒアルロン酸およびその塩および同様の化合物である。
【0066】
適するふけ防止活性成分は、ピロクトン オラミン(pirocton olamine)[1-ヒドロキシ-4-メチル-6-(2,4,4-トリメチルペンチル)-2-(1H)-ピリジノン モノエタノールアミン塩]、Baypival(クリムバゾール;climbazole)、Ketoconazole(4-アセチル-1-{4-[2-(2,4-ジクロロフェニル) r-2-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)-1,3-ジオキシラン-c-4-イルメトキシフェニル}ピペラジン、ケトコナゾール、エルビオール、セレンジスルフィド、コロイド状イオウ、イオウポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート、イオウリシノールポリエトキシレート、イオウタールジスチレート、サリチル酸(または、ヘキサクロロフェンと組合せて)、ウンデシレン酸 モノエタノールアミド スルホスクシネートNa塩、Lamepon UD(タンパク質/ウンデシレン酸縮合物)、亜鉛ピリチオン、アルミニウムピリチオンおよびマグネシウムピリチオン/ジピリチオンマグネシウムスルフェートである。
【0067】
水相のための膨潤剤は、モンモリロナイト、粘土無機物質、ペムレン(Pemulen)およびアルキル修飾したカルボポール(Carbopol)グレード(Goodrich)であってよい。
適する防虫剤は、N,N-ジエチル-m-トルアミド、1,2-ペンタンジオールまたはブチルアセチルアミノプロピオン酸エチルである。
【0068】
流れ挙動を改善するために、ヒドロトロープ剤、例えばエタノール、イソプロピルアルコールまたはポリオールを使用することができる。ここで適するポリオールは、好ましくは2〜15個の炭素原子および少なくとも2個のヒドロキシル基を含有する。これらポリオールは、他の官能基、特にアミノ基を含有することもでき、また、窒素で修飾することもできる。その代表例は、以下の通りである:
・グリセロール;
・アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、および、ポリエチレングリコール(100〜1000ダルトンの平均分子量を有する);
・1.5〜10の自己縮合度を有する工業用グレードのオリゴグリセロール混合物、例えば40〜50重量%のジグリセロール含量を有する工業用グレードのジグリセロール混合物;
・メチロール化合物、例えばトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリトリトールおよびジペンタエリトリトール;
・低級アルキルグルコシド、特にアルキル基に1〜8個の炭素原子を含むもの、例えばメチルおよびブチルグルコシド;
・5〜12個の炭素原子を含む糖アルコール、例えばソルビトールまたはマンニトール;
・5〜12個の炭素原子を含む糖、例えばグルコースまたはスクロース;
・アミノ糖、例えばグルカミン;
・ジアルコールアミン、例えばジエタノールアミンまたは2-アミノ-1,3-プロパンジオール。
【0069】
適する防腐剤は、例えば、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン、ペンタンジオールまたはソルビン酸、および化粧品指針(Cosmetics Directive)の付属書6のパートAおよびBに挙げられている他の群の物質である。
【0070】
使用しうる芳香油は、好ましくは天然および合成の芳香物質の混合物である。天然の芳香物質は、花(ユリ、ラベンダー、バラ、ジャスミン、ネロリ、イランイラン)、茎および葉(ゼラニウム、パチョリ、プチグレイン)、果実(アニス、コエンドロ、ヒメウイキョウ、ビャクシン)、果皮(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根(ニクズク、アンゼリカ、セロリ、カルダモン、コスタス、アイリス、カルムス)、木(マツ、ビャクダン、ユソウボク、シーダー材、シタン)、ハーブおよび草(タラゴン、レモングラス、セージ、タイム)、針状葉および枝(トウヒ、モミ、マツ、低マツ)、樹脂およびバルサム(ガルバヌム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、乳香、オポパナックス)の抽出物である。また適するのは、動物原料、例えばジャコウおよびビーバーである。通常の合成芳香化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の生成物である。エステル型の芳香化合物は、例えば、酢酸ベンジル、イソ酪酸フェノキシエチル、酢酸p-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、エチルメチルフェニルグリシネート、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、プロピオン酸スチラリルおよびサリチル酸ベンジルである。エーテルには、例えばベンジルエチルエーテルが含まれ、アルデヒドには、例えば8〜18個の炭素原子を含む直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアルおよびボルゲオナールが含まれる。ケトンには、例えば、イオノン、α-イソメチルイオノンおよびメチルセドリルケトンが含まれ、アルコールには、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコールおよびテルピネオールが含まれ、炭化水素には、主にテルペンおよびバルサムが含まれる。しかし、異なる芳香物質の混合物(これらは一緒になって快い芳香を生じる)を使用するのが好ましい。比較的低揮発性の精油(これらのほとんどは芳香成分として使用される)も芳香油として適している。これらは、例えば、セージ油、カミツレ油、チョウジ油、メリッサ油、ミント油、シナモン葉油、シナノキ花油、ビャクシン果実油、ベチベルソウ油、オリバヌム油、ガルバヌム油、ラブダナム油およびラベンジン油である。以下のものを、個々にまたは混合物として使用するのが好ましい:即ち、ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアル、ライラール(lyral)、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイサムブレン・フォルテ(boisambrene forte)、アムブロキサン(ambroxan)、インドール、ヘジオン(hedione)、サンデリス(sandelice)、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコレート、シクロベルタール(cyclovertal)、ラベンジン油、サルビア油、β-ダマスコーン、ゼラニウム油バーボン、サリチル酸シクロヘキシル、ベルトフィックス・ケウアー(Vertofix coeur)、イソ-E-スーパー(iso-E-super)、フィクソリド(Fixolide)NP、エベルニル(evernyl)、イラルデイン(iraldein)ガンマ、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキシド、ロミラット(romilat)、イロチル(irotyl)およびフロラマット(floramat)。
【0071】
使用しうる染料は、化粧品目的に認められかつ適している物質である。通常、これらの染料は、混合物全体を基準に、0.001〜0.1重量%の濃度で使用される。
【実施例】
【0072】
%(w/v)は「%(重量/容量)」を意味し、1%(w/v)は1g/100mlを意味する。
実施例1:熱水抽出物
植物ブクホルジア・コリアセアの乾燥種子(200g)を、ブレード粉砕機において粉砕した。次に、これを、2リットルの蒸留水を入れたガラス反応器に導入した(原料:溶媒の比=1:10)。80〜85℃の温度で1時間、振盪しながら抽出を行った。次に、この混合物を室温(20℃)まで冷却した。5000gで15分間遠心し、次いで深フィルター(0.45μm)で濾過することによって、液体および固体分画を分離した。黄色の抽出物を噴霧乾燥によって乾燥した。抽出した種子に基づく収率は13.6%であった。
【0073】
実施例2:室温での水抽出物
植物ブクホルジア・コリアセアの乾燥種子(200g)を、ブレード粉砕機において粉砕した。次に、これを、2リットルの蒸留水を入れたガラス反応器に導入した(原料:溶媒の比=1:10)。所望により、この懸濁液を超音波で処理して、抽出を促進することができた(条件:時間:10分間、パルス:5秒間、2つのパルス間の待ち時間:9.9秒、振幅:100%)。懸濁液を、室温(25℃)で1時間、振盪しながら抽出した。5000gで15分間遠心し、次いで深フィルター(0.45μm)で濾過することによって、液体および固体分画を分離した。濾液は黄色であった。この黄色抽出物を、凍結乾燥または噴霧乾燥によって乾燥した。抽出した種子に基づく収率は、使用した原料のバッチに依存して、8.9〜14.5%であった。
【0074】
実施例3:マルトデキストリン添加
噴霧乾燥前に実施例3の溶液に、マルトデキストリン(50重量%)を添加した。
【0075】
実施例4:エタノールおよび水の混合物による抽出(70容量%エタノール)
ガラス反応器において、2リットルの水中エタノール(70%)および植物ブクホルジア・コリアセアの粉砕した種子(200g)を混合した。還流下に1時間、振盪しながら抽出を行った。次に、この混合物を室温まで冷却した。深フィルター(5μm)で濾過することによって、液体および固体分画を分離した。不溶性の残留物を、200mlのエタノール(水中70%)で濯いだ。2つの濾液を合計し、0.45μmフィルターで濾過した。得られた液体の濃縮を、真空下に30℃で行った。次に、これを凍結乾燥した。抽出物の収率は、使用した原料のバッチに依存して、粉砕した種子に対して7.4〜8.1%であった。
【0076】
実施例5:実施例1〜3の抽出物の活力付与および再生作用
実施例5の目的および原理:
これらの試験の目的は、インビトロ培養したヒト線維芽細胞において、植物抽出物の活力付与および再生活性を評価することである。
実施例5の方法:
ヒト線維芽細胞において増殖有効性試験を行って、再生および増殖因子様活性を評価した。ヒト線維芽細胞において生存有効性試験を行って、再生および活力付与活性を評価した。
【0077】
細胞数および細胞生存率は、以下のパラメーターを記録することによって決定した:
・タンパク質レベルは、Bradfordの方法に従って評価した[Bradford:「タンパク質-染料結合の原理を利用するマイクログラム量のタンパク質の定量のための迅速かつ高感度の方法」、Analytical Biochemistry、Vol.72、p.248-254、1976]。
・グルタチオン(GSH)は、酸化的ストレスまたはある種の汚染物質(水銀または鉛など)から細胞を保護するために、細胞によって産生されるペプチドである。還元形態のGSHに関与する3個のアミノ酸が、ATP(アデノシン三リン酸)を利用する特異的な細胞質酵素によって結合される。GSHレベルを、Hissinの方法によって評価した[Hissin P.J.、Hilf R.:「組織中の酸化および還元されたグルタチオンを測定するための蛍光法」、Analytical Biochemistry、1976、Vol.74、p.214-226]。
【0078】
・DNAレベルは、蛍光プローブ(Hoechst 33258)を用いて評価した[Desaulniers D.、Leingartner K.、Zacharewski T.およびFoster W.G.:「MCF7-E3細胞増殖アッセイの最適化ならびに環境汚染物質および工業化学物質の効果」、1998、Toxic In vitro、Vol.12、No.4、p.409-422]。
・ATP(アデノシン三リン酸)は、エネルギーに富む化合物であり、主にミトコンドリアから産生される。細胞は、細胞骨格、イオンチャンネル、栄養取込み、および他の多数の生物学的過程を制御する多くの酵素の活性のためにATPを必要とする[Vasseur P.、Aerts C.:「Appreciation de la cytotoxicite par la mesure de l'ATP」、Journal Francais Hydrologie、1981、Vol.9、p.149-156]。
【0079】
結果を、標準範囲を参考にして、対照に対する%で算出し、最後に3重に行った通常は2回または3回のアッセイの平均として表した。
【表1】

【0080】
【表2】

【0081】
実施例5からの結論:
・抽出物は、0.25〜0.3%(w/v)で、培養ヒト線維芽細胞に対してどのような毒性作用をも示さなかった。
・抽出物は、0.1%(w/v)で、インビトロ培養したヒト線維芽細胞の増殖および代謝を明らかに改善した。
・即ち、抽出物は、化粧品用途のための抗老化、活力回復および活力付与活性成分として、良好な潜在能力を供した。
【0082】
実施例6:ヒト線維芽細胞におけるUV-A作用の阻害
実験の目的:ヒト線維芽細胞の生存割合におけるUV-A放射の陰性効果を減少させる試験成分の潜在能力の測定
実験のプロトコール:
・ヒト線維芽細胞を増殖培地に播種
・37℃、CO=5%(雰囲気:空気中5%二酸化炭素)で3日間インキュベート
・増殖培地を、ある濃度範囲の試験成分を含む培地と交換
・37℃、CO=5%で2日間インキュベート
・成分を含む培地を平衡塩類溶液と交換およびUV-A照射(20J/cm)
・放出されたMDAレベルを、分光蛍光法によって記録[MDA(マロナルジアルデヒド)は、細胞膜由来の脂質の酸化分解生成物である]
・細胞内タンパク質を、Bradfordの方法によって記録
【0083】
【表3】


UV-A照射は、ヒト線維芽細胞におけるMDAの放出を強く誘発した。ビタミンEは、UV-A照射した線維芽細胞から放出されるMDAの割合を強く減少させた。
ブクホルジア抽出物は、ヒト線維芽細胞をUV-A毒性から保護する良好な潜在能力を示した。
【0084】
実施例7:ヒト角化細胞におけるUV-B作用の阻害
実験の目的:ヒト角化細胞の生存割合におけるUV-B放射の陰性効果を減少させる試験成分の潜在能力の測定
UV-B放射が、ホスホリパーゼA2(PLA2)などの酵素を刺激することによって皮膚炎症を誘発することはよく知られている。この酵素は、プロスタグランジンPGE2などの炎症媒介物質の前駆体であるアラキドン酸の放出を触媒する。さらに、この膜ストレスは、細胞質酵素:乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の放出につながる。
実験のプロトコール:
・ヒト角化細胞を増殖培地に播種
・37℃、CO=5%(雰囲気:空気中5%二酸化炭素)で3日間インキュベート
・増殖培地を、ある濃度範囲の試験成分を含む平衡塩類溶液と交換
・UV-Bによる角化細胞の照射(30mJ/cm)
・37℃、CO=5%で1日間インキュベート
・細胞数を、蛍光プローブを用いるDNA測定によって記録
・放出されたLDH(酵素反応による)および放出されたPGE2(ELISA法による)のレベルを記録
【0085】
【表4】


UV-B照射は、放出されるLDHおよびPGE2のレベルの増加を強く誘発し、細胞数の約85%の減少を誘発した。アスピリンは、放出されるLDHおよびPGE2のレベルを強く減少させ、UV-B照射した角化細胞の細胞数レベルを強く増加させた。
ブクホルジア抽出物は、ヒト角化細胞をUV-B作用から保護する良好な潜在能力を示した。
【0086】
実施例8:メラニン合成の阻害
実験の目的:メラニン合成を低下させる化合物の潜在能力の評価(B16と称されるメラニン細胞の細胞培養物において化合物を試験した)
B16メラニン細胞における有効性試験のプロトコール:
・メラニン細胞を増殖培地に播種
・37℃、CO=5%(雰囲気:空気中5%二酸化炭素)で3日間インキュベート
・増殖培地を、ある濃度範囲の試験成分を含む培地と交換
・37℃、CO=5%(雰囲気:空気中5%二酸化炭素)で3日間インキュベート
・細胞のタンパク質レベルを、Bradfordの方法によって記録
・メラニンを、分光法(475nmにおけるOD)によって記録
【0087】
【表5】


コウジ酸は、処理したB16メラニン細胞から放出されるメラニンの割合を強く減少させた。
ブクホルジア抽出物は、メラニン合成の明らかな阻害を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ブクホルジア属に属する植物の抽出物、および
(b)化粧品目的に一般的な助剤および/または添加剤、
を含有する組成物。
【請求項2】
化粧品目的に一般的な助剤および/または添加剤が、油成分、界面活性剤、乳化剤、油脂、ワックス、真珠色化ワックス、増粘剤、濃厚剤、過脂肪剤、安定剤、ポリマー、シリコーン化合物、レシチン、リン脂質、生物起源の活性成分、脱臭剤、抗微生物剤、発汗防止剤、皮膜形成剤、ふけ防止剤、膨潤剤、防虫剤、ヒドロトロープ剤、可溶化剤、防腐剤、芳香油および染料からなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物中の抽出物の濃度が0.001〜25重量%である請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
抽出物が、
(a)ブクホルジア属に属する植物またはこの植物の部分を、水、アルコールおよびこれらの混合物からなる群から選択される溶媒により抽出して、溶媒中の抽出物の溶液を得ること、および
(b)この溶液から溶媒を除去して抽出物を得ること、
によって得られる請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
ヒト身体の化粧処置のための、ブクホルジア属に属する植物の抽出物または請求項1〜4のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項6】
化粧処置が、
・ヒト線維芽細胞の増殖および/または代謝の刺激;または
・抗老化および/または抗しわ作用;または
・ストレスを受けたかまたは疲労した皮膚における活力付与または活力回復作用;または
・老化および/または光老化した皮膚の修復の促進;または
・毛髪成長の促進;または
・毛髪損失の遅延;または
・特に酸化的ストレスおよび汚染物質に対する緩和および抗刺激作用;または
・プロテアーゼ阻害作用;または
・酸化防止作用;または
・UV-放射に対する保護;または
・IR-放射に対する保護;または
・皮膚炎症の軽減作用;
を含む請求項5に記載の使用。
【請求項7】
化粧処置が、敏感な皮膚、特に乾燥皮膚の処置を含む請求項5に記載の使用。
【請求項8】
化粧処置がメラニン合成の阻害作用または皮膚美白作用を含む請求項5に記載の使用。
【請求項9】
化粧品組成物の製造のため、好ましくは請求項1〜4のいずれかに記載の組成物の製造のための、ブクホルジア属に属する植物の抽出物の使用。
【請求項10】
皮膚炎症の処置またはしゅさの処置のための薬剤の製造のための、ブクホルジア属に属する植物の抽出物の使用。

【公表番号】特表2007−530476(P2007−530476A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504307(P2007−504307)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002729
【国際公開番号】WO2005/089705
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(502021660)コグニス・フランス・ソシエテ・パール・アクシオン・サンプリフィエ (21)
【氏名又は名称原語表記】COGNIS FRANCE, S.A.S
【Fターム(参考)】