説明

ブラインドシャッタ装置

【課題】冬場の日射光を充分に取り込むことができるブラインドシャッタ装置を得る。
【解決手段】ブラインドシャッタ装置は複数のスラット22を備えている。スラット22の凹面側には鏡面22Aが設けられ、又凸面側には光拡散面22Bが設けられている。さらに、スラット22の開度は自動調整されるようになっている。冬期の昼間にはスラット22は鏡面22Aを上にして水平に保持され、夏期の昼間には光拡散面22Bを屋外側に向けて傾斜状態とされる。さらに、夜間は鏡面22Aを室内側に向けて垂直に保持されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラインドシャッタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、複数のスラットにより構成されたシャッタカーテンを備えたブラインドシャッタ装置が開示されている。具体的には、このブラインドシャッタ装置では、捕捉部材、カム体及び制御板を備えることにより、コントローラの通気スイッチが押されると、スラットを所定角度回動させて、通気ができるように構成されている点に特長がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−061138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記先行技術による場合、通気が可能になるものの、冬場の日射光の取り込みが不充分であり、この点において上記先行技術は改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、冬場の日射光を充分に取り込むことができるブラインドシャッタ装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明に係るブラインドシャッタ装置は、建物の開口部の上縁側に設置されると共に内部に巻取軸を有する装置本体部と、前記巻取軸に巻き取られ、各々短冊状に形成されると共に支軸回りに回動可能とされ、開口部の高さ方向に並置されると共に相互に連結された複数のスラットと、前記スラットを支軸回りに回動させるスラット開閉機構と、を有し、さらに、前記複数のスラットの少なくとも一つは、片面に鏡面を有している。
【0007】
請求項2記載の本発明に係るブラインドシャッタ装置は、請求項1記載の発明において、前記鏡面を有するスラットは、支軸回りに回動されることにより、当該鏡面を開口部の上縁側へ向ける水平位置と、当該鏡面を開口部に対向させる垂直位置に保持可能とされている、ことを特徴としている。
【0008】
請求項3記載の本発明に係るブラインドシャッタ装置は、請求項2記載の発明において、前記スラットの前記片面は、凹面とされている、ことを特徴としている。
【0009】
請求項4記載の本発明に係るブラインドシャッタ装置は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記鏡面を有するスラットは、当該鏡面が設けられた片面と反対側の面に光を拡散して反射する光拡散面を有する、ことを特徴としている。
【0010】
請求項5記載の本発明に係るブラインドシャッタ装置は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発明において、前記スラット開閉機構に駆動力を付与する駆動手段と、日付情報及び時刻情報に基づいて、前記鏡面で反射した反射光が室内天井側へ入射されるように前記駆動手段を駆動させる制御手段と、を有することを特徴としている。
【0011】
請求項6記載の本発明に係るブラインドシャッタ装置は、請求項4記載の発明において、前記スラット開閉機構に駆動力を付与する駆動手段と、日付情報及び時刻情報に基づいて、前記光拡散面で日射光を反射して日射光を遮蔽するように前記駆動手段を駆動させる制御手段と、を有することを特徴としている。
【0012】
請求項7記載の本発明に係るブラインドシャッタ装置は、請求項5記載の発明において、日射光の入射角度を検出する入射角度検出手段と、前記入射角度検出手段の検出結果に基づいて、前記鏡面で反射した反射光が室内天井側へ入射されるように前記駆動手段を駆動させる制御手段と、を有することを特徴としている。
【0013】
請求項1記載の本発明によれば、建物の開口部の上縁側に設置された装置本体部の内部には巻取軸が配設されている。この巻取軸が巻取方向に回転すると複数のスラットが巻取軸に巻き取られていき、逆に巻取軸が繰出し方向に回転すると複数のスラットが巻取軸から繰出されていく。
【0014】
ここで、本発明では、複数のスラットの少なくとも一つは片面に鏡面を有しているので、スラット開閉機構によりスラットを支軸回りに回動させて鏡面が上面側に配置されるようにすることができる。このため、例えば冬場の日中には鏡面を上に向けておけば、日射光が鏡面で反射して室内の天井を照射する。このようにすれば、日照時間が少ない冬場にも充分に日射光を室内に取り込むことができる。なお、これにより電気代を節約できるメリットもある。
【0015】
請求項2記載の本発明によれば、スラットを水平位置及び垂直位置に保持することができる。スラットが水平位置に保持された場合には、鏡面が建物の開口部の上縁側を向くため、冬場の日射光の取込みに有効である。一方、スラットが垂直位置に保持された場合には、鏡面が建物の開口部に対向するため、夜間に室内照明を屋外へ漏らさずに室内照明から照射された照明光を鏡面で反射して室内へ戻すことができる。このため、弱い照明光でも室内の明るさを確保することができる。
【0016】
請求項3記載の本発明によれば、スラットの鏡面側となる片面が凹面とされているので、冬場の日射光を凹面で集光して室内の天井に照射するといったことが可能になる。
【0017】
請求項4記載の本発明によれば、スラットの鏡面側と反対側の面に光拡散面が設けられているので、例えば、夏場の日差しが強く日射を遮蔽させたい場合には、光拡散面を日射を遮蔽できる角度に調整するといった使い方が可能になる。仮に鏡面を日射遮蔽に用いると隣家に反射光が差し込むおそれがあるが、本発明では鏡面側と反対側の面に光拡散面を有するため、そのような事態を回避することができる。
【0018】
請求項5記載の本発明によれば、制御手段は、日付情報及び時刻情報に基づいて駆動手段を駆動させる。このため、スラット開閉機構が作動して、鏡面で反射した反射光が室内天井側へ入射されるようにスラットの開度が調整される。
【0019】
請求項6記載の本発明によれば、制御手段は、日付情報及び時刻情報に基づいて駆動手段を駆動させる。このため、スラット開閉機構が作動して、光拡散面で日射光を反射して日射光を遮蔽するようにスラットの開度が調整される。
【0020】
請求項7記載の本発明によれば、入射角度検出手段によって日射光の入射角度が検出されると、それに基づいて制御手段が駆動手段を駆動させる。このため、スラット開閉機構が作動して、鏡面で反射した反射光が室内天井側へ入射されるようにスラットの開度が調整される。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係るブラインドシャッタ装置は、冬場の日射光を充分に取り込むことができるという優れた効果を有する。
【0022】
請求項2記載の本発明に係るブラインドシャッタ装置は、冬場の日射光を充分に取り込むことができると共に、夜間における省エネを図ることができるという優れた効果を有する。
【0023】
請求項3記載の本発明に係るブラインドシャッタ装置は、室内を効果的に明るくすることができるという優れた効果を有する。
【0024】
請求項4記載の本発明に係るブラインドシャッタ装置は、日差しが強い夏場において隣家に影響が出ないかたちで日射遮蔽効果を上げることができるという優れた効果を有する。
【0025】
請求項5記載の本発明に係るブラインドシャッタ装置は、冬場に、日付情報及び時刻情報に基づいて自動的に日射光を取り込むことができるという優れた効果を有する。
【0026】
請求項6記載の本発明に係るブラインドシャッタ装置は、夏場に、日付情報及び時刻情報に基づいて自動的に日射光を遮蔽することができるという優れた効果を有する。
【0027】
請求項7記載の本発明に係るブラインドシャッタ装置は、冬場に、日射光の入射角度に応じて自動的に日射光を室内に取り込むことができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態に係るブラインドシャッタ装置の冬期の昼間の使用態様を示す概略立面図である。
【図2】本実施形態に係るブラインドシャッタ装置の夏期の昼間の使用態様を示す図1に対応する概略立面図である。
【図3】本実施形態に係るブラインドシャッタ装置の夜間の使用態様を示す図1に対応する概略立面図である。
【図4】本実施形態に係るブラインドシャッタ装置の正面図である。
【図5】本実施形態に係るブラインドシャッタ装置のスラット開閉機構の要部を示す要部拡大斜視図である。
【図6】(A)はラックバーが退避位置にある場合を示す平面図であり、(B)はラックバーが前進位置にある場合を示す平面図である。
【図7】本実施形態に係るブラインドシャッタ装置のシステム概要を示すブロック図である。
【図8】本実施形態に係るブラインドシャッタ装置の使用の仕方を説明するためのフローチャートである。
【図9】(A)は夜間の使用態様を示すブラインドシャッタの斜視図であり、(B)は冬期の昼間の使用態様を示すブラインドシャッタの斜視図であり、(C)は夏期の昼間の使用態様を示すブラインドシャッタの斜視図である。
【図10】冬期の昼間におけるブラインドシャッタの使用態様を拡大して示す概略側面図である。
【図11】夏期の昼間におけるブラインドシャッタの使用態様を拡大して示す概略側面図である。
【図12】夜間におけるブラインドシャッタの使用態様を拡大して示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図1〜図12を用いて、本発明に係るブラインドシャッタ装置の一実施形態について説明する。
【0030】
<本実施形態に係るブラインドシャッタ装置10の考え方>
まず、図1〜図3を用いて、本実施形態に係るブラインドシャッタ装置10の考え方について説明する。
【0031】
図1〜図3に示されるように、本実施形態に係るブラインドシャッタ装置10は、住宅等の建物12の窓14の上縁側に設置され、昼間はブラインドとして用いられ、夜間は雨戸として用いられるようになっている。
【0032】
このブラインドシャッタ装置10は、窓14の上縁側に配置される装置本体部16と、この装置本体部16内に配設された巻取軸18(図4参照)に巻取り及び繰出し可能に端部が固定されたブラインドシャッタ20と、を含んで構成されている。ブラインドシャッタ20は、各々短冊状に構成された複数枚のスラット22を巻取り及び繰出し方向に連結することにより構成されている。各スラット22は回動可能に構成されており、複数枚のスラット22が同期して回動することで、ブラインドシャッタ20の開度が調整(変更)されるようになっている。
【0033】
各スラット22は、長手方向に対して直交する方向に切断したときの断面形状が細長い楕円形状となるように形成されており、両面とも凸湾曲形状の曲面で構成されている。スラット22の片面は鏡面22Aとされており、又スラット22の鏡面22Aと反対側の面は光拡散面22Bとされている。鏡面22Aはスラット22の片面を鏡面仕上げすることにより設けられている。光拡散面22Bはスラット22の鏡面22Aと反対側の面をつや消し仕上げすることにより設けられている。但し、鏡面22Aとして機能する手法であれば、鏡面仕上げにすること以外の手法に依ってもよい。また、光拡散面22Bとして機能する手法であれば、つや消し仕上げすること以外の手法に依ってもよい。なお、スラット22の開度調整機構の構造については後述する。
【0034】
図1には、上記ブラインドシャッタ装置10の冬期の昼間の使用態様が示されている。このときには、スラット22は略水平になる開度(約90度)に調整される。これにより、冬場の弱い直射日光Pをスラット22で反射し、その反射光Qを居室24の天井面26に導き、部屋全体を明るくするようになっている。
【0035】
一方、図2には、上記ブラインドシャッタ装置10の夏期の昼間の使用態様が示されている。このときには、スラット22はスラット下縁側がスラット上縁側よりも建物屋外側に位置するよう所定角度傾斜した開度(約45度〜約60度)に調整される。これにより、夏場の強い直射日光Pをスラット22で反射するものの拡散光Rとし、強い日差しが居室24内に直接入射しないようになっていると共に、近隣の住宅に強い反射光が照射されないようになっている。
【0036】
また、図3には、上記ブラインドシャッタ装置10の夜間の使用態様が示されている。このときには、スラット22は床面28に対して垂直になる開度(約0度)に調整される。これにより、年間を通して夜間の照明器具30による照明光Sが鏡面22Aで反射されて居室24内に戻るため、弱い照明光Sであっても居室24内を明るくすることができる。
【0037】
<本実施形態に係るブラインドシャッタ装置10の詳細構造について>
図4に示されるように、ブラインドシャッタ装置10は、窓開閉方向(開口部幅方向)を長手方向とする箱体形状の装置本体部16を窓上端部に備えている。この装置本体部16の内部には、昇降モータ32(図7参照)及び巻取軸18等の昇降手段が収容されている。また、装置本体部16の長手方向の両端部からは、左右一対のガイドレール部34が平行に延出されている。これらのガイドレール部34間に、各々短冊状に形成された複数のスラット22から成るブラインドシャッタ20が昇降可能に支持されている。
【0038】
図5には、上述したブラインドシャッタ20のスラット22を開閉させるためのスラット開閉機構36の要部が示されている。この図に示されるように、ガイドレール部34内には、その長手方向に沿って真直棒状の支持部材38が立設されている。この支持部材38には、側面視でコ字状に形成されたラックバー40の両端部が支持されている。
【0039】
より具体的には、ラックバー40は、ガイドレール部34の長手方向に沿って配置された第1ラック部42と、この第1ラック部42の長手方向の両端部から屋内方向へ互いに平行に屈曲された上下一対の第2ラック部44と、によって構成されている。第1ラック部42には第1ラック歯42Aが形成されており、又第2ラック部44には第2ラック歯44Aが形成されている。第1ラック歯42Aには、駆動手段としての第1駆動モータ46の出力軸に固定された第1ピニオンギヤ48が図示しない減速機構を介して噛み合っている。また、第2ラック歯44Aには、駆動手段としての第2駆動モータ50の出力軸に固定された第2ピニオンギヤ52が噛み合っている。さらに、第2ラック部44には、屋内外方向を長手方向とする長孔54が形成されている。長孔54の孔幅は、支持部材38の軸外径より僅かに大きく設定されている。
【0040】
従って、第1駆動モータ46が駆動回転すると、ラックバー40が支持部材38に沿って上下動し、第2駆動モータ50が駆動回転すると、図6(A)、(B)に示されるように、ラックバー40が長孔54の長さの範囲内で屋内外方向へ移動する構成である。なお、ガイドレール部34には、ラックバー40の移動をガイドする図示しないガイド手段が設けられている。
【0041】
一方、ブラインドシャッタ20は、各々短冊状に形成された複数枚のスラット22によって構成されている。各スラット22の構成は前述した通りであり、全体として凸湾曲形状に形成されている。そして、凹面側が鏡面22Aとされ、凸面側が光拡散面22Bとされている。
【0042】
各スラット22は、それぞれ支軸としてのロッド56を備えている。ロッド56は真直棒状に形成されており、スラット22の中央部を貫通するように配設されている。なお、スラット22の長手方向寸法よりも長いロッド56をスラット22の中央部に貫通させる構成を採ってもよいし、スラット22の長手方向の両端部の中央から短いロッドを同軸上に突出させる構成を採ってもよい。
【0043】
上記ロッド56の長手方向の両端部には、第1ラック歯42Aと噛み合う角度調整ギヤ58が同軸上に固定されている。従って、角度調整ギヤ58が回転すると、ロッド56及びスラット22も一体に(つまり、同一回転方向に同一回転角だけ)回転するようになっている。なお、スラット22を巻取軸18に層状に巻取る関係から、角度調整ギヤ58の外径は、スラット22の厚さと同等以下に設定することが望ましい。
【0044】
昇降手段の構成について補足すると、図5に示されるように、複数のスラット22は、長尺状かつ可撓性を有する樹脂製のテープ60によって連結されている。テープ60にはロッド56のピッチに合わせて円筒状の保持部62が一体に形成されており、この保持部62内にロッド56が相対回転可能に挿通されている。また、テープ60には所定ピッチで矩形状の係止孔64が形成されている。装置本体部16内に格納された巻取軸18の軸端側には、図示しない減速機構を介して昇降モータ32(図4参照)が接続されている。また、巻取軸18には、同軸上に図示しないスプロケットが配設されており、昇降モータ32が駆動回転すると、巻取軸18と一体にスプロケットが同一方向へ同一回転量だけ回転するようになっている。このスプロケットの歯にテープ60に形成された係止孔64が係合されながら、スプロケットにテープ60が巻取り及び繰出しされるようになっている。
【0045】
次に、ブラインドシャッタ装置10のシステム概要について説明する。図7に示されるように、ブラインドシャッタ装置10は、制御手段としての制御装置66を備えている。制御装置66の入力側には日射光の入射角度を検出するための入射角度検出手段としての入射角度検出センサ68が接続されており、日射光の入射角度を制御装置66に常時又は所定時間ごとに出力している。この入射角度検出センサ68は、ブラインドシャッタ装置10のガイドレール部34等に設置されている。また、制御装置66の出力側には昇降モータ32、第1駆動モータ46及び第2駆動モータ50が接続されており、これらの昇降モータ32、第1駆動モータ46及び第2駆動モータ50の作動を制御している。
【0046】
(作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0047】
図8には、本実施形態に係るブラインドシャッタ装置10の作動の流れが示されている。以下、このフローチャートに基づいて説明していく。まず、ステップ100で、リモコン(リモートコントローラ)を使ってブラインドシャッタ装置10の自動制御を指示すると、ステップ102で、季節に合わせてブラインドシャッタ20の向きと制御角度が判断される。すなわち、制御装置66はクロックを備えており、現時点の日付及び時刻情報を取得している。このうち日付情報から、現時点の季節が冬期であると判断された場合は、日差しが弱くブラインドシャッタ20で日射を取り込みたい状況の場合であるから、ステップ104以降のフローへ移行される。一方、ステップ102で、現時点の季節が夏期であると判断された場合は、日差しが強くブラインドシャッタ20で日差しを遮蔽したい状況の場合であるから、ステップ114以降のフローへ移行される。
【0048】
冬期と判断された場合、まずステップ104で、昇降モータ32が正転駆動され、ブラインドシャッタ20が巻取軸18から繰出される。ブラインドシャッタ20は最下降位置まで繰出されると、リミットスイッチがONされて自動的に停止される。なお、窓14の全体を覆うまでのブラインドシャッタ20の繰出し量が予め解っている場合は、昇降モータ32の駆動回転数を制御してブラインドシャッタ20を最下降位置で自動的に停止させるようにしてもよい。また、ブラインドシャッタ20は、リモコンの停止ボタンが押された場合は、途中位置でも強制的に停止するようになっている。また、昇降モータ32が駆動される際には、ラックバー40は図6(A)に示される退避位置に保持されている。
【0049】
ブラインドシャッタ20が最下降位置まで下降した時点では、スラット22の向きは図9(A)に示される状態になっており、鏡面22Aが設けられた凹面側が屋内(室内)側を向き、光拡散面22Bが設けられた凸面側が屋外を向いている。
【0050】
次に、ステップ106へ移行し、入射角度検出センサ68によって検出された日射光の入射角度情報が取り込まれる。制御装置66のCPUは、入射角度検出情報が取り込まれると、太陽高度を演算するようになっている。そして、ステップ108へ移行し、太陽高度に合わせてブラインドシャッタ20のスラット22の開度が調整される。具体的には、ステップ104以降の流れは冬期の場合であるから、スラット22は略水平な状態(図9(B)参照)に保たれる。このため、ステップ108では、垂直状態にあるスラット22を図9(A)の図示状態で見て時計方向に90度回動させる。
【0051】
具体的には、図6(A)に示される状態から第2駆動モータ50が所定量だけ正転駆動される。これにより、ラックバー40が屋外方向へ移動(前進)される。支持部材38が長孔54の始端部に位置されると、第2駆動モータ50は停止される。これにより、ラックバー40の第1ラック部42の第1ラック歯42Aがスラット22の角度調整ギヤ58に押付けられて噛み合い状態となる。次に、第1駆動モータ46が所定量正転駆動される。このときの第1駆動モータ46の回転数がスラット22の開度が0度から90度になるまでの回転数とされる。これにより、図9(B)及び図10に示されるように、スラット22は略水平な状態になる。
【0052】
さらに、ステップ106で取り込んだ日射角度情報に基づいて、第1駆動モータ46が正転又は逆転駆動されて、そのときの日射角度に対して日射光を天井面26に反射するのに最適な角度となるようにスラット22の開度が±α度(例えば±20度)の範囲内で所定時間ごとに(例えば10分ごとに)微調整される。但し、ステップ102で冬期と判断された時点で、スラット22の開度を90度に固定する制御にしてもよい。
【0053】
このようにスラット22の開度を自動調整することにより、図10に示されるように、スラット22で反射された日射光が天井面26に反射されて天空光に加えて室内に取り込まれる(ステップ110)。特に、本実施形態のスラット22の凹面は鏡面22Aとされているので、冬期の昼間の弱い日射光を効果的に室内に取り込むことができ、読書や軽作業を行う際に室内灯を点けずに済み、省エネになる(ステップ112)。
【0054】
一方、ステップ102で夏期と判断された場合、まずステップ114で、昇降モータ32が正転駆動され、ブラインドシャッタ20が巻取軸18から繰出される。ブラインドシャッタ20は最下降位置まで繰出されると、リミットスイッチがONされて自動的に停止される。なお、昇降モータ32が駆動される際には、ラックバー40は図6(A)に示される退避位置に保持されている。
【0055】
ブラインドシャッタ20が最下降位置まで下降した時点では、スラット22の向きは図9(A)に示される状態になっており、鏡面22Aが設けられた凹面側が屋内(室内)側を向き、光拡散面22Bが設けられた凸面側が屋外を向いている。
【0056】
次に、ステップ116へ移行し、入射角度検出センサ68によって検出された日射光の入射角度情報が取り込まれ、CPUで太陽高度が演算される。そして、ステップ118へ移行し、太陽高度に合わせてブラインドシャッタ20のスラット22の開度が調整される。具体的には、ステップ114以降の流れは夏期の場合であるから、スラット22は凸面(光拡散面22B)が屋外側を向くようにかつ所定角度傾斜した状態(図9(C)参照)に保たれる。このため、ステップ118では、垂直状態にあるスラット22を図9(A)の図示状態で見て時計方向へ30度から60度の範囲内で回動させる。
【0057】
具体的には、図6(A)に示される状態から第2駆動モータ50が所定量だけ正転駆動される。これにより、ラックバー40が屋外方向へ移動(前進)される。支持部材38が長孔54の始端部に位置されると、第2駆動モータ50は停止される。これにより、ラックバー40の第1ラック部42の第1ラック歯42Aがスラット22の角度調整ギヤ58に押付けられて噛み合い状態となる。次に、第1駆動モータ46が所定量正転駆動される。このときの第1駆動モータ46の回転数は、スラット22の開度が0度から30度〜60度の範囲内で、かつ太陽高度に応じて求められた角度に応じた回転数とされる。これにより、図9(C)及び図12に示されるように、スラット22は光拡散面22Bを屋外側に向けてかつスラット下縁がスラット上縁よりも屋外側となるよう所定角度傾斜された状態になる。
【0058】
このようにスラット22の開度を自動調整することにより、図9(C)及び図11に示されるように、スラット22で遮蔽された直射日光は室内に入らず、天空光が室内に取り込まれる(ステップ120)。これにより、室内温度の上昇を抑え、エアコンの稼動時間を減らすことができ、省エネになる(ステップ122)。また、本実施形態のスラット22の凸面は光拡散面22Bとされているので、強い反射光が隣家に差し込む弊害もない。
【0059】
一方、年間を通じて夜間については、ステップ124以降のフローが実行される。すなわち、ステップ124で、スラット22が全閉状態(図9(A)及び図12参照)とされる。この場合は、スラット22の鏡面22Aが室内側に向けられるので、鏡面22Aで反射された照明器具30からの照明光が室内に戻され、照明光に加えて反射光が室内に残る(ステップ126)。このように屋外に照明光が漏れないようにすることで室内を明るくし、少ない照明でも明るさを保つことができ、省エネになる(ステップ128)
【0060】
なお、上述した本実施形態では、すべてのスラット22の凹面を鏡面22Aとしたが、これに限らず、少なくとも一つのスラットの凹面が鏡面にされればよい。この場合でも、それに応じた効果は得られる。例えば、ブラインドシャッタ10の上部のみに鏡面22Aを設定してもよい。この場合でも、天井面26に近い位置にあるスラット22の凹面が鏡面22Aとされることで、冬場の日射光の取り込み効果は高い。
【0061】
また、上述した本実施形態では、凸面同士の組み合わせから成る図1に示されるスラット22と、凸面と凹面とで構成された図10に示されるスラット22を説明したが、これに限らず、凸面と平面で構成された半月状断面のスラット等にしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 ブラインドシャッタ装置
12 建物
14 窓(開口部)
16 装置本体部
18 巻取軸
20 ブラインドシャッタ
22 スラット
22A 鏡面
22B 光拡散面
26 天井面
36 スラット開閉機構
46 第1駆動モータ(駆動手段)
50 第2駆動モータ(駆動手段)
56 ロッド(支軸)
58 角度調整ギヤ(スラット開閉機構)
66 制御装置(制御手段)
68 入射角度検出センサ(入射角度検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部の上縁側に設置されると共に内部に巻取軸を有する装置本体部と、
前記巻取軸に巻き取られ、各々短冊状に形成されると共に支軸回りに回動可能とされ、開口部の高さ方向に並置されると共に相互に連結された複数のスラットと、
前記スラットを支軸回りに回動させるスラット開閉機構と、
を有し、
さらに、前記複数のスラットの少なくとも一つは、片面に鏡面を有している、
ブラインドシャッタ装置。
【請求項2】
前記鏡面を有するスラットは、支軸回りに回動されることにより、当該鏡面を開口部の上縁側へ向ける水平位置と、当該鏡面を開口部に対向させる垂直位置に保持可能とされている、
ことを特徴とする請求項1記載のブラインドシャッタ装置。
【請求項3】
前記スラットの前記片面は、凹面とされている、
ことを特徴とする請求項2記載のブラインドシャッタ装置。
【請求項4】
前記鏡面を有するスラットは、当該鏡面が設けられた片面と反対側の面に光を拡散して反射する光拡散面を有する、
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のブラインドシャッタ装置。
【請求項5】
前記スラット開閉機構に駆動力を付与する駆動手段と、
日付情報及び時刻情報に基づいて、前記鏡面で反射した反射光が室内天井側へ入射されるように前記駆動手段を駆動させる制御手段と、
を有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のブラインドシャッタ装置。
【請求項6】
前記スラット開閉機構に駆動力を付与する駆動手段と、
日付情報及び時刻情報に基づいて、前記光拡散面で日射光を反射して日射光を遮蔽するように前記駆動手段を駆動させる制御手段と、
を有することを特徴とする請求項4記載のブラインドシャッタ装置。
【請求項7】
日射光の入射角度を検出する入射角度検出手段と、
前記入射角度検出手段の検出結果に基づいて、前記鏡面で反射した反射光が室内天井側へ入射されるように前記駆動手段を駆動させる制御手段と、
を有することを特徴とする請求項5記載のブラインドシャッタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−184902(P2011−184902A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49770(P2010−49770)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】