説明

ブラインド用ストッパ装置

【課題】 簡単で部品点数が少なく、ストッパをブラインド支持部材から着脱可能に構成することができるブラインド用ストッパ装置を提供する。
【解決手段】 ヘッドレール10に固定されると共に一端部に開口部22bを有するストッパケース22と、ストッパケース22の開口部22bから挿入可能となりストッパケース22に内装されるストッパ24と、からなり、ストッパケース22の一面には、スリット22c及びスリット22cから連続する係止溝部22dが形成される一方で、ストッパ24に係止突部24aが形成され、係止突部24aと係止溝部22dとを係合させることによって、ストッパ24がストッパケース22に着脱可能に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラインド支持部材に固定されるストッパケースと、該ストッパケースに挿入されて内装されるストッパからなり、ブラインド昇降コードの締結を行なうブラインド用ストッパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のブラインド用ストッパ装置としては、ローマンシェードに使用されるストッパ装置として特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
これによれば、ブラインドとしてのローマンシェードが、ヘッドレールに取り付けられると共に内部を貫通する昇降コードを操作してロックするストッパを備えており、ストッパは、ヘッドレールに固定されるケースに下方から脱着可能に内装されている。より詳細には、ケースはヘッドレールの底面開口にはまる水平板部と、その水平板部の前後及び外端縁部から上下にそれぞれ延長する上枠部及び下枠部とを有し、下枠部にはカバーとカバー止めがそれぞれピンを介して回動可能に軸着され、カバーは下枠部に部分的に外嵌し、その内端面及び底面の開口を覆う形状であり、カバーを閉じた時、カバーは下枠部と弾性的に、凹凸を介して又はその双方により結合し、閉じたカバーにカバー止めを外嵌すると、カバーの開放が制止されるようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−261267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のストッパ装置の構成では、ストッパは、ケース、ケースに軸着されたカバー及びケースに軸着されたカバー止めとから構成されており、部品点数が多くなるため組み立て性が悪くなり、コストアップになるという問題がある。
【0006】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、より簡単で部品点数が少なく、ストッパをブラインド支持部材から着脱可能に構成することができるブラインド用ストッパ装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ブラインド支持部材に固定されると共に一端部に開口部を有するストッパケースと、該ストッパケースの開口部から挿入可能となりストッパケースに内装されるストッパと、からなり、ブラインド昇降コードの締結を行なうブラインド用ストッパ装置において、
ストッパケースの一面には、スリット及びスリットから連続する係止溝部が形成される一方で、ストッパに係止突部が形成され、係止突部と係止溝部とを係合させることによって、ストッパがストッパケースに固定されることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のものにおいて、前記スリットまたは係止溝部には操作部が形成されており、操作部が形成される部分の肉厚は操作部以外のスリットが形成される部分の肉厚よりも大きく設定されることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のものにおいて、前記スリットは開口部まで達しており、開口部におけるスリットの幅は、反開口部側から開口部側に向って漸次、拡幅されており、ストッパの係止突部の挿入端部の幅は、ストッパケース挿入側に向って漸次、縮幅されることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の前記ストッパケースの開口部が、ストッパケースのブラインド昇降コードがブラインドの自重を受ける側から遠方側の端部に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ストッパをストッパケースの開口部から挿入可能とし、ストッパケースの係止溝部にストッパの係止突部を係合させることでストッパをストッパケースに固定するようにし、その際に係止溝部に連続するスリットの弾性を利用することができるので、簡単にストッパをストッパケースに取り付けることができ、逆の手順を行えば、簡単にストッパをストッパケースから取り外すことができ、少ない部品点数でストッパとストッパケースとを着脱可能な構成で固定することができる。
【0012】
この構成により、ストッパをブラインド支持部材から取り外して、メンテナンス作業等を行なうことができるようになる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、ストッパをストッパケースから取り外す際に、操作部を操作して、係止溝部を押し広げることで係止突部と係止溝部との係合を解除させることができる。この際に、操作部が肉厚になっているために、操作部に強い力をかけたり、または治具等を用いたりしても、操作部の破損を防ぐことができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、ストッパをストッパケースに挿入する際に、係止突部をスリットを介して係止溝部へと誘導することができ、その際に、スリットの漸次拡幅となっている部分と係止突部の漸次縮幅となっている部分とによって円滑に係止溝部をスリットに挿入することができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、ブラインド用ストッパ装置に作用する昇降コードの張力は、ストッパにストッパケースの開口部と反対方向に作用するので、通常の昇降コードの操作によって、ストッパがストッパケースの開口部から脱出することを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態にかかるブラインド用ストッパ装置と該装置が使用されたブラインド全体を表す正面図(一部遮蔽材を省略している)である。
【0018】
図において、このブラインドの例は、ローマンシェードであり、ブラケット11によって窓枠、壁枠等の固定部に取り付けられるブラインド支持部材としてのヘッドレール10を有し、該ヘッドレール10に遮蔽材として生地12が支持されている。そして、生地12の裏面には、生地を昇降するための昇降コード14が配設される。昇降コード14は、生地12の裏面に、適宜幅方向に間隔を空けて複数本設けられており、それぞれ生地12の裏面に設けられた挿通リングを挿通しており、その下端は生地12に固定される。また、各昇降コード14の上端は、ヘッドレール10においてその向きを上下方向から水平方向に転向させられて、ヘッドレール10の長手方向に沿って伸びて、ヘッドレール10の一端部に設けられたブラインド用ストッパ装置20を挿通し、さらに、ヘッドレール10から垂下されて操作つまみ16に連結される。
【0019】
本発明によるブラインド用ストッパ装置20は、ヘッドレール10に固定されるストッパケース22と、ストッパケース22に内装されるストッパ24とから構成される。
【0020】
図2(a)に示すように、ストッパケース22は、その上面にヘッドレール10に形成されたレール部10aに嵌入可能となった挿入ロッド22aを備えており、挿入ロッド22aの先端部は、取付ネジ26が挿入可能となっている。
【0021】
そして、ストッパケース22の一側部は開口部22bとなっている。
【0022】
ストッパケース22の下面には、図3に示すように、スリット22cがヘッドレール10の長手方向に平行に伸びている。スリット22cはストッパケース22の全長に亘って形成されている。スリット22cの開口部22bに達する部分は、テーパ状となっており、その幅は、反開口部側から開口部側に向って漸次、拡幅されている。
【0023】
スリット22cの途中部には、スリット22cに連続する係止溝部22dが形成されており、係止溝部22dは、スリット22cよりも幅広となっている。また、係止溝部22dの周囲及び係止溝部22d近傍のスリット22cの一部の周囲には、下方に延長された縦壁が形成されており、従って、この部分は、他の部分に比較して肉厚となっている。この部分は、後述のように操作部22eを構成する。
【0024】
さらに、ストッパケース22の開口部22bが形成された側とは反対側の他側部の面には、スリット22cの延長として伸びるスリット22fが形成されており、スリット22fの終端は、コード挿通孔22gとなっている。
【0025】
一方、ストッパ24は、ストッパケース22の開口部22bから出入り可能となっており、開口部22bから挿入されてストッパケース22に内装される。ストッパ24は、ケース体30とカバー体32とを有し、これらによって形成される空間内に主としてストッパとしての機能部品が納められている。このストッパとしての機能部品は任意の構成を使用することができるが、例えば、特開2002−155683号公報に記載のものを使用することができる。即ち、図7に示すように、ストッパ24は、昇降コード14の移動に応じて移動するスライダー34と、カバー体32に軸支された受けローラ36と、スライダー34に軸支された挟持ローラ38と、所定の条件でスライダー34の移動を規制する規制機構40と、昇降コード14に挟み付け力を付与して、昇降コード14の移動量に対してスライダー34をほぼ同じ移動量で追従させると共に、前記規制機構40によってスライダー34の移動が規制された状態では、昇降コード14のスライダー34に対する相対移動を許容する昇降コード追従部42を備えており、昇降コード14の移動に応じて、挟持ローラ38と受けローラ36が接近して両者の間で昇降コード14を挟持して締結し、または、挟持ローラ38と受けローラ36が離反して昇降コード14の移動を許容することができるようになっている。
【0026】
このストッパ24のケース体30の下面には、上記ストッパケース22の係止溝部22dに係合可能な形状をなした係止突部24aが形成されている。係止突部24aの最大幅は、係止溝部22dと同じ程度であるが、スリット22cよりは幅広となっている。また、係止突部24aはテーパ状となっており、その幅は、ストッパケース挿入側に向って漸次、縮幅されている。
【0027】
以上のようにして構成されるブラインド用ストッパ装置20において、そのヘッドレール10への取付は次のように行なう。まず、ヘッドレール10のレール部10aにストッパケース22の挿入ロッド22aを挿入して、取付ネジ26を螺入してストッパケース22をヘッドレール10に固定する(図2(a))。
【0028】
次いで、ストッパ24をストッパケース22の開口部22bから挿入する(図2(b))。挿入の際には、図4に示すように、併せて係止突部24aをスリット22c内に挿入する。このとき、スリット22cが開口部22bに向けて漸次、拡幅されており、また、係止突部24aがストッパケース挿入側に向って漸次、縮幅されているために、挿入をスムーズに行なうことができ、係止突部24aは、スリット22cを押し広げながら、係止溝部22dへと移動して、係合される(図5)。スリット22cは弾性によって元の幅に戻るために、係止突部24aは係止溝部22dとの係合状態を維持することができる。
【0029】
こうして、ストッパ24はストッパケース22に対して内装されて固定される(図2(c))。さらに、エンドキャップ10bを、ヘッドレール10の端部に挿入して、ブラインド用ストッパ装置20の取付を完了する。尚、図では省略しているが、ストッパ24をストッパケース22に挿入させる前に、ストッパ24を挿通する昇降コード14を、予めスリット22cに通過させて、コード挿通孔22gに挿通させておくとよい。
【0030】
次に、ストッパ24を取り外す場合について説明する。ストッパ24を取り外すのは、例えば、ストッパ24自体を交換する際、または昇降コード14が切断されるなどして交換する等のメンテナンス作業の必要がある場合である。
【0031】
先と逆の手順でエンドキャップ10bを取り外し、ストッパケース22の操作部22eにドライバ等の冶具44を挿入して捻る等して、図6に示すように操作部22eの幅を押し広げる。すると、スリット22c及び係止溝部22dの幅が広がるために、係止突部24aと係止溝部22dとの係合を解除して、係止突部24aをスリット22cから取り出すことができる。こうして、ストッパ24をストッパケース22の開口部22bから出して、メンテナンス作業を行なうことができる。このときに、操作部22eは他の部分に比較して肉厚となっており強度が向上しているために、冶具の操作によって破損することはない。
【0032】
以上のブラインド用ストッパ装置20は、互いに分離可能となったストッパケース22とストッパ24とから構成され、ストッパ24をストッパケース22に固定するための新たな部品は必要としないために、簡単に且つ部品点数少なく、構成することができる。
【0033】
ストッパ24をストッパケース22に取り付けた後、ブラインド用ストッパ装置20に作用する外力として、生地12の自重に相当する昇降コード14の張力があるが、その張力はストッパ24にストッパケース22の開口部22bから遠ざかる方向で作用する。言い換えれば、ストッパ24をストッパケース22から取り出す方向とは反対の方向に引っ張る力となるために、通常の昇降コード14の操作によっては、ストッパ24がストッパケース22から外れることはない。
【0034】
尚、この実施形態では、ストッパ24をストッパケース22に挿入する挿入方向がヘッドレール10の長手方向に平行な方向であったが、これに限るものではなく、挿入方向が上下方向を向いていてもよい。この場合には、スリット22cは上下方向に形成されるとよく、スリット22cはストッパケース22の下面ではなく側面(正面、背面を含む)に形成されるとよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態にかかるブラインド用ストッパ装置の一部を切り欠いた正面図である。
【図2】ブラインド用ストッパ装置の取付手順を表すヘッドレールの端部とブラインド用ストッパ装置との斜視図である。
【図3】ブラインド用ストッパ装置のストッパケースとストッパとがそれぞれ分離された状態を表す下方からみた斜視図である。
【図4】ブラインド用ストッパ装置のストッパがストッパケース内に挿入される途中状態を表す下方からみた斜視図である。
【図5】ブラインド用ストッパ装置のストッパがストッパケース内に内装された状態を表す下方からみた斜視図である。
【図6】ブラインド用ストッパ装置のストッパをストッパケースから取り外す途中状態を表す下方からみた斜視図である。
【図7】ブラインド用ストッパ装置の背面側から見た内部構造を表す図である。
【符号の説明】
【0036】
10 ヘッドレール(ブラインド支持部材)
14 昇降コード
20 ブラインド用ストッパ装置
22 ストッパケース
22b 開口部
22c スリット
22d 係止溝部
24 ストッパ
24a 係止突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラインド支持部材(10)に固定されると共に一端部に開口部(22b)を有するストッパケース(22)と、該ストッパケース(22)の開口部(22b)から挿入可能となりストッパケース(22)に内装されるストッパ(24)と、からなり、ブラインド昇降コード(14)の締結を行なうブラインド用ストッパ装置において、
ストッパケース(22)の一面には、スリット(22c)及びスリット(22c)から連続する係止溝部(22d)が形成される一方で、ストッパ(24)に係止突部(24a)が形成され、係止突部(24a)と係止溝部(22d)とを係合させることによって、ストッパ(24)がストッパケース(22)に固定されることを特徴とするブラインド用ストッパ装置。
【請求項2】
前記スリット(22c)または係止溝部(22d)には操作部(22e)が形成されており、操作部(22e)が形成される部分の肉厚は操作部(22e)以外のスリット(22c)が形成される部分の肉厚よりも大きく設定されることを特徴とする請求項1記載のブラインド用ストッパ装置。
【請求項3】
前記スリット(22c)は開口部(22b)まで達しており、開口部(22b)におけるスリット(22c)の幅は、反開口部側から開口部側に向って漸次、拡幅されており、ストッパ(24)の係止突部(24a)の挿入端部の幅は、ストッパケース(22)挿入側に向って漸次、縮幅されることを特徴とする請求項1または2記載のブラインド用ストッパ装置。
【請求項4】
前記ストッパケース(22)の開口部(22b)は、ストッパケース(22)のブラインド昇降コード(14)がブラインドの自重を受ける側から遠方側の端部に形成されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のブラインド用ストッパ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−175160(P2006−175160A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−374149(P2004−374149)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000134958)株式会社ニチベイ (158)
【Fターム(参考)】