説明

ブラインド

【課題】全閉時に全スラットの本体が閉鎖面を構成し且つ隣接するスラットとの間でその端部が重なり合うようになったブラインドにおいて、隣接するスラット間の隙間を確実に塞ぐことができるようにする。
【解決手段】スラット26の一端部に、全閉時にスラット26によって構成される閉鎖面28に対し平行な第1平行面26bと第1平行面26bから突出する第1遮蔽片26cとを備え、スラット26の他端部に、閉鎖面28に対し平行な第2平行面26dと第2平行面26dから突出する第2遮蔽片26e及び第3遮蔽片26fとを備え、スラット26全閉時には、隣接するスラットの一方のスラット26の第1遮蔽片26cの先端部が他方のスラット26の第2平行面26dに当接するとともに、他方のスラット26の第2遮蔽片26e及び第3遮蔽片26fの先端部が一方のスラット26の第1平行面26bにそれぞれ当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のスラットが回転可能に支持されて、全閉時に互いに隣接するスラット同士が重なり合って遮蔽性を高めたブラインドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のブラインドとしては、特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に示されるブラインドは、多数段のスラットを枠体にそれぞれ回動可能に支持するとともに、各スラットをリンク機構で接続して同位相で回動させ、全開時には各スラットが平行に位置するように回動し、全閉時は各スラットが平板状に連結されるように回動して遮光するようになっている。そして、各スラットは幅方向の端部を除いたほぼ全体を平板状に形成するとともに各スラットの回動軸はスラットの幅方向中心線上から一方へオフセットさせ、全閉時に各スラットの各平板部分がほぼ同一平面上に配置されるよう構成し、そのスラットの回動軸側の幅方向端部には同回動軸とスラット表面との最短距離以下の径で湾曲する湾曲部を設け、各スラットの湾曲部とは反対側の他方の幅方向端部は上方に折り曲げられて当接部が形成され、当接部には合成樹脂で形成されたガスケットが取着されており、各スラットの長手方向端部近傍には同湾曲部の回動軌跡の下端に接し且つ全閉時に前記各スラットの各平板部分に接する遮光枠を設けている。
【0004】
スラットの閉鎖操作をすると、各スラットの湾曲部は遮光枠上面に接する円である回動軌跡上を移動するために遮光枠に衝突することなく各スラットが水平方向に回動され、各スラットの長手方向両端部は遮光枠の上面に当接し、各スラットの当接部のガスケットは隣接するスラットの湾曲部にその上方から当接するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2607711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献に記載されたブラインドでは、スラットを全閉にした際に、当接部のガスケットと湾曲部とを密着させることにより遮光性を向上させようとしているが、ブラインドが設定される環境が高温下にあると、ガスケットが劣化あるいは変形して密着性を維持することができなくなったり、スラットにガスケットを取着するためコストが高くなったりするという課題がある。
【0007】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、隣接するスラット間の隙間を確実に塞ぐことができるブラインドを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、請求項1記載の発明は、多数のスラットが回転可能に支持されて、スラットが全閉状態と全開状態との間で回転可能となっており、全閉時に全スラットの本体が閉鎖面を構成し且つ隣接するスラットとの間でその端部が重なり合うようになったブラインドであって、
スラットの一端部は、前記閉鎖面に対し平行な第1平行面と第1平行面から突出する第1遮蔽片とを備え、スラットの他端部は、前記閉鎖面に対し平行な第2平行面と第2平行面から突出する第2遮蔽片及び第3遮蔽片とを備え、
全閉時には、隣接するスラットの一方のスラットの第1遮蔽片の先端部が他方のスラットの第2平行面に当接するとともに、他方のスラットの第2遮蔽片及び第3遮蔽片の先端部が一方のスラットの第1平行面にそれぞれ当接するように構成されることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のブラインドにおいて、互いに隣接するスラットの一方のスラットの第1遮蔽片は他方のスラットの第2遮蔽片と第3遮蔽片との間において、他方のスラットの第2平行面に当接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スラットの全閉時に、少なくとも3つの遮蔽片の先端部が隣接するスラットの平行面にそれぞれ当接するため、3か所の当接個所により隣接するスラット間の隙間が確実に塞がれる。不良により、そのいずれかの当接個所で当接がなされないとしても、残りの当接個所で当接することで光漏れを防ぐことができる。
【0011】
任意にはガスケット等をさらに追加することも可能であるが、本発明によればガスケット等の耐久性または耐熱性に乏しい部品に依存せずに遮蔽性を確保することができるので、低コストで構成することができ且つ耐久性を向上させることができる。
【0012】
また、スラットの両端部に全閉時にスラットによって構成される閉鎖面に対し平行な平行面を形成し、そこから遮蔽片を突出させているため、隣接するスラット間のピッチにずれが生じ、遮蔽片が前後にずれても平行面との接触は保持されるため、通常ピッチと変わらぬ遮蔽性を維持することができる。
【0013】
また、一方のスラットの第1遮蔽片が他方のスラットの第2遮蔽片と第3遮蔽片との間において、他方のスラットの第2平行面に当接するようにすることで、第1平行面と第2平行面との間で当接個所が交互に変わるために、光の回り込みを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るブラインドのスラット全開時における側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るブラインドのスラット全閉時における側面図である。
【図3】各スラットの回転軌跡を表す側面図である。
【図4】1つのスラットホルダ及びスラットを表す側面図である。
【図5】スラットの全閉状態を表す側面図である。
【図6】図5のD部の拡大図である。
【図7】隣接するスラット間のピッチが小さい場合の図5のD部の拡大図である。
【図8】隣接するスラット間のピッチが大きい場合の図5のD部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1ないし図7を参照して、本発明の実施形態を説明する。
このブラインドは例えば天窓に用いられるものであり、図1に示すように、フレーム10が、サポートボルト12によって構造物に対して吊下固定されている。フレーム10にはモータを含むモータユニット14が固定され、モータユニット14には、モータの駆動により作動するリンク機構16が連結されている。リンク機構16は、モータの出力軸に一端部が固定された第1ジョイントバー17と、第1ジョイントバー17の他端に一端が枢着された第2ジョイントバー18とからなり、第2ジョイントバー18の他端にはスイングレール20が枢着されている。スイングレール20には、その長手方向に所定間隔をあけて多数のスラットホルダ22の一端が枢着されている。さらに、フレーム10には、スラットホルダ22に対応して下方へ垂直に延びる多数の支持バー24が設けられており、各支持バー24には、対応するスラットホルダ22の他端がその回動中心点Cにおいて、枢着されている。
【0016】
各スラットホルダ22にはスラット26が保持される。前記スラットホルダ22の回動中心点Cは、スラット26の幅方向中心よりも一端側にオフセットされており、スラット26は、フレーム10に対して回動中心点Cを中心として回転可能に支持される。
【0017】
さらに、構造物にはスラット26の下方に配置され、スラット26の周囲を覆う遮蔽枠30が固定される。
【0018】
モータユニット14のモータが回転してリンク機構16の第1ジョイントバー17が回動すると、第2ジョイントバー18の移動に伴いスイングレール20が並進運動を行い、各スラットホルダ22及び各スラット26は、回動中心点Cを中心として同位相で回動運動を行い、この回動運動によって、各スラット26が互いに平行になって隣接するスラット26同士の間に隙間が形成される全開状態(図1)と、各スラット26が同一面上にあって閉鎖面28を構成し、隣接するスラット26同士の間に隙間がない全閉状態(図2)との間で変位することができる。そして、全閉状態において、隣接するスラット26同士の間に隙間がないようにするために、各スラット26の端部は、隣接するスラット26の端部と重なり合うようになっている。
【0019】
即ち、図3〜図5に示すように、スラット26は、全閉時に閉鎖面28を構成する平坦な本体26aを中央部に備える。スラット26の一端部は、本体26aから起立した部分26hを有し、本体26aの延長面26gからオフセットされており、該一端部には、本体26aに対して平行な第1平行面26bと、第1平行面26bに対して直交して本体26aの延長面26gの方向へと突出する第1遮蔽片26cとが形成されている。また、スラット26の他端部も、本体26aに対して湾曲して本体26aの延長面26gからオフセットされており、他端部には、本体26aに対し平行な第2平行面26dと、第2平行面26dに対して直交して本体26aの延長面26gとは反対の方向へとそれぞれ突出する第2遮蔽片26e及び第3遮蔽片26fとが形成されている。第2遮蔽片26eと第3遮蔽片26fとは所定間隔をあけて設けられている。
【0020】
図5及び6に示すようにスラット26が全閉状態においては、隣接するスラットの一方のスラットの第1遮蔽片26cが他方のスラット26の第2遮蔽片26eと第3遮蔽片26fとの間において、その先端部が他方のスラットの第2平行面26dに当接し、他方のスラットの第2遮蔽片26e及び第3遮蔽片26fの先端部が一方のスラット26の第1平行面26bにそれぞれ当接するように構成されている。これによって、第3遮蔽片26fと第1平行面26bとの間の当接個所、第1遮蔽片26cと第2平行面26dとの間の当接個所、第2遮蔽片26eと第1平行面26bとの間の当接個所の計3か所の当接個所によって隣接するスラット同士の重なり合いが確保されるため、隣接するスラット間の隙間が確実に塞がれ遮蔽性が高められている。例えば、遮蔽片26c、26e、26fのいずれか1つの寸法が短いか、または長い場合に、前記3か所の当接個所のうちに、1か所または2か所の当接個所が確実でなくても、残りの当接個所において当接が確保されていれば、遮蔽性を保つことができる。また、当接個所が第1平行面26bと第2平行面26dとの間で交互に変わるために、光の回り込みを防ぐことができる。
【0021】
さらには、図7に示すように、スラット26の全閉状態において隣接するスラット26間のピッチが設定ピッチよりも小さい場合、第1遮蔽片26cと第3遮蔽片26fとが当接する位置まで最大ずれても、第1遮蔽片26cは第2平行面26dに、第2遮蔽片26e及び第3遮蔽片26fは第1平行面26bにそれぞれ当接する。このように、隣接するスラット同士の3か所の当接個所は確保されているので、隣接するスラット間の隙間が確実に塞がれる。
【0022】
反対に、図8に示すように、スラット26の全閉状態において隣接するスラット26間のピッチが設定ピッチよりも大きい場合、第1遮蔽片26cと第2遮蔽片26eとが当接する位置まで最大ずれても、第1遮蔽片26cは第2平行面26dに、第2遮蔽片26e及び第3遮蔽片26fは第1平行面26bにそれぞれ当接する。このように、隣接するスラット同士の3か所の当接個所は確保されているので、隣接するスラット間の隙間が確実に塞がれる。
【0023】
このように、隣接するスラット26、26間のピッチにズレが生じても、設定ピッチの場合と変わらぬ遮蔽性を維持することができ、遮蔽性を大幅に向上させることができる。
【0024】
以上のように構成されるブラインドにおいて、前述のように、モータユニット14が駆動されると、スラットホルダ22が回動中心点Cを中心として回動し、スラットホルダ22に保持されたスラット26も回動中心点Cを中心として回動して、図3に示す回転軌跡を描いて開閉動作を行う。
【0025】
スラット全開時には、図1及び図3のAに示すように、各スラット26は互いに平行に位置しているが、この状態からスラット26が閉鎖していくに従って、図3に示すように、スラット26の他端部側が水平方向に若干移動するとともにスラット26の一端部側が大きく回動し、図2及び図3のBに示すように、全スラット26の本体26aが平坦状に配置され、閉鎖面28を構成する。このとき、スラット26の一端部の第1遮蔽片26cが、第2遮蔽片26eと第3遮蔽片26fとの間に挿入されるように移動して、各遮蔽片26c、26e、26fが各平行面26b、26dと当接する。
【0026】
このように全スラット26の本体26aが平坦状に配置されて閉鎖面28を形成するとともに、隣接するスラット26、26間の隙間が遮蔽片26c、26e、26fと平行面26b、26dとにより確実に塞がれるため、遮蔽性を大幅に向上させることができる。任意にはガスケット等をさらに追加することも可能であるが、本実施形態によればガスケット等の耐久性または耐熱性に乏しい部品に依存せずに遮蔽性を確保することができる。
【0027】
なお、本実施形態においては、第1遮蔽片26cが第2遮蔽片26eと第3遮蔽片26fとの間に位置するようにしたがこれに限定されることはなく、例えば、第2遮蔽片26eと第3遮蔽片26fとが第1遮蔽片26cと本体26aから起立した部分26hとの間に配置されるようにするなど、各遮蔽片26c、26e、26fと各平行面26b、26dとが必ず接触するような構成であればよい。
【0028】
また、本実施形態においては、回動中心点Cから遠いスラット26の一端部に第1平行面26b及び第1遮蔽片26cを設け、回動中心点Cに近いスラット26の他端部に第2平行面26d、第2遮蔽片26e及び第3遮蔽片26fを設けたが、反対に、回動中心点Cから遠いスラット26の一端部に、第2平行面26d、第2遮蔽片26e及び第3遮蔽片26fを設け、回動中心点Cに近いスラット26の他端部に第1平行面26b及び第1遮蔽片26cを設けてもよい。
【符号の説明】
【0029】
26 スラット
26b 第1平行面
26c 第1遮蔽片
26d 第2平行面
26e 第2遮蔽片
26f 第3遮蔽片
28 閉鎖面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のスラット(26)が回転可能に支持されて、スラットが全閉状態と全開状態との間で回転可能となっており、全閉時に全スラットの本体が閉鎖面(28)を構成し且つ隣接するスラットとの間でその端部が重なり合うようになったブラインドであって、
スラット(26)の一端部は、前記閉鎖面(28)に対し平行な第1平行面(26b)と第1平行面(26b)から突出する第1遮蔽片(26c)とを備え、スラット(26)の他端部は、前記閉鎖面(28)に対し平行な第2平行面(26d)と第2平行面(26d)から突出する第2遮蔽片(26e)及び第3遮蔽片(26f)とを備え、
全閉時には、隣接するスラットの一方のスラット(26)の第1遮蔽片(26c)の先端部が他方のスラット(26)の第2平行面(26d)に当接するとともに、他方のスラット(26)の第2遮蔽片(26e)及び第3遮蔽片(26f)の先端部が一方のスラット(26)の第1平行面(26b)にそれぞれ当接するように構成されることを特徴とするブラインド。
【請求項2】
互いに隣接するスラットの一方のスラット(26)の第1遮蔽片(26c)は他方のスラット(26)の第2遮蔽片(26e)と第3遮蔽片(26f)との間において、他方のスラット(26)の第2平行面(26d)に当接することを特徴とする請求項1記載のブラインド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−17146(P2011−17146A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161134(P2009−161134)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000134958)株式会社ニチベイ (158)
【Fターム(参考)】