説明

ブラシ毛素材およびブラシ

【課題】本発明は、ブラシ毛素材内に茶類、果実類、香り植物類、木材類等のパウダーを混入させることにより、ブラシでワークを研磨する際の摩擦熱で、前記混入物から香りを出すブラシ毛素材およびブラシに関するものである。
【解決手段】本発明のブラシ毛素材は、合成樹脂製のチップ材を加熱してダイスから引き抜く前に、茶類、果実類、香り植物類、木材類の1種類または2種類以上が混入される。前記ダイスから引き抜かれた合成樹脂素材は、前記茶類等が混入されたブラシ毛素材となる。前記ブラシ毛素材は、前記ワークを研磨する際に発生する研磨熱により、内部に混入されていた香り部材から香りを出し、前記職場環境が良い雰囲気となるように改善することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシ毛素材内に茶類、果実類、香り植物類、木材類等のパウダーを混入させることにより、ブラシでワークを研磨する際の熱で、前記混入物から香りを出すブラシ毛素材およびブラシに関するものである。本発明は、たとえば、自動車、電機、電子メーカにおける職場において、ワークを研磨する研磨摩擦による熱、騒音、被研磨砥粒、異臭という環境を改善できる研磨熱により香りを出すブラシ毛素材およびブラシに関するものである。また、本発明は、前記工場内において、香りを発生させること、あるいは前記香りを出す物質の色により、作業者の癒しとなるブラシ毛素材およびブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2003−164332号公報に記載されているブラシは、3本の金属線材の間に金属線を挟み、これらを撚ることにより作製されている。また、前記ブラシの撚り部分には、金属製の中空パイプが挿入され、外周をしぼり加工することで、嵌合固定されている。
【0003】
また、特開2002−254277号公報に記載されているブラシは、複数本のアルミナ長繊維からなる集合糸をバインダー樹脂に含浸させて硬化し、結束させる。前記複数本のアルミナ長繊維は、前記バインダー樹脂が付いて硬化していない自由端でバリ取り等の研磨を行うことができる。
【特許文献1】特開2003−164332号公報
【特許文献2】特開2002−254277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、歯ブラシは、予め香り物質を付着させておき、歯磨き中に香りを出すというものがあった。しかし、前記歯ブラシは、予め香り物質が入っているものであり、歯磨き中以外であっても、香りを出している。工業用研磨ブラシを使用する職場は、ワークを研磨する際に発生する摩擦熱、騒音、被研磨砥粒の飛散、異臭という悪環境であることが当然であった。
【0005】
以上のような課題を解決するために、本発明のブラシ毛素材は、悪環境の職場において、作業中に良い香りや、見る際の色によって、作業者に癒しを与えるブラシ毛素材およびブラシを提供することを目的とする。また、本発明は、ブラシ毛素材によるワークに対する摩擦によって発生する熱がブラシ毛素材中に入れてある香り物質から香りを出す工業用ブラシ毛素材およびブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(第1発明)
第1発明のブラシ毛素材は、合成樹脂製繊維中に体積比で1%から70%、好ましくは1%から30%、乾燥された茶類、果実類、香り植物類、木材類からなる粉体の1種類または2種類以上が混入されている合成樹脂製繊維ブラシ毛素材から構成されていることを特徴とする。
【0007】
(第2発明)
第2発明のブラシ毛素材は、棒状体または板状体からなる合成樹脂素材中に体積比で1%から70%、好ましくは1%から30%、乾燥された茶類、果実類、香り植物類、木材類からなる粉体の1種類または2種類以上が混入されている合成樹脂製ブラシ毛素材から構成されていることを特徴とする。
【0008】
(第3発明)
第3発明のブラシ毛素材は、合成樹脂製繊維中に体積比で1%から70%、好ましくは1%から30%、乾燥された茶類、果実類、香り植物類、木材類からなる粉体の1種類または2種類以上が混入されている合成樹脂製繊維ブラシ毛素材と、棒状体または板状体からなる合成樹脂素材中に体積比で1%から70%、好ましくは1%から30%、乾燥された茶類、果実類、香り植物類、木材類からなる粉体の1種類または2種類以上が混入されている合成樹脂製ブラシ毛素材と、金属素材の周囲に砥粒の1種類または2種類以上が被着されている金属製ブラシ毛素材と、前記合成樹脂製繊維ブラシ毛素材、合成樹脂製ブラシ毛素材、金属製ブラシ毛素材の中の、少なくとも2種類のブラシ毛素材を複数本束ね、これらのブラシ毛素材の周囲を覆うカバーリングとから構成されていることを特徴とする。
【0009】
(第4発明)
第4発明のブラシ毛素材において、第1発明から第3発明の茶は、玉露、煎茶、番茶、挽き茶、玄米茶、ほうじ茶、抹茶、烏龍茶、コーヒー、紅茶、およびこれらの葉または豆であり、前記果実は、オレンジ、メロン、バナナ、イチゴ、リンゴ、ぶどう、マンゴー等であり、香り植物は、ラベンダー、バラ、ハーブ等であり、木材は、杉、松、欅、檜、桜、梅、竹等であり、これらの少なくとも一つがパウダー状の微粉末状にした状態で前記合成樹脂製繊維ブラシ毛素材または合成樹脂製ブラシ毛素材に混入されることを特徴とする。
【0010】
(第5発明)
第5発明のブラシ毛素材において、第1発明から第4発明のカバーリングは、前記ブラシ毛素材の周囲に巻き付ける紐状部材、網状部材、コーティング部材、合成樹脂製パイプ、金属製パイプのいずれか一つであることを特徴とする。
【0011】
(第6発明)
第6発明のブラシ毛素材において、第1発明から第5発明のカバーリングとなる素材には、乾燥された茶類、果実類、香り植物類、木材類からなる粉体の1種類または2種類以上が体積比で1%から70%、好ましくは1%から30%混入されていることを特徴とする。
【0012】
(第7発明)
第7発明のブラシ毛素材において、第1発明から第6発明の合成樹脂素材は、研磨砥粒、炭、火山灰、マイナスイオン材、香り材の1種類または2種類以上が体積比で1%から50%混入されていることを特徴とする。
【0013】
(第8発明)
第8発明のブラシ毛素材において、第2発明から第7発明の金属素材は、周囲に研磨砥粒の1種類または2種類以上が電着、蒸着、熱溶着、メッキ処理によって、1%から100%取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
(第9発明)
第9発明のブラシ毛素材において、第1発明から第8発明のブラシ毛素材の複数本を束ね、前記束ねられたブラシ毛素材の周囲をカバーリングにより少なくとも1本にしたことを特徴とする。
【0015】
(第10発明)
第10発明のブラシ毛素材において、第1発明から第9発明におけるブラシ毛素材の内、異なる種類の複数本を束ね、前記束ねられたブラシ毛素材の周囲をカバーリングにより少なくとも1本にしたことを特徴とする。
【0016】
(第11発明)
第11発明のブラシ毛素材において、第1発明から第10発明におけるブラシ毛素材の断面形状は、多角形、クロバー状、十字、その他の変形で、先端部が球状、テーパー状、先割れ状であることを特徴とする。
【0017】
(第12発明)
第12発明のブラシは、第1発明から第11発明のブラシ毛素材がチャネルブラシ、植込みブラシ、溶着ブラシ等となり、これらがロールブラシ、ホィールブラシ、コイルブラシ、筒型ブラシ、捻じりブラシの少なくとも一つとなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、本発明の合成樹脂素材または金属素材等からなるブラシ毛素材で研削・研磨を行うと、前記研削・研磨によって発生する摩擦熱が前記ブラシ毛素材の内部に予め混入または付着されている香り物質から香りを出し、異臭を発生する悪環境の工場で、癒し効果を発生させることができる。
【0019】
本発明によれば、研削・研磨によって発生する摩擦熱に着目し、前記摩擦熱によって、前記合成樹脂素材または金属素材等からなるブラシ毛素材に混入または付着されている香り物質からの香りを出させ、職場の環境を良くすることができる。
【0020】
本発明によれば、前記合成樹脂素材または金属素材等からなるブラシ毛素材に茶類、果実類、香り植物類、木材類等が乾燥粉末となって入っているため、香りだけでなく、天然の色が付き、見た目も良いブラシ毛素材となり、作業を行う際の癒し効果も奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1発明)
第1発明のブラシ毛素材は、合成樹脂製のチップ材を加熱してダイスから引き抜く前に、前記合成樹脂製のチップ材中に体積比で、1%から70%、好ましくは1%から30%、乾燥された茶類、果実類、香り植物類、木材類からなる粉体の1種類または2種類以上が混入される。前記ダイスから引き抜かれた合成樹脂製繊維は、前記乾燥された茶類の粉体が混入されたブラシ毛素材となる。ワークをブラシにより研磨する職場は、研磨摩擦による熱、騒音、被研磨砥粒の飛散、異臭という悪環境であり、作業者に対する改善が望まれていた。前記ブラシ毛素材は、前記ワークを研磨する際に発生する研磨熱により、内部に混入されていた香り植物類から香りを出し、前記職場環境が良い雰囲気となるように改善することができる。前記ブラシ毛素材は、合成樹脂製繊維を作製する際に、前記乾燥された茶類、果実類、香り植物類、木材類からなる粉体の1種類または2種類以上が混入されているため、先端部が磨耗しても、香りが無くなることがない。本明細書において、前記乾燥粉体は、パンダーからなる微粉末のことであり、粒径が研磨仕様によって多少異なる。
【0022】
前記合成樹脂素材は、たとえば、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリマー、ポリエステル、ポリプラスティック、ピーク、芳香族ポリアミド系耐熱性繊維の少なくとも一つからなる。特に、前記合成樹脂素材は、動物繊維(馬毛、豚毛等)および/または植物繊維(パキン、パーム、バナナ等)を混入して、1本のブラシ毛素材とすることができる。
【0023】
(第2発明)
第2発明のブラシ毛素材は、第1発明の合成樹脂製繊維からなるものであるのに対して、棒状体または板状体からなる合成樹脂素材である点で、前記第1発明と異なっている。前記ブラシ毛素材は、乾燥された香り植物類からなる粉体の混入比、および作製が同じであり、前記合成樹脂製繊維と比較して、柔軟性を少なくし、研磨強度の高いワークに向くようになっている。
【0024】
(第3発明)
第3発明のブラシ毛素材は、第1発明の合成樹脂製繊維、第2発明の合成樹脂製ブラシ毛素材に、金属製ブラシ毛素材が加えられている。前記金属製ブラシ毛素材は、金属素材の周囲に研磨砥粒の1種類または2種類以上が、電着、蒸着、熱溶着、メッキ、コーティング等によって被着されている。また、前記合成樹脂製繊維ブラシ毛素材、合成樹脂製ブラシ毛素材、金属製ブラシ毛素材の中の、少なくとも2種類のブラシ毛素材は、複数本が束ねられ、その周囲をカバーリングによって覆われている。第3発明のブラシ毛素材は、前記合成樹脂製繊維、合成樹脂製、金属製のブラシ毛素材の本数および/または内部に入れる物質によって、幅の広いワークに対応するものとすることができる。
【0025】
前記金属素材は、たとえば、鉄、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、クロム、およびこれらの合金等からなる。前記金属素材は、たとえば、電着、蒸着、熱溶着、メッキ等によって、前記金属素材の周囲をコーティングすることができる。
【0026】
(第4発明)
第4発明のブラシ毛素材は、前記合成樹脂製繊維ブラシ毛素材および/または合成樹脂製ブラシ毛素材を作製する際に、玉露、煎茶、番茶、挽き茶、玄米茶、ほうじ茶、抹茶、烏龍茶、コーヒー、紅茶等の茶類、およびこれらの葉または豆、オレンジ、メロン、バナナ、イチゴ、リンゴ、ぶどう、マンゴー等の果実類、ラベンダー、バラ、ハーブ等の香り植物類、杉、松、欅、檜、桜、梅、竹等の木材類の少なくとも一つが乾燥されたパウダー状の微粉末として混入される。前記ブラシ毛素材は、ワークを研磨する際の摩擦熱によって、内部に混入されたパウダー状の微粉末が焼けまたは溶けて、良い香りを出し、作業者にとって良い雰囲気をかもし出すことができる。前記茶類、果実類、香り植物類、木材類のパウダー状の微粉末が混入されたブラシ毛素材は、混入された物質の天然色が反映され、従来の研磨用ブラシ毛素材の概念を超え、見栄えが良いだけでなく、目から入る癒し効果も奏する。
【0027】
(第5発明)
第5発明のブラシ毛素材は、前記合成樹脂製繊維、合成樹脂製、金属製のブラシ毛素材を束ねてカバーリングを行う。前記カバーリングは、前記ブラシ毛素材の周囲に巻き付ける紐状部材、網状部材、メッキ、蒸着、電着、熱溶着等によるコーティング部材、合成樹脂製パイプ、金属製パイプのいずれかとする。前記ブラシ毛素材は、毛丈を長くしても、前記カバーリングの選択によって、所望の強さの腰とすることがでる。
【0028】
(第6発明)
第6発明のブラシ毛素材は、前記合成樹脂製繊維、合成樹脂製、金属製のブラシ毛素材を束ねるカバーリングの素材に、乾燥された茶類、果実類、香り植物類、木材類からなる粉体の1種類または2種類以上が体積比で1%から70%、好ましくは1%から30%混入されている。前記カバーリングの素材に対する茶類、果実類、香り植物類、木材類は、前記同様に、乾燥してパウダー状の微粉末とした後、前記合成樹脂に混入され、繊維または成形体となる。また、金属製のカバーリングは、前記乾燥された茶類、果実類、香り植物類、木材類からなる粉体が混入できないため、周囲に電着、メッキ、蒸着、熱溶着等のコーティングによって付着または覆われる。
【0029】
(第7発明)
第7発明の合成樹脂素材からなるブラシ毛素材は、前記合成樹脂素材に各種の研磨砥粒、炭、火山灰、マイナスイオン材、香り材の1種類または2種類以上、あるいはこれらのパウダーが体積比で1%から50%混入されている。前記合成樹脂素材は、チップから所定の形状のブラシ毛素材となる際に、前記研磨砥粒等、あるいはこれらのパウダーの微粉末が混入されて成形される。前記研磨砥粒等、あるいはこれらのパウダーの微粉末は、合成樹脂素材以外に、合成樹脂製の繊維にも同様にして混入される。
【0030】
(第8発明)
第8発明の金属素材は、周囲に研磨砥粒等の1種類または2種類以上が電着、メッキ、蒸着、熱溶着等のコーティング処理によって、1%から100%取り付けられている。前記研磨砥粒は、たとえば、ダイヤモンド砥粒、無機質砥粒、金属または合金砥粒、火山灰砥粒、黒曜石砥粒、溶岩石砥粒、あるいは、玄武岩砥粒等、公知のものがある。
【0031】
(第9発明)
第9発明のブラシ毛素材は、第1発明から第8発明のブラシ毛素材の複数本を束ね、前記束ねられたブラシ毛素材の周囲をカバーリング、編み込み、コーティングのいずれかにより1本または2本以上にしている。第9発明のブラシ毛素材は、選択するブラシ毛素材、その本数、束ねる本数によって、ワークの研磨仕様に合ったブラシ毛素材とすることができる。
【0032】
(第10発明)
第10発明のブラシ毛素材は、第1発明から第9発明のブラシ毛素材の内、異なる種類の複数本が束ねられる。前記束ねられて1本となったブラシ毛素材は、同じまたは異なるものの複数本が束ねられて、その周囲をカバーリング、編み込み、コーティングのいずれかが行われる。第10発明のブラシ毛素材は、異なるブラシ毛素材を任意に選択することで、前記第9発明のブラシ毛素材より、さらに多くの研磨仕様に合ったものとすることができる。
【0033】
(第11発明)
第11発明のブラシ毛素材は、その断面形状および先端部の形状を任意に変えることで、使用目的に合わせた強度等を得ることができる。前記ブラシ毛素材の断面形状は、たとえば、多角形、クロバー状、十字、その他の変形で、先端部の形状は、球状、テーパー状、先割れ状とすることができる。前記ブラシ毛素材は、ワークの形状あるいは固さ等によって任意にその形状が選択される。
【0034】
(第12発明)
第12発明のブラシは、第1発明から第11発明におけるブラシ毛素材がチャネル部材に嵌められ、また、デッキ部材に埋め込まれ、形状を整えることにより、チャネルブラシ、植込みブラシ、溶着ブラシ等となる。前記各ブラシは、所望の形状にして、ロールブラシ、ホィールブラシ、コイルブラシ、筒型ブラシ、捻じりブラシ等の一つとなり、ワークの研磨に最適な形状、強さ、弾力を得ることができる。
【実施例1】
【0035】
図1(イ)から(ホ)は本発明の第1実施例であり、合成樹脂製繊維または合成樹脂素材に乾燥された茶類の粉体を混入または付着させたブラシ毛素材を説明するための斜視図である。図1(イ)に示されたブラシ毛素材11は、たとえば、線径が約0.02mmから0.03mmである合成樹脂製繊維からなる。また、前記ブラシ毛素材11は、合成樹脂製部材、たとえば、前記合成樹脂製繊維より太さの太い丸形または角形棒状体または板状体とすることもできる。図1(ロ)に示されたブラシ毛素材11は、乾燥された茶類の粉体12が内部に混入されている。前記ブラシ毛素材11は、作製する際に、合成樹脂製チップの中に、乾燥された茶類の粉体12が混入され、たとえば、加熱した後、ダイスから引き抜くといった公知の製造方法により作製される。前記茶類12は、たとえば、玉露、煎茶、番茶、挽茶、玄米茶、ぼうじ茶、抹茶、玉緑茶、烏龍茶、コーヒー、紅茶、その他の茶類等がある。
【0036】
図1(ハ)に示されたブラシ毛素材11は、前記合成樹脂製繊維または合成樹脂製部材の表面に乾燥された茶類の粉体12′が付着されている。前記粉体12′は、たとえば、電着、蒸着、熱溶着、または無電解メッキ等によって付着させることができる。前記茶類の付着は、合成樹脂製部材の表面に、1%から100%である。前記100%の付着は、換言すれば、合成樹脂製部材の全面にコーティングされていることを示す。図1(ニ)に示されたブラシ毛素材11は、前記茶類と同様に、焙煎されたコーヒー豆の粉体13が混入されている。前記粉体13は、所望の粒径にした微粉末のパウダーである。
【0037】
図1(ホ)に示されたブラシ毛素材11は、前記焙煎されたコーヒー豆の粉体13′が微粉末のパウダーとして表面に付着される。前記付着は、電着、蒸着、熱溶着、または無電解メッキ等がある。前記ブラシ毛素材11の表面に付着させる量は、研磨仕様によって任意に選択することができる。前記合成樹脂製繊維または合成樹脂製部材は、たとえば、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリマー、ポリエステル、ポリプラスティック、ピーク、芳香族ポリアミド系耐熱性繊維の少なくとも一つからなる。特に、前記合成樹脂素材は、動物繊維(馬毛、豚毛等)および/または植物繊維(パキン、パーム、バナナ等)を混入して、1本のブラシ毛素材とすることができる。
【実施例2】
【0038】
図2(イ)から(ニ)は本発明の第2実施例であり、合成樹脂製繊維または合成樹脂素材に乾燥された果実類の粉体が混入または付着されたブラシ毛素材を説明するための斜視図である。図2(イ)に示されたブラシ毛素材11は、たとえば、線径が約0.02mmから0.03mmである合成樹脂製繊維からなるが、太さの太い丸形または角形棒状体または板状体とすることもできる。図2(イ)に示されたブラシ毛素材11は、乾燥された果実類の粉体21がパウダーとして、内部に混入されている。前記ブラシ毛素材11は、作製する際に、合成樹脂製チップの中に、果実類を乾燥した後、微粉末状にしたパウダーが混入され、公知の製造方法により作製される。前記果実類21は、たとえば、オレンジ、メロン、バナナ、イチゴ、リンゴ、・・・等周知のもので香りの良いものが使用される。
【0039】
図2(ロ)に示されたブラシ毛素材11は、乾燥された果実類の粉体21′が前記合成樹脂製繊維または合成樹脂製部材の表面に付着されている。前記乾燥された果実類の粉体21′は、前記茶類と同様に、付着させることができる。図2(ハ)に示されたブラシ毛素材11は、前記果実類と同様に、乾燥された香り植物類の粉体22、たとえば、ラベンダー、バラ、ハープ等を前記と同様に、乾燥後、所望の粒径にした微粉末のパウダーが混入される。また、図2(ニ)に示されたブラシ毛素材11は、前記香り植物類22′を微粉末のパウダーにして内部に混入および/または表面に付着させる。前記付着は、前記第1実施例と同様である。
【実施例3】
【0040】
図3(イ)および(ロ)は本発明の第3実施例であり、合成樹脂製繊維または合成樹脂素材に乾燥された木材類の粉体を混入または付着させたブラシ毛素材を説明するための斜視図である。図3(イ)に示されたブラシ毛素材11は、木材類31を乾燥した後に微粉末としたパウダー等が前記と同様にして作製され、前記合成樹脂製繊維または合成樹脂素材の内部に混入されている。図3(ロ)に示されたブラシ毛素材11は、前記乾燥された木材類の粉体31、31′が前記と同様に、前記合成樹脂製繊維または合成樹脂製部材の内部に混入および/または表面に付着されている。前記木材類31、31′の種類は、1種類だけでなく、複数を組み合わせることができる。前記木材類31、31′は、たとえば、杉、松、欅、桜、檜、梅、竹等香りの高いものである。
【実施例4】
【0041】
図4(イ)から(ハ)は本発明の第4実施例であり、合成樹脂製繊維または合成樹脂素材に乾燥された茶類、果実類、木材類の粉体が混入または付着されたブラシ毛素材を説明するための斜視図である。図4(イ)に示されたブラシ毛素材11は、乾燥された茶類の粉体12および乾燥された果実類の粉体21が前記と同様にして作製され、前記合成樹脂製繊維または合成樹脂素材の内部に混入されている。図4(ロ)に示されたブラシ毛素材11は、前記焙煎されたコーヒー豆の粉体13と乾燥された香り植物類の粉体22が混入されている例である。図4(ハ)に示されたブラシ毛素材11は、乾燥された茶類の粉体12、12′、焙煎されたコーヒー豆の粉体13、13′、乾燥された果実類の粉体21、21′、乾燥された木材類の粉体31、31′が前記同様に、前記合成樹脂製繊維または合成樹脂製部材の内部に混入および/または表面に付着されている。前記混入または付着物の種類および数は、限定されるものではない。
【実施例5】
【0042】
図5(イ)から(ニ)は本発明の第5実施例であり、金属製ブラシ毛素材に乾燥された茶類の粉体が付着またはコーティングされている状態を説明するための図である。図5(イ)において、1本の金属製ブラシ毛素材51が示されている。前記金属製ブラシ毛素材51は、たとえば、鉄、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、クロム、およびこれらの合金等からなる。前記金属製ブラシ毛素材51の径は、小さいもので、約0.1mm程度のものからある。
【0043】
前記金属製ブラシ毛素材51は、乾燥された茶類の粉体52が周囲に、たとえば、電着、蒸着、熱溶着、メッキ等によって、付着またはコーティングされる。図5(ロ)に示された金属製ブラシ毛素材51は、その周囲に、たとえば、乾燥された茶類の粉体52が付着されている。前記付着は、1%程度から全面に付着された100%のものまである。図5(ハ)に示された金属製ブラシ毛素材51は、その周囲全面に、たとえば、乾燥された茶類の粉体53がコーティングされている。図5(ニ)に示された金属製ブラシ毛素材51は、その周囲全面に、たとえば、乾燥された茶類の粉体52が付着され、さらに、その周囲に乾燥された茶類の粉体54が全面にコーティングされている。
【実施例6】
【0044】
図6(イ)から(ハ)に示されたブラシ毛素材は、図1から図5に示されているブラシ毛素材を束ねた状態を説明するためのものである。図6(イ)に示されたブラシ毛素材61は、網62によって束ねられている。前記網62によるブラシ毛素材61のカバーリングは、合成樹脂製紐を編んだもの、金属製針金を編んだもの、合成樹脂製繊維に砥粒、茶類、果実類、香り植物類、木材類等の微粉末を混入させたものがある。図6(ロ)に示されたブラシ毛素材61は、前記紐63によって巻かれている。図6(ハ)に示されたパイプ状カバーリング64は、金属製または合成樹脂製、合成樹脂に図1から図4に示すものを混入または付着したもの、あるいは図5に示す砥粒等を付着したものからなる。
【実施例7】
【0045】
図7(イ)および(ロ)は複数のブラシ毛素材をカバーリングした例を説明するための断面図および斜視図である。図7(イ)および(ロ)において、ブラシ毛素材71は、合成樹脂素材内に香り植物類が入っている。ブラシ毛素材72は、金属素材の周囲に乾燥された茶類の粉体が付着されている。ブラシ毛素材73は、合成樹脂製である。ブラシ毛素材74は、金属素材の周囲に砥粒等が付着している。そして、前記ブラシ毛素材71、72、73、74は、紐75によってカバーリングされて1本のブラシ毛素材となっている。前記ブラシ毛素材は、材質、混入物質、付着物質、カバーリング等、および本数を任意に選択し、研磨仕様に合ったものとすることができる。さらに、ブラシ毛素材は、図7(イ)および(ロ)に示されたものを複数束ねて1本とすることもできる。
【実施例8】
【0046】
図8(イ)から(ハ)は本発明の実施例であるブラシ毛素材によって作製されたチャネルブラシおよび植込みブラシを説明するための斜視図である。図8(イ)に示されたブラシは、ブラシ毛素材81の中央に芯線82を置き、半折りにして、チャネル83内に嵌め込んだチャネルブラシである。図8(ロ)に示されたブラシは、デッキ86の孔85にブラシ毛素材84を埋め込んでいる。図8(ハ)に示されたブラシは、ブラシ毛素材87の中央部を接着剤88により固定して、チャネル89に嵌め込んでいる。
【実施例9】
【0047】
図9(イ)から(チ)は本発明のブラシ毛素材からなるブラシを説明するための図である。図9(イ)はカップブラシ、(ロ)はチャネルブラシをディスクの周囲に取り付けたディスクブラシ、(ハ)はチャネルを曲げて円形にした円盤ブラシ、(ニ)はチャネルに取り付けたブラシ毛素材を内部に向けて作製されたブラシ、(ホ)および(ヘ)はロールブラシ、(ト)は筒型ブラシ、(チ)は捩じりブラシである。これらのブラシは、本発明の実施例によるブラシ毛素材を基にして作製されている。
【0048】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。ブラシ毛および混入物質等の材質、大きさ、形状、密度等は、任意に選択することができる。特に、金属部材、合成樹脂部材、混入部材、付着部材は、本明細書に挙げた以外に公知または周知のものが使用できることはいうまでもないことである。また、本発明のブラシ毛素材の断面形状は、丸を含む多角形、十字型、ハート型、板状、その他の変形を含むとともに、先端部が尖ったもの、割れているもの等ワーク研磨仕様に基づいて変形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】(イ)から(ホ)は本発明の第1実施例であり、合成樹脂製繊維または合成樹脂素材に乾燥された茶類の粉体を混入または付着させたブラシ毛素材を説明するための斜視図である。(実施例1)
【図2】(イ)から(ニ)は本発明の第2実施例であり、合成樹脂製繊維または合成樹脂素材に乾燥された果実類の粉体が混入または付着されたブラシ毛素材を説明するための斜視図である。(実施例2)
【図3】(イ)および(ロ)は本発明の第3実施例であり、合成樹脂製繊維または合成樹脂素材に乾燥された木材類の粉体を混入または付着させたブラシ毛素材を説明するための斜視図である。(実施例3)
【図4】(イ)から(ハ)は本発明の第4実施例であり、合成樹脂製繊維または合成樹脂素材に乾燥された茶類、果実類、木材類の粉体が混入または付着されたブラシ毛素材を説明するための斜視図である。(実施例4)
【図5】(イ)から(ニ)は本発明の第5実施例であり、金属製ブラシ毛素材に乾燥された茶類の粉体が付着またはコーティングされている状態を説明するための図である。(実施例5)
【図6】(イ)から(ハ)に示されたブラシ毛素材は、図1から図5に示されているブラシ毛素材を束ねた状態を説明するためのものである。(実施例6)
【図7】(イ)および(ロ)は複数のブラシ毛素材をカバーリングした例を説明するための断面図および斜視図である。(実施例7)
【図8】(イ)から(ハ)は本発明の実施例であるブラシ毛素材によって作製されたチャネルブラシおよび植込みブラシを説明するための斜視図である。(実施例8)
【図9】(イ)から(チ)は本発明のブラシ毛素材からなるブラシを説明するための図である。(実施例9)
【符号の説明】
【0050】
11・・・ブラシ毛素材(合成樹脂製繊維、棒状体)
12、12′・・・乾燥された茶類の粉体
13、13′・・・焙煎されたコーヒー豆の粉体
21、21′・・・乾燥された果実類の粉体
22、22′・・・乾燥された香り植物類の粉体
31、31′・・・乾燥された木材類の粉体
51・・・金属製ブラシ毛素材
52、53、54・・・乾燥された茶類の粉体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製繊維中に体積比で1%から70%、好ましくは1%から30%、乾燥された茶類、果実類、香り植物類、木材類からなる粉体の1種類または2種類以上が混入されている合成樹脂製繊維ブラシ毛素材から構成されていることを特徴とするブラシ毛素材。
【請求項2】
棒状体または板状体からなる合成樹脂素材中に体積比で1%から70%、好ましくは1%から30%、乾燥された茶類、果実類、香り植物類、木材類からなる粉体の1種類または2種類以上が混入されている合成樹脂製ブラシ毛素材から構成されていることを特徴とするブラシ毛素材。
【請求項3】
合成樹脂製繊維中に体積比で1%から70%、好ましくは1%から30%、乾燥された茶類、果実類、香り植物類、木材類からなる粉体の1種類または2種類以上が混入されている合成樹脂製繊維ブラシ毛素材と、
棒状体または板状体からなる合成樹脂素材中に体積比で1%から70%、好ましくは1%から30%、乾燥された茶類、果実類、香り植物類、木材類からなる粉体の1種類または2種類以上が混入されている合成樹脂製ブラシ毛素材と、
金属素材の周囲に砥粒の1種類または2種類以上が被着されている金属製ブラシ毛素材と、
前記合成樹脂製繊維ブラシ毛素材、合成樹脂製ブラシ毛素材、金属製ブラシ毛素材の中の、少なくとも2種類のブラシ毛素材を複数本束ね、これらのブラシ毛素材の周囲を覆うカバーリングと、
から構成されていることを特徴とするブラシ毛素材。
【請求項4】
前記茶は、玉露、煎茶、番茶、挽き茶、玄米茶、ほうじ茶、抹茶、烏龍茶、コーヒー、紅茶、およびこれらの葉または豆であり、前記果実は、オレンジ、メロン、バナナ、イチゴ、リンゴ、ぶどう、マンゴー等であり、香り植物は、ラベンダー、バラ、ハーブ等であり、木材は、杉、松、欅、檜、桜、梅、竹等であり、これらの少なくとも一つがパウダー状の微粉末状にした状態で前記合成樹脂製繊維ブラシ毛素材または合成樹脂製ブラシ毛素材に混入されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載されたブラシ毛素材。
【請求項5】
前記カバーリングは、前記ブラシ毛素材の周囲に巻き付ける紐状部材、網状部材、コーティング部材、合成樹脂製パイプ、金属製パイプのいずれか一つであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載されたブラシ毛素材。
【請求項6】
前記カバーリングとなる素材には、乾燥された茶類、果実類、香り植物類、木材類からなる粉体の1種類または2種類以上が体積比で1%から70%、好ましくは1%から30%混入されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載されたブラシ毛素材。
【請求項7】
前記合成樹脂素材は、研磨砥粒、炭、火山灰、マイナスイオン材、香り材の1種類または2種類以上が体積比で1%から50%混入されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載されたブラシ毛素材。
【請求項8】
前記金属素材は、周囲に研磨砥粒の1種類または2種類以上が電着、蒸着、熱溶着、メッキ処理によって、1%から100%取り付けられていることを特徴とする請求項2から請求項7のいずれか1項に記載されたブラシ毛素材。
【請求項9】
前記ブラシ毛素材の複数本を束ね、前記束ねられたブラシ毛素材の周囲をカバーリングにより1本または2本以上にしたことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載されたブラシ毛素材。
【請求項10】
前記ブラシ毛素材の内、異なる種類の複数本を束ね、前記束ねられたブラシ毛素材の周囲をカバーリングにより1本または2本以上にしたことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載されたブラシ毛素材。
【請求項11】
前記ブラシ毛素材の断面形状は、多角形、クロバー状、十字、その他の変形で、先端部が球状、テーパー状、先割れ状である請求項1から請求項10のいずれか1項に記載されたことを特徴とするブラシ毛素材。
【請求項12】
前記請求項1から請求項11に記載されたブラシ毛素材は、チャネルブラシ、植込みブラシ、溶着ブラシ等となり、これらがロールブラシ、ホィールブラシ、コイルブラシ、筒型ブラシ、捻じりブラシの一つとなることを特徴とするブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−12127(P2008−12127A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−187374(P2006−187374)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【出願人】(398029234)
【出願人】(300038675)
【Fターム(参考)】