説明

ブランクを搬送して折曲げる装置

本発明による折曲げ装置は、ブランクを搬送経路(10)に沿って搬送することが可能な下コンベヤ(30)を有する。下コンベヤ(30)は、無端コンベヤベルト(38)を支持する長手方向サイドフレーム部材(40a、40b、40c)を有し、無端コンベヤベルト(38)は、上ローラ(31、31a、31b、32、33、33a)によって搬送経路(10)に沿って案内される。折曲げ装置は、更に、前タブを折曲げる少なくとも1つの折曲げ部材(50)を有する。少なくとも1つの上ローラ(32)は、搬送経路が湾曲するように、他の上ローラから垂直方向にずらされる。折曲げ部材(50)は、前タブを押える位置で且つずらされた上ローラ(32)の近傍で垂下される。折曲げローラ(50)は静止している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低比重のプレート要素、例えば、紙、厚紙、段ボール又はプラスチックのブランクを折曲げる装置に関する。
【0002】
また、本発明は、低比重のプレート要素を搬送する装置に関する。
【0003】
最後に、本発明は、低比重のプレート要素、例えば、紙、厚紙、段ボール又はプラスチックのブランクを折曲げて箱に変換する機械、すなわち、折曲げ接着機に関する。
【背景技術】
【0004】
例えば、標準的な箱を製造するのに使用されるブランクは、長手方向パネル及び横断方向タブを形成する4本の長手方向折曲げ線及び2本の横断方向折曲げ線を有している。この種類の箱の場合、長手方向パネルのみが折曲げ接着機で折曲まれ、横断方向タブは折曲げ接着機の外部で折曲げられる。ここで「横断方向タブ」とは、横断方向折曲げ線に沿って折曲げられるタブを意味する。
【0005】
また、同じ視類のブランクを使用する箱であって、前タブが長手方向パネルと同様に折曲げ接着機で折曲げられる箱の例もあり、これらの箱は、クラッシュロックボトム式の箱と呼ばれている。ここで「前タブ」とは下流側の横断方向タブを意味する。
【0006】
標準的な箱及びクラッシュロックボトム式の箱は、通常、同じ折曲げ接着機で製造される。折曲げ接着機は、一連の作業ステーション、より詳しくは、箱生産用ブランクをスタックからブランク毎に供給するフィーダと、整列モジュールと、ブランクの第1長手方向折曲げ線及び第3長手方向折曲げ線を90°と180°との間で予め破壊するブレーカと、ブランクの前タブを180°で折曲げることができる折曲げモジュールと、接着ステーションと、ブランクの第2長手方向折曲げ線及び第4長手方向折曲げ線を折曲げる折曲げ機と、第2長手方向折曲げ線及び第4長手方向折曲げ線を有し且つ箱をオーバーラップ式に置く加圧機と、最後に、接着剤が乾燥するように箱を加圧したまま受入れる受入れモジュールを有している。1つのステーションから他ステーションへのブランクの搬送は、下コンベヤと上コンベヤとの間の摩擦を用いてブランクを保持するベルトコンベヤによって行われる。従来、下コンベヤには下ベルトが設けられ、上コンベヤには上ベルト又は上支持ローラが設けられる。下コンベヤと上コンベヤとの接触点が、ブランクを搬送する経路を形成する。
【0007】
変形例として、ブランクは、上コンベヤの補助なしに下コンベヤのベルトによって保持される。上コンベヤの補助なしにブランクを搬送する装置の例は、特許文献1及び2に開示されている。この既知の装置では、下コンベヤは、真空チャンバと相互作用する在来のベルトを備えたコンベヤである。上コンベヤの補助なしにブランクを搬送する装置の他の例が、特許文献3に開示されている。この既知の装置では、下ベルトは、吸引要素が設けられたベルトを有するコンベヤである。
【0008】
下コンベヤは、通常、幾つかの長手方向サイドフレーム部材を有し、各サイドフレーム部材は、プーリ及びローラによって案内される無端コンベヤベルトを支持している。各サイドフレーム部材は、2つの長手方向フレームの間で横断方向に取付けられた1つ又は2つ以上の移動スライドに沿ってベアリングを介して横断方向にスライド可能に取付けられている。加工すべきブランクのフォーマットに合わせるためにサイドフレーム部材の横断方向位置を適合させるのに、各サイドフレーム部材の横断方向移動は、2つの長手方向フレーム間で回転できるように取付けられ且つねじ山部分がサイドフレーム部材の横断方向タップ孔(ねじ山付き孔)内に係合している1つ又は2つ以上の平行ねじによって行われる。
【0009】
前タブは、通常、ブランクの移動平面よりも上に配置されたクロスメンバから垂下した1つ又は2つ以上の弾性フックを備えた装置により折曲げられ、弾性フックの下端部は、ブランクの移動平面を貫いている(例えば、特許文献4参照)。
【0010】
しかしながら、或る場合には、ブランクの経路を横切って折曲げ部材を配置することをより簡単に回避する解決法が見出されている。この解決法は、圧縮空気のジェットを折曲げるべきタブに吹付けるのに便利な方向を向いたノズルを使用する必要がある。空気のジェットは、前タブの折曲げを開始するのに使用され、その後、もはやブランクの実際の軌道内にない剛性要素を用いて、折曲げを完了する。
【0011】
また、上記ノズルを、ブランクの移動平面の下に位置して交互に前後に移動する持上げフィンガに置換した構成の折曲げ装置も知られている(例えば、特許文献5参照)。
【0012】
特許文献6には、一部分に凸部を有するベルトコンベヤ内にブランクを送り込むことによって、ブランクの前タブを折曲げることが提案されている。この種類のコンベヤは、上流側から下流側まで連続的に、水平方向部分、凹部分、凸部分、凹部分、水平方向部分が設けられている。折曲げるべき前タブがコンベヤの凸部分に入ると、前タブは、凸状搬送経路から、前記経路の実質的に接線方向に且つ外方に突出する。クロスメンバから垂下する弾性折曲げフックが、凸部分の上方で前タブの突出方向に配置される。したがって、ブランクが凸部分内に移動するとき、前タブが弾性折曲げフックに、失敗することなしに当たる。
【0013】
また、特許文献7にも、一部分に凸部を有するベルトコンベヤ内にブランクを送り込むことによって、ブランクの前タブを折曲げることが提案されている。この折曲げ装置は、折曲げ部材が弾性ではない点で、特許文献6に開示された装置と相違する。また、特許文献6に開示の装置とは異なり、この折曲げ装置は、互いに分離されたブランクを折曲げることはできない。より詳しくは、折曲げるべき前タブがコンベヤの凸部分の搬送経路の外部に突出しても、ブランクが折曲げ部材の下を移動するとき、前タブの突出方向は前記搬送経路に対して実際には直角になるため、凸部分内でのブランクの移動によって前タブが折曲げ部材に自動的に当たることはなく、オペレータの介入を必要とする。ブランクがオーバーラップ式に到着するとき、オーバーラップ式のその後のブランクを折曲げ部材に向かって案内するのに、オペレータは、最初のブランクの前タブを折曲げ部材に当てるだけで充分である。しかしながら、ブランクが互いに別々に到着するとき、オペレータは、各ブランクの前タブを手で折曲げ部材に当てなくてはならない。
【0014】
ブランクのタブを折曲げ部材に当てるのにオペレータの手による介入を必要とする折曲げ装置は、箱の生産性を低下させるので、満足できるものではない。
【0015】
前タブを折曲げるのに可動折曲げ部材(弾性折曲げフック、持上げフィンガ等)を使用する折曲げ装置では、休止位置と作動位置との間の可動部材の移動は、ブランクの移動と同期され、このため、ブランクの移動速度が高いほど、可動部材が一位置から他位置に交互に移動するのに要する時間は短くなる。非常に高速で作動する必要がない限り、可動部材は、休止位置から作動位置へと移動する時間を有する。これと同じことは、非常に高速で作動する必要があるとき、すなわち、200m/分より高い搬送速度をブランクに課す場合には当てはまらない。この速度での実際の試験中、可動部材は全てのブランクを加工する時間をもたなかったことが認められた。より詳しくは、弾性折曲げフックの場合、折り曲げフックの下端部に対する前タブの事実上連続的な衝撃は、折曲げフックが全てのブランクの間に再び落下する時間を許容せず、このため折曲げの欠陥を引き起こした。同様に、持上げフィンガの場合、前記フィンガの前後運動速度が可動部材の極限の設計、特に、可動部材を形成する部品の機械的強度により制限された。
【0016】
圧縮空気を使用する折曲げ装置では、コンプレッサ、バルブ、パイプ、ノズル等を有する完全な空気圧設備を設ける必要があり、このような空気圧設備は、圧縮空気を作るのに多量のエネルギを消費するので、満足できるものではない。また、ノズルから出る空気はかなり大きい騒音源となり、作業環境にとって有害である。
【0017】
クラッシュロックボトム式の箱の製造に適合する折曲げ接着機で標準の箱を製造したい場合、ブランクが折曲げモジュール内を移動するときのブランクに対する折曲げ部材の干渉を防止するために、前タブの折曲げ装置を、機能しないように配置するのが有利であり、かかる干渉は、ブランクを損傷させたり、箱の生産性を低下させたりする。従来技術の殆どの折曲げ装置において、折曲げ部材がブランクの移動平面から離れて移動できるように構成されているのはこのためである。それにもかかわらず、特許文献6及び7に開示されたベルトコンベヤでは、コンベヤの凸部分から離れて弾性折曲げフックを移動させることができるが、この凸部分でのブランクの必須の移動は、同じ長さの水平方向部分のコンベヤと比較して、ブランクの搬送経路を長くし、これは生産性に関して満足できるものではない。また、特許文献6に開示されたコンベヤの2つの凹部分及び1つの凸部分内を移動するブランクは、幾つかの長手方向曲げを受け、このため、ブランクを変形させ且つ損傷させる。段ボールブランクの場合、ブランクの変形によって段ボールの段が破壊されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第4108302号明細書
【特許文献2】国際公開第97/14634号パンフレット
【特許文献3】米国特許第4614512号明細書
【特許文献4】米国特許第3285144号明細書
【特許文献5】米国特許第4052932号明細書
【特許文献6】米国特許第4018144号明細書
【特許文献7】ドイツ国特許第19535903号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の第1の目的は、非常に高速で作業できる紙、厚紙又はプラスチックのブランクを折曲げる装置を提案することにより、上記欠点を解消することにある。
【0020】
したがって、本発明の主題は特許請求の範囲の請求項1に記載の装置にある。
【0021】
本発明の第2の目的は、生産すべき箱の種類に応じて構成することができる搬送装置を備えた、ブランクを折曲げる装置を提案することにある。
【0022】
したがって、本発明の主題は特許請求の範囲の請求項2に記載の装置にある。
【0023】
本発明の第3の目的は、本発明による折曲げる装置に特に適した、ブランクを搬送する装置を提案することにある。
【0024】
したがって、本発明の主題は特許請求の範囲の請求項3に記載の搬送装置にある。
【0025】
本発明の他の目的は、前タブが折曲げられるときに、ブランクの変形を制限する、ブランクを搬送する装置を提案することにある。
【0026】
したがって、本発明の主題は特許請求の範囲の請求項4に記載の搬送装置にある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
請求項1に記載の折曲げる装置により、ブランクの前タブは、欠陥のある折曲げの危険又は折曲げ部材の機械的破壊の危険なしに高速で折曲げられる。
【0028】
請求項2に記載の折曲げる装置により、生産すべき箱の種類にかかわらず、生産性が最適化される。
【0029】
また、請求項3に記載の多目的搬送装置により、折曲げる必要がないブランクは、水平方向搬送経路に沿って折曲げ装置を通過する。これにより、一方では、生産すべき箱の変形及び傷付きが防止され、他方では、生産性の低下が防止される。
【0030】
最後に、請求項4に記載の搬送装置により、ブランクは、前タブの折曲げ中に変形され傷付けられることがない。
【0031】
本発明の他の目的及び長所は、実施形態の説明及び添付図面に関してなされる説明を読むことにより明らかになるであろう。
【0032】
本発明の説明及び折曲げ接着機内の或る要素の位置の説明に導入される幾つかの用語を定義する目的から、機械の長手方向中心線に対して指定した側を参照して明白に使用される用語「オペレータ側」及び「反オペレータ側」に留意されたい。この選択は、観察者の観点に基づいた慣用的な指定「左側及び右側」により生じるあらゆる混乱を回避することを可能にする。同様な理由から、或る運動の方向又は或る部品の方向は、ブランクの移動方向により方向が決定される機械の中心線について常に言及される通常の用語「長手方向」及び「横断方向」により説明されるであろう。最後に、機械の部品についての用語「上流側」及び「下流側」は、折曲げ接着機内でのブランクの移動方向をいう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】従来技術によるコンベヤの斜視図である。
【図2a】従来技術による折曲げ装置の一部の斜視図である。
【図2b】従来技術による折曲げ装置の一部の斜視図である。
【図2c】従来技術による折曲げ装置の一部の斜視図である。
【図3a】本発明による折曲げ装置の一部の斜視図である。
【図3b】本発明による折曲げ装置の一部の斜視図である。
【図3c】本発明による折曲げ装置の一部の斜視図である。
【図4】本発明による搬送装置の一部の図である。
【図5】本発明による搬送装置の一部の図である。
【図6】本発明による搬送装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、従来技術によるコンベヤ1を示す。矢印10は、ブランクの移動方向を指示し、かかる移動方向を、搬送経路とも称する。コンベヤ1は、通常、互いに平行で且つ互いから或る距離のところに位置する2つの長手方向フレーム1a、1bを有している。各長手方向フレーム1a、1bは、2つの大きい面、すなわち、内面と外面を有し、一方の長手方向フレームの内面は、他方の長手方向フレームの内面に向けられている。この例では、長手方向フレーム1aは、オペレータ側の反対側に位置し、長手方向フレーム1bは、オペレータ側に位置している。2つの長手方向フレーム1a、1bの間に且つ横断方向に、互いに平行な円筒形の移動スライド2(一つの移動スライドのみを示す)と、互いに平行な移動用ねじ3の対と、両長手方向フレーム1a、1b間で回転可能に取付けられた駆動シャフト(図示せず)が配置されている。移動スライド2は、その両端部が、長手方向フレーム1a、1bに嵌合されると共に、互いに平行に並べて取付けられた3つの長手方向サイドフレーム部材6a、6b、6cを支持するように設計され、各長手方向サイドフレーム部材6a、6b、6cは、一連の上ローラ8によって形成されたしっかりした水平方向平面に載せられた無端コンベヤベルト7を支持している。各長手方向サイドフレーム部材6a、6b、6cは、加工すべきブランクのフォーマットに応じて、両長手方向フレーム1a、1bの間を移動スライド2に沿って横断方向に移動可能である。
【0035】
ブランクをコンベヤベルト7に押付ける支持装置(図示せず)が、サイドフレーム部材6a、6b、6cのいくつかの部分の上に配置されている。これらの支持装置は、スプリングによって下向きに保持された一連のローラで構成されてもよいし、下方に押圧された下側のストランド(部分)を有する無端ベルトで構成されてもよい。
【0036】
サイドフレーム部材6a、6b、6cの横断方向位置を変えるために、サイドフレーム部材6a、6b、6cは、移動用ねじ3と螺合するように取付けられている。具体的には、各サイドフレーム部材6a、6b、6cの横断方向移動は、1対の平行ねじ3によって制御され、そのねじ山部分は、それぞれのサイドフレーム部材6a、6b、6cの横断方向タップ孔と螺合しており、1対のねじ3は、両長手方向フレーム1a、1bの間で自由に回転できるように固定されている。ねじを回転させるために、1つ又は2つ以上の電気モータ(図示せず)が設けられている。
【0037】
各無端コンベヤベルト7は、ローラ8及び駆動プーリ5によって支持されている。駆動プーリ5は、同軸であり、自由に回転するようにサイドフレーム部材6a、6b、6cに取付けられている。コンベヤベルト7を駆動するために、駆動シャフトは、各駆動プーリ5のスピンドルに形成された横断方向孔の形状と相互作用する六角形断面を有している。したがって、サイドフレーム部材6a、6b、6cを、1対の調節ねじ3の作用によって横断方向に移動させるとき、サイドフレーム部材6a、6b、6cは、移動スライド2及び駆動シャフトに沿ってスライドする。
【0038】
図2a〜図2cは、従来技術による折曲げ装置を示す。この折曲げ装置は、図1を参照して説明したコンベヤと同様のコンベヤ1と、ブランクの移動平面よりも上に配置されたクロスメンバ(図示せず)から垂下する2つの可動折曲げ部材12と、2つの上ガイド11を有している。各折曲げ部材12は、L字形金属ストリップからなる弾性的な折曲げフック13を有している。折曲げフック13の下端部は、ブランクの移動平面内に位置し、折曲げフック13の上端部は、ケーシング15内で横断方向軸線を中心に回動するシャフト14に固定されている。剛性ロッド16により、ケーシング15をクロスメンバに取付けることを可能にする。ケーシング15内に収容された戻りスプリングが、折曲げフック13の下端部をブランクの移動平面内に保持する方向に付勢するトルクを付与する。この構成により、折曲げフック13は弾性的(ばね的)である。作動モードを説明するために、折曲げるべき2つの前タブ21を有するブランク20を、いくつかの折曲げ状態で示す。図2aに示す状態では、ブランク20は、移動方向10に沿って折曲げ装置に到達している。ブランクの前タブ21及び長手方向パネルは、実質的に同じ水平方向平面内にある。折曲げフック13の下端部は、前タブ21と同じレベルに位置するブランク20の移動平面内にある。
【0039】
図2bに示す状態では、ブランク20は折曲げ部材12の下を移動し、ブランク20がそこを通るとき、前タブ21は、折曲げフック13の下端部によって引掛けられる。ブランク20を移動させ続けると、前タブ21は、折曲げフック13を押す。この押す効果により、折曲げフック13は、その横断方向軸線を中心に回動することによって、ブランク20の移動平面から遠ざかる。折曲げフック13の回動は、それと同時に、ケーシング15内に収容されたスプリングを応力付加状態にする。前タブ21は、水平方向平面よりも上に持ち上がることによって折曲げを開始させ、ブランク20の残部は、従来技術で既知の任意の手段、例えば上述した支持装置(図示せず)によってコンベヤベルト7に押付けられ且つ保持される。
【0040】
図2cに示す状態では、ブランク20は、上ガイド11の下を移動する。上ガイド11は、長手方向に延びる剛性のスライドであり、上ガイド11の機能は、前タブ21の折曲げを完成させることにある。特に、折曲げフック13が前タブ21を解放するとき、前タブ21は、上ガイド11の縁部に当たる。ブランク20が前進し続けるので、前タブ21は、上ガイド11の下を摺動し、それにより、折曲げを完了させる。折曲げフック13は、前タブ21を解放した後、戻りスプリングの作用によってブランクの移動平面に戻される。
【0041】
図3a〜図3cは、本発明による折曲げ装置を示す。比較の目的で、本発明による折曲げ装置を、図2a〜図2cに示した従来技術による折曲げ装置と実質的に同じ位置に示す。この折曲げ装置は、従来技術のコンベヤと異なる下コンベヤ30を有し、その相違点は、無端コンベヤベルト38が載っているしっかりとした面が湾曲している点にある。
【0042】
図3a〜図3cに示す例では、下コンベヤ30のしっかりした面は、一連の上ローラ31、31a、31b、32、33からなるのが好ましい。無端コンベヤベルト38を支持する長手方向サイドフレーム部材40を考えると、上ローラ31、31a、31bは、サイドフレーム部材40の上流側に位置し、上ローラ33は、サイドフレーム部材40の下流側に位置し、上ローラ32は、上流側の上ローラ31、31a、31bと下流側の上ローラ33の間の中間位置にある。上流側の上ローラ31、31a、31bは、しっかりした水平方向平面を形成するように配置されている。上ローラ32は、略垂直(鉛直)方向のアーム34の頂部のところに自由に回転できるように取付けられている。上ローラ32と反対側に位置するアーム34の部分は、ねじ37によってスライド35にロックされている。スライド35は、長手方向サイドフレーム部材40に固着されたプレート36に設けられた略垂直方向のスロットを有している。アーム34がスライド35の頂部にロックされているので、アーム34は、上ローラ32を、上流側の上ローラ31、31a、31bによって形成されたしっかりとした水平方向平面よりも上に持上げる。この構成により、無端コンベヤベルト38の上側のストランド(部分)は、サイドフレーム部材40の上流側で、上流側の上ローラ31によって上ローラ31bまで案内され、次いで、ベルト38は、しっかりした水平方向平面の下に位置するガイドローラ39に向かって向きを変える。ガイドローラ39は、ベルト38を、上流側の上ローラ31のうちの下流側に位置する上ローラ31aに向かって案内する。最後に、上ローラ31aは、ベルト38を、上流側の上ローラ31、31a、31bから垂直方向にずらされた上ローラ32に向けて案内し、その結果、搬送経路は、湾曲部分を有している。
【0043】
ベルト38は、オフセットローラ32の後、下流側の上ローラ33のうちの下流側に位置するローラ33a(図4参照)向かって、下流側の上ローラ33によって案内される。ローラ33aは、上流側の上ローラ31、31a、31bと同じ水平方向平面内に位置している。
【0044】
オフセットローラ32が、下流側の上ローラ33、33aと同じ平面内に位置するのが有利であり、それにより、サイドフレーム部材40の下流側でベルト38が載るしっかりした平面が傾斜する。この構成により、下コンベヤ30は、その上流側から下流側まで連続的に、水平方向部分と、凹部分と、凸部分と、傾斜平面部分を有している。この構成では、1つ凹部分と1つの凸部分だけしか有していないので、ブランクの変形は僅かである。
【0045】
本発明による折曲げ装置は、下コンベヤ30に加えて、ブランクの移動平面よりも上に位置するクロスメンバ(図示せず)から垂下し且つ静止した2つの折曲げ部材50を有している。折曲げ部材50が静止しているのは、折曲げ部材50が、作動的に移動するように駆動されないからである。各折曲げ部材50は、略垂直方向の剛性のバー51からなる。バー51の上端部は、クロスメンバに取付けられ、バー51の下端部は、オフセットローラ32の下流側でオフセットローラよりも上に位置している。
【0046】
本発明に特有の作動モードを説明するために、折曲げるべき2つの前タブ21’を有するブランク20’を、異なる折曲げ状態で示す。図3aに示す状態では、ブランク20’は、下コンベヤ30の湾曲部分に到達している。既知の手段が、ブランク20’をコンベヤベルト38に押付けて保持し、かかる既知の手段は、例えば、前述した支持装置(図示せず)を含む。支持装置は、折曲げるべき前タブ21’を、それらがベルト38に押付けられて保持されないように自由にしておく。したがって、ブランク20’が湾曲部分を移動するとき、前タブ21’は、湾曲した搬送経路の実質的に接線方向に、湾曲した搬送経路から外方に突出する。
【0047】
図3bに示す段階において、ブランク20’は、折曲げ部材50の下を移動し、ブランク20’がそれを通過するとき、前タブ21’が、その突出方向に配置された剛性バー51によって押される。図4は、この状態を、オペレータ側から見た正面図で示す。
【0048】
図3cに示す段階において、ブランク20’が前進し続ける。折曲げ部材50が静止しているので、前タブ21’は、前記タブとバー51との間の接触箇所で強制的に回動させられる。この構成により、前タブ21’の折曲げが達成される。折曲げを完了させるために、ブランク20’を引き続いて、上述した上ガイド(図示せず)の下に移動させる。
【0049】
折曲げ部材50に対する前タブ21’の摩擦を制限するために、自由に回転するローラ52を、各バー51の下端部に取付けることが有利である。
【0050】
図4は、本発明による搬送装置の長手方向サイドフレーム部材40の詳細図である。図3a〜図3cを参照して既に説明した要素に加えて、長手方向サイドフレーム部材40は、下ローラ55と、駆動プーリ56を有している。無端コンベヤベルト38の下側のストランド(部分)が下ローラ55によって案内され、駆動プーリ56は、ベルトを摩擦によって駆動する。オフセットローラ32と下流側の上ローラ33、33aが、1つの同じ傾斜路57に取付けられることが有利である。ローラの傾斜路57は、ローラ33aに隣接した横断方向軸線58を中心に回動可能である。また、オフセットローラ32が、アーム34と傾斜路57によって形成される角度の頂点に位置するように、アーム34が傾斜路57に固着されるのが有利である。L字形材料が、アーム34と傾斜路57を形成することが好ましい。
【0051】
また、関節アーム42に取付けられたローラ41が、上ローラ31a及びオフセットローラ32と同じ平面内に位置するように配置されるのが有利である。この構成により、湾曲部分に形成されたしっかりした湾曲平面を強化することができる。
【0052】
上述した支持装置を破線で示す。
【0053】
図5は、第2形態に位置する長手方向サイドフレーム部材40を示す。この第2形態は、横断方向に折曲げる必要がないブランクを、水平方向搬送経路に沿って折曲げモジュールを通過させる。この構成により、ブランクを不必要に変形させることを回避し、折曲げモジュールを通るブランクの搬送経路を短縮する。
【0054】
図5に示すサイドフレーム部材の新しい形態において、複数のローラによる傾斜路57が、水平方向位置になり、その結果、上流側の上ローラ31、31a、31bと、上ローラ32と、下流側の上ローラ33、33aの全てが、1つの同じ水平方向平面内に位置する。折曲げ部材50の下を移動しているブランク20”を示す。ブランク20”は、標準的な箱用ブランクであり、すなわち、折曲げモジュールにおいて横断方向に沿った折曲げが必要ないブランクである。したがって、ブランク20”が、折曲げモジュールの入口Eに到達したとき、ブランク20”は、水平方向搬送経路に沿って折曲げモジュールの出口Sに直接搬送される。
【0055】
この形態では、バー51の下端部をブランクの移動平面から分離する距離が、ブランクの厚さよりもずっと大きいので、折曲げ装置とブランク20”との干渉はない。ローラ41が、上ローラ31a及び上ローラ32と同じ平面内に位置できるように設計されるのが有利である。この構成によれば、しっかりした水平方向平面を補強できる。
【0056】
サイドフレーム部材42cを第2形態にするために、上ローラ32は、高さ調整可能である。特に、ロックされたアーム34を、スライド35(図4参照)の頂部のところで解放することによって、アーム34は、スライド35の底部に移動される。アーム34が、スライド35の底部にあるとき、アーム34の頂部に取付けられた上ローラ32は、上流側の上ローラ31、31a、31bと同じ水平方向平面内に位置する。それと同時に、ローラによる傾斜路57をその横断方向軸線58を中心に回動させることによって、ローラによる傾斜路57を水平方向位置にさせる。この初期位置では、全ての上ローラが、1つの同じ水平方向平面内に位置し、その結果、搬送経路10は水平である。
【0057】
傾斜路57が回動するときに無端コンベヤベルト38に発生した弛みを除去するように、下流側上ローラ33の下において傾斜路57に取付けられた補償ローラ59が、1対の下ローラ55と相互作用することが有利である。
【0058】
サイドフレーム部材42cを、図4に示す第1形態に移動させるために、スライド35のアーム34を所望高さにロックするだけで充分である。図4は、スライド35の頂部に位置するアーム34を示しているけれども、アームを他の位置にロックすることも可能である。アーム34の最終位置、したがって、上ローラ32の最終位置は、折曲げるべき前タブの幾何学的形状、特に長さによって決定される。最終位置において、上ローラ32が、上流側の上ローラ31、31a、31bによって形成される水平方向平面よりも上に持上げられ、その結果、搬送経路は湾曲する。
【0059】
図6は、本発明による搬送装置を示す。図1に示した従来技術のコンベヤと共通の要素に、同じ参照番号を繰返して使用する。
【0060】
本発明による搬送装置は、通常、互いに平行で且つ互いから或る距離のところに位置する2つの長手方向フレーム1a、1bを有している。各長手方向フレームは、2つの大きい面、すなわち、内面と外面を有し、一方の長手方向レームの内面は、他方の長手方向フレームの内面に向けられている。この例では、長手方向フレーム1aは、オペレータ側の反対側に位置し、フレーム1bは、オペレータ側に位置している。2つの長手方向フレーム1a、1bの間に且つ横断方向に、互いに平行な円筒形の移動スライド2(1つのスライドのみを示す)と、互いに平行な移動用ねじ3の対と、両長手方向フレーム間で回転可能に取付けられた駆動シャフト(図示せず)が配置されている。移動スライド2は、その両端部が、長手方向フレーム1a、1bに嵌合され、互いに平行に並べて取付けられた3つの長手方向サイドフレーム部材40a、40b、40cを支持するように設計され、長手方向サイドフレーム部材40a、40b、40cは、上述したサイドフレーム部材40と同じ特徴を有している。各長手方向サイドフレーム部材40a、40b、40cは、加工すべきブランクのフォーマットに応じて、両長手方向フレーム1a、1bの間を移動スライド2に沿って横断方向に移動可能である。
【0061】
各長手方向サイドフレーム部材40a、40b、40cは、1対の無端コンベヤベルト38を支持しているのが有利であり、第1の無端コンベヤベルトは、好ましくはオペレータ側のサイドフレーム部材に取付けられた上ローラによって、搬送経路に沿って案内され、第2の無端コンベヤベルトは、好ましくはオペレータ側と反対側のサイドフレーム部材に取付けられた上ローラによって、搬送経路に沿って案内される。この構成によれば、前タブの折曲げ中、下コンベヤベルト30上のブランクの支持箇所を増大させることによって、ブランクのより良好な保持を、特に湾曲部分において確保する。
【0062】
ブランクをコンベヤベルト38に押付ける装置(図示せず)が、サイドフレーム部材40a、40b、40cの或る部分の上方に配置されている。これらの支持装置は、従来、スプリングによって下向きに保持された一連のローラで構成されてもよいし、押下げられる下側のストランドを有する無端ベルトで構成されてもよい。サイドフレーム部材のうち、その上に支持装置が存在しない部分は、折曲げ部材が存在する部分である。
【0063】
上述した支持装置は、ブランクを下コンベヤベルトに押付けて搬送経路に沿って保持する手段の一例に過ぎない。特に従来技術によれば、ブランクは、支持装置の補助なしに、コンベヤベルト38に押付けられ且つ保持されてもよい。この場合、ブランクの搬送経路は、無端コンベヤベルト38の上側のストランドの経路によって定められる。
【0064】
上述した例では、下コンベヤのベルトは、好ましくは、自由に回転できるように取付けられた上ローラによって搬送経路に沿って案内されるが、垂直方向にずらされた又は高さ調節可能な部分を備えた任意その他のベルト案内手段が本発明の一部を形成することはいうまでもない。かかるベルト案内手段は、例えば、プラスチックガイドであり、その上をベルトが摩擦なしにスライドする。
【0065】
最後に、上述した例は、互いに分離した状態で折曲げモジュールに到達するブランクを説明したけれども、本発明は、1つの流れをなす状態、すなわち、互いに重なった状態で到達するブランクにも適用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低比重のプレート要素を折曲げる装置であって、
プレート要素を搬送経路(10)に沿って搬送することが可能な下コンベヤ(30)を有し、前記下コンベヤ(30)は、少なくとも1つの無端コンベヤベルト(38)を支持する少なくとも1つの長手方向サイドフレーム部材(40a、40b、40c)を有し、前記少なくとも1つの無端コンベヤベルトは、上案内手段(31、31a、31b、32、33、33a)によって搬送経路(10)に沿って案内され、
更に、前タブを折曲げる少なくとも1つの折曲げ部材(50)を有し、
前記下コンベヤ(30)は、湾曲部分を有し、
前記湾曲部分において、プレート要素は、湾曲した搬送経路に沿って搬送され、プレート要素の前タブは、湾曲した搬送経路を越えて、湾曲した搬送経路の実質的に接線をなす突出方向に突出し、前タブが前記突出方向に突出したとき、前記折曲げ部材(50)は、前タブを押え、
前記折曲げ部材(50)は静止している、装置。
【請求項2】
低比重のプレート要素を折曲げる装置であって、
プレート要素を搬送経路(10)に沿って搬送することが可能な下コンベヤ(30)を有し、前記下コンベヤ(30)は、少なくとも1つの無端コンベヤベルト(38)を支持する少なくとも1つの長手方向サイドフレーム部材(40a、40b、40c)を有し、前記少なくとも1つの無端コンベヤベルトは、上案内手段(31、31a、31b、32、33、33a)によって前記搬送経路(10)に沿って案内され、
更に、前タブを折曲げる少なくとも1つの折曲げ部材(50)を有し、
前記上案内手段は、前記搬送経路(10)が水平方向になる形態をとる初期位置と、前記搬送経路(10)が湾曲した形態をとる最終位置との間で調節され、前記初期位置において、前記折曲げ部材(50)は、プレート要素と干渉せず、前記最終位置において、前記折曲げ部材(50)は、前タブを押える位置にある、装置。
【請求項3】
低比重のプレート要素を搬送する装置であって、
プレート要素を搬送経路(10)に沿って搬送することが可能な下コンベヤ(30)を有し、前記下コンベヤ(30)は、少なくとも1つの無端コンベヤベルト(38)を支持する少なくとも1つの長手方向サイドフレーム部材(40a、40b、40c)を有し、前記少なくとも1つのコンベヤベルトは、上案内手段(31、31a、31b、32、33、33a)によって前記搬送経路(10)に沿って案内され、
前記上案内手段は、前記搬送経路(10)が水平方向になる形態をとる初期位置と、前記搬送経路(10)が湾曲した形態をとる最終位置との間で調節される、装置。
【請求項4】
前記最終位置において、前記下コンベヤは、単一の凸部と、単一の凹部を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記下コンベヤは、プレート要素を前記搬送経路(10)に沿って搬送するように、支持装置と相互作用する、請求項3又は4に記載の装置。
【請求項6】
前記長手方向サイドフレーム部材(40a、40b、40c)は、2つの無端コンベヤベルト(38)を支持する、請求項3〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記上案内手段(31、31a、31b、32、33、33a)は、上ローラ(31、31a、31b、32、33、33a)を有し、少なくとも1つの前記上ローラ(32)は、前記搬送経路が湾曲するように他の前記上ローラから垂直方向にずらされ、前記折曲げ部材(50)は、前タブを押える位置で且つずらされた前記上ローラ(32)の近傍で垂下され、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記上案内手段(31、31a、31b、32、33、33a)は、上ローラ(31、31a、31b、32、33、33a)を有し、少なくとも1つの前記上ローラ(32)は、高さを調節することができ、前記高さは、調節可能な前記1つの上ローラ(32)が他の前記上ローラと整列して前記搬送経路(10)が水平方向になる初期位置と、調節可能な前記1つの上ローラ(32)を他の前記上ローラから垂直方向にずらして前記搬送経路を湾曲させる最終位置との間で調節され、前記最終位置において、前記折曲げ部材(50)は、前タブを押える位置で且つずらされた前記上ローラ(32)の近傍で垂下される、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記上案内手段(31、31a、31b、32、33、33a)は、上ローラ(31、31a、31b、32、33、33a)を有し、少なくとも1つの前記上ローラ(32)は、高さを調節することができ、前記高さは、調節可能な前記1つの上ローラ(32)が他の前記上ローラと整列して前記搬送経路(10)が水平方向になる初期位置と、調節可能な前記1つの上ローラ(32)を他の前記上ローラから垂直方向にずらして前記搬送経路を湾曲させる最終位置との間で調節される、請求項3に記載の装置。
【請求項10】
請求項1又は2記載の装置を有する、折曲げ接着機。

【図1】
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【図2a−2c】
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【図3a−3c】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−504070(P2012−504070A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529463(P2011−529463)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006716
【国際公開番号】WO2010/037475
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(592233428)ボブスト ソシエテ アノニム (31)
【Fターム(参考)】