説明

ブレーキ制御装置およびその制御方法

【課題】 ペダルストロークを確保しつつ部品点数の増加を抑制したブレーキ制御装置を提供する。
【解決手段】 コントロールユニットは、車両の状態に応じてアウト側ゲート弁を閉弁方向に制御し、液圧源を駆動することによりホイルシリンダ圧を増圧する自動ブレーキ増圧制御を実行し、自動ブレーキ増圧制御中にブレーキ操作が検出された場合、液圧源の駆動量を増加させることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプによってホイルシリンダを増圧するブレーキ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブレーキ制御装置として例えば特許文献1に記載の技術が開示されている。この公報に記載のブレーキ制御装置は、運転者の意思によらずホイルシリンダを増圧するポンプを備え、アンチスキッド制御や車両挙動制御、車間距離制御等の自動ブレーキ制御を行っている。
【0003】
この技術にあっては、自動ブレーキ制御中はポンプによる増圧でホイルシリンダ圧がマスタシリンダ圧よりも高くなっており、この状態でブレーキペダルを踏み込むと、マスタシリンダ内の作動油が吐出されなくなるため、ブレーキペダルはストロークせず石踏み状態となる。したがって、マスタシリンダから吐出された作動油を吸収可能なリザーバと、このリザーバとマスタシリンダとを連通・遮断するカット弁とを設け、ポンプ増圧中にブレーキペダルBPが踏み込まれた場合はカット弁を開弁してマスタシリンダとリザーバとを連通することにより、ブレーキ制御中にブレーキペダルが踏み込まれるブレーキオーバーライド状態となった際にペダルストローク分の作動油をリザーバに排出することでペダルストロークを確保している。
【特許文献1】特開2006−159949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来技術にあっては、カット弁やリザーバを別途追加しなければならず、部品点数の増加を招いていた。
【0005】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、ブレーキオーバーライド状態となった際にペダルストロークを確保しつつ部品点数の増加を抑制したブレーキ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明では、コントロールユニットは、車両の状態に応じてアウト側ゲート弁を閉弁方向に制御し、液圧源を駆動することによりホイルシリンダ圧を増圧する自動ブレーキ増圧制御を実行し、自動ブレーキ増圧制御中にブレーキ操作が検出された場合、液圧源の駆動量を増加させることとした。
【0007】
よって、ブレーキオーバーライド状態となった際であってもペダルストロークを確保しつつ部品点数の増加を抑制したブレーキ制御装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明のブレーキ制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例に基づき説明する。
【実施例1】
【0009】
[油圧回路]
図1は本願ブレーキ制御装置の油圧回路である。油圧ユニットHUは、ホイルシリンダW/CとマスタシリンダM/Cとに接続されている。油圧ユニットHU内の各電磁弁およびモータMはコントロールユニットCUにより制御される。また、各センサの検出値はコントロールユニットCUに出力される。
【0010】
ブレーキ回路は独立した2つの系統、すなわちP系統とS系統に分かれ、各系統に対応したブレーキ回路1P,2Sを有している。ブレーキ回路1Pは左前輪のホイルシリンダW/C(FL)と右後輪のホイルシリンダW/C(RR)とに接続され、ブレーキ回路2Sは右前輪のホイルシリンダW/C(FR)と左後輪のホイルシリンダW/C(RL)とに接続されており、いわゆるX配管構造となっている。なお、ブレーキ回路はX配管でなくともよい。
【0011】
ブレーキペダルBPは、運転者の踏み込み操作を倍力装置BSおよびインプットロッドIRを介してマスタシリンダM/Cへ伝達する。ブレーキペダルBPには、運転者のブレーキ操作の有無を検出するブレーキスイッチ18およびストロークSを検出するストロークセンサS/Senが設けられている。
【0012】
マスタシリンダM/Cはタンデム型であり、前後に並んだ2つのマスタシリンダピストンによってシリンダの中に2つの液圧室が隔成されている。2つの液圧室は、それぞれリザーバタンクRESから作動油の供給を受ける。一方の液圧室はブレーキ回路1Pに接続され、他方の液圧室はブレーキ回路2Sに接続されている。
【0013】
マスタシリンダM/Cは、ブレーキペダルBPが踏み込まれると、ブレーキペダルBPの踏み込み量に応じた液圧(以下、マスタシリンダ圧Pmcという)を上記2つの液圧室に発生する。このマスタシリンダ圧Pmcが、それぞれブレーキ回路1P,2Sに供給される。
【0014】
なお、各マスタシリンダピストンの外周には周知のカップ状のシール部材が設けられており、ピストンストローク時には、このシール部材により各液圧室とリザーバタンクRESとの連通が遮断されることで、各液圧室内の加圧が可能となる。
【0015】
このとき、リザーバタンクRESからはブレーキ回路1P,2Sへ作動油が供給されず、マスタシリンダM/Cの液圧室からのみブレーキ回路1P,2Sへ作動油が供給されることになる。
【0016】
一方、ブレーキペダルBPが戻されると、各マスタシリンダピストンが(液圧室内に設けられた)戻しバネの力で戻される。このとき、上記シール部材の構造により、マスタシリンダM/Cの液圧室とリザーバタンクRESが連通する。これにより、リザーバタンクRESの作動油をマスタシリンダM/Cの液圧室に供給することが再び可能となる。
【0017】
ブレーキ回路1PのマスタシリンダM/C側(以下、上流という)からホイルシリンダW/C側(以下、下流という)に向かう途中には、常開の比例電磁弁であるアウト側ゲート弁GV−OUT(P)が設けられている。ブレーキ回路1Pにはアウト側ゲート弁GV−OUT(P)と並列に油路10Jが接続されている。
【0018】
油路10J上には、下流側から上流側へ向かう作動油の流れを防止するチェック弁10Pが設けられている。以下、アウト側ゲート弁GV−OUT(P)上流側のブレーキ回路1Pをブレーキ回路10Nとし、アウト側ゲート弁GV−OUT(P)下流側のブレーキ回路1Pをブレーキ回路10Kという。
【0019】
ブレーキ回路10Kは、ブレーキ回路10A,10Bに分岐している。ブレーキ回路10A,10Bは、それぞれホイルシリンダW/C(FL,RR)に接続している。ブレーキ回路10A,10B上には、常開の電磁弁である増圧弁IN/V(FL、RR)がそれぞれ設けられている。
【0020】
ブレーキ回路10Aには、増圧弁IN/V(FL)と並列に油路10Lが接続されている。油路10L上には、上流側から下流側へ向かう作動油の流れを防止するチェック弁10Qが設けられている。同様に、増圧弁IN/V(RR)と並列に接続された油路10M上には、上流側から下流側へ向かう作動油の流れを防止するチェック弁10Rが設けられている。
【0021】
増圧弁IN/V(FL、RR)の下流側のブレーキ回路10A,10Bには、リターン回路10C,10Dがそれぞれ接続されている。リターン回路10C,10Dにはそれぞれ常閉のオン・オフ電磁弁である減圧弁OUT/V(FL,RR)が設けられている。リターン回路10C,10Dは合流してリターン回路10Eを形成している。リターン回路10Eは、油圧ユニットHU内に設けられたリザーバ16に接続している。
【0022】
一方、アウト側ゲート弁GV−OUT(P)の上流側のブレーキ回路10Nには、吸入回路10Gが接続している。吸入回路10G上には、吸入回路10Gの連通・遮断を切り換える常閉のオン・オフ電磁弁であるイン側ゲート弁GV−IN(P)が設けられている。吸入回路10Gは、リザーバ16からのリターン回路10Fと合流して吸入回路10Hを形成している。
【0023】
油圧ユニットHUには、マスタシリンダM/C以外の液圧源として、作動油の吸入・吐出を行うポンプPが設置されている。ポンプPはモータMにより作動するギヤポンプであり、第1ポンプP1(P系統)および第2ポンプP2(S系統)を備えている。
【0024】
第1ポンプP1の吸入側は、吸入回路10Hに接続されている。第1ポンプP1の吐出側は、吐出回路10Iに接続されており、吐出回路10Iを介してブレーキ回路10Kに接続されている。
【0025】
なお、リターン回路10F上には、チェック弁10Sが設けられており、吸入回路10G(イン側ゲート弁GV−IN(P))からリザーバ16へ向かう作動油の流れを防止する。
【0026】
吐出回路10I上には、チェック弁10Uが設けられており、ブレーキ回路10K(アウト側ゲート弁GV−OUT(P))またはブレーキ回路10A,10B(ホイルシリンダW/C)から第1ポンプP1(吐出側)へ向かう作動油の流れを防止する。
【0027】
ブレーキ回路2S側の油圧回路も、上記ブレーキ回路1Pと同様に構成されている。なお、イン側ゲート弁GV−IN(P)よりも上流側のブレーキ回路10N上には、マスタシリンダ圧Pmcを検出するマスタシリンダ圧センサMC/Senが設けられている。
【0028】
(ブレーキ制御)
上記構成の油圧ユニットHUは、通常ブレーキ時において下記倍力制御を実行可能であるほか、車両挙動制御やアンチスキッド制御等の自動ブレーキを実行可能である。
【0029】
ここで車両挙動制御とは、車両の実ヨーレイトをヨーレイトセンサ等により検出し、また、舵角センサ等を用いて目標ヨーレイトを求め、この目標ヨーレイトと実ヨーレイトとが一致するように特定の車輪のみに制動力を付与する公知の技術である。また、アンチスキッド制御とは、擬似車体速度と車輪速度との関係からスリップ率等を算出し、このスリップ率が所望の値となるようにホイルシリンダ圧の増減圧制御を行う公知の技術である。
【0030】
車両挙動制御等の自動ブレーキ制御時には、ブレーキ回路1P側を例にとると、アウト側ゲート弁GV−OUT(P)を閉弁する一方、イン側ゲート弁GV−IN(P)を開弁する。同時にポンプPを作動させ、マスタシリンダM/Cから吸入回路10G,10Hおよび吐出回路10Iを介してブレーキ回路10A,10Bに向けて作動油を供給する。
【0031】
さらに、車両挙動安定に必要な制動力に応じたホイルシリンダ目標液圧Pwc*を発生させるように、アウト側ゲート弁GV−OUT(P)または増圧弁IN/V(FL、RR)を制御する。ブレーキ回路2S側でも同様である。
【0032】
また、アンチスキッド制御時には、車輪FLを例にとると、ホイルシリンダW/Cに接続されている減圧弁OUT/V(FL)を開弁するとともに増圧弁IN/V(FL)を閉弁し、ホイルシリンダW/Cの作動油をリザーバ16に排出することにより減圧を行う。また、車輪FLがロック傾向から回復したら、減圧弁OUT/V(FL)を閉弁してホイルシリンダ圧を保持する。
【0033】
また、ポンプPを作動させるとともに増圧弁IN/V(FL)を開弁して適宜増圧を行う。ポンプPは、減圧時にリザーバ16に逃がした作動油をブレーキ回路10Kに戻す役割を果たす。
【0034】
[自動ブレーキ]
(増圧)
自動ブレーキにおける増圧時には、イン側ゲート弁GV−INおよび増圧弁IN/Vを開弁し、アウト側ゲート弁GV−OUTおよび減圧弁OUT/Vを閉弁してポンプPを駆動し、ポンプPによりマスタシリンダM/Cから作動油を吸入してホイルシリンダW/Cを増圧する。
【0035】
(減圧)
自動ブレーキにおける減圧時には、減圧弁OUT/Vを閉弁したままアウト側ゲート弁GV−OUTおよび増圧弁IN/Vを開弁し、ホイルシリンダ圧PwcをマスタシリンダM/Cに還流する。
【0036】
(保持)
保持時には、増圧弁IN/Vおよび減圧弁OUT/Vを閉弁する。この状態で目標ホイルシリンダ圧Pwc_at(保持圧)に基づきアウト側ゲート弁GV−OUTの制御を行う。
自動ブレーキ中にポンプPが駆動されている場合、ホイルシリンダ圧Pwcが保持圧を超えて上昇すればアウト側ゲート弁GV−OUTの開弁量が大きくなってホイルシリンダ圧Pwcが減圧される。一方、保持圧よりも小さくなればアウト側ゲート弁GV−OUTの開弁量を小さくしてポンプPの吐出圧により増圧を行う。
【0037】
[アウト側ゲート弁のつりあい制御]
図2はアウト側ゲート弁GV−OUTの構成を表す概略図である。アウト側ゲート弁GV−OUTは、電磁吸引力を発生するコイル3aと、この電磁吸引力に応じて作動する可動子3bと、ブレーキ回路10N,20Nとブレーキ回路10K,20Kが接続されたバルブボディ3cから構成されている。
【0038】
可動子3bが図2中下方に移動すると、ブレーキ回路10N,20Nとブレーキ回路10K,20Kとが閉弁状態となり、一方、可動子3bが図2中上方に移動すると、ブレーキ回路10N,20Nとブレーキ回路10K,20Kとが開弁状態となる。すなわち、可動子3bの上下方向位置に応じてブレーキ回路10N,20Nとブレーキ回路10K,20Kとの連通状態(差圧)が決定される。
【0039】
可動子3bには、ホイルシリンダ側の圧力Pwcに応じて図2中上方に押し上げようとする力Fwcと、マスタシリンダ圧Pmcに応じて図2中下方に押し下げようとする力Fmcと、電磁吸引力に応じて図2中下方に押し下げようとする力Fbが作用する。尚、常開弁であるため実際にはスプリングにより開弁方向への力が作用しているが、ここでは無視して考える(考慮する場合はオフセット値等を与えればよい)。
【0040】
可動子3bの位置は、これらの力のつりあいが取れた位置で停止する。すなわち、Fmc+Fb−Fwc=0のときは、可動子3bは停止し、Fmc+Fb−Fwc>0のときは、可動子3bは下方に移動し、Fmc+Fb−Fwc<0のときは、可動子3bは上方に移動する。
【0041】
Fmcはマスタシリンダ圧Pmcと相関する値であり、Fwcはホイルシリンダ圧と相関する値であることから、目標差圧△Pは、(Fmc−Fwc)と相関があると言える。
【0042】
上記関係式を変形すると、(Fmc−Fwc)とFbとの大小関係によって可動子3bの位置が決まることから、目標差圧△Pと同じ電磁吸引力Fbを設定すれば、目標差圧△Pを確保する可動子3bの位置が自動的に決定される。
【0043】
アウト側ゲート弁GV−OUTよりもホイルシリンダ側でポンプ等を用いて高い圧力を発生させ、マスタシリンダ圧Pmcよりホイルシリンダ圧Pwcが高い状態を想定する。
【0044】
このとき、電磁吸引力Fbを、得たい差圧△Pに相当する値に設定するつりあい制御を実行することにより、ホイルシリンダ側で行われる増圧作用に応じて自動的に可動子3bの位置が変更され、目標とするホイルシリンダ圧が得られる。
【0045】
例えば、ポンプ等の吐出圧が高いときは可動子3bが上方に移動して自動的に目標差圧△Pとなるまでホイルシリンダ圧をマスタシリンダ側に排出し、減圧方向に作用する。
【0046】
このつりあい制御により、複雑なフィードバック制御が不要となるとともに、モータの制御誤差をアウト側ゲート弁GV−OUTで吸収することが可能となる。
【0047】
すなわち、運転者のブレーキペダル踏力に基づいてフィードフォワード的に目標差圧△Pに相当する目標電流値I*を与えた後は、アウト側ゲート弁GV−OUTは、目標差圧△Pを達成する機械的フィードバック機構と同等の機能を有する。そのため、電子的フィードバック制御機構に比べて制御対象の状態を検出するセンサ等が必要なく、制御安定性が非常に高い。
【0048】
[自動ブレーキ中のイン側ゲート弁開弁によるペダルストローク確保]
自動ブレーキにおける保持・減圧時には増圧弁IN/Vが閉弁されるため、マスタシリンダM/CとホイルシリンダW/Cとが遮断され、ブレーキペダルBPはストロークしない。
【0049】
一方自動ブレーキ増圧時においては、増圧弁IN/Vは開弁されているがアウト側ゲート弁GV−OUTは閉弁されており、アウト側ゲート弁GV−OUT経由でマスタシリンダ圧PmcをホイルシリンダW/Cに供給することはできない。したがってマスタシリンダM/CとホイルシリンダW/Cとの作動油の移動量は、開弁されているイン側ゲート弁GV−INの開弁量によって規定される。
【0050】
ここで、自動ブレーキ増圧時にはイン側ゲート弁GV−INを開弁してポンプPを駆動し、マスタシリンダM/Cから作動油を吸入してホイルシリンダW/Cを増圧している。このためイン側ゲート弁GV−INの開弁量は自動ブレーキ増圧における指令ホイルシリンダ圧Pwc_atoによって規定されることとなる。
【0051】
イン側ゲート弁GV−INが自動ブレーキ増圧時の開弁量に規定されている以上、開弁量を超えてマスタシリンダ圧PmcをホイルシリンダW/Cに供給することはできない。そのため、自動ブレーキ制御中にブレーキペダルが踏み込まれるブレーキオーバーライド状態となった際、ブレーキペダルBPを踏み込んでもストロークしない板踏み状態となってしまう。
【0052】
したがって本願では、自動ブレーキ増圧中にブレーキペダルBPが踏み込まれた場合はイン側ゲート弁GV−INの開弁量を増加させ、自動ブレーキ増圧の指令開弁量以上に開弁させる。そのため、ポンプPは自動ブレーキ増圧に必要な量以上の作動油をマスタシリンダM/Cから吸入することとなる。
【0053】
これによりブレーキオーバーライド状態となった際はブレーキペダルBPの踏み込みによるマスタシリンダ圧Pmcの増加分をポンプPにより吸入し、ペダルストロークSを確保する。その際、自動ブレーキ増圧の指令ホイルシリンダ圧Pwcにストローク確保増加分ΔPwcを加算して目標ホイルシリンダ圧Pwc_atを設定し、ポンプPの回転数をマスタシリンダM/Cからの作動油吸入分だけ増加させる。
【0054】
同様に、減圧時および保持時においてもイン側ゲート弁GV−INの開弁量を制御し、マスタシリンダ圧PmcをポンプPに吸入させることでペダルストロークSを確保する。ポンプPによりマスタシリンダ圧Pmcを吸入するため、ストローク確保増加分ΔPwcを加算する。
【0055】
これにより、別途ストロークシミュレータ等の部品を追加することなく、現状の油圧回路を用いたままでペダルストロークSを確保する。
【0056】
[ΔPwcの設定]
図3はストローク確保増加分ΔPwc−マスタシリンダ圧変化量ΔPmcのマップである。自動ブレーキによる増圧時、保持時、減圧時でストローク確保増加分ΔPwcを切り替え、ポンプPによるマスタシリンダM/C内の作動油吸込み量を変更して適切なペダルフィーリングを得るものである。
【0057】
このΔPmcはマスタシリンダ圧Pmcの変化量であり、ブレーキペダルBPのストローク速度に依存する。したがってストローク速度が速ければその分ストローク確保増加分ΔPwcを増大させ、マスタシリンダM/C内の作動油の吸入量を増加させる。
【0058】
増圧時には、保持・減圧時よりもマスタシリンダ圧変化量ΔPmcに対するストローク確保増加分ΔPwcの勾配を大きく設定し、マスタシリンダM/C内の作動油の吸入量を増大させてブレーキペダルBPをストロークさせやすくする。
【0059】
なお、図4に示すように、ΔPwcとΔPmcのグラフを平行移動させてもよい。図4のグラフは自動ブレーキ増圧中のΔPwcとΔPmcの関係を示すグラフであって
ΔPwc=Kα×ΔPmc−Kβ×Tc
(α、β、K:定数、Tc:ブレーキペダルBP操作開始時刻からの時間)
で示され、ペダル操作からの時間Tcが経過するにつれて切片が減少し、下方に平行移動する。なお、時間TcはコントロールユニットCU内のカウンタによって計測される(操作時間検出手段)。
【0060】
ペダル操作からの時間Tcが経過するにつれて、同一マスタシリンダ圧変化量ΔPmcに対するストローク確保増加分ΔPwcの値が減少する。これにより、ペダル操作からの時間Tcが経過するにつれてブレーキペダルBPがストロークしづらくなり、操作開始直後はブレーキペダルBPを大きくストロークさせることが可能となる。
【0061】
よって、操作開始から時間が経つにつれてストローク量を小さくして良好なペダル操作感を作出する。図4では自動ブレーキ増圧中のグラフのみ示したが、保持・減圧中でも同様にグラフを下方に平行移動させることで良好な操作感を作出してもよい。また、図4ではペダルストロークSは時間経過とともに増加することを前提として時間経過によって平行移動することとしたが、直接ペダルストロークSの増加に伴って平行移動させることとしてもよい。
【0062】
なお、増圧時におけるホイルシリンダ圧Pwcの増分はマスタシリンダM/Cからの作動油の吸入量に依存する。そのため、ストローク確保増加分ΔPwcの増圧を行う際は、ポンプPの駆動量またはイン側ゲート弁GV−INの開弁量を制御することにより、マスタシリンダM/CからホイルシリンダW/Cに流入する作動油量を制御し、ストローク確保増加分ΔPwc分の増圧を行う(図5:ステップ107参照)。
【0063】
[自動ブレーキ制御フロー]
図5は自動ブレーキ制御フローである。
【0064】
ステップ101では自動ブレーキ制御中かどうかが判断され、YESであればステップ102へ移行し、NOであれば制御を終了する。
【0065】
ステップ102ではブレーキペダルBPを操作中かどうかが判断され、YESであればステップ103へ移行し、NOであれば制御を終了する。
【0066】
ステップ103ではホイルシリンダ圧Pwc>マスタシリンダ圧Pmcであるかどうかが判断され、YESであればステップ104へ移行し、NOであればステップ80へ移行する。
【0067】
ステップ104では自動ブレーキ制御による増圧または保持中であるかどうかが判断され、YESであればステップ105へ移行し、NOであればステップ106へ移行する。
【0068】
ステップ105では自動ブレーキ制御による増圧中のブレーキペダルBP踏み込みであり(図4参照)、自動ブレーキ制御の指令ホイルシリンダ圧Pwc_atoに、ブレーキペダルBPのストローク確保増加分ΔPwcを加算して目標ホイルシリンダ圧Pwc_atを算出し、ステップ107へ移行する。
なお、保持時においても、増圧時と同様に
目標ホイルシリンダ圧Pwc_at=自動ブレーキ指令ホイルシリンダ圧Pwc_ato+ストローク確保増加分ΔPwc
とすれば、目標ホイルシリンダ圧Pwcは単調増加となってストロークは確保される。
【0069】
ステップ106では自動ブレーキ制御による減圧中のブレーキペダルBP踏み込みであり、ホイルシリンダ圧現在値PwcにブレーキペダルBP操作によるストローク確保増加分ΔPwcを加算して目標ホイルシリンダ圧Pwc_atを算出し、ステップ107へ移行する。
ここで、増圧・保持時には指令ホイルシリンダ圧Pwc_atoにストローク確保増加分ΔPwcを加算していたが、減圧時にはホイルシリンダ圧現在値PwcにΔPwcを加算する。
【0070】
減圧時には自動ブレーキ指令ホイルシリンダ圧Pwc_atoが減少するため、ΔPwcを加算しても指令ホイルシリンダ圧Pwc_atoの減少分を補えず、
目標ホイルシリンダ圧Pwc_at=指令ホイルシリンダ圧Pwc_ato+ストローク確保増加分ΔPwcの値が単調減少となり、ポンプPがマスタシリンダM/Cから作動油を吸込まず、ブレーキペダルBPがストロークしないおそれがある。
【0071】
したがって、減圧時には
目標ホイルシリンダ圧Pwc_at=ホイルシリンダ圧現在値Pwc+ストローク確保増加分ΔPwc
とし、目標ホイルシリンダ圧Pwc_atを単調増加としてペダルストロークSを確保する。
【0072】
ステップ107では、イン側ゲート弁GV−INの開弁によりストローク確保増加分ΔPwcの作動油をホイルシリンダW/Cに供給し、目標ホイルシリンダ圧Pwc_atを達成するストローク確保増加分増圧制御を実行する。
その際、ストローク確保増加分ΔPwcの増圧量を確保するために
(ア)モータMの回転数を一定とし、イン側ゲート弁GV−INをON/OFF弁として開弁時間を制御(図9)
(イ)モータMの回転数を一定とし、イン側ゲート弁GV−INを比例弁として開弁量を制御(図10)
(ウ)モータMの回転数を制御し、イン側ゲート弁GV−INは開放のまま(図11)
これらの3つの方法のいずれかを選択し、ホイルシリンダ圧Pwcを増圧する。なお、3つの方法を適宜組み合わせてもよい。
【0073】
ステップ80では自動ブレーキ制御を終了し、制御を終了する。
【0074】
[自動ブレーキ制御中のブレーキペダル踏み込み]
図6〜図8は、自動ブレーキ制御中にブレーキペダルBPが踏み込まれた際の液圧タイムチャートである。
【0075】
[図6:増圧中踏み込み]
図6は、自動ブレーキ制御の増圧中にブレーキペダルBPが踏み込まれた場合である。
【0076】
(自動ブレーキ制御増圧領域)
自動ブレーキ制御増圧時の指令ホイルシリンダ圧Pwc_atoをそのまま目標ホイルシリンダ圧Pwc_atとする。
【0077】
(自動ブレーキ制御増圧+ブレーキペダル操作領域)
自動ブレーキ制御増圧時の指令ホイルシリンダ圧Pwc_atoにブレーキペダルBPの操作によるストローク確保増加分ΔPwcを加算し、目標ホイルシリンダ圧Pwc_atとする。
【0078】
(自動ブレーキ終了領域)
ブレーキペダルBPの操作によるマスタシリンダ圧Pmc=ホイルシリンダ圧Pwcをそのまま目標ホイルシリンダ圧Pwc_atとする。
【0079】
[図7:保持中踏み込み]
図7は、自動ブレーキ制御の保持中にブレーキペダルBPが踏み込まれた場合である。
【0080】
(自動ブレーキ制御保持領域)
自動ブレーキ制御の保持圧Pwc_atoをそのまま目標ホイルシリンダ圧Pwc_atとする。
【0081】
(自動ブレーキ制御保持+ブレーキペダル操作領域)
ブレーキペダル踏み込み時におけるホイルシリンダ圧現在値Pwc(=自動ブレーキ制御保持圧Pwc_ato)に保持時におけるストローク確保増加分ΔPwc(図3参照)を加算し、目標ホイルシリンダ圧Pwc_atとする。
【0082】
(自動ブレーキ終了領域)
自動ブレーキ増圧時と同様、ブレーキペダルBPの操作によるマスタシリンダ圧Pmc=ホイルシリンダ圧Pwcをそのまま目標ホイルシリンダ圧Pwc_atとする。
【0083】
[図8:減圧中踏み込み]
図8は、自動ブレーキ制御の減圧中にブレーキペダルBPが踏み込まれた場合である。
【0084】
(自動ブレーキ制御減圧領域)
自動ブレーキ制御減圧時の指令ホイルシリンダ圧Pwc_atoをそのまま目標ホイルシリンダ圧Pwc_atとする。
【0085】
(自動ブレーキ制御減圧+ブレーキペダル操作領域)
ブレーキペダル踏み込み時におけるホイルシリンダ圧現在値Pwcにストローク確保増加分ΔPwc(図3参照)を加算し、目標ホイルシリンダ圧Pwc_atとする。上述のように、現在値Pwcに増加分ΔPwcを加算することで、目標ホイルシリンダ圧Pwc_atを単調増加としてペダルストロークSを確保する。
【0086】
(自動ブレーキ終了領域)
自動ブレーキ増圧時・保持時と同様、ブレーキペダルBPの操作によるマスタシリンダ圧Pmc=ホイルシリンダ圧Pwcをそのまま目標ホイルシリンダ圧Pwc_atとする。
【0087】
[自動ブレーキ保持時におけるストローク確保増加分増圧制御の経時変化]
図9〜図11は、図5のステップ107で実行されるストローク確保増加分増圧制御のタイムチャートである。なお、いずれも自動ブレーキ保持時における制御を示し、自動ブレーキ制御中のアウト側ゲート弁GV−OUTはつりあい制御(図2参照)によって閉弁状態にあるものとする。
【0088】
上述のように、ストローク確保増加分増圧制御は(ア)、(イ)、(ウ)の3通りの制御方法が存在する(ステップ107参照)。図9、図10、図11はそれぞれ(ア)、(イ)、(ウ)の制御方法に対応する。
【0089】
[図9:(ア)イン側ゲート弁(ON/OFF弁)開弁時間を制御]
図9はイン側ゲート弁GV−INをON/OFF弁とし、開弁時間を制御(上述(ア))する場合のタイムチャートである。
【0090】
(時刻t0)
時刻t0では自動ブレーキ保持制御が実行されている。
【0091】
(時刻t1)
時刻t1においてブレーキペダルBPの踏み込みが開始され、ブレーキオーバーライド状態となる。これによりストローク確保増加分ΔPwcが指令ホイルシリンダ保持圧Pwc_atoに加算される。
その際、イン側ゲート弁GV−INを開弁状態とする時間を制御し、マスタシリンダM/Cからの作動油吸入量を制御することにより、ポンプPを介してストローク確保増加分ΔPwcの作動油をホイルシリンダW/Cに供給する。
【0092】
(時刻t2)
時刻t2において自動ブレーキ制御が終了し、モータMが停止され、イン側ゲート弁GV−INが閉弁される。これによりマスタシリンダ圧Pmcによる通常制御に移行し、アウト側ゲート弁GV−OUTが開弁される。
【0093】
[図10:(イ)イン側ゲート弁(比例弁)開弁量を制御]
図10はイン側ゲート弁GV−INを比例弁とし、開弁量を制御(上述(イ))する場合のタイムチャートである。
【0094】
(時刻t0)
図9と同様、時刻t0では自動ブレーキ保持制御が実行されている。
【0095】
(時刻t1)
時刻t1においてブレーキペダルBPの踏み込みが開始され、ブレーキオーバーライド状態となってストローク確保増加分ΔPwcが指令ホイルシリンダ圧Pwc_atoに加算される。
その際、イン側ゲート弁GV−INの開弁量を制御し、ペダルストローク開始時刻t1からの経過時間Tcに伴って開弁量を減少させる。これによりポンプPによってマスタシリンダM/CからホイルシリンダW/Cに供給される作動油の量を制御する。
【0096】
(時刻t2)
図9と同様に時刻t2において自動ブレーキ制御が終了し、通常制御に移行してアウト側ゲート弁GV−OUTが開弁される。
【0097】
[図11:(ウ)モータ回転数を制御]
図11はモータMの回転数を制御(上述(ウ))する場合のタイムチャートである。
【0098】
(時刻t0)
図9と同様、時刻t0では自動ブレーキ保持制御が実行されている。
【0099】
(時刻t1)
時刻t1においてブレーキペダルBPの踏み込みが開始され、ブレーキオーバーライド状態となってストローク確保増加分ΔPwcが指令ホイルシリンダ圧Pwc_atoに加算される。
その際、モータMの回転数を制御し、ペダルストローク開始時刻t1からの経過時間Tcに伴って回転数を減少させる。これによりポンプPによってマスタシリンダM/CからホイルシリンダW/Cに供給される作動油の量を制御する。
【0100】
[実施例1の効果]
(1)マスタシリンダM/Cと、
ホイルシリンダW/Cと、
マスタシリンダM/Cから吸入した作動油をホイルシリンダW/Cに供給することにより、ホイルシリンダ圧Pwcを増圧可能なポンプP(液圧源)と、
ホイルシリンダ圧Pwcの増減圧を行う増圧弁IN/V、減圧弁OUT/V(制御弁)と、
マスタシリンダM/CとホイルシリンダW/Cとの連通/遮断を行うアウト側ゲート弁GV−OUTと、
運転者のブレーキ操作の有無を検出するブレーキスイッチ18(ブレーキ操作検出手段)と、
ポンプP、増圧弁IN/V、減圧弁OUT/V、およびアウト側ゲート弁GV−OUTを制御するコントロールユニットCUを備え、
コントロールユニットCUは、
車両の状態に応じてアウト側ゲート弁GV−OUTを閉弁方向に制御し、ポンプPを駆動することによりホイルシリンダ圧Pwcを増圧する自動ブレーキ増圧制御を実行し、
自動ブレーキ増圧制御中にブレーキ操作が検出された場合、ポンプPの駆動量を増加させることとした。
【0101】
これにより、自動ブレーキ増圧制御中のブレーキペダルBPの踏み込み(ブレーキオーバーライド状態)があった場合であっても、別途ストロークシミュレータ等の部品を追加することなく、現状の油圧回路を用いたままでペダルストロークSを確保することができる。
【0102】
(2)コントロールユニットCUは、
アウト側ゲート弁GV−OUTを閉弁方向に制御し、ポンプPを停止し、ホイルシリンダ圧Pwcを保持する自動ブレーキ保持制御を実行し、
自動ブレーキ保持制御中にブレーキ操作が検出された場合、ポンプPを駆動してマスタシリンダM/Cから作動油を吸入することとした。
【0103】
これにより、自動ブレーキ保持制御中のブレーキオーバーライド状態であっても、上記(1)と同様の効果を得ることができる。
【0104】
(3)コントロールユニットCUは、
アウト側ゲート弁GV−OUTを開弁方向に制御し、ポンプPを停止し、ホイルシリンダW/Cを減圧する自動ブレーキ減圧制御を実行し、
自動ブレーキ減圧制御中にブレーキ操作が検出された場合、ポンプPを駆動してマスタシリンダM/Cから作動油を吸入することとした。
【0105】
これにより、自動ブレーキ減圧制御中のブレーキオーバーライド状態であっても、上記(1)と同様の効果を得ることができる。
【0106】
(4)マスタシリンダM/CとポンプPの吸入部との間に設けられたイン側ゲート弁GV−INを備え、
コントロールユニットCUは、
車両の状態に応じてイン側ゲート弁GV−INを所定の開弁量で開弁し、かつ、アウト側ゲート弁GV−OUTの開弁量を制御するとともに、ポンプPを駆動することによりホイルシリンダ圧Pwcを増圧する自動ブレーキ増圧制御を実行し、
自動ブレーキ増圧制御中にブレーキ操作が検出された場合、イン側ゲート弁GV−INの開弁量またはポンプPの駆動量を増加させることとした。
【0107】
自動ブレーキ増圧制御中にイン側ゲート弁GV−INの開弁量を制御することにより、上記(1)と同様の効果を得ることができる。
【0108】
(5)コントロールユニットCUは、ポンプPの駆動量を増加させることとした。これにより、上記(1)と同様の効果を得ることができる。
【0109】
(6)コントロールユニットCUは、ブレーキ操作が検出された場合、このブレーキ操作検出時からの時間Tcの経過に伴ってポンプPの駆動量を減少させることとした。
【0110】
モータMの回転数を制御し、ペダルストローク開始時刻t1からの経過時間Tcに伴って回転数を減少させることにより、ポンプPによってマスタシリンダM/CからホイルシリンダW/Cに供給される作動油の量を制御する。よって、ペダル操作開始から時間が経つにつれてストローク量を小さくして良好なペダル操作感を作出することができる。
【0111】
(7)コントロールユニットCUは、ブレーキ操作が検出された場合、このブレーキ操作検出時からの時間Tcの経過に伴ってイン側ゲート弁GV−INの開弁量を減少させることとした。
【0112】
これにより、イン側ゲート弁GV−INの開弁量の制御によっても、上記(6)と同様の効果を得ることができる。
【0113】
(8)コントロールユニットCUは、
車両の状態に応じてイン側ゲート弁GV−INおよびアウト側ゲート弁GV−OUTを閉弁するとともに、ポンプPを停止し、ホイルシリンダ圧Pwcを保持する自動ブレーキ保持制御を実行し、
自動ブレーキ保持制御中にブレーキ操作が検出された場合、イン側ゲート弁GV−INを開弁するとともにポンプPを駆動し、マスタシリンダM/C内の作動油を吸入することとした。
【0114】
これにより、自動ブレーキ保持制御中であっても、イン側ゲート弁GV−INの開弁量を制御することにより、上記(1)と同様の効果を得ることができる。
【0115】
(9)コントロールユニットCUは、マスタシリンダM/Cから吸入された作動油によってホイルシリンダW/Cを増圧することとした。これにより、ペダルストロークを確保しつつ運転者の意思による制動力増加を得ることができる。
【0116】
(10)ブレーキペダルBPと、
ブレーキペダルBPのストロークS(操作量)を検出するストロークセンサS/Sen(ペダルストローク検出手段)をさらに備え、
コントロールユニットCUは、検出されたペダルストロークに基づき、ホイルシリンダW/Cの増圧量を演算することとした。
【0117】
これにより、ブレーキペダルBPの踏み込み量に基づき目標ホイルシリンダ圧Pwc_atを設定し、運転者の意思に合わせた制動力を得ることができる。
【0118】
(11)ブレーキペダルBPと、
ブレーキペダルBPに対する操作が開始されてからの時間Tcを計測する操作時間検出手段をさらに備え、
コントロールユニットCUは、操作時間検出手段によって検出されたブレーキ操作時間Tcに応じて、ポンプPの駆動量を減少させることとした。
【0119】
これにより、ポンプPの駆動量を制御することによっても、上記(6)と同様の効果を得ることができる。
【0120】
(12)コントロールユニットCUは、ブレーキ操作が検出された場合、ポンプPの駆動量を、時間の経過とともに減少させることとした。
【0121】
これにより、時間が経つにつれてペダルストローク量を小さくし、良好なペダル操作感を作出することができる。
【0122】
(13)コントロールユニットCUは、ブレーキ操作が検出された際、イン側ゲート弁GV−INの開弁量を時間の経過とともに減少させることとした。
【0123】
これにより、イン側ゲート弁GV−INの開弁量を制御する場合であっても、上記(12)と同様の効果を得ることができる。
【0124】
(14)コントロールユニットCUは、
車両の状態に応じてアウト側ゲート弁GV−OUTを開弁するとともに、ポンプPを停止し、ホイルシリンダW/Cを減圧する自動ブレーキ減圧制御を実行し、
自動ブレーキ減圧制御中にブレーキ操作が検出された場合、イン側ゲート弁GV−INを開弁するとともにポンプPを駆動し、マスタシリンダM/C内の作動油を吸入することとした。
【0125】
これにより、自動ブレーキ減圧制御中であっても、イン側ゲート弁GV−INの開弁量およびポンプPの駆動量を制御することにより、上記(1)と同様の効果を得ることができる。
【0126】
(15)〜(19)上記(9)〜(13)と同様の効果が得られる。
【0127】
(20)自動ブレーキ制御中に、運転者によるブレーキ踏み増しを検出するストロークセンサS/Sen(踏み増し検出手段)と、
ブレーキ踏み増しが検出された場合、マスタシリンダM/C内の作動油をホイルシリンダW/Cへ流動させることとした。
【0128】
これにより、上記(1)と同様の効果を得ることができる。
【0129】
(21)マスタシリンダM/C内の作動油は、ポンプPによってホイルシリンダW/C側へ流動されることとした。これにより、上記(9)と同様の効果を得ることができる。
【実施例2】
【0130】
実施例2につき説明する。基本構成は実施例1と同様である。実施例1のアウト側ゲート弁GV−OUTは自動ブレーキ制御中には全開または全閉のどちらかで制御されていたが、実施例2では自動ブレーキ中であってもブレーキペダルBP踏み込み時はつりあい制御(図2参照)により開弁方向に制御する点で異なる。
【0131】
[アウト側ゲート弁によるホイルシリンダ圧制御]
本願の油圧回路は、自動ブレーキ制御中にアウト側ゲート弁GV−INおよび増圧弁IN/Vを開弁することにより、ホイルシリンダ圧PwcをマスタシリンダM/Cに還流して減圧を行うことが可能な構成となっている。これにより、ポンプPによる増圧中にアウト側ゲート弁GV−OUTを開弁し、ホイルシリンダW/Cの増圧速度を緩和することが可能である。
【0132】
また、上述のつりあい制御(図2参照)を実行することにより、各ゲート弁GV−IN,GV−OUTおよびポンプPにより循環回路を形成して作動油を循環させることで、ポンプPを駆動したままホイルシリンダ圧Pwcを保持することも可能である。
【0133】
さらに、減圧弁OUT/Vを用いた減圧中にアウト側ゲート弁GV−INおよび増圧弁IN/Vを開弁すれば、作動油はリザーバ16,26に加えてマスタシリンダM/Cへも排出される。したがって減圧弁OUT/Vのみを用いて減圧を行う場合と比べ、減圧速度を速めることが可能である。
【0134】
このように自動ブレーキ制御中にアウト側ゲート弁GV−OUTを開弁してホイルシリンダ圧制御を行っている際にブレーキペダルBPが踏み込まれた場合につき、ペダルストロークSを確保する制御について以下説明する。
【0135】
[実施例2におけるストローク確保増加分増圧制御の経時変化]
図12は実施例2におけるストローク確保増加分増圧制御のタイムチャートである。実施例1と同様、自動ブレーキ保持制御中を示す。なお、ブレーキペダルBPが踏み込まれていない場合(時刻t1以前)、アウト側ゲート弁GV−OUTでは上述のつりあい制御(図2参照)が実行されている。
【0136】
(時刻t0)
時刻t0ではアウト側ゲート弁GV−OUTはつりあい制御により制御されており、ホイルシリンダW/Cは一定の保持圧に維持されている。また、インゲート弁GV−INは開弁されている。
ポンプPによって作動油がマスタシリンダM/Cから吸入されてアウト側ゲート弁GV−OUTのホイルシリンダW/C側の圧力が上昇すると、つりあい制御によりアウト側ゲート弁GV−OUTの開弁量が大きくなり、余剰作動油がマスタシリンダM/Cに還流されて保持圧が維持される。これにより、ポンプPを駆動したままホイルシリンダ圧Pwcが保持されている。
【0137】
(時刻t1)
時刻t1においてブレーキペダルBPの踏み込みが開始され、ブレーキオーバーライド状態となる。これによりストローク確保増加分ΔPwcが指令ホイルシリンダ保持圧Pwc_atoに加算される。
その際、アウト側ゲート弁GV−OUTの通電量を下げて開弁量を増大させ、マスタシリンダM/Cへ還流される作動油の量を増加させる。ブレーキペダルBPのストロークによってマスタシリンダM/Cから排出された作動油のうち、マスタシリンダM/Cに還流されない分はホイルシリンダW/Cに供給されてホイルシリンダ圧Pwcが上昇する。
このホイルシリンダ圧Pwcの上昇分=ストローク確保増加分ΔPwcとなるようにアウト側ゲート弁GV−INの開弁量を制御する。このマスタシリンダM/Cへの還流分の作動油とホイルシリンダW/C増圧分の作動油により、実施例1と同様に自動ブレーキ制御中のペダルストロークSを確保する。
【0138】
(時刻t2)
時刻t2において自動ブレーキ制御が終了し、モータMが停止され、イン側ゲート弁GV−INが閉弁される。これにより通常の保持制御に移行する。
【0139】
[実施例2の効果]
自動ブレーキ中につりあい制御を実行している場合であっても、ブレーキペダルBPが踏み込まれた場合はアウト側ゲート弁GV−OUTを開弁方向に制御することとした。これにより、実施例1と同様にストロークSを確保することができる。
【実施例3】
【0140】
実施例3につき説明する。実施例1では自動ブレーキ保持制御中のストローク確保につき示したが、実施例3では自動ブレーキ増圧制御中について示す。
【0141】
[自動ブレーキ増圧制御中のブレーキペダル踏み込み]
図13〜図16は、自動ブレーキ増圧制御中にブレーキペダルBPが踏み込まれた際の液圧タイムチャートである。図13〜図16はそれぞれ以下の場合を示す。
図13:上記(ア)モータMの回転数を一定とし、イン側ゲート弁GV−INをON/OFF弁として開弁時間を制御
図14:上記(イ)モータMの回転数を一定とし、イン側ゲート弁GV−INを比例弁として開弁量を制御
図15:上記(ウ)モータMの回転数を制御し、イン側ゲート弁GV−INは開放のまま
図16:実施例2と同様、アウト側ゲート弁GV−OUTを開弁方向に制御
以上の4パターンにつきそれぞれ説明する。
【0142】
[図13:(ア)イン側ゲート弁(ON/OFF弁)開弁時間を制御]
(時刻t0)
時刻t0では自動ブレーキ増圧制御が開始され、イン側ゲート弁GV−INが開弁する。開弁時間は1制御周期につきT0である。ポンプPによってマスタシリンダM/CからホイルシリンダW/Cに作動油が供給され、増圧される。
【0143】
(時刻t1)
時刻t1においてブレーキペダルBPの踏み込みが開始され、ブレーキオーバーライド状態となる。これによりストローク確保増加分ΔPwcが指令ホイルシリンダ圧Pwc_atoに加算される。
その際、イン側ゲート弁GV−INの開弁時間を増加させてT1とし(T1>T0)、マスタシリンダM/Cからの作動油吸入量を増やすことにより、ポンプPを介してストローク確保増加分ΔPwcの作動油をホイルシリンダW/Cに供給する。これによりペダルストロークを確保しつつホイルシリンダ増圧を達成する。
【0144】
(時刻t2)
時刻t2において自動ブレーキ制御が終了し、モータMが停止され、イン側ゲート弁GV−INが閉弁される。これによりマスタシリンダ圧Pmcによる通常制御に移行し、アウト側ゲート弁GV−OUTが開弁される。
【0145】
[図14:(イ)イン側ゲート弁(比例弁)開弁量を制御]
(時刻t0)
時刻t0では自動ブレーキ増圧制御が開始され、イン側ゲート弁GV−INが開弁する。図14のイン側ゲート弁GV−INは比例弁であるため、イン側ゲート弁GV−INの開弁量を制御することにより、ポンプPを駆動してマスタシリンダM/CからホイルシリンダW/Cに作動油を供給して指令ホイルシリンダ圧Pwc_atoを達成する。
【0146】
(時刻t1)
時刻t1においてブレーキペダルBPの踏み込みが開始され、ブレーキオーバーライド状態となってストローク確保増加分ΔPwcが指令ホイルシリンダ圧Pwc_atoに加算される。
その際、時刻t1以前の自動ブレーキのみの場合と比べてイン側ゲート弁GV−INの開弁量を増加させ、マスタシリンダM/Cから排出される作動油の量を増大させる。ペダルストローク開始時刻t1からの経過時間Tcに伴って開弁量を減少させる点は実施例1の図10と同様である。これによりペダルストロークSを確保する。
【0147】
(時刻t2)
図13の時刻t2と同様である。
【0148】
[図15:(ウ)モータ回転数を制御]
(時刻t0)
時刻t0では自動ブレーキ増圧制御が開始され、イン側ゲート弁GV−INが開弁する。イン側ゲート弁GV−INの開弁量は一定であり、ポンプPの回転数を制御してマスタシリンダM/CからホイルシリンダW/Cに作動油を供給し、指令ホイルシリンダ圧Pwc_atoを達成する。
【0149】
(時刻t1)
時刻t1においてブレーキペダルBPの踏み込みが開始され、ブレーキオーバーライド状態となってストローク確保増加分ΔPwcがホイルシリンダ圧現在値Pwcに加算される。
その際、時刻t1以前の自動ブレーキのみの場合と比べてモータMの回転数をN1に増加させ、マスタシリンダM/Cから排出される作動油の量を増大させる。ペダルストローク開始時刻t1からの経過時間Tcに伴って回転数を減少させる点は実施例1の図11と同様である。これによりペダルストロークSを確保する。
【0150】
(時刻t2)
図13の時刻t2と同様である。
【0151】
[図16:アウト側ゲート弁によるホイルシリンダ圧制御]
図16では、実施例2と同様に自動ブレーキ制御中にアウト側ゲート弁GV−OUTを制御してホイルシリンダ圧制御を行う場合を示す。実施例2では自動ブレーキ保持制御中のペダル踏み込みについて示したが、図16では自動ブレーキ増圧制御中のペダル踏み込みについて示す。なお、アウト側ゲート弁GV−OUTは常開弁であるが、図16ではつりあい制御は行っていない。
【0152】
(時刻t0)
時刻t0において自動ブレーキ増圧制御が開始される。ポンプPが駆動され、イン側ゲート弁GV−INの開弁によってマスタシリンダM/Cから作動油が吸入される。常開のアウト側ゲート弁GV−OUTは通電により開弁量を絞られる。
これによりアウト側ゲート弁GV−OUTを介してマスタシリンダM/Cに還流される作動油量を絞り、ホイルシリンダW/Cを増圧する。
【0153】
(時刻t1)
時刻t1においてブレーキペダルBPの踏み込みが開始され、ブレーキオーバーライド状態となる。これによりストローク確保増加分ΔPwcが指令ホイルシリンダ保持圧Pwc_atoに加算される。
その際、アウト側ゲート弁GV−OUTの通電量を下げて開弁量を増大させ、マスタシリンダM/Cへ還流される作動油の量を増加させる。ブレーキペダルBPのストロークによってマスタシリンダM/Cから排出された作動油のうち、マスタシリンダM/Cに還流されない分はホイルシリンダW/Cに供給されてホイルシリンダ圧Pwcが上昇する。
このホイルシリンダ圧Pwcの上昇分=ストローク確保増加分ΔPwcとなるようにアウト側ゲート弁GV−INの開弁量を制御する。このマスタシリンダM/Cへの還流分の作動油とホイルシリンダW/C増圧分の作動油により、実施例1と同様に自動ブレーキ制御中のペダルストロークSを確保する。
【0154】
(時刻t2)
実施例2における時刻t2と同様である。
【0155】
[実施例3の効果]
ストローク確保増加分ΔPwcを指令ホイルシリンダ圧Pwc_atに加算することで、自動ブレーキ増圧制御中であっても、実施例1、実施例2と同様の効果を得ることができる。
【実施例4】
【0156】
実施例4につき説明する。実施例3では自動ブレーキ増圧制御中のストローク確保につき示したが、実施例4では自動ブレーキ減圧制御中について示す。
【0157】
[自動ブレーキ減圧制御中のブレーキペダル踏み込み]
図17〜図20は、自動ブレーキ減圧制御中にブレーキペダルBPが踏み込まれた際の液圧タイムチャートである。図17〜図20はそれぞれ以下の場合を示す。
図17:上記(ア)モータMの回転数を一定とし、イン側ゲート弁GV−INをON/OFF弁として開弁時間を制御
図18:上記(イ)モータMの回転数を一定とし、イン側ゲート弁GV−INを比例弁として開弁量を制御
図19:上記(ウ)モータMの回転数を制御し、イン側ゲート弁GV−INは開放のまま
図20:実施例2と同様、アウト側ゲート弁GV−OUTを開弁方向に制御
実施例3と同様、以上の4パターンにつきそれぞれ説明する。
【0158】
[図17:(ア)イン側ゲート弁(ON/OFF弁)開弁時間を制御]
(時刻t0)
時刻t0では自動ブレーキ減圧制御が開始され、アウト側ゲート弁GV−OUTが開弁してホイルシリンダW/CからマスタシリンダM/Cへ作動油が還流され、指令ホイルシリンダ圧Pwc_atoにしたがってホイルシリンダ圧Pwcが減少する。
【0159】
(時刻t1)
時刻t1においてブレーキペダルBPの踏み込みが開始され、ブレーキオーバーライド状態となってポンプPが駆動される。これによりストローク確保増加分ΔPwcが指令ホイルシリンダ圧Pwc_atoに加算される。
その際、イン側ゲート弁GV−INを開弁状態とする時間を制御し、マスタシリンダM/Cからの作動油吸入量を制御することにより、ポンプPを介してストローク確保増加分ΔPwcの作動油をホイルシリンダW/Cに供給する。
【0160】
(時刻t2)
時刻t2において自動ブレーキ制御が終了し、モータMが停止され、イン側ゲート弁GV−INが閉弁される。これによりマスタシリンダ圧Pmcによる通常制御に移行し、アウト側ゲート弁GV−OUTが開弁される。
【0161】
[図18:(イ)イン側ゲート弁(比例弁)開弁量を制御]
(時刻t0)
図17の時刻t0と同様である。
【0162】
(時刻t1)
時刻t1においてブレーキペダルBPの踏み込みが開始され、ブレーキオーバーライド状態となってストローク確保増加分ΔPwcが指令ホイルシリンダ圧Pwc_atoに加算される。
その際、イン側ゲート弁GV−INの開弁量を制御し、ペダルストローク開始時刻t1からの経過時間Tcに伴って開弁量を減少させる。ペダルストローク開始時刻t1からの経過時間Tcに伴って開弁量を減少させる点は実施例1の図10と同様である。これによりペダルストロークSを確保する。
【0163】
(時刻t2)
図17の時刻t2と同様である。
【0164】
[図19:(ウ)モータ回転数を制御]
(時刻t0)
図17の時刻t0と同様である。
【0165】
(時刻t1)
時刻t1においてブレーキペダルBPの踏み込みが開始され、ブレーキオーバーライド状態となってストローク確保増加分ΔPwcが指令ホイルシリンダ圧Pwc_atoに加算される。
その際、モータMの回転数を制御してペダルストロークSを確保する。ペダルストローク開始時刻t1からの経過時間Tcに伴って回転数を減少させる。
【0166】
(時刻t2)
図17の時刻t2と同様である。
【0167】
[図20:アウト側ゲート弁によるホイルシリンダ圧制御]
図20では、実施例3と同様に自動ブレーキ制御中にアウト側ゲート弁GV−OUTを制御してホイルシリンダ圧制御を行う場合を示す。
【0168】
(時刻t0)
時刻t0において自動ブレーキ減圧制御が開始される。常開のアウト側ゲート弁GV−OUTに通電することにより開弁量を制御し、アウト側ゲート弁GV−OUTからマスタシリンダM/Cへの還流量を制御する。通電量を減少させることで開弁量を増大させ、還流量を増加させてホイルシリンダW/Cを減圧し、指令ホイルシリンダ圧Pwc_atoを達成する。
【0169】
(時刻t1)
時刻t1においてブレーキペダルBPの踏み込みが開始され、ブレーキオーバーライド状態となってストローク確保増加分ΔPwcが指令ホイルシリンダ保持圧Pwc_atoに加算される。
その際、アウト側ゲート弁GV−OUTの通電量を下げて開弁量を増大させ、マスタシリンダM/Cへ還流される作動油の量を増加させる。ブレーキペダルBPのストロークによってマスタシリンダM/Cから排出された作動油のうち、アウト側ゲート弁GV−OUTを介してマスタシリンダM/Cに還流されない分はホイルシリンダW/Cに供給されてホイルシリンダ圧Pwcが上昇する。
このホイルシリンダ圧Pwcの上昇分=ストローク確保増加分ΔPwcとなるようにアウト側ゲート弁GV−INの開弁量を制御する。このマスタシリンダM/Cへの還流分の作動油とホイルシリンダW/C増圧分の作動油により、実施例1と同様に自動ブレーキ制御中のペダルストロークSを確保する。
【0170】
(時刻t2)
実施例2における時刻t2と同様である。
【0171】
[実施例4の効果]
ストローク確保増加分ΔPwcを指令ホイルシリンダ圧Pwc_atに加算することで、自動ブレーキ減圧制御中であっても、実施例1、実施例2と同様の効果を得ることができる。
【実施例5】
【0172】
実施例5につき説明する。実施例1と同様に自動ブレーキ保持制御中のストローク確保増加分増圧制御を行う場合を示す。実施例1ではイン側ゲート弁GV−INを開弁していたが(図9〜図11参照)、実施例5ではイン側ゲート弁GV−INの存在とは無関係にモータ回転数のみを制御してストローク確保を行う点で異なる。
【0173】
図21は実施例5における油圧回路図である。実施例5ではイン側ゲート弁GV−INを省略し、吸入回路10G、20Gにチェック弁機能を備えたリザーバ160P,160Sを備える点で異なる。
【0174】
ここで、両リザーバ160P,160Sの構成は同じであるため、リザーバ160Pのみ詳細に説明する。このリザーバ160Sには、減圧弁OUT/V(FL),OUT/V(RR)の下流とリターン回路10Eを介して接続されたポート164と、マスタシリンダM/Cと吸入回路10Gを介して接続されたマスタシリンダポート166と、を有する。
【0175】
ポート164は、吸入回路10Hを介して第1ポンプP1の吸入側と接続される。また、リザーバ160Pはリターンスプリング163により付勢されたピストン162と、このピストン162と一体に作動するチェックバルブ161とを有する。
【0176】
例えば、ABS制御等の減圧作動時を想定する。この場合、運転者がブレーキペダルBPを大きく踏み込んでおり、マスタシリンダ圧はチェックバルブ161に作用しているため、チェックバルブ161は閉じた状態(ピストン162によりリターンスプリング163も押し下げられた状態)である。
【0177】
この状態で、例えば、右後輪のホイルシリンダW/C(RR)を減圧するために、減圧弁OUT/V(RR)を開き、第1ポンプP1を作動する。すると、ホイルシリンダW/C(RR)内の作動油はリターン回路10Eを通ってポート164からリザーバ160P内に流入するとともに、第1ポンプP1の吸入によってポート164から吸入回路10Hを通って第1ポンプP1へ供給される。
【0178】
ここで、ピストン162の有効受圧面積は、チェックバルブ161の有効受圧面積より大きく設定されているため、仮に、マスタシリンダ圧が高い場合でも、第1ポンプP1の吸入動作が行われると、チェックバルブ161が上方に押し上げられ、釣り合いのとれた位置で保持される。よって、マスタシリンダ側から適宜作動油が吸入される。
【0179】
[実施例5における経時変化]
図22は実施例5におけるストローク確保増加分増圧制御のタイムチャートである。自動ブレーキ保持時における制御を示し、自動ブレーキ制御中のアウト側ゲート弁GV−OUTはつりあい制御(図2参照)によって閉弁状態にあるものとする。
【0180】
(時刻t0)
図9の時刻t0と同様である。
【0181】
(時刻t1)
時刻t1においてブレーキペダルBPの踏み込みが開始され、ブレーキオーバーライド状態となってブレーキオーバーライド状態となる。これによりストローク確保増加分ΔPwcが指令ホイルシリンダ保持圧Pwc_atoに加算される。
その際モータ回転数を制御し、ペダルストローク開始時刻t1からの経過時間Tcに伴って開弁量を減少させる。これによりポンプPによってマスタシリンダM/CからホイルシリンダW/Cに供給される作動油の量を制御する。
【0182】
(時刻t2)
時刻t2において自動ブレーキ制御が終了し、モータMが停止される。これによりマスタシリンダ圧Pmcによる通常制御に移行し、アウト側ゲート弁GV−OUTが開弁される。
【0183】
[実施例5の効果]
実施例5では、イン側ゲート弁GV−INの存在とは無関係にモータ回転数のみを制御してストローク確保を行うこととした。これにより、イン側ゲート弁GV−INを備えない油圧回路にあっても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【実施例6】
【0184】
実施例6につき説明する。実施例6は油圧回路を変更する点で異なる。実施例1の油圧回路は4輪全輪を自動ブレーキ制御可能な構成であったが、実施例6では2輪のみとする。したがって、後輪または前輪のみ自動ブレーキ制御を行う車両や、二輪車等に適用される。実施例6では二輪車に適用した例を示す。
【0185】
[実施例6の油圧回路]
図23は実施例6の油圧回路図である。実施例6の油圧回路は二輪車用であり、前輪側と後輪側の2つのマスタシリンダM/C(F),M/C(R)が設けられている。それぞれのマスタシリンダM/C(F),M/C(R)はP系統とS系統に独立して設けられており、P系統が前輪Fに、S系統が後輪Rに接続する。
【0186】
実施例1におけるRL,RR輪の増圧弁IN/V(RL,RR)および減圧弁OUT/V(RL,RR)は省略され、FL輪系統に二輪車の前輪Fを接続し、FR輪系統に後輪Rを接続する。各アウト側ゲート弁GV−OUTを開弁することにより、前輪側、後輪側マスタシリンダM/C(F),M/C(R)がそれぞれ前輪ホイルシリンダW/C(F)、後輪ホイルシリンダ(R)に接続する。
【0187】
前輪ブレーキレバーBLおよび後輪ブレーキペダルBPにはそれぞれブレーキスイッチ18(F)、18(R)およびストロークセンサS/Sen(F),S/Sen(R)が設けられ、それぞれブレーキ操作の有無およびストロークを検出する。通常時およびABS制御時、車両挙動制御時、自動ブレーキ制御時等における各バルブの動きは実施例1の油圧回路と同様である。
【0188】
[実施例6におけるストローク確保分増圧制御]
一方、ストローク確保増加分ΔPwcの増圧制御を行う場合、実施例6ではマスタシリンダM/Cが2つ設けられているため実施例1とは異なる。例えば前輪Fにのみ運転者入力がなされ、後輪Rには入力されない場合、前輪ブレーキレバーBLのストロークは確保する必要があるが、後輪ブレーキペダルBPのストローク確保は必要ない。
【0189】
ここで、ポンプPは前後輪F,Rで共通であり、前輪ブレーキレバーBLのストロークSを確保するためポンプPにより前輪側マスタシリンダM/C(F)から作動油を吸入すると、後輪側マスタシリンダM/C(R)からも作動油が吸入され、後輪ブレーキペダルBPがストロークしてしまう。
【0190】
したがって、前輪ブレーキレバーBLに操作入力があり、後輪ブレーキペダルBPには入力がない場合、S系統(後輪R側)のアウト側ゲート弁GV−OUT(S)の開弁量を増やし、余剰吐出圧を後輪側マスタシリンダM/C(R)に還流する。
【0191】
[実施例6の効果]
後輪または前輪のみ自動ブレーキ制御を行う車両や、二輪車等であっても、実施例1〜4と同様の効果を得ることができる。
【0192】
[他の実施例]
以上、本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は各実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0193】
【図1】本願ブレーキ制御装置の油圧回路である。
【図2】アウト側ゲート弁の構成を表す概略図である。
【図3】ストローク確保増加分−マスタシリンダ圧変化量のマップである。
【図4】自動ブレーキ増圧中のΔPwcとΔPmcの関係を示すグラフである。
【図5】自動ブレーキ制御フローである。
【図6】自動ブレーキ増圧制御中にペダルが踏み込まれた際の液圧タイムチャートである。
【図7】自動ブレーキ保持制御中にペダルが踏み込まれた際の液圧タイムチャートである。
【図8】自動ブレーキ減圧制御中にペダルが踏み込まれた際の液圧タイムチャートである。
【図9】保持中ストローク確保増加分増圧制御のタイムチャートである(イン側ゲート弁(ON/OFF弁)開弁時間を制御)。
【図10】保持中ストローク確保増加分増圧制御のタイムチャートである(イン側ゲート弁(比例弁)開弁量を制御)。
【図11】保持中ストローク確保増加分増圧制御のタイムチャートである(モータ回転数を制御)。
【図12】実施例2における保持中ストローク確保増加分増圧制御のタイムチャートである(アウト側ゲート弁を制御)。
【図13】増圧中ストローク確保増加分増圧制御のタイムチャートである(イン側ゲート弁(ON/OFF弁)開弁時間を制御)。
【図14】増圧中ストローク確保増加分増圧制御のタイムチャートである(イン側ゲート弁(比例弁)開弁量を制御)。
【図15】増圧中ストローク確保増加分増圧制御のタイムチャートである(モータ回転数を制御)。
【図16】増圧中ストローク確保増加分増圧制御のタイムチャートである(アウト側ゲート弁を制御)。
【図17】減圧中ストローク確保増加分増圧制御のタイムチャートである(イン側ゲート弁(ON/OFF弁)開弁時間を制御)。
【図18】減圧中ストローク確保増加分増圧制御のタイムチャートである(イン側ゲート弁(比例弁)開弁量を制御)。
【図19】減圧中ストローク確保増加分増圧制御のタイムチャートである(モータ回転数を制御)。
【図20】減圧中ストローク確保増加分増圧制御のタイムチャートである(アウト側ゲート弁を制御)。
【図21】実施例5における油圧回路である。
【図22】実施例5における保持中ストローク確保増加分増圧制御のタイムチャートである(モータ回転数のみを制御)。
【図23】実施例6の油圧回路である。
【符号の説明】
【0194】
18 ブレーキスイッチ(ブレーキ操作検出手段)
M/C マスタシリンダ
W/C ホイルシリンダ
P ポンプ(液圧源)
IN/V 増圧弁(制御弁)
OUT/V 減圧弁(制御弁)
GV−OUT アウト側ゲート弁
CU コントロールユニット
GV−IN イン側ゲート弁
BP ブレーキペダル
S ストローク(操作量)
S/Sen ストロークセンサ(ペダルストローク検出手段、踏み増し検出手段)
Tc ブレーキ操作時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタシリンダと、
ホイルシリンダと、
前記マスタシリンダから吸入した作動油を前記ホイルシリンダに供給することにより、ホイルシリンダ圧を増圧可能な液圧源と、
前記ホイルシリンダ圧の増減圧を行う制御弁と、
前記マスタシリンダと前記ホイルシリンダとの連通/遮断を行うアウト側ゲート弁と、
運転者の前記ブレーキ操作の有無を検出するブレーキ操作検出手段と、
前記液圧源、前記制御弁、および前記アウト側ゲート弁を制御するコントロールユニットと
を備え、
前記コントロールユニットは、
車両の状態に応じて前記アウト側ゲート弁を閉弁方向に制御し、前記液圧源を駆動することにより前記ホイルシリンダ圧を増圧する自動ブレーキ増圧制御を実行し、
前記自動ブレーキ増圧制御中に前記ブレーキ操作が検出された場合、前記液圧源の駆動量を増加させること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のブレーキ制御装置において、
前記コントロールユニットは、
前記アウト側ゲート弁を閉弁方向に制御し、前記液圧源を停止し、前記ホイルシリンダ圧を保持する自動ブレーキ保持制御を実行し、
前記自動ブレーキ保持制御中に前記ブレーキ操作が検出された場合、前記液圧源を駆動して前記マスタシリンダから作動油を吸入すること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載のブレーキ制御装置において、
前記コントロールユニットは、
前記アウト側ゲート弁を開弁方向に制御し、前記液圧源を停止し、前記ホイルシリンダを減圧する自動ブレーキ減圧制御を実行し、
前記自動ブレーキ減圧制御中に前記ブレーキ操作が検出された場合、前記液圧源を駆動して前記マスタシリンダから作動油を吸入すること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項4】
マスタシリンダと、
ホイルシリンダと、
前記マスタシリンダから吸入した作動油を前記ホイルシリンダに供給することにより、ホイルシリンダ圧を増圧可能な液圧源と、
前記ホイルシリンダ圧の増減圧を行う制御弁と、
前記マスタシリンダと前記ホイルシリンダとの連通/遮断を行うアウト側ゲート弁と、
前記マスタシリンダと前記液圧源の吸入部との間に設けられたイン側ゲート弁と、
運転者の前記ブレーキ操作の有無を検出する前記ブレーキ操作検出手段と、
前記液圧源、前記制御弁、前記イン側ゲート弁、および前記アウト側ゲート弁を制御するコントロールユニットと
を備え、
前記コントロールユニットは、
車両の状態に応じて前記イン側ゲート弁を所定の開弁量で開弁し、かつ、前記アウト側ゲート弁の開弁量を制御するとともに、前記液圧源を駆動することにより前記ホイルシリンダ圧を増圧する自動ブレーキ増圧制御を実行し、
前記自動ブレーキ増圧制御中に前記ブレーキ操作が検出された場合、前記イン側ゲート弁の開弁量または前記液圧源の駆動量を増加させること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載のブレーキ制御装置において、
前記コントロールユニットは、前記液圧源の駆動量を増加させること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載のブレーキ制御装置において、
前記コントロールユニットは、前記ブレーキ操作が検出された場合、このブレーキ操作検出時からの時間経過に伴って前記液圧源の駆動量を減少させること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項7】
請求項5に記載のブレーキ制御装置において、
前記コントロールユニットは、前記ブレーキ操作が検出された場合、このブレーキ操作検出時からの時間経過に伴って前記イン側ゲート弁の開弁量を減少させること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項8】
マスタシリンダと、
ホイルシリンダと、
前記マスタシリンダから吸入した作動油を前記ホイルシリンダに供給することにより、ホイルシリンダ圧を増圧可能な液圧源と、
前記ホイルシリンダ圧の増減圧を行う制御弁と、
前記マスタシリンダと前記ホイルシリンダとの連通/遮断を行うアウト側ゲート弁と、
前記マスタシリンダと前記液圧源の吸入部との間に設けられたイン側ゲート弁と、
運転者の前記ブレーキ操作の有無を検出する前記ブレーキ操作検出手段と、
前記液圧源、前記制御弁、前記イン側ゲート弁、および前記アウト側ゲート弁を制御するコントロールユニットと
を備え、
前記コントロールユニットは、
車両の状態に応じて前記イン側ゲート弁および前記アウト側ゲート弁を閉弁するとともに、前記液圧源を停止し、前記ホイルシリンダ圧を保持する自動ブレーキ保持制御を実行し、
前記自動ブレーキ保持制御中に前記ブレーキ操作が検出された場合、前記イン側ゲート弁を開弁するとともに前記液圧源を駆動し、前記マスタシリンダ内の作動油を吸入すること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載のブレーキ制御装置において、
前記コントロールユニットは、前記マスタシリンダから吸入された作動油によって前記ホイルシリンダを増圧すること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載のブレーキ制御装置において、
ブレーキペダルと、
前記ブレーキペダルの操作量を検出するペダル操作量検出手段と
をさらに備え、
前記コントロールユニットは、検出されたペダル操作量に基づき、前記ホイルシリンダの増圧量を演算すること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項11】
請求項9に記載のブレーキ制御装置において、
ブレーキペダルと、
前記ブレーキペダルに対する操作が開始されてからの時間を計測する操作時間検出手段と
をさらに備え、
前記コントロールユニットは、前記操作時間検出手段によって検出された前記ブレーキ操作時間に応じて、前記液圧源の駆動量を減少させること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項12】
請求項8に記載のブレーキ制御装置において、
前記コントロールユニットは、前記ブレーキ操作が検出された場合、前記液圧源の駆動量を、時間の経過とともに減少させること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項13】
請求項8に記載のブレーキ制御装置において、
前記コントロールユニットは、前記ブレーキ操作が検出された際、前記イン側ゲート弁の開弁量を時間の経過とともに減少させること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項14】
マスタシリンダと、
ホイルシリンダと、
前記マスタシリンダから吸入した作動油を前記ホイルシリンダに供給することにより、ホイルシリンダ圧を増圧可能な液圧源と、
前記ホイルシリンダ圧の増減圧を行う制御弁と、
前記マスタシリンダと前記ホイルシリンダとの連通/遮断を行うアウト側ゲート弁と、
前記マスタシリンダと前記液圧源の吸入部との間に設けられたイン側ゲート弁と、
運転者の前記ブレーキ操作の有無を検出する前記ブレーキ操作検出手段と、
前記液圧源、前記制御弁、前記イン側ゲート弁、および前記アウト側ゲート弁を制御するコントロールユニットと
を備え、
前記コントロールユニットは、
車両の状態に応じて前記アウト側ゲート弁を開弁するとともに、前記液圧源を停止し、前記ホイルシリンダを減圧する自動ブレーキ減圧制御を実行し、
前記自動ブレーキ減圧制御中に前記ブレーキ操作が検出された場合、前記イン側ゲート弁を開弁するとともに前記液圧源を駆動し、前記マスタシリンダ内の作動油を吸入すること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項15】
請求項14に記載のブレーキ制御装置において、
前記コントロールユニットは、前記マスタシリンダから吸入された作動油によって前記ホイルシリンダを増圧すること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項16】
請求項15に記載のブレーキ制御装置において、
ブレーキペダルの操作量を検出するペダル操作量検出手段をさらに備え、
前記コントロールユニットは、検出されたペダル操作量に基づき、前記ホイルシリンダの増圧量を演算すること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項17】
請求項15に記載のブレーキ制御装置において、
ブレーキペダルと、
前記ブレーキペダルに対する操作が開始されてからの時間を計測する操作時間検出手段と
をさらに備え、
前記コントロールユニットは、前記操作時間検出手段によって検出された前記ブレーキ操作時間に応じて、前記液圧源の駆動量を減少させること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項18】
請求項14に記載のブレーキ制御装置において、
前記コントロールユニットは、前記ブレーキ操作が検出された場合、前記液圧源の駆動量を、時間の経過とともに減少させること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項19】
請求項14に記載のブレーキ制御装置において、
前記コントロールユニットは、前記ブレーキ操作が検出された際、前記イン側ゲート弁の開弁量を時間の経過とともに減少させること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項20】
車両の状態に応じ、少なくとも液圧源によりマスタシリンダから作動油を吸入し、この作動油によってホイルシリンダを増圧する増圧制御と、
増圧されたホイルシリンダ圧を保持する保持制御と、
前記ホイルシリンダ圧を減圧する減圧制御と
を実行する自動ブレーキ制御方法において、
前記自動ブレーキ制御中に、運転者によるブレーキ踏み増しを検出する踏み増し検出手段と、
前記ブレーキ踏み増しが検出された場合、前記マスタシリンダ内の作動油を前記ホイルシリンダへ流動させること
を特徴とする自動ブレーキ制御方法。
【請求項21】
請求項20に記載の自動ブレーキ制御方法において、
前記マスタシリンダ内の作動油は、前記液圧源によって前記ホイルシリンダ側へ流動されること
を特徴とする自動ブレーキ制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−6144(P2010−6144A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165289(P2008−165289)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】