説明

ブレーキ構造

【課題】本発明は、電源のオン/オフに同期して回転する一対のレバーとローラを用いて小さい力で回転軸の回転止めと行うことを目的とする。
【解決手段】本発明によるブレーキ構造は、ソレノイド(15)により回動する一対のレバー(12,13)で一対のローラ(18,19)を回転軸(4)の外周面(4a)に押し付けることにより、回転軸(4)をブレーキ状態とする構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ構造に関し、特に、電源のオン/オフに同期して回動する一対のレバーとローラを用いて小さい力で回転軸の回転止めをするための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のブレーキ構造としては、例えば、特許文献1に開示されている空間安定装置等の回転軸のブレーキ構造としては、特許文献1には開示されていないが、実際には図5から図7で示される構成が採用されていた。
【0003】
すなわち、図5から図7の第1従来構成において、符号1で示されるものは空間安定装置の枠体であり、この枠体1に設けられた支持体2には、軸支部3を介して一方向の回転軸4が回転自在に設けられている。
前記回転軸4には、図示しないジンバルの枠体が設けられると共に、この回転軸4は、図示しない有限角トルカにより所定角度回転できるように構成されている。
【0004】
前記軸支部3の回転軸4には、回転アーム5が一体に突出して設けられ、この回転アーム5の先端には凹部6が形成されている。
前記枠体1の下部には、出没ピン7を有する係止体8が設けられ、回転軸4と共に回転アーム5が回転し、図6の状態では回転フリー状態であるが、図7の状態では、凹部6にピン7が係合することにより、回転保持、すなわち、ブレーキ状態となる。
【0005】
また、他の第2従来構成としては、図示していないが、回転軸に摩擦円盤を設け、この摩擦円盤をソレノイド駆動型のパッドでブレーキをかける構成も採用されている。
【0006】
【特許文献1】特開10−213438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のブレーキ構造は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、前述の第1従来構成の場合、係止体の出没ピンで回転軸の回転アームを係止する構成であるため、ブレーキのかかる位置(角度)まで回転する必要があるため、ブレーキのかけられる位置が限定されることになっていた。
また、第2従来構成においては、ソレノイドでパッドを摩擦円盤の方に押圧しなければならず、大きい摩擦力を発生させるためには、大きいソレノイドを必要とし、ブレーキ構造が大型化することになっていた。
また、前述の各従来構成においては、何れも、ブレーキ構造を回転軸の軸方向に沿って配設するため、装置の軸方向長さが長くなり、装置の軸方向長さを短縮化する要望に沿うことは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるブレーキ構造は、本体に回転自在に設けられた回転軸と、前記本体に一端が軸支され前記回転軸の近傍に位置する一対のレバーと、前記各レバーを一方向へ常時付勢するため前記本体と前記各レバー間に設けられたスプリングと、前記本体に設けられ前記各レバーの他端に当接する出没体を有するソレノイドと、前記回転軸の外周面と前記各レバーとの間に配設された一対のローラと、を備え、前記ソレノイドの作動により前記各レバーの前記各他端が前記回転軸側へ付勢されることにより、前記各ローラを介して前記回転軸をブレーキ状態とする構成であり、また、前記各レバーは、全体形状がくの字型をなす構成であり、また、前記回転軸は、空間安定装置の一軸の回転軸である構成である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるブレーキ構造は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、本体に回転自在に設けられた回転軸と、前記本体に一端が軸支され前記回転軸の近傍に位置する一対のレバーと、前記各レバーを一方向へ常時付勢するため前記本体と前記各レバー間に設けられたスプリングと、前記本体に設けられ前記各レバーの他端に当接する出没体を有するソレノイドと、前記回転軸の外周面と前記各レバーとの間に配設された一対のローラと、を備え、
前記ソレノイドの作動により前記各レバーの前記各他端が前記回転軸側へ付勢されることにより、前記各ローラを介して前記回転軸をブレーキ状態とすることができるため、電源のオン/オフに同期し、ブレーキ動作が速い。
また、レバーとローラの係合による楔効果により、小さい力で大きい保持力(ブレーキ)力が得られると共に軸方向長さを短くできる。
また、前記各レバーは、全体形状がくの字型をなすため、前述の楔効果が得られやすく、確実なブレーキ動作を得ることができる。
また、前記回転軸は、空間安定装置の一軸の回転軸であるため、空間安定装置のブレーキ構造に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、電源のオン/オフに同期して回動する一対のレバーとローラを用いて小さい力で回転軸の回転止めをするようにしたブレーキ構造を提供することを目的とする。
【実施例】
【0011】
以下、図面と共に本発明によるブレーキ構造の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分については、同一符号を用いて説明する。
図1及び図2において符号10で示されるものは、例えば、空間安定装置等の本体であり、この本体10には、図示しない軸支部を介して回転軸4が回転自在に設けられている。
前記回転軸4の近傍における前記本体10には、一端12a,13aが軸支部11を介して回動自在に設けられた一対のレバー12,13が図1のように平面的にみてハの字型に配設されている。
【0012】
前記各レバー12,13のほぼ中央位置と前記本体10との間には、一対のスプリング14が張設され、この各スプリング14によって各レバー12,13が一方向である上方へ常時付勢されることにより、各レバー12,13の各他端12b,13bは、前記各レバー12,13の近傍で前記本体10上に設けられたソレノイド15の出没体7に当接している。
【0013】
前記各レバー12,13は、くの字型に曲折した曲折部16,17が形成されており、各レバー12,13の各曲折部16,17と前記回転軸4の外周面4aとの間には一対のローラ18,19が配設されている。
【0014】
前述の構成において、本発明によるブレーキ構造を作動させる場合について説明する。
図1は回転軸4が自在に回転できる回転フリー状態を示している。すなわち、前記ソレノイド15が非励磁状態で、出没体7が引き込まれている状態であるため、各レバー12,13は各スプリング14によって出没体7に当接し、各ローラ18,19は各レバー12,13によって非付勢状態であり、回転軸4は回転フリー状態であると共に、各ローラ18,19は回転軸4の回転によって連れ回りをする状態である。
【0015】
次に、前述のように、回転軸4が回転している状態下で、前記ソレノイド15をオンとし、出没体7を下方へ突出させると、図3及び図4で示されるように、前記出没体7は押しストロークL分だけ下方へ突出するため、各レバー12,13の他端12b,13bが下方へ押されてわずかに回動し、各ローラ18,19が前記各曲折部16,17と外周面4a間で強圧的に押される状態となり、各ローラ18,19と各曲折部16,17及び外周面4aとの間に、図3で示されるように周知の楔効果Kを伴ない、回転軸4に対するブレーキ作用がもたらされ、回転保持状態となる。尚、前記回転軸4は、空間安定装置の一軸の回転軸である場合について述べたが、一般装置の回転軸のブレーキにも適用可能である。また、前記ソレノイド15は電源のオン/オフに同期して迅速にブレーキのオン/オフができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明によるフリー構造の回転レバー状態を示す構成図である。
【図2】図1の右側面図である。
【図3】図1の回転保持(ブレーキ)状態を示す構成図である。
【図4】図3の右側面図である。
【図5】従来のブレーキ構造を示す正面図である。
【図6】図5の回転フリー状態の要部の拡大図である。
【図7】図5の回転保持(ブレーキ)状態を示す要部の拡大図である。
【符号の説明】
【0017】
4 回転軸
4a 外周面
7 出没体
10 本体
11 軸支部
12,13 レバー
12a,13a 一端
12b,13b 他端
14 スプリング
15 ソレノイド
16,17 曲折部
18,19 ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(10)に回転自在に設けられた回転軸(4)と、前記本体(10)に一端(12a,13a)が軸支され前記回転軸(4)の近傍に位置する一対のレバー(12,13)と、前記各レバー(12,13)を一方向へ常時付勢するため前記本体(10)と前記各レバー(12,13)間に設けられたスプリング(14)と、前記本体(10)に設けられ前記各レバー(12,13)の他端(12b,13b)に当接する出没体(7)を有するソレノイド(15)と、前記回転軸(4)の外周面(4a)と前記各レバー(12,13)との間に配設された一対のローラ(18,19)と、を備え、
前記ソレノイド(15)の作動により前記各レバー(12,13)の前記各他端(12b,13b)が前記回転軸(4)側へ付勢されることにより、前記各ローラ(18,19)を介して前記回転軸(4)をブレーキ状態とすることを特徴とするブレーキ構造。
【請求項2】
前記各レバー(12,13)は、全体形状がくの字型をなすことを特徴とする請求項1記載のブレーキ構造。
【請求項3】
前記回転軸(4)は、空間安定装置の一軸の回転軸であることを特徴とする請求項1又は2記載のブレーキ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−14140(P2010−14140A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172275(P2008−172275)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)
【Fターム(参考)】