説明

ブロア搭載車及び定置型吸引装置

【課題】 吸引作業機械設備配置面積及び搭載可能重量に対する厳しい制限下においても、効果的な消音作用をもたらす消音機構の提供。
【解決手段】 車両に搭載されるブロア本体と、前記車両に搭載されるとともに所定の処理を行う処理装置と、前記ブロア本体に一端部が接続するとともに他端部が前記処理装置と接続する主管路と、前記主管路の途中部に設けられた分岐部に接続する枝管を備え、前記枝管の先端部は、前記ブロア本体から発生する音波を反射する反射板により閉塞され、前記分岐部から前記反射板の反射面までの距離が、前記音波の波長の1/4の長さであることを特徴とするブロア搭載車である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロア搭載車及び定置型吸引装置に関し、より詳しくは、ブロアから生ずる騒音を最小限化するとともに必要とされる設備配置面積を最小限化できるブロア搭載車及び定置型吸引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建築機械に対する品質要求として、低騒音化を挙げることができる。特に、側溝清掃作業に用いられる高出力の吸引作業車は、日中の交通の妨げを避けるために、夜間に稼動することが多く、低騒音化の課題を解決することは急務となっている。
【0003】
特許文献1は、吸引作業車の一例を開示する。
図24は、特許文献1の吸引作業車が搭載する吸引システムを示す。
特許文献1に開示される吸引作業車が搭載する吸引システムは、ブロア(D)の下流に水槽(T)を配し、水槽(T)中をブロア(D)から吐出された空気を通過させることにより消音を図っている。
【0004】
【特許文献1】特公昭61−26407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の吸引作業車は、消音を図る措置を施しているが、それでも尚、オーバーオール値で100dB(A)前後の騒音を発する。
特許文献1に開示される吸引作業車の消音手法の代替的手法として、膨張型消音器を利用することも考えられる。しかしながら、十分な消音効果を発揮するための膨張型消音器は大型かつ重量が大きく、特に、吸引作業機械設備の配置面積並びに車載可能重量が厳しく制限された車載式の吸引作業機械に対しては、この代替的手法は不向きである。
【0006】
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであって、吸引作業機械設備配置面積及び搭載可能重量に対する厳しい制限下においても、効果的な消音作用をもたらす消音機構を提供することを目的とする。本発明は更に、このような消音機構を備えるブロア搭載車及び定置型吸引装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、車両に搭載されるブロア本体と、前記車両に搭載されるとともに所定の処理を行う処理装置と、前記ブロア本体に一端部が接続するとともに他端部が前記処理装置と接続する主管路と、前記主管路の途中部に設けられた分岐部に接続する枝管を備え、前記枝管の先端部は、前記ブロア本体から発生する音波を反射する反射板により閉塞され、前記分岐部から前記反射板の反射面までの距離が、前記音波の波長の1/4の長さであることを特徴とするブロア搭載車である。
請求項2記載の発明は、前記枝管が、前記主管路側に位置する基端管と、該基端管に螺合接続する末端管からなり、前記末端管の回転により、前記枝管の軸長寸法が変化することを特徴とする請求項1に記載のブロア搭載車である。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記枝管の配設位置が、前記ブロア本体、前記処理装置、前記主管路からなる系に関する一の数値計算モデルを作成する段階と、前記ブロア本体、前記処理装置、前記主管路及び前記枝管からなる系に関する他の数値計算モデルを複数作成する段階と、前記一の数値計算モデルにおいて、前記ブロア本体を音源として、数値計算を実行し、音圧レベルを算出する段階と、前記他の数値計算モデルそれぞれにおいて、前記ブロア本体を音源として、数値計算を実行し、音圧レベルを算出する段階と、前記一の数値計算モデルと前記他の数値計算モデルから算出された音圧レベルの差分を算出する段階と、前記音圧レベルの差分値を比較する段階を経て決定され、前記他の数値計算モデルそれぞれの間で、前記分岐部の位置が異なり、前記音圧レベルの差分値を比較する段階が、前記差分値の絶対値が最大となる数値計算モデルを前記複数の他の数値計算モデルの中から選択する段階を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のブロア搭載車である。
請求項4記載の発明は、前記音源が、面音源であることを特徴とする請求項3記載のブロア搭載車である。
【0009】
請求項5記載の発明は、前記ブロア本体が、2段一体型のブロア本体或いは第1のブロアと第2のブロアを連接したブロア本体であって、前記面音源が前記ブロア本体の第1段目と第2段目或いは前記第1のブロアと前記第2のブロアに定義され、前記一対の面音源が同位相で振動することを特徴とする請求項4記載のブロア搭載車である。
請求項6記載の発明は、前記数値計算モデルを用いた演算が、3次元境界要素解析であることを特徴とする請求項3乃至5いずれかに記載のブロア搭載車である。
請求項7記載の発明は、前記処理装置が延長管を備え、該延長管が、前記ブロアからの音波と前記処理装置の共鳴現象を防止することを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載のブロア搭載車である。
請求項8記載の発明は、流体を吸引並びに吐出するブロア本体と、所定の処理を行う処理装置と、前記ブロア本体に一端部が接続するとともに他端部が前記処理装置と接続する主管路と、前記主管路の途中部に設けられた分岐部に接続する枝管を備え、前記枝管の先端部は、前記ブロア本体から発生する音波を反射する反射板により閉塞され、前記分岐部から前記反射板の反射面までの距離が、前記音波の波長の1/4の長さであり、前記枝管が、前記主管路側に位置する基端管と、該基端管に螺合接続する末端管からなり、前記末端管の回転により、前記枝管の軸長寸法が変化し、前記枝管の配設位置が、前記ブロア本体、前記処理装置、前記主管路からなる系に関する一の数値計算モデルを作成する段階と、前記ブロア本体、前記処理装置、前記主管路及び前記枝管からなる系に関する他の数値計算モデルを複数作成する段階と、前記一の数値計算モデルにおいて、前記ブロア本体を音源として、数値計算を実行し、音圧レベルを算出する段階と、前記他の数値計算モデルそれぞれにおいて、前記ブロア本体を音源として、数値計算を実行し、音圧レベルを算出する段階と、前記一の数値計算モデルと前記他の数値計算モデルから算出された音圧レベルの差分を算出する段階と、前記音圧レベルの差分値を比較する段階を経て決定され、前記他の数値計算モデルそれぞれの間で、前記分岐部の位置が異なり、前記音圧レベルの差分値を比較する段階が、前記差分値の絶対値が最大となる数値計算モデルを前記複数の他の数値計算モデルの中から選択する段階を含むことを特徴とする定置型吸引装置である。
【0010】
請求項9記載の発明は、車両に搭載されるブロア本体と、前記車両に搭載されるとともに所定の処理を行う処理装置と、前記ブロア本体に一端部が接続するとともに他端部が前記処理装置と接続する主管路と、該主管路に接続する枝管からなり、前記主管路は、前記ブロア本体と接続する第1管と、前記処理装置と接続する第2管と、前記第1管と前記第2管を接続する接続管を備え、前記接続管は、分岐部を備え、前記枝管は、前記分岐部側に位置する基端管と、該基端管に螺合接続する末端管と、前記末端間先端部を閉塞するとともに前記ブロアから生ずる音波を反射する反射板を備え、前記分岐部から前記反射板の反射面までの距離は、前記音波の波長の1/4の長さに等しく、該接続管は、前記基端管に対して上流側及び下流側に蛇腹管部を備え、該基端管の前記主管路からの分岐位置を変位可能であることを特徴とするブロア搭載車である。
請求項10記載の発明は、前記接続管のうち、前記接続管の一対の蛇腹管部の間の途中部に接続するシリンダを更に備え、該シリンダのロッドの伸縮により、前記基端管の前記分岐位置が変位することを特徴とする請求項9記載のブロア搭載車である。
請求項11記載の発明は、車両に搭載されるブロア本体と、前記車両に搭載されるとともに所定の処理を行う処理装置と、前記ブロア本体に一端部が接続するとともに他端部が前記処理装置と接続する主管路と、前記主管路の途中部に設けられた分岐部に接続する枝管を備え、前記枝管の先端部は、前記ブロア本体から発生する音波を反射する反射板により閉塞され、前記分岐部から前記反射板の反射面までの距離が、前記ブロア本体のロータ葉数及び規格回転数により決定されることを特徴とするブロア搭載車である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1及び11に記載の発明によれば、枝管式の消音機構を採用するので、消音機構を載置するために広い面積を要することなく、且つ、車載重量の増加を最小限化して、有効な消音効果を得ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、主管路を通過する流体の温度変化等の処理環境の変化に起因するブロア本体からの音の波長変化に対応することができ、処理作業現場において確実に消音効果を得ることが可能となる。また、ブロア種の変更などの車両に搭載される吸引処理システム中の機器変更にも対応可能となる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、ブロアの下流或いは上流に配される処理装置を含めて数値計算モデル化するので、密集する処理機器群からなるシステムであっても、ブロアから発せられる音波の腹を正確に割り出すことができる。したがって、枝管を音波の腹の位置に確実に配することができ、枝管による消音効果を最大限化できる。
請求項4乃至6記載の発明によれば、数値計算モデルを用いたシミュレーション結果と実測値との間の誤差を最小限化でき、実際のブロア搭載車から発せられる騒音を確実に低減することが可能となる。
【0013】
請求項7記載の発明によれば、ブロアからの音波と処理装置との間の共鳴現象を回避でき、ブロア搭載車からの騒音レベルを更に低減可能となる。
請求項8記載の発明によれば、枝管式の消音機構を採用するので、消音機構を載置するために広い面積を要することなく、有効な消音効果を得ることができる。また、主管路を通過する流体の温度変化等の処理環境の変化に起因するブロアからの音の波長変化に対応することができ、処理作業現場において確実に消音効果を得ることが可能となるとともに、ブロア種の変更などの吸引処理システム中の機器変更にも対応可能となる。加えて、消音効果を発揮する枝管の位置は、ブロアの下流或いは上流に配される処理装置を含めた数値計算モデルを用いた音圧低減効果のシミュレーション結果に基づき定められるので、枝管は確実にブロアが発する音波の腹の位置に配されるものとなり、枝管による消音効果が最大限化される。
請求項9及び10記載の発明によれば、主管路上の枝管の位置を調整可能となり、処理現場において、枝管による消音効果を最大限化可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る吸引処理を行うブロア搭載車及び定置型吸引装置について、図を参照しつつ説明する。
図1は、本発明のブロア搭載車が搭載する吸引処理システムの空気排出機構の概略図である。
図1に示す空気排出機構(1)は、主に、ルーツブロア(2)、ルーツブロア(2)の上流側に位置するとともにルーツブロア(2)と連通する3次キャッチャ(3)及びルーツブロア(2)の下流側に位置するとともにルーツブロア(2)と接続する4次キャッチャ(4)から構成される。ルーツブロア(2)と4次キャッチャ(4)は、主管路(5)により接続される。
尚、3次キャッチャ(3)は、ブロア(2)へ送り込まれる空気を清浄し、4次キャッチャ(4)は、外気へ放出される空気を清浄する。
【0015】
主管路(5)は、その途中部にエルボ管(51)を備える。エルボ管(51)は、ルーツブロア(2)から4次キャッチャ(4)へ繋がる流体吐出経路から分岐し、上方に向けて湾曲する。エルボ管(51)は、その先端にフランジ部(511)を備える。
エルボ管(51)のフランジ部(511)上に枝管(6)が載置固定される。エルボ管(51)のフランジ部(511)の上面は、吸引処理システムが据付けられる車両荷台部の面に対して平行であり、フランジ部(511)上の枝管(6)を安定的に支持可能である。
枝管(6)は、エルボ管(51)と接続する基端管(61)と、基端管(61)と螺合接続する末端管(62)から構成される。基端管(61)の下端部にはフランジ部(611)が形成される。エルボ管(51)のフランジ部(511)と基端管(61)のフランジ部(611)は互いに重ね合せられ、ボルト等の適切な固定具を用いて、これらフランジ部(511,611)が互いに固定されることとなる。
【0016】
図2は、本発明に用いられる枝管(6)の詳細構造を示す。図2において、左半分は、枝管(6)の断面構造を示し、右半分は枝管(6)の外観を示す。
上述の如く、枝管(6)は、基端管(61)と末端管(62)からなり、基端管(61)の下端にはフランジ部(611)が形成される。
基端部(61)は、フランジ部(611)から上方に延出する円筒形状の筒状部(612)と、筒状部(612)の上端に位置するとともに筒状部(612)よりも径大な外形輪郭を備える環状の先端部(613)を更に備える。筒状部(612)の外周面にはねじ溝が形成される。先端部(613)外周面に沿って、Oリング溝(131)が形成される。Oリング溝(131)には、Oリングが配され、Oリングは、先端部(613)のOリング溝(131)底面と末端管(62)内周面との間で圧縮され、枝管(6)内部空間を密閉する。
末端管(62)は、円筒形状の筒状部(621)と、筒状部(621)上端に位置するとともに筒状部(621)から半径方向に突出する環状のフランジ部(622)を備える。末端管(62)は更に、フランジ部(622)上に載置固定される反射板(623)を備える。反射板(623)は、エルボ管(51)を通じて枝管(6)内に伝達された音波を反射する。エルボ管(51)基端部から枝管(6)先端までの全長が、ブロア(2)から発せられる音波の波長の1/4に等しいとき、反射板(623)により反射された音波は、ブロア(2)からの音波と逆位相となり、ブロア(2)からの音波を打ち消すこととなる。
末端管(62)の筒状部(621)の内径寸法は、基端管(61)の外形寸法より大きく、末端管(62)は基端管(61)を外嵌する。末端管(62)下端内壁部には、末端管(62)内壁から内方に突出するねじ部(211)が形成され、ねじ部(211)は、基端管(61)の筒状部(612)外周面に形成されたねじ溝と螺合する。この結果、末端管(62)を回転させると、末端管(62)は、枝管(6)軸方向に変位する。したがって、枝管(6)の全長を調整し、エルボ管(51)基端部から反射板(623)の反射面までの距離を、ブロア(2)から発せられる音波の1/4の長さに一致させることが可能となる。
【0017】
図3は、枝管(6)の分岐位置を決定するための方法のフローチャートである。
主管路(5)からの枝管(6)の分岐位置は、数値計算モデル作成段階、数値計算実行段階及び数値計算結果の比較段階を経て決定される。
【0018】
図4は、数値計算モデル作成段階において、作成された数値計算モデルを示す。尚、図4に示す数値計算モデルは、3次元境界要素解析のための解析モデルである。また、図4に示すモデルは、枝管(6)を含んでいない。図4に示す数値計算モデルは、サイバネットシステム株式会社製汎用境界要素解析ソフトウェアWAONを用いて作成されている。
図4に示す数値計算モデル(10)は、図1に示す空気排出機構(1)を模擬する。数値計算モデル(10)は、10000個の接点並びに6000個の要素を有する。数値計算モデル(10)は、吸引処理システムが有するレシーバタンク(7)から4次キャッチャ(4)の出口までをモデル化している。
尚、数値計算モデル(10)において、ブロア(2)の容積は考慮されていない。また、数値計算モデル(10)において、3葉のブロアロータを2本備えるとともに回転数が1560rpmの2段式のルーツブロアが想定されているが、本発明に用いられるブロア(2)はこれに限定されるものではない。更に、モデル作成の簡素化を図る目的から、吸引システムが備える吸引管、満量装置や波消し板などの細かな部品は省略され、エルボ管等の曲管は全て直管に置き換えられている。
【0019】
数値計算モデル(10)中、レシーバタンク(7)が最上流に位置する。レシーバタンク(7)から第1の直管(71)が延設し、第1の直管(71)は、3次キャッチャ(3)に接続する。3次キャッチャ(3)から第2の直管(72)が延設する。第2の直管(72)は、第1の直管(71)に対して直角方向に延設し、4次キャッチャ(4)に接続する。
第2の直管(72)中に2つの音源(S1,S2)が定義される。上流側に位置する音源(S1)は、1段目ブロアの吸引口の位置に定義され、下流側に位置する音源(S2)は、2段目ブロアの吐出口の位置に定義される。音源(S2)から4次キャッチャ(4)に至るまでの第2の直管(72)の区間が、図1に示す主管路(5)に相当する。数値計算モデル作成段階において、更に、主管路(5)に相当する区間中の異なる位置に枝管(6)を配設した複数の数値計算モデルを作成する。
【0020】
図5は、数値計算モデル(10)中の音源(S1,S2)のモデルを示す。
音源(S1,S2)は、面音源として定義される。音源(S1,S2)の面は、当該面の法線方向に速度1、逆法線方向に速度−1で振動するものとされ、音源(S1,S2)の面の振動は、同位相である。
【0021】
数値計算実行段階において、数値計算モデル中の1つの要素を観測点として定め、数値計算モデル作成段階で作成された各数値計算モデル(10)それぞれについて、観測点における音圧を演算する。
その後、枝管(6)を含まない数値計算モデル(10)から算出された観測点における音圧と、枝管(6)を含む数値計算モデル(10)から算出された観測点における音圧との差(挿入損失)を演算する。
【0022】
図6は、上記数値計算段階を実行して得られる計算結果の一例を示し、図7は、図6の計算結果の算出に用いられた観測点の位置を示す。
図6に示す数値計算結果は、図7に示す如く、4次キャッチャ(4)出口部分の一要素を観測点として得られたものである。また、数値計算モデル作成段階において、枝管(6)を含まない数値計算モデル(10)を1つ作成し、枝管(6)を含む数値計算モデル(10)を9つ作成し、挿入損失を計算し、図6に示す結果が得られている。
枝管(6)を含む数値計算モデル(10)中の音源(S2)から枝管(6)までの距離は、各数値計算モデル(10)につき、100mm、110mm、120mm、130mm、140mm、150mm、200mm、250mm、300mmである。
また、想定している音波の周波数は、155Hzであり、エルボ管(51)基端部から反射板(623)の反射面までの距離を650mmとしている。
【0023】
数値計算比較段階において、各数値計算モデル(10)から得られた挿入損失値が比較される。図6に示す例においては、音源(S2)と枝管(6)までの距離が、100mmから150mmの範囲で高い挿入損失値が示されている。よって、枝管(6)をブロア(2)吐出口から100mmから150mmの距離だけ離間した位置から分岐させると高い消音効果を得ることができることが分かる。
【0024】
(試験例1:騒音因子の特定)
以下に、本発明の有効性を立証するいくつかの試験例を示す。
図8は、消音機構を備えない通常の吸引処理システム搭載車両を用いた騒音レベル測定形態を説明する図であり、吸引処理システム搭載車両の平面図である。
図8は、通常の吸引処理システム搭載車両に対する騒音測定の測定点位置を示し、本試験において、5つの測定点において騒音レベルが測定された。
測定点1は、助手席側中央部から1m離れた位置である。測定点2は、運転席側中央部から1m離れた位置である。測定点3は、ブロアから車両前方へ100mm離れた位置である。測定点4は、ブロア吐出口から100mm離れた位置である。測定点5は、ブロア吸引口から100mm離れた位置である。
【0025】
【表1】

【0026】
図9は、測定点1における周波数特性を分析するグラフである。図9(a)は、0Hzから5000Hzまでの範囲の周波数特性分布を示し、図9(b)は、0から1000Hzまでの周波数特性分布を示す。
図9(a)から明らかであるが、車両から発せられる騒音は、1000Hz以下の周波数の音成分により支配されている。また、図9(b)に示すデータから150Hzと294Hzの周波数でピーク値が示される。
下記、数式1は、上記したルーツブロア(2)の仕様から算出される圧力脈動周波数の理論値である。上述の如く、ルーツブロア(2)は、3葉のブロアロータを2本備えるとともにその回転数は1560rpmである。
【0027】
【数1】

【0028】
ルーツブロア(2)の脈動周波数は、図9(b)で示されたピーク値150Hzと略一致する。また、ピーク値294Hzは、ピーク値150Hzの成分の倍音成分であると考えられる。
よって、ルーツブロア(2)から発せられる音成分を消すことが車両から発せられる全体の騒音レベルの低減に最も効果的であることが分かる。
【0029】
本試験例で用いたルーツブロア(2)の仕様規格から、吐出口の温度を100℃と仮定することができる。このときの音速cは、下記数式2にて算出できる。
【0030】
【数2】

【0031】
数式2による算出結果を用いて、150Hzの音成分を消去するためのエルボ管(51)基端部から反射板(623)の反射面までの距離Lは、下記数式3により算出できる。
【0032】
【数3】

【0033】
(試験例2:数値計算モデルによる相違)
図10は、図4に示す3次元数値計算モデル(10)に対する比較例となる2次元数値計算モデル(100)を示す。図10の2次元数値計算モデル(100)は、3次元構造をなす3次キャッチャ(3)及び4次キャッチャ(4)のモデル化が困難であるため、1段目ブロアから4次キャッチャ(4)入口までを模擬している。2次元数値計算モデル(100)の接点数は5277個であり、9447個の三角形要素を備える。また、図10に示す数値計算モデル(100)は、枝管(6)を含んでいない。1段目ブロアに上流側音源(S1)を定義し、2段目ブロアに下流側音源(S2)を定義し、各音源(S1,S2)に音圧(P=1)を定義している。また、4次キャッチャ入口に境界条件として音圧(P=0)を定義している。尚、音源(S1,S2)の位置や他の構造的寸法は図4に示す3次元数値計算モデル(10)と等しくされている。
【0034】
図11は、2次元数値計算モデル(100)と3次元数値計算モデル(10)との演算結果の差異を示す。尚、図11に示す3次元数値計算モデル(10)は、図4に示す数値計算モデル(10)と略同一のものであるが、2次元数値計算モデル(100)との直接的比較を可能とするため、音源(S1,S2)に対して、面音圧に代え、音圧(P=1)の点音源を定義している。
2次元数値計算モデル(100)において、一対の音源(S1,S2)の間に2つの音圧の節(k)が現れた。一方で、3次元数値計算モデル(10)においては、一対の音源(S1,S2)の間には、1つの音圧の節(k)しか現れなかった。また、バタフライ弁(B)を意味する第2の直管(72)のくびれ部周囲の音圧は、3次元数値計算モデル(10)では高く、2次元数値計算モデル(100)では低かった。
これらの結果から、数値計算モデル(10,100)内で模擬される音圧分布が、第2の直管(72)が接続する先の4次キャッチャ(4)の影響を受けることが分かる。
【0035】
図12は、2次元数値計算モデル(100)と3次元数値計算モデル(10)との演算結果の差異を示し、2次元数値計算モデル(100)及び3次元数値計算モデル(10)の中に枝管(6)が含まれている。両数値計算モデル(10,100)ともに枝管(6)は、上流側音源(S1)から下流側に1750mm離間した位置である。当該枝管(6)の位置での2次元数値計算モデル(100)を用いた消音効果のシミュレーションにおいて、枝管(6)による消音効果が最も高いことが確認されている。
2次元数値計算モデル(100)によれば、枝管(6)から下流側の第2の直管(72)の部分は全体的に低い音圧レベルである。一方、3次元数値計算モデル(100)によれば、バタフライ弁(B)を模擬する第2の直管(72)の周囲で高い音圧レベルが確認された。
よって、4次キャッチャ(4)を含まない2次元数値計算モデル(100)では、枝管(6)の適切な分岐位置を見極めることができないことが分かる。
【0036】
(試験例3:音源による相違)
図13及び図14は、図5に示す音源パターンと異なるパターンを有する音源を示す。
図13に示す音源は、面の法線方向並びに逆法線方向に速度1で振動する面音源である。図14に示す音源は、面の法線方向に速度1、逆法線方向に速度−1で振動するとともに、上流側音源(S1)と下流側音源(S2)とが逆位相で振動する面音源である。
【0037】
図15は、図5、図13及び図14に示す音源パターンを用いた数値計算シミュレーション結果と、実際の吸引処理システムを用いた騒音の実測値との比較をするグラフである。図15に示すグラフの横軸には測定点番号が示されている。隣接する測定点番号間の間隔は、5cmであり、測定点番号1から36が、1段目ブロア吐出口から2段目ブロア吸引口に相当し、測定点番号37から61が2段目ブロア吐出口から4次キャッチャ(4)入口部に相当する。尚、測定点番号19,20,54の位置では、吸引処理装置の構造的問題(管継ぎ手や弁の存在)により測定不能であり、図15中のデータには示されていない。
図15中、符号L1で示す曲線は、図5に示す音源パターンを用いた計算結果である。図15中、符号L2で示す曲線は、図13に示す音源パターンを用いた計算結果である。図15中、符号L3で示す曲線は、図14に示す音源パターンを用いた計算結果である。
図15中、円C1、C3及びC4で囲まれる部分の計算結果と実測データとの適合度は、音源パターンによって、顕著な差異はなく、実測データの値の増減傾向と計算結果から得られた音圧レベルの増減傾向は略一致している。円C2で囲まれる部分においては、図5で示す音源パターンを利用した数値計算結果が最も実測データの傾向に適合していることが分かる。
【0038】
(試験例4:実測値との比較)
図16は、3次元数値計算モデル(10)に基づく消音効果のシミュレーション結果に基づき枝管(6)の分岐位置を変更した吸引処理システムの空気排出機構(1)の概略図である。図16に示す空気排出機構(1)において、エルボ管(51)は、ブロア(2)の吐出口から140mm離間した位置に配される。また、エルボ管(51)の基端部から枝管(6)の反射板(623)までの距離は570mmに設定されている。
【0039】
図17は、図16に示す枝管(6)の位置を変更した空気排出機構(1)を含む吸引処理システムを搭載した車両の平面図であり、本試験における測定点を示す。本試験では、車両から1m離れた8つの位置において、吸引処理システムから発せられる騒音の測定が行われた。
【0040】
図18は、図17に示す車両を用いた騒音測定の結果を示す。
図18中、グラフ横軸に示される測定点番号は、図16に示す測定点に付された番号に一致する。図18中、L1で示される曲線は、枝管(6)を取り付けない状態における各測定点での騒音レベルを示し、図18中、L2で示される曲線は、枝管(6)分岐点から枝管(6)先端までの距離を570mmとした状態で測定した各測定点での騒音レベルを示す。
図18から明らかな如く、枝管(6)を取り付けた場合、全ての測定点における騒音レベルが低減し、特に、図18中、円C1で囲まれた測定点6における騒音レベルの低減が顕著である。
下記の表2は、測定点6における騒音レベルを、枝管(6)の長さを変化させて計測した結果を示す。
【0041】
【表2】

【0042】
表2に示すデータから、枝管(6)の長さを調整し、エルボ管(51)基端部から反射板(623)の反射面までの距離を545mmとしたときに、最も騒音レベルの低減を図ることができることが分かる。
図19は、エルボ管(51)基端部から反射板(623)の反射面までの距離を545mmとしたときの周波数特性と枝管(6)を取り除いたときの周波数特性を示す。図19中、符号L1で示す曲線は、枝管(6)を取り除いたときの周波数特性を示し、図19中、符号L2で示す曲線は、エルボ管(51)基端部から反射板(623)の反射面までの距離を545mmとしたときの周波数特性を示す。
円C1で囲まれた周波数160Hz付近のデータから明らかなように、周波数160Hz付近の音波の音圧レベルが枝管(6)の取り付けにより大幅に低減されていることが分かる。
【0043】
上記の試験例において、ブロア(2)の吐出口に接続する主管路(5)を対象とした試験を示したが、吸引口側に枝管(6)を設けて、同様に枝管(6)の位置並びに長さの見極め、効果的な消音作用を得ることができることを本出願人は確認している。
【0044】
(変更例)
吸引処理システムを搭載した吸引処理作業車両の処理機器搭載面積は、厳しく制限されている。したがって、吸引処理システムを構成する機器群は密集状態にあり、共鳴を引き起こしやすい。この共鳴現象を回避するために、4次キャッチャ(4)の空気排出口にウレタンフォームなどの吸音材を内張りした所定長の延長管を接続して、共鳴作用を回避してもよい。また、ブロア駆動ベルトやブロアを冷却するファンなどの他の騒音源周囲を吸音材付カバーを用いて覆ってもよい。これにより、更に、騒音レベルが低減したブロア搭載車を構築可能となる。
【0045】
図20は、このような他の騒音処理対策を施した後の騒音測定の結果を示す。
図20のグラフの横軸をなす測定点番号は、図17に示す測定点に付された番号と一致する。図20中、符号L1で示す曲線は、何ら騒音対策を施さない通常の吸引処理作業車両の騒音レベルを示し、図20中、符号L2で示す曲線は、枝管(6)による消音対策のみを施した場合の騒音レベルを示し、図20中、符号L3で示す曲線は、上述のように吸音材を用いて、他の騒音処理対策を更に施した場合の騒音レベルを示す。
図20によれば、他の騒音処理対策を併せて行うことで、通常の吸引処理作業車両の騒音レベルから、大幅な騒音レベルの低減を図ることが可能となる。
【0046】
図21は、他の変更形態を示す。
図21に示す枝管(6)は、末端管(62)外周面から半径方向に突出する環状のギアリング(624)を備える。ギアリング(624)周面には複数のギア歯が形成されている。また、枝管(6)に隣接して、駆動モータ(7)が配され、駆動モータ(7)の回転シャフト先端には、ギア(71)が取り付けられている。ギア(71)は、ギアリング(624)と噛合う。
更に、ブロア(2)には、ブロア(2)吐出口から送出される空気の温度を測定する温度センサ(29)とブロア(2)の回転数を測定するエンコーダ(28)が取付けられる。温度センサ(29)は、ブロア搭載車に取付けられた制御盤(8)にブロア(2)吐出口から送出される空気の温度に応じた測定信号を送る。また、エンコーダ(28)は、ブロア(2)の回転数に応じた測定信号を制御盤(8)に送る。
制御盤(8)は、温度センサ(29)及びエンコーダ(28)からの信号に基づき、ブロア(2)から発せられる音波長の1/4の長さを算出する。
ギアリング(624)の下面には反射型の位置センサ(241)が取り付けられ、位置センサ(241)は枝管(6)のフランジ部(611)からの反射光を受け、反射板(623)の現在位置に関する信号を制御盤(8)に送る。
制御盤(8)は、位置センサ(241)からの信号と算出された音波長の1/4の長さの値に基づき、モータ(7)の回転シャフトの回転角度を決定し、決定された回転角度に応じた駆動信号をモータ(7)に送る。
モータ(7)は、制御盤(8)からの駆動信号に応じた回転角度だけ回転し、モータ(7)のギア(71)と接続するギアリング(624)の回転を介して、枝管(6)の末端管(62)が上下動する。この結果、枝管(6)分岐位置から反射板(623)までの長さがブロア(2)から発せられる音波長の1/4の長さに自動的に一致することとなる。
このような変更形態によれば、外気温等の環境変化によって音波長が変化した場合でも、自動的に反射板(623)の位置を適切な位置に配することが可能となる。また、ギアリング(624)が放熱効果を高めるという作用をもたらす。尚、放熱効果を高める他の手法として、末端管(62)外周面から半径方向に突出するとともに末端管(62)軸方向に延設する1若しくは複数のフィン板を取り付ける形態を採用することができる。
【0047】
図22は、他の変更形態を示す。
図1に示す例において、エルボ管(51)は、主管路(5)と一体に形成されていたが、主管路(5)をエルボ管(51)上流側及び下流側で切断し、図22に示す接続管(510)により接続してもよい。接続管(510)は、接続管(510)途中部から分岐するエルボ管(51)を備える。エルボ管(51)の分岐部に対して上流側及び下流側において、接続管(510)は、蛇腹部(511)を備える。更に、接続管(510)は、接続管(510)軸長方向に伸縮するロッドを有するシリンダ(512)を備える。シリンダ(512)のロッドは、ブラケット(513)を介して、接続管(510)途中部に接続する。
シリンダ(512)のロッドが伸縮すると、上流側・下流側のいずれか一方の蛇腹部(511)が伸長し、他方が収縮する。この結果、エルボ管(51)の分岐位置が上流側或いは下流側に変位することができる。
【0048】
ブロア搭載車に、騒音レベルを検知する音圧センサを取り付ける。音圧センサは、吸引作業時の音圧に関する信号を制御盤(8)に送る。制御盤(8)は、シリンダ(512)の弁に信号を送り、シリンダ(512)のロッドを可動域全体にわたって伸縮させる。この間に送信された音圧センサの信号の変動に基づき、制御盤(8)は最小の騒音レベルを見極め、その後、シリンダ(512)に信号を送り、最適なエルボ管(51)の分岐位置にエルボ管(51)を変位させる。
【0049】
上記説明において、ブロア搭載車を例として説明してきたが、上述の説明に用いられたブロア搭載車が搭載する吸引処理システムを地面に載置固定して定置型吸引装置としたものも本発明に含まれる。このような定置型吸引装置は、上記説明の本発明のブロア搭載車と同様に、非常に低騒音の作業環境を提供することができる。
【0050】
上記説明から明らかであるが、本出願人は本発明の消音機構を構築するために多くの数値モデル試験並びに実証試験を行なってきた。その中で、ブロアのロータ葉数や仕様規格に基づく回転数或いは実測された回転数を用いて算出された音波長に関する理論値に実際の音波長が略一致することが確認できた。したがって、上記説明においては、軸長寸法を変更可能な枝管を用いてきたが、本発明は、軸長寸法が一定の枝管を利用した消音機構もその技術的範囲に含むものである。
【0051】
上記説明において、主に実施例として、2段式一体型のブロアを用いてきたが、本発明は、1段目ブロアと2段目ブロアを別体に配する構成や1段式ブロアを1体配する構成に対しても適用可能であり、本出願人は種々のブロア配管構成についても、上記と同様の試験を行い、本発明の有効性を確認している。本出願人による多数回の試験並びにシミュレーションにおいて、ブロアの種別によらず、音波放出口となり得る吸引口及び吐出口に音源を定義して数値計算モデルを作成し、これに基づき、音波の腹位置を見極めることにより、実際のブロア搭載車或いは定置型吸引装置に対して、効果的な消音を得られることが確認されている。
【0052】
図23は、様々な型式のブロアに対する数値計算モデルの一例を示す。図24(a)は、1段式ブロア(2)を配管中に一体配した時の数値計算モデル(10)のブロア(2)周囲の概略図であり、図24(b)は、1段式ブロア(2)を配管中に二体連接した時の数値計算モデル(10)を示す。
図24(a)に示す如く、1段式ブロア(2)を配管中に一体配した場合、音源(S21,S22)をブロア(2)の吸引口及び吐出口にそれぞれ定義することができる。
図24(b)に示す如く、1段式ブロア(2)を配管中に二体連接した場合、上流側に配された第1段目のブロア(2A)の吸引口に一の音源(S23)を定義し、第2段目のブロア(2B)の吐出口に他の音源(S24)を定義することができる。或いは、第1段目のブロア(2A)と第2段目のブロア(2B)を接続する管路の途中部に一の音源(S25)を定義し、第2段目のブロア(2B)の吐出口に他の音源(S24)を定義することができる。更には、音源(S23,S25,S24)を組み合わせて、数値計算モデルを作成してもよい。
本発明は、多種の配管構造に適用可能であることが実証されている。多種の配管構造に対して、数値計算モデル中において、最も適切な音源の設定が存在すると考えられるが、数値計算モデルの中の音源設定が最も適切なものでなくとも、図15に関連して説明した如く、実測値と数値計算モデルによるシミュレーション結果は、多くの部分で適合している。したがって、本発明では、ブロアに接続する先の処理装置を数値計算モデル中に含める限り、音源の設定に関して精度の高さは要求されず、使用者が最もよく音源の状態を表現していると考える音源を想定した音源設定を行なうことで、実際の騒音モデルをシミュレートし、消音作用を最大限化させるための枝管配置位置を決定可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、市街で行なわれる側溝清掃等の吸引作業に好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る吸引処理システムが有する空気排出機構の概略図である。
【図2】本発明に係る吸引処理システムが備える枝管の構造を示す図である。
【図3】本発明に係る枝管分岐位置を決定する方法のフローチャートである。
【図4】本発明に係る枝管分岐位置を決定する方法に用いられる3次元数値計算モデルの一例を示す図である。
【図5】本発明に係る枝管分岐位置を決定する方法に用いられる3次元数値計算モデルに用いられる音源パターンを説明する図である。
【図6】本発明に係る枝管分岐位置を決定する方法に用いられる3次元数値計算モデルを用いた数値計算の結果の一例を示すグラフである。
【図7】本発明に係る枝管分岐位置を決定する方法に用いられる3次元数値計算モデルを用いた数値計算の実行段階を説明する図である。
【図8】騒音レベル測定試験を説明する図である。
【図9】図8に示す測定試験の結果を示すグラフである。
【図10】2次元数値計算モデルの一例を示す図である。
【図11】3次元数値計算モデルと2次元数値計算モデルからの結果の相違を説明する図である。
【図12】3次元数値計算モデルと2次元数値計算モデルからの結果の相違を説明する図である。
【図13】図5に示す音源パターンと異なる音源パターンを説明する図である。
【図14】図5に示す音源パターンと異なる音源パターンを説明する図である。
【図15】異なる音源パターン間の数値計算結果の相違を説明するグラフである。
【図16】数値計算結果に基づき構築した空気排出機構の概略図である。
【図17】騒音レベル測定試験を説明する図である。
【図18】図16に示す空気排出機構の消音効果を説明するグラフである。
【図19】図16に示す空気排出機構の消音効果を説明するグラフである。
【図20】他の消音対策を更に施したときの消音効果を説明するグラフである。
【図21】本発明の変更形態の一例を示す図である。
【図22】本発明の変更形態の一例を示す図である。
【図23】様々な配管形態に対する本発明の適用例を示す図である。
【図24】従来のブロア搭載車に搭載される吸引処理システムの概略図である。
【符号の説明】
【0055】
1・・・・・空気排出機構
2・・・・・ブロア
3・・・・・3次キャッチャ
4・・・・・4次キャッチャ
5・・・・・主管路
6・・・・・枝管
61・・・・基端管
62・・・・末端管
623・・・反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるブロア本体と、
前記車両に搭載されるとともに所定の処理を行う処理装置と、
前記ブロア本体に一端部が接続するとともに他端部が前記処理装置と接続する主管路と、
前記主管路の途中部に設けられた分岐部に接続する枝管を備え、
前記枝管の先端部は、前記ブロア本体から発生する音波を反射する反射板により閉塞され、
前記分岐部から前記反射板の反射面までの距離が、前記音波の波長の1/4の長さであることを特徴とするブロア搭載車。
【請求項2】
前記枝管が、前記主管路側に位置する基端管と、該基端管に螺合接続する末端管からなり、
前記末端管の回転により、前記枝管の軸長寸法が変化することを特徴とする請求項1に記載のブロア搭載車。
【請求項3】
前記枝管の配設位置が、前記ブロア本体、前記処理装置、前記主管路からなる系に関する一の数値計算モデルを作成する段階と、
前記ブロア本体、前記処理装置、前記主管路及び前記枝管からなる系に関する他の数値計算モデルを複数作成する段階と、
前記一の数値計算モデルにおいて、前記ブロア本体を音源として、数値計算を実行し、音圧レベルを算出する段階と、
前記他の数値計算モデルそれぞれにおいて、前記ブロア本体を音源として、数値計算を実行し、音圧レベルを算出する段階と、
前記一の数値計算モデルと前記他の数値計算モデルから算出された音圧レベルの差分を算出する段階と、
前記音圧レベルの差分値を比較する段階を経て決定され、
前記他の数値計算モデルそれぞれの間で、前記分岐部の位置が異なり、
前記音圧レベルの差分値を比較する段階が、前記差分値の絶対値が最大となる数値計算モデルを前記複数の他の数値計算モデルの中から選択する段階を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のブロア搭載車。
【請求項4】
前記音源が、面音源であることを特徴とする請求項3記載のブロア搭載車。
【請求項5】
前記ブロア本体が、2段一体型のブロア本体或いは第1のブロアと第2のブロアを連接したブロア本体であって、
前記面音源が前記ブロア本体の第1段目と第2段目或いは前記第1のブロアと前記第2のブロアに定義され、
前記一対の面音源が同位相で振動することを特徴とする請求項4記載のブロア搭載車。
【請求項6】
前記数値計算モデルを用いた演算が、3次元境界要素解析であることを特徴とする請求項3乃至5いずれかに記載のブロア搭載車。
【請求項7】
前記処理装置が延長管を備え、
該延長管が、前記ブロアからの音波と前記処理装置の共鳴現象を防止することを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載のブロア搭載車。
【請求項8】
流体を吸引並びに吐出するブロア本体と、
所定の処理を行う処理装置と、
前記ブロア本体に一端部が接続するとともに他端部が前記処理装置と接続する主管路と、
前記主管路の途中部に設けられた分岐部に接続する枝管を備え、
前記枝管の先端部は、前記ブロア本体から発生する音波を反射する反射板により閉塞され、
前記分岐部から前記反射板の反射面までの距離が、前記音波の波長の1/4の長さであり、
前記枝管が、前記主管路側に位置する基端管と、該基端管に螺合接続する末端管からなり、
前記末端管の回転により、前記枝管の軸長寸法が変化し、
前記枝管の配設位置が、前記ブロア本体、前記処理装置、前記主管路からなる系に関する一の数値計算モデルを作成する段階と、
前記ブロア本体、前記処理装置、前記主管路及び前記枝管からなる系に関する他の数値計算モデルを複数作成する段階と、
前記一の数値計算モデルにおいて、前記ブロア本体を音源として、数値計算を実行し、音圧レベルを算出する段階と、
前記他の数値計算モデルそれぞれにおいて、前記ブロア本体を音源として、数値計算を実行し、音圧レベルを算出する段階と、
前記一の数値計算モデルと前記他の数値計算モデルから算出された音圧レベルの差分を算出する段階と、
前記音圧レベルの差分値を比較する段階を経て決定され、
前記他の数値計算モデルそれぞれの間で、前記分岐部の位置が異なり、
前記音圧レベルの差分値を比較する段階が、前記差分値の絶対値が最大となる数値計算モデルを前記複数の他の数値計算モデルの中から選択する段階を含むことを特徴とする定置型吸引装置。
【請求項9】
車両に搭載されるブロア本体と、
前記車両に搭載されるとともに所定の処理を行う処理装置と、
前記ブロア本体に一端部が接続するとともに他端部が前記処理装置と接続する主管路と、
該主管路に接続する枝管からなり、
前記主管路は、前記ブロア本体と接続する第1管と、前記処理装置と接続する第2管と、前記第1管と前記第2管を接続する接続管を備え、
前記接続管は、分岐部を備え、
前記枝管は、前記分岐部側に位置する基端管と、該基端管に螺合接続する末端管と、前記末端間先端部を閉塞するとともに前記ブロアから生ずる音波を反射する反射板を備え、
前記分岐部から前記反射板の反射面までの距離は、前記音波の波長の1/4の長さに等しく、
該接続管は、前記基端管に対して上流側及び下流側に蛇腹管部を備え、該基端管の前記主管路からの分岐位置を変位可能であることを特徴とするブロア搭載車。
【請求項10】
前記接続管のうち、前記接続管の一対の蛇腹管部の間の途中部に接続するシリンダを更に備え、
該シリンダのロッドの伸縮により、前記基端管の前記分岐位置が変位することを特徴とする請求項9記載のブロア搭載車。
【請求項11】
車両に搭載されるブロア本体と、
前記車両に搭載されるとともに所定の処理を行う処理装置と、
前記ブロア本体に一端部が接続するとともに他端部が前記処理装置と接続する主管路と、
前記主管路の途中部に設けられた分岐部に接続する枝管を備え、
前記枝管の先端部は、前記ブロア本体から発生する音波を反射する反射板により閉塞され、
前記分岐部から前記反射板の反射面までの距離が、前記ブロア本体のロータ葉数及び規格回転数により決定されることを特徴とするブロア搭載車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−13794(P2010−13794A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171754(P2008−171754)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000165343)兼松エンジニアリング株式会社 (23)
【Fターム(参考)】