説明

ブロックの製造方法及びブロック製造装置

【課題】縞模様を構成するべく層状をなす各原材の厚みが任意に変更設定でき、意匠的変化に富んだ縞模様を有するブロックを製造できるブロックの製造方法及びブロック製造装置を提供する。
【解決手段】ベルトコンベア16が各有色原材WR,WBを積層状態で搬送する際に、ならしプレート21は、上下方向に移動することにより、赤色原材貯留部14から落下排出された赤色原材WRにおける層の厚みを厚薄調整する。すなわち、ベルトコンベア16の終端部16bから給材箱18内に流下供給される赤色原材WRの供給量は、ならしプレート21によって増減調整される。そのため、給材箱18から各有色原材WR,WBを成型型枠内に落下充填してプレス成型した場合、成型されたブロックには意匠的変化に富んだ縞模様が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロックの製造方法及びブロック製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ブロック塀等に用いられるブロックの一種として、複数種類(例えば、色が異なる複数)の原材を成型型枠内へ層状をなすように給材してプレス成型することにより、ブロック全体に各原材による縞模様が形成されるようにしたブロックが知られている。このようなブロックは、例えば特許文献1に記載のブロック製造装置(以下、「従来製造装置」と示す)を使用して製造されている。
【0003】
すなわち、この従来製造装置には、複数種類の原材(ブロック成型用材料)を各別に落下排出可能に構成された複数のホッパが水平方向へ並設されており、当該各ホッパの下方には原材料搬送用の無端状のベルトコンベアが搬送面を水平方向に沿わせるようにして配置されている。また、ベルトコンベアの下方には、当該ベルトコンベアにおける搬送方向の終端部(反転部)の下方位置と成型型枠の上方位置との二位置間を水平方向へ往復移動する給材箱が設けられている。
【0004】
そして、前記ブロックの製造時には、回転駆動されたベルトコンベア上へ各ホッパから各原材が順次に落下排出され、ベルトコンベア上に積層状態とされた各原材が前記終端部(反転部)まで搬送され、当該終端部においてベルトコンベアが反転することにより給材箱内へ流下供給されるようになっている。その後、給材箱内の積層方向が横方向をなす各原材は、当該給材箱の水平移動により成型型枠の上方位置まで運ばれ、当該成型型枠内へ前記積層状態をある程度維持した状態で一気に落下給材された後、プレス成型されることにより各原材が縞模様をなすブロックとして製造されるようになっている。
【特許文献1】特開平9−76215号公報(図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、複数種類の原材により縞模様が形成されるブロックに関しては、当該ブロックの縞模様が意匠的変化に富んだ面白みのあるブロックが望まれている。特に、前記縞模様を構成するために層状をなす各原材の厚みが、その積層方向においてある程度規則性を有して夫々変化(厚薄が変化)するブロックが例えばブロック敷設時の美観向上の見地等から望まれている。
【0006】
ところが、従来製造装置では、一つのブロックを製造する過程において、各ホッパからベルトコンベア上に落下排出される各原材の単位時間当りにおける落下排出量が常にそれぞれ略同一量となっている。そのため、前記ブロックの縞模様は、当該縞模様を構成する各層(各原材)の厚みが積層方向において略同一の厚みとなるようにしか形成されなかった。従って、従来製造装置では、意匠的変化に乏しい縞模様のブロックしか製造できないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものである。その目的は、縞模様を構成するべく層状をなす各原材の厚みが任意に変更設定でき、意匠的変化に富んだ縞模様を有するブロックを製造できるブロックの製造方法及びブロック製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、ブロックの製造方法に係る請求項1に記載の発明は、複数種類の原材を原材搬送手段により積層状態で搬送し、前記各原材を成型型枠内へ層状をなすように給材してプレス成型することにより、ブロック全体に各原材による縞模様が形成されるようにするブロックの製造方法において、前記原材搬送手段により積層状態で搬送される各原材のうち少なくとも何れか一種類の原材における層の厚みを当該原材が最上層となっている搬送途中に当該原材の表面部分を刮げることにより厚薄調整し、前記成型型枠内へ層状をなして給材される各原材の層厚関係を相対的に調整する層厚調整工程を備えたことを要旨としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のブロックの製造方法において、前記層厚調整工程は、前記原材搬送手段において前記各原材を積層状態に載置して水平方向へ移動する搬送面上へ厚薄調整される原材が落下排出された直後に行われることを要旨としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のブロックの製造方法において、前記層厚調整工程では、前記原材搬送手段により積層状態で搬送される各原材のうち搬送方向の終端部に至ったときに最上層となる原材の表面部分が刮げられることを要旨としている。
【0011】
一方、ブロック製造装置に係る請求項4に記載の発明は、複数種類の原材を成型型枠内へ層状をなすように給材してプレス成型することにより、ブロック全体に各原材による縞模様が形成されるようにするブロック製造装置において、複数種類の原材を水平方向の複数位置で各別に落下排出可能に構成された原材供給手段と、前記原材供給手段の下方を水平方向へ移動する搬送面を有し、当該搬送面上に前記原材供給手段から各別に落下排出された各原材を積層状態にして搬送する原材搬送手段と、前記原材搬送手段における搬送面の移動経路上に設けられ、前記原材搬送手段により積層状態で搬送される各原材のうち何れか一種類の原材における層の厚みを当該原材が最上層となっている搬送途中に当該原材の表面部分を刮げて厚薄調整することにより、前記成型型枠内へ層状をなして給材される各原材の層厚関係を調整可能とする層厚調整手段とを備えたことを要旨としている。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のブロック製造装置において、前記層厚調整手段は、前記原材供給手段における原材の落下排出部から見て搬送方向下流側の直近位置に配置されていることを要旨としている。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載のブロック製造装置において、前記層厚調整手段は、前記原材供給手段が各原材毎に有する落下排出部のうち最も搬送方向下流側に位置する落下排出部と原材搬送手段における原材の搬送方向終端部との間に配置されていることを要旨としている。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項4〜請求項6のうち何れか一項に記載のブロック製造装置において、前記層厚調整手段は、前記原材搬送手段の搬送面上に落下排出された原材の表面を平面状に整えるためのならし部材であり、当該ならし部材は、その上下方向における位置が移動調節可能とされていることを要旨としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、縞模様を構成するべく層状をなす各原材の厚みが任意に変更設定でき、意匠的変化に富んだ縞模様を有するブロックを製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体化したブロックの製造方法及びブロック製造装置の一実施形態を図1〜図6に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態において製造されるブロック10は、その前側面10a、上側面10b、及び右側面10c等の各側面の形状が略長方形状をなす直方体に形成されている。また、前記ブロック10は、互いに色が異なる複数(本実施形態では2つ)の原材が層状をなして複数の層A,Bを形成することで、意匠的変化に富んだ縞模様を有するものとされている。前記各層A,Bのうち、ブロック10の長手方向における一方側(図1では左側)の層Aは、赤色の有色原材(以下、「赤色原材WR」と示す)により形成され、同じく他方側(図1では右側)の層Bは、青色の有色原材(以下、「青色原材WB」と示す)により形成されている。そして、前記各層A,Bの層厚関係については、前記一方側の層Aの厚みの方が前記他方側の層Bの厚みよりも薄くなるように、前記両層A,Bの厚みが略同一とされる通常の場合とは異なり、前記一方側の層Aの厚みが厚薄調整されている。
【0017】
次に、上記のブロック10を製造するためのブロック製造装置11について説明する。
図2に示すように、本実施形態のブロック製造装置11は、固定ホッパ(原材供給手段)12を備えている。前記固定ホッパ12には、その内部空間を仕切る仕切部材13が設けられており、当該仕切部材13を境として固定ホッパ12内には2つの原材貯留部14,15が形成されている。前記各原材貯留部14,15のうち一方側(図2では左側)の原材貯留部14には赤色原材WRが貯留され、他方側(図2では右側)の原材貯留部15には青色原材WBが貯留されている。
【0018】
前記固定ホッパ12の下端開口12aからは前記仕切部材13の下端部13aが突出しており、当該下端部13aを境として固定ホッパ12の下端開口12aには、前記各原材貯留部14,15内から各有色原材WR,WBを各別に落下排出可能な排出口(落下排出部)14a,15aが水平方向へ並設されている。そして、赤色原材WRは排出口14aから、青色原材WBは排出口15aから夫々下方に向けて落下排出されるようになっている。なお、図示はしないが、前記各排出口14a,15aには当該各排出口14a,15aを開放又は閉塞するための開閉扉が設けられている。また、以降の説明において、赤色原材WRが貯留された原材貯留部14を「赤色原材貯留部」、青色原材WBが貯留された原材貯留部15を「青色原材貯留部」と示すこともある。
【0019】
前記各原材貯留部14,15の下方には、原材料搬送用の無端状のベルトコンベア(原材搬送手段)16が搬送面16aを水平方向に沿わせるようにして配置されている。前記ベルトコンベア16は、各原材貯留部14,15の排出口14a,15aから落下排出された各有色原材WR,WBを色別(本実施形態では、青色と赤色)の積層状態にして載置し、当該積層状態を維持しつつ各有色原材WR,WBを水平方向へ搬送するようになっている。因みに、本実施形態のベルトコンベア16は、図2においてベルトコンベア16の上側に左方向を向く矢印で示すように、同図における右側が搬送方向の上流側となり、同図における左側が搬送方向の下流側となるように構成されている。
【0020】
前記ベルトコンベア16における搬送方向の終端部(図2における左端部)16bからみて斜め下方には、各有色原材WR,WBの給材を受けてブロック10を成型するための成型型枠(以下、「型枠」と示す)17が設けられている。また、この型枠17とベルトコンベア16との間には、給材箱18が配置されている。前記給材箱18は、図示しない駆動手段(例えば油圧シリンダ)の駆動力に基づき水平方向に移動可能とされており、ベルトコンベア16の終端部16bの下方位置(受取位置)と型枠17の上方位置(投入位置)との二位置間を進退移動するようになっている。
【0021】
前記型枠17は、平面視において四角環状をなす形態とされ、その上下両端部には前記ブロック10の上側面10b(及び下側面)と同一形状をなす開口部17a、17bが形成されている。また、型枠17の下方には、当該型枠17の下端面に当接することで前記下側の開口部17bを閉塞可能なパレット19が図示しない昇降テーブルを介して昇降自在に支持されている。また、図示はしないが、前記給材箱18は、上下両端部が開口された略四角環状の形態をなしている。すなわち、給材箱18は、前記受取位置でベルトコンベア16の終端部16bから落下する各有色原材WR,WBを上側の開口部から受け入れる一方、その受け入れた各有色原材WR,WBを前記投入位置で下側の開口部から前記型枠17内へ投入し得る構成とされている。
【0022】
また、前記型枠17の上方には、図示しない駆動装置の駆動力に基づき上下方向に移動するプレス型20が設けられている。プレス型20の下部は、型枠17内へブロック10を成型するために投入充填された有色原材WR,WBへの加圧が可能となるように、型枠17における上側の開口部17aへ嵌入可能な形状に形成されている。すなわち、前記プレス型20は、その下部が型枠17内へ嵌入されることにより当該型枠17内に投入充填された各有色原材WR,WBを上方からプレスするプレス位置と、このプレス位置から上方へ退避した退避位置(図2に示す位置)との二位置間を上下移動可能に設けられている。
【0023】
本実施形態では、前記仕切部材13の下端部13aが青色原材貯留部15の排出口15aからベルトコンベア16の搬送面16a上に落下排出された青色原材WBの表面部分に接触することにより、当該青色原材WBの表面を平面状に整えるようになっている。一方、前記固定ホッパ12において筒状をなす下端部の外側面のうち前記赤色原材貯留部14の排出口14aから見て搬送方向下流側の直近位置となる外側面には、ならし部材としてのならしプレート(「カットゲート」ともいう)21が配設されている。このならしプレート21は、矩形板状をなしており、その下端部21aが排出口14aからベルトコンベア16の青色原材WB上に落下排出された赤色原材WRの表面部分に接触することにより、各有色原材WR,WBの積層状態を維持しつつ赤色原材WRの表面を平面状に整えるようになっている。なお、前記仕切部材13の下端部13a及びならしプレート21は、前記ベルトコンベア16の搬送面16aの移動経路上に、仕切部材13の下端部13aが上流側に位置し、ならしプレート21が前記搬送方向下流側に位置するように配置されている。
【0024】
また、前記ならしプレート21は、図示しない駆動手段により前記固定ホッパ12の下端部の外側面に沿って移動させられるようになっている。すなわち、ならしプレート21は、図3(a)(b)(c)に示すように、その上下方向における位置が移動調節可能に構成されている。そして、前記ならしプレート21は、移動調節された各位置において、赤色原材貯留部14からベルトコンベア16に落下排出されて青色原材WB上に積層される赤色原材WRにおける層の厚みを厚薄調整するようになっている。なお、図3(a)ではならしプレート21が最下方位置に、図3(b)ではならしプレート21が最下方位置より上方の中間位置に、図3(c)ではならしプレート21が中間位置より更に上方の最上方位置に夫々位置する場合を示している。
【0025】
前記ならしプレート21は、最下方位置に位置する場合、ベルトコンベア16上において青色原材WB上に積層される赤色原材WRにおける層の厚みを当該青色原材WBにおける層の厚みより薄くするようになっている(図3(a)参照)。また、ならしプレート21は、中間位置に位置する場合、前記赤色原材WRにおける層の厚みを前記青色原材WBにおける層の厚みと略同一にするようになっている(図3(b)参照)。また、ならしプレート21は、最上方位置に位置する場合、前記赤色原材WRにおける層の厚みを前記青色原材WBにおける層の厚みより厚くするようになっている。従って、本実施形態では、ならしプレート21が、ベルトコンベア(原材搬送手段)16により積層状態で搬送される各有色原材WR,WBのうち何れか一種類の原材(赤色原材WR)における層の厚みを搬送途中に当該原材の表面部分を刮げる(「こそげる」と読む)ことにより厚薄調整する層厚調整手段として機能するようになっている。
【0026】
本実施形態のブロック製造装置11には、図示しない制御装置が設けられており、当該制御装置は、前記ならしプレート21の上下方向への移動等を制御するようになっている。また、制御装置には、ならしプレート21の位置を移動調節して各原材の層厚関係を制御する際に選択使用するための複数の調整パターンを記憶保持する記憶手段(例えばRAM)が設けられている。さらに、本実施形態のブロック製造装置11には、外部からの操作に基づき各調整パターンのうち一つの調整パターンを選択する操作パネル(図示略)が設けられている。そして、制御装置は、操作パネルの操作により選択された調整パターンに基づきならしプレート21の上下方向における位置を移動調節するようになっている。
【0027】
そこで次に、本実施形態のブロック製造装置11を用いたブロック10の製造工程について説明する。なお、操作パネルの操作により選択された調整パターンは、ならしプレート21を図3(a)に示す最下方位置に移動させるパターンであったものとする。
【0028】
まず、ブロック製造装置11の図示しない作動スイッチが操作されると、図2に示すように、型枠17の下方からパレット19が上昇して、型枠17の下側の開口部17bを閉塞する。また、ベルトコンベア16が図2に示す矢印方向に向けて回転駆動され、各有色原材WR,WBの搬送工程が開始する。さらに、搬送工程の開始に伴い、給材箱18が前記受取位置で待機状態となり、ならしプレート21は図3(a)に示す最下方位置で待機状態となる。
【0029】
すると、各原材貯留部14,15から夫々各有色原材WR,WBがベルトコンベア16の搬送面16aに向けて順時落下排出され、当該ベルトコンベア16上において青色原材WBの層の上に赤色原材WRの層が積層される。そして、以後、各有色原材WR,WBの層厚調整工程が開始される。まず、仕切部材13の下端部13aは、ベルトコンベア16の搬送面16a上に落下排出された青色原材WBの表面を平面状に整えると共に、当該青色原材WBにおける層の厚みを一定の厚みに保持する。
【0030】
一方、ならしプレート21は、図3(a)に示す最下方位置にあって、ベルトコンベア16上に積層された各有色原材WR,WBのうちベルトコンベア16による搬送方向の最も下流側の赤色原材貯留部14から落下排出された赤色原材WRの表面を平面状に整える。具体的には、赤色原材WRの表面部分を図3(b)に示す中間位置や図3(c)に示す最上方位置にある場合よりも深く刮げることにより最上層となっている赤色原材WRの層の厚みを厚薄(この場合は薄く)調整する。すると、図4に示すように、ベルトコンベア16の搬送面16a上に積層状態とされた赤色原材WRと青色原材WBとは、両層の層厚関係が、搬送方向の終端部16bに至る途中で、赤色原材WRの層の厚み<青色原材WBの層の厚みとなるようにされる。
【0031】
そして次に、積層状態にある各有色原材WR,WBは、ベルトコンベア16の終端部16bにまで至ると、当該終端部16bから層状をなして給材箱18内に流下供給されて、給材工程に移行する。なお、給材箱18内に流下供給された各有色原材WR,WBの積層方向は横方向になる。そして、給材工程では、図5に示すように、受取位置にて待機状態にある給材箱18が投入位置(型枠17の上方位置)まで水平移動する。すると、給材箱18内の各有色原材WR,WBは、積層状態をある程度維持した状態で型枠17内に投入充填(給材)される。その後、前記投入位置において型枠17内への原材投入を完了した給材箱18が再び受取位置に向けて水平移動すると、成型工程が開始される。
【0032】
成型工程では、プレス型20が上方の退避位置からプレス位置に向けて下降して、当該プレス型20が型枠17内にて各有色原材WR,WBをプレス加工する。そして次に、図6に示すように、前記プレス型20が退避位置に向けて上昇する一方、型枠17の下端からパレット19が下方へ離間する。すると、パレット19上には図1に示すブロック10が一つ形成された状態で脱型される。すなわち、赤色原材WRにより形成された層Aの厚みが薄く、青色原材WBにより形成された層Bの厚みが厚くなるように、各原材WR,WBの層厚関係が通常の場合(両層の厚みが略同一)とは異なるように調整されたブロック10が脱型される。但し、積層状態の各有色原材WR,WBがベルトコンベア16から給材箱18内に落下した際の当該各有色原材WR,WBの積層状態に対応して、各層A,Bの厚みが下方から上方に向けて次第に変化する(例えば、層Aの厚みが次第に広くなる)ようなブロック10が製造されることもある。
【0033】
そして、以上のような各工程を経て製造されたブロック10を長時間(例えば24時間)かけて完全に乾燥硬化させ、パレット19から外して使用可能なブロック10を完成させることができる。一方、型枠17の下側の開口部17bを閉塞するように新たなパレット19を設置すれば、続けて後続のブロック10の製造が可能となる。すなわち、前記各工程(搬送工程、層厚調整工程、給材工程、成型工程)が繰り返し連続実行される。
【0034】
従って、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)ベルトコンベア(原材搬送手段)16により積層状態で搬送される各有色原材WR,WBについて、当該原材WR(又は原材WB)が最上層となっている搬送途中に表面部分をならしプレート21で刮げることで、当該原材WR(又は原材WB)の層の厚みを厚薄調整できる。そのため、型枠(成型型枠)17内に層状をなして給材される各有色原材WR,WBの層厚関係を相対的に調整できる。従って、縞模様を構成するべく層状をなす各有色原材WR,WBの厚みが任意に変更設定でき、意匠的変化に富んだ縞模様を有するブロック10を製造できる。
【0035】
(2)ならしプレート(層厚調整手段)21は、固定ホッパ12の外側面のうち赤色原材貯留部14の排出口(落下排出部)14aから見て搬送方向下流側の直近位置となる外側面部位に設けられている。そのため、たとえベルトコンベア16における搬送方向の終端部16bが赤色原材貯留部14の排出口(落下排出部)14aから短い距離をおいて位置する小型のベルトコンベア16の場合にも、前記ならしプレート21による層厚調整機能を確保することができる。
【0036】
(3)ならしプレート(層厚調整手段)21は、ベルトコンベア(原材搬送手段)16により積層状態で搬送される各有色原材WR,WBのうち搬送方向の終端部16bに至ったときに最上層となる赤色原材WRの表面部分を刮げることにより、当該赤色原材WRにおける層の厚みを厚薄調整する。ここで、前記搬送方向上流側の青色原材貯留部15から落下排出される青色原材WBにおける層の厚みを厚薄調整しようとする場合には、当該青色原材WBにおける層の厚みを厚薄調整するためのならしプレートを仕切部材13に沿って上下移動可能に設ける必要がある。ところが、このような可動ならしプレートを仕切部材13に設置することは、当該仕切部材13における構成の複雑化を招く可能性があった。
【0037】
また、前記仕切部材13に可動ならしプレートを付設する代わりに、各有色原材WR,WBを別々に貯留する2つの固定ホッパを設け、青色原材WBが貯留された固定ホッパの一外側面に可動ならしプレートを設置するということも考えられる。しかし、この場合には、2つの固定ホッパを設けることによるブロック製造装置11のコスト増加という問題があった。この点において、上記実施形態では、前記搬送方向下流側に配置された赤色原材貯留部14から落下排出された赤色原材WRにおける層の厚みを厚薄調整する構成にしたことで、その内部を仕切部材13で仕切られた固定ホッパ12を1つ設けるだけで各有色原材WR,WBを夫々貯留できる。従って、固定ホッパ12の増設に基づくブロック製造装置11における部品点数の増加及びコストの増加を回避できる。
【0038】
(4)ならしプレート21は、ベルトコンベア(原材搬送手段)16により搬送される赤色原材WRの表面を平面状に整えるならし部材としてのならし機能、及び当該赤色原材WRの表面部分を刮げて層の厚みを厚薄調整する層厚調整手段としての層厚調整機能を併有している。従って、ならしプレート21という単一部材により複数機能を発揮させることができ、部品点数の増加及びコストの増加を回避しつつ高機能なブロック製造装置11を提供できる。
【0039】
(5)また、仕切部材13の下端部13aがベルトコンベア16上に落下排出された青色原材WBの表面部分に接触することにより、当該青色原材WBの表面を平面状に整えることができる。従って、前記青色原材WBの表面を平面状に整えるためのならしプレートを別途設けることによるブロック製造装置11における部品点数の増加及びコストの増加を回避できる。
【0040】
なお、本実施形態は以下のような別の実施形態(別例)に変更してもよい。
・前記実施形態において、ベルトコンベア16上で青色原材WBの層上に積層された赤色原材WRにおける層の表面を平面状に整えるならし部材と、前記赤色原材WRにおける層の厚みを厚薄調整する層厚調整手段とを別々に設ける構成にしてもよい。ただし、この場合において、前記ならし部材は、ベルトコンベア16の上方であって、層厚調整手段よりも各有色原材WR,WBの搬送方向下流側に配置することが望ましい。
【0041】
・前記実施形態において、各原材貯留部14,15のうち各有色原材WR,WBの搬送方向上流側に配置された青色原材貯留部15から落下排出された青色原材WBにおける層の厚みを、当該青色原材WBにおける層が最上層である間に厚薄調整するようにしてもよい。この場合、図7に示すように、2つの固定ホッパ12を水平方向に並設して、当該各固定ホッパ12のうち一方側(図7では左側)の固定ホッパ12には赤色原材WRを貯留し、他方側(図7では右側)の固定ホッパ12には青色原材WBを貯留する。そして、前記他方側の固定ホッパ12の一外側面(図7では左外側面)に、ならしプレート30を上下移動可能に配設することが望ましい。
【0042】
また、この場合において、前記一方側の固定ホッパ12の一外側面には、層厚調整機能を有しないならしプレート31を配設してもよい。このように構成すると、ならしプレート30により青色原材WBにおける層の厚みを薄くしたとしても、赤色原材WRにおける層の厚みは、ならしプレート31が動作しないため、青色原材WBにおける層の厚みが薄くなった分だけ厚くなることになる。従って、青色原材WBの層及び赤色原材WRの層の厚みを夫々相対的に層厚調整することにより、給材箱18(型枠17)内に給材される各有色原材WR,WBの合計の給材量を一定量に保つことができる。
【0043】
・前記実施形態において、ならしプレート21は、ベルトコンベア16の上方であって、固定ホッパ12より各有色原材WR,WBの搬送方向下流側に離れた位置に配置してもよい。すなわち、ならしプレート21は、必ずしも赤色原材貯留部14の排出口14aの直近位置でなくてもよい。
【0044】
・前記実施形態において、層厚調整工程では、ならしプレート21が上下移動しながらベルトコンベア16上の赤色原材WRにおける層の厚みを厚薄調整することにより、図8(a)に示すような縞模様を構成する各層A,Bの厚みが上下方向において変化したブロック10を製造するようにしてもよい。
【0045】
この場合、ならしプレート21は、ベルトコンベア16の搬送面16aの移動に伴い最下方位置から最上方位置へと上昇移動する。すると、図8(b)に示すように、ベルトコンベア16上に積層された各有色原材WR,WBのうち、上昇移動するならしプレート21で表面部分を刮げられる最上層の赤色原材WRの層の厚みは、搬送方向の上流側から下流側にかけて次第に薄くなる。その後、成型型枠17内に層状をなして給材されると、図8(a)に示すブロック10が成型される。
【0046】
・前記実施形態において、ブロック10は、任意数(例えば3色以上)の有色原材から製造されるようにしてもよい。この場合では、更に意匠的変化に富んだブロック10を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施形態のブロック製造装置によって製造されるブロックを示す斜視図。
【図2】本実施形態におけるブロック製造装置の概略を示す正面図。
【図3】(a)はならしプレートが最下方位置に位置する場合を示す説明図、(b)はならしプレートが中間位置に位置する場合を示す説明図、(c)はならしプレートが最上方位置に位置する場合を示す説明図。
【図4】層厚調整工程、搬送工程及び給材工程を示す説明図。
【図5】給材工程を示す説明図。
【図6】脱型工程を示す説明図。
【図7】別例のブロック製造装置の概略を示す正面図。
【図8】(a)は、別例のブロックを示す斜視図、(b)は別例のブロックを製造する際の層厚調整工程、搬送工程及び給材工程を示す説明図。
【符号の説明】
【0048】
10…ブロック、11…ブロック製造装置、12…固定ホッパ(原材供給手段)、14…赤色原材貯留部(原材貯留部)、15…青色原材貯留部(原材貯留部)、14a,15a…排出口(落下排出部)、16…ベルトコンベア(原材搬送手段)、16a…搬送面、16b…終端部、17…成型型枠、21,30…ならしプレート(層厚調整手段、ならし部材)、31…ならしプレート(ならし部材)、A,B…層、WB…青色原材(有色原材)、WR…赤色原材(有色原材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の原材を原材搬送手段により積層状態で搬送し、前記各原材を成型型枠内へ層状をなすように給材してプレス成型することにより、ブロック全体に各原材による縞模様が形成されるようにするブロックの製造方法において、
前記原材搬送手段により積層状態で搬送される各原材のうち少なくとも何れか一種類の原材における層の厚みを当該原材が最上層となっている搬送途中に当該原材の表面部分を刮げることにより厚薄調整し、前記成型型枠内へ層状をなして給材される各原材の層厚関係を相対的に調整する層厚調整工程を備えたブロックの製造方法。
【請求項2】
前記層厚調整工程は、前記原材搬送手段において前記各原材を積層状態に載置して水平方向へ移動する搬送面上へ厚薄調整される原材が落下排出された直後に行われる請求項1に記載のブロックの製造方法。
【請求項3】
前記層厚調整工程では、前記原材搬送手段により積層状態で搬送される各原材のうち搬送方向の終端部に至ったときに最上層となる原材の表面部分が刮げられる請求項1又は請求項2に記載のブロックの製造方法。
【請求項4】
複数種類の原材を成型型枠内へ層状をなすように給材してプレス成型することにより、ブロック全体に各原材による縞模様が形成されるようにするブロック製造装置において、
複数種類の原材を水平方向の複数位置で各別に落下排出可能に構成された原材供給手段と、
前記原材供給手段の下方を水平方向へ移動する搬送面を有し、当該搬送面上に前記原材供給手段から各別に落下排出された各原材を積層状態にして搬送する原材搬送手段と、
前記原材搬送手段における搬送面の移動経路上に設けられ、前記原材搬送手段により積層状態で搬送される各原材のうち何れか一種類の原材における層の厚みを当該原材が最上層となっている搬送途中に当該原材の表面部分を刮げて厚薄調整することにより、前記成型型枠内へ層状をなして給材される各原材の層厚関係を調整可能とする層厚調整手段とを備えたブロック製造装置。
【請求項5】
前記層厚調整手段は、前記原材供給手段における原材の落下排出部から見て搬送方向下流側の直近位置に配置されている請求項4に記載のブロック製造装置。
【請求項6】
前記層厚調整手段は、前記原材供給手段が各原材毎に有する落下排出部のうち最も搬送方向下流側に位置する落下排出部と原材搬送手段における原材の搬送方向終端部との間に配置されている請求項4又は請求項5に記載のブロック製造装置。
【請求項7】
前記層厚調整手段は、前記原材搬送手段の搬送面上に落下排出された原材の表面を平面状に整えるためのならし部材であり、当該ならし部材は、その上下方向における位置が移動調節可能とされている請求項4〜請求項6のうち何れか一項に記載のブロック製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−7719(P2006−7719A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191777(P2004−191777)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(593113569)株式会社ユニソン (11)
【Fターム(参考)】