説明

ブロック共重合体から製造した繊維

本発明は、ビニル芳香族単量体から生じたブロックを少なくとも2ブロックとアルキル置換共役アルケン単量体から生じたブロックを少なくとも1ブロック含んで成るスチレン系ブロック共重合体を少なくとも一部分用いて生じさせた組成物、例えば繊維、弾性ヤーン、織布、不織布、編布、細かい網および製品などに関し、ここでは、その生じたブロックの残存不飽和が繊維成形中に熱で架橋することがないか或はその度合が有意に最低限になるように、前記共役アルケンから生じるブロックに充分な置換を持たせてもよい。加うるに、本組成物は、秩序−無秩序転移(ODT)温度が例えば約280℃未満であるならば如何なる添加剤も添加する必要なく加工可能であると述べることができる。

【発明の詳細な説明】
【関連分野の相互参照】
【0001】
本出願は、2003年7月9日付けで出願した仮出願連続番号60/485,481(引用することによって本明細書に組み入れられる)の優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、ビニル芳香族単量体から生じたブロックを少なくとも2ブロックと共役アルケン単量体から生じたブロックを少なくとも1ブロック含んで成るスチレン系ブロック共重合体(SBC)組成物を少なくともある程度用いて生じさせた組成物:繊維、弾性ヤーン、織布、不織布、編布、細かい網および製品ばかりでなく前記組成物の製造方法およびそれの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
いろいろな使い捨ておよび耐久性製品、例えば失禁用パッド、使い捨ておむつ、トレーニングパンツ、スポーツ用衣服、一般用衣服およびいす張りなどの製造で優れた伸縮性および弾性を示す材料が求められている。
【0004】
使い捨て製品は、典型的に、重合体フィルム、繊維、シートおよび吸収材の組み合わせばかりでなく加工技術の組み合わせを用いて作られた弾性複合材料である。そのような繊維の製造は良く知られた押出し加工/紡糸工程、例えばスパンボンド加工(spun bonding)、メルトブロー加工(melt blowing)、溶融紡糸および連続フィラメント巻き取り技術などを用いて行われる一方、フィルムおよびシートの成形方法は、典型的に、公知のバルク押出し加工および共押出し加工技術、例えばブローンフィルム、キャストフィルム、プロファイル押出し加工、射出成形、押出し加工被覆および押出し加工シート成形などを伴う。
【0005】
ブロック重合体、特にスチレン系ブロック共重合体(SBC)は、一般に、固体状態で優れた弾性能属性を示すゴム弾性材料である。しかしながら、最も一般的な不飽和ブロック共重合体であるスチレン−ブタジエン−スチレントリブロック重合体(SBS)は劣った熱安定性を示し、特に溶融状態の時に劣った熱安定性を示す傾向がある。加うるに、SBS重合体は、この材料を織物もしくは不織布用ダイスの微細な穴に商業的な速度またはドローダウン(draw−downs)で通す時に要する温度で架橋を起こすことが理由で容易にゲルを形成する。その上、SBS重合体に延伸を繊維としてそれらが示す架橋温度未満の温度で商業的に実行可能なレベルで受けさせるのは不可能である、と言うのは、そのような繊維は延性を示すか或はメルトフラクチャー(melt fracture)を起こすからである。
【0006】
公知の部分水添(即ち部分飽和)スチレンブロック共重合体(例えばShell Chemical Companyが以前に供給していて現在はKraton Corp.が販売しているKRATON Gブロック共重合体)およびSepton(Kurarayが販売)も同様に、純粋な状態では、それに溶融加工および延伸を受けさせて繊維にするのは困難である。実際、実質的に混ぜ物無しの部分水添(即ち部分不飽和)ブロック重合体を用いて微細デニールの繊維[即ち40デニール、即ち直径が78ミクロン(1ミクロン=10−6m)に等しいか或はそれ以下]または薄フィルム(即ち2ミルに等しいか或はそれ以下)を商業的加工速度で製造するのは一般に不可能である。部分水添ブロック共重合体に特徴的な溶融加工および延伸の困難さを克服する目的で、通常は、それをいろいろな添加剤、例えば油、蝋および粘着付与剤などと配合することが行われる。しかしながら、良好な溶融加工性および延伸性を達成しようとすると、典型的には、低分子量の添加
剤を非常に高濃度で用いる必要がある。低分子量の添加剤をそのように高濃度で用いると強度および弾性が危うくなる傾向がある。加うるに、そのような重合体を製造する時に必要な水添工程によってさらなる費用が有意に加わってしまう。
【0007】
特に織物紡糸、スパンボンドまたはメルトブローン技術を用いて製造された低コストの材料は商業的にまだ存在しない。本発明者らは、良好な特性を有する安価なゴム弾性材料および商業的速度で実施可能な商業的方法が得られたならばそれは有利であろうと認識した。
【発明の開示】
【0008】
(発明の要約)
我々は、ビニル芳香族単量体から生じたブロックを少なくとも2ブロックと共役アルケン単量体から生じたブロックを少なくとも1ブロック含んで成る特定の共重合体が驚くべきことに溶融延伸性(melt drawability)および繊維加工性を示すと同時にそれから製造した繊維が強度特性を保持しているか或は向上した強度特性を示すことを見いだした。そのような共重合体(水添を受けさせていない)をスチレン系ブロック共重合体と呼ぶこともあり得る。即ち、本発明のスチレン系ブロック共重合体は、スチレン系単量体とアルキレン単量体の重合の直接的結果であり、重合後に水添によるさらなる処理を受けていない。その上、そのような材料は水添ブロック重合体よりも安価である。
【0009】
我々は、また、そのような共重合体を便利に用いて添加剤、例えば加工助剤、油、蝋、ポリオレフィンおよび粘着付与剤などを多量に用いる必要なく向上した弾性のある使い捨ておよび耐久品を製造することができることも見いだした。従って、本発明を実施する時、望まれるならば、加工助剤、油、蝋、ポリオレフィンおよび/または粘着付与剤を排除してもよい。
【0010】
本発明は、更に、超極細繊維を商業的生産速度で生産するに適したSBC材料を決定する選択判断基準にも関する。その選択判断基準は、小体積のプラーク(plaques)を圧縮成形しそしてそれを動的機械的分光法(ARES、以下に記述)で分析することで得た測定値が基になっている。そのような選択判断基準を用いることで、請求する方法で紡糸されないと予想されるいくつかの材料を実際に紡糸(重合体をかなりの体積で必要としかつ時間を要する可能性がある)することなくそれを削除することが可能になる。そのような判断基準は下記である:
1. 秩序/無秩序転移(ODT)開始温度が280℃未満である。[ここで、ODT開始は、温度に伴って損失正接(またtanデルタとしても知られる)(G”/G’)が通常は突然に有意に上昇することで決定および確認され、通常は125℃を超える温度で容易に識別可能である(この方法では、スチレン系ブロックのTである100℃から125℃の範囲でODTを決定するのは困難である。)]ODT開始温度を測定する試験は良く知られた試験である。それは極性損失(polarization−loss)測定[N.P.Balsara、D.Perahia、C.R.Safinya、M.TirrellおよびT.P.Lodge、Macromolecules、25、3896(1992)(引用することによって本明細書に組み入れられる)]でも同等に測定可能である。
2. せん断弾性係数(shear modulus)(G’)も損失弾性係数(loss modulus)(G”)もODTより高い温度から290℃の温度で単調には上昇しない。
【0011】
前記試験の両方に合格するそのような材料は、商業的押出し加工装置、例えば織物紡糸ライン(spinlines)またはスパンボンドまたはメルトブローンシステムなどを商業的に実行可能な処理量(>0.1g/穴/分)および高い繊維延伸速度(>300m
/分)で作動させた時に、SBCではない混合材料、種々雑多な添加剤、加工助剤、充填材または着色剤を50%以下の量で用いるか或は用いないで、良好に機能すると期待される。
【0012】
理論で範囲を限定することを望むものでないが、判断基準1に関して、SBC材料が商業的紡糸速度で紡糸可能であるには、その溶融物は非晶質またはほぼ非晶質であるべきである。それを達成するには、当該材料をODT開始点より高い温度にある時間加熱する必要がある。その時間は、常規実験で容易に決定可能であるように、当該材料が秩序状態から無秩序状態に変化するに要するエネルギー、工程の温度プロファイルおよびせん断の関数である。当該材料が如何なる有意な劣化(これによって当該材料が架橋を起こすか或は分子量の損失が弾性の有意な低下が生じるほど起こってしまう)も起こさないようにするのが有利である。
【0013】
判断基準2に関して、温度に伴ってG’および/またはG”が単調に上昇することは、架橋またはゲル化が起こったことの指標である。当該材料が示す引張り応力が低い、即ち〜1000ダイン/cmの時の温度では、G’およびG”はノイジー(noizy)または抵抗(resister)さえ示す負の(非現実的)値を取る傾向があるが、しかしながら、そのような条件下でさえ、温度に伴って引張り応力値が単調に上昇することが見られる(存在する場合)。もしそれが加工温度近く、特に加工温度の±30℃以内で起こると、そのような材料を微細な毛細管に通す紡糸を商業的速度で実施するのは不可能になるであろう。これは一般に230℃以上の時にSBSに当てはまるが、SISには当てはまらず、従って、大部分のSIS材料は本発明の実施で使用可能であるが、大部分のSBS材料は使用不可である。
【0014】
本発明の1つの面は、ビニル芳香族単量体から生じたブロックを少なくとも2ブロックと共役アルケン単量体から生じたブロックを少なくとも1ブロック含んで成る共重合体を含有させた組成物から生じさせた繊維である。加工温度、通常は200から280℃の範囲の温度の熱で有意な架橋が起こらないように、本共重合体に共役アルケンブロックを含有させる。「熱で架橋が起こらない」と述べることは加工に悪影響を与える架橋が感知できるほどには起こらないことを意味すると理解されるべきである。理論で範囲を限定することを望むものでないが、ビニル含有量(例えばイソプレン重合では1,2および/または3,4結合)の量を制限しそして/またはシス/トランス不飽和を整えそして/または架橋反応を妨害する立体基を含有させると軟質ブロックが起こす架橋が低下すると考えている。
【0015】
本発明に従って製造可能な組成物を製造する時、また、SBCの如何なる混合物もこの混合物が前記選択判断基準に従う限り用いることができ、そのようなSBCには、ジブロック、低Mの水添粘着付与剤、より高級なブロック、非対称ブロック、先細(tapered)ブロックおよび星形ブロックが含まれる。
【0016】
本発明の別の態様では、本繊維を製造する時に用いる組成物に、本共重合体を含有させかつ追加的に他の少なくとも1種の材料、例えばポリエチレンまたは他のポリオレフィン重合体または蝋、フルオロポリマーまたは他の繊維加工助剤、鉱油またはポリシロキサンなども結果として得る組成物の総重量の約50%未満の量で含有させてもよい。
【0017】
その上、本発明を実施する時に添加剤、例えば抗酸化剤、ラジカル捕捉剤、アミン、紫外線防止剤、着色剤、充填材、粘着防止剤、スリップ剤、光沢修飾剤など、およびこれらの組み合わせを用いることも可能である。そのような添加剤を存在させる場合、各添加剤の使用量を典型的に約5重量パーセント未満にする。
【0018】
驚くべきことに、立体障害鎖を有する非水添軟質ブロック(共役アルケン単量体に由来するブロック)を有するブロック共重合体は、不飽和状態であっても、成功裏に溶融延伸(微細なデニールの繊維に溶融紡糸を包含)可能であることを見いだした[立体障害鎖を持たない比較ブロック重合体(例えばSBSトリブロック共重合体の中のブタジエンブロック)は溶融延伸も繊維を生じさせる溶融紡糸も不可能である]。1つの態様では、本繊維の直径を約450ミクロン未満にする。他の態様では、本繊維の直径を約400ミクロン未満、約200ミクロン未満、または100ミクロン未満にすることも可能である。この見いだしたことは、そのようなブロック共重合体が加工温度(通常はそれが示すODTより30℃以上高い温度)で驚くべきほど低いせん断溶融粘度(shear melt viscosities)を示すことに起因すると考えている。理論で範囲を限定することを望むものでないが、SIS様重合体の利点はまた温度が高い時に架橋を起こすのではなくむしろ鎖切断で減成を起こす傾向があることに由来するとも考えている。鎖切断は架橋よりも有害でなく、その度合が低いならば紡糸にとって有利であり得る。重合体は温度がODT開始点より高いと溶融して非晶質(無秩序)状態になることから、高温時の加工能力が最も重要である。材料に秩序が残存していると、それに延伸を高い速度(>300m/分)で受けさせた時にもたらされる繊維は延性的に不合格である(破壊を起こす)傾向がある。比較として、同様な分子量を有する重合ブロック材料、例えばSBSなどは有意な架橋を示し、それによって、必要な加工温度で繊維を紡糸することができないか、或は加工可能であるとしても、架橋開始温度より低い温度であり、その結果として、延伸性が劣りかつ微細な繊維として紡糸するのが不可能な溶融物がもたらされてしまう。加うるに、その種類の通常の水添種(SBSに水添を受けさせるとSEBSとして知られるブロック共重合体が生じる)は架橋を起こすと言った欠点を持たないが添加剤を多量に用いないと延伸を繊維として容易に受けさせるのは不可能であることは良く知られている。
【0019】
決定的な繊維特性は、スチレン含有量、M、ODTおよびブロック構造の関数である。しかしながら、本発明の明細書の範囲内の組成物(本発明の明細書の範囲内のブロックで構成させた)は全部が商業的紡糸速度で商業的デニールの繊維に紡糸可能である。
【0020】
紡糸性の選択判断基準は、本特許に挙げるように、特にSBCゴム弾性体含有量が高い時(繊維総重量の>80%の時)に最も高い材料性能が要求される最も厳しい工程(スパンボンド)を目的にしたものである。SBCゴム弾性体の量を少なくするならば前記選択判断基準から外れたSBCを用いて他の超微細繊維紡糸工程を実施することも超微細繊維を紡糸することも可能であろう。
【0021】
有利には、本発明の共重合体を用いてコンジュゲートフィラメント(conjugate filaments)(例えば2成分繊維)で出来ているウエブ(webs)を製造することができ、それを予想外に2番目(ブロック共重合体ではない)の成分が示す通常の結合点(bonding point)より実質的に低い温度の熱で点結合(thermal point bonded)させることができることを見いだした。そのような温度は一般に通常の結合温度より少なくとも20℃低い温度である。1つの態様における温度は通常の結合温度より少なくとも40℃低い温度である。前記コンジュゲート繊維の一例は、SISまたはSISISとポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレンまたはこれらの組み合わせから作られた2成分繊維であり、この繊維では、前記ポリオレフィンが前記繊維の表面の少なくとも一部を占めている。驚くべきことに、そのような2成分繊維のオーバーレイドウエブ(overlaid webs)[このウエブが個別のロールに由来するか或は同じロールに由来するかに拘わらず]を単に人の指の爪による圧力を用いて結合させることで包み込みが解かれないようにすることができることを見いだした。
【0022】
前記を鑑み、本発明は、1つの幅広い面において、1種以上のブロック共重合体を50
から100重量%含んで成る組成物から製造した繊維であり、ここで、前記非水添ブロック共重合体の中の少なくとも1種は、ビニル芳香族単量体から生じたブロックを少なくとも2ブロックとアルキル置換(アルキルの炭素数は例えば1から10である)共役アルケン単量体から生じたブロックを少なくとも1ブロック有し、前記組成物は、280℃未満の秩序/無秩序転移(ODT)開始点を示しかつせん断弾性係数(G’)も損失弾性係数(G”)もODTまたはODTが存在しない時には150℃から280℃の範囲の温度で単調には上昇しないと理解されるべきである。この面における繊維には、加工用添加剤含有量が50%以下の組成を持たせることができるが、そのような加工用添加剤はフルオロカーボン、ポリオレフィン、鉱油、ポリシロキサン流体、粘着付与剤、蝋またはこれらの組み合わせであり得、前記組成物に含有させる繊維特性の劣化を軽減する添加剤、色、光沢、艶消しまたは充填を加える添加剤、粘着防止用添加剤、スリップ剤またはこれらの組み合わせの量を5%以下にしてもよく、前記ブロック共重合体はビニル芳香族単量体単位のブロックを2ブロックとアルキル置換共役アルケン単量体単位のブロックを1ブロック有するトリブロックであってもよいか、前記ブロック共重合体はビニル芳香族単量体単位のブロックを3ブロックとアルキル置換共役アルケン単量体単位のブロックを2ブロック有するペンタブロックであってもよく、前記共役アルケン単量体はイソプレンであってもよく、前記共役アルケン単量体は式RC=CR−CR=CR[式中、各Rは、各場合とも独立して、水素、または炭素数が1から4のアルキルであるか、或はいずれか2個のRが環を形成していてもよい]で表されてもよく、前記単量体の炭素数は少なくとも5であり、前記ビニル芳香族単量体の中の少なくとも1種はスチレンであってもよく、前記繊維の直径は400ミクロン未満であってもよく、前記繊維はコンジュゲート繊維の形態であってもよく、前記繊維はシース/コア(sheath/core)または先端付き多葉(tipped multilobal)(例えば三葉)断面を有するコンジュゲート繊維の形態であってもよく、前記繊維はシースまたは先端成分がポリオレフィンであるシース/コアまたは先端付き多葉(例えば三葉)断面を有するコンジュゲート繊維の形態であってもよく、前記コアはスチレン−イソプレン−スチレントリブロックまたはより高級な共重合体を含んで成るか、前記コアはスチレン−イソプレン−スチレン−イソプレン−スチレンペンタブロックまたはより高級な共重合体またはこれらの任意組み合わせを含んで成る。前記繊維を用いて織布もしくは編布、ヤーン、フィラメント、ストランドまたは細かい網を生じさせることができる。前記繊維を用いて不織布を生じさせることができるが、それには、当該不織布がスパンレイド(spunlaid)またはメルトブローンまたはこれらの任意組み合わせである不織布が含まれ、前記繊維はコンジュゲート繊維であり、前記コンジュゲート繊維は前記ブロック共重合体と少なくとも1種のポリオレフィン成分を含んで成るが、ここでは、前記ポリオレフィン成分が前記ブロック共重合体を少なくともある程度包む(at least partially envelops)ようにして、前記繊維を前記ポリオレフィン成分の通常の結合温度(bonding temperature)より実質的に低い温度で結合させるが、前記ポリオレフィンがポリエチレンの時の前記通常の結合温度は約120−130℃であり、前記ポリオレフィンがポリプロピレンの時の前記通常の結合温度は約140℃であり、ここでは、前記繊維を前記ODTより高い温度の押出し加工で生じさせるが、前記繊維を前記ODTより少なくとも10℃高い温度で押出し加工するか、前記繊維を前記ODTより少なくとも50℃高い温度で押出し加工するか、或はそれらの任意組み合わせを行う。前記繊維に延伸を300m/分以上の延伸速度で受けさせてもよい。前記繊維または不織布を用いて、少なくとも1つの層が本明細書に開示する繊維または布を含んで成る積層品を生じさせることができる。前記繊維を用いて製品を生じさせることができるが、そのような製品には使い捨ておむつ、弾性タブ(tab)、ウエストバンド、レッグカフ(leg cuff)、永続的(standing)レッグカフ、サイドパネル、失禁用衣類、医学用衣類、包帯または織物衣服が含まれる。前記繊維または不織布はメルトブロー加工、スパンボンド加工またはこれらの組み合わせで製造可能である。前記繊維の製造で前記ブロック共重合体以外の重合体を用いることも可能である。本繊維におけるブロック共重合体は、スチレン−イソプレンブロック共重合体であってもよく、これに、このブロック共重合体の1ブロック当たり約6,000から約45,000グラム/モルの範囲内の数平均分子量スチレン含有量(number average molecular weight styrene content)を持たせそして/またはこのブロック共重合体の1ブロック当たり約20,000から約150,000グラム/モルの範囲内の数平均分子量イソプレン含有量を持たせるが、このブロック共重合体を生じさせる時に用いるスチレンの総重量を50重量%以下にする。
【0023】
別の幅広い面において、本発明は、1種以上のブロック共重合体を50から100重量%含んで成る組成物から製造した繊維であり、ここでは、少なくとも1種のブロック共重合体に、炭素数が20以下のビニル芳香族単量体および式:
C=CR−CR=CR
[式中、各Rは、各場合とも独立して、水素、または炭素数が1から4のアルキルであるか、或はいずれか2個のRが一緒になって環を形成している]で表される炭素数が少なくとも5から炭素数が20以下の共役アルケン単量体から生じたブロックを少なくとも2ブロック持たせる。少なくとも1個のRは好適にはアルキル、例えば炭素数が1から10のアルキルである。この方法では、前記組成物の加工用添加剤含有量を50%以下にしてもよく、そのような加工用添加剤はフルオロカーボン、ポリオレフィン、鉱油、ポリシロキサン流体、粘着付与剤、蝋またはこれらの組み合わせであり得、前記組成物に含有させる繊維特性の劣化を軽減する添加剤、色、光沢、艶消しまたは充填を加える添加剤、粘着防止用添加剤、スリップ剤またはこれらの組み合わせの量を5%以下にしてもよく、前記ブロック共重合体はビニル芳香族単量体単位のブロックを2ブロックとアルキル置換共役アルケン単量体単位のブロックを1ブロック有するトリブロックであってもよいか、前記ブロック共重合体はビニル芳香族単量体単位のブロックを2ブロックとアルキル置換共役アルケン単量体単位のブロックを2ブロック有するペンタブロックであってもよく、前記共役アルケン単量体はイソプレンであってもよく、前記ビニル芳香族単量体の中の少なくとも1種はスチレンであってもよく、前記繊維の直径は400ミクロン未満であってもよく、前記繊維はコンジュゲート繊維の形態であってもよく、前記繊維はシースコアまたは先端付き多葉(例えば三葉)断面を有するコンジュゲート繊維の形態であってもよく、前記繊維はシースまたは先端成分がポリオレフィンであるシース/コアまたは先端付き多葉(例えば三葉)断面を有するコンジュゲート繊維の形態であってもよく、前記コアはスチレン−イソプレントリブロックまたはより高級な共重合体を含んで成っていてもよいか、前記コアはスチレン−イソプレンペンタブロック共重合体を含んで成っていてもよいか、或はそれらの任意組み合わせであってもよい。
【0024】
別の幅広い面における本発明は製造品(これには、1種以上のブロック共重合体を50から100重量%含んで成る組成物から生じさせた少なくとも1種の繊維を含んで成るマルチフィラメントヤーン、織布または不織ウエブが含まれる)であり、ここでは、各ブロック共重合体に、炭素数が20以下のビニル芳香族単量体および式:
C=CR−CR=CR
[式中、各Rは、各場合とも独立して、水素、または炭素数が1から4のアルキルであるか、或はいずれか2個のRが環を形成している]で表される炭素数が少なくとも5から炭素数が20以下の共役アルケン単量体から生じたブロックを少なくとも2ブロック持たせる。この面では、前記組成物の加工用添加剤含有量を50%以下にしてもよく、そのような加工用添加剤はフルオロカーボン、ポリオレフィン、鉱油、ポリシロキサン流体、粘着付与剤、蝋またはこれらの組み合わせであり得、前記組成物に含有させる繊維特性の劣化を軽減する添加剤、色、光沢、艶消しまたは充填を加える添加剤、粘着防止用添加剤、スリップ剤またはこれらの組み合わせの量を5%以下にしてもよく、前記ブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位のブロックを2ブロックと共役アルケン単量体単位のブロックを1ブロック有するトリブロックであってもよいか、前記ブロック共重合体はビニル芳
香族単量体単位のブロックを3ブロックと共役アルケン単量体単位のブロックを2ブロック有するペンタブロックであってもよく、前記共役アルケン単量体はイソプレンであってもよく、前記ビニル芳香族単量体の中の少なくとも1種はスチレンであってもよく、前記繊維の直径は400ミクロン未満であってもよく、前記繊維はコンジュゲート繊維の形態であってもよく、前記繊維はシースコアまたは先端付き多葉(例えば三葉)断面を有するコンジュゲート繊維の形態であってもよく、前記繊維はシースまたは先端成分がポリオレフィンであるシース/コアまたは先端付き多葉(例えば三葉)断面を有するコンジュゲート繊維の形態であってもよく、前記コアはSIトリブロックまたはペンタブロックまたはより高級な共重合体を含んで成っていてもよい。
【0025】
別の幅広い面における本発明は不織ウエブの製造方法であり、これは、
少なくとも1種のブロック共重合体(このブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体から生じたブロックを少なくとも2ブロックと共役アルケン単量体から生じたブロックを少なくとも1ブロック有する)を50から100重量%含んで成る組成物[この組成物は280℃未満の秩序/無秩序転移(ODT)開始点を示しかつせん断弾性係数(G’)も損失弾性係数(G”)もODTからまたはODTが存在しない時には150℃から280℃の範囲の温度で単調には上昇しない]を紡糸口金に通して押出し加工することで繊維、例えばフィラメントなどを生じさせ、
前記繊維、例えばフィラメントなどを冷却し、
前記繊維、例えばフィラメントなどに延伸を受けさせ、そして
前記繊維、例えばフィラメントなどの不織ウエブを生じさせる、
ことを含んで成る。この方法では、前記組成物の加工用添加剤含有量を50%以下にしてもよく、そのような加工用添加剤はフルオロカーボン、ポリオレフィン、鉱油、ポリシロキサン流体、粘着付与剤、蝋またはこれらの組み合わせであり得、前記組成物に含有させる繊維特性の劣化を軽減する添加剤、色、光沢、艶消しまたは充填を加える添加剤、粘着防止用添加剤、スリップ剤またはこれらの組み合わせの量を5%以下にしてもよく、前記ブロック共重合体はビニル芳香族単量体単位のブロックを2ブロックとアルキル置換共役アルケン単量体単位のブロックを1ブロック有するトリブロックであってもよいか、前記ブロック共重合体はビニル芳香族単量体単位のブロックを3ブロックとアルキル置換共役アルケン単量体単位のブロックを2ブロック有するペンタブロックであってもよく、前記共役アルケン単量体はイソプレンであってもよく、前記共役アルケン単量体は式RC=CR−CR=CR[式中、各Rは、各場合とも独立して、水素、または炭素数が1から4のアルキルであるか、或はいずれか2個のRが環を形成していてもよい]で表されてもよく、前記単量体の炭素数は少なくとも5であり、前記ビニル芳香族単量体の中の少なくとも1種はスチレンであってもよく、前記繊維の直径は400ミクロン未満であってもよく、前記繊維はコンジュゲート繊維の形態であってもよく、前記繊維はシースコアまたは先端付き多葉(例えば三葉)断面を有するコンジュゲート繊維の形態であってもよく、前記繊維はシースまたは先端成分がポリオレフィンであるシース/コアまたは先端付き多葉(例えば三葉)断面を有するコンジュゲート繊維の形態であってもよく、前記繊維はコアを含んで成るが、このコアは、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体またはペンタブロック共重合体を含んで成り、前記繊維はコンジュゲート繊維であってもよく、前記コンジュゲート繊維はブロック共重合体と少なくとも1種のポリオレフィン成分を含んで成るが、前記ポリオレフィン成分が前記ブロック共重合体を少なくともある程度包むようにして、前記繊維を前記ポリオレフィン成分の通常の結合温度より実質的に低い温度の熱で点結合させてもよく、前記ポリオレフィンはポリエチレン、ポリプロピレンまたはこれらの組み合わせを含んで成り、前記押出し加工を前記ODTより少なくとも10℃高い温度で行ってもよいか、前記押出し加工を前記ODTより少なくとも50℃高い温度で行ってもよく、前記繊維を加熱して、それに延伸を300m/分以上の延伸速度で受けさせてもよく、前記ブロック共重合体はスチレン−イソプレンブロック共重合体であってもよく、これに、このブロック共重合体の1ブロック当たり約6,000から約45,000グラム/モルの範囲内の数平均分子量スチレン含有量を持たせそして/またはこのブロック共重合体の1ブロック当たり約20,000から約150,000グラム/モルの範囲内の数平均分子量イソプレン含有量を持たせるが、このブロック共重合体を生じさせる時に用いるスチレンの総重量を50%以下にしてもよい。
【0026】
別の幅広い面における本発明は不織ウエブの製造方法であり、この方法は、少なくとも1種のブロック共重合体(少なくとも1種のブロック共重合体は、炭素数が20以下のビニル芳香族単量体および式:
C=CR−CR=CR
[式中、各Rは、各場合とも独立して、水素、または炭素数が1から4のアルキルであるか、或はいずれか2個のRが一緒になって環を形成している]で表される炭素数が少なくとも5から炭素数が20以下の共役アルケン単量体から生じたブロックを少なくとも2ブロック有する)を50から100重量%含んで成る組成物を紡糸口金に通して押出し加工することで繊維(例えばフィラメントなど)を生じさせ、
前記繊維を冷却し、
前記繊維に延伸を受けさせ、そして
前記繊維の不織ウエブを生じさせる、
ことを含んで成る。この方法では、前記組成物の加工用添加剤含有量を50%以下にしてもよく、そのような加工用添加剤はフルオロカーボン、ポリオレフィン、鉱油、ポリシロキサン流体、粘着付与剤、蝋またはこれらの組み合わせであり得、前記組成物に含有させる繊維特性の劣化を軽減する添加剤、色、光沢、艶消しまたは充填を加える添加剤、粘着防止用添加剤、スリップ剤またはこれらの組み合わせの量を5%以下にしてもよく、前記ブロック共重合体はビニル芳香族単量体単位のブロックを2ブロックとアルキル置換共役アルケン単量体単位のブロックを1ブロック有するトリブロックであってもよいか、前記ブロック共重合体はビニル芳香族単量体単位のブロックを3ブロックとアルキル置換共役アルケン単量体単位のブロックを2ブロック有するペンタブロックであってもよく、前記共役アルケン単量体はイソプレンであってもよく、前記ビニル芳香族単量体の中の少なくとも1種はスチレンであってもよく、前記繊維の直径は400ミクロン未満であってもよく、前記繊維はコンジュゲート繊維の形態であってもよく、前記繊維はシースコアまたは先端付き多葉(三葉)断面を有するコンジュゲート繊維の形態であってもよく、前記繊維は、シースまたは先端成分がポリオレフィンであるシースコアまたは先端付き多葉(例えば三葉)断面を有するコンジュゲート繊維の形態であってもよく、前記繊維はコアを含んで成っていてもよく、前記コアは、スチレン−イソプレン−スチレントリブロックまたはペンタブロック共重合体を含んで成り、前記繊維はコンジュゲート繊維であり、前記コンジュゲート繊維はブロック共重合体と少なくとも1種のポリオレフィン成分を含んで成るが、前記ポリオレフィン成分が前記ブロック共重合体を少なくともある程度包むようにして、前記繊維を前記ポリオレフィン成分の通常の結合温度より実質的に低い温度の熱で点結合させてもよく、ポリオレフィンはポリエチレン、ポリプロピレンまたはこれらの組み合わせを含んで成っていてもよく、前記押出し加工を前記ODTより少なくとも10℃高い温度で行ってもよく、前記繊維を前記ODTより少なくとも50℃高い温度で押出し加工してもよく、加熱された前記繊維に延伸を300m/分以上の延伸速度で受けさせてもよく、前記ブロック共重合体はスチレン−イソプレンブロック共重合体であり、これに、このブロック共重合体の1ブロック当たり約6,000から約45,000グラム/モルの範囲内の数平均分子量スチレン含有量を持たせそして/または前記ブロック共重合体の1ブロック当たり約20,000から約150,000グラム/モルの範囲内の数平均分子量イソプレン含有量を持たせるが、前記ブロック共重合体を生じさせる時に用いるスチレンの総重量を50重量%以下にしてもよいか、或はこれらの任意組み合わせであってもよい。
【0027】
本明細書で用いる如き「繊維」は布または他の織物構造物の基本的要素を構成しかつ一
般に長さが直径または幅の少なくとも100倍であることを特徴とすると理解されるべきである。この用語は、ヤーンに紡糸可能であるか或はいろいろな方法(織り、編み、編組、フェルト加工および撚糸を包含)で布に製造可能な単位を指す。一般的には、ヤーンに紡糸される繊維は少なくとも5ミリメートルの長さ、柔軟性、凝集力および充分な強度を包含すると理解する。他の重要な特性には弾性、微細さ、均一性、耐久性および光沢が含まれる。本明細書で用いる如き「フィラメント」は、絹に必然的に見られるような無限または極めて長い繊維を指すと理解されるべきである。製造した繊維を押出し加工してフィラメントにした後、それをフィラメントヤーン、ステープルまたはトウに変化させる。用語「繊維」がより一般的な用語であり、この用語は「フィラメント」を包含する。従って、「フィラメント」は用語「繊維」の範囲内である。
(発明の詳細な説明)
本発明のブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体の重合で生じた少なくとも2個の個別のブロックと共役アルケン単量体の重合で生じた少なくとも1個のブロックを含んで成る。この共重合体は典型的にA−B−AまたはA−B−A−B−A型のブロック共重合体であろう。本発明で用いるに適したブロック共重合体は下記の特徴の中の1つ以上を持ち得る:
a)共役アルケン単量体に由来するブロックの構造は加工温度の熱で架橋を有意には起こさないような構造である[そのような架橋が起こるか否かは動的機械的分光分析(Dynamic Mechanical Spectroscopic analysis)で評価可能であり、このような構造の場合、せん断弾性係数(G’)も損失弾性係数(G”)も温度が約290℃になるまで温度に伴って一様には上昇しない(架橋が起こらないか或は架橋が起こる度合が低い場合)]こと、そして/または
b)秩序−無秩序転移(ODT)開始温度が存在する場合、それが280℃未満であること。
【0028】
前記ビニル芳香族単量体は、典型的に、式:
Ar−C(R)=C(R
[式中、Rは、各場合とも独立して、水素またはアルキルであるか、或は別のRと一緒に環を形成しており、Arはフェニル、ハロフェニル、アルキルフェニル、アルキルハロフェニル、ナフチル、ピリジニルまたはアントラセニルであり、如何なるアルキル基も炭素原子を1から6個含有し、場合により官能基、例えばハロ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボニルおよびカルボキシルなどで一置換または多置換されていてもよい]で表される単量体である。そのようなビニル芳香族単量体の炭素数は典型的に20未満であり、そしてこれが有するビニル基は1個である。1つの態様におけるArはフェニルまたはアルキルフェニル、典型的にはフェニルである。典型的なビニル芳香族単量体にはスチレン(シンジオタクテックポリスチレンブロックが生じる条件を包含)、アルファ−メチルスチレン、ビニルトルエンのあらゆる異性体、特にパラ−ビニルトルエン、エチルスチレンのあらゆる異性体、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンおよびこれらの混合物が含まれる。前記ブロック共重合体は重合した特定のビニル芳香族単量体を2種以上含有していてもよい。言い換えれば、前記共重合体は純粋なポリスチレンブロックと純粋なポリ−アルファ−メチルスチレンブロックを含有していてもよいか或は全てのブロックが混合単量体で構成されていてもよい。
【0029】
前記共役アルケン単量体は、共役二重結合を2個以上有する如何なる単量体であってもよく、好適には、アルキル置換基を少なくとも1個持つ。そのような単量体には、例えば2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2−メチル−1,3−ペンタジエンおよび同様な化合物およびそれらの混合物が含まれる。前記ブロック共重合体は重合した特定の共役ジエン単量体を2種以上含有していてもよい。言い換えれば、前記ブロック共重合体はポリメチルペンタジエンブロックとポリイソプレンブロックまたは混合ブロック1
種または2種以上を含有していてもよい。ブロック共重合体は、一般に、2つ以上の単量体単位が一緒に結合している長い伸長部を含有する。適切なブロック共重合体は、典型的に、共役アルケン単量体単位のブロックとビニル芳香族単量体単位のブロックの総重量を基準にして、共役アルケン単量体単位のブロックとビニル芳香族単量体単位のブロックを約50:50から約95:5、1つの態様では約55:45から約90:10の重量比で有する。
【0030】
本発明で用いるブロック共重合体には、トリブロック、ペンタブロック、マルチブロック、先細ブロックおよび星形ブロック((AB))重合体が含まれ、それらをA(B’A’)[各々、各場合とも、Aはビニル芳香族ブロックまたは混合ブロックであり、Bは不飽和アルケニルブロックまたは混合ブロックであり、A’は、各場合とも、Aと同じまたは異なる成分もしくはMであってもよく、B’は、各場合とも、Bと同じまたは異なる成分もしくはMであってもよく、nは星上のアームの数で2から10の範囲、1つの態様では3から8、別の態様では4から6の範囲であり、xは≧1であり、そしてyは0または1である]で表示する。1つの態様におけるブロック共重合体は対称的、例えば各末端部にMが等しいビニル芳香族重合体ブロックが存在するトリブロックなどである。
【0031】
そのようなブロック共重合体はまた分枝共重合体であってもよく、分枝の重合体鎖が重合体バックボーンに沿って結合している地点は如何なる地点であってもよい。加うるに、また、上述したブロック共重合体のいずれの混合物も使用可能であるばかりでなく前記ブロック共重合体と少量成分である水添ブロック共重合体またはブタジエンが基になった特定のSBCまたは両方の混合物も使用可能である(そのような混合物がこの上に示した選択判断基準を満足させる限り)。言い換えれば、SISブロック共重合体に水添SBSブロック共重合体またはSBSブロック重合体をブロック共重合体全部の総重量を基準にして50%未満、好適には30%未満の濃度で混合してもよい。ここで、トリブロック共重合体のある種の製造では残存ジブロック共重合体が少量ではあるが生じる可能性があることを注目すべきである。
【0032】
本明細書ではあらゆる分子量を1モル当たりのグラムまたはダルトンで表す。本明細書の全体に渡って用いる如きMはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定可能であり、それは、本実施例で分子量を測定する時に用いた技術であった。非水添ブロック重合体の分子量および得た特性は、単量体単位ブロック各々の分子量に依存する。非水添ブロック重合体の場合には、当該ブロック共重合体の組成を基にして調整を行って、いろいろな単量体単位セグメントに相当する狭い多分散性を示すホモ重合体標準(SISブロック共重合体では例えばポリスチレンおよびポリイソプレン標準を用いる)と比較することで分子量を決定する。また、例えばスチレン(S)とイソプレン(I)で構成させたトリブロック共重合体の場合には下記の式:ln(M)=xln(M)+(1−x)ln(M)[式中、Mは当該共重合体の分子量であり、xは当該共重合体中のSの重量分率であり、Mはスチレンホモ重合体の検量を基にした見かけ分子量であり、そしてMはホモ重合体「b」(例えばポリイソプレン)の検量を基にした見かけ分子量である]を用いて共重合体の分子量を得ることも可能である。そのような方法はL.H.Tung、Journal of Applied Polymer Science、24、953(1979)に詳述されている。ここでは、簡潔さの目的で、SBCのMを言及する時に1種類のホモ重合体標準(PS)を用いた。
【0033】
ブロック重合体の組成(即ち、共役ジエン単量体単位のブロックとビニル芳香族単量体単位のブロックの比率)は、プロトンNMRおよび比較積分技術、例えばSantee、ChangおよびMorton、「Journal of Polymer Science:Polymer Letter Edition」、11、449(1973)に
記述されているそれなどを用いて測定可能である。例として、Varian Inova
NMR装置をHの場合には300MHzに設定して用いて、ブロック重合体のサンプルをCDCl(デュテロクロロホルム)中4%(重量/体積)の溶液として分析することができる。
【0034】
個々のブロックの長さは、構造が対称的(例えば末端にポリスチレンブロックを有するトリブロック)であると仮定して、重量平均分子量MおよびH NMR組成分析から計算可能である。
【0035】
適切な非水添ブロック共重合体の重量平均分子量(M)は一般に30,000以上、1つの態様では40,000以上、より好適には50,000から250,000、典型的には200,000以下、好適には175,000以下、より好適には150,000以下である。
【0036】
前記ブロック共重合体に持たせるビニル芳香族単量体単位ブロックの個々のブロックの重量平均分子量(weight average molecular weighted blocks)Mは約6,000、特に約8,000であり、芳香族ブロックの重量平均合計(sum−total weighted aromatic blocks)は約15,000から約45,000に及び得る。共役アルケン単量体単位ブロック1個または2個以上の合計重量平均分子量(sum−total,weight average molecular weight)は約20,000から、特に約30,000から、より特別には約40,000から約150,000、特に約130,000であってもよい。前記SBCの中の少なくとも1種では、1種類のみのSBCまたはSBCの混合物の状態で、総重量に対するあらゆるビニル芳香族ブロックの重量パーセントを50%以下にする。ビニル芳香族単量体単位のブロックを2ブロックと共役アルケン単量体単位のブロックを1ブロック含んで成るトリブロックの場合およびビニル芳香族単量体単位のブロックを3ブロックと共役アルケン単量体単位のブロックを2ブロック含んで成るペンタブロックの場合、前記共重合体を繊維を溶融紡糸する目的で特に混ぜ物無しに用いる時、この上に示した範囲を用いて、それらの特徴づけを行うことができる。
【0037】
興味の持たれることに、本発明者らは、ブロックを4ブロック以上有するSBC(例えばペンタブロック)の方がトリブロックよりもMおよびスチレン%が決まっている時にブロック数が多い共重合体が示すODTの方がトリブロックが示すそれよりも一般に低い点で有利であり得ることを見いだした。従って、それらが匹敵する温度(ペンタブロックが示すODTより高い)で示す溶融粘度の方が低い。従って、例えばペンタブロックの場合にはMおよび/またはスチレン含有量をトリブロックが示す相当する値よりも高くすることが可能であり、それでも、加工枠は好適、例えば200から280℃の範囲内であるが、トリブロックの場合にはそのような温度範囲よりもずっと高い温度で加工する必要があり得る。そのようにMおよび/またはスチレンパーセントをより高くすることができることは、繊維の引張り特性が向上し得ると言った利点を有する。
【0038】
本発明のブロック共重合体に持たせる個々のブロックの各々の分子量をそれぞれ別にすることができることを注目することも重要である。言い換えれば、例えば2個のビニル芳香族単量体ブロックの各々に異なる分子量を持たせてもよい。
【0039】
ブロック重合体の製造方法は良く知られている。ブロック重合体の製造はしばしばアニオン重合で行われる。
【0040】
本発明の組成物は、1種以上のスチレン系ブロック共重合体と任意の増量剤/加工助剤である混合用成分および添加剤を用いて製造可能である。混合種は典型的にSBCではな
い重合体、蝋または油であり、それらを本組成物の総重量の50%以下の総量で用いてもよい。添加剤には抗酸化剤、ラジカル捕捉剤、アミン、粘着防止剤、吸収剤などが含まれ、それの使用量を本組成物の総重量を基準にして各々10%以下、1つの態様では5%以下の濃度にしてもよい。最終的な組成物に何を混合、ブレンドまたは添加するかに拘わらず、その組成物全体が本明細書に示す繊維製造の目的で挙げる如き特性を満たすことが重要である。
【0041】
ODTおよび/または加工温度が280℃未満にまで低下するように混合物またはブレンド物を生じさせてもよく、架橋が280℃の温度でも起こらない限り、それも本発明の範囲内であろう。ブレンド物に重合体、粘着付与剤、低分子量の蝋、油および加工助剤、例えば紡糸助剤であるフルオロポリマーなどを含める。本組成物を生じさせる時に用いる混合物またはブレンド物または添加剤の調製は公知の如何なる技術を用いて実施されてもよく、そのような技術には、溶融混合、乾式混合(例えばタンブルブレンド)または溶液混合が含まれる。
【0042】
前記ブロック共重合体と一緒に混合するに適した高分子材料には、これらに限定するものでないが、ポリオレフィン、熱可塑性ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエーテル、ポリ塩化ビニル重合体、ポリ塩化ビニリデン重合体およびポリエステル重合体が含まれる。前記ブロック共重合体混合物と混合するに適した高分子材料には、他の弾性重合体、例えばこれらに限定するものでないが、ポリウレタン、コポリエステルおよびコポリエステルアミドであるゴム弾性体、ゴム弾性もしくはスルホン化エチレン/スチレン共重合体、ゴム弾性エチレン−オレフィン共重合体、弾性ポリプロピレン重合体、強化ポリプロピレン重合体、そしてシングルサイトメタロセン(single−site metallocene)触媒系を用いて作られたポリオレフィンであるゴム弾性体、即ちプラストマー[例えば均一に分枝しているエチレン重合体、例えば実質的に線状である(substantially linear)エチレン共重合体または均一に分枝している線状エチレン共重合体]が含まれ得る。また、高い引き伸ばしレベルばかりでなく高い引き伸ばし速度でも加工可能な繊維含有布を製造しようとする時には、少量成分であるポリプロピレン重合体と一緒にしたブレンド物も可能であり、例えば均一に分枝しているエチレン重合体を含めた3成分ブレンド物なども可能である。そのようなブレンド用のゴム弾性ポリオレフィンには、一般に、例えばポリエチレン(エチレンホモ重合体)、ポリスチレン、エチレン/アルファ−オレフィン共重合体、アルファ−オレフィンホモ重合体、例えばポリプロピレン(プロピレンホモ重合体)、アルファ−オレフィン共重合体、例えばポリプロピレンと炭素原子数が少なくとも4のアルファ−オレフィンの共重合体などが含まれる。代表的なポリオレフィンには、例えばこれらに限定するものでないが、実質的に線状であるエチレン重合体、均一に分枝している線状エチレン重合体、不均一に分枝している線状エチレン[線状の低密度ポリエチレン(LLDPE)、超もしくは非常に低密度のポリエチレン(ULDPEまたはVLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)および高密度ポリエチレン(HDPE)を包含]、高圧低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン/アクリル酸(EAA)共重合体、エチレン/メタアクリル酸(EMAA)共重合体、エチレン/アクリル酸(EAA)アイオノマー、エチレン/メタアクリル酸(EMAA)アイオノマー、エチレン/酢酸ビニル(EVA)共重合体、エチレン/ビニルアルコール(EVOH)共重合体、ポリ乳酸(PLA)、ポリオレフィン一酸化炭素共重合体、ポリプロピレンホモ重合体および共重合体、エチレン/プロピレン重合体、エチレン/スチレン共重合体、グラフト修飾重合体(例えば無水マレイン酸グラフト化ポリエチレン、例えばLLDPE g−MAH)、エチレンアクリレート共重合体[例えばエチレン/アクリル酸エチル(EEA)共重合体、エチレン/アクリル酸メチル(EMA)およびエチレン/メタアクリル酸メチル(EMMA)共重合体]、ポリブチレン(PB)、エチレン一酸化炭素共重合体[例えばエチレン/一酸化炭素(ECO)共重合体、エチレン/アクリル酸/一酸化炭素(EAACO)三元重合体、エチレン/メタアクリル酸/一酸化炭素(EMMACO)三元重合体、エチレン/酢酸ビニル/一酸化炭素(EVACO)三元重合体およびスチレン/一酸化炭素(SCO)]、塩素置換ポリエチレンおよびこれらの混合物が含まれる。
【0043】
本発明の実施で使用可能な種類の添加剤には、これらに限定するものでないが、抗酸化剤、ラジカル捕捉剤および紫外線吸収剤、例えばCiba Geigy Corp.が供給しているIrgafos(商標)、Irgastab、TinuvinまたはIrganox(商標)などが含まれる。成形または加工操作中の過度な劣化に対して保護するか或はグラフト化または架橋の度合をより良好に制御する(即ち過度のゲル化を抑制する)か或は最終製品を安定にする目的で、そのような抗酸化剤、ラジカル捕捉剤および紫外線吸収剤をそれの混合物および/またはブレンド物に典型的には1%未満の濃度で添加してもよい。また、残存触媒を失活させるか或は加工性を更に向上させることなどの目的で、加工中の添加剤、例えばステアリン酸カルシウム、水およびフルオロポリマーなどを用いることも可能である。また、着色剤、色向上剤および充填材、例えば染料が熱可塑性重合体に入っているマスターバッチ、二酸化チタン、タルク、粘土、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ステアリン酸および金属のステアリン酸塩(これらは粘着防止用蝋である)なども可能である。
【0044】
代表的な粘着付与剤には、脂肪族C樹脂、ポリテルペン樹脂、水添樹脂、混合脂肪−芳香族樹脂、ロジンエステルおよび水添ロジンエステルが含まれる。その用いる粘着付与剤をB型粘度計で測定した時にそれが350度Fで示す粘度は典型的に300センチポイズ以下、一般に150センチポイズ以下、1つの態様では50センチポイズ以下である。その用いる粘着付与剤が示すガラス転移温度は典型的に50℃以上であろう。
【0045】
本発明で用いるに適した代表的な脂肪族粘着付与剤には、商標Escorez(商標)、Piccotac(商標)、Mercures(商標)、Wingtack(商標)、Hi−Rez(商標)、Quintone(商標)およびTackirol(商標)の下で入手可能なそれらが含まれる。適切なポリテルペン系粘着付与剤には、商標Nirez(商標)、Piccolyte(商標)、Wingtack(商標)およびZonarez(商標)の下で入手可能なそれらが含まれる。適切な水添粘着付与剤には、商標Escorez(商標)、Arkon(商標)およびClearon(商標)の下で入手可能なそれらが含まれる。代表的な混合脂肪族−芳香族粘着付与剤には、商標Escorez(商標)、Regalite(商標)、Regalrez(商標)、Hercures(商標)、AR(商標)、Imprez(商標)、Norsolene(商標)M、Marukarez(商標)、Arkon(商標)M、Quintone(商標)などの下で入手可能なそれらが含まれる。他の粘着付与剤もそれらが本ブロック共重合体と相溶することを条件として使用可能である。
【0046】
蝋、例えば数平均分子量が6000未満のパラフィン系もしくは結晶性重合体などを加工助剤として用いてもよい。そのような分類の範囲内に入る典型的な重合体には、Petrolite,Inc.(Tulsa、Okla.)からPolywax(商標)500、Polywax(商標)1500およびPolywax(商標)2000として入手可能なエチレンホモ重合体、およびCP Hallから商標1230、1236、1240、1245、1246、1255、1260および1262の下で入手可能なパラフィン系蝋が含まれる。本発明で用いるに適した蝋が示す数平均分子量は800以上、1つの態様では1300以上から5000以下である。そのような蝋が示す融点は一般に25℃以上から150℃以下である。代表的なエチレン重合体である蝋、即ちエチレンのホモ重合体[伝統的なエチレンホモ重合体である蝋または拘束幾何触媒(constrained geometry catalyst)を用いて作られたエチレンホモ重合体]またはエチレンと共重合用単量体から作られた密度が少なくとも0.910g/cmから0.970g/cm以下の共重合体を本発明の実施で用いることができる。
【0047】
本発明の実施で使用可能な油には、これらに限定するものでないが、脂肪、粘性のある液体、グリースおよび揮発性液が含まれるが、それらは鉱油、植物油、動物油、精油または食用油として分類分けされる。油を用いる場合には、それを存在させる量を40%未満にする。典型的な油には、白色鉱油[例えばWitcoから入手可能なKaydol(商標)油]およびShellflex(商標)371ナフテン系油(Shell Oil Companyから入手可能)が含まれる。また、ポリシロキサン流体、例えばDow Corningが販売しているいろいろなポリジメチルシロキサンなども前記種類の範囲内に入る。
【0048】
本発明の繊維および製品はいろいろな用途で使用可能である。適切な用途には、例えば、これらに限定するものでないが、個人用使い捨て衛生製品(例えばトレーニングパンツ、おむつ、吸収用パンツ、失禁用製品、女性衛生品など);使い捨て衣類(例えば産業用衣類、作業服、ヘッドカバー、パンツ、ズボン、シャツ、手袋、靴下など);感染制御/クリーンルーム用製品(例えば手術用ガウンおよびドレープ、フェイスマスク、ヘッドカバー、手術用キャップおよびフード、靴用カバー、ブーツスリッパー、創傷用包帯、包帯、殺菌用ラップ、ワイパー、実験室用コート、作業服、ズボン、エプロン、ジャケット)、および耐久性および半耐久性用途、例えば寝具品およびシーツ、家具埃用カバー、衣服用インターライナー、自動車カバーおよびスポーツまたは一般用着衣などが含まれる。
【0049】
いろいろなホモフィル(homofil)繊維を製造することができ、それらには、織物用繊維もしくはヤーン、ステープル繊維、スパンボンド繊維、メルトブローン繊維およびゲルスパン繊維が含まれ得る。ホモフィル繊維は単一の重合体領域もしくはドメインを有していて他の区別可能な重合体領域(例えば2成分繊維が持つような)を全く持たないが、その重合体自身は多数の相またはミクロ相を持っていてもよい。
【0050】
本発明の繊維、特に多成分繊維をまた結合用繊維として用いることも可能であり、それには自己結合性繊維、特に本発明の繊維が示す軟化点の方がそれを取り巻くマトリックス繊維のそれよりも低い自己結合性繊維が含まれる。繊維を結合させる用途では、その結合用繊維を典型的には他のマトリックス繊維と一緒に混合した後、その構造物全体に熱および/または圧力を受けさせることで、その結合用繊維を溶融させてそれを取り巻くマトリックス繊維を結合させる。自己結合性繊維の場合には、そのマトリックス全体を結合性繊維で構成させる。少なくとも1成分が本発明のゴム弾性体でありそして1つの成分がその1成分より低い弾性を示す多成分繊維の場合の結合温度は、弾性が低い方の成分の繊維のマトリックスを結合させるに要する温度より低い温度である。本明細書に開示する本発明の弾性繊維を用いることで利益を得る典型的なマトリックス繊維には、これらに限定するものでないが、ポリ(エチレンテレフタレート)繊維、綿繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、不均一に分枝しているポリエチレン繊維、均一に分枝しているエチレン重合体繊維、線状ポリエチレンホモ重合体繊維などおよびこれらの組み合わせが含まれる。そのようなマトリックス繊維の直径は最終使用用途に応じて多様であり得る。
【0051】
本明細書の上に示したブロック重合体、混合物またはブレンド物を多成分繊維(また結合温度がより高い重合体も含有、特にシース/コアの中のコアにか或は海の中の島(islands−in−the−sea)の2成分デザインの中の島にそれを含有)の1成分として用いるか或は本ブロック重合体もしくはブレンド物を溶融加工可能な重合体にブレンドすることで、結合温度がより高い重合体の繊維(例えばこの上に記述した溶融加工可能重合体)の結合を本発明の範囲内で達成することができる。そのような技術は特にポリエチレンが基になった柔らかで高強度で低摩滅性の不織ウエブを製造しようとする時に有益である。ポリエチレンが示す通常の結合温度は一般に120−130℃、1つの態様で
は約120℃であり、そしてポリプロピレンが示す通常の結合温度は140℃である。
【0052】
コンジュゲート繊維もまた本発明の1つの面である。コンジュゲート繊維は、個別の押出し加工機から押出した少なくとも2種類の重合体から生じさせた繊維を含有するが、それらをメルトブローン(meltblown)または紡糸で一緒にして1本の繊維にしたものである。コンジュゲート繊維は時には多成分もしくは2成分繊維とも呼ばれる。前記重合体2種以上は一般に互いに異なるが、コンジュゲート繊維は1成分繊維であり得る。前記重合体2種以上を時には実質的に一定の相対的位置に配置させる、即ち当該コンジュゲート繊維の断面を横切る個別のゾーンの中に配置させそしてそれらが当該コンジュゲート繊維の長さに沿って連続的に伸びるようにする。コンジュゲート繊維の形態は、例えばシース/コア(S/C)配置(この配置では一方の重合体がもう一方の重合体で取り巻かれている)、横並び(side by side)(S/S)配置、分断パイ(segmented pie)配置(S/P)、先端を有する三葉またはそれ以上の数で葉を有する構造(T/T)または「海の中の島」(I/S)配置などであってもよい。コンジュゲート形態の場合、本発明の弾性繊維を例えばコアまたはシースまたは両方として存在させてもよい。しかしながら、ほとんど全部のゴム弾性体は、熱い時に接着性を有することから、不織布用のスパンレイド用途の場合には、「コアとコア」の接触が回避されるように本ゴム弾性ブロックを「コア」位に位置させるのが有利であるが、本ゴム弾性ブロック共重合体を繊維表面の一部にすることも可能である(例えば先端付き三葉デザインの場合)。同様に、スパンボンドの目的でS/SまたはS/P形態を用いるのも概して不利である。(そのような構造は非ゴム弾性体の場合には、一般的であるが。)
2番目の成分として、用途に応じて弾性があまりなくて熱可塑性で繊維を形成する如何なる重合体も使用可能である。コスト、剛性、溶融強度、紡糸速度、安定性などの全部を考慮に入れる。そのような2番目の成分を前記1番目の成分を生じさせる時に用いる重合体もしくは重合体組成物に比較して劣った弾性を示す重合体または重合体組成物のいずれから生じさせてもよい。ゴム弾性を示さなくて熱可塑性で繊維を形成する典型的な重合体には、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリブテンなど、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレンおよびこれらの混合物が含まれる。
【0053】
適切な2番目の成分である重合体組成物の1つの具体例はポリエチレン/ポリプロピレン混合物である。ポリエチレンとポリプロピレンを典型的には当該材料がポリプロピレンを2から98重量パーセントの範囲で含有していて残りがポリエチレンであるような比率で混合する。そのような重合体混合物から製造したストランドは柔らかな手触りを有していて「粘着性」も表面摩擦もほとんど示さない。
【0054】
そのような2番目の成分としていろいろな種類のポリエチレンを用いることができるが、最も好適な成分は前記1番目の成分に関連して考察した線状の低密度ポリエチレンである。LLDPEの製造では、この重合体がポリプロピレンと一緒に溶融紡糸するに良好に適するように、いろいろな密度およびメルトインデックス(melt index)特性が得られるようにそれらの製造を行うことができる。線状低密度ポリエチレン(LLDPE)はまたフィラメントの押出し加工で良好に機能する。好適な密度値は0.87から0.95g/ccの範囲であるが、0.90から0.94が最も好適であり、そして好適なメルトインデックス値は一般に0.2から約150g/10分の範囲である(ASTM D1238−89、190℃)。
【0055】
そのような2番目の成分の範囲内に含めるポリプロピレンは、イソタクティックもしくはシンジオタクテックポリプロピレンホモ重合体、共重合体もしくは三元重合体であり得るが、最も好適なポリプロピレンはホモ重合体の形態である。修飾を受けさせた低粘度もしくは高メルトフロー(MF)のポリプロピレン(PP)を用いることも可能である。典型的なメルトフローには35、25、17および1から3さえ含まれる。本発明で用いる
ことができる市販のポリプロピレン重合体の例には、SOLTEX Type 3907(35 MFR、CRグレード)、HIMONT Grade X10054−12−1(65 MFR)、Exxon Type 3445(35 MFR)、Exxon Type 3635(35 MFR)およびBP/AMOCO Type C BP 10−7956F(35 MFR)、Aristech CP 350 JPPが含まれる。
【0056】
そのような2番目の成分として用いるに適した典型的なポリエステルには、ポリエチレンテレフタレートを主材料として用いることに加えて別のジカルボン酸成分、例えばイソフタル酸を50モルパーセント以下の量で用いそして/または別のジオール成分、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオールなどを35モルパーセント以下の量で用いてそれらを共重合させることで得られる共重合ポリエステルが含まれる。そのようなイソフタル酸成分の比率(Aモル%)および共重合用ジオール成分の比率(Bモル%)を溶融紡糸温度などを考慮に入れて適切に選択する。イソフタル酸の比率を有利には約15モルパーセントから45モルパーセントの範囲にする。
【0057】
このような2番目の成分が混合物の場合、前記1番目の成分の場合と同様に、繊維を製造する前に重合体材料、例えばポリエチレンおよびポリプロピレンなどを適切に比例させた量で一緒にして好適には密に混合しておく。
【0058】
前記1番目(本発明の弾性成分)と2番目の成分を多成分ストランド内に望まれる特定の繊維形状および最終使用特性に応じて適切な任意量で存在させてもよい。有利な態様では、前記1番目の成分が当該繊維の主要部分を構成、即ちストランドの重量を基準にして(based on the weight of the strand )(bos)約50重量パーセントを超える率を構成するようにする。例えば、前記1番目の成分を当該多成分ストランドの中に有利には約80から99重量パーセントbosの範囲の量、例えば約85から95重量パーセントbosの範囲の量で存在させてもよい。そのような有利な態様では、存在させる非ゴム弾性成分の量を約50重量パーセントbos未満、例えば約1から約20重量パーセントbosの範囲の量にすることになるであろう。そのような有利な態様の有益な面では、前記2番目の成分をこの2番目の成分として用いる1種または2種以上の重合体そのものに応じて約3から15重量パーセントの範囲の量で存在させてもよい。1つの有利な態様では、コアとシースの重量比が約85:15に等しいか或はそれ以上、例えば95:5の比率のシース/コア形態を生じさせる。
【0059】
別法として、前記1番目の成分を約30重量パーセント以下の如き少ない量で存在させることも可能であり、特に弾性(収縮力)よりも繊維の伸び、タクティクス(tactics)(手触り)および経済性が主要関心事である用途の時に少ない量で存在させてもよい。
【0060】
本繊維に持たせる形状は幅広く多様であり得る。典型的な繊維の断面形状は例えば円形であるが、時には繊維にいろいろな形状、例えば三葉形状または平らな(即ち「リボン」のような)形状などを持たせる。また、繊維の断面が円形であっても、特にそれに引き伸ばしと解放を受けさせると、それは円柱形ではない三次元形状を取り得る(螺旋またはバネ様繊維が生じるように自己バルキングまたは自己けん縮)。
【0061】
本発明の新規な弾性繊維を他の繊維、例えばPET、ナイロン、ポリオレフィンおよび綿などと一緒に用いて弾性のある布を製造することも可能である。一例は、多成分のマルチフィラメントトウを束にしてヤーンを生じさせた後に引き伸ばしによる活性化を受けさせて非弾性成分を永久的に伸ばす例である。そのような方法を用いると、驚くべきほど柔らか、即ち個々の成分のいずれも持たないような手触りを有する弾性ヤーンがもたらされ
る。このことは驚くべきことに多成分繊維の場合にさえ当てはまる。
【0062】
繊維の直径はいろいろな様式で測定および報告可能である。一般的には、繊維の直径を1フィラメント当たりのデニールに換算した線形密度として測定するか、或はより簡単には、幅(ミクロンで表す)として測定する。デニールは、当該繊維の長さ9000メートル当たりの繊維のグラムとして定義される織物用語である。モノフィラメントは一般に1フィラメント当たりのデニールが15以上、通常は30以上の押出し加工された単一ストランドを指す。微細なデニールの繊維は一般にデニールが約15以下の繊維を指す。超微細繊維は一般に直径が約100ミクロメートル以下の繊維を指す。本SBCの場合、典型的な固体密度が0.92g/cmであると仮定すると、直径が100ミクロンの純粋なモノフィラメント繊維のデニールは65であろう。混合物または多成分繊維の場合の固体密度の測定または計算では、デニールをミクロンの直径に変換する必要がある。本明細書に開示する本発明の弾性繊維の場合、直径を幅広く変えることができる。最終製品の機能に適合するように繊維の直径を調整することができる。予測される繊維直径値は、メルトブローンの場合には約5から約20ミクロン/フィラメント、スパンボンドの場合には約10から約50ミクロン/フィラメント、そして連続巻フィラメントの場合には約20から約200ミクロン/フィラメントであろう。本材料を用いて如何なる直径のストランドも生じさせることができるが、典型的には450ミクロン未満である。衣服用途の場合の典型的な公称デニールは37超、他の態様では55以上、または65以上である。複数のフィラメント(トウ)ばかりでなくモノフィラメントを用いることでもそのようなデニールを構成させることができる。耐久性衣服で用いられる繊維もしくは繊維トウのデニールは典型的に約40以上である。使い捨て不織布用途の場合の繊維の直径は75ミクロン未満、50ミクロン未満、または35ミクロン未満であり得る。不織布では、典型的に、秤量(布平方面積当たりの繊維の重量、例えば1平方メートル当たりのグラムで表される)が決まっている場合、当該不織布全体に渡る分布または被覆率は繊維が細くなればなるほど良好である。
【0063】
弾性繊維の場合、典型的に、非弾性材料を用いた時と同じ直径を達成することができない場合がある。それは弾性体が非常に低いT成分を示す柔らかい材料として示す性質が原因である。従って、ゴム弾性体は、これを紡糸している時に延伸張力が解放されるやいなや「跳ね返る」傾向があり、その結果として、繊維の直径が大きくなってしまう。非弾性成分をより高いパーセントで用いた低弾性の混合物または多成分繊維を用いるならば良好な弾性を示す微細な繊維(直径が<40ミクロン)を容易に達成することができかつ細い繊維(<15ミクロン)を達成することができ、例えば非弾性体のパーセントが高い2成分繊維を成形した後に前記繊維を開繊させてゴム弾性体のフィブリルと非弾性体のフィブリルを生じさせることなどでそれを達成することができる。
【0064】
秤量は不織布の面密度を指し、これを通常はg/mまたはオンス/平方ヤードで表す。不織布に受け入れられる秤量は製品の用途で決まる。一般的には、所定製品によって左右される特性を満足させる最低の秤量(最も低いコスト)が選択される。ゴム弾性不織布の場合の1つの問題は、ある伸びの時の収縮力である、即ち特定伸び時に弛緩させた後にどれくらい多くの力が布にかかり得るかである。秤量を制限する別の問題は、比較的不透明な布が通常望ましい場合の被覆率であるか、或は半透明の場合に布の中の見かけ穴の大きさが小さくかつ分布が均一であるべきである点にある。使い捨て製品の場合の不織布産業で最も有効な秤量は1/2から3オンス/平方ヤード(17から100g/m、即ちgsm)の範囲である。ある用途、例えば耐久性もしくは半耐久性製品の場合には、秤量がより高くても許容され得る。ビームを複数持たせた構造(multiple beam construction)では秤量が小さい材料が偶発的に生じ得ると理解されるべきである。即ち、それは、個々の層の各々の秤量が17gsm未満でさえあるSMS(スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド)複合布を製造しようとする時に有用であり得るが、好適な最終的秤量は少なくとも17gsmであると予測される。同様に、本発明の繊維を用いた不織布を用いて積層品を構築することも可能であり、この場合には、本発明の布の秤量を17gsm未満にしてもよく、それでも、他の不織布には見られない良好な手触りまたは柔軟性が得られる。
【0065】
不織布組成物および製品は、典型的に、個々の繊維またはスレッドが無作為ではあるが織布もしくは編布の場合のようには識別することができない様式で相互配置(interlaid)している構造を有するウエブまたは布である。本発明の弾性繊維を用いて本発明の弾性不織布ばかりでなく弾性不織布と非弾性材料の組み合わせを含んで成る複合構造物も製造することができる。本発明の弾性不織布に、本明細書に記述するゴム弾性ブロック材料と非ゴム弾性重合体、例えばポリオレフィンなどを用いて製造した2成分繊維を含めてもよい。
【0066】
本発明の繊維の製造は、溶融させた組成物を多数の微細な通常は円形のダイス毛細管に通して集束する高速の通常は加熱されている気体流れ(例えば空気)の中に溶融状態のスレッドとしてか或はフィラメントとして押出すことによるメルトブローン技術を用いて実施可能であり、それの機能は、前記スレッドまたはフィラメントを細くして直径を小さくすることにある。その後、前記フィラメントまたはスレッドを高速の気体流れで運んで収集用表面の上に堆積させることで、平均直径が一般に10ミクロン未満の繊維が無作為に分布しているウエブを生じさせる。ゴム弾性重合体(本発明のゴム弾性ブロック重合体を包含)の分率が高い(例えば>80%の)ゴム弾性コンジュゲート繊維の場合、一般に、平均直径が10ミクロン未満の繊維を製造するのは困難ではあるが、それによって製造シートの有用性が高くなる。
【0067】
本発明の繊維の製造は、
繊維を例えばフィラメントの形態で紡糸口金から押出し、
前記フィラメントを冷却し、
前記フィラメントを冷却ゾーンの中に延伸張力(空気式に前記フィラメントを空気流れの中に連行させるか或は前記フィラメントを織物繊維産業で通常用いられる種類の機械的延伸用ロールの回りに巻き付けることでかけることができる)を伴わせて進めることで前記フィラメントを細くし、
前記延伸を受けさせたフィラメントを小孔のある表面の上に集めることでウエブを生じさせ(スパンレイド)、そして
拘束されていないフィラメントのウエブを結合させることで布を生じさせる(スパンボンド)、
ことによるスパンボンドおよびスパンレイド技術を用いて実施可能である。
【0068】
スパンレイドもしくはスパンボンドウエブに含まれる無作為に分布している繊維の平均直径は、通常の材料、例えばポリプロピレン、ポリアミドおよびPETなどの場合には一般に約7から約30ミクロンの範囲である。ゴム弾性重合体の場合の繊維直径は15から35ミクロンであるのがより普通である。実験室では、前記フィラメント押出し加工後の冷却段階を空気中で冷却を行うことで達成することができる。商業的実施における冷却段階は、頻繁に、冷えた空気をフィラメントに吹き付けることで達成され、それは時にはフィラメントまたは繊維の急冷と呼ばれる。1つの態様では、前記空気に弾性体の硬質セグメントが示すTgより低くかつシースのいずれかの結晶が溶融する温度より低い特定の温度を持たせる。しかしながら、冷却を達成した後の冷却は、一般に、溶融フィラメントの固化を速めるに役立つ。
【0069】
いろいろな種類のスパンボンド工程の例がKinneyの米国特許第3,338,992号、Dorschnerの米国特許第3,692,613号、Matsukiの米国特許第3,802,817号、Appelの米国特許第4,405,297号、Balkの米国特許第4,812,112号およびBrignola他の米国特許第5,665,300号に記述されている。本発明の布を製造するに好適なスパンボンド工程が米国特許第5,814,349号に記述されている。
【0070】
本明細書に開示する本発明の弾性繊維から製造する布には、編布、織布および不織布が含まれる。不織布の製造はいろいろな様式で実施可能であり、そのような様式には、スパンレイドウエブのスパンレーシング(spunlacing)(または流体力学的絡み合い)、ステープル繊維のカーディングまたは空気もしくは湿式レイイング(laying)および熱による結合、ロールに巻き取る前にある形態の結合を伴わせて1つの連続操作で行う連続フィラメントのスパンボンディング、またはフィラメントのメルトブロー加工で布を生じさせた後に結果として生じたウエブのカレンダー加工を行うか或はそれを熱で結合させる様式が含まれる。そのようないろいろな不織布製造技術は良く知られており、本発明の繊維を特別な如何なる方法にも限定するものでない。そのような繊維から生じさせる他の構造物も本発明の範囲内に含まれ、それには、例えば新規な本繊維と他の繊維[例えばポリ(エチレンテレフタレート)(PET)または綿]の混合物などが含まれる。
【0071】
熱による結合を典型的には不織布が生じるように繊維を加熱して溶融(または軟化)させて繊維を融合させることで起こさせる。熱による結合には点結合、カレンダー結合およびスルーエア結合(through−air bonding)ばかりでなく他の公知方法も含まれる。
【0072】
熱による結合および水力による絡み合い(hydroentangling)に加えて、布を安定にする他の公知方法も存在するが、ある場合には、布が自家発生的(autogenously)(自動的−自己(automatic−self))に結合することから(例えばメルトブロー加工の場合にしばしば起こるように)、結合させる必要がないこともあり得る。そのような追加的結合技術には、超音波による結合、化学的または接着剤による結合、穿刺、水力による絡み合いなどが含まれる。
【0073】
本明細書に開示する本発明の弾性繊維および布を用いて製造可能な加工品には、弾性部分を有する弾性複合品(例えばおむつ)が含まれる。例えば、弾性部分を典型的におむつのウエストバンド部分の中に組み込むことでおむつが外れないようにし[米国特許第4,381,781号(Sciaraffa)(これの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)に示されているように]そしてレッグバンド部分の中に組み込むことで漏れが生じないようにする。そのような弾性部分は、しばしば、心地良さと信頼性の良好な組み合わせにとってより良好な形状適合および/または固定系を助長する。本明細書に開示する本発明の弾性繊維および布を用いて、また、弾性と通気性を組み合わせて有する構造物を製造することも可能である。本発明の安価な弾性布は経済的でありかつカバー原料(coverstock)用途で心地よさ、適合、感触および保護を向上させると見なすことができる。
【0074】
弾性材料または弾性様材料は、典型的に、当該ウエブを1回引っ張って50%伸ばした後の流れ方向および横方向の回復可能伸び値を基にした平均回復可能伸びの二乗平均平方根が約65%以上の材料いずれかを指す。ある材料を引き伸ばして直ちに解放した後にそれの元々の寸法に戻らない度合が永久歪みパーセントである。ASTM試験方法に従い、残留歪みと回復率を加えると100%になる。残留歪みは、伸ばした後の残存弛緩長を伸長(伸び)の長さで割った値であるとして定義される。例えば、ゲージ(長さ)が1インチのサンプルを200%伸び(元々1インチのゲージから追加的に2インチ伸ばす)にまで引っ張った後に解放した時にa)全く収縮しない結果としてその時点でサンプルの長さが3インチであることで残留歪みが100%である((3”end−1”initial
)/2”extension)か、或はb)完全に元々の1インチのゲージにまで収縮することで残留歪みが0%である((1”end−1”initial)/2”extension)か、或はc)それらの間のどこかである。残留歪みの測定でしばしば用いられる実用的な方法は、サンプルを引き伸ばした状態から解放した後に回復力または負荷がゼロに到達した時点のサンプルが示す残留歪み(回復率)を実測する方法である。そのような方法および前記方法を用いてサンプルを100%引き伸ばした時にもたらされる結果は正に同じ結果であろう。例えば、この上に示した場合のように、サンプルを200%伸ばした後に全く収縮しない場合、解放後に負荷がゼロの時の残留歪みは200%であろう。この場合には、明らかに、残留歪みと回復率を加えても100%にならないであろう。
【0075】
本明細書に記述する如き弾性連続フィラメントをまた高い弾力(resilience)が望まれる織り用途で用いることも可能であろう。
【0076】
本明細書に開示する本発明の弾性繊維および布では、分子量を調整するか或はビニル芳香族成分の量を調整するか或はODTを調整するか或はそれらの全部を調整することで、また、じん性および収縮力を調整することができる。そのような能力および特性によって広範なデザイン柔軟性が可能になり、例えば、望まれるならば、同じ衣類の中の収縮力を変えることなどができる。本明細書に開示する本発明の弾性品を用いて製造可能な加工品には、1種以上の弾性成分または部分を含有させた複合布製品(例えば使い捨て失禁用衣類、トレーニングパンツおよびおむつ、特にパンツ型おむつ)が含まれる。本明細書に開示する本発明の弾性品を用いてまた弾性と通気性を組み合わせて持つ布複合構造物を製造することも可能である。
【0077】
本明細書に記述する本発明の弾性品を用いてまた通気性部分または通気性弾性複合材料を製造することも可能である。
【0078】
以下に示す実施例は本発明を説明する目的で示すものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものでない。
【実施例】
【0079】
実験方法
動的機械的分光法−−ARES
Rheometric ScientificのAdvanced Rheometric Expansion System(ARES)を用いて材料の特徴付けと選別を実施した。
【0080】
本実施例では、材料に下記の如き試験環境/条件を用いた「動的温度上昇試験」による試験を受けさせた:
窒素雰囲気
7.9mmの平行板
1.0ラジアン/秒の振動数
60℃の初期温度
275℃の最終温度
5℃/分の温度増分
30秒間の均熱時間(soak time)
1.0%の歪み
7.9mm(直径)の平行板を接合させそして60℃の温度でゼロ合わせを行った。次に、ピンセットを用いてサンプルを下方の板の上に置いた。次に、上方の板をこれが前記サンプルに接触しそして若干の垂直力(20gm*cm)がかかるまで下げた。次に、前記板とサンプルの間の接着を補助する目的で温度をTより高い温度にまで上昇させた。
サンプルの温度がその高温で安定になった時点で、温度を出発温度である60℃にまで下げると同時に、前記板とサンプルの間の定常/一定した接触を確保する目的で自動張力(auto−tension)[ホールド(hold)]機能を用いた。温度が60℃で平衡状態になった時点で試験を開始した。動的温度上昇試験の走査を60℃の温度で開始して1分当たり5℃づつ上昇させて最終温度である275℃またはそれ以上の温度に到達するまでの温度範囲で実施した。各測定を行う前に温度条件が安定であることを確保する目的で、各温度増分毎に30秒間の「均熱」時間を設けた。各測定中に下方の板を1秒当たり1ラジアンの振動数の正弦様式で回転させながら材料にかかる変形の度合(歪み)を1.0%に設定した。時間と対比した試験のアウトプットは弾性せん断係数(elastic shear modulus)(G’)、せん断損失係数(G”)および損失正接(G”/G’)であった。このARES技術を用いた選別を受けさせた本発明の材料(Vector 4111、実施例1)および比較材料(トリブロックSBS、Vector 8508、比較実施例1)の例をそれぞれ図1AおよびBに示す。図1Bでは温度が240℃の時にG’およびG”の単調な上昇が見られることを注目されたい。
Gottfert Rheograph毛細管流量計
Gottfert Rheographを用いて繊維紡糸性試験を実施した。Gottfert Rheograph 2003は、加熱ゾーンが3ゾーン入っているバレル、重合体溶融物の圧力を監視する力変換器、オリフィスの直径および長さがいろいろな毛細管ダイス、および重合体溶融物を一定速度またはいろいろな速度で押出す可変速プランジャーで構成されている。最適な加工条件が助長されるように決めた実験条件下で温度を変えながら各重合体を加工するか、或は本ケースでは、紡糸速度が最大になるように加工した。Rheograph 2003を用いて加工した繊維を高速ゴデット上に集めた。速度をローラーのrpmで調節した。毛細管ダイス(0.5mm、L/D=5)およびプランジャーの速度(0.147mm/秒、または1g/分の重合体流量)を一定に保持した。高速ローラー装置を用いた繊維収集の最高速度が最適になるように温度を変えた。毛細管流量計で測定した相対的破壊速度(break velocity)を用いて織物加工における紡糸性を評価することができる。
Instron引張り試験機
Instron引張り試験装置を用いて、繊維トウ(ヤーン)またはスパンレイド不織布が示す応力を歪みと対比させて測定した。低力ロードセル(low force load cell)(11Nまたは500Nのいずれか)、低重量マニュアルグリップ(manual grips)および張力測定プログラム(Instron Corp.が供給しているSeries IXまたはMerlinコントロールプラグラムを使用)を用いて引張り特性を測定した。毛細管流量計から生じさせた繊維トウ(表1)の場合には2サイクルプラグラムを用いた。各サイクル毎にトウを95%(1.9インチ)伸ばしそして(1−残留歪み%)[ここで、残留歪み%は、2番目のサイクルの収縮中の負荷がゼロの時の伸び%で測定した残留歪み%である]から回復%を決定した。2番目のサイクルの最高負荷からEf(95)(95%伸び時の力)の値を決定した。それぞれ70%、50%および30%引き伸ばした時の収縮力Rf(70)、Rf(50)およびRf(30)毎の張力値の全部を2番目のサイクルの収縮中の力から決定した。繊維の全部が一方向(試験方向)に配向していると仮定し、布が50グラム/cm(gsm)x3”幅で等しくなるように、繊維トウが示した張力値の全部を正規化した。具体的には、測定された力が布が同じ繊維で出来ていて3”幅x50gsm(全部が測定方向に配向)であるとした時の相当する力に正規化されるように、それに係数を掛ける(で割る)。従って、繊維トウが示す線形密度(LD)の測定では、重量(グラムで表す)を長さ(メートルで表す)で割った値であるとして測定する。LDは、長さが1mのトウが1mの幅を覆うように広がっていると見なした仮想布が示す秤量(BW)に相当する。正規化係数(nf)を下記:
nf=(LD/50gsm)x(100cm/m/2.54cm/インチ/3インチ幅)=LD/3.81
の如く計算し、そして正規化した力(Fn)[本表(表1d)に示す如き]を測定力(Fm)から下記:
Fn=Fm/nf
によって計算する。布サンプルが示す回復%(表2)の測定では、2”x4”のサンプルを一度50%(2”)引き伸ばし、張力がゼロになるまで収縮させ、1分間休んだ後、荷重>ゼロ(0.01N)になるまで引き伸ばす(%Ext2)引張り試験で測定を行った。回復%を(1−(%Ext2/50%))として示す。当該布の秤量を打ち抜いた実際のサンプルの重量または生産用ロールから採取した数多くの大型片の平均重量から測定した。
【0081】
Instron引張り試験を用いて頻繁に実施した別の測定は応力緩和である。応力緩和は、材料に特定の歪みをかけた後にそれの中の応力が解放される速度または度合の尺度である。典型的には、ある期間の間に緩和される量または応力%を報告する。応力緩和を測定する方法は本技術分野に数多く存在する。実施例18から22では、50%の歪みおよび1分間の緩和時間を用いる。たいていは、当該ウエブに50%歪みを直接かけることで応力緩和の試験が行われるが、他の場合には、当該ウエブに最初に引張りと緩和を2サイクル受けさせた後に測定が行われる(2サイクル試験、図2)。
ウエブの実験的製造
実験室規模の一般的スパンレイドライン
直径が3/4インチの押出し加工機を用いて重合体を押出してギアポンプに送ることを通して、フィラメントの製造を行う。前記ギアポンプは溶融した重合体を一連の金属製織フィルターと穴が144個の紡糸口金を含有するスピンパック(spin pack)に通して押出す。前記紡糸口金の穴の直径は0.400mmでありかつランド(land)の長さは1.6mmである(即ち長さ/直径の比率は4/1)。前記ギアポンプの操作では、紡糸口金の穴1個当たりに約0.4グラムの重合体が1分毎に押出されるように操作する。当該重合体がメルトポンプ(melt pump)の中に入る前のそれの溶融温度を測定する。
【0082】
2成分フィラメントの場合には、2番目の押出し加工機とギアポンプを用いて2番目の重合体を前記スピンパックに進める。2成分フィラメント押出し加工用のスピンパックは公知であり、ここには詳述しない。本発明の実施で用いるに特に適したスピンパックデザインが米国特許第5,162,074号に記述されている。そのようなスピンパックには、互いの上に積み重ねられた多数の板が含まれていて、それらが2種類の重合体成分用の個別の流路を作り出すように配置されている。
【0083】
ダイスから出た後のフィラメントに急冷用空気流を当てることで重合体の固化を助長する。その急冷用空気の流量を紡糸口金の下方領域の中に手を入れた時にそれをほとんど感じることができないほど遅くする。前記フィラメントを米国特許第5,225,018号に記述されている圧縮空気延伸装置(draw device)と同様な装置で進める。前記延伸装置から出たフィラメントを小孔のある表面の上に拘束されていないウエブとして集める。別法として、個々のフィラメントトウを集めて実験室で評価してもよい。
【0084】
スパンレイド不織布を製造するに適したパイロットまたは商業的規模の装置の例を図3に示す。この装置に2基の押出し加工機(3aおよび3)および2個のギアポンプ(4および5)を装備することで、2成分フィラメントからウエブを製造することができるようにする。しかしながら、それを用いて、運転する押出し加工機を1基のみにするか或は同じ重合体を両方の押出し加工機で加工することで、1成分フィラメントのウエブを製造することも可能である。紡糸口金6から下方に広がるカーテン状のフィラメントが押出される。前記カーテン状のフィラメントに隣接して位置させた冷却用送風機7で重合体の固化を助長する。
【0085】
フィラメント延伸装置またはアスピレーター8を紡糸口金6の下方に位置させて、それが急冷されたフィラメントを受け入れるようにする。一般的記述では、フィラメント延伸装置8には細長い垂直通路が含まれており、その中を通るフィラメントは前記通路の側面から入って来る吸引空気によって延伸を受ける。その吸引空気によってフィラメントが進行しそして周囲の空気が前記繊維延伸装置の中に入って来る。
【0086】
小孔のあるエンドレス表面9を前記繊維延伸装置8の下方に位置させて、それが前記繊維延伸装置の出口開口部から出る連続フィラメントを受け取るようにする。その成形用表面9はガイドローラーの回りを移動する。前記フィラメントが堆積する前記成形用表面9の下方に位置させた真空部11によって、前記フィラメントは前記成形用表面に押し付けられかつ逆風が除去される。
【0087】
前記装置には更に圧縮用ローラー12も備わっており、ウエブが前記成形用表面9から取り除かれる時に、前記圧縮用ローラー12が最前方のガイドローラー10と一緒に前記ウエブを受け取る。加うるに、前記装置には、前記フィラメントを一緒に結合させかつ前記ウエブを一体化させて完成布を生じさせるための1対の熱結合用カレンダーロール13も含まれている。最後に、前記装置には前記完成布を取り上げる巻き取り機14も含まれている。
【0088】
前記装置の運転では、ホッパー15および16にそれぞれ1番目および2番目の重合体成分を充填して、それらを個々の押出し加工機3aおよび3で溶融させてメルトポンプ4および5そして紡糸口金6に通して押し出す。その溶融した重合体の温度は使用する重合体に応じていろいろであるが、例えばVector 4111およびDow 6811A
LLDPEを2成分フィラメントの1番目および2番目の成分として用いる場合、Vector 4111を〜270℃の温度でスピンパックの中に入らせかつDow 6811Aを220℃の温度でスピンパックの中に入らせる。紡糸口金面の温度を260℃にする。
【0089】
押し出されたフィラメントが紡糸口金6の下方に広がるにつれて、前記フィラメントは急冷用送風機7から出る空気流によって少なくともある程度急冷される。急冷後のフィラメントは延伸装置8の垂直路の中に前記延伸装置の中を通る空気流によって引き込まれる。その引き込まれたフィラメントは前記延伸装置8の出口開口部を通った後に移動している成形用表面9の上に堆積する。そのフィラメントは真空部11によって引っ張られて成形用表面9に押し付けられることで連続フィラメントの不織ウエブが生じる。次に、そのウエブは圧縮用ローラー12で軽く圧縮された後、結合用ローラー13によって熱による点結合が生じる。熱による点結合技術は本分野の技術者に良く知られており、ここでは詳述しない。
【0090】
しかしながら、結合パターンの種類は所望の布強度を基に多様であり得ることを注目する。また結合温度も当該フィラメント中の重合体などの如き要因に応じて多様であり得る。
【0091】
図3に示した結合方法は熱による点結合であるが、他の手段、例えばオーブンによる結合、超音波による結合、水力による絡み合いまたはこれらの組み合わせなどを用いて本発明の布を結合させて生地のような布を製造することができると理解されるべきである。
【0092】
最後に、その完成ウエブを巻き取り装置14でロールに巻き取り、これはさらなる処理または使用の準備が出来ている。
実施例1から7および比較実施例1
以下の表(表1a、b)に、いろいろな商業的SBCから生じさせた繊維トウが示したM、スチレン%、ODTおよび毛細管流量計データを示す。この表にまた各SBCの分類分けも示す。これらの表は、ODTが280℃未満の材料はいろいろな温度で加工可能で延伸を高速で受ける繊維を生じ得ることを示している。これらの実施例に示した材料は大部分が純粋なSBCである(数種はまた残存ジブロックも含有する)。実施例5から分かるであろうように、加工助剤を用いると加工をより低い温度で行うことが可能になるか、繊維の速度をより速くすることができるか、或は繊維の性能を異ならせることが可能になると予測する。比較実施例は、ブタジエンが基になった軟質ブロックは商業的紡糸速度で紡糸するのは困難であることを示している。比較実施例1(また図1Bも参照)では、240℃の時に引張り応力が単調に上昇することが見られ、このことは、そのSBC重合体が架橋を起こしたことを示している。多種多様な化合物を調査したばかりでなく幅広く多様な分子量(〜60から150kg/モル)およびスチレン%(11から45%)も調査した。実際、両方のSBC製造方法(逐次的および連成)を表に示す。繊維に延伸を受けさせる(ストランドではなく、典型的には100−300ミクロンである)典型的なケースの全部で、そのトウを構成する繊維の直径は100ミクロン未満であった。商業的押出し加工装置および繊維紡糸ラインを用いた紡糸を表1bに示した速度以上で実施することができ、恐らくはより速い速度で実施することができると予測する。
【0093】
【表1】

【0094】
【表2】

【0095】
実施例8−17および比較実施例2−4
表1cに、本発明のSBC重合体(実施例8−17)およびいくつかの比較実施例[ブタジエンが主のSBCおよびイソプレンが基になったSBC(あまりにも高いODTを示す)]の幅広い観点を示す。これらの繊維は毛細管流量計を用いて紡糸した1成分フィラメントである。本発明の実施例は全部が良好な回復率を示したが、比較サンプルは繊維(直径<400ミクロン)に紡糸することができなかったか或は生じた繊維が低い弾性(低い回復率)を示した。
【0096】
【表3】

【0097】
実施例18−22、表1d
材料18から22を1成分もしくは2成分繊維トウとして紡糸した後、Lurgiスタイルの空気延伸装置または速度を制御した延伸ロール(ゴデット)のいずれかを用いて、それらに延伸を受けさせた。材料18および19は商業的材料であるが、但しその組成に修飾を受けさせかつ油を含有させた。組成に油を含める場合、ゴム弾性樹脂のペレットと
油を前記油が前記ペレットの中に吸収されて最終的に(例えば室温で1週間後に)手で触れて本質的に乾いた状態になるように混合することで油を添加した。
【0098】
材料20は、優れた繊維引張り特性を示すばかりでなく良好な紡糸および加工温度も示すペンタブロックSBCの例である。この実施例で低い延伸速度で製造した繊維の直径は33ミクロンである。この実施例で用いたポリエチレンシースの密度は約0.93g/ccであった。PE(特に低密度)のような軟質シース材料を用いた時の方がSBCゴム弾性体を用いた時よりも良好な2成分繊維がもたらされると思われる。
【0099】
材料21および22は、純粋なゴム弾性体として優れた繊維(1成分)特性を示す低MのトリブロックSBCである。それらが示すODTはそれぞれ180℃および216℃である。これらのフィラメントを毛細管流量計で紡糸した。非対称的トリブロック(22)はスチレンブロック長が7.6で11.4キロダルトンである。
【0100】
【表4】

【0101】
実施例23から35
表2に、本発明の弾性SBCが繊維の96%に及ぶ2成分フィラメントから製造したスパンレイド不織布を示す(我々が100%弾性繊維から製造した布は所望よりもゴム状の手触りであったことから、それは示さない)。結合温度は各場合とも構造は類似している
が非SBC、特に非ゴム弾性成分が用いられている繊維に見られ/要求される温度よりもずっと低い。これらの布は弾性があり、それを50%伸びにまで伸ばした時の回復率は>65%である。加うるに、布は全部が特有の柔らかで生地様の手触りを有しており、それは本繊維の個々の成分に由来するものである。繊維の直径は全部が50ミクロン未満である。下記の2種類の2成分構造物をここに示す:コア/シース(C/S)および先端付き三葉形(T/T)。また、下記の3種類の延伸装置も示す:S−Tex、即ち低速スロット方法(≧500m/分);Lurgiガン、即ち高速強制空気オリフィス(>750m/分);およびReicofil 3(RF3)、即ち高速スロット(≧1000m/分)。巻き上げベルトの速度(例えば〜30m/分)および材料の処理量(例えば0.5g/穴/分)およびダイス中の穴の数/m(例えば〜6000穴/m)を用いて秤量(例えば100gsm、即ちグラム/m)を設定する。特定データのいくつかは下記を示す:弾性成分の比率が低い布は、非弾性成分を降伏(延伸)させて活性にした時のみに弾性を示す(≧65%の回復率)(実施例29を実施例30に対比させて参照);SBCの混合物を用いて布を製造することができる(即ち実施例25、26、34および35);秤量が低い材料も秤量が高い材料と同様に良好な回復率を示す(実施例3を実施例32と対比させて参照);そして非常に経済的で幅広く用いられているスパンレイド方法であるReicofil 3を用いて本発明の布を製造することができる(即ち実施例31−35)。
【0102】
【表5】

【0103】
結合実験
実施例36、37および38
この上に記述した(かつ図3に図式的に示す)装置と同様な装置を用いて実施例36、37および38の製造を実施した。しかしながら、この特別な装置には熱結合用カレンダー13を装備しなかった。圧縮用ロール12を用いてウエブを成形用ワイヤーに押し付けることで巻き取りに充分な強度を有するウエブを生じさせることができた。これらの実施例で用いたフィラメント延伸装置は米国特許第5,225,018号に記述されている装置と同様であった。これらの実施例の組成を表3に示す。圧縮ウエブ片を熱による点結合カレンダーに通すことで加工して結合温度が布強度に対して示す効果を測定した。その結果を図4から6に示す。これらの布は当該フィラメントのポリエチレンシースが示す典型的な結合温度よりずっと低い温度で最大の引張り強度を達成する。結合させたサンプルを100%伸ばした後の回復率および50%伸ばして5分後の応力緩和を表3に示す。
実施例39、40および41
実施例36−38に示した装置と同じ装置を用いて実施例39、40および41を調製した。これらのウエブの組成を表4に記述する。これらのウエブを圧縮形態で巻き上げた。サンプル片を熱による点結合カレンダーに通すことで加工して結合温度が布強度に対して示す効果を測定した。その結果を図7から9に示す。これらの布が最大引張り強度を達成したのは、温度をPEおよびPP成分の融点(即ち典型的な結合温度)近くにした時のみである。
実施例42および43
図3に記述した装置と同様な装置を用いて実施例42および43を調製した。しかしながら、この場合には米国特許第5,985,776号(図3)に記述されていてS−Tex工程として知られるシステムを用いてフィラメントに延伸を受けさせた。この装置にはフィラメント連行用の圧縮空気は用いられておらず、その代わりに、フィラメントの延伸は成形用ワイヤー9の下方に生じさせる真空に頼っている。このウエブ成形装置には熱による点結合用のカレンダーが備わっているが、それは開放位置の左側であった。圧縮用ロール12が成形用ワイヤー9に押し付けられる圧力は、ウエブが巻き取り装置に移送されるような強度をウエブに与えるに充分である。これらの実施例の組成を表5に示す。圧縮ウエブ片を熱による点結合カレンダーに通すことで加工して結合用ロールの温度が布強度に対して示す効果を測定した。その結果を図10および11に示す。これらの布はポリオレフィンシース成分が示す典型的な結合温度よりずっと低い温度で最大の引張り強度を達成する。結合させたサンプルを100%伸ばした後の回復率および50%伸ばして5分後の応力緩和を表5に示す。
実施例44
図3に記述した装置と同様な装置を用いて実施例44を調製した。しかしながら、この場合のフィラメント延伸装置は、米国特許第5,814,349号に記述されている延伸スロット(draw slot)と同様なスロットであった。この装置にはフィラメント連行用の圧縮空気は用いられておらず、その代わりに、密封型急冷用ボックスおよび成形用ワイヤーの下方に生じさせる真空に頼っている。この特別なスパンボンド工程を製造業者であるReifenhauser GmbHはReicofil III(RF3)と呼んでいる。実施例44には、73℃の温度の熱を用いた点結合をインラインで受けさせた。このフィラメントには、シースが10重量%でコアが90重量%のシース/コア断面を持たせた。前記コアの85重量%をVector(商標)4111で構成させそして15重量%をVector(商標)4211で構成させた。シース100%をポリプロピレンで構成させた。押出し加工ダイスに入る溶融状態の重合体の温度は下記であった:Vector混合物:281℃、ポリプロピレン:246℃。その結合させた布の秤量は135gsmでありそしてフィラメントの平均デニールは5.5であった。この布の機械的特性を表6に記述する。
【0104】
【表6】

【0105】
【表7】

【0106】
【表8】

【0107】
【表9】

【0108】
実施例45
この実施例の調製では、メルトブロー加工方法を用いて調製を行った。Vector 4111 SISを押出し加工機で溶融させてメルトブロー加工用ダイスに進めた。前記ダイスの先端に320個のオリフィスが長さが25cmの列の状態で含まれていた。前記オリフィスの直径は0.4mmであった。前記ダイスの中の重合体溶融物の温度は278℃であった。このゴム弾性体を前記オリフィスに通してオリフィス1個当たり0.3グラム/分の押出し速度で押出した。前記ダイスの先端部の側面に沿って位置させたエアナイフで2つの空気流を導くことで前記ゴム弾性フィラメントを細くした。前記空気の温度を278℃にした。前記ダイスの先端部およびエアナイフの末端部を同じ水平レベルに位置させた(ゼロ「セットバック」)。ゴム弾性フィラメントのウエブを連続ループを形成するようにつなぎあわせた表面(これはメルトブロー加工用ダイスの下側を通る)の上に集める。小孔のある表面を織り金属フィラメントで構成させて、それをテフロンで被覆しておいた。その弾性フィラメントのウエブは非常に高い「粘着性」を示して、前記小孔のある表面に強力に接着した。その結果として、ウエブの秤量は低く、それを分解させることなく前記表面から剥がすのは不可能であった。前記小孔のある表面をメルトブロー加工用ダイスの下側に数回通すことで、前記表面から剥がすことができるに充分な強度を有するウエブを構築することができた。このウエブの中のフィラメントの平均直径は20ミクロンであった。このウエブの機械的特性を表7に示す。
【0109】
実施例45を用いて積層品を製造することができた。
実施例46
実施例45に記述したメルトブローン布片を実施例44に記述したスパンレイドウエブの同様な大きさの2枚の片の間に置いた。これらのスパンレイドウエブ片と実施例44に記述したスパンレイド布の間の差は、前記ウエブ片には熱による点結合を受けさせていない点にある。そのスパンボンド−メルトブローン−スパンボンドの3層「サンドイッチ」に50℃の熱による点結合を受けさせることで、伸びと回復を示す積層布を得た。この積層品に米国特許第4,223,059号に記述されている増分引き伸ばし装置と同様な装置を用いた加工を受けさせた。その結合させた布に引き伸ばしを流れ方向および流れ方向を交差する方向の両方で受けさせた。そのような引き伸ばしは布を柔らかくすると同時にそれの面積を大きくしかつ秤量を小さくする効果を示した。この布(実施例46)の特性
を表7に記述する。
実施例47
実施例45に記述したメルトブローン布片を米国特許第5,804,286号に記述されている種類のスパンボンドポリオレフィン布の同様な大きさの2枚の片の間に置いた。このスパンボンド−メルトブローン−スパンボンドの3層「サンドイッチ」に116℃の熱による点結合を受けさせることで、相対的に堅くて弾性のない布を得た。この布に増分引き伸ばし装置を用いた引き伸ばしを流れ方向および流れ方向を交差する方向の両方で受けさせた。そのような引き伸ばしは積層品を柔らかくしかつ伸びおよび回復特性を与える効果を示した。この布の機械的特性を表7に記述する。
実施例48
弾性のあるスパンレイドフィラメントのウエブと弾性のないメルトブローンウエブを用いて弾性のあるスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド積層品を製造することができる。この実施例では、実施例44に記述した未結合ウエブの2層の間にメルトブローンポリプロピレン超微細繊維の13gsmウエブを置いた。この積層品に126℃の熱による点結合を受けさせることで、相対的に堅くて弾性のない布を得た。この布に増分引き伸ばし装置を用いた引き伸ばしを流れ方向および流れ方向を交差する方向の両方で受けさせた。そのような引き伸ばしは積層品を柔らかくしかつ伸びおよび回復特性を与える効果を示した。この布の機械的特性を表7に記述する。
【0110】
【表10】

【0111】
本記述を考慮することで本発明のさらなる修飾形および代替態様が本分野の技術者に明らかになるであろう。従って、本記述は単に説明として解釈されるべきであり、かつ本発明を実施する様式を本分野の技術者に教示することを目的にしたものである。本明細書に示しかつ記述した本発明の形態は典型的な態様として解釈されるべきであると理解されるべきである。本明細書に説明かつ記述した要素または材料の代わりに相当するそれらを用いてもよくかつ本発明の特定の特徴を他の特徴の使用から独立して利用してもよく、これらは全部、本発明の本記述の利点を習得した後の本分野の技術者に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1A−1B】図1Aおよび1Bに、本発明の典型的な材料および比較材料が示したARESデータを示す。図1Bでは、温度が240℃の時にG’とG”の両方が単調に上昇することを見ることができる。
【図2A−2B】図2Aおよび2Bに、本発明のSBCスパンボンドから製造した秤量が異なる2種類の布(実施例26のaおよびbに従う)が示した正規化100%伸びと回復曲線を示す。
【図3】図3に、一般的スパンボンド装置の構成図を示す。
【図4−6】図4−6のそれぞれに実施例36−38が示した引張り強度を結合温度に対比させてプロットした図を示す。
【図7−9】図7−9のそれぞれに実施例39−41が示した引張り強度を結合温度に対比させてプロットした図を示す。
【図10−11】図10および11のそれぞれに実施例42および43が示した引張り強度を結合温度に対比させてプロットした図を示す。
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維であって、各々がビニル芳香族単量体から生じたブロックを少なくとも2ブロックと共役アルケン単量体から生じたブロックを少なくとも1ブロック有する1種以上の非水添ブロック共重合体を50から100重量%含んで成っていて280℃未満の秩序/無秩序転移(ODT)開始点を示しかつせん断弾性係数(G’)も損失弾性係数(G”)もODTからまたはODTが存在しない時には150℃から280℃の範囲の温度で単調には上昇しない組成物から作られた繊維。
【請求項2】
前記組成物の加工用添加剤含有量が50%以下である請求項1記載の繊維。
【請求項3】
前記加工用添加剤がフルオロカーボン、ポリオレフィン、鉱油、ポリシロキサン流体、粘着付与剤、蝋またはこれらの組み合わせである請求項2記載の繊維。
【請求項4】
前記組成物が含有する繊維特性の劣化を軽減する添加剤、色、光沢、艶消しまたは充填を加える添加剤、粘着防止用添加剤、スリップ剤またはこれらの組み合わせの量が5%以下である請求項2記載の繊維。
【請求項5】
前記ブロック共重合体がビニル芳香族単量体単位のブロックを2ブロックとアルキル置換共役アルケン単量体単位のブロックを1ブロック有するトリブロックであるか或は前記ブロック共重合体がビニル芳香族単量体単位のブロックを3ブロックとアルキル置換共役アルケン単量体のブロックを2ブロック有するペンタブロックである請求項1から4のいずれか記載の繊維。
【請求項6】
前記共役アルケン単量体がイソプレンである請求項1から5のいずれか記載の繊維。
【請求項7】
前記共役アルケン単量体が式RC=CR−CR=CR[式中、各Rは、各場合とも独立して、水素、または炭素数が1から4のアルキルであるか、或はいずれか2個のRが環を形成していてもよい]で表されて前記単量体の炭素数が少なくとも5である請求項1から6のいずれか記載の繊維。
【請求項8】
前記ビニル芳香族単量体の中の少なくとも1種がスチレンである請求項1から7のいずれか記載の繊維。
【請求項9】
直径が400ミクロン未満である請求項1から8のいずれか記載の繊維。
【請求項10】
コンジュゲート繊維の形態の請求項1から9のいずれか記載の繊維。
【請求項11】
シース/コアまたは先端付き多葉断面を有するコンジュゲート繊維の形態の請求項1から10のいずれか記載の繊維。
【請求項12】
該繊維がシースコアまたは先端付き多葉断面を有するコンジュゲート繊維の形態であり、前記シースまたは先端成分がポリオレフィンである請求項1から11のいずれか記載の繊維。
【請求項13】
前記コアがスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体またはスチレン−イソプレン−スチレン−イソプレン−スチレンペンタブロック共重合体または両方を含んで成る請求項1から12のいずれか記載の繊維。
【請求項14】
前請求項のいずれか記載の繊維を含んで成る織布もしくは編布、ヤーン、フィラメント
、ストランドまたは細かい網。
【請求項15】
前請求項のいずれか記載の繊維を含んで成る不織布。
【請求項16】
該不織布がスパンレイドまたはメルトブローンまたはこれらの任意組み合わせである請求項15記載の不織布。
【請求項17】
前記繊維がコンジュゲート繊維であり、前記コンジュゲート繊維がブロック共重合体と少なくとも1種のポリオレフィン成分を含んで成っていて、前記ポリオレフィン成分が前記ブロック共重合体を少なくともある程度包んでいる請求項15記載の不織布。
【請求項18】
前記繊維を前記ポリオレフィン成分の通常の結合温度より実質的に低い温度で結合させたものである請求項17記載の不織布。
【請求項19】
前記ポリオレフィンがポリエチレンでありそして前記通常の結合温度が約120℃である請求項18記載の不織布。
【請求項20】
前記ポリオレフィンがポリプロピレンでありそして前記通常の結合温度が約140℃である請求項18記載の不織布。
【請求項21】
該繊維が前記ODTより高い温度での押出し加工で生じさせたものである請求項1−13のいずれか記載の繊維。
【請求項22】
該繊維が前記ODTより少なくとも10℃高い温度で押出し加工したものである請求項21記載の繊維。
【請求項23】
該繊維が前記ODTより少なくとも50℃高い温度で押出し加工したものである請求項21記載の繊維。
【請求項24】
加熱された該繊維に延伸を300m/分以上の速度で受けさせたものである前請求項のいずれか記載の繊維。
【請求項25】
積層品であって、少なくとも1つの層が前請求項のいずれか記載の繊維または布を含んで成る積層品。
【請求項26】
前請求項のいずれか記載の繊維または布を含んで成る製品。
【請求項27】
該製品が使い捨ておむつ、弾性タブ、ウエストバンド、レッグカフ、永続的レッグカフ、サイドパネル、失禁用衣類、女性衛生用パッド、医学用衣類、包帯または織物衣服である請求項26記載の製品。
【請求項28】
メルトブロー加工で作られた前請求項のいずれか記載の繊維または不織布。
【請求項29】
スパンボンド加工で作られた前請求項のいずれか記載の繊維または不織布。
【請求項30】
請求項1または請求項33記載の弾性ブロック共重合体以外の重合体から作られた他の繊維を含有する請求項14または15記載の材料。
【請求項31】
前記ブロック共重合体がスチレン−イソプレンブロック共重合体であり、前記スチレン−イソプレンブロック共重合体が、前記ブロック共重合体の1ブロック当たり約6,00
0から約45,000グラム/モルの範囲内の数平均分子量スチレン含有量を有しそして/または前記ブロック共重合体の1ブロック当たり約20,000から約150,000グラム/モルの範囲内の数平均分子量イソプレン含有量を有し、前記ブロック共重合体を生じさせる時に用いたスチレンの総重量が50重量%以下である請求項1記載の繊維。
【請求項32】
前記組成物が示す紡糸速度が300メートル/分に等しいか或はそれ以上である請求項1記載の繊維。
【請求項33】
繊維であって、少なくとも1種のブロック共重合体が炭素数が20以下のビニル芳香族単量体および式:
C=CR−CR=CR
[式中、各Rは、各場合とも独立して、水素、または炭素数が1から4のアルキルであるか、或はいずれか2個のRが一緒になって環を形成している]で表される炭素数が少なくとも5から炭素数が20以下の共役アルケン単量体から生じたブロックを少なくとも2ブロック有する、1種以上のブロック共重合体を50から100重量%含んで成る組成物から作られた繊維。
【請求項34】
前記組成物の加工用添加剤含有量が50%以下である請求項33記載の繊維。
【請求項35】
前記加工用添加剤がフルオロカーボン、ポリオレフィン、鉱油、ポリシロキサン流体、粘着付与剤、蝋またはこれらの組み合わせである請求項34記載の繊維。
【請求項36】
前記組成物が含有する繊維特性の劣化を軽減する添加剤、色、光沢、艶消しまたは充填を加える添加剤、粘着防止用添加剤、スリップ剤またはこれらの組み合わせの量が5%以下である請求項34記載の繊維。
【請求項37】
前記ブロック共重合体がビニル芳香族単量体単位のブロックを2ブロックとアルキル置換共役アルケン単量体単位のブロックを1ブロック有するトリブロックであるか或は前記ブロック共重合体がビニル芳香族単量体単位のブロックを3ブロックとアルキル置換共役アルケン単量体単位のブロックを2ブロック有するペンタブロックである請求項33から36のいずれか記載の繊維。
【請求項38】
前記共役アルケン単量体がイソプレンである請求項33から37のいずれか記載の繊維。
【請求項39】
前記ビニル芳香族単量体の中の少なくとも1種がスチレンである請求項33から38のいずれか記載の繊維。
【請求項40】
直径が400ミクロン未満である請求項33から39のいずれか記載の繊維。
【請求項41】
コンジュゲート繊維の形態の請求項33から40のいずれか記載の繊維。
【請求項42】
シース/コアまたは先端付き多葉断面を有するコンジュゲート繊維の形態の請求項33から41のいずれか記載の繊維。
【請求項43】
シース/コアまたは先端付き多葉断面を有するコンジュゲート繊維の形態であり、前記シースまたは先端成分がポリオレフィンである請求項33から41のいずれか記載の繊維。
【請求項44】
前記コアがスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体またはスチレン−イ
ソプレン−スチレン−イソプレン−スチレンペンタブロック共重合体を含んで成る請求項41から43のいずれか記載の繊維。
【請求項45】
請求項33から44のいずれか記載の繊維を含んで成る織布もしくは編布、ヤーン、フィラメント、ストランドまたは細かい網。
【請求項46】
請求項33から45のいずれか記載の繊維を含んで成る不織布。
【請求項47】
前記不織布がスパンレイドまたはメルトブローンまたはこれらの任意組み合わせである請求項46記載の不織布。
【請求項48】
製造品であって、各ブロック共重合体が炭素数が20以下のビニル芳香族単量体および式:
C=CR−CR=CR
[式中、各Rは、各場合とも独立して、水素、または炭素数が1から4のアルキルであるか、或はいずれか2個のRが環を形成している]で表される炭素数が少なくとも5から炭素数が20以下の共役アルケン単量体から生じたブロックを少なくとも2ブロック有する、1種以上のブロック共重合体を50から100重量%含んで成る組成物から作られた少なくとも1種の繊維を含んで成るマルチフィラメントヤーン、織布もしくは編布または不織ウエブを含んで成る製造品。
【請求項49】
前記組成物の加工用添加剤含有量が50%以下である請求項48記載の製品。
【請求項50】
前記加工用添加剤がフルオロカーボン、ポリオレフィン、鉱油、ポリシロキサン流体、粘着付与剤、蝋またはこれらの組み合わせである請求項49記載の製品。
【請求項51】
前記組成物が含有する繊維特性の劣化を軽減する添加剤、色、光沢、艶消しまたは充填を加える添加剤、粘着防止用添加剤、スリップ剤またはこれらの組み合わせの量が5%以下である請求項49記載の製品。
【請求項52】
前記ブロック共重合体がビニル芳香族単量体単位のブロックを2ブロックとアルキル置換共役アルケン単量体単位のブロックを1ブロック有するトリブロックであるか或は前記ブロック共重合体がビニル芳香族単量体単位のブロックを3ブロックとアルキル置換共役アルケン単量体単位のブロックを2ブロック有するペンタブロックである請求項48から51のいずれか記載の製品。
【請求項53】
前記共役アルケン単量体がイソプレンである請求項48から52のいずれか記載の製品。
【請求項54】
前記ビニル芳香族単量体の中の少なくとも1種がスチレンである請求項48から53のいずれか記載の製品。
【請求項55】
前記繊維の直径が400ミクロン未満である請求項48から54のいずれか記載の製品。
【請求項56】
前記繊維がコンジュゲート繊維の形態である請求項48から55のいずれか記載の製品。
【請求項57】
前記繊維がシース/コアまたは先端付き多葉断面を有するコンジュゲート繊維の形態である請求項48から56のいずれか記載の製品。
【請求項58】
前記繊維がシース/コアまたは先端付き多葉断面を有するコンジュゲート繊維の形態であり、前記シースまたは先端成分がポリオレフィンである請求項55から57のいずれか記載の製品。
【請求項59】
前記コアがスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体またはスチレン−イソプレン−スチレン−イソプレン−スチレンペンタブロック共重合体を含んで成る請求項57から58のいずれか記載の製品。
【請求項60】
請求項48から59のいずれか記載の製品を含んで成る織布もしくは編布、ヤーン、フィラメント、ストランドまたは細かい網。
【請求項61】
請求項48から59のいずれか記載の製品を含んで成る不織布。
【請求項62】
該不織布がスパンレイドまたはメルトブローンまたはこれらの任意組み合わせである請求項61記載の不織布。
【請求項63】
不織ウエブの製造方法であって、
ビニル芳香族単量体から生じたブロックを少なくとも2ブロックとアルキル置換共役アルケン単量体から生じたブロックを少なくとも1ブロック有する少なくとも1種のブロック共重合体を50から100重量%含んで成っていて280℃未満の秩序/無秩序転移(ODT)開始温度を示しかつせん断弾性係数(G’)も損失弾性係数(G”)もODTからまたはODTが存在しない時には150℃から280℃の範囲の温度で単調には上昇しない組成物を紡糸口金に通して押出し加工することで繊維を生じさせ、
前記繊維を冷却し、
前記繊維に延伸を受けさせ、そして
前記繊維のウエブを生じさせる、
ことを含んで成る方法。
【請求項64】
前記組成物の加工用添加剤含有量を50%以下にする請求項63記載の方法。
【請求項65】
前記加工用添加剤がフルオロカーボン、ポリオレフィン、鉱油、ポリシロキサン流体、粘着付与剤、蝋またはこれらの組み合わせである請求項64記載の方法。
【請求項66】
前記組成物に含有させる繊維特性の劣化を軽減する添加剤、色、光沢、艶消しまたは充填を加える添加剤、粘着防止用添加剤、スリップ剤またはこれらの組み合わせの量を5%以下にする請求項63記載の方法。
【請求項67】
前記ブロック共重合体がビニル芳香族単量体単位のブロックを2ブロックとアルキル置換共役アルケン単量体単位のブロックを1ブロック有するトリブロックであるか或は前記ブロック共重合体がビニル芳香族単量体単位のブロックを3ブロックとアルキル置換共役アルケン単量体のブロックを2ブロック有するペンタブロックである請求項63から66のいずれか記載の方法。
【請求項68】
前記共役アルケン単量体がイソプレンである請求項63から67のいずれか記載の方法。
【請求項69】
前記共役アルケン単量体が式RC=CR−CR=CR[式中、各Rは、各場合とも独立して、水素、または炭素数が1から4のアルキルであるか、或はいずれか2個のRが環を形成していてもよい]で表されて前記単量体の炭素数が少なくとも5である請求項6
3から66のいずれか記載の方法。
【請求項70】
前記ビニル芳香族単量体の中の少なくとも1種がスチレンである請求項63から69のいずれか記載の方法。
【請求項71】
前記繊維の直径を400ミクロン未満にする請求項63から67のいずれか記載の方法。
【請求項72】
前記繊維をコンジュゲート繊維の形態にする請求項63から71のいずれか記載の方法。
【請求項73】
前記繊維をシース/コアまたは先端付き多葉断面を有するコンジュゲート繊維の形態にする請求項63から72のいずれか記載の方法。
【請求項74】
前記繊維をシース/コアまたは先端付き多葉断面を有するコンジュゲート繊維の形態にして、前記シースまたは先端成分をポリオレフィンにする請求項63から73のいずれか記載の方法。
【請求項75】
前記繊維がコアを含んで成っていて、前記コアがスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体またはスチレン−イソプレン−スチレン−イソプレン−スチレンペンタブロック共重合体を含んで成る請求項63から74のいずれか記載の方法。
【請求項76】
前記繊維がコンジュゲート繊維であり、前記コンジュゲート繊維がブロック共重合体と少なくとも1種のポリオレフィン成分を含んで成っていて、前記ポリオレフィン成分が前記ブロック共重合体を少なくともある程度包んでいる請求項63から75のいずれか記載の方法。
【請求項77】
前記繊維を前記ポリオレフィン成分の通常の結合温度より実質的に低い温度の熱で点結合させる請求項63から76のいずれか記載の方法。
【請求項78】
前記ポリオレフィンがポリエチレン、ポリプロピレンまたはこれらの組み合わせを含んで成る請求項76記載の方法。
【請求項79】
前記押出し加工を前記ODTより少なくとも10℃高い温度で行う請求項63から78のいずれか記載の方法。
【請求項80】
前記繊維を前記ODTより少なくとも50℃高い温度で押出し加工する請求項63から79のいずれか記載の方法。
【請求項81】
前記繊維が加熱された繊維の形態の時にそれに延伸を300m/分以上の速度で受けさせる請求項63から79のいずれか記載の方法。
【請求項82】
前記ブロック共重合体がスチレン−イソプレンブロック共重合体であり、前記スチレン−イソプレンブロック共重合体が、前記ブロック共重合体の1ブロック当たり約6,000から約45,000グラム/モルの範囲内の数平均分子量スチレン含有量を有しそして/または前記ブロック共重合体の1ブロック当たり約20,000から約150,000グラム/モルの範囲内の数平均分子量イソプレン含有量を有し、前記ブロック共重合体を生じさせる時に用いたスチレンの総重量が50重量%以下である請求項63から81のいずれか記載の方法。
【請求項83】
不織ウエブの製造方法であって、
少なくとも1種のブロック共重合体が炭素数が20以下のビニル芳香族単量体および式:
C=CR−CR=CR
[式中、各Rは、各場合とも独立して、水素、または炭素数が1から4のアルキルであるか、或はいずれか2個のRが一緒になって環を形成している]で表される炭素数が少なくとも5から炭素数が20以下の共役アルケン単量体から生じたブロックを少なくとも2ブロック有する、少なくとも1種のブロック共重合体を50から100重量%含んで成る組成物を紡糸口金に通して押出し加工することで繊維を生じさせ、
前記繊維を冷却し、
前記繊維に延伸を受けさせ、そして
前記繊維のウエブを生じさせる、
ことを含んで成る方法。
【請求項84】
前記組成物の加工用添加剤含有量を50%以下にする請求項83記載の方法。
【請求項85】
前記加工用添加剤がフルオロカーボン、ポリオレフィン、鉱油、ポリシロキサン流体、粘着付与剤、蝋またはこれらの組み合わせである請求項84記載の方法。
【請求項86】
前記組成物に含有させる繊維特性の劣化を軽減する添加剤、色、光沢、艶消しまたは充填を加える添加剤、粘着防止用添加剤、スリップ剤またはこれらの組み合わせの量を5%以下にする請求項83記載の方法。
【請求項87】
前記ブロック共重合体がビニル芳香族単量体単位のブロックを2ブロックとアルキル置換共役アルケン単量体単位のブロックを1ブロック有するトリブロックであるか或はビニル芳香族単量体単位のブロックを3ブロックとアルキル置換共役アルケン単量体単位のブロックを2ブロック有するペンタブロックである請求項83から86のいずれか記載の方法。
【請求項88】
前記共役アルケン単量体がイソプレンである請求項83から87のいずれか記載の方法。
【請求項89】
前記ビニル芳香族単量体の中の少なくとも1種がスチレンである請求項83から88のいずれか記載の方法。
【請求項90】
前記繊維の直径を400ミクロン未満にする請求項83から89のいずれか記載の方法。
【請求項91】
前記繊維をコンジュゲート繊維の形態にする請求項83から90のいずれか記載の方法。
【請求項92】
前記繊維をシース/コアまたは先端付き多葉断面を有するコンジュゲート繊維の形態にする請求項83から91のいずれか記載の方法。
【請求項93】
前記繊維をシース/コアまたは先端付き多葉断面を有するコンジュゲート繊維の形態にして、前記シースまたは先端成分をポリオレフィンにする請求項83から92のいずれか記載の方法。
【請求項94】
前記繊維がコアを含んで成っていて、前記コアがスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体またはスチレン−イソプレン−スチレン−イソプレン−スチレンペンタ
ブロック共重合体を含んで成る請求項83から93のいずれか記載の方法。
【請求項95】
前記繊維がコンジュゲート繊維であり、前記コンジュゲート繊維がブロック共重合体と少なくとも1種のポリオレフィン成分を含んで成っていて、前記ポリオレフィン成分が前記ブロック共重合体を少なくともある程度包んでいる請求項83から94のいずれか記載の方法。
【請求項96】
前記繊維を前記ポリオレフィン成分の通常の結合温度より実質的に低い温度の熱で点結合させる請求項83から95のいずれか記載の方法。
【請求項97】
前記ポリオレフィンがポリエチレン、ポリプロピレンまたはこれらの組み合わせを含んで成る請求項96記載の方法。
【請求項98】
前記押出し加工を前記ODTより少なくとも10℃高い温度で行う請求項83から97のいずれか記載の方法。
【請求項99】
前記繊維を前記ODTより少なくとも50℃高い温度で押出し加工する請求項83から98のいずれか記載の方法。
【請求項100】
前記繊維が加熱された繊維の形態の時にそれに延伸を300m/分以上の速度で受けさせる請求項83から99のいずれか記載の方法。
【請求項101】
前記ブロック共重合体がスチレン−イソプレントリブロック共重合体であり、前記スチレン−イソプレンブロック共重合体が、前記ブロック共重合体の1ブロック当たり約6,000から約45,000グラム/モルの範囲内の数平均分子量スチレン含有量を有しそして/または前記ブロック共重合体の1ブロック当たり約20,000から約150,000グラム/モルの範囲内の数平均分子量イソプレン含有量を有し、前記ブロック共重合体を生じさせる時に用いたスチレンの総重量が50重量%以下である請求項83から100のいずれか記載の方法。
【請求項102】
前記ブロック共重合体がスチレン−イソプレンペンタブロック共重合体であり、前記スチレン−イソプレンペンタブロック共重合体が、前記ブロック共重合体の1ブロック当たり約6,000から約45,000グラム/モルの範囲内の数平均分子量スチレン含有量を有しそして/または前記ブロック共重合体の1ブロック当たり約20,000から約150,000グラム/モルの範囲内の数平均分子量イソプレン含有量を有し、前記ブロック共重合体を生じさせる時に用いたスチレンの総重量が50重量%以下である請求項83から100のいずれか記載の方法。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−530798(P2007−530798A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518873(P2006−518873)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/021742
【国際公開番号】WO2005/005701
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(505141565)アドバンスド・デザイン・コンセプト・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (5)
【Fターム(参考)】