説明

ブースター

【課題】 簡単な構成でブースターの電源管理を行うことができる。
【解決手段】 増幅ユニット12がデジタルテレビジョン放送信号を増幅してデジタルテレビジョン受信機6に供給する。増幅ユニット12へ電源を供給する電源ユニット16が設けられている。前記デジタルテレビジョン受信機と、この受信機に対する入出力機器との間で、デジタル映像及び音声信号を伝送するHDMI信号に含まれるCEC信号が、HDMI端子22に入力され、CPU20が、CEC信号に対応して、電源ユニット16から増幅ユニット12への動作電流を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルテレビジョン放送信号を増幅して、デジタルテレビジョン受信機に供給するブースターに関し、特に、そのブースターの電源管理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン受信機の電源オンに同期して、ブースターの電源をオンとするものとしては、例えば特許文献1に開示されているようなものがある。特許文献1の技術では、テレビ受信システムのコンセント装置には、テレビジョン受信機の電源の状態を検知する検知ユニットが設けられ、この検知ユニットがテレビジョン受信機の電源オフを検知すると、同軸ケーブルを介してブースターに直流10Vの電圧を送信ユニットが送信する。ブースターには、前記電圧信号を受信したとき、ブースターへの電源供給を停止し、電圧信号を受信していないとき、ブースターへ電源供給する電源部スイッチが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−339669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、電源スイッチ部の制御用に直流の電圧信号を同軸ケーブルを介して伝送しているので、コンセント装置には、電圧信号を発生するための送信ユニットが必要である。また、直流の電圧信号を同軸ケーブルを介して伝送しているので、ブースターの電源部を屋内に設置し、ブースターを屋外のアンテナの近傍に設置し、同軸ケーブルを介して電源部からの動作電流をブースターへ供給するという使用ができず、ブースターは常に電源部を内蔵したものでなければならない。
【0005】
本発明は、構成が簡単でかつ電源分離型のブースターでも電源管理を行うことができるブースターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態のブースターは、デジタルテレビジョン放送信号を増幅して、デジタルテレビジョン受信機に供給する前置増幅手段を有している。この前置増幅手段に対する電源手段が設けられている。この電源手段は、前置増幅手段の近傍に配置することもできるし、前置増幅手段と離れて配置することもできる。いわゆる電源内蔵型のブースターとすることもできるし、電源分離形のブースターとすることもできる。前記デジタルテレビジョン受信機と、この受信機に対する入出力機器との間で、デジタル映像及び音声信号を伝送するマルチメディアインターフェース信号に含まれる、前記デジタルテレビジョン受信機及び前記入出力機器を制御するための制御信号が、制御信号入力部に入力される。マルチメディアインターフェース信号としては、例えばHDMI(登録商標)信号やDLNA信号を使用することもできる。制御信号としては、例えばHDMI信号に含まれるCEC信号を使用することができる。この制御信号入力部において受けた前記制御信号に対応して、制御手段が前記電源手段から前記前置増幅手段に供給される動作電流を制御する。制御信号入力部へのマルチメディアインターフェース信号の伝送は、ケーブルによる場合と、無線による場合とがある。
【0007】
このように構成すると、マルチメディアインターフェース信号に含まれる制御信号を使用しているので、制御手段は、制御信号の内容を判定する構成のものを使用することができ、別途直流電圧信号を同軸ケーブルを介して伝送する必要が無く、構成を簡略化することができる。また、制御信号を同軸ケーブルを介して前置増幅手段側に伝送する必要がないので、前置増幅手段と電源部とが離れて設置されるいわゆる電源分離型のブースターにも適用することができる。
【0008】
前記デジタルテレビジョン受信機の電源オン情報、または前記デジタルテレビジョン受信機において使用されるソフトウェア及び放送受信環境データのダウンロード情報を、前記制御信号が含むとき、前記制御手段が、前記前置増幅手段に前記電源手段から動作電流を供給することもできる。なお、制御信号がダウンロード情報を含むとき、デジタルテレビジョン受信機は、その一部が動作するスタンバイ状態にある。デジタルテレビジョン受信機では、このデジタルテレビジョン受信機において使用されるソフトウェア及び放送受信環境データをアンテナで受信し、それをデジタルテレビジョン受信機でダウンロードする必要がある。このような場合、ダウンロードが行われているとき、前置増幅手段が動作している必要がある。特許文献1の技術では、このような場合に対応することができない。しかし、上述したように構成すると、ダウンロードのため前記デジタルテレビジョン受信機の一部が動作しているとき、前記前置増幅手段に前記電源手段から動作電流を供給するので、アンテナで受信されたソフトウェア及び放送受信環境データが前置増幅手段で増幅されて、デジタルテレビジョン受信機に供給される。従って、省電力化を図りながら、正常にダウンロードを行うことができる。
【0009】
ブースターに簡易型デジタル放送受信手段、例えば1セグ受信手段を設けることもできる。この場合、前記制御手段は、この簡易型デジタル放送受信手段によって受信されたダウンロード告知情報を記憶し、このダウンロード告知情報が表す時点となったとき、前記前置増幅手段に前記電源手段から動作電流を供給する。このように構成すると、ダウンロードが行われる時点になると、前置増幅手段が自動的に動作し、省電力化を図りながら、正常にダウンロードを行うことができる。なお、デジタルテレビジョン受信機によって受信したダウンロード告知情報を、例えばマルチメディアインターフェース信号中の制御信号に変換して前記制御手段に供給して記憶し、このダウンロード告知情報が表す時点となったとき、前記前置増幅手段に前記電源手段から動作電流を供給するように構成することもできる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によるブースターでは、構成が簡単であり、かつ電源分離型のブースターでも電源管理を行うことができる。また、デジタルテレビジョン受信機において使用されるソフトウェア及び放送受信環境データを省電力化を図りながら、デジタルテレビジョン受信機に確実にダウンロードさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態のブースターとデジタルテレビジョン受信機との接続状態を示すブロック図である。
【図2】図1のブースターの詳細なブロック図である。
【図3】図2のCPUが行う処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態のブースターとデジタルテレビジョン受信機との接続状態を示すブロック図である。
【図5】図4のブースターの電源部の詳細なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1の実施形態のブースター2は、図1に示すように電源内蔵型のもので、家屋4の内部のデジタルテレビジョン受信機6の近傍に配置されている。屋外に配置されたデジタルテレビジョン放送受信用のアンテナ8で受信されたデジタルテレビジョン放送信号は、ブースター2で増幅されて、デジタルテレビジョン受信機6に供給される。
【0013】
ブースター2は、図2に示すように、入力端子10を有している。この入力端子10には、デジタルテレビジョン放送受信用のアンテナ8で受信されたデジタルテレビジョン放送信号が供給されている。このデジタルテレビジョン放送信号は、前置増幅手段、例えば増幅ユニット12によって増幅され、出力端子14に供給される。出力端子14は、同軸ケーブルによってデジタルテレビジョン受信機6に接続されている。この同軸ケーブルを介して、増幅されたデジタルテレビジョン放送信号がデジタルテレビジョン受信機6に供給される。
【0014】
増幅ユニット12に対する電源手段、例えば電源ユニット16が、増幅ユニット12と共に1つのケース内に設けられている。この電源ユニット16は、商用交流電源に接続され、この交流電源を直流電源に変換して、増幅ユニット12に供給するもので、この電源ユニット16と増幅ユニット12との間に、スイッチ手段、例えばスイッチユニット18が設けられている。スイッチユニット18は、制御手段、例えばCPU20によって制御され、スイッチユニット18が閉じられているとき、電源ユニット16から増幅ユニット12に動作電流が供給され、増幅ユニット12が動作する。スイッチユニット18が開かれているとき、電源ユニット16から増幅ユニット12に動作電流が供給されず、増幅ユニット12が停止している。
【0015】
CPU20がスイッチユニット18を制御するために、制御信号入力部、例えばHDMI端子22が設けられている。HDMI端子22は、HDMIケーブルを介してデジタルテレビジョン受信機6のHDMI端子に接続されている。HDMI端子22とデジタルテレビジョン受信機6のHDMI端子間では、マルチメディアインターフェース信号、例えばHDMI信号がHDMIケーブルを介して伝送される。HDMI信号は、デジタルテレビジョン受信機6と、これに対する入出力機器、例えばDVDレコーダーやパーソナルコンピューター等(図示せず)との間でデジタル映像信号及びオーディオ信号を伝送するために規格されたもので、HDMI信号中には、デジタルテレビジョン受信機6や入出力機器を制御するための制御信号、例えばCEC(Consumer Electronics Control)信号が含まれている。このCEC信号をCPU20が判断して、スイッチユニット18を開閉する。
【0016】
例えばリモートコントロール送信機によってデジタルテレビジョン受信機6の電源がオンされると、デジタルテレビジョン受信機6からのHDMI信号がHDMI端子22を介してCPU20に供給される。図3に示すように、CPU20は、HDMI信号を受けると、HDMI信号中のCEC信号にデジタルテレビジョン受信機6が電源オンであることを表す電源オン情報が含まれているか判断する(ステップS2)。その判断の答えがイエスの場合、スイッチユニット18を閉じて増幅ユニット12に電源を供給し、増幅ユニット12を動作させる(ステップS4)。
【0017】
ステップS2の判断の答えがノーの場合、CPU20は、CEC信号中にES(エンジニアリングサービス)信号が含まれているか判断する(ステップS6)。ES信号は、例えばデジタルテレビジョン受信機6が備えているCPUが使用するソフトウェアや、放送受信環境データ、例えば電子番組表をバージョンアップするためのデータで、デジタルテレビジョン放送信号に含まれて伝送される。例えば深夜などの通常にはデジタルテレビジョン放送が行われず、デジタルテレビジョン受信機6が使用されていないような時間帯に、このバージョンアップのデータをデジタルテレビジョン受信機6で受信する。このES信号が伝送されているとき、デジタルテレビジョン受信機6の一部の機能に電源が供給されている(スタンバイ状態)。このスタンバイ状態において、ブースター2が動作していないと、デジタルテレビジョン受信機6で受信が不能である。従って、CEC信号中にES信号が含まれていると判断すると(ステップS6の判断の答えがイエス)、CPU20は、増幅ユニット12に電源を供給し、増幅ユニット12を動作させる(ステップS8)。
【0018】
ステップS6の判断の答えがノーの場合、即ちデジタルテレビジョン受信機6の電源がオフで、かつデジタルテレビジョン受信機6がES信号を受信していないときには、スイッチユニット18を開いて、増幅ユニット12を停止させている。これによって、デジタルテレビジョン受信機6が完全に動作停止しているときには、ブースター2も停止させることができ、省電力化を図っている。また、このような制御は、デジタルテレビジョン受信機6から供給されるCEC信号に基づいて行っているので、デジタルテレビジョン受信機6から、ブースター2の電源制御用の信号を伝送する必要が無く、構成を簡略化することができる。
【0019】
図2に示すように、増幅ユニット12の出力側と出力端子14との間には、分岐手段、例えば1分岐器24が設けられ、1分岐器24の分岐出力が、簡易型デジタル放送受信手段、例えば1セグ受信部26に供給されている。1セグ受信部26は、1セグメントデジタルテレビジョン放送信号を受信し、CPU20に供給する。1セグメントデジタルテレビジョン放送信号中には、ダウンロード告知情報、例えば上述したバージョンアップ用のデータがデジタルテレビジョン放送信号によって伝送される時点、例えば何年何月何日何時かを表す告知情報SDTT信号が含まれている。CPU20は、SDTT信号がデジタルテレビジョン放送信号に含まれていると(ステップS12)、SDTT信号を解析し(ステップS14)、ダウンロードの時点を決定し、それを保存する(ステップS16)。そして、保存されたダウンロードの時点は、所定の期限ごとに、今日がそのダウンロードの時点であるかステップS14において判断され、その判断の答えがイエスの場合、ステップS6以降の処理が実行される。このように構成すると、ダウンロードの日付にはかならずES信号が存在するか否かの判断が実行されるので、ダウンロードの日時に誤ってブースター2が動作停止することを防止できる。
【0020】
第2の実施形態のブースターは、図4に示すように電源分離型のブースター2aで、増幅ユニット12は、屋外のデジタルテレビジョン放送受信用のアンテナ8の近傍に設置され、デジタルテレビジョン放送受信用のアンテナ8で受信されたデジタルテレビジョン放送信号を増幅して、同軸ケーブルを介して図5に示すように電源部28の入力端子10aに供給している。
【0021】
入力端子10aに供給されたデジタルテレビジョン放送信号は、直流阻止コンデンサ30を介して出力端子14に供給され、デジタルテレビジョン受信機6に供給される。また、入力端子10aには、高周波阻止コイル32を介してスイッチユニット18が接続されている。他の構成は、第1の実施形態と同等であるので、同等部分には同一符号を付して、その説明を省略する。このブースター2aの電源部28では、スイッチユニット18が閉じられたとき、電源ユニット16からの動作電流が高周波阻止コイル32、入力端子10a、同軸ケーブルを介して増幅ユニット12に供給され、増幅ユニット12が動作する。従って、同軸ケーブルを介して増幅ユニット12に制御信号を伝送する必要が無く、構成を簡略化することができる。
【0022】
上記の両実施形態では、1セグ受信部26を設置したが、場合によっては除去することができる。1セグ受信部26を除去した場合、例えばデジタルテレビジョン受信機6でSDTT信号を受信し、このSDTT信号をHDMI信号中のCEC信号に変換してCPU20に供給し、SDTT信号を解析してダウンロードの時点を決定し、それを保存するように構成することもできる。これによって、保存されたダウンロードの時点になると上述したのと同様にして、増幅ユニット12に電源を供給し、増幅ユニット12を動作させる。上記の両実施形態では、電源ユニット16の出力側にスイッチユニット18を設けて、電源ユニット16からの直流電源を断続させたが、電源ユニット16の入力側にスイッチユニット18を設けて、電源ユニット16へ交流電源を断続させるように構成することもできる。上記の両実施形態では、制御信号としてHDMI信号中のCEC信号を使用したが、これに限ったものではなく、例えばDLNA規格に従った信号を使用することもできる。この場合、デジタルテレビジョン受信機6とCPU20は、無線で接続されることもある。
【符号の説明】
【0023】
2 2a ブースター
6 デジタルテレビジョン受信機
8 デジタルテレビジョン放送受信用のアンテナ
12 増幅ユニット(前置増幅手段)
16 電源ユニット(電源手段)
20 CPU(制御手段)
22 HDMI端子(制御信号入力部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルテレビジョン放送信号を増幅して、デジタルテレビジョン受信機に供給する前置増幅手段と、
この前置増幅手段に対する電源手段と、
前記テレビジョン受信機と、この受信機に対する入出力機器との間で、デジタル映像及び音声信号を伝送するマルチメディアインターフェース信号に含まれる、前記テレビジョン受信機及び前記入出力機器を制御するための制御信号が、入力される制御信号入力部と、
この制御信号入力部において受けた前記制御信号に対応して、前記電源手段から前記前置増幅手段に供給される動作電流を制御する制御手段とを、
具備するブースター。
【請求項2】
請求項1記載のブースターにおいて、前記デジタルテレビジョン受信機の電源オン情報、または前記デジタルテレビジョン受信機において使用されるソフトウェア及び放送受信環境データのダウンロード情報を、前記制御信号が含むとき、前記制御手段が、前記前置増幅手段に前記電源手段から動作電流を供給するブースター。
【請求項3】
請求項1または2記載のブースターにおいて、簡易型デジタル放送受信手段が設けられ、前記制御手段は、前記簡易型デジタル放送受信手段によって受信されたダウンロード告知情報を記憶し、このダウンロード告知情報が表す時点となったとき、前記前置増幅手段に前記電源手段から動作電流を供給するブースター。
【請求項4】
請求項1または2記載のブースターにおいて、前記デジタルテレビジョン受信機によって受信されたダウンロード告知情報を記憶し、このダウンロード告知情報が表す時点となったとき、前記前置増幅手段に前記電源手段から動作電流を供給するブースター。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−234276(P2011−234276A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105029(P2010−105029)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】