説明

プッシュオンスイッチ

【課題】各種電子機器の操作部に用いられるプッシュオンスイッチに関し、静電気対策がなされた薄型構成のものを提供する。
【解決手段】上面開口の箱形で、その内底面に設けられた中央固定接点12および外側固定接点13にそれぞれ繋がったJベント形状の端子12Aおよび13Aが設けられたスイッチケース11内に可動接点14を収容すると共に、前記開口部を覆うように貼付した絶縁性フィルムからなるカバーシート15上の被押圧部としてなる中央部から前記端子13Aに近い外縁部までの間に導電性被膜16を設けて静電気を前記端子13A側に導くようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器の操作部などに用いられるプッシュオンスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各種電子機器は、小型・薄型化が進展し、それに搭載される部品としても小型・薄型化されたものが多くなっている。
【0003】
そのような従来のプッシュオンスイッチについて、図11〜図14を用いて説明する。
【0004】
図11は従来のプッシュオンスイッチの外観斜視図、図12は同断面図、図13は同分解斜視図である。
【0005】
同図において、1は上面開口の箱形に形成された絶縁樹脂製のスイッチケースであり、その開口部の内底面には、中央に中央固定接点2が設けられ、この中央固定接点2を挟んで外側固定接点3が二箇所に設けられている。そして、前記中央固定接点2および外側固定接点3からのそれぞれ延設部分は、前記スイッチケース1の対向する外側面1A,1Bからそれぞれ外方に導出され、外部接続用の端子2Aおよび3Aとして形成されている。これらの端子2A,3Aは、スイッチケース1の外側面1A,1Bの下端から導出され、そこから先端が上方を向くように曲げられ、所謂Jベント形状のものとして構成されている。
【0006】
そして、図14のスイッチケースの下面図に示すように、中央固定接点2および外側固定接点3は、スイッチケース1の開口部内底面から外方の端子2A,3Aに至る絶縁樹脂に埋設された部分の中間位置において、スイッチケース1の下面1Cに露出するように曲げ加工がなされて固定されており、これによりスイッチケース1の厚みの薄型化が図られている。
【0007】
そして、4は、金属薄板からなり、外形が円形でその中央部が上方に膨出したドーム状の可動接点であり、その外周下端が前記外側固定接点3上に載置されて前記スイッチケース1内に収容されている。ドーム状の中央頂点部4A下面は前記中央固定接点2と対峙している。
【0008】
そして、前記スイッチケース1の開口部は、可撓性を有する絶縁性フィルムからなるカバーシート5で覆われている。このカバーシート5は、周囲の部分が、スイッチケース1の開口部を構成する外側壁上に粘着剤などで固定されている。
【0009】
以上のように構成されたプッシュオンスイッチは、上方から押圧力を加えると、カバーシート5を介して可動接点4のドーム状部分が押圧され、所定の押圧力を超えるとそのドーム状部分が節度感を伴って下方に反転し、ドーム状の中央頂点部4A下面が対峙していた中央固定接点2に接触する。これにより、外側固定接点3と中央固定接点2との間が可動接点4を介して電気的に導通したスイッチオン状態となる。
【0010】
そして、加えていた押圧力を除くと、下方に反転していた可動接点4のドーム状部分が、自己復元力により再度節度感を伴って上方に膨出した元の形状に復元すると同時に、その下面が中央固定接点2から離れて外側固定接点3と中央固定接点2との間が電気的な独立状態に戻り、スイッチオフ状態となるものであった。
【0011】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1、特許文献2が知られている。
【特許文献1】特開2003−297175号公報
【特許文献2】特開2002−343178号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記従来のプッシュオンスイッチは、使用される電子機器の配線基板に対し、可動接点4と電気的に常接している外側固定接点3からの端子3Aを通常マイナス極(アース側)に接続するようにはんだ付け接続されて用いられるが、カバーシート5が絶縁性フィルムであることから、静電気を帯びた人により機器の操作ボタンが操作されることなどを配慮して、場合によっては、機器側でその静電気対策を施さなければならなかった。
【0013】
一方、特開2002−343178号公報に開示したもののように、部品側で静電気対策を施した構成のもの、つまり前述した絶縁樹脂製のカバーシート5を金属製のカバー部材として所定の端子に当接させ、その端子を機器のアース回路側に接続させる構成のものもあったが、このものは、可動接点押圧用の駆動部材を配しているものであったため、スイッチの薄型化が難しいという課題があった。
【0014】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、操作時などに流入する静電気への対策が部品側で施された薄型構成のプッシュオンスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0016】
本発明の請求項1に記載の発明は、箱形の内底面に複数の固定接点が配設され、それら各固定接点からの延設部分が外側面下端から導出されると共に上方に向けて曲げ形成されてJベント形状の端子になされた絶縁樹脂製のスイッチケースと、前記スイッチケース内に配され、押圧操作により前記複数の固定接点間を電気的に接離する可動接点と、前記可動接点が内包状態になるように前記スイッチケースの上面を覆う絶縁性のカバーシートとを備え、前記カバーシートの上面には、被押圧部となる中央部から前記端子の一つに近接する外縁部まで導電体が設けられていることを特徴とするプッシュオンスイッチとしたものであり、機器の操作ボタンなどを介して流入する静電気を、カバーシート上面に設けられた導電体を介してカバーシートの外縁部に近接した前記所定の端子まで導くことができ、その端子をマイナス極(アース側)に接続しておくことにより、前記流入した静電気を使用機器のアース回路に逃がすようにできる薄型構成のプッシュオンスイッチが得られるという作用を有する。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、カバーシート上面に設けられた導電体が、前記カバーシート上面に貼付された導電性フィルムであることを特徴とするものであり、静電気を端子まで導く導電体を容易かつ簡単に形成することができるという作用を有する。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の発明において、端子に近接するカバーシートの外縁部部分にフラップが延設されると共に、このフラップが前記端子よりスイッチケース側に位置するように下方に曲げられて、前記フラップ上面に延設された導電体が前記端子と接触していることを特徴とするものであり、フラップ上の導電体が前記端子と接触しているため、静電気を前記端子へ確実に導くことができるという作用を有する。
【0019】
請求項4に記載の発明は、箱形の内底面に複数の固定接点が配設され、それら各固定接点からの延設部分が外側面下端から導出されると共に上方に向けて曲げ形成されてJベント形状の端子になされた絶縁樹脂製のスイッチケースと、前記スイッチケース内に配され、押圧操作により前記複数の固定接点間を電気的に接離する可動接点と、前記可動接点が内包状態になるように前記スイッチケースの上面を覆う絶縁性のカバーシートとを備え、さらに前記スイッチケースには、前記端子と同様のJベント形状のアース用端子が電気的に独立して設けられ、前記カバーシートの上面には、被押圧部となる中央部から前記アース用端子に近接する外縁部まで導電体が設けられていることを特徴とするプッシュオンスイッチとしたものであり、スイッチ回路部分を使わずに、それとは電気的に独立して設けたアース用端子を介して流入した静電気を逃がすようにできるという作用を有する。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の発明において、スイッチケースに設けられたアース用端子が、前記スイッチケースの内底面に設けられた複数の固定接点およびそれらに繋がる端子と同一の一枚の金属板からなり、かつそれら固定接点および端子の形成時に電気的に独立状態で形成されたことを特徴とするものであり、新たな部材を用いることなく、アース用端子と固定接点およびその端子とを同時に一枚の金属板から電気的にそれぞれ独立させて形成したもののため、アース用端子が設けられたものをコストアップが少なく構成できるという作用を有する。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項4記載の発明において、カバーシート上面に設けられた導電体が、前記カバーシート上面に貼付された導電性フィルムであることを特徴とするものであり、請求項4記載の発明による作用に加え、導電体を容易かつ簡単に形成することができるという作用を有する。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項4記載の発明において、アース用端子に近接するカバーシートの外縁部部分にフラップが延設されると共に、このフラップが前記アース用端子よりスイッチケース側に位置するように下方に曲げられて、前記フラップ上面に延設された導電体が前記アース用端子と接触していることを特徴とするものであり、請求項4記載の発明による作用に加え、フラップ上の導電体が前記アース用端子と接触しているため、静電気を前記アース用端子へ確実に導くことができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0023】
以上のように本発明によれば、カバーシート上面に設けた導電体が、機器の操作ボタンなどを介して流入する静電気をその外縁部に近接した所定の端子まで導き、その端子を介して電子機器のアース回路に逃がすようにできるため、機器の静電気による電気的な障害などを低減できる薄型構成のプッシュオンスイッチを提供することができるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図10を用いて説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態によるプッシュオンスイッチの外観斜視図、図2は同分解斜視図であり、同図において、11は上面開口の箱形で絶縁樹脂からなるスイッチケースで、その開口部の内底面には、中央に中央固定接点12が、またその中央固定接点12を中心とした対向する二箇所の位置に外側固定接点13がインサート成形されて固定されている。
【0026】
そして、それら中央固定接点12および外側固定接点13からの延設部分は、外部接続用の端子12Aおよび13Aとして、スイッチケース11の対向する外側面11A,11B下端からそれぞれ導出されている。そして、前記端子12A,13Aは、その導出部の根元部から上方に向けて曲げられてJベント形状になされている点や、中央固定接点12および外側固定接点13は、スイッチケース11の開口部内底面から外方の端子12A,13Aに至る絶縁樹脂に埋設された部分の中間位置でスイッチケース11の下面11Cに露出するように曲げ加工がなされて固定され、これによりスイッチケース11の薄型化が図られていることなどは、従来のものと同じである。
【0027】
そして、14は、外形が円形でその中央部が上方に膨出したドーム状の可動接点であり、その中央頂点部14A下面が中央固定接点12に所定間隔をあけて対峙するように、その外周下端が外側固定接点13上に載置されてスイッチケース11内に内包状態で収容されていることも従来のものと同じである。
【0028】
そして、15は、可撓性を有する絶縁性フィルムからなる略方形のカバーシートであり、前記可動接点14が収容されたスイッチケース11の開口部を覆うように、その周囲の部分が、前記スイッチケース11の開口部を構成する外側壁上に粘着剤などで貼付されていることも従来のものと同じであるが、このカバーシート15には、その上面を二分するほぼ半分の領域に導電体としての導電性被膜16が印刷形成されている。
【0029】
そして、その導電性被膜16は、スイッチが押圧操作される際の被押圧部としての上面中央部から、前記外側固定接点13から延設されてスイッチケース11の対向する外側面11A,11Bそれぞれに備えられたJベント形状の端子13Aの先端部に近い外縁部まで印刷形成されている。
【0030】
以上のように構成されたプッシュオンスイッチは、カバーシート15上方から機器の操作ボタンなどで押圧操作されると、カバーシート15を介して下方の可動接点14のドーム状部分が押圧され、所定の押圧力を超えるとそのドーム状部分が節度感を伴って反転動作すると同時に、その中央頂点部14A下面が中央固定接点12に接触し可動接点14を介して外側固定接点13と中央固定接点12との間が導通したスイッチオン状態となり、その操作力を除くと、可動接点14の自己復元力によりドーム状部分が節度感を伴って元の押圧前の状態に復元すると同時にスイッチオフ状態となる。
【0031】
そして、このプッシュオンスイッチは、図示していないが使用される電子機器の配線基板に4つの端子12A,13Aそれぞれをはんだ付け接続して実装されるものである。このとき、外側固定接点13と繋がった端子13Aを、配線基板のアース回路(マイナス極)側と繋がるランドに接続して用いる。
【0032】
つまり、前記実装状態であれば、使用される電子機器の操作ボタンなどから流入する静電気は、カバーシート15上面の被押圧部である中央部から端子13Aに近い外縁部まで設けた導電性被膜16により、近接する端子13Aに常に導かれ、端子13Aを介して配線基板のアース回路に逃がせるようにできるため、電子機器の静電気による障害などが低減でき、しかも当該プッシュオンスイッチ自身としても薄型構成のものとして容易に実現することができる。
【0033】
なお、導電性被膜16を設けたカバーシート15は、図3に示すように、所定幅の絶縁性の帯状フィルム15Aを用い、幅方向のほぼ半分にスクリーン印刷で導電性被膜16を塗布形成した後、同図中に破線で示すように、略方形のカバーシート15の形状に合わせて連続して打ち抜き加工してカバーシート15を形成すると材料的にも製造工数的にも効率が良い。
【0034】
また、導電体としては印刷形成する以外に、図4に示すように、上述した領域に相当する形状に加工された可撓性を有する導電性フィルム17を、上面に導電体を備えていない絶縁性フィルム製のカバーシート18に貼付して形成しても良く、この方式も容易かつ簡単であるため好ましい。なお、その導電性フィルム17の貼付は、図4に示したように、スイッチの組み立てが終わった状態で貼付したり、または、カバーシート18を形成するための前工程、途中工程あるいは形成した後など、どの段階で貼付しても良い。
【0035】
更に、導電体を備えたカバーシートを図5の外観斜視図に示すように構成してさらに確実な静電気対策を施した薄型構成のプッシュオンスイッチとすることもできる。
【0036】
すなわち、当該構成のものは、同図に示すように、カバーシート19として、外側固定接点13と繋がるJベント形状の端子13Aに応じた位置にフラップ19Aが突設され、かつその上面に導電体として形成された導電性被膜20も前記フラップ19A上面に延設されたものを用い、そのフラップ19Aを端子13Aよりスイッチケース11の外側面11A,11B側に位置するように下方に曲げてその先端部が端子13Aの曲げの内面側に当接させるように構成したものである。なお、その他のスイッチ構成は前記図1、図2で説明したものと同じであるため説明は省略する。
【0037】
そして、当該構成のものであれば、押圧操作されるカバーシート19上面の被押圧部としての中央部から一体に繋がったフラップ19A上の導電性被膜20が端子13Aと接触したものにできるため、静電気を確実に端子13Aへ導いてアース回路に流せる薄型構成のものにできる。
【0038】
(実施の形態2)
図6は本発明の第2の実施の形態によるプッシュオンスイッチの外観斜視図、図7は同スイッチケースの上面図である。なお、実施の形態1の構成と同一構成の部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0039】
図6において、21は、上方開口の箱形で、その内底面中央に中央固定接点22が、またその中央固定接点22を中心とした対向する二箇所の位置に外側固定接点23がインサート成形固定された絶縁樹脂製のスイッチケースであり、前記中央固定接点22および外側固定接点23それぞれからの延設部分は、スイッチケース21の対向した外側面21A,21B下端から導出されてJベント形状の端子22A,23Aとして形成されていることは、第1の実施の形態の場合と同じであるが、前記端子22A,23Aが延出されたスイッチケース21の対向する外側面21A,21Bに挟まれた他方の対向する外側面の内、前記外側固定接点23から延設された端子23A側に相当する外側面21Dのほぼ中央位置に前記端子22A,23Aと同じJベント形状に形成されたアース用端子24を設けている点が異なっている。
【0040】
そして、このスイッチケース21内には、前記同様に可動接点が内包状態で配され、その開口部上を覆うように可撓性を有する絶縁性フィルムからなるカバーシート25が粘着剤などでスイッチケース21上に固定されている。なお、カバーシート25は、前記端子23Aの近傍位置となる二箇所のコーナー部は所定範囲の三角形状で除かれた形状になされている。
【0041】
そして、前記アース用端子24は、中央固定接点22、外側固定接点23およびそれらの端子22A,23Aと共に一枚の同一金属板から切断加工、曲げ加工がなされてコストアップが少なく同時に形成されており、図7のスイッチケースの上面図に示すように、外側固定接点23および中央固定接点22とは電気的に絶縁された独立状態で、その一端がスイッチケース21内にインサート成形で埋設固定され、外側面21Dの下端から導出された部分が、そこから上方に向けて曲げられて他端がカバーシート25の外縁部に近接した位置となるように形成されている。
【0042】
そして、前記カバーシート25の上面には、被押圧部としての中央部から前記アース用端子24に近い外縁部までの片側の領域に導電体としてなる導電性被膜26が印刷形成されている。
【0043】
その他の構成は、前記第1の実施の形態によるものと同じであるので説明を省略する。また、その動作についても、前記第1の実施の形態と同じであるため説明を省略する。
【0044】
そして、当該構成とされたプッシュオンスイッチは、図示していないが使用される電子機器の配線基板に端子22A,23Aおよびアース用端子24のそれぞれをはんだ付け接続して使用するものである。このとき、各固定接点22,23と繋がった端子22A,23Aは所定の電気回路に対して接続され、アース用端子24は、アース回路(マイナス極)側に接続されて実装される。そして、カバーシート25上面の中央部が押圧操作されるとスイッチが導通状態に切り換わり、それに伴って電子機器の所定の機能が働くように用いられる。
【0045】
そして、前記実装状態では、機器の操作ボタンなどを介して流入する静電気は、導電性被膜26により、カバーシート25上面の被押圧部としての中央部からアース用端子24に近い外縁部まで導かれ、その近接位置に配された、スイッチ回路部分とは電気的に独立しているアース用端子24を介して静電気を基板のアース回路に逃がすようにできる。このとき、静電気はスイッチ回路部分を用いずに逃がせるため、電子機器の静電気による障害などをさらに低減させることができる薄型構成のプッシュオンスイッチにできる。
【0046】
なお、上面に導電性被膜26を設けたカバーシート25は、図8に示すように、所定幅の絶縁性の帯状フィルム25Aを用い、幅方向の中央部分にスクリーン印刷等で導電性被膜26を塗布形成した後、図中に破線で示すように、前記に説明した導電性被膜26の形状となるようカバーシート25を交互に向きを変えて隙間をあけずに打ち抜き加工して導電性被膜26付きカバーシート25に形成すると材料的にも製造工数的にも効率が良い。
【0047】
また、導電性被膜26の代わりに、図9に示すように、上述した領域に相当する形状に加工された可撓性を有する導電性フィルム27を、上面に導電性を備えない絶縁性フィルム製のカバーシート28に貼付して形成しても良く、この方式も容易かつ簡単であるため好ましい。また、その貼付するタイミングは、スイッチの組み立てが終わった状態で貼付したり、もしくはカバーシート28を形成する前工程、途中工程あるいは形成した後など、どの段階で貼付しても良い。
【0048】
なお、図10の外観斜視図に示すように、アース用端子24に対応した位置にフラップ29Aが突設されているカバーシート29を用い、そのフラップ29A上にも中央部からの導電性被膜30が延設されたものとし、そのフラップ29Aをスイッチケース21のアース用端子24よりスイッチケース21の外側面21D側に位置するように根元付近で下方に曲げ、その先端部が前記アース用端子24の曲げの内面側に当接させたものとしてもよい。
【0049】
この図10に示した形態であれば、カバーシート29の導電性被膜30とアース用端子24との間が電気的に接続した状態のものにできるため、操作時などに機器の操作ボタンなどを介して流入する静電気をアース用端子24へ確実に導いて電子機器のアース回路に流すことができ、静電気による電子機器の電気的な障害の発生がさらに低減できる。
【0050】
なお、前記いずれの実施の形態のものも、導電体がカバーシートの上面を略二分するように配された形態として説明したが、導電体は、押圧操作される中央部と静電気を導く方向の外縁部との間が導通状態となるものであれば良く、例えばその間を略帯状の導電体で繋ぐ、または中央部を機器の操作ボタンに応じた形状にするなど必要に応じてその形状や配置状態は適宜設定すればよく、さらには導電体の構成方法も前述したものに限られることもない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によるプッシュオンスイッチは、絶縁性のカバーシート上の被押圧部から所望の端子に近い外縁部まで導電体を設けた構成としたので、操作時などに流入する静電気をその導電体を通じて所望の端子に導いて電子機器の配線基板のアース回路に流すようにできる薄型構成のプッシュオンスイッチを提供できるという特徴を有し、各種電子機器の操作部等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるプッシュオンスイッチの外観斜視図
【図2】同分解斜視図
【図3】同カバーシートの製造状態を示す概念図
【図4】同要部である導電体を導電性フィルムで構成する形態のものの外観斜視図
【図5】同カバーシートにフラップを設けた形態のものの外観斜視図
【図6】本発明の第2の実施の形態によるプッシュオンスイッチの外観斜視図
【図7】同スイッチケースの上面図
【図8】同カバーシートの製造状態を示す概念図
【図9】同要部である導電体を導電性フィルムで構成する形態のものの外観斜視図
【図10】同カバーシートにフラップを設けた形態のものの外観斜視図
【図11】従来のプッシュオンスイッチの外観斜視図
【図12】同断面図
【図13】同分解斜視図
【図14】同スイッチケースの下面図
【符号の説明】
【0053】
11,21 スイッチケース
11A,11B,21A,21B,21D 外側面
11C 下面
12,22 中央固定接点
12A,13A,22A,23A 端子
13,23 外側固定接点
14 可動接点
14A 中央頂点部
15,18,19,25,28,29 カバーシート
15A,25A 帯状フィルム
16,20,26,30 導電性被膜
17,27 導電性フィルム
19A,29A フラップ
24 アース用端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱形の内底面に複数の固定接点が配設され、それら各固定接点からの延設部分が外側面下端から導出されると共に上方に向けて曲げ形成されてJベント形状の端子になされた絶縁樹脂製のスイッチケースと、前記スイッチケース内に配され、押圧操作により前記複数の固定接点間を電気的に接離する可動接点と、前記可動接点が内包状態になるように前記スイッチケースの上面を覆う絶縁性のカバーシートとを備え、前記カバーシートの上面には、被押圧部となる中央部から前記端子の一つに近接する外縁部まで導電体が設けられていることを特徴とするプッシュオンスイッチ。
【請求項2】
カバーシート上面に設けられた導電体が、前記カバーシート上面に貼付された導電性フィルムであることを特徴とする請求項1記載のプッシュオンスイッチ。
【請求項3】
端子に近接するカバーシートの外縁部部分にフラップが延設されると共に、このフラップが前記端子よりスイッチケース側に位置するように下方に曲げられて、前記フラップ上面に延設された導電体が前記端子と接触していることを特徴とする請求項1記載のプッシュオンスイッチ。
【請求項4】
箱形の内底面に複数の固定接点が配設され、それら各固定接点からの延設部分が外側面下端から導出されると共に上方に向けて曲げ形成されてJベント形状の端子になされた絶縁樹脂製のスイッチケースと、前記スイッチケース内に配され、押圧操作により前記複数の固定接点間を電気的に接離する可動接点と、前記可動接点が内包状態になるように前記スイッチケースの上面を覆う絶縁性のカバーシートとを備え、さらに前記スイッチケースには、前記端子と同様のJベント形状のアース用端子が電気的に独立して設けられ、前記カバーシートの上面には、被押圧部となる中央部から前記アース端子に近接する外縁部まで導電体が設けられていることを特徴とするプッシュオンスイッチ。
【請求項5】
スイッチケースに設けられたアース用端子が、前記スイッチケースの内底面に設けられた複数の固定接点およびそれらに繋がる端子と同一の一枚の金属板からなり、かつそれら固定接点および端子の形成時に電気的に独立状態で形成されたことを特徴とする請求項4記載のプッシュオンスイッチ。
【請求項6】
カバーシート上面に設けられた導電体が、前記カバーシート上面に貼付された導電性フィルムであることを特徴とする請求項4記載のプッシュオンスイッチ。
【請求項7】
アース用端子に近接するカバーシートの外縁部部分にフラップが延設すると共に、このフラップが前記アース用端子よりスイッチケース側に位置するように下方に曲げられて、前記フラップ上面に延設された導電体が前記アース用端子と接触していることを特徴とする請求項4記載のプッシュオンスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−236805(P2006−236805A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−50425(P2005−50425)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】