説明

プライマー組成物

【課題】塩素を含有せず、且つ樹脂材料および上塗り塗料との優れた接着性を示すプライマー組成物を提供すること。
【解決手段】第3級カルボン酸のビニルエステルを含むビニルエステル成分(A)と、エチレン(B)とを乳化重合して得られる共重合体含有水性分散液中で、前記共重合体にエチレン性不飽和単量体(C)をシード重合させてなることを特徴とするプライマー組成物。この共重合体含有水性分散液を調製する際、共重合体含有水性分散液中の固形分に対して、5〜100質量%のエチレン性不飽和単量体(C)を用いることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂材料、特にポリオレフィン系樹脂材料に用いるプライマーとして有用なプライマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンやポリプロピレンといったポリオレフィン系樹脂は、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデンなどのように焼却によって有害ガスを発生することがないため、自動車、家電製品、食品包装などの幅広い分野でその使用量が急激に増大している。
しかし、ポリオレフィン系樹脂は、その表面自由エネルギーが小さいために、各種用途において同種または異種の材料との接着性に乏しいという問題がある。そのため、塗装や接着を行う場合には、プラズマ処理、火炎処理、紫外線照射処理、クロム酸処理などの処理を施してその表面を活性化させ、付着性を改良する方法が一般に採用されている。
しかしながら、このような前処理を行うことは、工程の複雑化、多大な設備費、時間的ロスなどを伴うばかりか、樹脂の形状・大きさや樹脂中に含まれる添加物の影響によって表面処理効果にバラつきが生じ易いという欠点を有していた。
【0003】
そこで、上記した問題を改善するため、プライマーで樹脂表面を処理する方法が採用されている。このようなプライマーとしては、塩素化ポリオレフィンに(メタ)アクリル酸エステルおよび不飽和カルボン酸をグラフト重合させたグラフト共重合体を含む塗料用樹脂組成物(例えば、特許文献1を参照)が提案されている。しかし、塩素含有化合物は、環境問題への関心の高まりから、その使用が回避される傾向にある。そのため、近年では、塩素を含まないプライマーに対する要求が急速に高まっている。
一方、ポリオレフィン系樹脂に対して高い接着性を有する樹脂組成物として、平均炭素数9の第3級カルボン酸のビニルエステルを含むビニルエステル成分とエチレンを乳化重合して得られた水性分散液(例えば、特許文献2を参照)が知られているものの、これをプライマーとして使用した場合には、上塗り塗料との十分な接着性が得られないという欠点を有している。
【0004】
【特許文献1】特公昭63−24628号公報
【特許文献2】特許第3401302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、塩素を含有せず、且つ樹脂材料および上塗り塗料との優れた接着性を示すプライマー組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者らは上記のような従来の問題点を解決すべく鋭意研究、開発を遂行した結果、特定のビニルエステル成分とエチレンとを乳化重合して得られた共重合体含有水性分散液中で、その共重合体にエチレン性不飽和単量体をシード重合してなるプライマー組成物が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、第3級カルボン酸のビニルエステルを含むビニルエステル成分(A)と、エチレン(B)とを乳化重合して得られる共重合体含有水性分散液中で、前記共重合体にエチレン性不飽和単量体(C)をシード重合させてなることを特徴とするプライマー組成物である。
前記エチレン性不飽和単量体(C)は、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニル化合物、ビニルアルコキシシラン化合物、ならびに不飽和二重結合を有するアミド化合物、N−アルキロール誘導体、カルボン酸系モノマー、水酸基含有単量体、エポキシ基含有単量体、多官能単量体およびグリシドキシアルコキシシラン単量体から成る群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記共重合体含有水性分散液中の固形分に対して、5〜100質量%の前記エチレン性不飽和単量体(C)を用いることが好ましい。
また、前記第3級カルボン酸のビニルエステルは、炭素数5〜10の第3級カルボン酸のビニルエステルであることが好ましい。
前記共重合体水性分散液中の共重合体は、第3級カルボン酸のビニルエステルを含むビニルエステル成分(A)70〜95質量%と、エチレン(B)5〜30質量%とを乳化重合したものであることが好ましく、さらに、この共重合体のガラス転移温度が、−20℃〜+45℃であることが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、塩素を含有せず、且つ樹脂材料および上塗り塗料との優れた接着性を示すプライマー組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明によるプライマー組成物は、まず、第3級カルボン酸のビニルエステルを含むビニルエステル成分(A)と、エチレン(B)とを乳化重合させて共重合体含有水性分散液を調製し、次いで、その共重合体含有水性分散液中で、共重合体にエチレン性不飽和単量体(C)をシード重合させることにより得られる。
【0009】
本発明におけるビニルエステル成分(A)としては、第3級カルボン酸のビニルエステルを含有していることが必要である。すなわち、本発明においては、ビニルエステル成分(A)として、第3級カルボン酸のビニルエステルを単独で使用してもよく、また、第3級カルボン酸のビニルエステルと第3級カルボン酸のビニルエステル以外の酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の他のビニルエステルとを併用してもよい。第3級カルボン酸のビニルエステルと他のビニルエステルとを併用する場合は、第3級カルボン酸のビニルエステルを単独で使用した場合の特性、すなわち、樹脂材料、特にポリオレフィン系樹脂材料に対する接着性を損なわない範囲で他のビニルエステルを配合する必要があり、そのためには、第3級カルボン酸のビニルエステルをビニルエステル成分(A)全体の50質量%以上使用することが好ましい。
【0010】
本発明における第3級カルボン酸のビニルエステルとして、炭素数5〜10を有する第3級カルボン酸のビニルエステルを用いることで、樹脂材料、特にポリオレフィン系樹脂材料に対する密着性を向上させることができるとともに、接着力を発現するために必要な共重合体の凝集力を高めることができる。その具体例としては、ピバリン酸ビニル(炭素数5の第3級カルボン酸のビニルエステル)、シェル社製のVEOVA−9(炭素数9の第3級カルボン酸のビニルエステル)、VEOVA−10(炭素数10の第3級カルボン酸のビニルエステル)等が挙げられる。
【0011】
本発明における共重合体含有水性分散液中の共重合体は、70〜95質量%のビニルエステル成分(A)と5〜30質量%のエチレン(B)とを乳化重合して得られるものが好ましい。ビニルエステル成分(A)とエチレン(B)との重合割合が上記範囲内であれば、樹脂材料、特にポリオレフィン系樹脂材料に対する密着性を向上させることができるとともに、接着力を発現するために必要な共重合体の凝集力を高めることができる。特に、ビニルエステル成分(A)とエチレン(B)との重合割合が上記範囲内である場合には、これらと共重合可能な成分を併用することも可能である。このような成分としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のエチレン系不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のエチレン系不飽和カルボン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、塩化ビニル、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート等の共重合可能なモノマーが挙げられる。
【0012】
また、共重合体含有水性分散液中の共重合体は、−20℃〜+45℃のガラス転移温度を有することが好ましい。なお、ガラス転移温度は測定方法によって値が異なるが、ここではDSC(示差走査熱量計)により測定した温度をいう。
【0013】
上記共重合体含有水性分散液は、界面活性剤、保護コロイドの存在下で加圧乳化重合して得られる。界面活性剤としては、一般に市販されているアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤および共重合性乳化剤が使用できる。保護コロイドとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシエチルセルロール(HEC)、無水マレイン酸−イソブチレン共重合体等が使用できる。なお、保護コロイドに関しては安定性に問題がなければ必ずしも使用する必要はない。
この乳化重合において用いる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、アゾ系化合物等が挙げられる。また、これらと還元剤の併用によるレドックス系開始剤を使用することもできる。
【0014】
本発明におけるエチレン性不飽和単量体(C)は、不飽和二重結合を有する単量体であれば特に限定されるものではなく、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ノニルアクリレート等のアクリル酸エステル;メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、ビニルトルエン等のビニル化合物;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルアルコキシシラン化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和二重結合を有するアミド化合物;N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等の不飽和二重結合を有するN−アルキロール誘導体;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等の不飽和二重結合を有するカルボン酸系モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシルプロピルアクリレート等の不飽和二重結合を有する水酸基含有単量体;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等の不飽和二重結合を有するエポキシ基含有単量体;ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等の不飽和二重結合を有する多官能単量体;不飽和二重結合を有するグリシドキシアルコキシシラン単量体が挙げられる。
【0015】
このエチレン性不飽和単量体(C)は、共重合体含有水性分散液中の固形分に対して、好ましくは5〜100質量%、より好ましくは10〜70質量%で使用される。エチレン性不飽和単量体(C)が少な過ぎると、極性の高い上塗り塗料との密着性が不足することがあり、一方、エチレン性不飽和単量体(C)が多過ぎると、ポリオレフィン系樹脂に対する密着性が不足することがあるためである。
なお、本発明における固形分とは、JIS K−6828に準じて算出される固形分(不揮発分)である。この固形分は、まず、試料(約1g)を、予め精秤した清浄なアルミ皿(高さ23mm、口径52mm)に採取し、感度0.1mgの直示天秤を用いて精秤する。次に、これを内温105±2℃に調整された熱風乾燥機中に入れ、1時間静置乾燥する。乾燥後、アルミ皿を速やかに取り出しドライキャビネットに移し、室温まで冷却する。冷却後、ドライキャビネットよりアルミ皿を取り出して、先に使用した直示天秤を用いて精秤する。そして、次式:固形分(%)=(乾燥後の試料の質量/乾燥前の試料の質量)×100により、固形分を算出する。
共重合体含有水性分散液中の共重合体とエチレン性不飽和単量体(C)とのシード重合は、例えば、重合用反応容器に水と界面活性剤等を加えて溶解させ、前記で得られた共重合体含有水性分散液を加え、重合開始剤を用いてエチレン性不飽和単量体(C)を添加しながら進めることができる。この場合、エチレン性不飽和単量体(C)の一部あるいは全量を重合開始剤、水および共重合体含有水性分散液と一緒に重合用容器に添加してもよいし、共重合体含有水性分散液にエチレン性不飽和単量体(C)の一部あるいは全量を連続的若しくは断続的に添加しながら反応を進めることもできる。
【0016】
このシード重合に用いる界面活性剤としては、一般に市販されているアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤および共重合性乳化剤が挙げられる。保護コロイドとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシエチルセルロール(HEC)、無水マレイン酸−イソブチレン共重合体等が使用できる。
シード重合条件は、特に限定されるものではないが、例えば、30〜85℃の温度で行うことができる。このときに使用する重合開始剤としては、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物や、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられ、これらは単独で、あるいは併用して使用することができる。また、これらと還元剤の併用によるレドックス系開始剤を使用することもできる。
【0017】
また、本発明のプライマー組成物には、必要に応じて他の重合体の水性分散液を混合してもよく、例えば、酢酸ビニル系重合体、アクリル酸アルキルエステル系共重合体、オレフィン系共重合体、スチレン−ブタジエン系共重合体等の水性分散液があげられる。さらに、本発明のプライマー組成物には、一般的に使用されている他の添加剤、例えば、増粘剤、粘着付与剤、可塑剤、消泡剤、顔料やイソシアネート化合物、メラミン樹脂、エポキシ化合物等の架橋剤等を混合してよいが、組成物の性能を低下させない程度の量に限られる。
【実施例】
【0018】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明する。ただし、それらは例示であって、本発明を限定するものではない。なお、実施例及び比較例中の部及び%は特に断りのないかぎり質量基準である。
【0019】
(共重合体含有水性分散液の調製例1)
撹拌機、数個の供給口、冷却及び加熱装置、圧力計及び温度計を装備した1Lの加圧反応器内にポリビニルアルコール(PVA GM−14:日本合成化学工業(株)製)2.4部、アニオン性界面活性剤(ハイテノール N−08:第一工業製薬(株)製)4.0部、ノニオン性界面活性剤(エマルゲン 950:花王(株)製)20.0部及びピロリン酸ナトリウム2.4部を325.2部の水に溶解して仕込んだ後、エチレンで25kg/cmに加圧し、80℃に昇温した。加圧反応器内の温度が80℃になった時点から3%過硫酸アンモニウム水溶液80部、第3級カルボン酸のビニルエステル(シェル社製、VEOVA−9)366部を加圧反応器内に3時間で添加した。その後、80℃にて2時間熟成し共重合体含有水性分散液1を得た。得られた共重合体含有水性分散液1の組成を表1に示す。
【0020】
(共重合体含有水性分散液の調製例2)
エチレン圧を25kg/cmから55kg/cmに変えた以外は、共重合体含有水性分散液の調製例1と同一の条件で重合し共重合体含有水性分散液2を得た。得られた共重合体含有水性分散液2の組成を表1に示す。
【0021】
(共重合体含有水性分散液の調製例3)
エチレン圧を25kg/cmから10kg/cmに変えた以外は、共重合体含有水性分散液の調製例1と同一の条件で重合し共重合体含有水性分散液3を得た。得られた共重合体含有水性分散液3の組成を表1に示す。
【0022】
(共重合体含有水性分散液の調製例4)
第3級カルボン酸のビニルエステルを酢酸ビニルに変えた以外は、共重合体含有水性分散液の調製例1と同一の条件で重合し共重合体含有水性分散液4を得た。得られた共重合体含有水性分散液4の組成を表1に示す。
【0023】
【表1】

【0024】
(実施例1)
温度計、還流冷却器、滴下ロート、撹拌棒および窒素ガス通気管を備えた1Lの五つ口セパラブルフラスコに、共重合体含有水性分散液1を500g、イオン交換水25gを仕込んで均一になるまで撹拌した。次に、スチレン12.5g、メチルメタクリレート12.5g、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5gを少量ずつ釜内に投入し、約1時間撹拌し、エチレン性不飽和単量体を共重合体含有水性分散液中に膨潤させた。その後昇温し始め、内温が80℃になった時点から1時間攪拌し、冷却して実施例1のプライマー組成物を得た。プライマー組成物の組成を表2に示す。
【0025】
得られたプライマー組成物100部に成膜助剤として、テキサノールを3部添加し、下記方法にて接着性能を評価した。
PP接着性は、市販の未処理ポリプロピレン板(日本テストパネル工業社製)にプライマー組成物を6milアプリケーターで塗布し、80℃、20分間乾燥機で乾燥した(dry75g/m)。その後23℃×65%RH下で1日養生し基材上の塗膜をゴバン目(1mm間隔、100マス)にカットし、塗膜のセロハンテープ(ニチバン(株)製)による剥離テストを行い、付着率(基材に残ったマスの数)により接着性を評価した。
また、上塗り接着性は上記試験片にスチレン−アクリル樹脂系塗料(昭和高分子(株)製、ポリゾールAP−7010)を刷毛塗り塗工し(40g/m)、80℃、20分間乾燥機で乾燥した。その後1日養生して接着性を評価した。これらの結果を表2に示す。
【0026】
(実施例2)
イオン交換水を200g、スチレンを100g、メチルメタクリレートを100g、2、2’−アゾビスイソブチロニトリルを4gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例2のプライマー組成物の製造を行った。得られたプライマー組成物を用いて、実施例1と同様の方法で接着性能を評価した。結果を表2に示す。
【0027】
(実施例3)
共重合体含有水性分散液1を共重合体含有水性分散液2に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例3のプライマー組成物の製造を行った。得られたプライマー組成物を用いて、実施例1と同様の方法で接着性能を評価した。結果を表2に示す。
【0028】
(実施例4)
共重合体含有水性分散液1を共重合体含有水性分散液3に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例4のプライマー組成物の製造を行った。得られたプライマー組成物を用いて、実施例1と同様の方法で接着性能を評価した。結果を表2に示す。
【0029】
【表2】

【0030】
(比較例1)
共重合体含有水性分散液1を共重合体含有水性分散液4に変更した以外は、実施例1と同様の方法で比較例1のプライマー組成物の製造を行った。得られたプライマー組成物を用いて、実施例1と同様の方法で接着性能を評価した。結果を表3に示す。
【0031】
(比較例2)
調製例1で得られた共重合体含有水性分散液1をそのまま使用して、実施例1と同様の方法で接着性能を評価した。結果を表3に示す。
【0032】
(比較例3)
調製例2で得られた共重合体含有水性分散液2をそのまま使用して、実施例1と同様の方法で接着性能を評価した。結果を表3に示す。
【0033】
(比較例4)
調製例3で得られた共重合体含有水性分散液3をそのまま使用して、実施例1と同様の方法で接着性能を評価した。結果を表3に示す。
【0034】
【表3】

【0035】
上記の結果から明らかなように、実施例1〜4で得られたプライマー組成物は、ポリプロピレンとの接着性に優れているうえに、上塗り塗料との接着性も優れている。これに対して、比較例1〜4のプライマー組成物は、ポリプロピレンとの接着性に優れるものがあるものの、上塗り塗料との密着性が不足している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第3級カルボン酸のビニルエステルを含むビニルエステル成分(A)と、エチレン(B)とを乳化重合して得られる共重合体含有水性分散液中で、前記共重合体にエチレン性不飽和単量体(C)をシード重合させてなることを特徴とするプライマー組成物。
【請求項2】
前記エチレン性不飽和単量体(C)が、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニル化合物、ビニルアルコキシシラン化合物、ならびに不飽和二重結合を有するアミド化合物、N−アルキロール誘導体、カルボン酸系モノマー、水酸基含有単量体、エポキシ基含有単量体、多官能単量体およびグリシドキシアルコキシシラン単量体から成る群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のプライマー組成物。
【請求項3】
前記共重合体含有水性分散液中の固形分に対して、5〜100質量%の前記エチレン性不飽和単量体(C)を用いることを特徴とする請求項1または2に記載のプライマー組成物。
【請求項4】
前記第3級カルボン酸のビニルエステルが、炭素数5〜10の第3級カルボン酸のビニルエステルであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のプライマー組成物。
【請求項5】
前記共重合体水性分散液中の共重合体が、第3級カルボン酸のビニルエステルを含むビニルエステル成分(A)70〜95質量%と、エチレン(B)5〜30質量%とを乳化重合したものであり、且つ共重合体のガラス転移温度が−20℃〜+45℃であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のプライマー組成物。

【公開番号】特開2006−249190(P2006−249190A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−65861(P2005−65861)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000187068)昭和高分子株式会社 (224)
【Fターム(参考)】