説明

プラグ受、電源タップ及びホームエネルギーマネージメントシステム

【課題】 電気機器の差込プラグにおけるICタグに格納されている識別情報が上書又は初期化により消去されることのないプラグ受を提供するものである。
【解決手段】 電源管理コンセント10は、商用電源20に電気的に接続され、タグリーダ2におけるアンテナコイル2aの中心軸O2に略平行な中心軸O3を有し、当該アンテナコイル2a近傍に配設される保護コイル3aを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差込プラグのIC(integrated circuit)タグに付加される識別情報を読み取るタグリーダを備えるプラグ受及び電源タップに関し、特に、そのプラグ受を埋込コンセントとして使用するホームエネルギーマネージメントシステム(home energy management system:以下、HEMSと称す)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のホームオートメーション(特に、HEMS)では、情報技術(Information Technology:IT)を用い、住宅内におけるエアコンなどの各電気機器や給湯機器などのエネルギー消費機器と中央制御装置とをネットワークによって接続することで、各電気機器等のエネルギー消費機器における電力消費量等のエネルギー消費量や運転状況をモニタリングし、自動制御するなど、住宅内におけるエネルギー及び/又はセキュリティの管理と快適さを提供する。HEMSの中央制御装置に設けられるモニターでは、電力消費量や各電気機器の運転状況等を数値化し過去のデータと比較したり、省エネに関するアドバイスやCO2削減量の可視化を行うなど、省エネルギーと地球温暖化問題への対策技術として期待が寄せられている。また、スマートグリッド構想では、大規模な電力系統における電力の需給状況と各住宅における電量消費状況、更には各住宅等に個別に設置される太陽光発電装置、燃料電池又は風力発電装置などを総合的に管理及び制御する技術の開発に取り組まれており、各住宅の消費電量の把握については、各電力会社の努力によって通信機能付き電力量計の設置が進められているところである。しかし、各住宅内における個別情報の取得は困難を極めるために限界があり、これら技術による効率的な省エネルギーと地球温暖化問題への対策技術を実現するためには、「HEMS」による住宅内に設置される電気機器等の個別の電気消費量と運転状況の把握と個別の運転制御が重要であり、不可欠となることが予想される。
【0003】
「HEMS」によるホームエネルギーマネージメントシステムでは、中央制御装置と各電気機器との通信が必要不可欠であるが、通信する方式として、(1)電力線通信によるもの(X10、INSTEON、KNX、LONWORKSなど)、(2)別の通信線を用いるもの(KNX、LONWORKSなど)、(3)無線通信によるもの(X10、INSTEON、KNXなど)、が挙げられる。また、各電気機器の運転制御方式としては、前述した通信方式を用い、各電気機器等を直接的に制御するものや、コンセントにON−OFF機能を備え、コンセントに接続された各電気機器をコンセントのON−OFFによって間接的に制御するものなどがあげられる。
例えば、これらの各電気機器の通信方式及び運転制御方式として、以下の従来技術が挙げられる。
【0004】
従来のウェブアクセス機構は、装置ウェブページを与えるウェブサーバを含む装置にウェブアクセス機能が組み込まれる。装置は、ウェブブラウザから装置ウェブページにアクセスできるようにする組み込みネットワークインターフェースを含む。ウェブブラウザのユーザは、装置ウェブページを通じて装置用のユーザインターフェース機能にアクセスする。それぞれの異なる装置用の高価なハードウェアアプリケーションおよびソフトウェアアプリケーションを開発する必要なしにさまざまな装置の、ユーザに優しい画面ベースのインターフェースを提供する(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、従来の電子機器は、TV、VTR、PCがLANなどのネットワークで接続されており、さらにこのネットワークは、ゲートウェイユニットを介して、外部との情報の送受信を行うために公衆回線に接続されている。家庭内にある各電子機器及びゲートウェイユニットにはそれぞれインターネットで使用されているIPアドレスの中のプライベート
アドレスが割り付けられている。そして、各電子機器には、HTMLで書かれたデータをHTTPで送出する機能を有するWWWサーバが内蔵され、各電子機器にはHTTPで受け取ったHTMLデータを画面に表示する機能を有するWWWブラウザが内蔵されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
また、従来のタイマーコンセントは、計時部を備え、リモコンの信号受信部を介してリモコン送信機より設定した時刻と一致したとき、制御部より同時刻とともに指定したコンセントを指定動作に制御する制御信号で、入力した商用電源の供給をON−OFF制御するスイッチ回路を介し、出力コンセントに供給する。またタイマーコンセントにリモコンの信号送信部を備え、リモコン送信機よりの指定により同タイマーコンセントのメモリに記憶の設定データをリモコン信号に変換出力し、同リモコン送信機の表示部に表示する(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
さらに、従来の電源管理システムは、複数のコンセントを有するテーブルタップと、このコンセントを制御するとともに、ネットワークを介してプッシュ型電話機と通信できるホームサーバーとによって構成され、プッシュ型電話機からホームサーバーへ送信された制御信号により、自宅にあるテーブルタップに設けられた複数のコンセントに接続された電気機器に対する電力供給状態を確認したり、必要があれば給電状態を切り換えることが可能である(例えば、特許文献4参照)。
【0008】
また、従来の電気機器の遠隔制御方法は、家庭等で使用される電気機器を、制御接続器を介して電源と接続し、前記電気機器の特性電流波形を予めサーバのデータベースに保存しておき、携帯電話機等のアクセスにより、現に電気機器から発信されている電流波形から電気機器を特定し、前記電気機器の状態を検出し、この検出に基づいてこれに対応した措置をとることを特徴とした(例えば、特許文献5参照)。
【0009】
また、従来の電気製品管理システムは、宅内構成部にはインターネット網に接続された一般回線と電力会社の電力線に接続された宅内配電線が引き込まれており、信号が重畳される形で制御機能付電源タップおよび通信ネットワークに対応した第4の電気製品に電源が供給される。第1〜第3の電気製品は制御機能付電源タップによって電気製品の現状把握と電源のオン・オフ制御が行われる。その指示は宅外構成部の携帯端末が行う。第4の電気製品の場合には電源のオン・オフだけでなく、各種機能のリモートコントロールが可能である。電力線を使用しているので、構成および制御が簡単になる(例えば、特許文献6参照)。
【0010】
しかしながら、前述した技術(特許文献1〜特許文献6)は、各電気機器の通信及び運転を制御(電源をON/OFF)する目的で利用できるが、いずれの通信方式を用いる場合でも、直接、各電気機器等を制御するためには、電気機器側に通信・制御用のサブシステムが必要になるという課題がある。すなわち、このサブシステムを電気機器に組み込むことは、少なからず、製造コストの上昇につながるうえ、現在普及している一般の電気機器には適用できないため、これらの方式が全ての電気機器に普及しなければ実現することはできない。
【0011】
また、前述した通信方式(1)〜(3)の中では、方式(2)が通信・制御用のサブシステムを最も低コストで実現できると考えられる。しかしながら、この方式(2)では、電源ケーブルと共に通信ケーブルをも電気機器に接続することを、常に、ユーザに強制するという課題があり、現実的ではない。
【0012】
各電気機器を間接的にコンセントのON−OFFによって制御する方式で言えば、特に、特許文献3に記載の従来のタイマーコンセント及び特許文献4に記載の従来の電源管理
システムは、制御部が対象のコンセント(タイマーコンセント)のコンセント番号(ID番号)を認識するのであるが、対象のコンセントに接続されている電気機器の情報を認識する手段を制御部が備えていないため、電気機器の種類に応じて、コンセントの通電をオン・オフ制御することができないという課題がある。
【0013】
また、特許文献5に記載の従来の電気機器の遠隔制御方法は、同一のコンセントにおける異なる差込口にそれぞれ接続された電気機器に対して、各電気機器の識別や多種類の電気機器の識別が困難であるという課題がある。
【0014】
また、特許文献6に記載の従来の電気製品管理システムは、電気製品の取り扱い者が初期的に制御機能付電源タップを使用した電気製品(電源ネットワーク対応電気製品を除く)の登録を行い、これ以後は変更が生じたたびに入力要求を行なってその変更内容にメモリを更新する必要があるという課題がある。
【0015】
以上のように、特許文献1〜6は、第一に「電気機器と直接通信することでコントロールする場合には、電気機器に通信機能が必要であり、現在普及している一般の電気機器には適用できない。」ことと、第二に「コンセントと通信することでコンセントをコントロールするコンセントに接続する際に電気機器情報を登録する必要があり、差し替える際には、再度の登録操作が必要になるなど、コンセントに接続されている電気機器の確実な特定が困難である。」こととに、大別することができ、実現性が困難な課題をそれぞれ抱えており、一般家庭への普及に至っていないのが現状である。
【0016】
これらの課題を同時に解決する手段として、従来の電源タップは、一端に電源プラグを具備し、他端に複数のコンセントを具備する。電源プラグにはRFIDタグが貼り付け又は埋め込まれている。電源プラグとコンセントとの間の電力線に電力線通信(PLC)モデムが接続する。RFIDタグリーダは、コンセントに接続される電源プラグに付加されたRFIDタグの識別情報を読み取る。制御回路は、RFIDタグリーダで読み取られた識別情報を電源タップの識別情報と共に、PLCモデムにより管理サーバに通知する技術が提案されている(例えば、特許文献7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開10−149270号公報
【特許文献2】特開10−191463号公報
【特許文献3】特開平4−372894号公報
【特許文献4】特開2002−44882号公報
【特許文献5】特開2003−259569号公報
【特許文献6】特開2002−305845号公報
【特許文献7】特開2007−88957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、特許文献7に記載の従来の電源タップは、RFIDタグリーダのアンテ
ナコイルとRFIDタグのアンテナコイルとの間で電磁誘導を効率的に生じさせるために、刃受に受ける電子機器の電源プラグの刃に流れる電流に基づいて同心円状に発生する強い磁界の方向とRFIDタグのアンテナコイルの巻線方向とが平行であると考えられる。このため、従来の電源タップは、同心円状に発生する強い磁界との電磁誘導によりRFIDタグのCPU(central processing unit)が起動して、電子機器の電源プラグにおけるRFIDタグに格納されている識別情報が上書され又は初期化されて消去され、RFIDタグの継続的な管理が困難なうえ、コンセントに電源プラグを差し替えの際などには、その都度、再登録が必要不可欠となるという課題がある。
【0019】
また、特許文献7に記載の従来の電源タップは、PLCモデムにトランスを内蔵するため、電源タップの製造コストの上昇につながると共に、電力線が高い周波数の電気信号を流すことを想定していないため、電力線通信による漏洩電波が短波帯を利用する無線通信等や医療機器に影響を与える可能性があるという課題がある。
【0020】
また、特許文献7に記載の従来の電源タップは、具備するPLCモデムにより、電力線を介して管理サーバのPLCモデムと通信するのであるが、電力線を通信路として用いるために、接続された情報機器からの高周波情報信号が住宅内から屋外へ流出する情報漏洩の可能性があり、住宅内の通信内容を外部に漏らさないというセキュリティの面で課題がある。
【0021】
本発明は、前述のような課題を解決するためになされたもので、電子機器(電気機器)の電源プラグ(差込プラグ)におけるRFIDタグ(ICタグ)に格納されている識別情報が、電子機器(電気機器)の通電の際に、電源プラグ(差込プラグ)の刃から発生する強い磁界との電磁誘導によって、上書又は初期化により消去されることのないプラグ受を提供するものである。
【0022】
また、本発明は、埋込コンセントにPLCモデムを内蔵する必要がなく、埋込コンセントの製造コストを抑制することができるホームエネルギーマネージメントシステムを提供するものである。また、本発明は、電力線通信による漏洩電波が短波帯を利用する無線通信等や医療機器に影響を与える可能性を排除することができると共に、電力線通信による情報信号が住宅内から屋外へ流出する情報漏洩を防止して、セキュリティを強化したホームエネルギーマネージメントシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明に係るプラグ受においては、商用電源に電気的に接続され、タグリーダにおけるアンテナコイルの中心軸に略平行な中心軸を有し、当該アンテナコイル近傍に配設される保護コイルを備えるものである。
【0024】
また、本発明に係るホームエネルギーマネージメントシステムにおいては、ICタグが配設される差込プラグの刃を受ける刃受及び当該ICタグに付加される識別情報を読み取るタグリーダを備える埋込コンセントと、埋込コンセントの電圧側極の刃受に電気的に接続される電圧側電線、埋込コンセントの接地側極の刃受に電気的に接続される接地側電線、及び接地線を備える単相3線式の屋内配線と、住宅におけるエネルギーを管理する中央制御装置と、を備え、タグリーダの接続端子の一端が、接地側電線に電気的に接続され、タグリーダの接続端子の他端が、接地線から接地を外した電線である未接地線に電気的に接続され、タグリーダで読み取った識別情報が、接地側電線及び未接地線を介して、中央制御装置に送信されるものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るプラグ受においては、商用電源に電気的に接続され、タグリーダにおける
アンテナコイルの中心軸に略平行な中心軸を有し、当該アンテナコイル近傍に配設される保護コイルを備えることにより、刃受に受ける差込プラグの刃に流れる電流に基づいて同心円状に発生する磁界を、ICタグのアンテナコイルを含む面に対して傾け、電気機器の差込プラグにおけるICタグに付加されている識別情報が上書又は初期化により消去されることを防止することができる。
【0026】
また、本発明に係るホームエネルギーマネージメントシステムにおいては、ICタグが配設される差込プラグの刃を受ける刃受及び当該ICタグに付加される識別情報を読み取るタグリーダを備える埋込コンセントと、埋込コンセントの電圧側極の刃受に電気的に接続される電圧側電線、埋込コンセントの接地側極の刃受に電気的に接続される接地側電線、及び接地線を備える単相3線式の屋内配線と、住宅におけるエネルギーを管理する中央制御装置と、を備え、タグリーダの接続端子の一端が、接地側電線に電気的に接続され、タグリーダの接続端子の他端が、接地線から接地を外した電線である未接地線に電気的に接続され、タグリーダで読み取った識別情報が、接地側電線及び未接地線を介して、中央制御装置に送信されることにより、埋込コンセントにPLCモデムを内蔵する必要がなく、埋込コンセントの製造コストを抑制することができると共に、電力線通信による漏洩電波が短波帯を利用する無線通信等や医療機器に影響を与える可能性を排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施形態に係る電源管理コンセントの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す電源管理コンセントをホームエネルギーマネージメントシステムに適用した一例を示す概略構成図である。
【図3】(a)は第1の実施形態に係る2極差込接続器における差込プラグの平面図であり、(b)は図3(a)に示す差込プラグの正面図であり、(c)は第1の実施形態に係る2極差込接続器におけるプラグ受の平面図であり、(d)は図3(c)に示すプラグ受の矢視A−A線の部分断面図である。
【図4】(a)は第1の実施形態に係る2極接地極付差込接続器における差込プラグの平面図であり、(b)は図4(a)に示す差込プラグの正面図であり、(c)は第1の実施形態に係る2極接地極付差込接続器におけるプラグ受の平面図であり、(d)は図4(c)に示すプラグ受の矢視B−B線の部分断面図である。
【図5】(a)は第1の実施形態に係る2極差込接続器における他のプラグ受の平面図であり、(b)は図5(a)に示すプラグ受の矢視C−C線の部分断面図であり、(c)は第1の実施形態に係る2極接地極付差込接続器における他のプラグ受の平面図であり、(d)は図5(c)に示すプラグ受の矢視D−D線の部分断面図である。
【図6】(a)は保護コイルに流れる電流に基づいて発生する磁界を説明するための説明図であり、(b)は差込プラグの刃に流れる電流に基づいて発生する磁界を説明するための説明図であり、(c)は図6(a)に示す磁界により図6(b)に示す磁界が傾けられた状態を示す説明図である。
【図7】(a)はICタグの概略構成を示すブロック図であり、(b)はタグリーダの概略構成を示すブロック図である。
【図8】第2の実施形態に係るホームエネルギーマネージメントシステムを住宅に適用した例を示す概略構成図である。
【図9】図8に示す電源管理コンセントの概略構成を示すブロック図である。
【図10】第3の実施形態に係る電源タップの内部構造を示す分解平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係るプラグ受は、マルチタップ、テーブルタップ、コーナータップ、トリプルタップ、コードコネクタボディ及び埋込コンセントなどの総称である。なお、以下の説明においては、後述する制御回路などを筐体内部に内蔵させるマルチタップなどと比較して収納スペースの制約が緩い、住宅等の壁面や床面などに配設される埋込コンセントに本発明を適用したプラグ受(以下、電源管理コンセント10と称す)について説明する。
【0029】
商用電源20は、図2に示すように、住宅100に配設される住宅用分電盤30を介して、電源管理コンセント10と、ホームサーバ40と、HEMSの端局であり、住宅におけるエネルギーを管理する中央制御装置50とに電力を供給する。
【0030】
ホームサーバ40は、IP(Internet Protocol)ネットワークとしての家庭内の通信ネットワーク(以下、家庭内LAN(Local Area Network)と称す)の中核を担い、家庭内で利用される様々なデータを蓄積し、家庭内LANに接続された各部屋の電気機器400に様々なデータやサービスを提供する。なお、家庭内LANは、無線通信に限られるものではなく、有線通信であってもよい。
【0031】
また、ホームサーバ40は、家庭内LANと外部のネットワークとを接続するゲートウェイ(Home Gateway:HGW)であり、携帯電話機やパソコン(Personal Computer:PC)などの情報端末装置200を操作することで、IPネットワークとしてのインターネット300を介して、家庭内LANに接続された電気機器400を制御することができる。
【0032】
HEMSは、情報技術(Information Technology:IT)を活用して、家庭内における家電などのエネルギー消費の効率化を図るシステムであり、照明やエアコン(Air Conditioner:A/C)など各種の電気機器400と中央制御装置50とを家庭内LANで連結し、センサでとらえた室内状況(人の有無など)や室外状況(気象など)に応じて各電気機器400を最適に自動制御する。
【0033】
電気機器400は、電気機器400を特定するための型番や製造番号などの識別情報が付加されたICタグ411が、差込プラグ410の内部に埋設されることや差込プラグ410の表面に貼設されることにより、差込プラグ410に配設されている。
【0034】
差込プラグ410は、例えば、図3(a)及び図3(b)に示すように、電圧側極の刃412(以下、電圧側極刃412aと称す)及び接地側極の刃412(以下、接地側極刃412bと称す)を有する2極差込接続器(差込プラグ)や、図4(a)及び図4(b)に示すように、電圧側極刃412a、接地側極刃412b及び接地極の刃412(以下、接地極刃412cと称す)を有する2極接地極付差込接続器(差込プラグ)などが挙げられる。
【0035】
なお、本実施形態に係るICタグ411は、市場に流通した電気機器400に対して、ICタグ411を容易に配設することができるように、差込プラグ410の表面にICタグ411を貼設する場合を例に挙げて説明する。この場合には、図3(a)及び図3(b
)並びに図4(a)及び図4(b)に示すように、差込プラグ410の刃412が突設する面(特に、電圧側極刃412aと接地側極刃412bとの間)に貼設することにより、電源管理コンセント10に対して差込プラグ410を挿抜する際における、利用者の指がICタグ411に接触することがなく、差込プラグ410からのICタグ411の剥離を防止することができるので好ましい。
【0036】
ICタグ411は、ICチップからなり、図7(a)に示すように、アンテナコイル411aと、電源回路411bと、CPU411cと、無線周波数回路411dと、復調回路411eと、変調回路411fと、メモリ411gと、を備える。
【0037】
電源回路411bは、図示しないコンデンサを内蔵し、このコンデンサとアンテナコイル411aとが共振回路を構成する。また、このコンデンサは、アンテナコイル411aが特定の周波数の電波を受信した場合に、電力が充電される。そして、電源回路411bは、この電力を整流して、CPU411cに供給する。
【0038】
また、アンテナコイル411aが特定周波数の信号電波を受信した場合には、無線周波数回路411dが受信した特定周波数の信号電波を電気信号に変換して復調回路411eに出力し、復調回路411eでCPU411cが認識できるコマンド信号に復調して、CPU411cに出力する。
【0039】
これに対し、アンテナコイル411aから特定周波数の信号電波を送信する場合には、CPU411cが信号を変調回路411fに出力し、変調回路411fが信号を変調して無線周波数回路411dに出力し、無線周波数回路411dが特定周波数の電波となる電気信号に変換して、アンテナコイル411aに出力する。
【0040】
電源管理コンセント10は、図1に示すように、後述する差込口部1、タグリーダ2、保護コイル3a、高周波変換部3b、スイッチ部4、電源部5、制御部6、IPネットワーク接続部7及びIPアドレス記憶部8を備え、必要に応じて、後述する計測部9を備える。
【0041】
差込口部1は、電気機器400の差込プラグ410の刃412が刃受穴11に挿入され、電源管理コンセント10に電気機器400を接続するための部分である。なお、図1においては、1個の電源管理コンセント10に対して二口の差込口部1を配設する例を示しているが、1個の電源管理コンセント10に対して一又は三口以上の差込口部1を配設させてもよい。この場合には、一又は複数口の差込口部1における各差込口部1に対応させて、後述するタグリーダ2、保護コイル3a、スイッチ部4及び計測部9をそれぞれ配設させることになる。
【0042】
また、差込口部1は、刃受穴11を挿通した差込プラグ410の刃412を受ける刃受12を備える。
【0043】
なお、電源管理コンセント10は、例えば、図3(c)及び図3(d)に示すように、図示しない屋内配線の電圧側電線に電気的に接続される電圧側極の刃受12(以下、電圧側極刃受12aと称す)と、図示しない屋内配線の接地側電線に電気的に接続される接地側極の刃受12(以下、接地側極刃受12bと称す)と、を有する2極差込接続器(プラグ受)や、図4(c)及び図4(d)に示すように、電圧側極刃受12aと、接地側極刃受12bと、図示しない屋内配線の接地線に電気的に接続される接地極の刃受12(以下、接地極刃受12cと称す)と、を有する2極接地極付差込接続器(プラグ受)などが挙げられる。
【0044】
タグリーダ2は、住宅用分電盤30と差込口部1とを繋ぐ電線に分岐接続され、電気機器400のICタグ411に付加される識別情報を読み取るものであり、図7(b)に示すように、アンテナコイル2aと、電源回路2bと、CPU2cと、無線周波数回路2dと、変調回路2eと、復調回路2fと、を備える。
【0045】
アンテナコイル2aは、電気機器400のICタグ411におけるアンテナコイル411aとの間での電波の送受信に必要な電波強度を得るために、タグリーダ2のアンテナコイル2aの中心軸O2とICタグ411のアンテナコイル411aの中心軸O1とを一致させた、ICタグ411のアンテナコイル411aと対向する位置に配設される。
【0046】
すなわち、本実施形態においては、図3(d)及び図4(d)に示すように、アンテナコイル2aの中心軸O2が刃受12の長手方向に略平行であり、電圧側極刃受12aと接地側極刃受12bとの間に配設される。
【0047】
電源回路2bは、住宅用分電盤30を介して商用電源20から供給される交番電流を整流してCPU2cに供給する。
【0048】
また、アンテナコイル2aから特定周波数の信号電波を送信する場合には、CPU2cが信号を変調回路2eに出力し、変調回路2eが信号を変調して、無線周波数回路2dに出力し、無線周波数回路2dが特定周波数の電波となる電気信号に変換して、アンテナコイル2aに出力する。
【0049】
これに対し、アンテナコイル2aが特定周波数の信号電波を受信した場合には、無線周波数回路2dが受信した特定周波数の信号電波を電気信号に変換して復調回路2fに出力し、復調回路2fでCPU2cが認識できるコマンド信号に復調して、CPU2cに出力する。
【0050】
保護コイル3aは、商用電源20に電気的に接続され、タグリーダ2におけるアンテナコイル2aの中心軸O2に略平行な中心軸O3を有し、アンテナコイル2a近傍に配設される。
【0051】
なお、本実施形態に係る保護コイル3aは、図3(d)及び図4(d)に示すように、2つの保護コイル3aからなり、刃受12(電圧側極刃受12a、接地側極刃受12b)を介して、アンテナコイル2aの中心軸O2から各保護コイル3aの中心軸O3までの距離を等間隔(L1=L2)として、アンテナコイル2aの両側に配設されている。しかしながら、タグリーダ2におけるアンテナコイル2aの中心軸O2に略平行な中心軸O3を有し、アンテナコイル2a近傍に配設されるのであれば、この構成に限られるものではない。例えば、保護コイル3aは、図5に示すように、1つの保護コイル3aからなり、保護コイル3aの中心軸O3とアンテナコイル2aの中心軸O2とを一致させて、アンテナコイル2aを内包する構成であってもよい。
【0052】
また、保護コイル3aは、図6(a)に示すように、商用電源20からの交番電流に応じてコイル(保護コイル3a)を貫く磁界H1を発生することにより、図6(b)に示すように、刃受12に受ける差込プラグ410の刃412に流れる電流に基づいて同心円状に発生する磁界H2を、図6(c)に示すように、電気機器400のICタグ411におけるアンテナコイル411aを含む面Sに対して傾ける。
【0053】
すなわち、保護コイル3aは、アンテナコイル411aを含む面Sに対して磁界H2を傾けることにより、電気機器400の差込プラグ410におけるICタグ411に付加されている識別情報が上書又は初期化により消去されることを防止することができる。
【0054】
なお、アンテナコイル411aを含む面Sに対する磁界H2の傾きは、90度にすることが理想であるが、実際には、磁界H1と磁界H2との90度の合成ベクトルであるために、45度が最大傾斜角となる。
【0055】
高周波変換部3bは、住宅用分電盤30と差込口部1とを繋ぐ電線に分岐接続され、商用電源20からの商用電源周波数の交番電流を直流電流に変換する整流器3cと、変換した直流電流を高周波の交番電流に変換して保護コイル3aに供給するインバータ3dと、を備えている。
【0056】
ここで、電気機器400には、埋込コンセントからの商用電源周波数を高周波に変換するスイッチング電源を備えている携帯電話機などがある。通常、電気機器400が接続された埋込コンセントには、商用電源20からの交番電流が差込口及び電気機器400間を往復伝播しており、特に、スイッチング電源を備えている電気機器400が接続された埋込コンセントには、この電気機器400からの高周波が伝播されることになる。
【0057】
このため、高周波変換部3bは、商用電源20からの商用電源周波数の交番電流を高周波の交番電流に変換して保護コイル3aに供給し、高周波による磁界H1を発生することにより、高周波による磁界H2に対応することができる。
【0058】
スイッチ部4は、例えば、電磁開閉器(リレー)やトライアックであり、制御部6からの制御信号に基づき、商用電源20と差込口部1との電路を開閉する。
【0059】
電源部5は、住宅用分電盤30と差込口部1とを繋ぐ電線に分岐接続され、交番電流を直流電流に変換して、制御部6に供給するための電源回路である。
【0060】
IPネットワーク接続部7は、家庭内LANに電源管理コンセント10を接続するための部分であり、例えば、LANケーブルやルータ/ハブなどの家庭内LANを介してホームサーバ40(HEMSの中央制御装置50)に接続されている。なお、IPネットワーク接続部7は、家庭内LANを介してホームサーバ40(HEMSの中央制御装置50)に直接接続する必要はなく、電力線通信(Power Line Communication:以下、PLCと称す)を利用した既存のPLC製品を用い、LANケーブルを介してPLC製品の子機をIPネットワーク接続部7に接続し、LANケーブルやルータ/ハブを介してPLC製品の親機をホームサーバ40(HEMSの中央制御装置50)に接続する構成としてもよい。このように、PLC製品を用いることは、LANケーブルが住宅等の壁内や床下を通り差込口まで予め敷設されていない通常のコンセントを、本実施形態に係る電源管理コンセント10に交換する場合に有効である。しかしながら、PLC製品を用いることは、電源管理コンセント10に接続された電気機器400(情報機器)からの高周波情報信号が住宅100内から屋外へ流出する情報漏洩の可能性があるため、家庭内LANを用いることが好ましい。
【0061】
IPアドレス記憶部8は、電源管理コンセント10に対して、家庭内LAN及びインターネット300を介して、ホームサーバ40(HEMSの中央制御装置50)や情報端末装置200などの他の装置からの接続を可能にするためのIPアドレスを記憶する部分である。
【0062】
計測部9は、例えば、電流センサ(Current Transformer:CT)及び/又は電圧センサ(Potential Transformer:PT)であり、差込口部1に差込プラグ410を挿入して接続された電気機器400の使用に起因する電流値及び/又は電圧値を計測し、制御部6の後述する駆動計測回路6aに計測値を出力する。このため、計測部9は、差込口部1近
傍である差込口部1とスイッチ部4との間に配設される。なお、計測部9は、力率を考慮しない場合には、電流センサのみの構成であってもよい。
【0063】
また、制御部6は、IPネットワーク接続部7を介して家庭内LAN及びインターネット300に接続し、通信するための通信回路6bを備える。
【0064】
この通信回路6bは、IPアドレス記憶部8に記憶されたIPアドレスを用いて家庭内LAN及びインターネット300に接続する。
【0065】
また、制御部6は、計測部9により計測した値に基づいて差込口部1に接続された電気機器400への通電状態を示す情報(電流波形、消費電流の平均値、ピーク値、実効値、波高率、波形率、時定数、周期内の通電時間及びピーク位置、電圧と消費電流との位相差や、時間差及び力率などの特徴量)を演算する駆動計測回路6aを備える。
【0066】
この駆動計測回路6aは、接続された電気機器400への通電状態の変化から当該電気機器400の状態を検出する図示しない状態検出手段を備える。また、駆動計測回路6aは、接続された電気機器400への通電状態を示す情報から当該電気機器400の消費電力量を積算する図示しない消費電力量積算手段と、この消費電力積算手段により積算された電気機器400の消費電力量を累積した値を使用電力量として記憶する図示しない使用電力量記憶手段とを備える。さらに、駆動計測回路6aは、通信回路6bにより取得した制御情報に基づいてスイッチ部4を制御する図示しないリレー制御手段を備える。
【0067】
また、制御部6は、ホームサーバ40(HEMSの中央制御装置50)や情報端末装置200などの他の装置へ各種情報を提供したり、これらの他の装置から制御情報を取得したりするためのウェブページを、これらの他の装置へ提供するウェブサーバ部6cを備える。すなわち、制御部6は、ホームサーバ40(HEMSの中央制御装置50)や情報端末装置200などの他の装置から送信される制御情報に基づいて、スイッチ部4を制御する。
【0068】
なお、ウェブページとは、インターネットやイントラネットなどのIPネットワークで標準的に用いられるWWW(World Wide Web)システムを使用して、他の装置に提供されるものであり、他の装置は、このウェブページを閲覧するためのアプリケーションソフトウェアであるウェブブラウザを備える。このウェブブラウザは、一般的に広く普及しており、IPネットワークに接続されるパソコンや携帯電話機に標準的に装備されている。
【0069】
つぎに、本実施形態に係る電源管理コンセント10の動作について説明する。
前提として、商用電源20からの電力が住宅用分電盤30を介して高周波変換部3bに供給されており、商用電源周波数の交番電流が高周波変換部3bの整流器3cにより直流電流に変換され、変換された直流電流が高周波変換部3bのインバータ3dにより高周波の交番電流に変換されて、保護コイル3aに供給されている。すなわち、保護コイル3aは、商用電源20からの交番電流に応じてコイルを貫く磁界H1を発生している。
【0070】
まず、電源管理コンセント10の利用者は、電源管理コンセント10の差込口部1における刃受穴11に、電気機器400の差込プラグ410における刃412を挿入して、差込口部1の刃受12に差込プラグ410の刃412を受けさせる。
【0071】
電気機器400は、商用電源20からの電力が住宅用分電盤30及び差込口部1を介して供給されることにより、刃受12に受ける差込プラグ410の刃412に流れる電流に基づいて同心円状に磁界H2が発生することになる。
【0072】
この場合に、保護コイル3aに流れる電流に基づいて発生する磁界H1は、差込プラグ410の刃412に流れる電流に基づいて発生する磁界H2を傾け、電気機器400の差込プラグ410におけるICタグ411に付加されている識別情報が上書され又は初期化されることを防止している。
【0073】
また、タグリーダ2は、商用電源20からの電力が住宅用分電盤30を介して供給されることにより、ICタグ411から識別情報を読み出すためのコマンド信号をCPU2cが生成し、変調回路2e及び無線周波数回路2dを介して、アンテナコイル2aからICタグ411のアンテナコイル411aに電波を送信する。
【0074】
ICタグ411は、アンテナコイル411aで受信した電波に基づき、無線周波数回路411d及び復調回路411eを介して、CPU411cがメモリ411gに記憶された識別情報を読み出す。
【0075】
そして、ICタグ411は、CPU411cがメモリ411gから読み出した識別情報を、変調回路411f及び無線周波数回路411dを介して、アンテナコイル411aからタグリーダ2のアンテナコイル2aに電波を送信する。
【0076】
タグリーダ2は、アンテナコイル2aで受信した電波に基づき、無線周波数回路2d及び復調回路2fを介して、CPU2cがICタグ411に付加された識別情報を取得し、制御部6に出力する。
【0077】
制御部6は、通信回路6bにより、IPアドレス記憶部8に記憶されたIPアドレスを用いて、IPネットワーク接続部7を介して家庭内LANに接続して、取得した識別情報をHEMSの中央制御装置50に送信する。また、制御部6は、必要に応じて、計測部9により計測した値に基づき、差込口部1に接続された電気機器400への通電状態を示す情報を駆動計測回路6aにより演算し、通電状態の変化から当該電気機器400の状態を検出すると共に、通電状態を示す情報から当該電気機器400の消費電力量を積算して、これらの演算結果を、HEMSの中央制御装置50に送信する。
【0078】
HEMSの中央制御装置50は、差込口部1に接続された電気機器400の識別情報を取得する。また、HEMSの中央制御装置50は、必要に応じて、駆動計測回路6aによる演算結果を取得する。
【0079】
そして、HEMSの中央制御装置50は、取得した電気機器400の識別情報及び/又は駆動計測回路6aによる演算結果に基づき、当該電気機器400に電力を供給する必要があるか否かを判断し、電力を供給する必要があると判断した場合に、当該電気機器400が接続する電源管理コンセント10の制御部6に制御情報を送信する。
【0080】
そして、制御情報を送信された制御部6は、該当する電気機器400が接続する差込口部1に繋がるスイッチ部4の励磁を解除して開放することにより、電気機器400への電力の供給を停止する。
【0081】
以上のように、本実施形態に係る電源管理コンセント10は、商用電源20に電気的に接続され、タグリーダ2におけるアンテナコイル2aの中心軸O2に略平行な中心軸O3を有し、アンテナコイル2a近傍に配設される保護コイル3を備える。これにより、本実施形態に係る電源管理コンセント10は、刃受12に受ける差込プラグ410の刃412に流れる電流に基づいて同心円状に発生する磁界H2を、ICタグ411のアンテナコイル411aを含む面Sに対して傾け、電気機器400の差込プラグ410におけるICタグ411に付加されている識別情報が上書又は初期化により消去されることを防止すること
ができるという作用効果を奏する。
【0082】
また、本発明の有効な活用方法は、電源管理コンセント10とHEMSとの組合せによるホームエネルギーマネージメントシステムの機能拡充である。特に、電源管理コンセント10の機能としては、本発明の主たる機能である「ICタグによる接続電気機器識別機能」に加え、従来技術の手法を用いて、「通信機能(電源管理コンセント10−中央制御装置50)」、「ON−OFF機能」、「電気使用量測定機能」又は「消費電力波形による接続電気機器推定機能」(本願発明者が提案した「プラグ受け」(特願2008−176240号)を用いた技術)等を付加することで、低コスト且つ高機能なホームエネルギーマネージメントシステムを提供することができる。
【0083】
更に言えば、電源管理コンセント10とHEMSとの組合せにより、電源管理コンセント10において接続される電気機器400の特定と、電源管理コンセント10のON−OFF機能により電気機器400の電源のON−OFFを可能とする。
【0084】
しかしながら、接続される電気機器400によっては、電源管理コンセント10をON状態にしても、電気機器400のOFF状態が保持されるものもあり、電気機器400のOFF制御は可能であるが、ON制御はできない。また、詳細な出力制御を必要とする電気機器400、例えば、エアコンなどは、エアコン側の温度設定が優先されることになる。
【0085】
これらの制御を可能とするには、各電気機器400のリモコン信号を予め記憶させておき、HEMSによって任意のリモコン信号を送信することによって実現することができる。この場合、電源管理コンセント10のON−OFF機能は、待機電力のカットや災害時等の電力の強制遮断などに有効に活用される。
【0086】
本発明の最大のメリットは、住宅側のシステムさえ構築しておけば、現在普及している一般的な電気機器400を改造することなく、差込プラグ410にICタグ411を貼り付けるだけで、そのまま利用できる点である。このことは、本システムの普及に対して重要な要素であり、システム構築の容易さを実現し、一般家庭への普及を促進させる要素の一つであり、将来的には、スマートグリッド構想を実現する有効な技術である。
【0087】
なお、本実施形態に係る電源管理コンセント10においては、1個の電源管理コンセント10に対して、IPアドレス記憶部8に記憶された1つのIPアドレスが設定されているが、1戸の住宅100(ホームサーバ40)に対して、1つのIPアドレスを設定し、1戸の住宅100に配設されたm個(mは1以上の整数)の電源管理コンセント10からなるn個(nは2以上の整数)のスイッチ部4を、1つのIPアドレスによって管理する構成としてもよい。
【0088】
この場合には、他の装置からの制御信号をホームサーバ40が受信し、ホームサーバ40が、該当する電源管理コンセント10の差込口部1に対応するスイッチ部4に対して、制御信号(リレー制御信号)を送信する。
【0089】
したがって、電源管理コンセント10は、IPアドレス記憶部8を備える必要はなく、IPネットワーク接続部7とホームサーバ40とを繋ぐ家庭内LANには、IPアドレス信号ではなく、リレー制御信号が送信されることになる。
【0090】
なお、本実施形態に係る電源管理コンセント10は、通電状態の電気機器400の差込プラグ410を差込口部1から引き抜き、再度、差込プラグ410を差込口部1に差し込んだ場合に、電気機器400の電源をONさせる機能を付加してもよい。
【0091】
この場合には、電源管理コンセント10が、対象の電気機器400を遠隔操作するための操作信号(例えば、赤外線や電波等の無線信号)を送信する、図示しない送信部を備える。
【0092】
また、HEMSは、電気機器400を区別するカスタムコードと、各動作(例えば、電気機器400が「テレビ受像機」であれば、「電源のON/OFF」や「チャンネルの切換」等)を指定するためのデータコード(ここでは、「電源ON」のデータコード)との組み合わせからなる一連のコードを記憶する、図示しないデータベースを備える。
【0093】
これらの構成により、HEMSの中央制御装置50は、電気機器400の差込プラグ410が差込口部1に差し込まれると、差込口部1に接続された電気機器400の識別情報を取得する。
【0094】
そして、HEMSの中央制御装置50は、取得した電気機器400の識別情報に基づき、当該電気機器400のカスタムコードとデータコード(「電源ON」)との組み合わせからなる一連のコードを、HEMSのデータベースから読み出す。
【0095】
そして、HEMSの中央制御装置50は、対象の電気機器400が接続する電源管理コンセント10の制御部6に、HEMSのデータベースから読み出した一連のコードを送信する。
【0096】
電源管理コンセント10の制御部6は、一連のコードを受信すると、図示しない送信部を制御し、当該一連のコードを操作信号として、電源管理コンセント10の外部に発信する。対象の電気機器400は、操作信号を受信すると、データコード(「電源ON」)に基づき、電源をONする。
【0097】
(本発明の第2の実施形態)
図8は第2の実施形態に係るホームエネルギーマネージメントシステムを住宅に適用した例を示す概略構成図である。また、図9は図8に示す電源管理コンセントの概略構成を示すブロック図である。図8及び図9において、図1乃至図7と同じ符号は、同一又は相当部分を示し、その説明を省略する。
【0098】
住宅100は、各電源管理コンセント10の各電圧側極刃受12aに電気的に接続される電圧側電線61と、各電源管理コンセント10の各接地側極刃受12bに電気的に接続される接地側電線62と、接地線と、を備える単相3線式の屋内配線に対して、図8に示すように、電圧側電線61と、接地側電線62と、接地線から接地を外した電線(以下、未接地線63と称す)と、を備える屋内配線が敷設されている。特に、分電盤30とホームサーバ40及びHEMSの中央制御装置50との間は、接地側電線62により接続されておらず、HEMSの中央制御装置50を未接地線63の終端とするために、電源管理コンセント10に接続された電気機器400(情報機器)からの高周波情報信号が住宅100内から屋外へ流出する情報漏洩を防止することができる。
【0099】
なお、電源管理コンセント10として2極接地極付差込接続器(プラグ受)を用いるのであれば、未接地線63は、電源管理コンセント10の接地極刃受12cに電気的に接続されることになる。
【0100】
タグリーダ2は、接続端子の一端が接地側電線62に電気的に接続され、接続端子の他端が未接地線63に電気的に接続されると共に、電気機器400のICタグ411から読み取った電気機器400の識別情報を、接地側電線62及び未接地線63を介して、HE
MSの中央制御装置50に送信する。
【0101】
すなわち、タグリーダ2は、アンテナコイル2aで受信した電波に基づき、無線周波数回路2d及び復調回路2fを介して、CPU2cがICタグ411に付加された識別情報を取得し、接地側電線62及び未接地線63を介して、HEMSの中央制御装置50に送信する。
【0102】
なお、この第2の実施形態においては、住宅100の屋内配線が接地線の替わりに未接地線63を備え、タグリーダ2で読み取った識別情報を、接地側電線62及び未接地線63を介して、中央制御装置50に送信するところのみが第1の実施形態と異なるところであり、後述する未接地線63による作用効果以外は、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0103】
本実施形態に係るHEMSにおいては、住宅100に敷設された接地線を未接地線63とし、未接地線63と接地側電線62とを通信線として利用することにより、PLCモデムによる電力線通信のように、新たな通信機器を必要とせず、既存の設備を利用することができるという作用効果を奏する。
【0104】
特に、IPネットワーク接続部7とHEMSの中央制御装置50とを繋ぐ家庭内LANについても、家庭内LANの替わりに、未接地線63と接地側電線62とを通信線として利用することにより、家庭内LANによる有線通信及び無線通信のように、新たな通信線及び通信機器を必要とせず、既存の設備を利用することができる。
【0105】
なお、本実施形態に係る電源管理コンセント10においては、保護コイル3a及び高周波変換部3b(整流器3c、インバータ3d)を必ずしも備える必要はなく、保護コイル3a及び高周波変換部3b(整流器3c、インバータ3d)を備えない場合であっても、既存の設備を利用することができるという作用効果を奏する。
【0106】
(本発明の第3の実施形態)
図10は第3の実施形態に係る電源タップの内部構造を示す分解平面図である。図10において、図1乃至図9と同じ符号は、同一又は相当部分を示し、その説明を省略する。
電源管理コンセント10は、接地極付コンセントであり、図8に示すように、電圧側極刃受12aが電圧側電線61に電気的に接続され、接地側極刃受12bが接地側電線62に電気的に接続され、接地極刃受12cが未接地線63に電気的に接続される。
【0107】
電源タップ500は、図10に示すように、差込口部501(刃受穴511、刃受512)と、タグリーダ502と、接地極付きプラグ520(ICタグ521、刃522)と、端子板530(電圧側極端子板531、接地側極端子板532、接地極端子板533)と、を備える。
【0108】
また、電源タップ500は、接地極付きプラグ520の各刃522(電圧側極刃522a、接地側極刃522b、接地極刃522c)及び端子板530(電圧側極端子板531、接地側極端子板532、接地極端子板533)間をそれぞれ電気的に接続するリード線540(電圧側極リード線541、接地側極リード線542、接地極リード線543)と、リード線540を絶縁及び保護するために絶縁材で被覆したコード550と、刃受512、タグリーダ502、端子板530及びリード線540を内包して保護する筐体560と、を備える。
【0109】
差込口部501は、2極接地極付差込接続器(プラグ受)であり、刃受穴511を挿通した電気機器400の差込プラグ410の刃412を受ける刃受512を備える。
【0110】
なお、差込口部501は電源管理コンセント10の差込口部1に相当し、図4(c)及び図4(d)において、刃受穴511は刃受穴11に相当し、刃受512(電圧側極刃受512a、接地側極刃受512b、接地極刃受512c)は刃受12(電圧側極刃受12a、接地側極刃受12b、接地極刃受12c)に相当するものであり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0111】
タグリーダ502は、電気機器400のICタグ411に付加される識別情報を読み取るものであり、アンテナコイル502aと、電源回路502bと、CPU502cと、無線周波数回路502dと、変調回路502eと、復調回路502fと、を備える。
【0112】
なお、タグリーダ502は電源管理コンセント10のタグリーダ2に相当し、図7(b)において、アンテナコイル502aはアンテナコイル2aに相当し、電源回路502bは電源回路2bに相当し、CPU502cはCPU2cに相当し、無線周波数回路502dは無線周波数回路502dに相当し、変調回路502eは変調回路2eに相当し、復調回路502fは復調回路2fに相当するものであり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0113】
接地極付きプラグ520(電圧側極刃522a、接地側極刃522b、接地極刃522c)は、2極接地極付差込接続器(差込プラグ)であり、電気機器400を特定するための型番や製造番号などの識別情報が付加されたICタグ521が、内部に埋設されることや表面に貼設されることにより、配設されている。
【0114】
なお、接地極付きプラグ520は電気機器400の差込プラグ410に相当し、図4(a)及び図4(b)において、電圧側極刃522aは電圧側極刃412aに相当し、接地側極刃522bは接地側極刃412bに相当し、接地極刃522cは接地極刃412cに相当するものであり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0115】
端子板530は、電圧側極刃522a及び電圧側極刃受512a間に電気的に接続される電圧側極端子板531と、接地側極刃522b及び接地側極刃受512b間に電気的に接続される接地側極端子板532と、接地極刃522c及び接地極刃受512c間に電気的に接続される接地極端子板533と、からなる。
【0116】
タグリーダ502は、接続端子の一端が接地側極端子板532に電気的に接続され、接続端子の他端が接地極端子板533に電気的に接続されると共に、電気機器400のICタグ411から読み取った電気機器400の識別情報を、接地側極端子板532及び接地極端子板533並びに接地側電線62及び未接地線63を介して、HEMSの中央制御装置50に送信する。
【0117】
すなわち、タグリーダ502は、アンテナコイル502aで受信した電波に基づき、無線周波数回路502d及び復調回路502fを介して、CPU502cがICタグ411に付加された識別情報を取得する。
【0118】
そして、タグリーダ502が取得した電気機器400の識別情報は、電源タップ500内において、接地側極端子板532及び接地極端子板533、接地側極リード線542及び接地極リード線543、並びに、接地極付きプラグ520の接地側極刃522b及び接地極刃522cを伝播される。
【0119】
そして、電源タップ500内を伝播された電気機器400の識別情報は、電源管理コンセント10内において、接地側極刃受12b及び接地極刃受12cを伝播され、住宅100の宅内配線において、接地側電線62及び未接地線63を介して、HEMSの中央制御
装置50に伝播される。
【0120】
この場合に、電源管理コンセント10は、タグリーダ2で読み取った電源タップ500のICタグ521に付加される識別情報を、電源タップ500のタグリーダ502で読み取った電気機器400のICタグ411に付加される識別情報と共に、HEMSの中央制御装置50に向けて送信することになる。
【0121】
なお、この第3の実施形態においては、電源タップ500を介して電気機器400を電源管理コンセント10に接続するところのみが第2の実施形態と異なるところであり、電源タップ500による作用効果以外は、第2の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0122】
また、本実施形態に係る電源タップ500においては、第1の実施形態に係る電源管理コンセント10と同様に、保護コイル3a及び高周波変換部3b(整流器3c、インバータ3d)を備えることにより、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0123】
また、本実施形態に係る電源タップ500においては、未接地線63と接地側電線62とを通信線として利用する替わりに、IPネットワーク接続部7とHEMSの中央制御装置50とを繋ぐ家庭内LANを用いることにより、接続された電気機器400(情報機器)からの高周波情報信号が住宅内から屋外へ流出する情報漏洩を防止することができる。
【0124】
(本発明のその他の実施形態)
前述した第1の実施形態、第2の実施形態及び第3の実施形態に係るHEMS(電源管理コンセント10、電源タップ500)は、利用者の使い方によって、例えば、以下に示す6つの機能を実現することができる。
【0125】
実現可能な機能は、省エネルギー向けのものばかりでなく、電気使用の安心安全化を目的としたものもある。
1.スマートグリッド・HEMS対応による負荷のピークカット
本実施形態に係るHEMSの中央制御装置50は、各電源管理コンセント10の各差込口部1及び各電源タップ500の各差込口部501に、どのような電気機器400が接続されているかを、常に把握することができる。
【0126】
また、HEMSの中央制御装置50は、電気機器400のICタグ411に記録された電気機器400の識別情報とインターネット300上に設置されたデータベース(各電気機器400の機能や消費電力の情報を格納したDB)とに基づき、各電気機器400の機能や消費電力を認識することができる。
【0127】
これにより、HEMSの中央制御装置50は、PCなどの常時稼動を必要とする電気機器400であるか、電気ストーブなどの常時稼動を必要としない電気機器400であるかを判断し、常時稼動を必要としない電気機器400だけの電源をOFFすることや、電気機器400の優先度に応じて電源をOFFすることができる。
【0128】
特に、建物内における各電源管理コンセント10の各差込口部1及び各電源タップ500の各差込口部501並びにこれらに接続された電気機器400類を、スマートグリッドの末端として機能させることができ、電力需要のピーク時に、電源をOFFしても差し支えない電気機器400類に対して、当該電気機器400が接続されている差込口部
【0129】
1(差込口部501)単位で、電源をOFFすることを可能にする。
【0130】
2.負荷のピークカットに対応しやすい配線のガイド
前述したピークカットの効果を高めるためには、優先度の高い電気機器と優先度の低い電気機器との組み合わせや、常時稼動を必要とする電気機器と常時稼動を必要としない電気機器との組み合わせが、マルチタップによって、埋込コンセントの一つの差込口に接続されている状況を避けなければならない。これは、例えば、優先度の高い電気機器と優先度の低い電気機器とが、一つのマルチタップの各差込口に接続されており、当該マルチタップの差込プラグが、埋込コンセントの一つの差込口に接続されている状況において、優先度の高い電気機器の電源をOFFしないようにするために、優先度の低い電気機器の電源もOFFすることができないという事態を避けるためである。
【0131】
このように、本実施形態に係るHEMS(電源管理コンセント10、電源タップ500)は、優先度の異なる電気機器400の組み合わせや常時稼動の要否の異なる電気機器400の組み合わせによる配線を検出し、最適な組み合わせによる配線に変更すべきことを利用者に促すことができる。
【0132】
3.タコ足配線による潜在的危険防止
現場では、いわゆるタコ足配線によって、埋込コンセントの一つの差込口に定格電流を越える電力消費が集中する場合がある。
【0133】
これに対し、本実施形態に係るHEMSは、各電源管理コンセント10の各差込口部1及び各電源タップ500の各差込口部501に接続されている電気機器400を識別できるため、電源管理コンセント10の一つの差込口部1に電源タップ500を介して接続されている複数の電気機器400の電源を全てONにしたときの全消費電力を予測することができる。
【0134】
このため、本実施形態に係るHEMS(電源管理コンセント10、電源タップ500)は、埋込コンセントやマルチタップの差込口の最大電力を越える危険性がある場合に、各電気機器400の電源をONする前に危険性を予め検知し、漏電や火災等の事故の原因になるタコ足配線を止めるように、利用者に注意を促すことができる。
【0135】
4.電気機器(電気製品)のリコールへの対応容易化
近年、石油ファンヒーターや冷蔵庫等の電気機器(電気製品)のリコールが相次いでいる。このような人命に関わるリコールに対し、製造元の企業は、莫大な費用をかけて、リコール対象の電気機器(電気製品)を探し続けなければならない。
【0136】
これに対し、本実施形態に係るHEMSに対応した差込プラグ410を有する電気機器400は、リコール対象になった場合に、差込プラグ410が電源管理コンセント10の差込口部1又は電源タップ500の差込口部501に接続されることで、本実施形態に係るHEMSによって、リコール対象として検出される。特に、重大なリコールの場合には、リコール対象の電気機器400の電源を自動的にOFFして、リコール対象の電気機器400の使用を強制的に禁止することも可能である。
【0137】
5.室内カメラとの連携
本実施形態に係るHEMS(電源管理コンセント10、電源タップ500)は、住宅100内の人及び電気機器400を認識する室内カメラと連携することにより、住宅100内の人の近傍に位置する電気機器400のみの電源をON又はOFFする機能が実現できる。
【0138】
6.ホームセキュリティー(特に、安否確認システム)への応用
本実施形態に係るHEMSは、前述したとおり、電源管理コンセント10(電源タップ500)の差込口部1(差込口部501)に接続された電気機器400と、当該電気機器
400の消費電力量とをリアルタイムに把握することができる。電力を消費している電気機器の特定とその電力消費量の監視は、高齢者等(特に、一人暮らし)の安否情報として重要な要素である。このため、本実施形態に係るHEMSは、電気機器の消費電力の動向を監視することによる高齢者等の安否を利用者の携帯電話機に報知する既存の技術(安否確認システム)に応用することで、安否確認システムの利用者に対して、高齢者等の安否をさらに詳細に(高齢者等による電気機器400の使用状態(開始、継続、終了)の情報と共に)提供することができる。
【0139】
以下、前述した第1の実施形態、第2の実施形態及び第3の実施形態に係るHEMS(電源管理コンセント10、電源タップ500)による、ビジネス上の見通し及び利点について説明する。
従来、本実施形態に係るHEMSのような提案がなされなかったのは、配線システムが規格化され固定されているために、配線システムに変更の余地がないと解釈されているためであると考えられる。これに対し、電力会社は、このような提案を世に問い、規格化を推進しうる立場にある数少ない組織の一つである。
【0140】
このような事情の下に、本実施形態に係るHEMS(電源管理コンセント10、電源タップ500)は、家庭内の電気機器400を負荷のピークカットに組み込む有効な方法であり、本システムが実現し普及すれば、電力需要のピークの予測値を下げることができ、発電、変電及び送電施設の設備投資を抑制することもできる。
【0141】
ここで、本実施形態に係るHEMS(電源管理コンセント10、電源タップ500)を利用しない場合であり、例えば、通信及び制御のサブシステムを電気機器(電気製品)に組み込む場合について考察する。
【0142】
この場合には、全ての電気機器(電気製品)にサブシステムを組み込むことになると、通信及び制御機能を電気機器(電気製品)に現時点で必要としない消費者も、サブシステムを組み込むために必要な追加コストを価格に上乗せされた電気機器(電気製品)を購入することにより、追加コストを負担することになる。
【0143】
これは、通信及び制御機能を電気機器(電気製品)に必要とする少数の利用者のために、通信及び制御機能を電気機器(電気製品)に現時点で必要としない大多数の消費者が追加コストを負担することになり、受益者負担の原則に反し、実現するとは考え難い。
【0144】
このため、現時点では、多くの品種がある電気機器(電気製品)の中で、ごく一部の製品のみにサブシステムを組み込むことになると考えられる。
【0145】
しかしながら、これでは、電気機器(電気製品)の通信及び制御機能を利用しようとすると、サブシステムを組み込んだ電気機器(電気製品)が少なく、電気機器(電気製品)を選択する自由度が著しく失われてしまい、結局のところ、電気機器(電気製品)の通信及び制御機能は普及せずに終わることになる。
【0146】
これに対し、本実施形態に係るHEMS(電源管理コンセント10、電源タップ500)においては、現在普及している一般的な電気機器を改造することなく、差込プラグ410にICタグ411を貼り付けるだけで、そのまま利用できる点である。後述のとおり、住宅側のシステムさえ構築しておけば、電気機器400に必要な追加コストが差込プラグ410のICタグ411だけであるので、このICタグ411による追加コストとして無視できる程度である。そのうえ、HEMSの中央制御装置50でICタグ411に情報を登録する機能を設けておけば、HEMSの利用者が専用の(書き換え可能な)ICタグ411を購入し、自ら差込プラグ410にICタグ411を貼り付けるだけで、中央制御装
置50がICタグ411に情報を自動的に登録するために、専門の知識や技能を有しない一般家庭の利用者が、自らシステムを構築し、更にはシステムの拡張などに自由に対応することができる。
【0147】
なお、本実施形態に係るHEMS(電源管理コンセント10、電源タップ500)に必要な追加コストの大多数は、住宅100等に本システムを導入する際に、電源管理コンセント10(HEMSの端局及び設置工事を含む)や電源タップ500に費やすコストであり、受益者負担の原則が保たれる。すなわち、本実施形態に係るHEMS(電源管理コンセント10、電源タップ500)は、利用者が必要に応じて住宅100に導入するものであり、徐々に普及させることが可能である。
【0148】
また、本実施形態に係るHEMS(電源管理コンセント10、電源タップ500)が普及すると、家電メーカは、各電気機器400の差込プラグ410にICタグ411を組み込むことにより、新機能(通信及び制御機能)に対応した製品であることを前面に出し、新機能(通信及び制御機能)に対応していない製品との差別化を図ることができる。
【0149】
また、電源管理コンセント10や電源タップ500の売り上げと共に、本実施形態に係るHEMSによる家電ネットワークの土台が整備されることは、家電メーカにとって歓迎すべきことであると考える。
【0150】
また、前述したリコールに対応できる機能を考えると、本実施形態に係るHEMS(電源管理コンセント10、電源タップ500)への対応を拒否することは、企業の社会的責任が指弾される事態をも招きかねないため、家電メーカは、本実施形態に係るHEMSのような提案に反対することはないと考える。
【0151】
また、近年では、あらゆる産業分野において、単なる個々の技術ではなく、土台となるプラットフォームを普及させた組織が主導権を握る傾向にある。
【0152】
すなわち、本実施形態に係るHEMSのような提案により、本願出願人をはじめとする電力会社が、HEMS等の家電ネットワークのプラットフォーマーになり、家電業界等のハードメーカを牽引する構図が可能になると考えられる。
【符号の説明】
【0153】
1 差込口部
2 タグリーダ
2a アンテナコイル
2b 電源回路
2c CPU
2d 無線周波数回路
2e 変調回路
2f 復調回路
3a 保護コイル
3b 高周波変換部
3c 整流器
3d インバータ
4 スイッチ部
5 電源部
6 制御部
6a 駆動計測回路
6b 通信回路
6c ウェブサーバ部
7 IPネットワーク接続部
8 IPアドレス記憶部
9 計測部
10 電源管理コンセント
11 刃受穴
12 刃受
12a 電圧側極刃受
12b 接地側極刃受
12c 接地極刃受
20 商用電源
30 住宅用分電盤
40 ホームサーバ
50 中央制御装置
61 電圧側電線
62 接地側電線
63 未接地線
100 住宅
200 情報端末装置
300 インターネット
400 電気機器
410 差込プラグ
411 ICタグ
411a アンテナコイル
411b 電源回路
411c CPU
411d 無線周波数回路
411e 復調回路
411f 変調回路
411g メモリ
412 刃
412a 電圧側極刃
412b 接地側極刃
412c 接地極刃
500 電源タップ
501 差込口部
502 タグリーダ
502a アンテナコイル
502b 電源回路
502c CPU
502d 無線周波数回路
502e 変調回路
502f 復調回路
511 刃受穴
512 刃受
512a 電圧側極刃受
512b 接地側極刃受
512c 接地極刃受
520 プラグ
521 ICタグ
522 刃
522a 電圧側極刃
522b 接地側極刃
522c 接地極刃
530 端子板
531 電圧側極端子板
532 接地側極端子板
533 接地極端子板
540 リード線
541 電圧側極リード線
542 接地側極リード線
543 接地極リード線
550 コード
560 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICタグが配設される差込プラグの刃を受ける刃受と、当該ICタグに付加される識別情報を読み取るタグリーダとを備えるプラグ受において、
商用電源に電気的に接続され、前記タグリーダにおけるアンテナコイルの中心軸に略平行な中心軸を有し、当該アンテナコイル近傍に配設される保護コイルを備えることを特徴とするプラグ受。
【請求項2】
前記請求項1に記載のプラグ受において、
前記商用電源からの商用電源周波数の交番電流を整流器により直流電流に変換し、当該変換した直流電流をインバータにより高周波の交番電流に変換して、前記保護コイルに供給する高周波変換部を備えることを特徴とするプラグ受。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載のプラグ受において、
前記商用電源と前記刃受との電路を開閉するスイッチ部と、
IPネットワークに接続するためのIPネットワーク接続部と、
前記IPネットワークを介して他の装置からの接続を可能にするためのIPアドレスを記憶するIPアドレス記憶部と、
前記IPネットワークを介して前記他の装置から送信される制御信号に基づいて、前記スイッチ部を投入又は開放する制御部と、
を備えることを特徴とするプラグ受。
【請求項4】
ICタグが配設される接地極付きプラグの刃を受ける第1の刃受及び当該ICタグに付加される識別情報を読み取る第1のタグリーダを備える接地極付コンセントと、当該接地極付コンセントにおける電圧側極の第1の刃受に電気的に接続される電圧側電線、前記接地極付コンセントにおける接地側極の第1の刃受に電気的に接続される接地側電線、及び前記接地極付コンセントにおける接地極の第1の刃受に電気的に接続される接地線を備える単相3線式の屋内配線と、住宅におけるエネルギーを管理する中央制御装置と、を備えるホームエネルギーマネージメントシステムにおける、前記接地極付コンセントの第1の刃受に対して、前記接地極付きプラグを介して接続される電源タップにおいて、
ICタグが配設される差込プラグの刃を受ける第2の刃受と、
前記ICタグに付加される識別情報を読み取る第2のタグリーダと、
前記接地極付きプラグの電圧側極の刃及び前記電圧側極の第2の刃受間に電気的に接続される電圧側極端子板と、
前記接地極付きプラグの接地側極の刃及び前記接地側極の第2の刃受間に電気的に接続される接地側極端子板と、
前記接地極付きプラグの接地極の刃及び前記接地極の第2の刃受間に電気的に接続される接地極端子板と、
を備え、
前記第1のタグリーダにおける接続端子の一端が、前記接地側電線に電気的に接続され、
前記第1のタグリーダにおける接続端子の他端が、前記接地線から接地を外した電線である未接地線に電気的に接続され、
前記第2のタグリーダにおける接続端子の一端が、前記接地側極端子板に電気的に接続され、
前記第2のタグリーダにおける接続端子の他端が、前記接地極端子板に電気的に接続され、
前記第2のタグリーダで読み取った識別情報が、前記接地側極端子板及び接地極端子板並びに前記接地側電線及び未接地線を介して、前記中央制御装置に送信されることを特徴とする電源タップ。
【請求項5】
ICタグが配設される差込プラグの刃を受ける刃受及び当該ICタグに付加される識別情報を読み取るタグリーダを備える埋込コンセントと、前記埋込コンセントの電圧側極の刃受に電気的に接続される電圧側電線、前記埋込コンセントの接地側極の刃受に電気的に接続される接地側電線、及び接地線を備える単相3線式の屋内配線と、住宅におけるエネルギーを管理する中央制御装置と、を備えるホームエネルギーマネージメントシステムにおいて、
前記タグリーダの接続端子の一端が、前記接地側電線に電気的に接続され、
前記タグリーダの接続端子の他端が、前記接地線から接地を外した電線である未接地線に電気的に接続され、
前記タグリーダで読み取った識別情報が、前記接地側電線及び未接地線を介して、前記中央制御装置に送信されることを特徴とするホームエネルギーマネージメントシステム。
【請求項6】
前記請求項5に記載のホームエネルギーマネージメントシステムにおいて、
前記埋込コンセントが、
商用電源と前記刃受との電路を開閉するスイッチ部と、
IPネットワークに接続するためのIPネットワーク接続部と、
前記IPネットワークを介して前記中央制御装置からの接続を可能にするためのIPアドレスを記憶するIPアドレス記憶部と、
前記IPネットワークを介して前記中央制御装置から送信される制御信号に基づいて、前記スイッチ部を投入又は開放する制御部と、
を備え、
前記中央制御装置が、前記埋込コンセントから送信される識別情報に基づき、前記IPネットワーク接続部に対して、前記スイッチ部の開閉状態を制御するための制御信号を送信し、
前記制御部が、前記IPネットワーク接続部で受信した制御信号に基づいて、前記スイッチ部を投入又は開放することを特徴とするホームエネルギーマネージメントシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−254229(P2011−254229A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125907(P2010−125907)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)
【出願人】(504174135)国立大学法人九州工業大学 (489)
【Fターム(参考)】