説明

プラスチックレンズの製造方法

【課題】十分な屈折率と高いアッベ数を有し、かつ光弾性定数が低く、さらに表面硬度、耐衝撃性、耐溶剤性、透明性および耐熱性に優れたプラスチックレンズの製造方法を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表されるカーボネート構成単位[A]を50〜100モル%含むホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂を、シリンダー温度200〜300℃、金型温度40〜120℃で射出圧縮成形することを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックレンズの製造方法に関する。さらに詳しくは、十分な屈折率と高いアッベ数を有し、さらに光弾性定数が低いという特徴をあわせ持つプラスチックレンズの製造方法に関する。プラスチックレンズの原料となるポリカーボネート樹脂成形材料は、前記光学特性に優れ、また成形性にも優れているのでプラスチックレンズを容易に成形・加工するのに適している。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂(以下、PCと称することがある)は、ビスフェノールを炭酸エステルにより連結させたポリマーであり、その中でも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)より得られるポリカーボネート樹脂は、透明性、耐熱性に優れ、また耐衝撃性等の機械特性に優れた性質を有することから多くの分野に用いられている。各種レンズ、光ディスク等の光学分野においては、その耐衝撃性、透明性等の特性が注目され、光学用と材料として重要な位置を占めている。
【0003】
特にレンズ分野において、熱可塑性樹脂であるPCはその生産性および加工性の良さから注目を浴びており、これまでプラスチックレンズの材料として主流を占めてきたCR−39(ジエチレングリコールビスアリルカーボネート)に代表される熱硬化性樹脂の代替として需要が増大し、例えば、眼鏡レンズでは、BPA−PCの優れた靭性が、他の材料よりも高い安全性を与えるものとして広く利用されている。
【0004】
しかしながら、ビスフェノールAにホスゲンやジフェニルカーボネート等のカーボネート前駆体物質を反応させて得られるポリカーボネート樹脂は、屈折率は1.585と高いがアッベ数が30と低いため、色収差の問題が出やすく、屈折率とアッベ数のバランスが悪いという欠点を有する。また、光弾性定数が大きく、成形品の複屈折が大きくなってしまう欠点を有する。このようなポリカーボネート樹脂の欠点を解決するために、ビスフェノールと脂肪族ジオールとの共重合ポリカーボネート樹脂がいくつか提案されている(特許文献1〜7参照)。これらの技術では、屈折率、アッベ数が未だ低いという欠点や、光弾性定数が大きくなり、成形品の複屈折率が大きくなる欠点、もしくは成形性、耐熱性、色相等が不十分で満足する成形体が得られない等の問題があった。
【0005】
併せて、環境志向の高まりに伴い、近年PLAなどに代表される再生可能資源から得られる材料がさまざまな分野において求められているが、これまで、上記要求特性を満足し、且つ再生可能資源から得られる材料というものは未だ見られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平01−066234号公報
【特許文献2】特開平10−120777号公報
【特許文献3】特開平11−228683号公報
【特許文献4】特開平11−349676号公報
【特許文献5】特開2000−063506号公報
【特許文献6】国際公開第2002/04992号パンフレット
【特許文献7】特開2003−090901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第1の目的は、十分な屈折率と高いアッベ数を有し、かつ光弾性定数が低いプラスチックレンズの製造方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、表面硬度、耐衝撃性、耐溶剤性、透明性および耐熱性に優れたプラスチックレンズの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、下記式(a)で表されるエーテルジオールから誘導されたカーボネート構成単位[A]を含むポリカーボネート樹脂、特にカーボネート構成単位[A]と脂肪族ジオール類から誘導されたカーボネート構成単位[B]とからなるポリカーボネート樹脂が、十分な屈折率と高いアッベ数を有し、かつ光弾性定数が低く、さらに物理特性および耐溶剤性に優れるという関係を満足することを見出し、本発明に至った。
【0009】
【化1】

【0010】
すなわち、本発明によれば、
1.下記式(1)で表されるカーボネート構成単位[A]を50〜100モル%含むホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂を、シリンダー温度200〜300℃、金型温度40〜120℃で射出圧縮成形することを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。
【化2】

2.ホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂は、前記式(1)で表されるカーボネート構成単位[A]および下記式(2)で表されるカーボネート構成単位[B]からなり、カーボネート構成単位[A]のモル分率の割合がカーボネート構成単位[A]および[B]の合計に対して50〜100モル%である前項1記載のプラスチックレンズの製造方法。
【化3】

(ただしmは1〜20の整数)
3.カーボネート構成単位[A]のモル分率の割合がカーボネート構成単位[A]および[B]の合計に対して75〜100モル%である前項2記載のプラスチックレンズの製造方法。
4.カーボネート構成単位[A]のモル分率の割合がカーボネート構成単位[A]および[B]の合計に対して90〜100モル%である前項2記載のプラスチックレンズの製造方法。
5.ホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂は、前記式(1)で表されるカーボネート構成単位[A]および下記式(2)で表されるカーボネート構成単位[B]からなり、カーボネート構成単位[A]のモル分率の割合がカーボネート構成単位[A]および[B]の合計に対して50〜100モル%となるように2種以上のポリカーボネート樹脂をブレンドしたポリカーボネート樹脂ブレンド物である前項1記載のプラスチックレンズの製造方法。
【化4】

(ただしmは1〜20の整数)
6.カーボネート構成単位[A]のモル分率の割合がカーボネート構成単位[A]および[B]の合計に対して75〜100モル%である前項5記載のプラスチックレンズの製造方法。
7.カーボネート構成単位[A]のモル分率の割合がカーボネート構成単位[A]および[B]の合計に対して90〜100モル%である前項5記載のプラスチックレンズの製造方法。
8.ホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂もしくはポリカーボネート樹脂ブレンド物は、樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の20℃における比粘度が0.12〜0.65であり、ガラス転移温度(Tg)が90〜200℃であり、且つ5%重量減少温度(Td)が310〜450℃である前項1記載のプラスチックレンズの製造方法。
9.ホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂もしくはポリカーボネート樹脂ブレンド物は、光弾性定数が0×10−12〜50×10−12Pa−1の範囲である前項1記載のプラスチックレンズの製造方法。
10.ホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂もしくはポリカーボネート樹脂ブレンド物は、屈折率が1.45〜1.65の範囲であり、且つアッベ数が50〜90の範囲である前項1記載のプラスチックレンズの製造方法。
11.プラスチックレンズが眼鏡レンズである前項1記載のプラスチックレンズの製造方法。
が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法で得られたプラスチックレンズは、十分な屈折率と高いアッベ数を有し屈折率とアッベ数とのバランスが良好で、かつ光弾性定数が低い特徴を有し、透明性、耐衝撃性及び耐熱性にも優れることから、その奏する工業的効果は格別である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の製造方法で得られるプラスチックレンズは、前記式(1)で表されるカーボネート構成単位[A]を50〜100モル%含むホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂から形成される。カーボネート構成単位[A]を好ましくは75〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%含む。
【0013】
また、本発明の製造方法で得られるプラスチックレンズは、前記式(1)で表されるカーボネート構成単位[A]からなるホモポリカーボネート樹脂、もしくはカーボネート構成単位[A]および前記式(2)で表されるカーボネート構成単位[B]からなる共重合ポリカーボネート樹脂またはポリカーボネート樹脂ブレンド物から形成されることが好ましい。
【0014】
本発明で用いるホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂もしくはポリカーボネート樹脂ブレンド物は、樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の20℃における比粘度が0.12〜0.65であることが好ましく、より好ましくは0.13〜0.55であり、さらに好ましくは0.14〜0.45である。比粘度が0.12より低くなると得られた成形品に充分な機械強度を持たせることが困難となる。また比粘度が0.65より高くなると溶融流動性が高くなりすぎて、成形に必要な融解温度が分解温度より高くなってしまい好ましくない。
【0015】
本発明で用いるホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂もしくはポリカーボネート樹脂ブレンド物は、そのガラス転移温度(Tg)が好ましくは90〜200℃であり、より好ましくは100〜190℃であり、さらに好ましくは110〜180℃であり、特に好ましくは120〜165℃である。Tgが90℃未満だと耐熱性(殊に吸湿による耐熱性)に劣り、200℃を超えると成形時の溶融流動性に劣る。TgはTA Instruments社製 DSC (型式 DSC2910)により測定される。
【0016】
また、本発明で用いるホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂もしくはポリカーボネート樹脂ブレンド物は、その5%重量減少温度が好ましくは310〜450℃であり、より好ましくは330〜400℃であり、さらに好ましくは340〜390℃であり、特に好ましくは350〜380℃である。5%重量減少温度が上記範囲内であると、溶融成形時の樹脂の分解がほとんど無く好ましい。5%重量減少温度はTA Instruments社製 TGA (型式 TGA2950)により測定される。
【0017】
本発明で用いるホモポリカーボネート樹脂は上記式(a)で表されるエーテルジオールとカーボネート前駆体(ホスゲンや炭酸ジエステル)とを反応させることにより、共重合ポリカーボネート樹脂は上記式(a)で表されるエーテルジオールおよび脂肪族ジオールとカーボネート前駆体(ホスゲンや炭酸ジエステル)とを反応させることにより製造することができる。
エーテルジオールとしては、具体的には下記式(b)、(c)および(d)で表されるイソソルビド、イソマンニド、イソイディッドなどが挙げられる。
【0018】
【化5】

【化6】

【化7】

【0019】
これら糖質由来のエーテルジオールは、自然界のバイオマスからも得られる物質で、再生可能資源と呼ばれるものの1つである。イソソルビドは、でんぷんから得られるD−グルコースに水添した後、脱水を受けさせることにより得られる。その他のエーテルジオールについても、出発物質を除いて同様の反応により得られる。
【0020】
特に、カーボネート構成単位がイソソルビド(1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール)由来のカーボネート構成単位を含んでなるポリカーボネート樹脂が好ましい。イソソルビドはでんぷんなどから簡単に作ることができるエーテルジオールであり資源として豊富に入手することができる上、イソマンニドやイソイディッドと比べても製造の容易さ、性質、用途の幅広さの全てにおいて優れている。
【0021】
脂肪族ジオール類としては、具体的には下記式(2)で表されるカーボネート構成単位[B]を形成する脂肪族ジオール類である。
【化8】

【0022】
上記式(2)において、mは1〜20の整数であり、2〜12の整数が好ましく、2〜8の整数がより好ましい。具体的にはエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールを好ましく挙げることができる。これらは単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0023】
また、本発明においては、上記糖質由来のエーテルジオールおよび上記脂肪族ジオールのほかに、光学的な特性を損なわない範囲でその他のジオールを含んでも良い。かかるその他のジオールとしては、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式アルキレンジオール類、ジメタノールベンゼン、ジエタノールベンゼンなどの芳香族ジオール、ビスフェノールAなどのビスフェノール類などを挙げることができる。これらは単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。その場合、上記式(2)で表されるカーボネート構成単位[B]を形成する脂肪族ジオール100重量部に対し、その他のジオールは合計で50重量部以下であることが好ましく、30重量部以下であることがより好ましく、10重量部以下であることがさらに好ましい。
【0024】
本発明で用いるホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂は、前記式(1)で表されるカーボネート構成単位[A]および前記式(2)で表されるカーボネート構成単位[B]からなり、カーボネート構成単位[A]/[B]のモル分率の割合が100/0〜50/50が好ましく、より好ましくは100/0〜75/25、さらにより好ましくは100/0〜90/10である。カーボネート構成単位「A」の割合が50より小さくなると、流動性は向上するが、耐熱性や熱安定性が低下し、好ましくない。
【0025】
本発明で用いるホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂を製造する方法としては、酸結合剤の存在下に、上記エーテルジオールおよび脂肪族ジオール(ホモポリカーボネート樹脂を製造する場合はエーテルジオールのみ、以下同様)とホスゲンとの反応を行う方法(溶液法)、またはエーテルジオールおよび脂肪族ジオールと炭酸ジエステルとを加熱溶融下、エステル交換反応させる方法(溶融法)が好ましく採用される。
【0026】
該溶液法では、酸結合剤としてピリジン、キノリン、イソキノリン、ジメチルアニリン等の芳香族第三級アミンが挙げられ、特に、ピリジンが好適なものとして用いられる。これらは単独または有機溶剤を用いて希釈して反応が行われる。
【0027】
該有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられ、特にジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が好ましく、殊にジクロロメタンが最も好ましい。
【0028】
該酸結合剤の使用量は、通常ホスゲンに対して2〜100モル当量用いられ、好ましくは、2〜50モル当量用いられる。反応温度は通常0〜100℃で、好ましくは0〜40℃で行われる。反応時間は通常数分〜数日間、好ましくは10分間〜5時間行われる。
【0029】
また、末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。これらの末端停止剤は、得られたポリカーボネート樹脂の全末端に対して少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも10モル%末端に導入されることが望ましく、また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0030】
また、本発明に用いるポリカーボネート樹脂は重合触媒の存在下、エーテルジオールおよび脂肪族ジオールと炭酸ジエステルとを混合し、エステル交換反応によって生成するアルコールまたはフェノールを高温減圧下にて留出させる溶融重合を行うことによって得ることができる(溶融法)。
【0031】
反応温度は、エーテルジオールの分解を抑え、着色が少なく高粘度の樹脂を得るために、できるだけ低温の条件を用いることが好ましいが、重合反応を適切に進める為には重合温度は180℃〜300℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは180℃〜280℃の範囲である。
【0032】
また、反応初期にはエーテルジオールおよび脂肪族ジオールと炭酸ジエステルとを常圧で加熱し、予備反応させた後、徐々に減圧にして反応後期には系を1.3×10−3〜1.3×10−5MPa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる方法が好ましい。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0033】
炭酸ジエステルとしては、水素原子が置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基またはアラルキル基、もしくは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m―クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでも反応性、コスト面からジフェニルカーボネートが好ましい。
【0034】
炭酸ジエステルはエーテルジオールおよび脂肪族ジオールの総モル量に対してモル比で1.03〜0.98となるように混合することが好ましく、より好ましくは1.02〜0.98であり、さらに好ましくは1.01〜0.99である。炭酸ジエステルのモル比が1.03より多くなると、炭酸エステル残基が末端封止として働いてしまい充分な重合度が得られなくなってしまい好ましくない。また炭酸ジエステルのモル比が0.98より少ない場合でも、充分な重合度が得られず好ましくない。
【0035】
重合触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、二価フェノールのナトリウム塩またはカリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物、などが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。なかでも、含窒素塩基性化合物とアルカリ金属化合物とを併用して使用することが好ましい。
【0036】
これらの重合触媒の使用量は、それぞれ炭酸ジエステル成分1モルに対し、好ましくは1×10−9〜1×10−3当量、より好ましくは1×10−8〜5×10−4当量の範囲で選ばれる。また反応系は窒素などの原料、反応混合物、反応生成物に対し不活性なガスの雰囲気に保つことが好ましい。窒素以外の不活性ガスとしては、アルゴンなどを挙げることができる。更に、必要に応じて酸化防止剤等の添加剤を加えてもよい。
【0037】
また、本発明で用いるホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂もしくはポリカーボネート樹脂ブレンド物はその光学特性を損なわない範囲でポリカーボネート重合鎖末端に下記式(3)および/または式(4)で表される機能性を有する末端基を導入したものを用いることもできる。
【0038】
【化9】

【化10】

(式(3)、(4)において、Rは炭素原子数4〜30のアルキル基、炭素原子数7〜30のアラルキル基、炭素原子数4〜30のパーフルオロアルキル基、または下記式(5)であり、Xは単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミノ結合及びアミド結合からなる群より選ばれる少なくとも1種の結合を表わし、aは1〜5の整数である。)
【0039】
【化11】

(式(5)中、R、R、R、R及びRは夫々独立して炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数6〜10のアリール基及び炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表し、bは0〜3の整数、cは4〜100の整数である)
【0040】
これらの末端基を導入することにより、該ホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂もしくはポリカーボネート樹脂ブレンド物から形成されたプラスチックレンズの流動性、離型性、耐吸湿性または表面エネルギー性(防汚性や摩耗耐性)等を向上させる効果が得られる。これらの末端基は好ましくはポリマー主鎖構造に対して0.3〜9.0重量%含まれており、より好ましくは0.3〜7.5重量%含まれており、特に好ましくは0.5〜6.0重量%含まれている。
【0041】
また、本発明で用いるポリカーボネート樹脂ブレンド物は、カーボネート構成単位[A]のみからなるホモポリカーボネートと共重合ポリカーボネートとのブレンド、共重合ポリカーボネートとカーボネート構成単位[B]のみからなる芳香族ポリカーボネートとのブレンド、カーボネート構成単位のモル分率の異なる共重合ポリカーボネート同士のブレンド、またはカーボネート構成単位「A」のみからなるポリカーボネートとカーボネート構成単位「B」のみからなる芳香族ポリカーボネートとのブレンドのいずれの形態であっても良い。また、分子量の異なるポリカーボネート樹脂をブレンドしたものも含まれる。
【0042】
この場合得られたポリカーボネート樹脂ブレンド物のモル分率の割合が100/0〜50/50であり、より好ましくは100/0〜75/25であり、さらに好ましくは100/0〜90/10である。
【0043】
ポリカーボネート樹脂ブレンド物の製造に当たっては、その製造法は特に限定されるものではない。しかし本発明に用いるポリカーボネート樹脂ブレンド物の好ましい製造方法は押出機を用いて各ポリカーボネート樹脂成分を溶融混練する方法である。
【0044】
押出機としては特に二軸押出機が好適であり、原料中の水分や溶融混練樹脂から発生する揮発ガスを脱気できるベントを有するものが好ましく使用できる。ベントからは発生した水分や揮発ガスを効率よく押出機外部へ排出するための真空ポンプが好ましく設置される。
【0045】
本発明で用いるホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂もしくはポリカーボネート樹脂ブレンド物には、用途に応じて各種の機能付与剤を添加してもよく、例えば熱安定剤、安定化助剤、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、造核剤、重金属不活性化剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、ブルーイング剤などが挙げられる。
【0046】
また、本発明で用いるホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂もしくはポリカーボネート樹脂ブレンド物には、本発明の目的を損なわない範囲でポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、芳香族ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリアクリル、ABS、ポリウレタンなど、各種のポリマーならびに合成樹脂、ゴムなどを混合しアロイ化して用いることもできる。
【0047】
本発明で用いるホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂もしくはポリカーボネート樹脂ブレンド物から形成されたプラスチックレンズは、屈折率とアッベ数とのバランスが良好で、光弾性定数が低く、透明性、耐衝撃性及び耐熱性にも優れる。
該プラスチックレンズとしては、眼鏡レンズ、カメラレンズ、双眼鏡レンズ、顕微鏡レンズ、プロジェクターレンズ、フレネルレンズ、レンチキュラレンズ、fθレンズ、ヘッドランプレンズまたはピックアップレンズ等の各種レンズが挙げられる。
【0048】
本発明で用いるホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂もしくはポリカーボネート樹脂ブレンド物からなるペレット、パウダー、フレーク等の成形材料からプラスチックレンズを成形する方法としては、射出圧縮成形が光学歪みの少ないレンズを成形できるため最も好ましい方法である。
【0049】
射出圧縮成形において、シリンダー温度は200〜300℃、金型温度は40〜120℃が好ましい。成形に当たって、必要に応じて離型剤を配合する事ができる。
離型剤としては脂肪酸エステルが好適に用いられ、例えばステアリン酸モノグリセライド等のモノグリセライド類、ステアリン酸ステアレート等の低級脂肪酸エステル類、セバシン酸べへネート等の高級脂肪酸エステル類、ペンタエリスリトールテトラステアレート等のエリスリトールエステル類が使用される。
【0050】
本発明のプラスチックレンズを構成するホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂もしくはポリカーボネート樹脂ブレンド物は、光弾性定数が50×10−12Pa−1以下であることが好ましく、より好ましくは40×10−12Pa−1以下であり、さらに好ましくは30×10−12Pa−1以下である。光弾性定数が50×10−12Pa−1より高い場合には、該プラスチックレンズの複屈折が顕著に発生しやすく好ましくない。下限は0×10−12Pa−1が好ましい。
【0051】
また、本発明のプラスチックレンズを構成するホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂もしくはポリカーボネート樹脂ブレンド物は、屈折率が1.45〜1.65の範囲であることが好ましく、より好ましくは屈折率が1.48〜1.60の範囲であり、さらに好ましくは屈折率が1.48〜1.55の範囲である。
【0052】
さらに、本発明のプラスチックレンズを構成するホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂もしくはポリカーボネート樹脂ブレンド物は、アッベ数が50〜90の範囲であることが好ましく、より好ましくはアッベ数が55〜80の範囲であり、さらに好ましくはアッベ数が60〜70の範囲である。
【0053】
前述した比粘度、ガラス転移温度、5%重量減少温度、光弾性定数、屈折率、およびアッベ数を満足する特性を持つホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂もしくはポリカーボネート樹脂ブレンド物よりなる成形材料は、光学特性及び物理特性に優れているので、プラスチックレンズの成形材料として利用でき、また成形性にも優れているので得られた成形品を容易に成形・加工するのに適しており、工業的にも好適である。
【0054】
本発明のプラスチックレンズは必要に応じてその表面にハードコート(硬化)層、反射防止コート層または防曇コート層などの後加工処理をして用いることができる。
本発明のレンズ基材表面に形成されるハードコート層としては、熱硬化性または活性エネルギー硬化性のいずれも好ましく用いられる。
【0055】
熱硬化性ハードコート材料としては、オルガノポリシロキサンなどのシリコーン系樹脂およびメラミン系樹脂等が挙げられる。
かかるシリコーン系樹脂については、特開昭48−056230号、特開昭49−014535号、特開平08−054501号および特開平08−198985号公報等に記載されている樹脂を用いることができる。
【0056】
メラミン系樹脂としては、メチル化メチロールメラミン、プロピル化メチロールメラミン、ブチル化メチロールメラミンまたはイソブチル化メチロールメラミン等のメラミン樹脂に架橋剤、硬化剤等からなるコーティング組成物を乾燥および/または加熱硬化させて得られるハードコート層である。
【0057】
コーティング組成物には、上記成分以外に得られる硬化膜の物性を損なわない限り、他の成分を添加できる。例えば、反応を促進させるため硬化剤を、種々の基材との屈折率を合わせるために微粒子状無機物を、また塗布時における濡れ性や硬化膜の平滑性を向上させる目的で各種界面活性剤を含有させることができる。
また、着色剤(染料および顔料)や充填剤を分散させたり、有機ポリマーを溶解させて塗膜を着色させることが可能である。さらに紫外線吸収剤、酸化防止剤の添加も可能である。
【0058】
コーティング組成物の基材(プラスチックレンズ)への塗布手段としては、特に制限されず、例えばディップ法、スプレー法、スピンコート法、バーコート法、フローコート法、ロールコート法等の公知の方法が採用できる。面精度の点からディップ法、スピンコート法が好ましく用いられる。
【0059】
必要に応じて前記硬化層上に単層または多層の反射防止層を形成させても良い。反射防止層の構成成分としては、無機酸化物、フッ化物、窒化物などの従来から公知のものが用いられる。具体的には、二酸化ケイ素、一酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、フッ化マグネシウム、窒化ケイ素等が挙げられる。その形成方法として、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法等が挙げられる。この反射防止層を設けることにより、反射防止性能が向上する。さらに前記硬化層または反射防止層の上にさらに防曇層を形成させてもよい。
【実施例】
【0060】
以下に実施例を挙げて本発明を更に説明する。但し、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、評価は以下の方法により測定した。
【0061】
(1)比粘度(ηsp
ペレットを塩化メチレンに溶解、濃度を約0.7g/dLとして、温度20℃にて、オストワルド粘度計(装置名:RIGO AUTO VISCOSIMETER TYPE VMR−0525・PC)を使用して測定した。なお、比粘度ηspは下記式から求められる。
ηsp=t/t−1
t :試料溶液のフロータイム
:溶媒のみのフロータイム
【0062】
(2)ガラス転移温度(Tg)
ペレットをTA Instruments社製 DSC (型式 DSC2910)により測定した。
【0063】
(3)5%重量減少温度(Td)
ペレットをTA Instruments社製 TGA (型式 TGA2950)により測定した。
【0064】
(4)光弾性定数
幅1cm、長さ6cmのフィルムを作成し、このフィルムの無荷重状態の位相差、1N、2N、3N荷重時の波長550nmの光の位相差を日本分光(株)製分光エリプソメーター「M220」で測定し(位相差)×(フィルム幅)/(荷重)を計算することにより求めた。
【0065】
(5)屈折率およびアッベ数
作成したフィルムを用いて(株)アタゴ製多波長アッベ屈折計DR−M2により測定した。
【0066】
(6)えんぴつ硬度
(7)で作成した衝撃試験片を用いて、JIS K5600の基図板試験方法によって測定した。
【0067】
(7)衝撃強さ
ISO179に従って、シャルピー衝撃強度(ノッチなし)を測定した。
【0068】
(8)耐溶剤性試験
射出成形により試験片(縦40mm×横10mm×厚み4mm)を作成し、各溶剤中に浸し、24時間後の変化を目視にて評価した。
◎変化なし、△表面荒れ、×溶解
【0069】
[実施例1](ホモポリカーボネート樹脂の製造)
イソソルビド(ISS)804重量部(11モル)とおよびジフェニルカーボネート2356重量部(11モル)とを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを1.0重量部(ジフェニルカーボネート成分1モルに対して1×10−4モル)、および水酸化ナトリウムを1.1×10−3重量部(ジフェニルカーボネート成分1モルに対して0.25×10−6モル)仕込んで窒素雰囲気下常圧で180℃に加熱し溶融させた。
撹拌下、反応槽内を30分かけて徐々に減圧し、生成するフェノールを留去しながら13.3×10−3MPaまで減圧した。この状態で20分反応させた後に200℃に昇温した後、20分かけて徐々に減圧し、フェノールを留去しながら4.00×10−3MPaで20分間反応させ、さらに、220℃に昇温し30分間、250℃に昇温し30分間反応させた。
次いで、徐々に減圧し、2.67×10−3MPaで10分間、1.33×10−3MPaで10分間反応を続行し、さらに減圧し、4.00×10−5MPaに到達したら、徐々に260℃まで昇温し、最終的に260℃、6.66×10−5MPaで1時間反応せしめた。反応後のポリマーをペレット化した。得られたポリマーの比粘度は0.26、ガラス転移温度は163℃、5%重量減少温度は351℃であった。
【0070】
[実施例2](共重合ポリカーボネート樹脂の製造)
イソソルビド1096重量部(7.5モル)とプロパンジオール(PD)190重量部(2.5モル)およびジフェニルカーボネート2142重量部(10モル)とを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを1.0重量部(ジフェニルカーボネート成分1モルに対して1×10−4モル)、および水酸化ナトリウムを1.1×10−3重量部(ジフェニルカーボネート成分1モルに対して0.25×10−6モル)仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融した以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂の溶融重合を行った。反応後のポリマーをペレット化した。得られたポリマーの比粘度は0.31、ガラス転移温度は116℃、5%重量減少温度は345℃であった。
【0071】
[実施例3](共重合ポリカーボネート樹脂の製造)
イソソルビド1242重量部(8.5モル)とヘキサンジオール(HD)177重量部(1.5モル)およびジフェニルカーボネート2142重量部(10モル)とを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを1.0重量部(ジフェニルカーボネート成分1モルに対して1×10−4モル)、および水酸化ナトリウムを1.1×10−3重量部(ジフェニルカーボネート成分1モルに対して0.25×10−6モル)仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融した以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂の溶融重合を行った。反応後のポリマーをペレット化した。得られたポリマーの比粘度は0.25、ガラス転移温度は125℃、5%重量減少温度は352℃であった。
【0072】
[実施例4](ポリカーボネート樹脂ブレンド物の製造)
実施例1で製造したポリカーボネート樹脂ペレット50部と実施例3で製造したポリカーボネート樹脂ペレット50重量部とをブレンダーにて混合してイソソルビド構成単位85モル%のポリカーボネート樹脂ブレンド物を得た。得られたポリマーの比粘度0.26は、ガラス転移温度は144℃、5%重量減少温度は352℃であった。
【0073】
[実施例5〜8]
実施例1〜4で得られたポリカーボネート樹脂ペレットを、それぞれ塩化メチレンに溶解させ、濃度18重量%の溶液を得た。該溶液をステンレス基板上にキャストして温度40℃で20分、温度60℃で30分加熱乾燥後、フィルムを基板から剥離してさらにフィルム周囲をゆるく固定して40℃で30分、60℃で30分、80℃で1時間、100℃で5時間乾燥して膜厚40μmのフィルムを得た。これらのフィルムの光弾性定数、屈折率およびアッベ数を測定した結果を表1に示した。
また、実施例1〜4で得られたポリカーボネート樹脂ペレットを用いて、シリンダー温度220〜240℃、金型温度70〜100℃の条件で、シャルピー衝撃試験片用金型と耐溶剤性試験片用金型を使用し、射出成形によりシャルピー衝撃試験片および耐溶剤性用試験片を作成した。これらの衝撃試験片を用いて衝撃強さおよびえんぴつ硬度を測定した結果を合わせて表1に示した。また、耐溶剤性用試験片(実施例5および6)を用いて耐溶剤性を測定した結果を表2に示した。
さらに、実施例1〜4で得られたポリカーボネート樹脂ペレットを用いて、シリンダー温度220〜240℃、金型温度70〜100℃の条件で、眼鏡用凹レンズ用金型を使用し、射出圧縮成形により眼鏡用凹レンズを作成した。これらのレンズは透明性に優れ外観も良好であった。
【0074】
[比較例1]
ビスフェノールA(BPA)からなるポリカーボネート樹脂である帝人化成(株)製パンライト(登録商標)AD5503(ペレット形状)を用いて、実施例5〜8と同様の方法でキャストフィルムを作成し、このフィルムの光弾性定数、屈折率およびアッベ数を測定した結果を表1に示した。
また、シリンダー温度280〜300℃、金型温度125℃とした以外は、実施例5〜8と同様の方法で、シャルピー衝撃試験片および耐溶剤性用試験片を作成した。衝撃試験片を用いて衝撃強さおよびえんぴつ硬度を測定した結果を合わせて表1に示した。また、耐溶剤性用試験片を用いて耐溶剤性を測定した結果を表2に示した。
比較例1で作成したポリカーボネートフィルムは実施例5〜8で作成したポリカーボネートフィルムと比べてアッベ数が低く、光弾性定数も高く、レンズ特性として劣ることが分かる。また、表面硬度および衝撃強さも劣っていることが分かる。さらに耐溶剤性(殊に有機溶剤に対する耐溶剤性)にも劣っていることが分かる。
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の製造方法で得られたプラスチックレンズは、眼鏡レンズとして有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるカーボネート構成単位[A]を50〜100モル%含むホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂を、シリンダー温度200〜300℃、金型温度40〜120℃で射出圧縮成形することを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。
【化1】

【請求項2】
ホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂は、前記式(1)で表されるカーボネート構成単位[A]および下記式(2)で表されるカーボネート構成単位[B]からなり、カーボネート構成単位[A]のモル分率の割合がカーボネート構成単位[A]および[B]の合計に対して50〜100モル%である請求項1記載のプラスチックレンズの製造方法。
【化2】

(ただしmは1〜20の整数)
【請求項3】
カーボネート構成単位[A]のモル分率の割合がカーボネート構成単位[A]および[B]の合計に対して75〜100モル%である請求項2記載のプラスチックレンズの製造方法。
【請求項4】
カーボネート構成単位[A]のモル分率の割合がカーボネート構成単位[A]および[B]の合計に対して90〜100モル%である請求項2記載のプラスチックレンズの製造方法。
【請求項5】
ホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂は、前記式(1)で表されるカーボネート構成単位[A]および下記式(2)で表されるカーボネート構成単位[B]からなり、カーボネート構成単位[A]のモル分率の割合がカーボネート構成単位[A]および[B]の合計に対して50〜100モル%となるように2種以上のポリカーボネート樹脂をブレンドしたポリカーボネート樹脂ブレンド物である請求項1記載のプラスチックレンズの製造方法。
【化3】

(ただしmは1〜20の整数)
【請求項6】
カーボネート構成単位[A]のモル分率の割合がカーボネート構成単位[A]および[B]の合計に対して75〜100モル%である請求項5記載のプラスチックレンズの製造方法。
【請求項7】
カーボネート構成単位[A]のモル分率の割合がカーボネート構成単位[A]および[B]の合計に対して90〜100モル%である請求項5記載のプラスチックレンズの製造方法。
【請求項8】
ホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂もしくはポリカーボネート樹脂ブレンド物は、樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の20℃における比粘度が0.12〜0.65であり、ガラス転移温度(Tg)が90〜200℃であり、且つ5%重量減少温度(Td)が310〜450℃である請求項1記載のプラスチックレンズの製造方法。
【請求項9】
ホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂もしくはポリカーボネート樹脂ブレンド物は、光弾性定数が0×10−12〜50×10−12Pa−1の範囲である請求項1記載のプラスチックレンズの製造方法。
【請求項10】
ホモまたは共重合ポリカーボネート樹脂もしくはポリカーボネート樹脂ブレンド物は、屈折率が1.45〜1.65の範囲であり、且つアッベ数が50〜90の範囲である請求項1記載のプラスチックレンズの製造方法。
【請求項11】
プラスチックレンズが眼鏡レンズである請求項1記載のプラスチックレンズの製造方法。

【公開番号】特開2012−97279(P2012−97279A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−13113(P2012−13113)
【出願日】平成24年1月25日(2012.1.25)
【分割の表示】特願2007−234061(P2007−234061)の分割
【原出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(000003001)帝人株式会社 (1,209)
【Fターム(参考)】