説明

プラスチック製燃料タンクの対シート熱成形

燃料タンクの対シート熱成形のための方法および製造設備;熱成形可能なプラスチック材料の第1および第2のシート(SA、SB)はそれぞれの処理ライン(10A、10B)に沿って別々に送られる。シート(SA、SB)は加熱されさらに空気圧で作動する吸引および真空保持装置(15A、15B)によってそれらの周辺端部に沿い把持される。その把持の目的は、加熱されたシート(SA、SB)がそれぞれの熱成形ステーション(16A、16B)の方へ移動される間当該シートを実質的に平坦な状態で支持することである。両方の金型(17A、17B)はその開口したキャビティを上向きにして並んで配置される。プラスチックシート(SA、SB)の熱成形の後、一方の金型(17B)を他方の金型(17A)上にその上下を転倒して配置し、2つの熱成形された殻(GA、GB)の重ね合わされたシール領域を溶着する。金型と熱成形されたタンクの冷却は処理ライン(10A、10B)の一側にて遂行可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃料蒸気を封じ込めるEVOHバリアーを有する高密度ポリオレフィンの如きプラスチック材料の層状シートから開始される、高い構造的機能と気体遮断性を有するプラスチック製燃料タンクの熱成形について叙述しており、特に、“対シート”熱成形技術による前記燃料タンクの製造方法および関連する製造設備に関する。
【背景技術】
【0002】
金属製燃料タンクは、他の用途だけでなく、いくつかの分野、例えば陸上、海上での乗り物と航空機の両方における内燃機関への燃料供給用として広く使用されている。しかしながら、これまでのところ、使用されている金属製燃料タンクは重く、形成が困難でしかも腐食を免れない。
【0003】
最近では、非常に軽量で耐腐食性があり、さらに複雑な形状でも深絞りにより製造可能であることの故に、金属製燃料タンクを、層状のプラスチック材料による燃料タンクに置き換える傾向にある。
【0004】
しかし、現行規則は、環境汚染を減らすため、タンクからの気体の放出および燃料蒸気の量をさらに一層減らす傾向にある。そうした目的のため、燃料タンクの壁に設けた開口を通る気体および蒸気の放出用通路は、付属品および部品との結合に必要ではあるが、最小限に減らさねばならない。さらに、最近のやり方では、エンジンあるいは利用者への燃料供給に必要な部品や付属品の大部分を同一タンク内に取り付けるようにしている。
【0005】
プラスチック材料で燃料タンクを製造する場合、一般的にはブロー成形技術が利用される。それによれば、円筒状またはチューブ状のプラスチック成形要素は、対になった2つの金型の間に押し出され、その後、それら金型の間に位置する円筒状プラスチック成形要素であるパリソンを周辺で摘まむためクランプされる。その後、圧縮性流体がパリソンの中へ射出されて、拡張させ金型内面に付着させる。
【0006】
ブロー成形技術による燃料タンクの製造においては、前記成形の後、当該タンクの内側および外側の両方に種々の部品を取り付けるため当該タンクの壁にいくつかの開口を設ける必要がある。こうしたことはすべて、精密にシールがなされない場合、燃料タンクの開口を介して炭化水素が放出するという高いリスクがあるばかりでなく、非常に複雑な解決策や、時間を要し、しかもいくらか費用のかかる製造手法を必要とする。さらに、多層の材料によって燃料タンクを製造する必要があるときには、いかなる壁厚制御の遂行も極めて困難であることが分かっている。
【0007】
こうした欠点を部分的に取り除き定量的に高い生産を達成するため米国特許第6372176号明細書および国際出願公開第02/14050号パンフレットでは、公知の対シート熱成形技術の利用を提案している。
【0008】
この技術によれば、熱可塑性材料のシートはそれぞれの成形ステーションで加熱および処理される。その成形ステーションで各個々のシート材料は、対応する金型内部の殻の中で熱成形され、その後、燃料タンクを形成するため、その周辺端部にて2つの殻は合体され且つシールされる。
【0009】
前記の文献によれば、第1と第2のプラスチック材料のシートは別々の処理ラインに沿って加熱される。そのラインで各プラスチックシートはローディングステーションから熱成形ステーションへ移動される。その熱成形ステーションにて、各予熱されたシートはそれぞれの雌金型の中で熱成形される。第1の雌金型は下方プラテンに上向きにして取り付けられ、一方第2の雌金型はプレスの上方プラテンに下向きにして取り付けられている。
【0010】
2つのシートが熱成形された後、最初に上方側の金型を下方側の金型と整列させ、その後降下させて、熱成形された殻をそれらの周辺端部に沿い溶融しシールするよう力を与えねばならない。
【0011】
また、国際出願公開第03/097330号パンフレットは、上向きおよび下向き熱成形用金型の再利用が行われる対シートによる中空成形品を熱成形する装置に関するものである。
【0012】
作業者は、タンクを形成するため2つの殻を合体しシールする前に、種々の挿入物および/または部品を予め定められた位置へ取り込むことが可能である。
【0013】
先行技術文献で提案されている解決手段は、対シート熱成形技術が高い生産量を得るため利用されることを可能にするものではあるが、それは、製造プロセスと熱成形される燃料タンクとの両方を改良しようとする傾向をもつさらなる改良の影響を受けやすい。
【0014】
実際、先行技術文献によれば、下側の殻は下方側の金型キャビティを上向きに維持して行われるが、一方上側の殻の熱成形は上方側の金型キャビティを下向きに維持して行われるのである。
【0015】
こうしたことはすべて、プラスチックシートの異なる垂れ下がりおよび伸張に起因して、燃料タンクの構造的な不均一さのみならず上側の殻の熱成形にとり大きな困難を伴う。特に、上側のシートの垂れ下がりは、下向きになっている上方側の金型キャビティが当該プラスチックシートを加熱する間に生ずる垂れ下がりとは逆向きである。
【0016】
結果として、垂れ下がりによって生ずる2つのプラスチックシートの異なる伸張条件のみならず、2つの金型の配置が相違しさらに姿勢が相違することは、2つの殻における除去困難な、構造的不均一さと厚みの差を伴う。
【0017】
さらに、2つの処理ラインで金型の配置が相違することは、燃料タンクへの部品の挿入を複雑にし、取り付けが面倒となり且つ作業者が必要とする確認や検査を遂行するため接近することが困難になる。金型および付属品や治具の取替えも同様に遂行困難となる。
【0018】
プラスチック材料で貯蔵タンクを製造する場合、必要な構造上の耐力および要求される炭化水素の気密性または遮断を備えるために、一般には、異なる化学的および/または物理的特性を有する何枚ものプラスチックシートを重ね合わせることによって層状のプラスチック材料が使用される。
【0019】
現在の技術によると、プラスチック製燃料タンクの製造においては、大量のスクラップが生まれ、さらにある種の高価なプラスチック材料は再生が困難であるので、生産量の改善に加え、スクラップと、その結果としてタンクの成形コストを最小に減らすことの可能な新しい成形システムを見出すことが大きな課題となっている。
【発明の目的】
【0020】
したがって、本発明の主な目的は、中空体、特に、燃料タンクを対シート熱成形の技術によって熱成形するものであって、非常に単純化された製造サイクルを提供可能であり、さらに燃料タンクの2つの殻を形成するよう設計されたプラスチックシートを実質的に同一の方法で処理することが可能な方法および製造設備を提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、高度な構造的均質性により特徴づけられた燃料タンクを製造可能である前記方法および製造設備を提供することにある。
【0022】
この発明の更なる目的は、両方の処理ライン上で同時に稼動することに加え、さらにダウンタイムなしで金型への部品挿入を大幅に単純化する、実質的に連続した方法で非常に短い製造サイクルにより稼動を可能とする対シート熱成形の技術によって燃料タンクを製造する方法および製造設備を提供することにある。
【0023】
本発明の他の目的は、貴重な材料の浪費をより少なくするという点でスクラップの再生に関する問題を実質的に減らすことを可能にするプラスチック材料の燃料タンクを熱成形する方法を提供することにある。
【0024】
本発明の更なる目的は、製造設備全体のメンテナンス作業を容易にするだけでなく、成形領域への接近の容易さを提供することにある。
【発明の簡単な説明】
【0025】
本発明によれば、上述したすべては、請求項1による燃料タンクの対シート熱成形方法によって、さらに請求項7による製造設備で達成可能である。
【0026】
より正確には、本発明によれば、プラスチック製燃料タンクを熱成形する方法が提供される。この方法によれば、熱成形可能なプラスチック材料の第1および第2のシートは、ローディングステーションから熱成形ステーションに至るそれぞれ第1および第2の処理ラインに沿って加熱され、別々に移動されるようになっており、前記方法は、
各プラスチックシートを加熱する工程と、
前記加熱されたプラスチックシートをその周辺端部に沿って空気圧でクランプすると共に、当該シートを、それが各処理ラインに沿って移動する間、実質的に平坦な状態で真空により支持する工程と、
加熱された各プラスチックシートを、上向きをした成形用キャビティを有するそれぞれの成形用金型の上方に、当該シートを前記実質的に平坦な状態に空気圧で保持しながら位置付ける工程と、
前記加熱されたシートをそれぞれの金型へ降下する工程と、
各加熱されたシートを、成形用金型の上方に開いたキャビティに当該シートが付着するようにして、それぞれの殻を熱成形する工程と、
からなる主要工程を有し、さらに前記方法は、
成形用金型の一方およびその熱成形された殻を上下に転倒させる工程と、
前記転倒された金型を他方の上向きの金型に重ね合わせ、2つの、重ね合わされ熱成形された殻周辺部のシール領域を重ねる工程、および、
成形用金型のクランプ面の間の前記重ねられたシール領域を押圧することによって当該殻のシール領域を溶融し且つ密封溶着する工程とからなる追加的工程を有する。
【0027】
もう1つの特徴によれば、本発明は、第1と第2の対シートを熱成形した殻からなるプラスチック製燃料タンクを熱成形するための対シート熱成形用製造設備に関するものであり、それによれば、第1および第2の熱成形可能なプラスチックシートは、ローディングステーションから少なくとも1つの加熱ステーションを通り、それぞれの熱成形ステーションへ至るそれぞれ第1および第2の処理ラインに沿って別々に加熱され、移動されるようになっており、前記熱成形ステーションでは、個々のプラスチックシートは、それぞれ第1および第2の成形用金型の中で第1および第2の殻に熱成形されるようになっており、前記製造設備において、
前記第1および第2の成形用金型は、両方の成形用金型のキャビティが上向きに開口した状態で、並んで配置されており、
前記製造設備において、
各処理ラインは、前記プラスチックシートを周辺端部で把持するための空気圧作動の把持手段と加熱したプラスチックシートのための真空によるシート保持装置を有しており、前記空気圧による把持手段と真空によるシート保持装置は処理ラインに沿って移動可能であり、
また、加熱したプラスチックシートを実質的に平坦な状態で支持する前記真空保持装置用の真空制御手段を有しており、
さらに、一方の金型を他方の金型に重ね合わせるため上下を転倒させ、当該金型を押圧することにより前記熱成形された殻の重なったシール領域を溶着させるよう同調され準備する駆動手段を有する。
【0028】
熱成形温度に加熱する前に、各プラスチックシートは予熱されることができる。その後に次の芯だしステーションで芯だしが行われ、前記シートの周辺端部を正確に空気圧で把持するようにする。必要ならば、この芯だしは前記予熱工程に先行させてもよい。さらに、特別な空気圧フレームを使用してシートの把持表面を実質的に減らし結果としてスクラップとなる材料を減らすことが可能である。
【0029】
更なる本発明の特徴によれば、加熱中および加熱したシートを熱成形ステーションへ移動する間のいずれにおいても、プラスチックシートの実質的な平坦さはプラスチック材料の軟化温度を変化することおよび/または前記支持装置内部の真空度を調整することにより適切に制御することができる。
【0030】
この明細書の趣旨から、“実質的に平坦”という用語は、加熱されたシートがその周辺端部にて空気圧で保持され、さらに重力による下方へのなんら垂れ下がりもなしに、その上面側にて真空により支持される状態を意味するものと理解される。
【0031】
本発明の他の特徴によれば、2つの処理ラインに沿うプラスチックシートの加熱工程、芯だし工程および熱成形の工程は、いくつかの動作が同時にまたは継続して行われる間、前記2つの処理ラインに沿って個々のシートを供給することにより周期的に遂行されることが可能である。
【0032】
本発明によれば、タンク内で2つの殻を熱成形およびシールした後、処理ラインの側方に配置されている離れた冷却ステーションで燃料タンクの冷却工程を遂行することが可能である。金型や熱成形されたタンクの冷却にはかなり長い時間を要するので、こうした方法により、製造プロセスを停止または影響することなく熱成形後のタンク冷却を遂行することが可能である。これは、回転テーブルまたは2個以上の金型支持ゾーンを有する往復動可能なシャトルを備える冷却ステーションを、前記2つの処理ラインの1つの一方の側に、熱成形ステーションと対応させて配置することにより達成可能であり、前記テーブルまたはシャトルは閉じられた金型と熱成形されたタンクを支持するために前記処理ラインの熱成形ステーションに適宜整列可能である。
【0033】
タンクと一緒に2つの閉じた金型は単に前記回転テーブルまたは支持用のシャトル上に搬送される。その結果、2つの殻のシールと貯蔵用タンクの冷却が当該タンクへ圧縮流体を送ることで行われるときには、その冷却ステーションに対応して2つの金型内でタンクを閉じた状態に維持するよう適切なクランプによる押圧を利用することが必要である。状況に応じて、冷却ステーションでの押圧の代替として閉じた金型を収容する特別なケージを利用することが可能である。
【0034】
本発明の更なる特徴によれば、貯蔵タンクを対シートで熱成形する方法および製造設備が提供される。それによって、2つの処理ラインは、両方の上向き金型を同一高さにして配置され且つ平行に配列されることが可能である。これは、必要なすべてのメンテナンス作業だけでなく、2つの殻に部品を取り付けるといった必要な調整のため1人以上の作業者が当該設備全体に接近するのを非常に容易にする。同様に、金型の交換も非常に容易となり、冷却ステーションに対応して、2つの処理ラインの外部で遂行することが可能である。
【0035】
本発明による方法および製造設備のこれらおよび更なる利点および特徴は添付図面を参照して以下の記載からさらに明確となる。
【発明の詳細な説明】
【0036】
図1に示すように、燃料タンクの対シート熱成形は2つの分離した処理ライン10A、10Bに沿って、熱成形可能なプラスチック材料の個々のシートを処理することによって行われる。これら処理ラインは、プラスチックシート用のローディングステーションから途中の作業ステーションを通り熱成形ステーションへ平行に伸びている。2つのライン10A、10Bに沿って個々のプラスチックシートは、それらが製造設備の種々の作業ステーションを介し対で移動しながら同じ処理工程を受けることにより、加熱されてそれぞれ熱成形された殻に形成される。
【0037】
この記載の趣旨から、“熱成形可能なプラスチックシート”は、熱成形処理による形成に適したシート状のどのようなプラスチック材料をも意味するものと解される。さらにプラグアシストを備えることも可能である。前記プラスチックシートは、適切な厚みの単一の層あるいは、層状になった、すなわち、同一のおよび/または異なる厚みであって、互いに異なる化学的および/または物理的特性を有するプラスチック材料によるいくつかの層であることが可能である。
【0038】
図1に示すように、各処理ライン10A、10Bは種々の処理工程が遂行される多くの作業ステーションを備えている。特に、第1ステーション11A、11Bでは個々のシートSA、SBをパレットから取り上げることにより第1のローディング工程が行われる。
【0039】
個々のプラスチックシートSA、SBは、機械的および/または空気圧把持装置によって自動的に取り上げられ、ローディングステーション11A、11Bへ供給され、その後、予熱ステーション12A、12Bへ送られる。そこではプラスチックシートは、熱成形用温度より低い第1予熱温度となるのに必要な時間ヒータ中に留まる。作業サイクル時間を減らすべくプラスチックシートSA、SBを予熱することが好ましいけれども、予熱の段階を省略することも可能である。
【0040】
プラスチックシートSA、SBの予熱温度は、例えば、空気対流式ヒータ内部の加熱通路に沿って当該シートを移動させることにより適切に調整される。そのヒータ内でシートは、いくつかの処理サイクルに等しい加熱周期の間留まり、その間に個々のシートは徐々に所望の温度へ加熱される。
【0041】
予熱工程が完了すると各シートSA、SBは次の芯だしステーション13A、13Bへ搬送される。そこで、シートは、後に説明するように、空気圧で取り上げられるように位置および向きが定められる。
【0042】
図1の場合、芯だし工程13A、13Bは、予熱直後の下流側で遂行される。このことは、熱成形用温度に比べ比較的低い予熱温度を維持せねばならず、それによって最後の加熱時間が増大することを物語るものである。シートに対するより良い芯だしの状態を得るため、シートを、予熱炉への導入前に、予め芯だしすることが可能である。この実施例は予熱温度を増加させ、結果として最後の加熱時間を減少させる可能性を提示する。
【0043】
図1の典型的な線図によれば、予熱されたシートがステーション13A、13Bで芯だしされた後、個々のシートはそれに続く最後の加熱ステーション14A、14Bへ搬送され、そこで、各個々のシートSA、SBを構成するプラスチック材料の特性に応じた熱成形温度に近いかまたは等しい温度まで加熱される。
【0044】
この点に関しては、図1で図式的に示されるように、芯だしステーション13A、13Bにある個々のシートSA、SBは、各処理ライン上を移動可能な、例えば図5および図6に示されるタイプの適切な空気圧による把持装置15A、15Bによって取り上げられる。
【0045】
図5は、例として、空気圧で動作する把持および真空保持装置15Aの長手方向断面図を示す。空気圧把持装置15Bは、装置15Aと完全に類似している。
【0046】
示されるように、空気圧把持および真空保持装置15Aは、下向きの真空チャンバー22を形成している周辺壁21を有する釣鐘形状をした装置(ベル形状装置)により与えられる。真空チャンバー22は、空気吸込み源23’に結合した接続金具23を端部とする円錐状の上部を有しており、前記空気吸込み源23’はプラスチックシート材料SAを実質的に平坦な状態で支持および保持するため真空チャンバー22内に十分な真空度を生成するのに必要なものである。前記吸込み源23’を調整することによって、前記ベル形状装置15Aの真空チャンバー22内の真空度を調整しその結果プラスチックシートSAの平坦さを調整可能である。
【0047】
装置15Aの形状および寸法は、実質上、熱成形されるプラスチックシートSA、SBのそれらに対応している。したがって、図5および図6のベル形状装置15Aは、シートSAをその周辺端部の周囲で把持する空気圧作動の把持手段を下方端部に備えており、前記周辺端部は十分な気密を有するシールを形成している。
【0048】
図5および図6の詳細拡大図に示されるように、シートSAを把持する空気圧把持手段は、制御された方法で、空気吸込み源25’と結合可能な溝25を形成するように、内部に固定され側壁21から隔てられた平らな周辺フレーム24を備えている。
【0049】
プラスチックシートを把持するための空気圧把持手段は、これら示されたものと比較して明らかに異なった形状のものまたは一致した形状とすることが可能である。最後に、また図5において、シートSA、SBを把持および真空支持するためのベル形状装置15Aは、同じ真空チャンバー22内でシートSA、SBを加熱するための加熱要素の列28を備えていることが分かる。
【0050】
各個々の予熱したシートSA、SBを取り上げ移動することは、もし加熱したシートが適切に把持され支持されていなければ重力によりそれらは下方へ垂れ下がり、そしてステーション16A、16Bにおけるその後の殻の熱成形に否定的な結果を与えるかもしれない、制御されない変形を受けるという点で、全体のプロセス中で最も微妙な工程の1つを構成している。
【0051】
それ故、本発明の優先的実施例によれば、それぞれ芯だしステーション13A、13Bにある個々のシートSA、SBは、制御された方法で、それら周辺端部にて空気圧で取り上げられ、さらに図5のベル形状装置15A、15Bによって真空支持されるようになっており、前記ベル形状装置は前記シートが加熱ステーション14A、14Bへ搬送されている間、実質的に平坦な状態にそれらを維持している。これらステーションでは、個々のシートSA、SBはさらに、熱成形温度に等しいかまたは接近した温度にまで加熱される。2つの加熱ステーション14A、14BにおけるシートSA、SBの加熱は、各ステーション14A、14Bが備えている加熱要素の列47によって下方からと、ベル形状装置15A、15Bの内部で加熱要素の列28によって上方からとの両面上で行われる。
【0052】
ステーション16A、16Bにおいて、加熱工程が熱成形温度まで遂行された後、加熱されたプラスチックシートSA、SBは、金型17A,17Bの中で熱成形を受けるように、前記装置15A、15Bによって次のステーション16A、16Bへ搬送され、それらシートは、添付図面の図2Aから2Hにおいて後に例示される処理に従い、対応する熱成形された殻GA、GBに形成される。
【0053】
前述したように、加熱されたシートSA、SBの搬送は、平坦な、または実質的に平坦な状態で真空により、つまり深く垂れ下がることなしに、ベル形状装置15A、15Bによりそれらを支持している間に行われ、したがって、ライン上の作業ステーションの間を迅速に移動されることが可能である。
【0054】
加熱されたシートを、その加熱温度が次第に増大するにつれて過度に垂れ下がるのを防止しながら、実質的に平坦な状態に維持するために、シートの垂れ下がりが検出され、装置15A、15Bによって加熱されたシートの上方に生成される真空が常に制御され、調整されるようになっており、そのようにして、プラスチックシートが製造設備の固定部分に突き当たり、金型17A、17B上方での正確な位置付けを防止あるいは妨害するという危険性を伴う過度の垂れ下がりを防止するのである。
【0055】
後で一層詳細に示すように、この発明の本質的な特徴は、プラスチックシートSA、SBを、それらの両方に対し実質的に同一の熱成形状態を維持しながら熱成形し、そのようにして構造的に均質な熱成形された殻GA、GBを得ることにある。
【0056】
本発明によれば、これは金型17A、17Bの両方を、それぞれの成形用キャビティが上向きとなるようにして、同じ高さに並んで位置付けることにより得られる。
【0057】
2つの熱成形用金型を上向きに並んで配置することは、シートが、単に重力により、予め伸長されて金型上に正確に置かれることをさらに可能にする。これは、熱成形を非常に単純化し、2つの殻GA、GBの所望の構造的均質性を得ることを可能にするのみならず、タンクをシールする前に、形成された殻の一方または両方の中への挿入品および部品の導入作業を容易にする。実際、両方の金型17A、17Bのキャビティが上向きに配置されているおかげで、前記殻がなおそれぞれの金型に留まっている間、図7および図8でより詳細に示されるように側面ステーション18A、18Bから種々の部品を作業者により取り出しながら、挿入品および/または種々の部品を、直接各金型にまたは熱成形された殻の中へ導入することを、熱成形の前でも後でも、遂行することが可能である。
【0058】
2つの殻の熱成形と種々の部品の導入が完了した状態で、前述したように、さらに熱成形ステーションの1つにおいて、図1のブロック線図19により図式的に示されるように、次の、2つの金型17A、17Bを重ね合わせ、2つの熱成形された殻を重なったシール領域で溶融しシールすることからなる次の工程を遂行することが可能である。
【0059】
これは、なんらかの適切な方法でも遂行可能である。例えば、一方の金型を上下を転倒させて他方の金型に重ねること、水平軸を中心に単に回転すること、または、2つの金型を重ね合わせて、それぞれの熱成形用殻を、その一方が上下を転倒されて他方の上端部に重ねられ且つ、それら周辺のシール領域が適合することを可能にするような他のなんらかの方法でも遂行可能である。
【0060】
この点に関しては、図3および図4で図式的に示されるように、両面書架(book−like press)を利用することも可能である。
【0061】
熱成形用の押圧装置は固定フレーム30と、駆動モータ33または他の適切な手段に結合された回転軸32を中心に180度横転可能な移動フレーム31とを備えている。
【0062】
前記押圧装置の固定フレーム30は、金型17Bを支持するプラテン34を備え、そのプラテン34は金型17A、17Bを閉じ、図1のブロック線図により示される金型の状態で、2つの殻の重ねられた領域をシールするのに必要なクランプ力を与えるため油圧シリンダ35によって垂直方向に移動可能である。
【0063】
図3および図4から分かるように、本発明の他の特徴によれば、各金型17A、17B用に、空気圧で動作するシート把持手段が設けられており、その把持手段は、後で説明されるように、ベル形状装置15A、15Bの把持装置24と反対側で、シートSA、SBをそれらの周辺端部の周囲で下方から把持するための空気圧フレーム36A、36Bを有する。これに関して、その空気圧フレーム36A、36Bは前記2つのベル形状装置15A、15Bの空気圧フレーム24と形状および寸法とも同一である。このことは、個々のシートSA、SBが、2つの処理ライン10A、10Bに沿って支持され、狭い周辺の細長い一片に沿って前記シート自身を把持することにより成形用金型17A、17Bの上方でベル形状装置15A、15Bによって搬送されることを可能にするという点で、非常に有利であることを示している。このことは、プラスチックシート用にベルトまたは他の搬送システムを利用する通常の熱成形設備でこれまで使用していた搬送システムに比べ、スクラップとさらに貴重な材料ロスをかなり減らすことを可能にする。
【0064】
各空気圧フレーム36A、36Bは、適切な制御用シリンダ37A、37Bによって金型17A、17Bに関し上方へ垂直に移動されることが可能である。前記空気圧把持フレーム36A、36Bは、平坦な、あるいは3次元形状の端部を有する金型に適応するように、関節の付いたフレーム区画を備えることによって、平坦または種々のプロファイルを有するよう形成されることが可能である。さらに、各フレームは、各シート端部を固定するための機械的な把持手段を備えることも可能である。
【0065】
対応する熱成形された殻を有する2つの金型17A、17Bが順に重ねて配置されると、その2つの殻周辺のシール領域が押圧され、熱成形用金型自身の端部ゾーンをシールすることにより互いに溶融され、それによって、燃料タンクを溶着し気密にシールする。
【0066】
2つの殻の熱成形およびシールが完了したところで、当該金型から殻を取り除く前に当該タンクを冷却するための冷却工程を実行することが必要である。
【0067】
冷却は、何らかの適切な方法、例えば金型の壁内に水または冷却流体を循環すること、あるいは、互いに金型に作用するよう圧力のかかった状態でタンクを維持しながらエアーを循環することによって遂行することが可能である。
【0068】
冷却を、2つの熱成形ステーション16A、16Bの1つにおいて処理ラインに沿い直接遂行することが可能であるが、金型と燃料タンクの冷却にはかなり長時間かかるので、本発明の他の特徴によれば、冷却を処理ラインから分離して遂行することが好ましい。これに関し、熱成形されたタンクを有する閉じた金型は処理ライン10A、10Bの1つの側方にある冷却ステーション20へ搬送される。前記閉じた金型を取り除き、処理ラインから分離した側方のステーションで冷却を遂行することによって、製造プロセスにおける遅延や停止を引き起こすことなしに、後で説明するように継続可能な、連続したサイクルで動作することを可能にする。さらに、その金型を処理ラインから取り除いて分離した冷却ステーションへそれらを搬送することによって、メンテナンス作業および/またはそれらの交換のために当該金型に関する作業を用意に遂行することが可能となる。
【0069】
2つの殻を溶着およびシールした後、燃料タンクが押圧された状態のまま冷却を遂行するか否かに応じて、閉じた金型は、熱成形ステーションの1つから冷却ステーションへ搬送されねばならない。
【0070】
冷却を、前記タンクの押圧状態で遂行する場合は、金型内部での圧力の影響を弱めるために、添付図面の図9および図10に示されるような、特別の保持用のケージの中に金型を閉鎖することが推奨される。
【0071】
例えば、図9および図10に示されるように、そのケージは、2つの金型17A、17Bを固定している下側のプラテン40と上側のプラテン41を備えている。上側のプラテン41は、細長い穴42’に沿って垂直にスライド可能な関節軸43を中心に回転するよう2つの側方支柱42と関節をなしている。上側のプラテン41の回転動作は2つの油圧シリンダ44によって制御され、一方、油圧シリンダ46により駆動される楔45は、図9の閉じた状態で、前記2つの側方支柱42に対し上側のプラテン41をロックさせるようになっている。
【0072】
本発明による対シート熱成形製造設備の動作方法における一層詳細な記載は、図2Aから図2Hを参照して以下に与えられる。
【0073】
図2Aから2Hは、2つの処理ラインに沿う種々の作業ステーション、例えばライン10Aの芯だしステーション13Aと熱成形ステーション16Aの間で、平行しておよび連続して遂行される個々の動作工程を図式的に示しており、それと同じ処理工程が他の処理ライン10B上で平行して同時に遂行されることが明確に理解される。
【0074】
当初述べたように、個々のプラスチックシートSAは、ローディングステーション11Aで取り上げられ、炉12Aへ導入され、そこでそれらは、熱成形温度より低い第1の温度までゆっくりとした予熱を受けながら、プラスチック材料の性質および特性に応じた、数十分の範囲の予め決められた時間保持される。
【0075】
予熱段階の完了後、炉12Aの出口にて予熱されたシートSAは芯だしステーション13Aへ、例えば、ローラテーブル45あるいは他の搬送システムによって搬送され、そこでは、適切な芯だし装置46(図2A)が、各シートSA1を正確に位置付け、さらに、それまでに芯だしステーション13Aの上方に移動されている空気圧把持装置15Aと完全に整列するよう前記シートを正しい向きに置くため引き上げられる。
【0076】
シートSA1の芯だしが完了すると、同シートはその周辺端部の周囲を空気圧で把持され、処理ライン10A上方で2重矢視F2およびF3の方向で垂直および/または水平に移動するよう支持された空気圧把持装置15Aによって持ち上げられる。
【0077】
そのシートを把持するための装置15Aは、シートSA1を空気圧で取り上げさらにその周辺端部の周囲でシールを形成するため適合され作動し、それにより前記ベル15A内部のシート自身の上部で、図示のように、実質的に平坦な状態でシートSA1を保持可能な一定の真空度を、制御された方法により生成することが可能である。
【0078】
したがって、シートSA1を有する真空把持装置15Aは、添付図面の図2A、2B、2Cおよび2Dにて図式的に示されるように、芯だしステーション13Aから加熱ステーション14Aおよび熱成形ステーション16Aへ移動可能である。
【0079】
芯だしステーション13Aと関係して、空気圧把持装置15Aは、すでに芯だしされたシートSA1を取り上げ、それを周辺端部にて空気圧で保持する。
【0080】
ヒータ28に電源が投入されるとすぐに、前記ベル15Aが真空源に接続されその後、予熱されたシートSA1を有する空気圧把持装置15Aは、図2Cに示されるように、芯だしステーション13Aから最後の加熱ステーション14Aへ移動される。
【0081】
この工程の間、プラスチックシート材料SA1は、シートSA2も同様であるが、さらに把持装置15Aの上側にあるヒータ28と、同じ加熱ステーション14Aで下方に位置する下側のヒータ47との両方で要求されている熱成形温度まで加熱される。この加熱工程の間シートのプラスチック材料は溶融点に近い温度まで上昇され、結果として重力により下方へ垂れ下がる傾向があるので、把持装置15Aのベル内の真空は、シートSA1が熱成形用金型17Aの上方に位置付けされるまでの全加熱時間を通じて実質的に平坦状態を保つように維持され適切に制御される。
【0082】
その間に、数人の作業者は、図2Cで図式的に示されるように、金型17Aへの挿入品の導入に配慮している。
【0083】
その後、プラスチックシートSA1は、完全に制御される方法で、両面が加熱される。加熱が完了すると把持装置15Aは、図2Dに示されるように、熱成形用金型17Aの上方で迅速に移動される。
【0084】
熱成形温度に加熱されたシートSA1を有する把持および真空保持装置15Aは、前述した理由により、ヒータ28による前記加熱と真空状態を維持しながら搬送される。
【0085】
この時点で、真空度を減らし、または把持および保持装置15A内部の圧力を制御することで、図2Eに示されるように、シートを下方に垂れ下がるようにすることによって、重力による垂れ下がりを形成することが可能である。同時に、金型17Aに設けた第2の把持装置36Aが、図2Eで再度示されるように、把持および保持装置15Aの上側の把持フレーム24と反対側で、周辺端部の周囲にてシートSA1を下方から把持するように持ち上げられる。
【0086】
その間に、新たな、予熱されたシートSA2を芯だしステーション13Aへ搬送可能である。
【0087】
この時点で、装置15AがシートSA1を開放すると、同シートは、直ちに熱成形用金型17Aの第2の把持装置36Aによって下方から把持される。第1の把持およびシート保持装置15Aは、図2Fに示されるように、すぐに芯だしステーション13Aの方へ戻されることが可能であり、そこで第2のシートSA2を取り上げることが可能である。
【0088】
同じ図2Fは、垂れ下がった状態の第1シートSA1を保持する第2の把持装置36Aが降下して金型17Aからある距離のところで停止されており、一方、形成用プラグ49がシートSA1の垂れ下がり部分の上方から付着するようになっていることを示している。
【0089】
形成用プラグ49と把持装置36Aの両方は、同時に降下され、シートSA1が金型17Aの内面に向かって着座するようになされる。本質的に公知の方法で、金型17A内に真空を始動させることにより、シートSA1は、金型17A内部の真空度と形成プラグ49の圧力との連係動作によって対応する熱成形された殻として形成される。
【0090】
前記殻の熱成形の間、プラスチックシートSA1の周辺端部は、図2Gに示されるように、プレス部48、または何らかの他の手段により、金型17Bの周辺端部に対向して保持される。
【0091】
前記殻の熱成形が完了した上で、そのプラスチック材料がなお高温であるときに、前記プラグ49が持ち上げられ、熱成形された殻の中へさらにいくつかの挿入品または部品を導入することを可能にする。これらすべては、金型を上向きとすることで迅速且つ容易に遂行することが可能であり、それによって両処理ライン上でのすべての作業を大いに単純化するものである。
【0092】
前述したように、図2Aから図2Hを参照して説明した動作のすべては、2つの処理ライン10A、10Bに沿って、2つのプラスチックシートSA1、SB1に関し同時に、周期的に遂行される。その結果、いずれの場合も、2つの殻の熱成形は、両金型が上向きのまま、実質的に同一の方法で行われる。さらに、いずれの場合も、真空度と重力は2つのシートSA1、SB1の各々における垂れ下がりの形成を制御するため適切に利用される。
【0093】
燃料タンクを形成するため2つの殻をシールすることがすぐに必要である。これに関して、2つの熱成形されたシートSA1、SB1の密封は、2つの殻の周辺端部の周囲にそれらシール領域を対向させてきつく押圧しさらに溶着することによって遂行される。
【0094】
これは、2つの金型の一方を180度横転することにより、例えば、図4で矢視F1の方向に回転軸32を中心にして金型17Bを回転させて、図1でブロック線図19により示されるように、他方の金型17A上に倒置させることによって達成することが可能である。
【0095】
この時点で、2つの金型は互いにきつく押圧されて、十分なクランプ力が作用し、2つの殻のシール領域を締め付け、それにより互いに密封するようそれらを溶着する。
【0096】
燃料タンクを完成させた後、同燃料タンクは、2つの金型の中で閉じた状態で冷却される。冷却が完了したときまだ閉じられている2つの金型は、2つの熱成形ステーション17A、17Bの1つへ戻され、さらに、完成した燃料タンクの取り出しおよび放出を、同じ熱成形ステーションにて直接遂行することが可能である。
【0097】
これらすべては、次の燃料タンク製造用として同一金型を再利用するように、後続する動作サイクルの実行中に、極めて短時間のうちに遂行されることが可能である。
【0098】
それ故に、前述した処理によれば、連続したサイクルで、2つの処理ライン10A、10Bを稼動することにより、それぞれの付属品および部品を完備したプラスチック製燃料タンクを極めてわずかな時間内に生産することが可能であり、2つの処理ラインに沿って2つの空気圧把持および搬送装置を連携して利用することによるスクラップ材料の減少は、極めてわずかな表面のシールを形成することを可能にする。本発明によれば、さらに、改善された構造的特性を有するそれら各々の付属品を完備したプラスチック製燃料タンクを生産することが可能である。
【0099】
図7および図8は、例として、熱成形ステーションおよび、金型および/または2つの熱成形された殻の中に挿入品および/または部品を導入するためのステーションの他の詳細に加えて、冷却ステーションに関する2つの可能な解決手段を示す。前記図においては、類似または均等な部分を示すため、先行する図にて使用されたものと同じ参照番号が用いられる。
【0100】
図7に示されるように、冷却ステーション20は、閉じた金型17A、17Bが冷却段階のため搭載して搬送される2つ以上の金型支持面51、52を有する回転テーブル50を備えている。
【0101】
回転テーブル50は、前記金型支持面51、52の一方を熱成形ステーションと時折整列させるためにモータ53により回転させられ且つ割り出しされ、それによって例えば、熱成形ステーション16Bと支持面51の間で閉じた金型の搬送を可能にする。その一方で、冷却を受けている他の閉じた金型は、すでに、支持面52または回転テーブルの他の面上に配置されているのである。図7は、形成用プラグ49の移動のため、または挿入品を取り上げさらに自動的に金型へ導入するため、あるいは、完成した燃料タンクを放出するための、種々のロボットまたは作業者を示す。
【0102】
図8は、冷却ステーション20が処理ライン16Bと平行な面上に伸びているガイド55沿って往復動可能なシャトル54を備えている点で、前図と相違している。シャトル54は、ガイド55に沿って当該シャトルを適切に移動させることにより、熱成形ステーション16Bと整列可能な2つの金型支持面56、57を備えている。
【0103】
いずれの場合も、回転テーブル50の金型支持面51、52または、シャトル54の金型支持面56、57は、各生産の変更時または、他の要求のために、金型の取替えに利用することが可能である。
【0104】
添付図面を参照してこれまで記載されたことは、この発明による方法および製造設備の一般的特徴を例示するため、純粋に実施例として与えられたものであり、したがって、それに関連して、特許請求の範囲から逸脱することなしに他の修正あるいは変形が可能であるということは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の優先的実施例による種々の工程および作業ステーションのブロック図である。
【図2A】各処理ラインに沿って遂行される種々の動作を例示するフローチャートを示す。
【図2B】各処理ラインに沿って遂行される種々の動作を例示するフローチャートを示す。
【図2C】各処理ラインに沿って遂行される種々の動作を例示するフローチャートを示す。
【図2D】各処理ラインに沿って遂行される種々の動作を例示するフローチャートを示す。
【図2E】各処理ラインに沿って遂行される種々の動作を例示するフローチャートを示す。
【図2F】各処理ラインに沿って遂行される種々の動作を例示するフローチャートを示す。
【図2G】各処理ラインに沿って遂行される種々の動作を例示するフローチャートを示す。
【図2H】各処理ラインに沿って遂行される種々の動作を例示するフローチャートを示す。
【図3】開口した状態での熱成形ステーションの両面書架の上面図を示す。
【図4】開口した状態での熱成形ステーションの両面書架の側面図を示す。
【図5】各処理ラインに沿いプラスチックシートを空気圧で把持し且つ真空により支持するための真空ベルの図を示す。
【図6】図5の詳細拡大図を示す。
【図7】第1の実施例による熱成形ステーションに対応した製造設備の上面図を示す。
【図8】更なる実施例による図7の上面図に類似する図を示す。
【図9】冷却中閉じた金型を収容するための、閉じた状態のケージの正面図を示す。
【図10】冷却中閉じた金型を収容するための、開口した状態のケージの側面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製燃料タンクを対シート熱成形する方法であって、熱成形可能なプラスチック材料の第1および第2のシート(SA、SB)は、ローディングステーション(11A、11B)からそれぞれの熱成形ステーション(16A、16B)に至るそれぞれ第1(A)および第2(B)の処理ラインに沿って別々に加熱され、移動されるようになっており、前記方法は、
各プラスチックシート(SA、SB)を加熱する工程と、
前記加熱されたプラスチックシート(SA、SB)をその周辺端部に沿って空気圧でクランプすると共に、当該シート(SA、SB)を、それが各処理ライン(A、B)に沿って移動する間、実質的に平坦な状態で真空により支持する工程と、
加熱された各プラスチックシート(SA、SB)を、上向きをした成形用キャビティを有するそれぞれの成形用金型(17A、17B)の上方に、当該シート(SA、SB)を前記実質的に平坦な状態に空気圧で保持しながら位置付ける工程と、
前記加熱されたシート(SA、SB)をそれぞれの金型(17A、17B)へ降下する工程と、
各加熱されたシート(SA、SB)を、成形用金型(17A、17B)の上方に開いたキャビティに当該シート(SA、SB)が付着するようにして、それぞれの殻(GA、GB)に熱成形する工程と、
からなる主要工程を有し、さらに
前記方法は、
成形用金型(17A、17B)の一方(17B)およびその熱成形された殻(GB)を上下に転倒させる工程と、
前記転倒された金型(17B)を他方(17A)の上向きの金型(17A)に重ね合わせ、2つの、重ね合わされ熱成形された殻(GA、GB)周辺部のシール領域を重ねる工程、および、
成形用金型(17A、17B)のクランプ面の間の前記重ねられたシール領域を押圧することによって当該殻(GA、GB)のシール領域を溶融し且つ密封溶着する工程とからなる追加的工程を有する。
【請求項2】
各プラスチックシート(SA、SB)を熱成形温度より低い第1の加熱温度に予熱する(12A、12B)工程と、前記シート(SA、SB)の加熱を、それが前記処理ライン(A、B)に沿って移動する間維持する工程を備えた請求項1記載の燃料タンクを対シート熱成形する方法。
【請求項3】
前記処理ライン(A、B)に沿う前記加熱および移動の間垂れ下がりを防止するため、前記シート(SA、SB)を支持するための真空度を制御する工程を備えた、請求項1および2記載の燃料タンクを対シート熱成形する方法。
【請求項4】
前記プラスチックシート(SA、SB)の熱成形前に、前記燃料タンク用の挿入品および/または部品を、前記金型の上向きのキャビティへ導入する工程を備えた、請求項1記載の燃料タンクを対シート熱成形する方法。
【請求項5】
前記燃料タンク用の挿入品および/または部品を、前記金型(17A、17B)の上向きのキャビティを介して前記熱成形された殻(GA、GB)の中へ導入する工程を備えた、請求項1記載の燃料タンクを対シート熱成形する方法。
【請求項6】
前記閉じた金型(17A、17B)を取り除きさらに前記処理ラインの外側で当該閉じた金型(17A、17B)の冷却を遂行する工程を備えた、請求項1記載の燃料タンクを対シート熱成形する方法。
【請求項7】
第1と第2の対シートを熱成形した殻(GA、GB)からなるプラスチック製燃料タンクの製造設備であって、第1および第2の熱成形可能なプラスチックシート(SA、SB)は、ローディングステーション(11A、11B)から少なくとも1つの加熱ステーション(12A、14A、12B、14B)を通り、それぞれの熱成形ステーション(16A、16B)へ至るそれぞれ第1および第2の処理ライン(A、B)に沿って別々に加熱され、移動されるようになっており、前記熱成形ステーションでは、個々のプラスチックシート(SA、SB)は、それぞれ第1および第2の成形用金型(17A、17B)の中で第1および第2の殻(GA、GB)に熱成形されるようになっており、前記製造設備において、
前記第1および第2の成形用金型(17A、17B)は、両方の成形用金型(17A、17B)のキャビティが上向きに開口した状態で、並んで配置されており、
前記製造設備において、
各処理ライン(A、B)は、前記プラスチックシート(SA、SB)を周辺端部で把持するための空気圧作動の把持手段(24A、24B)と加熱したプラスチックシート(SA、SB)のための真空によるシート保持装置(15A、15B)を有しており、前記空気圧による把持手段(24A、24B)と真空によるシート保持装置(15A、15B)は処理ライン(A、B)に沿って移動可能であり、
また、加熱したプラスチックシート(SA、SB)を実質的に平坦な状態で支持する前記真空保持装置(24A、24B)用の真空制御手段を有しており、
さらに、一方の金型(17A、17B)を他方の金型(17A、17B)に重ね合わせるため上下を転倒させ、当該金型(17A、17B)を押圧することにより前記熱成形された殻(GA、GB)の重なったシール領域を溶着させるよう同調され準備する駆動手段(33)を有する。
【請求項8】
シートの予熱ステーション(12A、12B)を備えた、請求項7記載のプラスチック製燃料タンクの製造設備。
【請求項9】
シートの芯だしステーション(13A、13B)を備えた、請求項7記載のプラスチック製燃料タンクの製造設備。
【請求項10】
前記シートの芯だしステーション(13A、13B)は、前記シートの予熱ステーション(12A、12B)の上流側に設けたことを特徴とする、請求項8および9記載のプラスチック製燃料タンクの製造設備。
【請求項11】
前記芯だしステーション(13A、13B)は、前記予熱ステーション(12A、12B)と前記プラスチックシート(SA、SB)用の第2の加熱ステーション(14A、14B)との間に設けたことを特徴とする、請求項8および9記載のプラスチック製燃料タンクの製造設備。
【請求項12】
前記真空支持装置(15A、15B)は、前記プラスチックシート(SA、SB)用の加熱要素(28)を備えたことを特徴とする、請求項7記載のプラスチック製燃料タンクの製造設備。
【請求項13】
前記真空支持装置(15A、15B)は、調整可能な真空源に結合されていることを特徴とする、請求項7記載のプラスチック製燃料タンクの製造設備。
【請求項14】
各金型(17A、17B)は、第2の空気圧で動作するシート把持装置(36A、36B)を備えたことを特徴とする、請求項7記載のプラスチック製燃料タンクの製造設備。
【請求項15】
前記真空保持装置(15A、15B)は、空気圧で動作する吸引ベルの構成であることを特徴とする、請求項7記載のプラスチック製燃料タンクの製造設備。
【請求項16】
前記閉じた金型(17A、17B)を前記製造設備の熱成形ステーション(16A、16B)と前記冷却ステーション(20)の間で搬送するため、前記熱成形ステーション(16A、16B)と面を整列した状態で前記処理ライン(A、B)の1つの側方にある金型冷却ステーション(20)を設けたことを特徴とする、請求項7記載のプラスチック製燃料タンクの製造設備。
【請求項17】
前記冷却ステーション(20)は、複数の金型支持面(51、52)を有する回転テーブル(50)を備えたことを特徴とする、請求項16記載のプラスチック製燃料タンクの製造設備。
【請求項18】
前記冷却ステーション(20)は、前記処理ライン(A、B)と平行に配置された往復動可能な金型支持シャトル(54)を備えており、当該シャトル(54)は少なくとも第1および第2の金型支持面(55、56)を備えていることを特徴とする、請求項16記載のプラスチック製燃料タンクの製造設備。
【請求項19】
前記金型(17A、17B)の搬送手段は、熱成形ステーション(16A、16B)と前記冷却ステーション(20)の間で往復可能な金型クランプ用ケージ(40,41)を備えたことを特徴とする、請求項16記載のプラスチック製燃料タンクの製造設備。
【請求項20】
一方の金型(17B)の上下を転倒させる前記駆動手段は、両面書架(book press)を備えたことを特徴とする、請求項7記載のプラスチック製燃料タンクの製造設備。
【請求項21】
各金型(17A、17B)は、前記加熱されたプラスチックシート(SA、SB)の端部を把持するため追加の機械的手段(48)を備えたことを特徴とする、請求項14記載のプラスチック製燃料タンクの製造設備。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図2E】
image rotate

【図2F】
image rotate

【図2G】
image rotate

【図2H】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2006−513062(P2006−513062A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−566045(P2004−566045)
【出願日】平成15年12月30日(2003.12.30)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014962
【国際公開番号】WO2004/062889
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(505258586)カンノン ソシエタ ペル アチオーニ (1)
【Fターム(参考)】