説明

プラスチック部品をプラズマ処理するための装置

【課題】コストの増大を招くことなく、プラスチック部品の鮮映性(DOI)及び塗膜密着性を向上可能な、プラスチック部品をプラズマ処理するための装置を提供する。
【解決手段】外側表面12及び内側表面14を有するプラスチック部品10をプラズマ処理するための装置が提供される。装置は少なくとも一つの取付具16を備える。取付具16は、互いに協働して外側表面12の一部を特定の公差内にて配設定する、支持構造体40、複数の位置決め機構42及び複数の保持装置44を含む。装置は、外側表面12に対して所定の経路に沿って移動するように構成される少なくとも一つの大気圧プラズマ・ノズル20を更に備え、そこにおいて大気圧プラズマ・ノズル20は、外側表面12の一部を覆う官能基を持つポリマー層を生成する部分にプラズマ・ジェット22を誘導する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、プラスチック部品をプラズマ処理するための装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック部品には通常、それらの用途に応じた見栄え及び耐久性の要件がある。例えば、バンパー・フェイシャ(fascia)又はインストルメント・パネルのようなプラスチック・トリム部品は、塗料によって装飾され、そして、鮮映性(Distinctive of Image:DOI)要件及び塗膜密着性要件の両方を有する。DOIは、「オレンジ・ピール(orange peel)」と呼ばれることの有る、ざらざら或いは凸凹の塗面による視覚効果を含む、輝度及び光沢の客観的な外観基準である。DOIは、例えば米国メリーランド州コロンビア市のBYK−Gardner社のウェイブ・スキャン装置(Wave-Scan unit)によって、計測され得る。塗膜密着性及びDOIは、プラスチック部品と塗料との間の界面化学的性質によって左右される。
【0003】
プラスチック部品の界面化学的性質に影響を与える要因は、使用されるプラスチックの種類、コーティング前の表面の汚れ、及び、離型剤の存在を含む場合がある。界面化学的性質はまた、表面の摩擦係数を事実上低減し得るスクラッチ性、スリップ性、又は添加剤パッケージ方法の影響も受けやすい。これらの要因は、プラスチックの総合界面エネルギーに寄与する。加えて、プラスチックは界面エネルギーが低くなるほど、コーティングによる界面のウェットアウト(wet-out)不足を原因の一つにして、塗装がより困難となる場合があり、これは「オレンジ・ピール」をもたらし、そして、塗膜密着性の不足をもたらし得る。
【0004】
これらの要因を克服するために、コーティングに先立ってプラスチックの表面に前処理が行われる場合があり、或いは、より複雑な塗装工程が用いられる場合がある。例えば、フラッシュ・オーブン(flashing oven)を用いた多段階の酸性水溶液又は塩基性化学薬品による洗浄処理が、型離剤及び汚れを除去するために、使用され得る。或いは、侵攻性溶剤パッケージ(aggressive solvent package)を備えたプラスチック系が、初めにプラスチックの表面を膨張させるために使用され、その結果、プラスチックと塗料との間のポリマー(高分子)のエンタングルメント(entanglement)を可能とする場合がある。また、塩素化ポリオレフィン接着促進剤(adhesion promoter:ad pro)が、装飾用の塗料を塗布する前の表面処理に、使用される場合がある。しかしながら、侵攻性溶剤又は塩素化ポリオレフィン接着促進剤の使用は、多くの場合、経済上及び環境上の両方の理由から好ましくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近になって、真空プラズマ処理が、塗装前にプラスチック部品の界面エネルギーを増大させるために使用されている。この方法は多くの場合、更なる表面前処理又はより複雑な塗装工程の必要性を除去、或いは、最小化する。しかしながら、この方法は、低効率のバッチ処理手法を使用する真空槽を含む装置に、多くの費用をかける必要があり得る。
【0006】
これらの課題の少なくとも一部を回避し得るプラスチック部品の処理及びコーティングのための方法及びシステムの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
外側表面及び内側表面を有するプラスチック部品をプラズマ処理するための装置が提供される。装置は少なくとも一つの取付具を備える。取付具は、プラスチック部品を支持する支持構造体を含む。取付具に対してプラスチック部品を位置決めする複数の位置決め機構が、支持構造体に設けられる。取付具に対してプラスチック部品を保持する複数の保持装置が、支持構造体に設けられる。支持構造体、位置決め機構及び保持装置は、協働して、外側表面の少なくとも一部を特定の公差で配設する。装置は、外側表面に対して所定の経路に沿って移動する少なくとも一つの大気圧プラズマ・ノズルを更に備える。ノズルは、官能基を持つポリマー層を生成するために、外側表面の一部にプラズマ・ジェットを誘導する。
【0008】
別の実施形態において、外側表面及び内側表面を有するプラスチック部品をプラズマ処理するための装置が提供される。装置は、支持構造体を含む、少なくとも一つの移動可能な取付具を備える。支持構造体は、近傍にある上記内側表面の一部に合致するように構成される接触表面を各々が有する、複数の互いに離間配置されたた支持部材を含み、それによって上記プラスチック部品が支持される。取付具に対してプラスチック部品を位置決めする複数の位置決め機構が、支持構造体に設けられる。取付具に対してプラスチック部品を保持する複数の保持装置が、支持構造体に設けられる。支持構造体、位置決め機構及び保持装置は、協働して、外側表面の少なくとも一部を特定の公差差内にて配設する。装置は、外側表面の一部から約2乃至20ミリメートル(mm)離間して配設される大気圧プラズマ・ノズルを、少なくとも一つ更に備える。ノズルは外側表面に対して所定の経路に沿って、約50乃至600ミリメートル毎秒(mm/sec)の範囲の速度にて移動する。ノズルは、外側表面の一部を覆う官能基を持つポリマー層を生成すべく、プラズマ・ジェットを外側表面の少なくとも一部に誘導する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の詳細な実施形態がここに記述される。しかしながら、記述された実施形態は、本発明の単なる例示であり、種々の形態、及び、代替形態に具現化され得ることが理解される。図は必ずしも縮尺どおりではなく、図の幾つかは特定の部品の詳細を示すために強調され或いは簡略化にされる場合がある。従って、ここに記述された特定の構成及び機能の詳細は、本発明の権利範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、権利請求の為及び本技術分野の当業者に本発明の実施の仕方を教示するための、単なる典型的な土台として解釈されるべきである。
【0010】

プラスチック部品のプラズマ処理のためのシステムの実施形態、及び、コーティングによりプラスチック部品を装飾するための方法がここで記述される。プラスチック部品の真空プラズマ処理は、コーティング前に部品の表面を下準備するために使用される。この処理は、部品全体の表面を変質させることが出来、その結果、下塗りを使用すること無しに、プラスチック部品の表面に上塗りを直接塗布することを可能とし得る。この形態の表面処理のマイナス面の一つが、そこにおいて部品が真空プラズマ処理の間に置かれなければならない低圧力槽が必要であるために、一括処理を行なうことが主として制限されることである。大量の塗布の場合、この手法は極めて制限的であり得る。
【0011】
プラズマ処理技術における近年の開発は、大気圧プラズマ(atmospheric-pressure air plasma:APAP)処理と呼ばれる技術を生み出した。この技術は、コーティングに備えてプラスチック部品の表面を改変するが、低圧力槽の使用を必要としない。変質表面は、機能性ポリマー層の形成によって生じる。より具体的には、プラスチックの多くは、低い界面エネルギーを有する無極性ポリマー長鎖から成る界面化学的性質を有する。加えて、これらの表面はまた、化学的に非反応性であり得る。例えば、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、ポリエチレン及びポリプロピレンは無極性プラスチックの一般例である。ABS(アクリルニトリルブタジエンスチレン)及びポリカーボイネート(PC)のような極性ポリマーは、それらが他の非プラスチックの基質に比べると低い界面エネルギーを有するため、やはりAPAPが有効である。加えて、静電塗装方法において一般的に使用される、例えば導電性TPOのような導電性ポリマーもまた、APAPが有効である。界面におけるポリマーを官能化することが、コーティングが界面をウェットアウトするのを可能にする界面エネルギーを増大させる。コーティングによる界面のウェットアウトが不足すると、「オレンジ・ピール」に起因して、不十分な塗膜密着性及び望ましくないDOI値をもたらす場合がある。
【0012】
APAP処理によってプラスチックの界面上に起こり得る官能化メカニズムの一つが、酸化、及び/又は、界面ポリマー上へのアミン、NO官能基、−OH官能基及び−NH官能基の付加であり得る。APAP処理による界面におけるポリマーの化学変換が、極性の増大をもたらす。例えば接着剤、塗料、下塗り剤及び接着促進剤のようなコーティングは、極性ポリマーと共に調剤されるのが一般的である。固体極性ポリマー/プラスチックが液体極性コーティングと相互作用するとき、二つの相の間の界面張力が最小化され、液相がより均一に固相上に広がり、その結果、プラスチックの界面をウェットアウトすることを可能にする。
【0013】
本出願人は、製造環境において、APAP技術をコーティング前の適切な表面処理としてプラスチック部品にどのように適用すべきかについて確認した。より具体的には、APAP技術が特定の処理期間において使用されるときに、プラスチック部品の表面に官能基を有するポリマー層を形成し得ることを確認した。しかしながら、この処理期間は、そこにおいて寸法の不安定性がより許容される多くのプラスチック部品製造処理にとって、不規則となる場合がある。この寸法の不安定性は、多くのプラスチックが本来備えている性質であることが多い、比較的低い曲げ弾性率、及び、反りねじれ特性に起因する。寸法不安定性の問題は、プラスチック部品が例えばバンパー・フェイシャ又はインストルメント・パネルのような大きな成型装飾部品であるときに、最も顕著になる。従って、多くのプラスチック部品が本来備えている寸法不安定性とAPAP処理にて要求される高い精度との格差をどのようにして埋めるかを決定する必要がある。
【0014】
下記の実験結果は、本発明の実施形態の少なくとも一つを説明する。熱可塑性ポリオレフィン(TPO)のバンパー・フェイシャは、下記テーブル1に設けられるマトリクス状のパラメータに従って、APAPによって処理された。APAP処理は、プラズマ・ジェットを生成する大気圧プラズマ・ノズルによって行われた。大気圧ノズルは、カナダ国オンタリオ州ミシサーガ市のPlasmatreat North American Incorporated社により供給されるOpenair(登録商標)プラズマ・ノズルが使用された。
【0015】
テーブル1において概説されるように、テストにおいて七つのフェイシャが使用された。フェイシャ7は、上塗り前に塗布されそして硬化された接着促進剤のコーティングを使用する、従来の処理手法を表す参照サンプルである。その他の六つのフェイシャは、APAP処理と共に関連して、洗浄処理又は非洗浄処理のいずれかの組み合わせを使用した。APAPノズルは、プラズマ・ジェットを外側表面に向けた状態で、フェイシャの外側表面に対して、テーブルにて記述された速度にて移動された。サンプルの幾つかは100ミリメートル毎秒(mm/sec)の速度で処理され、その他のサンプルは300mm/secの速度で処理された。APAPノズルはまた、フェイシャの表面から約10ミリメートル(mm)離間して配設された。高圧洗浄と呼ばれることもある上記洗浄の目的は、プラズマ処理の有効性と比較して、大まかな異物の除去がどの程度重大であるかを判定することにある。
【0016】
塗装の後で、プラズマ処理されたフェイシャは、比較参照用のフェイシャと共に、Wave−Scan装置を使用する鮮映性(DOI)の測定に基づいて、「オレンジ・ピール」の度合いが計測された。テーブル2は、外観品質を指標化する所定の品質測定装置の値を使用して、外観における改善量(率)を比較する。結果は、比較参照用サンプルと比較して、平均して垂直塗装面にて22%、水平塗装面にて13%の、プラズマ処理による改善を示す。
【0017】
テーブル3を参照すると、TPOフェイシャは、テーブル1で与えられるマトリクス状のパラメータに従って、APAPによって処理される。各々のフェイシャからの薄片が、45分のガソリン浸透テストを受けた。結果は、プラズマ処理されたTPOは塗装の損失がないのに対して、従来の接着促進剤により処理されたTPOが15%の塗装損失を示した。ここに観測された差異は、従来の接着促進剤のコーティングが物理的なエンタングルメント作用よって基質に結合される一方で、APAP処理の作用は官能基化された表面と塗装コーティングの間に化学的な共有結合連結を生成するという事実によるものと考えられる。物理的エンタングルメント結合は、化学的な共有結合よりも、結合界面内への燃料の浸透による分断の影響をより受けやすい場合がある。
【0018】
テーブル3において示されるように、フェイシャ1及び2は、プラズマ処理に先立って予洗されることなく準備され、そして、45分の燃料浸透テストから、塗膜密着性の損失又は塗装の崩壊は示さなかった。プラズマ処理に先立って予洗されたフェイシャ3及び4も又、45分の燃料浸透テストからは塗膜密着性の損失又は塗装の崩壊は示さなかった。フェイシャ5及び6は、プラズマ処理の後に高圧洗浄され、そして同様に、45分の燃料浸透テストからは塗膜密着性の損失又は塗装の崩壊は示さなかった。(この特定のTPO基質に関して)テーブル1において特定される処理パラメータは、塗装されたバンパー・フェイシャにとって満足できる外観及び耐久性結果を示した。
【0019】
【表1】

【0020】
テーブル1:APAP処理テストのマトリックス
【0021】
【表2】

【0022】
テーブル2:従来の接着促進剤の使用と比較したときの、APAPを使用する塗装外観の改善
【0023】
【表3】

【0024】
テーブル3:45分のガソリン浸透テスト後の塗装除去結果
図1を参照すると、プラスチック部品にプラズマ処理を行う装置が、本発明の実施形態に従って示される。プラスチック部品10は、外側表面12及び内側表面14を有する。プラスチック部品10は、例えばTPO(熱可塑性ポリオレフィン)、TPE(熱可塑性エラストマー)、ポリエステル、ポリウレタン、PE(ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)、ABS(アクリルニトリルブタジエンスチレン)、導電性ポリマー又はポリプロピレンのような、適切であれば如何なるプラスチック樹脂素材からも作られ得る。プラスチック部品は、射出成型、熱成形、中空成型、又は、この技術分野の当業者によって知られる他の適切な製法のいずれかによって作られ得る。加えて、プラスチック部品は、例えばバンパー・フェイシャ又はインストルメント・パネルのような大型成型部品であり得る。或いは、プラスチック部品は、例えば筐体(カバー又は容器)のような比較的小さい部品の場合もある。
【0025】
装置は、参照符号16によって概略的に示される少なくとも一つの取付具を備える。取付具16は、例えばアルミニウム、鋼鉄、その他の種々の金属、又は金属合金のように、構造的に安定で且つ寸法的に安定な、適切なものであれば如何なる金属からも作られ得る。或いは、取付具16は、Ren−Wood(レン・ウッド)又は繊維ガラス−エポキシ樹脂のような、充填ポリマー又は複合材から作られる場合がある。
【0026】
装置は、プラズマ・ジェット22を生成する少なくとも一つの大気圧プラズマ・ノズル20を更に備える。プラズマ・ノズル及びプラズマ・ジェットの詳細は、その開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,800,336号明細書のコラム3の39行乃至コラム6の6行において説明される。本技術分野の当業者によって知られる他の適切な大気圧ノズルもまた、使用され得る。
【0027】
大気圧プラズマ・ノズル20は、経路に沿って外側表面12に対して移動する。大気圧プラズマ・ノズル20は、プラズマ・ジェット22を外側表面12の少なくとも一部に誘導し、官能基化されたポリマーによって覆われる表面領域を作り出す。なお、ここでいう経路とは、例えば大気圧プラズマ・ノズルを用いてプラスチック部品の外側表面プラズマ処理される際の、プラスチック部品の外側表面に対するプラズマ・ノズルの位置を時系列で示すものであり、大気圧プラズマ・ノズルの移動を制御するための制御器に予め記憶されているものである。外側表面の少なくとも一部を覆う官能基化ポリマー層は、大気圧ノズル20を外側表面12に対して複数回通過させることにより生成される。例えば、ツートーン・カラーに装飾されることになっているバンパー・フェイシャは、このようにしてプラズマ処理され得る。フェイシャは、予め着色された或いは着色成型されたプラスチック樹脂から作られ、その結果単一色のフェイシャを提供する場合がある。外側表面の一部をプラズマ処理して、処理部位のみを第二の色の塗料で塗装することが、装飾された二色のフェイシャを提供する場合がある。加えて、プラズマ処理は、二色作用(two color affect)を高めるために、ハードマスキング、又は、ソフトマスキングのいずれかと組み合わせて使用される場合がある。或いは、その後のコーティングのために、外側表面12の全体がプラズマ処理される場合がある。
【0028】
大気圧プラズマ・ノズル20(APAPノズル)は、外側表面12から約2乃至20ミリメートル(mm)離れて置かれ得る。APAPノズル20は、約50乃至600ミリメートル毎秒(mm/sec)の範囲の速度にて、外側表面12に対して移動し得る。例えば、もしAPAPノズル20が100mm/secの速度にて一方向に向けて移動し、取付具16上のプラスチック部品10が100mm/secの速度で反対方向に向けて移動するならば、APAPノズル20は、外側表面12に対して約200mm/secの速度にて移動することになる。実施形態の少なくとも一つにおいて、APAPノズル20は、外側表面12から約5乃至15mm離れて配設され、約250乃至350mm/secの範囲内の速度にて、外側表面12に対して移動する。
【0029】
取付具16は移動可能であり得る。取付具16は運搬装置24に載置され、固定され、又は、結合され得る。実施形態の少なくとも一つにおいて、運搬装置24は、地表に沿って移動するために、車輪26を備え得る。運搬装置24は複数の取付具16を含む場合がある。運搬装置24は、例えば、インライン・システム(直列に配置された製造ライン)のように、チェーン駆動又は電動のコンベヤー・システムの一部であり得る。或いは、運搬装置24は、オーバーヘッド・コンベヤー・システムの一部であり得る。他の適切な運搬装置24の構成もまた、使用されることが可能である。
【0030】
装置は、APAPノズル22を外側表面12に近接して配設して、APAPノズル20を経路に沿って外側表面12に対して移動する少なくとも一つのロボット30を更に備え得る。ロボット30は、例えば、プラスチック部品10に対して複雑な形態にて動かすことが出来る6軸ロボットであり得る。或いは、ロボット30は、ノズル20をプラスチック部品10に対してより単純な幾何学形態にて配設するため、より少ない移動軸を有する場合がある。
【0031】
装置は、ロボット30又は適切であれば如何なる他の近接部位にも取付け可能な位置センサー32を更に備える場合がある。位置センサー32は、センサー32からプラズマ・ジェット22に近接する外側表面12までの距離を検知する。センサー32は、外側表面12の位置を判定し、その位置データをAPAPノズル20のための制御器に伝達する。例えば、位置センサー32は制御器を介してロボット30と接続し、そこにおいてAPAPノズル20との位置情報の伝達は制御器及びロボット30を介して達成される。或いは、位置センサー32は、APAPノズルとインターフェイスで接続されたCNCレール・ガントリ配列(CNC rail gantry arrangement)とインターフェイスで接続され得る。位置センサー32とAPAPノズル20との間の位置情報の伝達は、CNCレール・ガントリ配列を介して達成される。位置センサー32は、例えば、視覚センサー、又は、外側表面12に当接する接触センサーであり得る。この技術分野の当業者によって知られる他の適切なセンサーもまた、使用され得る。
【0032】
図2を参照すると、本発明の実施形態に従った、プラズマ処理装置のための取付具16の斜視図が示される。取付具16は、プラスチック部品10を支持するために内側表面14に当接する支持構造体40を含む。支持構造体40は、構造的に安定で且つ寸法的に安定のある、適切なものであれば如何なる素材からも作られ得る。例えば、鋼鉄又はアルミニウムが、適切な素材となり得る。或いは、Ren−Woodのような高充填ポリマーもまた、適切であり得る。
【0033】
取付具16は、取付具16に対してプラスチック部品10を位置決めするために、支持構造体40上に設けられる複数の位置決め機構42を更に備える。例えば、位置決め機構42は、プラスチック部品10に設けられているスロット(長穴)、ホール(穴)又は他の雌機構と各々合致して位置調整され得る、支持構造体40上の複数のピン、ダボ又は他の雄機構であり得る。適切な2方向又は4方向の位置決め装置は、プラスチック部品10を取付具16に対して配設するために、これらの機構を備えて達成され得る。或いは、支持構造体40の種々の表面が、プラスチック部品10を取付具16に対して位置決めするために、内側表面14と合致して位置調整される場合がある。本技術分野の当業者によって知られる他の適切な位置決め機構もまた、使用可能である。
【0034】
取付具16は、プラスチック部品10を取付具16に保持するために、支持構造体40上に設けられる複数の保持装置44を更に備える。支持構造体40、位置決め機構42及び保持装置44は協働して、外側表面12の少なくとも一部を所定の公差内で配設する。実施形態の少なくとも一つにおいて、所定の公差はプラス/マイナス約5mmであり得る。
【0035】
保持装置44は真空源と接続される吸着カップである場合がある。例えば、吸着カップは連続的に真空源にポート接続され、或いは断続的に真空源にポート接続され得る。実施形態の少なくとも一つにおいて、取付具16は、複数の停止工程を有する製造ラインに沿って移動するように構成される。吸着カップは、停止工程の各々において真空源にポート接続され得るが、そうでなくて取付具16が製造ラインに沿って移動しているときには、真空源にポート接続されない。吸着カップは、取り付け具が移動する間、プラスチック部品10を取付具16に保持するように、停止工程と停止工程との間で十分に密閉され得る。或いは、保持装置44は、やはりオートメーション化され得るクランプ又はバネ仕掛けの機械的なクリップであり得る。加えて、保持装置は、一方の装置を他方に挿入して、拡張又は回転させることによって機能するくさび留め装置(wedging device)であり得る。この技術分野の当業者によって知られる他の適切な保持装置もまた、使用可能である。
【0036】
支持構造体40は、互いに離間して設けられる複数の支持メンバー46を含み得る。支持メンバー46の各々が、支持メンバー46近傍の内側表面14に合致するように構成される当接面48を有する場合がある。
【0037】
支持メンバー46は、外側表面12の少なくとも一部が特定の公差内にて位置付けされるように、プラスチック部品10を実質的に支持して位置決めするために、互いに離間して設けられる場合がある。例えば、支持メンバー46間の適切な間隔として100乃至300mmが使用されるときに、TPOバンパー・フェイシャの外側表面12をプラス/マイナス約2mm公差内で配設することが出来る。
【0038】
取付具16が動いている間であっても、外側表面12の少なくとも一部は、上記の特定の公差内に実質的に保持される。例えば、図6及び図7に示されるように、取付具16は、直列又は環状の製造ラインの一部として、搬送システムに取り付けられる場合がある。或いは、図2乃至図5に示されるように、取付具16は、軸の周りに回転するトラニオン(一例として、両端が支えられ、中央で他の部品と接続している軸)に取り付けられる場合がある。加えて、取付具16は、床面に沿った移動を容易にするために、ローラー又は車輪を含み得る。
【0039】
図2乃至図5を参照すると、装置は、所定部位62において取付具16に結合される主トラニオン60を更に備える場合がある。主トラニオン60は主軸64の周りを回転する。
【0040】
取付具16は、支持構造体40上に配置される複数の力センサー70を更に含み得る。各々の力センサー70は、プラスチック部品が取付具16上に配設されるときに信号を送信するように構成され得る。実施形態の少なくとも一つにおいて、力センサー70は、プラスチック部品10が接触センサーに接触したときに信号を送信する接触センサーである。本技術分野の当業者によって知られる他の適切な力センサー70も、部品によってもたらされる力を検知するために、使用可能である。
【0041】
クランプ又は吸着カップのような保持装置44の少なくとも一つは、力センサー70の信号に応じて、取付具16に対してプラスチック部品10を自動的に保持し得る。すなわち、クランプ又は吸着カップのような保持装置44の少なくとも一つは、プラスチック部品が取り付け具に配設される工程の間にプラスチック部品を検出するように構成される場合がある。力センサー70は、プラスチック部品10が取付具16上に載せられるときに保持装置44が自動的にプラスチック部品10全体を取付具16に保持するように、支持構造体40上に設置され得る。
【0042】
取付具16は、支持構造体40上に配置される部品存在センサー72を更に含み得る。部品存在センサー72は、プラスチック部品10が取付具16上に配設されるのに応じて、信号を送信する。実施形態の少なくとも一つにおいて、APAPノズル20は、上記の信号に応じてプラズマ・ジェット22を部品10の方向に誘導する。APAPノズル20が信号を受信しない限り、プラズマ・ジェット22は生成されない、或いは、部品10の方向に誘導されない。部品存在センサー72は、光学式又は接触式のセンサーであり得る。部品の存在を検出するために、他の適切なセンサーが使用される場合もある。
【0043】
図2及び図3を参照すると、取付具16がプラスチック部品10及びAPAPノズル20と共に示される。プラスチック部品10は取付具16上に配設され、支持メンバー46によって支持される。支持メンバー46は、位置決め機構42及び保持装置44と協働して、外側表面12の少なくとも一部を特定の公差内に配設する。取付具がプラズマ処理工程の間に移動されるとき、外側表面の位置は維持される。
【0044】
APAPノズル20は、主トラニオン60と協働して、外側表面12に対して経路に沿って移動する。APAPノズル20は、官能基化ポリマー層を形成するために、プラズマ・ジェット22を経路に沿って外側表面上に誘導する。
【0045】
図4及び図5を参照すると、プラスチック部品10のプラズマ処理装置が、第二の主軸86の周りを回転する第二の主トラニオン84を更に備えているのが示される。装置はまた、載荷位置90と処理位置92との間で副軸82の周りを回転する副トラニオン80を更に備える場合がある。主トラニオン60及び84は、副トラニオン80に回転可能に結合され得る。実施形態の少なくとも一つにおいて、主トラニオン60及び84は、直径方向に対向する位置において、副トラニオン80に対し、副軸82周りに回転可能に取り付けられる。副軸82は、第一の主軸64と第二の主軸86の両方に対して実質的に並行である。
【0046】
プラスチック部品10は、載荷位置において取付具16上に配設される。プラスチック部品10は、手作業で、又は、適切なものであればいずれの自動化工程によってでも、取付具16上に配設され得る。プラスチック部品10は、外側表面12上に官能基化ポリマー層を生成する処理位置92に部品10が存在するときに、プラズマ処理を受ける。壁、即ち分割パネル94が、保護された処理室を形成するために、載荷位置90及び処理位置92の間の物理的境界を生成するために使用され得る。
【0047】
装置は、レール・ガントリ組立体100及び102を更に備える場合がある。レール・ガントリ組立体は、APAPノズル120及び122を外側表面12に近接配置し、APAPノズルを120及び122を外側表面12に対して移動させる。
【0048】
実施形態の少なくとも一つにおいて、ロボット110及び112はレール・ガントリ組立体100及び102に対して移動可能に結合される。この構成において、ロボット110及び112は、レール・ガントリ組立体100及び102と協働して、APAPノズル120及び122を外側表面12に近接配置し、APAPノズル120及び122を外側表面12に対し、経路に沿って移動させる。或いは、レール・ガントリ組立体100及び102は、ロボット110及び112を備えずに、APAPノズル120及び122を、直接的に配設し、そして、APAPノズル120及び122を移動させる場合がある。
【0049】
更なる別の実施形態において、ロボット110及び112が固定され、レール・ガントリ組立体100及び102を備えないで、APAPノズル120及び122を配設し、そして、移動させるために使用される場合がある。
【0050】
図6を参照すると、本発明の実施形態に従ってプラスチック部品10のプラズマ処理を行なうための装置が示される。複数の取付具16は、インライン式プラズマ処理システム150に沿って、連続的に移動され得る。実施形態の少なくとも一つにおいて、取付具16は移動ライン152上の複数停止工程において停止する。複数停止工程は、複数の位置の間で取付具16を移動させるためのインデックス・ダイアル・テーブル(index dial table)を含み得る。
【0051】
複数のロボット30が、移動ライン152に近接して配置され得る。ロボット30は、APAPノズル20をプラスチック部品10の外側表面12に対して配設して移動させ、そして外側表面12をプラズマ・ジェット22によって処理し得る。
【0052】
図7を参照すると、プラスチック部品10をプラズマ処理するための装置の代替実施形態が示される。複数の取付具16は、環状のプラズマ処理システム160に沿って、連続的に移動される場合がある。環状システム160は載荷エリア162及び除荷エリア164を有する場合がある。プラスチック部品10は、載荷エリア162において、取付具16上に置かれる。複数のロボット30が、載荷エリア162と除荷エリア164の間に配設され得る。ロボット30は、外側表面12に対してAPAPノズル20を配設して移動させ、官能基化ポリマー層を形成すべくプラズマ・ジェット22によって処理することが出来る。プラズマ処理されたプラスチック部品10は、除荷エリア164において取り外され、プラスチック部品10にコーティングが塗布しながら移動させるコーティング・ライン166に移動させられ得る。
【0053】
図8を参照すると、本発明の実施形態に従った、プラスチック部品のプラズマ処理及びコーティングのための方法が示される。プラスチック部品は、初期界面エネルギーを備えた外側表面を有する。外側表面の少なくとも一部はコーティングによって装飾されることになる。コーティングは、塗料、又は、下塗り、上塗り、及び/又は、仕上げ塗装によって後に被覆される塗装下塗り剤であり得る。塗料は、広義に定義され、即ち、1液系(1k系)及び2液系(2k系)系、溶剤系及び水性系、ポリマー系及び/又はプレポリマー系、接着促進剤、及び、プラスチックをコーティングするためにこの技術分野の当業者によって知られる他の適切な塗料を含む。或いは、コーティングは、装飾用フィルム、ラベル、及び/又は、本技術分野の当業者によって知られる他の適切な機能をプラスチック部品に結合するのに使用され得る接着コーティングであり得る。接着コーティングは、液体又は、例えば転写フィルム接着剤のような固体であり得る。実施形態の少なくとも一つにおいて、プラスチック部品の内側表面の一部もプラズマ処理され、そこに粘着ラベルが貼られる。
【0054】
ルーチンは、ステップ200において、プラスチック部品を実質的に特定の公差内で外側表面の少なくとも一部に固定する工程を含む。ルーチンは、ステップ202において、界面エネルギーを初期界面エネルギーよりも大きいレベルまで増大するために、処理されるべき表面の一部にプラズマ処理を施す工程を更に備える。プラズマ処理工程は、APAPノズルによって実行され得る。
【0055】
プラズマ処理工程は、ステップ204において、APAPノズルによって表面の一部にプラズマ・ジェットを誘導する工程を含み得る。プラズマ・ジェットは、外側表面上に単一の官能基化ポリマーのパッチ(patch)を生成し得る。プラズマ処理工程は、ステップ206において、外側表面に対するノズルの複数の通過で生成される複数のパッチにより、官能基化ポリマー層を生成するために、APAPノズルが外側表面に対して適切な経路内を移動する工程を更に含み得る。
【0056】
ルーチンは、ステップ208において、外側表面の一部に対してコーティングを塗布する工程を更に備える。コーティングは噴霧、帯電噴霧、ディスペンス方式、積層方式、或いは、適切なものであれば本技術分野の当業者に知られている他の如何なる手段によってでも塗布され得る。
【0057】
コーティングは、プラズマ処理済の外側表面の界面エネルギーを実質的に超えない界面エネルギーを有する。実施形態の少なくとも一つにおいて、プラズマ処理済の外側表面の界面エネルギーは、約38乃至72X10-3N/m(ニュートン/メートル)の範囲内であり得る。そして、コーティングの界面エネルギーは、約33乃至67 X10-3N/mの範囲内であり得る。実施形態の少なくとも一つにおいて、コーティングの界面エネルギーは、プラズマ処理済の界面エネルギーよりも小さい。少なくとも別の実施形態において、コーティングの界面エネルギーは、少なくとも5 X10-3N/mはプラズマ処理済の外側表面の界面エネルギーよりも小さい。
【0058】
ルーチンは、ステップ210において、コーティングを硬化する工程を更に備える。硬化工程は、広義に定義され、重合、コーティング反応体の化成処理、乾燥、融合、又は、他の如何なるコーティングの物理的又は化学的変換を含む。
【0059】
実施形態の少なくとも一つにおいて、プラスチック部品は、例えば擦り傷又はこすり傷のような、損傷を受けた硬化塗装を外側表面上に有する場合がある。すなわち、本発明における方法は、損傷を受けた装飾用コーティングを修復するために使用される場合がある。外側表面の再塗装に先立つ前処理としてのAPAPノズルによる外側表面の損傷部位のプラズマ処理工程が、損傷部位の修復のための適切な方法を提供し得る。
【0060】
別の実施形態において、プラスチック部品は、外側表面上に離型剤を有し得る。離型剤は、例えばステアリン酸塩、炭化水素、脂肪酸又はシリコンをベースにした化合物であり得る。或いは、離型剤は、表面の摩擦係数を低減するのに使用されるスクラッチ剤又はスリップ剤であり得る。その処理(少なくともプラズマ処理)の間、離型剤は、プラズマ・ジェットによって、気化される場合がある。
【0061】
別の実施形態において、ルーチンは、外側表面の少なくとも一部を高圧洗浄する工程を更に備える。高圧洗浄工程は、外側表面のプラズマ処理工程の前又は後ろのいずれかにて実行され得る。
【0062】
別の実施形態において、プラスチック部品は射出成形部品であり、型分割ラインに対応するバリを含む。プラズマ・ジェットは、プラスチック部品からバリを除去するために使用される。或いは、バリは機械的な手段により除去される場合がある。
【0063】
図9を参照すると、本発明の別の実施形態に従う、プラスチック部品のプラズマ処理及びコーティング方法のフローチャートが提供される。プラスチック部品は外側表面及び内側表面を有する。外側表面の少なくとも一部はコーティングによって装飾される。ルーチンは、ステップ220において、プラスチック部品を固定する工程を備える。プラスチック部品を固定する工程は、ステップ222において、プラスチック部品をその内側表面に噛み合う取付具上に載置する工程を含む。プラスチック部品は、ステップ224において、取付具とプラスチック部品の両方に設けられた複数の位置決め機構を介して、取付具に対して位置決めされる。プラスチック部品は、ステップ226において、複数の互いに離間配置された支持部材を含む取付具を介して支持される。各々の支持部材は、プラスチック部品の内側表面の支持部材に近接する部分に合致するように構成される。プラスチック部品は、ステップ228において、取付具に設けられた複数の互いに離間配置された保持装置によって保持される。取付具は、外側表面の所望の部位を特定の公差内に配設すべく、プラスチック部品を位置決めし、支持し、そして保持する。
【0064】
ルーチンは、ステップ240において、処理済の表面が約38乃至72X10-3N/mの範囲内の界面エネルギーを持つように、外側表面の少なくとも一部をプラズマ処理する工程を更に備える。プラズマ処理工程は、ステップ242において、APAPノズルによって部品の一部にプラズマ・ジェットを誘導する工程を含む。APAPノズルは、選択された部位から約2乃至20mm(ミリメートル)離れて配設される。プラズマ・ジェットは、外側表面上に単一の官能基化ポリマー領域を生成する。APAPノズルは、ステップ244において、外側表面に対するノズルの複数回の通過で生成される複数の官能基化ポリマー領域によって、官能基化ポリマー層を生成するために、約50乃至600mm毎秒の範囲の速度にて、所定の経路に沿って外側表面に対して移動される。官能基化ポリマー層は少なくとも選択された部位を覆う。
【0065】
ルーチンは、ステップ250において、選択された部位に対してコーティングを塗布する工程を更に備える。コーティングは、約33乃至67X10-3N/mの範囲のコーティングの界面エネルギーを備える。コーティングはその後、ステップ260において、硬化される。
【0066】
実施形態の少なくとも一つにおいて、プラスチック部品は、38X10-3N/mより小さい初期界面エネルギー(すなわち、プラズマ処理済の界面エネルギーよりも小さい)を備える。他の実施形態の少なくとも一つにおいて、APAPノズルは、外側表面から約5乃至15mm離れて配設されて、APAPノズル及び外側表面は、約250乃至350mm毎秒の範囲の速度にて、相対移動する。
【0067】
本発明の実施形態を示して記述してきたが、これらの実施形態は、本発明の実行可能な形態の全てを示し、そして記述することを意図したものではない。明細書中で使用される単語は、限定というよりも寧ろ説明するためのものであり、本明細書の技術思想と範囲から逸脱することなく、種々の変更がなされ得ることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】プラスチック部品のプラズマ処理のための装置の斜視図である。
【図2】プラズマ処理装置のための取付具及びトラニオンの斜視図である。
【図3】プラズマ処理のためのプラスチック部品及びトラニオンを備えた取付具の斜視図である。
【図4】プラスチック部品のプラズマ処理のための装置の斜視図である。
【図5】プラスチック部品のプラズマ処理のための装置の側面図である。
【図6】プラスチック部品のプラズマ処理のための装置の平面図である。
【図7】プラスチック部品のプラズマ処理のための装置の平面図である。
【図8】本発明の実施形態に従った、プラスチック部品のプラズマ処理及びコーティングのためのフローチャートである。
【図9】本発明の別の実施形態に従った、プラスチック部品のプラズマ処理及びコーティングのためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
10 プラスチック部品
12 外側表面
14 内側表面
16 取付具
20 大気圧プラズマ・ノズル
22 プラズマ・ジェット
30 ロボット
32 位置センサー
40 支持構造体
42 位置決め機構
44 保持装置
46 支持部材
48 接触表面
60、84 主トラニオン
64、86 主軸
70 力センサー
72 部品存在センサー
80 副トラニオン
82 副軸
100、102 レール・ガントリ組立体
200、220 プラスチック部品を固定する工程
202、240 プラズマ処理する工程
204、242 プラズマ・ジェットを誘導する工程
206、244 ノズル及び表面を移動させる工程
208、250 コーティングを塗布する工程
210、260 コーティングを硬化処理する工程
222 載置工程
224 位置決め工程
226 支持工程
228 保持工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側表面及び内側表面を有するプラスチック部品をプラズマ処理するための装置であって、
少なくとも一つの取付具、及び、
上記外側表面に対して所定の経路に沿って移動する少なくとも一つの大気圧プラズマ・ノズルを備え、
上記少なくとも一つの取付具が、
上記プラスチック部品を支持する支持構造体、
上記支持構造体に設けられ、上記取付具に対して上記プラスチック部品を位置決めする複数の位置決め機構、及び、
上記支持構造体に設けられ、上記取付具に上記プラスチック部品を保持する複数の保持装置、を含み、
上記支持構造体、上記位置決め機構及び保持装置が、協働して上記外側表面の少なくとも一部を特定の公差内にて配設するように構成され、そして、
上記大気圧プラズマ・ノズルが、上記外側表面の一部を覆う官能基を持つポリマー層を生成するために、上記外側表面の一部にプラズマ・ジェットを誘導する装置。
【請求項2】
上記支持構造体は、近傍の上記内側表面の一部に合致するように構成される接触表面を各々が有する、複数の互いに離間配置されたた支持部材を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記ノズルは、上記外側表面の一部から2乃至20ミリメートル離間して配設される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
上記プラズマ・ジェット近傍にある上記外側表面に応じ、上記ノズルとの間で位置情報を通信する少なくとも一つの位置センサーを更に備える、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の装置。
【請求項5】
上記ノズル及び上記外側表面は、50乃至600ミリメートル毎秒の範囲の速度で相対移動する、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の装置。
【請求項6】
上記特定の公差は、プラス/マイナス5ミリメートルの範囲である、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の装置。
【請求項7】
上記取付具は移動可能であって、上記外側表面の一部は、上記取付具の移動の間、実質的に上記特定の公差内に保持される、請求項1乃至6のいずれか一つに記載の装置。
【請求項8】
上記外側表面に対して上記所定の経路に沿って、上記ノズルを配設して移動するロボットを更に備える、請求項1乃至7のいずれか一つに記載の装置。
【請求項9】
上記ノズルを、上記所定の経路に沿って上記外側表面に対して配設し移動するレール・ガントリ組立体を更に備える、請求項1乃至7のいずれか一つに記載の装置。
【請求項10】
少なくとも一つの取付具が連結される少なくとも一つの主トラニオンを更に備え、上記主トラニオンは主軸周りに回転し、上記ノズルは、上記主トラニオンと協働して、上記外側表面に対して上記所定の経路に沿って移動する、請求項1乃至8のいずれか一つに記載の装置。
【請求項11】
載荷位置とプラズマ処理位置との間で副軸周りに回転する副トラニオンを更に備え、上記主トラニオンは上記副トラニオンに対して回転可能に連結され、上記載荷位置においては上記プラスチック部品が上記取付具上に配設され、上記プラズマ処理位置において上記外側表面に官能基を持つポリマー層が生成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
上記取付具は、上記支持構造体に配置される複数の力センサーを更に含み、上記力センサーの各々は、上記プラスチック部品が上記取付具上に配設されるのに応答して信号を送信し、上記保持装置の少なくとも一つは、上記信号に応じて、上記プラスチック部品を自動的に保持する、請求項1乃至11のいずれか一つに記載の装置。
【請求項13】
上記保持装置は、真空源と接続された吸着カップである、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
上記取付具は、上記支持構造体に配置され、上記プラスチック部品が上記取付具上に配設されるのに応答して信号を送信する部品存在センサーを更に含み、上記ノズルは、上記信号に応じて上記プラズマ・ジェットを誘導する、請求項1乃至13のいずれか一つに記載の装置。
【請求項15】
外側表面及び内側表面を有するプラスチック部品をプラズマ処理するための装置であって、
少なくとも一つの移動可能な取付具、及び、
上記外側表面の一部から2乃至20ミリメートル離間して配設され、上記外側表面に対して所定経路に沿って、50乃至600ミリメートル毎秒の範囲の速度にて移動する少なくとも一つの大気圧プラズマ・ノズルを備え、
上記少なくとも一つの移動可能な取付具が、
近傍の上記内側表面の一部に合致するように構成される接触表面を各々有する、複数の互いに離間配置された支持部材を含み、それによって上記プラスチック部品を支持する支持構造体、
上記支持構造体に設けられ、上記取付具に対して上記プラスチック部品を位置決めする複数の位置決め機構、及び、
上記支持構造体に設けられ、上記取付具に対して上記プラスチック部品を保持する複数の保持装置、を含み、
上記支持構造体、上記位置決め機構及び保持装置が、協働して上記外側表面の少なくとも一部を特定の公差内にて配設するように構成され、そして、
上記大気圧プラズマ・ノズルが、上記外側表面の一部を覆う官能基を持つポリマー層を生成するために、プラズマ・ジェットを上記外側表面の一部に誘導するように構成された、
装置。
【請求項16】
上記特定の公差は、プラス/マイナス5ミリメートルの範囲内である、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
上記プラズマ・ジェット近傍の上記外側表面に対応し、そして、上記ノズルとの間で位置情報を通信する、少なくとも一つの位置センサーを更に備え、上記取付具は、上記支持構造体に配置される複数の力センサーを更に含み、上記力センサーの各々は、上記プラスチック部品が上記取付具上に配設されるのに応答して信号を送信し、上記保持装置の少なくとも一つは、上記信号の各々に応じて、上記プラスチック部品を自動的に保持する、請求項15又は16に記載の装置。
【請求項18】
少なくとも一つの取付具が連結される少なくとも一つの主トラニオンを更に備え、上記主トラニオンは主軸の周りに回転し、上記ノズルは、上記主トラニオンと協働して、上記外側表面に対して上記所定の経路に沿って移動する、請求項15乃至17のいずれか一つに記載の装置。
【請求項19】
載荷位置とプラズマ処理位置との間で副軸の周りに回転する副トラニオンを更に備え、上記主トラニオンは上記副トラリニオンに対して回転可能に連結され、上記載荷位置においては上記プラスチック部品が上記取付具上に配設され、上記処理位置においては上記外側表面に上記官能基を持つポリマー層が生成される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
上記外側表面に対して上記所定の経路に沿って、上記ノズルを配設して移動するロボットを更に備える、請求項15乃至19のいずれか一つに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−150602(P2008−150602A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320148(P2007−320148)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(503136222)フォード グローバル テクノロジーズ、リミテッド ライアビリティ カンパニー (236)
【Fターム(参考)】