説明

プラズマ処理装置および方法

間隔を空けた電極の間に交流電圧を印加することにより、プラズマ処理したガス透過性素材を作成する。電極の少なくとも1つは誘電バリアで覆われ、また、電極の少なくとも1つは、複数の分離型電極セグメントを有する。もって間隔を空けた電極の間にプラズママイクロ放電を発生させる。ガス透過性素材は、間隔を空けた電極の間またはその近隣を通される。ガスは電極セグメントの間を通り、電極間の空間を通り抜けて、ガス透過性素材を通り抜ける。ガスは、各電極セグメントのプラズマ発生面上を流れる。その速さは、間隔を空けた電極の間を流れるガス流が乱流化してプラズママイクロ放電をランダム化し、かつ、ガス透過性素材内において燃焼につながる不安定性を引き起こしかねないプラズマ生成物を分散させる速さである。このランダム化されたプラズママイクロ放電によっておしなべて均一なプラズマ処理をガス透過性素材に施すことができる。また、この処理方法を展開するための装置を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス透過性素材、例えば繊維性素材のプラズマ処理のための装置および方法に関する。本発明は、特に毛織物(ウール)に対する用途に有用である。
【背景技術】
【0002】
素材を、プラズマ処理して表面改質することは広く利用されている。この処理は一般に、素材の表面に均質に施された場合に有益である。この処理が毛織物繊維(wool fibres)に用いられる場合、繊維の表面の脂質層(lipid layer)を酸化することに用いられる。脂質層を酸化させることで、毛織物繊維に対するその後の表面処理、例えば防縮処理およびピリング防止処理に対する受容性を向上させることができる。
【0003】
また、脂質層の除去によって、繊維間の摩擦性を高めることができる。これは、糸をつくる時に求められるよじれが少ない場合、糸の製造過程にとって有益である。よじれの程度が低ければ低い程、糸をより高速で製造することが可能となり、下流における処理過程を高速で稼働させることができるようになり、よって生産量を増加させることができる。さらに、よじれの度合いの低い糸は、よじれの度合いの高い糸に較べて柔らかな手触りを示す。そのため、よじれの度合いの高い糸で作成した衣料品に較べて商業的により好ましい柔軟な衣料品を作れる点において、よじれの度合いの低い糸を使用することは有利である。
【0004】
毛織物およびその他の繊維性素材に対するプラズマ処理は、均質な表面処理として施されることで生産ラインの下流における処理過程の受容性を確実なものにする。素材の表面に対して均質な処理がなされなければ、下流における処理過程は意図したような効果を示さず、粗悪品が作り出されることになる。
【0005】
プラズマ処理に関する別の態様では、毛織物およびその他の繊維性素材は、プラズマ処理の際に部分的に燃焼することがよくある。このこともまた、生産ラインにおいて間断のない素材の供給を要する場合には、非常に好ましくないことである。それ故、プラズマ処理を最適なものとすることで処理される素材の局所的燃焼の発生を最小限に留める必要がある。
【0006】
現在、素材を処理するためのプラズマを発生させる技術においては、印加電圧およびその周波数を調整することで安定した均質なプラズマを発生させている。これらのプラズマは通常、大気圧よりも低いかまたは高いガス圧中で発生される。ごく最近、大気圧下プラズマ処理で進展があり、その処理手法では、高価な希ガスを用いることで素材の表面処理に適した均一なグローにプラズマを安定化させる手法が含まれる。大気圧よりも高圧下もしくは低圧下でのプラズマ処理ならびに希ガスを備えるプラズマ処理にかかる費用は、経済性の面で実現性に乏しい。従い、我々の興味は空気中における大気圧下でのプラズマ処理に収斂する。
【0007】
ロスら(Roth et al.)は、特許文献1において、ヘリウムおよび/または空気の絶縁破壊により発生したイオンが電極間にトラップされている場合、均一なグロー放電プラズマが1気圧下で発生することを記している。ロスは、イオンのトラップ(イオン・トラッピング)によってプラズマ中のイオンの寿命が増加し、それによって絶縁破壊のスレッショルドが下がり、均一なグロー放電が実現されることを示している。レール・リクイド(L'Air Liquide)に譲渡されたゲラルディら(Gherardi et al.)に対する特許の明細書(特許文献2)においても、同様の理論について肯定的に論ぜられている。ロスらによれば、このようなトラッピングは、間隔を置いた電極間に無線周波数(radio frequency)の交流電場を与えることで可能となる。ロスらは、このイオン・トラッピングが生じるような、電極間隔と、電極電圧と、与えた周波数との間の関係性を提示する。
【0008】
特許文献3は、大気圧下におけるプラズマ処理を開示する。ここでは、対称性に関する長手軸に対して勾配を有するガス流を導入することで、細長い放電電極に渡りマイクロ放電(microdischarge)の空間的に均質な分布が実現されている。相対的に複雑な構造には、ガス配給チャンバからの複数のチャネルが含まれている。
【0009】
特許文献4は、ほぼ大気圧下での高分子ストリップのためのプラズマ処理ステーションが開示される。しかし、ここでは、圧は、僅かに大気圧よりも高圧であることが望まれる。そのような圧力下において、ガスは、極めて接近して配された平面電極対の一方の開口部のアレイから吹き出される。乱れを含んだ高速流によるガス配給によってフィラメント放電の形成を遅らせ、抑止する。
【特許文献1】米国特許第5,403,453号明細書
【特許文献2】米国特許第6,299,948号明細書
【特許文献3】国際公開第02/094455号パンフレット
【特許文献4】米国特許第5,895,558号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ガス透過性素材に用いるための、改善されたプラズマ処理技術の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の発明者は、標準気圧プラズマにおける均一性の悪さは、先のサイクルにおけるプラズマ生成から残存するイオンが絶縁破壊をそれらイオンに集中させる、つまり同一ポイントに集中させることに起因すると考えている。標準的な誘電バリア放電プラズマは、複数のマイクロ放電を含む。マイクロ放電のそれぞれは、数ナノ秒の期間を有する。プラズマは、電極間に印加された高交流電圧により駆動される。交流電圧プラズマの半サイクルのそれぞれにおいて、マイクロ放電のバーストが生じる。マイクロ放電のそれぞれで生じたイオンは、通常は容易に分散されず、環境ガスと比較すれば低い電気抵抗性有するために同じ場所で反復的にマイクロ放電(microdischarge)を発生させる。このことが処理の均一性の悪さを招来し、プラズマによる有用な化学種の生成に利用可能なあらゆるガスの使用を失敗させている。
【0012】
また、マイクロ放電の局在化によって、高温度化を示す不安定性がプラズマ内部において発生する確率が高くなる。これにより、処理すべき素材が燃焼する。これは、プラズマによって素材の表面から特定の化学物質が局所的に放出されることに起因すると思われる。このような場所では汚染物質が高濃度で存在する。このような化学物質の生成によりプラズマの性質は変化し、局所的なプラズマのエネルギの過度の吸収が発生し、温度が急激に上昇する。マイクロ放電の局在化は2つの結果をもたらすと考えられている。先ず、電極に対して静止した状態のイオンが電極間のマイクロ放電の局在化を引き起こし、表面処理が不均一で実効性の低いものとなる。次に、電極に対して運動するガス透過性素材内におけるイオンおよびプラズマ材料の副生成物のトラップによって素材に対するプラズマの局在化が生じて素材の燃焼が起こる。
【0013】
さらに、プラズママイクロ放電の局在化によってプラズマの発生に利用可能なガス量全てを使用できず、素材の表面化学(界面化学)の改質に資する活性種の濃度は限られる。
【0014】
しかして、本発明はガス透過性素材に強力なガス流を送ることにより、交流電圧のサイクル(周期)の間に電極間もしくはガス透過性素材内からイオンならびに好ましくない化学物質を分散もしくは移動させ、局在化したプラズママイクロ放電の形成を抑止する。よって、本発明は、ロスの理論が定めるパラメータに含まれないような電圧、周波数、および、電極の分離の度合いで、均一でありかつ効果的なプラズマ処理を提供する。ロスおよびその他の者が主張するような均一なグロー放電を発生させるのではなく、本発明は、フィラメント状でありかつランダムな誘電バリア放電プラズマを用い、処理すべき素材を燃焼させることなく効果的な均一なプラズマ表面処理を提供する。
【0015】
本発明は、その第1の態様においては、プラズマ処理したガス透過性素材を作成する方法であって、
(a)離隔した電極間に交流電圧を印加し、その離隔した電極間にプラズママイクロ放電を発生させるステップであって、その電極の少なくとも1つが誘電バリアに覆われ、その電極の少なくとも1つが複数の分離型電極セグメントを含む、ステップと、
(b)ガス透過性素材を、前記の離隔した電極の間または近傍を通過させるステップと、
(c)前記の電力セグメント間にあるガスを、電極の間隙を通りかつガス透過性素材を通り抜けるように移動させるステップであって、もってガスは電極セグメントのプラズマ生成界面に行き渡り、そのガス流は、離隔した電極間において流れが乱流となるような速度で流されて、よってプラズママイクロ放電をランダム化し、ガス透過性素材内において燃焼につながる不安定性を生じさせるプラズマ生成物を分散させる、ステップとを含み、
ランダム化されたプラズママイクロ放電によって均質なプラズマ処理がガス透過性素材に施させる方法である。
【0016】
当然のことだが、ガスを電極間の空隙に通すことにより、電極に対して静止した状態に留まっているイオンは分散および/または移動される。さらに、ガス透過性素材に捕らえられているイオンも素材を通って流れるガスによって分散および/または移動される。よって、次に発生するプラズママイクロ放電は前に発生したプラズママイクロ放電と同一のポイントで繰り返し発生しない。しかして、ランダム化されたプラズママイクロ放電は、ガス透過性素材の表面を処理するのに適した、時間平均的に均一なプラズマを発生させる。従って、本方法で処理したガス透過性素材は、より良い表面特性の均質性を備え、また、局在化したプラズママイクロ放電によって燃焼することも少なくなる。
【0017】
好適な実施形態においては、ガスは、ガス透過性素材が離隔した電極の間を通過する方向と直角な方向に運動する。
【0018】
特に好適な実施形態においては、運動しているガス中に含まれ、プラズママイクロ放電の局在化を引き起こすプラズマ副生成物の分散および/または移動が可能となるような周波数の交流電圧を印加することにより、本方法はさらに容易なものとなる。いかなる周波数も、用いることが可能ではあるが、1ないし20kHzの範囲の周波数が一般的に用いられ、特に1ないし5kHzの範囲の周波数が好ましい。
【0019】
別の便益としては、運動するガスは、イオンのみならず、O3(オゾン)やNO2(二酸化窒素)といった有害なプラズマ副生成物をも移動させる点がある。
【0020】
本方法で用いるガスは、例えば希ガスまたは素材に対して不活性なガスのような、プラズマを発生させる絶縁破壊に適したガスであれば何でも良いが、空気が好ましい。また、本方法で用いるガスは大気圧よりも高いまたは低いガス圧でよい。またガス圧が大気圧であることも好都合である。
【0021】
離隔した電極に印加される電圧は、通例、10ないし25kVである。
【0022】
本発明の第1の態様によれば、本発明はさらに、ガス透過性素材のプラズマ処理のための装置を提供し、その装置は、
(a)離隔した電極であって、その電極の少なくとも1つが誘電バリアで覆われ、またその電極の少なくとも1つが複数の分離型電極セグメントを備えた、離隔した電極と、
(b)前記の離隔した電極間に交流電圧を印加し、前記の離隔した電極間にプラズママイクロ放電を発生させる、電圧印加手段と、
(c)ガス透過性素材を、前記の離隔した電極の間または近傍を通過させる手段と、
(d)前記の電極セグメント間にあるガスを、電極の間隙を通りかつガス透過性素材を通り抜けるように移動させるガス移動手段であって、もってガスは電極セグメントのプラズマ生成界面に行き渡り、ここで、ガスの流れの速さは、離隔した電極間において流れが乱流となるような速度で流されて、プラズママイクロ放電をランダム化し、ガス透過性素材内において燃焼につながる不安定を生じさせるプラズマ生成物を分散させるような速さである、ガス移動手段とを有し、
ランダム化されたプラズママイクロ放電によって概ね均一なプラズマ処理をガス透過性素材に施させる装置である。
【0023】
電圧印加手段は、ガス中に含まれ、プラズママイクロ放電の局在化を引き起こすプラズマ副生成物を分散および/または移動させることができる周波数の電圧を電極に印加することが望ましい。周波数は任意であるが、1ないし20kHzであってよく、さらには1ないし5kHzであることが好ましい。
【0024】
電極の間隔は、素材に電極間を相対運動させることができ、なおかつプラズマの生成に要する電力を最小限にとどめることができるものであることが好都合である。電極の間隔は、2ないし10mmが好ましく、さらにはおよそ4mmであることが望ましい。
【0025】
好適な実施形態において、離隔した電極の形状は、その離隔した電極の間を通されるガス透過性素材の通過方向と垂直な方向にガスがその素材を通り抜けて運動可能な形状であることが好ましい。
【0026】
離隔した電極の1つはガス透過性であることが好ましく、とくにメッシュ状であることが望ましい。
【0027】
近接する分離型電極セグメントの間隔は、およそ0.5ないし2mmであることが好ましい。
【0028】
ガス透過性素材を、離隔した電極の間または近傍を通過させる手段は、回転可能ドラム(回転式ドラム)でよい。この回転可能ドラムの曲面は、第1電極を備える。第2電極は分離型電極セグメントを含み、この分離型電極セグメントはドラムと同心円状に配される。ガス透過性素材は第1および第2電極間、第1電極上に乗せられる。
【0029】
いずれの態様においても、本発明に係る装置は、例えば毛織物(ウール)や特にウール・スライバといった繊維性素材およびテキスタイルの処理に特に適している。
【0030】
本発明は、その第2の態様において、プラズマ生成可能な電極であって、
(a)導電性要素と、
(b)導電性要素まわりの誘電性シースと、
(c)導電性要素および誘電性シースの両方と接する液状導電性媒体とを有し、その液状媒体が誘電性シースとの均一な接触部を形成する電極である。
【0031】
この液状媒体は、導電性要素と誘電性シースとの間に配されることが好ましい。誘電性シースは、実質的に、導電性要素の周囲を囲むかまたは取り囲むことが好ましく、そうすることで、例えば、導電性要素が電極のコアを形成する。
【0032】
液状媒体と誘電性シースとの間の均一な接触部により、誘電性シースの表面に対し一様な電流が確実に供給される。これにより、電極間のガスのランダムな絶縁破壊が容易となり、なおさらに均一なプラズマが生じる。また、これにより電極構造に含まれる尖ったポイントにおける電場の集中が回避される。この尖った構造とは、絶縁破壊の確率を高める構造である。このことは、薄い誘電性媒体を用いた場合に特に重要な事柄である。この薄い誘電性媒体は、プラズマと電気エネルギとの結合の効率を最大限に高める上で好ましいものである。また、液状導電体は電極内の熱を均一に分布させる役割を有し、それによって熱応力を最小限にとどめる。
【0033】
液状導電体は透明なことが好ましい。よってプラズマを観察および/または光学的に測定することが可能となる。このことは従来の電極では不可能であった。
【0034】
液状媒体は、制御可能に可変的な、その組成に依存した電気伝導性を有することが好ましい。
【0035】
本発明の第2の態様における電極は、任意の形状を有してよいが、細長いことが好ましい。また、円筒形であることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。添付の図面は、例示を目的としてのみ、参照される。
【0037】
先ず、図1および図2を参照すると、プラズマ処理装置30は、第1電極を備える中空回転ドラム40を有する。第1電極はメッシュ状電極60の形状を有しドラム40の外側曲面上に形成される。さらに装置30は、第2電極を有する。第2電極は、棒状電極70の形状を有しメッシュ状電極60に対し径方向外側に間隔を置いて配される。
【0038】
メッシュ状電極60は、粗いメッシュ62を有する。粗いメッシュ62は、その上にある細かいメッシュ64の層を支持する。細かいメッシュ64は、粗いメッシュ62とは対照的に、プラズマ形成可能位置の巨大な配列を形成する。粗いメッシュ62のようにプラズマ形成可能位置の数が少ないと、通例、プラズママイクロ放電の局在化を引き起こすことになる。
【0039】
図1および図3に示すように、ドラム40は、管状コア44および楔状バッフル42を有する。楔状バッフル42は、コアからドラム40外周部に延在する。コア44は、ドラム40内に延在し、開口部46を有する。開口部46は、ドラム40の中空部からコア44内部へのガス流を可能とする。コア44は、導管48により吸引手段50に取付けられる。吸引手段50は、産業用送風装置である。さらに、モータ52は、ホイール54を駆動する。ホイール54は、ドラム40を駆動可能に係合し、ドラム40の棒状電極70に対する回転運動を可能にしている。
【0040】
ガス透過性素材が、本例においてはウール・スライバ56が、ローラ58越しに供給源から装置30へ供給される。ウール56は、メッシュ状電極60と棒状電極70との間の間隙を通る。ここでウール56にプラズマ処理が施される。処理されたウール56はその後、間隙を出てローラ58’を超え、下流の加工処理設備へ送られる。
【0041】
素材に対するプラズマ処理の適切さは、素材のプラズマ内滞留時間に依存する。しかしながら、棒状電極70がドラム40の表面を0.8ないし1mに渡って覆い、ドラム40は、ウール・スライバ56が装置30内をおよそ毎分20mの速さで動くように回転する場合、本装置30を用いたプラズマ処理は適切に実施される。
【0042】
実施中は、吸引手段50がガスを吸引する。ガスは環境大気圧であることが好ましい。ガスは、棒状電極70の間を通り、棒状電極70とメッシュ状電極60との間の間隙を通り抜け、メッシュ状電極60を通ってドラム40の中空部に達し、そして開口部46を介して管状コア44に至る。代替として希ガスのようなガスを用いてもよい。ガス圧は環境大気圧が好ましいが、環境大気圧よりも高いまたは低いガス圧であってもよい。棒状電極70とメッシュ状電極60との間の気流に関するより具体的な詳細については後でさらに議論することにする。
【0043】
ウール56がメッシュ状電極60と接触するようになると、ドラム40の中空部への気流は、ウール56とメッシュ状電極60との接触を保持する作用を示す。このような方法により、ウール60またはその他類似のガス透過性素材は、棒状電極70に対する相対的な移動の際にウール56がバンチング(bunching)やフォールディング(巻き付き)(folding)を起こすことなくメッシュ状電極60上に保持される。バッフル42は、ウール56のメッシュ状電極60との接触状態からの解放を容易にする。なぜなら、バッフル42に近接するメッシュ状電極60のセグメントを通り抜ける空気はないためである。そのセグメントにおいてはメッシュ状電極60を通り抜ける空気がないおかげで、ウール56をメッシュ状電極60との接触から解放される。
【0044】
申し分のないプラズマ処理を素材に対して施すには、メッシュ状電極60と棒状電極70との間に10kVないし20kVの電圧を印加すればよい。このときの周波数は任意であるが、1ないし5kHzの範囲であることが好ましい。メッシュ状電極60が接地される場合、電源85が、適当なバスバーから延びるケーブル82を介して棒状電極70に交流電圧を印加する。
【0045】
図2に示すように、気流A、B、およびCは、矢印Mで示すウール56の運動方向に対し垂直である。このような方法で、ガスは、メッシュ状電極60と棒状電極70との間の間隙およびウール56を通り抜け、ドラム40の中空部へ向かう運動をする。プラズマが発生していない領域を通過する際に素材を通り抜ける気流は、素材に対して相対的に静止した状態に留まっているイオンや望ましくない化学物質といったプラズマ生成物を分散または移動させる作用があり、それによって燃焼につながる不安定性が伝播することを抑止する。別の実施形態においては、ガスの流れは、メッシュ状電極60と棒状電極70との間の間隙を通り、矢印Mで示すウールの運動方向と平行(parallel)または逆平行(anti-parallel)な方向にウール56内を通り抜けてもよい。
【0046】
棒状電極70同士は、距離Sの間隔を有する。これによって、流入するガスAは、メッシュ状電極60に近接して対向する棒状電極70のプラズマ発生面上で、矢印Bとして示すように乱流になる。距離Sがあまりに大きい場合、流入空気Aは、棒状電極70の表面上方を、間隙を置いて隣接した棒状電極70からメッシュ状電極60へ弱い気流としてとてもゆっくりとかつ真っ直ぐに流れる。しかしながら、距離Sがあまりに小さい場合、吸引手段50にかかる負荷が増大する。そのため、残存するイオンを移動させかつプラズママイクロ放電をランダム化させる気流の速さを実現するために、さらに強力な吸引手段50が必要になる。距離Sが0.5ないし2mmである棒状電極70は、メッシュ状電極60に近接する棒状電極70表面において、容認可能であって成功し得る乱流と流速を確保しうることを出願人は見出している。
【0047】
棒状電極70は、メッシュ状電極60との間をウール56が移動可能であってかつプラズママイクロ放電を発生させるのに必要な電力を最小限にするようなメッシュ状電極60との間隔で配されることが好ましい。装置30でウール・スライバ56を用いる場合、棒状電極70は、メッシュ状電極60とおよそ4mmの間隔を置いて配される。しかしながら、この距離は装置にセットされるガス透過性素材によって変化する。この距離は、1ないし10mmの範囲であることが好ましい。
【0048】
メッシュ状電極60と棒状電極70との間を通る空気によって以前のプラズマ発生サイクルから残存するイオンは分散および/または移動せられ、次のプラズママイクロ放電は、残存するイオンの存在位置で繰り返し発生せずに、棒状電極70とメッシュ状電極60との間のランダムな位置で発生する。電極に対して静止して留まっているイオンを分散および/または移動させることによって、プラズママイクロ放電をランダム化可能となり、ひいては、ウール56を処理するための、概してランダムなプラズマが実現される。さらに、ウール56を通る高速な気流によって、ウール56に捕らわれたイオンやその他のプラズマ生成物を分散および/または移動させることができ、そうすることによってウール56に対して局在化した低強度ホットプラズマによるウール56の燃焼を免れている。燃焼につながる不安定(burning instability)を回避することによって、より強力な出力密度(power density)を用いることができ、より高い処理レベルまたはより所与の処理される長さおよび/または供給のスピードをより高速にすることができる。
【0049】
ガスを運動させることによるその他の便益として、(i)乱れによるガスの混合により利用可能なガスをさらに使用することによって、短命なウール56の表面処理を行う活性種を高濃度化することを可能とし、(ii)プラズマによる活性種の生成のための新鮮な空気を供給することによって、ウール56のプラズマ処理を改善し、さらに、(iii)O3、NO2およびその他のヒューム(fume)といった有害なプラズマ副生成物を移動させることが含まれる。
【0050】
例えば、電極間隔Sを2mmとした場合、棒状電極70間の気流の速さは、1.8m/sを超えることが望ましい。一般に、気流の最小速度は、様々なパラメータ間の相互作用に依存している。様々なパラメータには、例えば、電力(パワー)、電圧、および周波数、ならびに処理する素材、が含まれる。
【0051】
図4に示すように、各棒状電極70は、導電性コア72を有する。導電性コア72は、例えば銅のような金属導電体で形成することが好ましい。誘電性シースは、本例においてはガラスチューブ76として形成されている。誘電性シースは、コア72の周りを囲んでいる。導電性媒体74はコア72をガラスチューブ76から隔離する。この導電体とガラスとの間の間隙に充填される物質は、導電性であっても絶縁性であってもよいが、導電性を有する方がより好ましく、それによって誘電バリアの厚さを最少化して電極の均一性を最大化する。
【0052】
本発明にかかる第2の態様の実施形態においては、媒体74は、液状導電性媒体74である。この液状導電性媒体74は、水、またはその他の適当な導電性液体を含む。
【0053】
この液状導電性媒体74は、例えば水の場合、ガラスチューブ76の内側表面の形状を形成し、ガラスチューブの内側表面全体にわたって均一でありかつ密な接触部を形成する。この接触部の均一性によって、ガラスチューブにおけるさらに均一な電流の分布とそれによる電荷の分布が確保される。このような均一な電流の分布は、素材に対するさらに均一なプラズマ処理をもたらす。液体74と誘電体77との間の密な接触によって、導電体と誘電体との間の接触部に最大限の滑らかさがもたらされ、誘電性物質の絶縁破壊が生じ得るような電場の局所的な集中が低減される。また、液状導電体は、より均一に熱を散逸させ、ガラスまたはセラミック製の電極内に生じる熱応力を低減する。図示しないが、空気間隙(air space)を適当な位置に設けることによって、温度変化による液体の膨張および収縮に対応してもよい。また、液状導電体の使用は、その他の方法によって実現可能なものよりもさらに複雑な形状を有する、誘電体に覆われた電極の使用を容易にする。何らかの手段を用いて誘電性物質を、例えばコイル状のガラスチューブといった複雑な構成体に成形し、それから液状導電体を容易に充填することができる。
【0054】
液状導電体は、透明であることも好ましい。その場合、従来の電極では不可能だったプラズマの観察および/または光学的測定が可能となる。
【0055】
液状媒体は、制御可能な組成依存の電気伝導性を有することが好ましい。例えば、液体に選択的な添加物を添加することで電気伝導性を制御する。制御した導電性を利用することで、時間的スケールに関して電極領域における瞬間的な電気エネルギ密度の局在化を防止することができる。この局在化は、損傷につながる不安定性(damaging instabilities)を引き起こすことがある。
【0056】
導電性媒体74は、(図示しない)栓によりチューブ76内に保持される。その栓を通ってコア72の露出端部が突出している。このコア72の端部はワイヤ82により電力源と接続され、棒状電極70に交流電圧を供給する。
【0057】
図4は、棒状電極70の構成の一例を示す図である。棒状電極70は壁部90の開口部に設置される。この壁部はドラム40から径方向外側に向かって延びる。シール80は、ワイヤ82により電力源と接続するコア72の露出端部75を、壁部90の反対側に位置するメッシュ状電極60とのアーク放電から電気的に絶縁する。この構成は、メッシュ状電極60を接地させながら、同一の交流電圧を棒状電極70に印加し、棒状電極70とメッシュ状電極60との間にプラズママイクロ放電を発生させるような場合に用いられる。
【0058】
図5は、別の構成例を示す図である。本図においては、棒状電極70は、交流電圧を印加した場合に隣接する棒状電極70が、逆の極性でありかつ同じ大きさの電位を有するように交互的に配置される。そして、スライバ56は、この間隙を置いた棒状電極70に沿ってその近隣を移動する。このようにして、棒状電極70とメッシュ状電極60間というよりむしろ、隣接する棒状電極70間でプラズママイクロ放電が発生する。よって、図4の構成と較べて交流電圧を半分にすることができる。つまり、+/−10kVで、同じ20kVの電位差を、隣接棒状電極70間に生成することができる。
【0059】
プラズマを発生させるための電気的励起は、電極60または70の一方を接地し、他方の電極70または60に対して常に変化する電圧を印加することによって与えることができる。あるいは、任意の周波数と電圧の組み合わせで電圧を両方の電極に対して同時的に印加し、所望のプラズマを発生させるのに適当な、両電極間で時間的に変化する電位差を与えてもよい。
【0060】
装置30に設ける安全対策機構の1つに、バッフルに近接する一対の窓がある。この窓を通じてウール56が、棒状電極70とメッシュ状電極60との間隙に出入する。この窓は、ウール56を通すことができるような寸法に形成される。しかしながら、窓のサイズおよび形状は、使用者の手や指を棒状電極とメッシュ状電極との間隙に挿入できないように設定され、そうすることにより使用者の感電死を防止する。
【0061】
さらに、装置30に別の安全対策機構を設けてもよい。この機構は、ロック可能ゲートである。このゲートはバッフル42に隣接したドラム40の弧部の反対の位置にある。このゲートは、論理スイッチを備えることが好ましい。この論理スイッチは、ゲートがロックされた場合のみ装置の運転を可能とする。そうすることによって、装置30が稼働中に使用者がドラム40に近づくことを未然に防ぐ。
【0062】
バッフル42がウール56のメッシュ状電極60からの解放を補助するにも拘わらず、ウール56の一部がくっ付いたままになって進み、棒状電極70とメッシュ状電極60との間のプラズマ処理用の間隙に再入場することが稀にある。このような場合、ウール56のくっ付いてしまった部分は、ウール56の新たに取り込まれた部分と重なる。両方を重ねた厚さは、棒状電極70とメッシュ状電極60との間隔を上回ることがあり、その結果、棒状電極70の損傷または破壊が生じる。この重なりを防止するため、ウール56のくっ付いてしまっている部分を感知した場合に装置30を停止させる光学的センサをバッフルに対向する位置に設ける。漂遊するウール繊維またはその他の塵片により装置が繰り返して停止することを防止するため、センサは、光学的な干渉を、0.25秒間を超えて受けた場合にのみ装置停止をトリガするようにプログラムされる。
【0063】
図6は、別の、ウール・スライバ・プラズマ処理装置100の図である。装置100は、回転ドラムに替えて、メッシュ状エンドレスベルト104でウール・スライバを運搬する。このメッシュ状エンドレスベルトは、電極を形成する。或いは、メッシュは、電気絶縁性材料から形成され、第2電極を形成する構造を覆うものであってもよい。棒状電極102は、メッシュ状ベルト104の上方に間隔を置いて配される。棒状電極102は、先述の実施形態に係る棒状電極70と同一の方法により形成される。電極102とメッシュ104との間の間隔、および、隣接する電極間同士の間隔は、先の実施形態において説明した気流の効果と同様の効果を備えるように設定される。メッシュを支持する構造体は、気流を、誘電体に覆われた棒状電極の周囲に優先的に向かわせるような形状を有することが望ましい。例えば、棒状電極の形態に類似した形態を備えつつ誘電体に覆われた棒状電極の真下に空間を設ける構成がある。吸引手段106は、Fなる印を付した矢印の示す方向へ向かう気流を発生させる。この気流は、スライバ56を通過し、かつスライバ56の移動方向とは直角な方向を有する。スライバ56を処理しつつ、このようにして、電極102とメッシュ104との間で発生したプラズマにより生成される活性種は、スライバ56から吸い出される。
【0064】
図5に示した交互的配置を有する電極70のアセンブリも同様に、装置100に用いてよい。この場合、プラズマは隣接する電極102間で発生する。また同様に、プラズマ生成物は、電極102の近隣を移動するスライバ56から、吸引手段106による直角方向の気流Fにより吸い出される。この構成ではスライバ56内における処理の程度の違いが生じる。つまり、スライバ56の上端の繊維は、スライバ内部下方にある繊維よりも強い表面処理を受ける。均一な繊維処理を望む場合、スライバを裏返してから2回目の装置通過を行うか、またはスライバを裏返してから第2の装置106を用いればよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係る好適な実施形態による、特にウール・スライバの処理に好適な、プラズマ処理装置の断面概略図である。
【図2】図1に示す装置の部分断面拡大図である。
【図3】第2電極を省略した図1に示す装置の斜視図である。
【図4】第2電極の部分断面斜視図である。
【図5】第2電極の別の構成例を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る別の実施形態による、プラズマ処理装置の断面図である。
【符号の説明】
【0066】
30 ・・・ プラズマ処理装置 40 ・・・ ドラム
42 ・・・ バッフル 44 ・・・ 管状コア
46 ・・・ 開口部 48 ・・・ 導管
50 ・・・ 吸引手段 52 ・・・ モータ
54 ・・・ ホイール 56 ・・・ ウール・スライバ
58 ・・・ ローラ 60 ・・・ メッシュ状電極
62 ・・・ 粗いメッシュ 64 ・・・ 細かいメッシュ
70 ・・・ 棒状電極 72 ・・・ 導電性コア
75 ・・・ 露出端部 76 ・・・ ガラスチューブ
80 ・・・ シール 82 ・・・ ワイヤ
85 ・・・ 電源 90 ・・・ 壁部
100 ・・・ プラズマ処理装置 102 ・・・ 棒状電極
104 ・・・ メッシュ状ベルト 106 ・・・ 吸引手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス透過性素材に対しプラズマ処理する装置であって、
(a)離隔した電極であって、前記電極の少なくとも1つは誘電バリアに覆われ、かつ、前記電極の少なくとも1つは複数の分離型電極セグメントを備える、前記離隔した電極と、
(b)前記離隔した電極間に交流電圧を印加し、前記離隔した電極間にプラズママイクロ放電を発生させる交流電圧印加手段と、
(c)前記ガス透過性素材を、前記離隔した電極の間または近傍を通過させる手段と、
(d)前記電極セグメント間にあるガスを、前記電極の間隙を通りかつ前記ガス透過性素材を通り抜けるように移動させるガス移動手段であって、もって前記ガスは前記電極セグメントのプラズマ生成界面を流され、ここで、前記ガスの流れの速さは、前記離隔した電極間において前記流れが乱流となり、よって前記プラズママイクロ放電をランダム化しかつ前記ガス透過性素材内において燃焼につながる不安定を生じさせるプラズマ生成物を分散させるような速さである、前記ガス移動手段とを有し、
前記ランダム化されたマイクロ放電によって概ね均一なプラズマ処理が前記ガス透過性素材に施されることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記離隔した電極に含まれる第1電極は、ガス透過性であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1電極は、メッシュ状電極であることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記メッシュ状電極は、粗いメッシュを備え、前記粗いメッシュは、その上方にある細かいメッシュの層を支持することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1電極は、回転ドラム電極の曲面であり、
第2電極は、前記電極セグメントを備え、
前記電極セグメントは、前記ドラムと同心円状に配され、
前記ガス透過性素材は、前記第1と第2電極との間において前記第1電極に乗ることができることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載の装置。
【請求項6】
前記ドラムは、中空の回転式ドラムであることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記電極セグメントの前記プラズマ生成界面は、前記離隔した電極の他方の電極と対向し、横方向に湾曲した細長い面であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
前記電極セグメントは、それぞれ、棒状電極であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
前記分離型電極セグメントの隣り合った電極セグメントは、およそ0.5mmないし2mmの間隔を有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の装置。
【請求項10】
前記交流電圧印加手段は、前記移動されるガス中に含まれ、前記プラズママイクロ放電の局在化を引き起こし得るプラズマ副生成物を分散および/または移動させることができる周波数で、前記電極に対し電圧を印加することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の装置。
【請求項11】
前記周波数は、1kHzないし20kHzの範囲に含まれることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記周波数は、1kHzないし5kHzの範囲に含まれることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記電極の間の間隔は、2mmないし10mmの範囲に含まれることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1つに記載の装置。
【請求項14】
前記離隔した電極は、前記ガス透過性素材を通り抜ける前記ガスを、前記離隔した電極間を通過する前記素材の移動方向と直角をなす方向に移動させることを可能な形状を有することを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1つに記載の装置。
【請求項15】
プラズマ処理したガス透過性素材を作成する方法であって、
(a)離隔した電極間に交流電圧を印加し前記離隔した電極間にプラズママイクロ放電を発生させるステップであって、ここで前記電極の少なくとも1つが誘電バリアに覆われ、かつ前記電極の少なくとも1つが複数の分離型電極セグメントを含む、ステップと、
(b)ガス透過性素材を、前記離隔した電極の間または近傍を通過させるステップと、
(c)前記電力セグメント間にあるガスを、前記電極の間隙を通りかつ前記ガス透過性素材を通り抜けるように移動させるステップであって、もって前記ガスは前記電極セグメントのプラズマ生成界面を流され、ここで、前記ガスの流れの速さは、前記離隔した電極間において前記流れが乱流となり、よって前記プラズママイクロ放電をランダム化しかつ前記ガス透過性素材内において燃焼につながる不安定を生じさせるプラズマ生成物を分散させるような速さである、ステップとを有し、
前記ランダム化されたマイクロ放電によって概ね均一なプラズマ処理が前記ガス透過性素材に施されることを特徴とする方法。
【請求項16】
前記ガスを、前記離隔した電極に含まれる第1電極を通って移動させるステップを含み、
前記第1電極は、ガス透過性であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記電極セグメントの前記プラズマ生成界面は、前記離隔した電極の他方の電極と対向し、横方向に湾曲した細長い面であることを特徴とする請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記電極セグメントは、それぞれ、棒状電極であることを特徴とする請求項15ないし17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
前記交流電圧は、前記移動されるガス中に含まれ、前記プラズママイクロ放電の局在化を引き起こし得るプラズマ副生成物を分散および/または移動させることができる周波数を有することを特徴とする請求項15ないし18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
前記周波数は、1kHzないし20kHzの範囲に含まれることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記周波数は、1kHzないし5kHzの範囲に含まれることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記ガスは、前記ガス透過性素材が前記離隔した電極間を通過する方向と直角な方向に前記ガス透過性素材を通り抜けて移動させられることを特徴とする請求項15ないし21のいずれか1つに記載の方法。
【請求項23】
前記ガスは、空気であることを特徴とする請求項15ないし22のいずれか1つに記載の方法。
【請求項24】
前記電極の間の間隙および前記ガス透過性素材を通り抜けるときの前記空気の空気圧は、実質的に大気圧であることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記離隔した電極に印加される前記電圧は、10kVないし25kVの範囲に含まれることを特徴とする請求項15ないし24のいずれか1つに記載の方法。
【請求項26】
前記ガス透過性素材は、繊維状素材であることを特徴とする請求項15ないし25のいずれか1つに記載の方法。
【請求項27】
前記繊維状素材は、ウールであることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記繊維状素材は、ウール・スライバであることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
プラズマ生成可能な電極であって、
(a)導電性要素と、
(b)前記導電性要素まわりの誘電性シースと、
(c)前記導電性要素および前記誘電性シースの両方と接する液状導電性媒体とを有し、前記液状媒体が前記誘電性シースとの均一な接触部を形成することを特徴とする電極。
【請求項30】
前記液状媒体は、前記導電性要素と前記誘電性シースとの間に配されることを特徴とする請求項29に記載の電極。
【請求項31】
前記誘電性シースは、実質的に、前記導電性要素の周囲を囲むかまたは取り囲み、前記導電性要素が前記電極のコアを形成していることを特徴とする請求項30に記載の電極。
【請求項32】
前記液状媒体は、透明であることを特徴とする請求項29ないし31のいずれか1つに記載の電極。
【請求項33】
前記液状媒体は、制御可能に可変的な、組成に依存した電気伝導性を有することを特徴とする請求項29ないし32のいずれか1つに記載の電極。
【請求項34】
前記電極は、細長く、概ね円筒形であることを特徴とする請求項29ないし33のいずれか1つに記載の電極。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス透過性素材に対しプラズマ処理する装置であって、
(a)離隔した電極であって、前記電極の少なくとも1つは誘電バリアに覆われ、かつ、前記電極の少なくとも1つは複数の分離型電極セグメントを備える、前記離隔した電極と、
(b)前記離隔した電極間に交流電圧を印加し、前記離隔した電極間にプラズママイクロ放電を発生させる交流電圧印加手段と、
(c)前記ガス透過性素材を、前記離隔した電極の間または近傍を通過させる手段と、
(d)前記電極セグメント間にあるガスを、前記電極の間隙を通りかつ前記ガス透過性素材を通り抜けるように移動させるガス移動手段であって、もって前記ガスは前記電極セグメントのプラズマ生成界面を流され、ここで、前記ガスの流れの速さは、前記離隔した電極間において前記流れが乱流となり、よって前記プラズママイクロ放電をランダム化しかつ前記ガス透過性素材内において燃焼につながる不安定を生じさせるプラズマ生成物を分散させるような速さである、前記ガス移動手段とを有し、
前記ランダム化されたマイクロ放電によって概ね均一なプラズマ処理が前記ガス透過性素材に施されることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記離隔した電極に含まれる第1電極は、ガス透過性であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1電極は、メッシュ状電極であることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記メッシュ状電極は、粗いメッシュを備え、前記粗いメッシュは、その上方にある細かいメッシュの層を支持することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1電極は、回転ドラム電極の曲面であり、
第2電極は、前記電極セグメントを備え、
前記電極セグメントは、前記ドラムと同心円状に配され、
前記ガス透過性素材は、前記第1と第2電極との間において前記第1電極に乗ることができることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載の装置。
【請求項6】
前記ドラムは、中空の回転式ドラムであることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記電極セグメントの前記プラズマ生成界面は、前記離隔した電極の他方の電極と対向し、横方向に湾曲した細長い面であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
前記電極セグメントは、それぞれ、棒状電極であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
前記分離型電極セグメントの隣り合った電極セグメントは、およそ0.5mmないし2mmの間隔を有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の装置。
【請求項10】
前記交流電圧印加手段は、前記移動されるガス中に含まれ、前記プラズママイクロ放電の局在化を引き起こし得るプラズマ副生成物を分散および/または移動させることができる周波数で、前記電極に対し電圧を印加することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の装置。
【請求項11】
前記周波数は、1kHzないし20kHzの範囲に含まれることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記周波数は、1kHzないし5kHzの範囲に含まれることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記電極の間の間隔は、2mmないし10mmの範囲に含まれることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1つに記載の装置。
【請求項14】
前記離隔した電極は、前記ガス透過性素材を通り抜ける前記ガスを、前記離隔した電極間を通過する前記素材の移動方向と直角をなす方向に移動させることを可能な形状を有することを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1つに記載の装置。
【請求項15】
プラズマ処理したガス透過性素材を作成する方法であって、
(a)離隔した電極間に交流電圧を印加し前記離隔した電極間にプラズママイクロ放電を発生させるステップであって、ここで前記電極の少なくとも1つが誘電バリアに覆われ、かつ前記電極の少なくとも1つが複数の分離型電極セグメントを含む、ステップと、
(b)ガス透過性素材を、前記離隔した電極の間または近傍を通過させるステップと、
(c)前記電力セグメント間にあるガスを、前記電極の間隙を通りかつ前記ガス透過性素材を通り抜けるように移動させるステップであって、もって前記ガスは前記電極セグメントのプラズマ生成界面を流され、ここで、前記ガスの流れの速さは、前記離隔した電極間において前記流れが乱流となり、よって前記プラズママイクロ放電をランダム化しかつ前記ガス透過性素材内において燃焼につながる不安定を生じさせるプラズマ生成物を分散させるような速さである、ステップとを有し、
前記ランダム化されたマイクロ放電によって概ね均一なプラズマ処理が前記ガス透過性素材に施されることを特徴とする方法。
【請求項16】
前記ガスを、前記離隔した電極に含まれる第1電極を通って移動させるステップを含み、
前記第1電極は、ガス透過性であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記電極セグメントの前記プラズマ生成界面は、前記離隔した電極の他方の電極と対向し、横方向に湾曲した細長い面であることを特徴とする請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記電極セグメントは、それぞれ、棒状電極であることを特徴とする請求項15ないし17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
前記交流電圧は、前記移動されるガス中に含まれ、前記プラズママイクロ放電の局在化を引き起こし得るプラズマ副生成物を分散および/または移動させることができる周波数を有することを特徴とする請求項15ないし18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
前記周波数は、1kHzないし20kHzの範囲に含まれることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記周波数は、1kHzないし5kHzの範囲に含まれることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記ガスは、前記ガス透過性素材が前記離隔した電極間を通過する方向と直角な方向に前記ガス透過性素材を通り抜けて移動させられることを特徴とする請求項15ないし21のいずれか1つに記載の方法。
【請求項23】
前記ガスは、空気であることを特徴とする請求項15ないし22のいずれか1つに記載の方法。
【請求項24】
前記電極の間の間隙および前記ガス透過性素材を通り抜けるときの前記空気の空気圧は、実質的に大気圧であることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記離隔した電極に印加される前記電圧は、10kVないし25kVの範囲に含まれることを特徴とする請求項15ないし24のいずれか1つに記載の方法。
【請求項26】
前記ガス透過性素材は、繊維状素材であることを特徴とする請求項15ないし25のいずれか1つに記載の方法。
【請求項27】
前記繊維状素材は、ウールであることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記繊維状素材は、ウール・スライバであることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記電極セグメントは、
(a)導電性要素と、
(b)前記導電性要素まわりの誘電性シースと、
(c)前記導電性要素および前記誘電性シースの両方と接する液状導電性媒体とを有し、前記液状媒体が前記誘電性シースとの均一な接触部を形成することを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1つに記載の装置
【請求項30】
前記液状媒体は、前記導電性要素と前記誘電性シースとの間に配されることを特徴とする請求項29に記載の装置
【請求項31】
前記誘電性シースは、実質的に、前記導電性要素の周囲を囲むかまたは取り囲み、前記導電性要素が前記電極セグメントのコアを形成していることを特徴とする請求項30に記載の装置
【請求項32】
前記液状媒体は、透明であることを特徴とする請求項29ないし31のいずれか1つに記載の装置
【請求項33】
前記液状媒体は、制御可能に可変的な、組成に依存した電気伝導性を有することを特徴とする請求項29ないし32のいずれか1つに記載の装置
【請求項34】
前記電極セグメントは、細長く、概ね円筒形であることを特徴とする請求項29ないし33のいずれか1つに記載の装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−525627(P2006−525627A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504028(P2006−504028)
【出願日】平成16年4月30日(2004.4.30)
【国際出願番号】PCT/AU2004/000562
【国際公開番号】WO2004/099490
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(591269435)コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガニゼーション (23)
【氏名又は名称原語表記】COMMONWEALTH SCIENTIFIC AND INDUSTRIAL RESEARCH ORGANIZATION
【出願人】(505411468)オーストラリアン・ウール・イノベーション・リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】AUSTRALIAN WOOL INNOVATION LIMITED
【Fターム(参考)】