説明

プラットホーム用ステップ装置

【課題】本発明は、長年に亘って精度良くステップ上の乗客の有無を検出可能なプラットホーム用ステップ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】プラットホームと停車車両との間に乗客が転落することを防止するプラットホーム用ステップ装置1であって、プラットホームに埋設可能なケース2と、ケース2に支持されるステップ7と、ステップ7を車両側に対し進出または退避させるようにケース2に対し相対移動させるための駆動手段17、18、19とを備えている。そして、このプラットホーム用ステップ装置1には、車両側に進出したステップ7に対して鉛直方向下向きに作用する荷重を検出できるようにロードセル30が配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラットホームと停車車両との間に乗客が転落することを防止するプラットホーム用ステップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラットホームと停車車両との隙間に乗客が転落することを防止するため、プラットホーム側から乗客の足場となるステップを当該隙間に進出させるように駆動するプラットホーム用ステップ装置が用いられている。このようなプラットホーム用ステップ装置においては、ステップ上に乗客が存在するときに誤ってステップの引き込み動作を行わないようにするため、ステップ上の乗客の有無を確認することが必要となる。
乗客の存在を検出する方法として、例えば、光センサ等を用いて乗客を検出する方法があるが、車両限界及び建築限界の制約から取付位置が制限される等の理由により、精度良く検出することが困難であった。
【0003】
このような問題を解決するため、特許文献1においては、プリント基板11・12をクッション材13を挟んで対向するように配置したプラットホーム用ステップ装置が開示されている。このプラットホーム用ステップ装置は、ステップ上に乗降客が存在する場合は、クッション材がつぶれてプリント基板11・12の導電部が互いに接触するため、当該乗降客の存在の検出が可能となる。
【特許文献1】特開2002−264799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたプラットホーム用ステップ装置は、ステップを車両側に対して進出または退避させる際の、ステップの撓みやねじり等により、ステップ内の対抗する導電部が接触し誤動作を引き起こす可能性がある。また、長年使用することでクッション材が塑性変形し、導電部が密着した状態となって誤動作を引き起こす可能性もある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、長年に亘って精度良くステップ上の乗客の有無を検出可能なプラットホーム用ステップ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明は、プラットホームと停車車両との間に乗客が転落することを防止するプラットホーム用ステップ装置に関する。
そして、本発明に係るプラットホーム用ステップ装置は、上記目的を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。すなわち、本発明のプラットホーム用ステップ装置は、以下の特徴を単独で、若しくは、適宜組み合わせて備えている。
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係るプラットホーム用ステップ装置における第1の特徴は、プラットホームと停車車両との間に乗客が転落することを防止するプラットホーム用ステップ装置であって、プラットホームに埋設可能なケースと、前記ケースに支持されるステップと、前記ステップを車両側に対し進出または退避させるように前記ケースに対し相対移動させるための駆動手段と、車両側に進出した前記ステップに対して鉛直方向下向きに作用する荷重を検出可能に配設されたロードセルと、を備えることである。
【0008】
この構成によると、車両側に進出した状態のステップに対して乗客が負荷する荷重を、ロードセルによって検出することができる。このように、ロードセルにより荷重を検出可能な構成であるため、クッション材の変形を要する従来の構成と異なり、検出機構の変形を少なくすることが可能となる。したがって、経年劣化の影響を受けにくく、長年に亘って精度良くステップ上の乗客の有無を検出することが可能となる。
【0009】
また、本発明に係るプラットホーム用ステップ装置における第2の特徴は、前記ケースに支持される枠体状のフレームを更に備え、前記ステップは、前記フレームに支持され、前記駆動手段は、前記フレームを介して前記ステップを進退移動させ、前記ロードセルは、前記ステップに対して鉛直方向下向きに荷重が作用したときに前記ステップと前記フレームとで挟み込まれるように、前記ステップと前記フレームとの間に配設されていることである。
【0010】
この構成によると、ステップはフレームに対して進退方向において相対的に移動することはない。そのため、ロードセルをステップとフレームとの間に配置することで、ロードセルはステップ及びフレームに対して相対的に移動することはない。よって、ステップが進退方向に移動することにより検出のばらつきが発生することはなく、より安定した荷重の検出が可能となる。また、ステップとフレームにロードセルが挟み込まれた簡易な構成であるため、製造が容易に可能である。
【0011】
また、本発明に係るプラットホーム用ステップ装置における第3の特徴は、前記ステップは、車両側の端部近傍を取付部として前記フレームに取り付けられており、前記ロードセルは、当該取付部から反車両側に離れた位置に配設されていることである。
【0012】
この構成によると、ステップがフレームに取り付けられているため、ステップのフレームに対する位置が固定される。このとき、取付部から反車両側に離れた位置において乗客がステップ上に乗ると、ステップとフレームとの間に設置されたロードセルが挟み込まれて荷重が検出されるため、ステップ上の乗客を検出することができる。このように、乗客の有無を検出する機能を妨げることなく、ステップとフレームの固定を確実に行うことが可能となる。
【0013】
また、本発明に係るプラットホーム用ステップ装置における第4の特徴は前記ステップの前記フレームに対する水平方向への移動を拘束するとともに鉛直方向への移動を許容するガイド部を備えることである。
【0014】
この構成によると、ロードセルに力が作用する方向を規制することができるため、ロードセルが故障しにくく、より長期間精度良く乗客を検出することが可能となる。
【0015】
また、本発明に係るプラットホーム用ステップ装置における第5の特徴は前記駆動手段の駆動を制御する駆動制御手段を更に備え、前記駆動制御手段は、前記ステップ上に乗客がいない状態で前記ロードセルにより検出された荷重に基づいて、当該ステップ上の乗客の有無を判断するための基準荷重を決定し、前記ステップを進出させた状態において、前記ロードセルにより検出される荷重が当該基準荷重よりも大きい場合は、前記ステップが進退移動しないように前記駆動手段を制御することである。
【0016】
この構成によると、ステップ上に乗客がいない場合の荷重に基づいて、ステップ上の乗客の有無を判断するための基準荷重を決定する。そして、基準荷重よりもロードセルによる検出荷重が大きい場合は、乗客がステップ上にいると判断し、ステップの進退移動を停止することができる。この場合、ステップやフレームの撓みやねじれ等がある場合においても、当該状態(撓みやねじれ等がある状態)においてステップ上に乗客がいないときの荷重を基に、基準荷重が決定される。したがって、ステップやフレームの撓みやねじれ等があっても確実にステップ上の乗客の有無を判断することができる。よって、ステップ上に乗客がいるときにステップが移動することを確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るプラットホーム用ステップ装置(以下、ステップ装置と称する。)が設置されたプラットホームの全体概略図である。図1は柵201を自動的に開閉することが可能な可動柵タイプのホームドア装置200(APG)とともにステップ装置1を適用した状態を示している。図1に示すように、プラットホーム100に設置されたステップ装置1は、ステップ7を車両側に対して進退させることができる。これにより、プラットホーム100と停車車両との間に乗客が転落することを防止することができる。
【0019】
図2及び図3は、図1に示すステップ装置1の平面図である。図2はステップ7が車両に対して退避した退避位置にある状態(以下退避状態と称する。)を示す図であり、図3はステップ7が車両に対して進出した進出位置にある状態(以下進出状態と称する。)を示す図である。
また、図4は、図2及び図3におけるステップ装置1のA−A断面矢視図の模式図である。図4(a)は退避状態を示す図であり、図4(b)は進出状態を示す図である。また、図5は、図4(b)におけるステップ近傍部の拡大概略図である。
【0020】
ステップ装置1は、プラットホーム100に埋設可能なケース2と、当該ケース2に車両側に対し進退移動できるように支持されるステップ7と、ケース2内に設置されてステップ7を車両側に対し進退移動させるためのラックピニオン機構を有する駆動手段17、18、19(図2参照。詳細は後述する)とを備えて構成される。更に、後述するように、車両側に進出したステップ7に対して鉛直方向下向きに作用する荷重を検出可能に配設されたロードセル30を備えている(図4、図5参照)。
【0021】
このステップ装置1は、プラットホーム100の車両に対向する端部に形成された凹所100aに設置されている(図4参照)。当該凹所100aはプラットホーム100を形成する例えばコンクリートを長方形状に切り欠いて形成される。凹所100aの底面はステップ装置1を設置するための設置面とし、かつ、上面及び車両側を開放させるように構成している。
【0022】
ステップ装置1を構成するケース2は、複数の平板状のベース板3と、車両に対向する面を除く他の三辺の側面を形成する側板4と、アンカー等により凹所100aに固定される底板5と、乗降客の踏面となる天板6(図2、図3において省略)とを備えている。
【0023】
複数のベース板3は、ねじ等の取付部材や溶接などにより底板5と固着されている。また、底板5の四辺のうち車両側の辺を除いた三辺の部分に断面「コ」字状の側板4が溶接により固着されている(図4参照)。更に、側板4の上側に、天板6がボルト止めで固定される。この天板6は、ケース2を凹所100aに設置した際に、プラットホーム100の上面の一部を形成する。
【0024】
また、天板6には、プラットホームに沿った方向と平行に延びるガイド溝6aが形成されている。ガイド溝6aは、天板6を貫通する開口部であり、開口縁部において鉛直方向下向きに天板を折り曲げた形状となっており(図4参照)、ホームドア装置200の柵201(図1参照)の下部に設置される振れ止め金具等が当該ガイド溝6aに沿って移動できるようになっている。
【0025】
以上のようにして、車両側に開口を有する箱状のケース2が構成される。このケース2は、凹所100aに設置されることで、プラットホーム100に埋設可能とされている。
【0026】
そして、ケース2に対し、水平平板状のステップ7が支持される(図2及び図3において二点鎖線で示す)。図5に示すように、このステップ7は、車両側の端部近傍の下面を取付部7aとしてフレーム8に取り付けられている。具体的には、90度曲げられて形成された支持部材14の一端がステップ7の取付部7aにボルト等の取付部材15aにより固定され、他端がフレーム8の車両側端部にボルト等の取付部材15bにより固定されている。
【0027】
このとき、ステップ7は、乗降客の歩行しやすさの観点から天板6と略水平に上面が位置するように設置されている。また、ステップ7の下面とフレーム8との間に鉛直方向において所定の隙間を有するように固定される。当該所定の隙間は、後述するロードセル30の高さに相当する間隔を有する隙間とすることが望ましい。尚、ステップ7とフレーム8とは、プラットホームに沿った方向の複数の位置において支持部材14及び取付部材15a、15bを用いて取り付けられている。
【0028】
ステップ7とフレーム8との間に形成された隙間には、ロードセル30が配設されている。ロードセル30は、ステップ7の取付部7aから反車両側に離れた位置のフレーム8上に配設されている。また、フレーム8上には、当該ロードセル30の進退方向における前後には、ステップ7のフレーム8に対する水平方向への移動を拘束するとともに鉛直方向への移動を許容するガイド部31、32が設けられている。ガイド部31、32は、ステップ7の下面においてフレーム側に向かって突出する円柱状の突出部31a、32aと、フレーム8の上面において突出部31a、32aが鉛直方向に摺動可能に形成された筒状のガイド枠31b、32bとからなる。
【0029】
ステップ7に鉛直方向下向きの力が作用すると、ロードセル30は、ステップ7とフレーム8とに挟まれて圧縮の荷重を受けることになる。即ち、ロードセル30は、車両側に進出したステップ7に対して鉛直方向下向きに作用する荷重を検出可能に配設されている。したがって、乗客がステップ7に乗っている状態では、ロードセル30により所定の荷重が検出されて、ステップ7上の乗客の有無を判断することができる。
【0030】
このように、ロードセル30により荷重を検出可能な構成であるため、荷重を検出するために必要とするステップ7等の変形を少なくすることができる。したがって、経年劣化の影響を受けにくく、長年に亘って精度良くステップ7上の乗客の有無を検出することが可能となる。
【0031】
また、ステップ7は車両側の端部の取付部7aにおいてフレーム8に固定されているため、フレーム8からステップ7が外れることを防止できる。このとき、取付部7aから反車両側に離れた位置において乗客がステップ7上に乗ると、ステップ7とフレーム8との間に設置されたロードセル30が挟み込まれて荷重が検出されるため、ステップ7上の乗客の検出することができる。取付部7aはステップ7の車両側の端部であるため、ステップ7上の広い範囲で鉛直方向下向きに作用する荷重を検出することが可能となる。このように、ステップ7の車両側の端部においてフレーム8に取り付けを行うことで、乗客の有無を検出する機能を妨げることなく、ステップ7とフレーム8の固定を確実に行うことが可能となる。
【0032】
また、ステップ7に荷重が負荷されたとき、ガイド部31、32により、当該ガイド部31とガイド部32との間に位置するロードセル30近傍のステップ7の動きを鉛直方向に規制することができる。即ち、ロードセル30に力が作用する方向を鉛直方向に規制することができるため、鉛直方向から傾いた荷重がロードセル30に負荷されることを防ぐことが可能である。これより、ロードセル30が故障しにくく、より長期間精度良く乗客を検出することが可能となる。
【0033】
フレーム8は、底板5の面に対して平行に配置される複数本の角棒状部材を互いに溶接等で固着した枠体状の構成とされている。具体的には、図2及び図3に示すように、フレーム8は、車両に対してステップ7が進退する方向と平行に延びる平行支持部材81a〜81eと、当該平行支持部材に対して垂直に(プラットホームに沿った方向と平行に)延びる垂直支持部材82a〜82fとから構成される。
【0034】
図2及び図3においてステップ装置1の左側面よりの領域に位置する平行支持部材81aと81bとは、長手方向の中央付近において垂直支持部材82aにより連結支持されるとともに、反車両側の端部において垂直支持部材82bに連結支持されている。同様に、ステップ装置1の右側面よりの領域に位置する平行支持部材81cと81dとは垂直支持部材82eと82fとにより連結支持されている。そして、平行支持部材81bと81cとは、長手方向の中央付近において垂直支持部材82cに連結支持されている。この垂直支持部材82cには、長手方向の中央付近において反車両側に向かって延びるように、平行支持部材81eが連結されている。また、平行支持部材81eの反車両側端部と平行支持部81bの反車両側端部とを垂直支持部材82dが連結支持している。
【0035】
ケース2の底板5には、上記平行支持部材と平行に延びる4本のスライドレール83a、83b、83c、83dが固定されている。平行支持部材81a、81b、81c、81dはそれぞれスライドレール83a、83b、83c、83dに対して、当該スライドレールに沿って摺動可能に支持されている。具体的には、スライドレール83a〜83dは、側面に長手方向に延びる溝が形成されており、平行支持部材81a〜81dの側面に形成された凸部が当該溝に支持されながら当該スライドレールに沿って移動することになる。尚、平行支持部材81a〜81dの側面にカムフォロア等のガイドローラを取り付けて溝に沿わせて移動させることもできる。この結果、ステップ7及びフレーム8は、後述するモータユニット17の駆動によってプラットホーム100側から車両側に対して進退できるようになっている。
【0036】
また、ケース2内における反車両側の端部に近づいた位置において、フレーム8の進退移動を拘束可能なロック機構20がベース板3に設置されている。当該ロック機構20は、例えばソレノイド方式で係合金具を突出・引込を行うことにより、フレーム8と一体に形成された係合部分8aと係合することにより、進出状態におけるフレーム8の退避方向への移動、及び、退避状態におけるフレーム8の進出方向への移動を拘束することができる。
【0037】
また、ケース2のベース板3には、天板6を介して鉛直方向下向きに作用する荷重を支持することが可能な天板支持体9が設置されている。図4に示すように、天板支持体9は、ケース2内における反車両側の端部に近づいた位置に設置され、ステップ7の進退方向と平行な方向が長手方向となるように配置されている。当該天板支持体9は、両端をボルト等によりベース板3に固定され、中央部をベース板3から浮かし天板6と当接して支持するように、「コ」字状に曲げられた板状部材として形成されている。フレーム8の垂直支持部材82b、82d、82fは天板支持体9とベース板3との間に位置し、進退方向に移動することが可能である。
【0038】
次に、ステップ7を車両側に対し進退させるための構成を説明する。図2及び図3に示すように、ケース2を構成するベース板3の反車両側の端部近傍には、モータユニット17(駆動手段)が固定される。このモータユニット17は、電動モータと、そのモータ軸の回転を減速しトルク増強する減速機と、の一体構成とされており、その駆動出力軸(駆動軸)を鉛直方向に向けて配置される。当該駆動出力軸には、ピニオンギア18(駆動手段)が固定される。一方、ステップ7が固定されるフレーム8の平行支持部材81eには、ピニオンギア18と噛み合うようにラック19(駆動手段)が固定されており、電動モータを駆動させてピニオンギア18の回転させることにより、ステップ7を車両側に対し進出または退避させるようにケース2に対し相対移動させることができる。即ち、モータユニット1等の駆動手段は、フレーム8を介してステップ7を車両に対して進退移動させることができる。
【0039】
また、当該電動モータは、駆動停止時において、外力による駆動出力軸の回転を制動可能なメカニカルブレーキを備えたブレーキ付モータとして構成され、停電、異常時には、ステップ7を停止位置に保持することができる。これより、ステップ7が不用意に突出、引き込み動作することを防止し、乗客の安全性を高めることが可能となる。
【0040】
尚、駆動手段は、上述したようなラックピニオン機構によるものに限らず、電動モータを用いてプーリを回転し、プーリに巻回されたベルトを走行させることにより、ベルトに固定されたフレームを進退移動させる構成にすることも可能である。
【0041】
このように、ステップ7はフレーム8を介して進退移動されるため、ステップ7はフレーム8に対して進退方向において相対的に移動することはない。そのため、ロードセル30をステップ7とフレーム8との間に配置することで、ロードセル30はステップ7及びフレーム8に対して相対的に移動することはない。よって、ステップ7が進退方向に移動しても、ステップ7・フレーム8・ロードセル30の進退方向における位置関係は変わらず、検出のばらつきの発生も少なくなる。したがって、より安定した荷重の検出が可能となる。また、ステップ7とフレーム8にロードセル30が挟み込まれた簡易な構成であるため、製造が容易に可能である。
【0042】
ケース2を構成するベース板3には、退避位置ストッパ11a、12a及び進出位置ストッパ11b、12bが設置されている。また、ベース板3には、退避位置検出センサ13a及び進出位置検出センサ13bが設置されている。これらのセンサとして例えば近接スイッチが用いられ、垂直支持部材82bが所定の位置まで近づくことで検出信号を発し、電気モータの回転を停止させフレーム8の移動を停止させることができる。退避位置ストッパ11a、12a及び進出位置ストッパ11b、12bが垂直支持部材82b、82fの進退方向の移動を拘束することにより、誤動作による進出方向及び退避方向への過剰な移動を防ぐことができる。
【0043】
例えば、ステップ7が退避方向に移動した場合、図2及び図4(a)に示すように、垂直支持部材82b、82fが退避位置ストッパ11a、12aに当接した状態で停止する。また、ステップ7が進出方向に移動した場合、図3及び図4(b)に示すように、垂直支持部材82b、82fが進出位置ストッパ11b、12bに当接した状態で停止する。
【0044】
次に、上述したステップ7の駆動制御について説明する。
図6は、本発明の実施形態に係るプラットホーム用ステップ装置1の概略を示すブロック図である。
【0045】
ステップ7に設置されるロードセル30は、歪ゲージと増幅器などで構成され、ロードセル30から制御盤40(駆動制御手段)にステップ7に負荷された荷重に対応する電気信号が送信される。また、進出位置検出センサ13b及び退避位置検出センサ13aから制御盤40に、ステップ7が進出位置または退避位置に到達したことを示す電気信号が送信される。
また、制御盤40は、プラットホーム上に設置された可動柵の開閉を制御するためのAPG個別制御盤50や車両の制御システムなどと相互に通信可能となっている。
【0046】
制御盤40は、上述した信号に基づいて電動モータ17a(駆動手段)を駆動してピニオンギア18とラック19との機構によりステップ7を進退移動させることができる。また、ステップ7の進出状態または退避状態においてロック機構20を作動させて、ステップ7の進退移動を拘束したロック状態とすることが可能である。
【0047】
具体的な制御について図7、図8のフローチャートを用いて説明する。
図7は、プラットホーム用ステップ装置1に電源が投入された時の制御を示すフローチャートである。後述するように、車両到着時においてステップ7上の乗客の有無を判断するためには、その判断の基準となる基準荷重W0を設定しておく必要がある。そのため、電源投入時に、乗客がいない状態においてロードセル30に負荷されている荷重を検出し、当該荷重から基準荷重W0が決定される。
【0048】
図7に示すように、まず、ステップ101(以下S101、他のステップも同様に称する。)において電源が投入されると、ステップ7を進出方向に移動させるように制御盤40により電動モータ17aが駆動される(S102)。
制御盤40は、ステップ7が進出位置に移動するまで電動モータ17aを駆動させる(S103)。ここで、上述したように、進出位置検出センサ13bは、ステップ7と共に移動するフレーム8が(垂直支持部材82b)が進出位置に到達すると検出信号を発する(ONとなる)ように設定されている。制御盤40は、進出位置検出センサ13bがOFFであればそのまま電動モータ17aを駆動し続け(S103:NO→S102)、進出位置検出センサ13bがONになったときに電動モータ17aの駆動を停止させるように制御する(S103:YES→S104)。
【0049】
ステップ7が進出位置に到達すると、その状態においてロードセル30に負荷されている荷重が計測され(S105)、その実測値は制御盤40における記憶装置に記憶される(S106)。尚、後述するように、当該実測値に基づいて、ステップ7上の乗客の有無を判断するための基準荷重W0が新たに決定される。
【0050】
その後、ステップ7を退避方向に移動させるように制御盤40により電動モータ17aが駆動される(S107)。
制御盤40は、ステップ7が退避位置に移動するまで電動モータ17aを駆動させる(S108)。ここで、上述したように、退避位置検出センサ13aは、ステップ7と共に移動するフレーム8が(垂直支持部材82b)が退避位置に到達すると検出信号を発する(ONとなる)ように設定されている。制御盤40は、退避位置検出センサ13aがOFFであればそのまま電動モータ17aを駆動し続け(S108:NO→S107)、退避位置検出センサ13aがONになったときに電動モータ17aの駆動を停止させるように制御する(S108:YES→S109)。
【0051】
このように、電源投入時において基準荷重W0を更新することで、例えば、前の駆動時においてステップ7やフレーム8の撓みが発生し、乗客がいない状態においてロードセル30に負荷される荷重が変化したような場合でも、当該負荷荷重の変化を考慮してステップ7上の乗客の有無の判断を行うことができるため、判断を誤ることを抑制可能である。
【0052】
尚、図7で示すような、ステップ上に乗客がいない場合におけるロードセルに負荷される荷重の測定は、電源投入時に行う場合に限られず、当該荷重の測定を実行するための測定スイッチ等を設けることも可能である。この場合、必要なときに作業者が当該測定スイッチを押すことにより荷重測定を実行し、基準荷重W0を新しく決定することが可能となる。
【0053】
図8は、車両が到着したときのステップ7の駆動制御を示すフローチャートである。
図8に示すように、車両がプラットホームに到着すると(S201)、例えばAPG個別制御盤50や車両側の制御システム等から制御盤40にステップ進出指令の信号が送信される(S202)。制御盤40は、この信号を受け、ステップ7を進出方向に移動させるように電動モータ17aを駆動させる。具体的には、図7におけるS102〜S104のステップと同様に、制御盤40は、ステップ7が進出位置に移動するまで電動モータ17aを駆動させる(S203〜S205)。即ち、制御盤40は進出位置検出センサ13bがOFFであればそのまま電動モータ17aを駆動し続け(S204:NO→S203)、進出位置検出センサ13bがONになったときに電動モータ17aの駆動を停止させるように制御する(S204:YES→S205)。
【0054】
ステップ7が進出位置まで到達し、電動モータ17aの駆動が停止すると、制御盤40から例えばAPG個別制御盤50にステップ進出信号が送信される(S206)。APG個別制御盤50は、この信号に基づいて可動柵の開閉動作等を行うことができる。また、当該信号は、APG個別制御盤50を介して、または、直接、車両の制御システムにも送信され、この信号に基づいて車両の扉の開閉動作等を行うことが可能である。
【0055】
APG及び車両側の一連の動作が終了すると、例えばAPG個別制御盤50や車両側の制御システム等から制御盤40にステップ退避指令の信号が送信される(S207)。退避指令の信号を受信した制御盤40は、当該信号の受信後にロードセル30によって測定された荷重Wと、電源投入時において予め測定した実測値に基づいて定められた基準荷重W0とを比較する(S208)。当該荷重の比較は、電気的な測定値(例えば電圧値など)の比較により行われる。そして、ロードセル30により検出される荷重Wが基準荷重W0よりも大きい場合は、ステップ7上に乗客がいると判断し、電動モータ17aを停止状態に維持するように制御する(S208:YES)。ロードセル30により検出される荷重Wが基準荷重W0以下である場合(S208:NO)は、ステップ7上に乗客はいないと判断し、ステップ7を退避方向に移動させるように電動モータ17aを駆動する(S209)。
【0056】
尚、S208におけるロードセル30による荷重の検出は、瞬間的に測定した荷重に基づいて乗客の有無を判断する場合に限らず、一定時間連続して荷重を検出した結果に基づいて、測定された荷重が基準荷重W0以下である場合にのみ電動モータ17aを駆動するように制御することもできる。
【0057】
当該基準荷重W0は、例えば、ステップ7上に乗客がいないときの実測値よりも所定量αだけ大きい値として決定される。ステップ7上に乗客がいない場合に、雨風など測定時の環境の影響等によっておこる測定値のばらつきにより、ロードセル30に作用する負荷が増加し、誤って乗客がいると判断してしまうことがないように、当該ばらつきの幅よりも大きく前記所定量αを設定することが望ましい。
【0058】
制御盤40は、ステップ7を退避方向に移動させるように電動モータ17aを駆動させた後、図7におけるS107〜S109のステップと同様に、ステップ7が退避位置に移動するまで電動モータ17aを駆動させる(S209〜S211)。即ち、制御盤40は退避位置検出センサ13aがOFFであればそのまま電動モータ17aを駆動し続け(S210:NO→S209)、退避位置検出センサ13aがONになったときに電動モータ17aの駆動を停止させるように制御する(S210:YES→S211)。
【0059】
ステップ7が退避位置まで到達し、電動モータ17aの駆動が停止すると、制御盤40から例えばAPG個別制御盤50にステップ退避信号が送信される(S212)。APG個別制御盤50は、この信号に基づいて可動柵の開閉等を行うことができる。また、当該信号は、APG個別制御盤50を介して、または、直接、車両の制御システムにも送信され、この信号に基づいて車両の扉の開閉や車両の進行駆動等を行うことが可能である。
【0060】
このように、制御盤40は、ステップ7上に乗客がいない状態でロードセル30により検出された荷重(電源投入時に測定した荷重)に基づいて、ステップ7上の乗客の有無を判断するための基準荷重W0を決定し、ステップ7を進出させた状態においてロードセル30により検出される荷重Wが当該基準荷重W0よりも大きい場合は、ステップ7が進退移動しないように電動モータ17aを制御する。
【0061】
そのため、例えば経年劣化等によって起こるステップ7やフレーム8の撓みやねじれ等の影響で、ステップ7上に乗客がいない状態であるにもかかわらずロードセル30に荷重が負荷されているような場合においても、当該状態(ロードセル30に荷重が負荷されてはいるがステップ7上に乗客がいない状態)を基準として基準荷重W0が決定される。
【0062】
したがって、ステップ7やフレーム8の撓みやねじれ等の影響があっても確実にステップ7上の乗客の有無を判断することができる。よって、ステップ7上に乗客がいるときにステップ7が移動することや、ステップ上に乗客がおらずステップの退避が可能であるにもかかわらず当該退避移動を行わずにステップの進出状態を維持してしまうことを確実に防止できる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
【0064】
(1)ロードセル30をフレーム8(平行支持部材81a〜81d)の4箇所にそれぞれ設置する場合に限られない。例えば、プラットホームに沿った方向における両端の平行支持部材81aと81dとの2箇所に設置してもよい。この場合、ロードセルの設置数を減らすことができ経済的であるとともに、左右対称に設置されているため、ステップから負荷される荷重の検出を安定して行うことができる。
【0065】
(2)ロードセルをステップとフレームとの間に設置する場合に限らず、ステップ上面に対して鉛直方向下向きに作用する荷重が負荷されるように、ロードセルをステップ内部に埋め込んで設置することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施形態に係るプラットホーム用ステップ装置を設置したプラットホームの全体概略図である。
【図2】図1に示すステップ装置の平面図であり、ステップが車両に対して退避した状態を示す図である。
【図3】図1に示すステップ装置の平面図であり、ステップが車両に対して進出した状態を示す図である。
【図4】図2及び図3に示すステップ装置のA−A断面矢視図の模式図である。
【図5】図4(b)におけるステップ近傍部の拡大概略図である。
【図6】本発明の実施形態に係るプラットホーム用ステップ装置の概略を示すブロック図である。
【図7】プラットホーム用ステップ装置の電源投入時の制御を示すフローチャートである。
【図8】車両が到着したときのステップの駆動制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
1 プラットホーム用ステップ装置
2 ケース
7 ステップ
8、81a〜81e、82a〜82f フレーム
11a 退避位置ストッパ
12a 進出位置ストッパ
13a 退避位置検出センサ
13b 進出位置検出センサ
17 モータユニット(駆動手段)
18 ピニオンギア(駆動手段)
19 ラック(駆動手段)
20 ロック機構
30 ロードセル
31、32 ガイド部
40 制御盤(駆動制御手段)
100 プラットホーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホームと停車車両との間に乗客が転落することを防止するプラットホーム用ステップ装置であって、
プラットホームに埋設可能なケースと、
前記ケースに支持されるステップと、
前記ステップを車両側に対し進出または退避させるように前記ケースに対し相対移動させるための駆動手段と、
車両側に進出した前記ステップに対して鉛直方向下向きに作用する荷重を検出可能に配設されたロードセルと、を備えることを特徴とするプラットホーム用ステップ装置。
【請求項2】
前記ケースに支持される枠体状のフレームを更に備え、
前記ステップは、前記フレームに支持され、
前記駆動手段は、前記フレームを介して前記ステップを進退移動させ、
前記ロードセルは、前記ステップに対して鉛直方向下向きに荷重が作用したときに前記ステップと前記フレームとで挟み込まれるように、前記ステップと前記フレームとの間に配設されていることを特徴とする請求項1に記載のプラットホーム用ステップ装置。
【請求項3】
前記ステップは、車両側の端部近傍を取付部として前記フレームに取り付けられており、
前記ロードセルは、当該取付部から反車両側に離れた位置に配設されていることを特徴とする請求項2に記載のプラットホーム用ステップ装置。
【請求項4】
前記ステップの前記フレームに対する水平方向への移動を拘束するとともに鉛直方向への移動を許容するガイド部を備えることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のプラットホーム用ステップ装置。
【請求項5】
前記駆動手段の駆動を制御する駆動制御手段を更に備え、
前記駆動制御手段は、
前記ステップ上に乗客がいない状態で前記ロードセルにより検出された荷重に基づいて、当該ステップ上の乗客の有無を判断するための基準荷重を決定し、
前記ステップを進出させた状態において、前記ロードセルにより検出される荷重が当該基準荷重よりも大きい場合は、前記ステップが進退移動しないように前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項4の少なくともいずれか1項に記載のプラットホーム用ステップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−44544(P2008−44544A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−222952(P2006−222952)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】