説明

プラミペキソール又はその医薬的に許容できる塩を含有する徐放性錠剤型製剤との組成物

本発明は、プラミペキソール又はその医薬的に許容できる塩を含む徐放性錠剤型製剤と、パーキンソン病治療の従来の選択肢との組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、プラミペキソール又はその医薬的に許容できる塩を含有する徐放性錠剤型製剤と、パーキンソン病の従来からの選択可能治療薬との組成物に関するものである。
(発明の背景)
プラミペキソールは公知のドパミンD2受容体作動薬である。プラミペキソールは、例えばブロモクリブチン又はペルゴリド等の麦角系医薬品とは構造的に異なる。また、プラミペキソールは完全作動薬であり、ドパミン受容体の中でもドパミンD2ファミリーに対して受容体選択性を有する点において薬理学的にも特異である。
プラミペキソールは化学的には(S)-2-アミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-6-(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールと称され、分子式はC10H17N3S、相対分子量は211.33である。化学式は以下のとおりである。
【0002】
【化1】

【0003】
一般的に用いられる塩の形態はプラミペキソール二塩酸塩一水和物(分子式C10H21Cl2N3OS;相対分子量302.27))である。プラミペキソール二塩酸塩一水和物は、白色からオフホワイトの無味の結晶質粉末である。296〜301℃の範囲で分解を伴いながら融解する。プラミペキソール はキラル中心を1個有するキラル化合物である。合成中に中間体の1つをキラル再結晶化(chiral recrystallization)することによって、合成行程から純粋な(S)-鏡像異性体が得られる。本明細書で使用されているプラミペキソールという用語は、塩基ならびに医薬的に許容できるいずれの好適な塩も包含し、とりわけ二塩酸塩又は二塩酸塩一水和物が含まれる
広く一般に知られているように、薬剤成分の放出を制御することで、一日の推奨摂取量を減らして患者の投与計画を単純化し、患者がより正確に摂取できるようになり、例えば血漿中濃度のピークが高くなることに関連した有害事象を抑えることができる。徐放性医薬調剤は、混入されている1種又は2種以上の有効成分の放出をある期間にわたって制御して徐放性を有する製剤を構成するので、溶液又は即座に溶解する剤形といった従来からの剤形ではもたらされない治療上の目的又は簡便性という目的が達成される。
(発明の説明)
【0004】
本発明は、パーキンソン病の従来からの治療薬と、プラミペキソールを含む1日1回投与の徐放性製剤との組成物に関する。
本発明の文脈において最も好適なプラミペキソール製剤は、WO2006/015942又はWO2006/015943の製剤に対応するもので、これら2つは共に本願明細書に含まれるものとする。徐放性プラミペキソール製剤により、pH値に依存するか又は依存しない、放出速度の異なるタイプのものが可能となる。
以下に、2種類の徐放性製剤の基本的な概要を示す。
WO2006/015942のプラミペキソール含有製剤は、アルファー化デンプン以外の少なくとも1種の水膨潤性ポリマーを含むマトリックス中に、プラミペキソール又はその医薬的に許容できる塩を含有する、徐放性錠剤型製剤に関する。
好ましくは、プラミペキソール徐放性錠剤型製剤は、アルファー化デンプン以外の少なくとも2種の水膨潤性ポリマーを含むマトリックスを含有し、少なくとも2種のポリマーのうち少なくとも1種はアニオン性ポリマーである。
また、該アニオン性ポリマーが、架橋されていてもよいアクリル酸ポリマー類、メタクリル酸ポリマー類、アルギン酸塩類及びカルボキシメチルセルロースの群から選択される、プラミペキソール徐放性錠剤製剤が好ましい。
さらに、該アニオン性ポリマーが架橋されていてもよいアクリル酸ポリマーであって、該架橋されていてもよいアクリル酸ポリマーのマトリックスにおける含有量が約0.25質量%〜約25質量%、好ましくは約0.5質量%〜約15質量%、さらに好ましくは約1質量%〜約10質量%である、プラミペキソール徐放性錠剤型製剤が好ましい。
また、少なくとも2種のポリマーのうちの少なくとも1種のポリマーが、アルファー化デンプン以外の実質的に中性のポリマーである、プラミペキソールの徐放性錠剤型製剤が好ましい。
【0005】
また、実質的に中性であるポリマーが、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される、プラミペキソール徐放性錠剤型製剤が好ましい。
実質的に中性であるポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースであって、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのマトリックスにおける含有量が約10質量%〜約75質量%、好ましくは約25質量%〜約65質量%である、プラミペキソール徐放性錠剤製剤がとりわけ好ましい。
マトリックス中に以下を含有するプラミペキソール徐放性錠剤製剤が、とりわけ好ましい。
(a) プラミペキソール又はその塩 約0.05〜5質量%
(b) アニオン性水膨潤性ポリマー 約0.25〜25質量%
(c) 中性水膨潤性ポリマー 約10 〜75 質量%
(d) 更なる賦形剤 合計で100質量%となる量
プラミペキソール二塩酸塩一水和物、ヒプロメロース2208、コーンスターチ、Carbomer 941、コロイド状二酸化ケイ素及びステアリン酸マグネシウムからなる徐放性錠剤型製剤が特に好適である。
本発明のプラミペキソール成分の好ましい態様は、プラミペキソール又はその医薬的に許容できる塩がマトリックス中に含まれる徐放性錠剤型製剤であって、該マトリックスが、
(a)アルファー化デンプン以外の少なくとも1種の水膨潤性ポリマーを含み、さらに賦形剤を含んでいてもよく、最終的に得られる錠剤がpH1から7.5の範囲でpH非依存のイン・ビトロ放出特性を示すか、又は、
(b)少なくとも1種の水膨潤性アニオンポリマーを含み、さらに賦形剤を含んでいてもよく、最終的に得られる錠剤がpH<4.5では放出速度が速いpH依存放出特性を示し、pH4.5〜7.5では放出速度が遅いpH非依存放出特性を示す。
【0006】
最も好ましくは、本発明のプラミペキソール成分は、アルファー化デンプン以外の少なくとも1種の水膨潤性ポリマーで好ましくは中性が必須である水膨潤性ポリマーと、アニオン系水膨潤性ポリマーとを含み、さらに賦形剤を含んでいてもよい、徐放性錠剤型製剤のマトリックスに関するもので、最終的に得られる錠剤がpH<4.5では放出速度が速いpH依存放出特性を示し、pH4.5〜7では放出速度が遅いpH非依存放出特性を示す、徐放性錠剤型製剤のマトリックスに関する。
本発明の経口投与用プラミペキソール徐放性製剤は、所望の生体内血漿濃度プロファイルを好ましくは一日一回の投与により実現するのに、いずれのイン・ビトロ放出特性及び放出タイミングが最適かを選択評価することができる。そのため、単一ユニットのマトリックス系錠剤向けに、変形をいくつか有する製剤成分が開発されてきた。即ち、放出速度が異なるタイプを有する製剤が提供され、異なるpH依存性が利用される。徐放性薬剤を送達にすることにより、一日一回の投与で患者は自分の症状を治療できるため、患者にとっての簡便性が向上し正確な投与ができることから、この選択的製剤は患者にとって有利である。
本願明細書で用いられている「イン・ビトロ放出特性」という用語は、徐放性製剤から有効成分を放出させる試験管内実験で通常使用するタイプの液状媒体中、例えばイン・ビトロ溶出媒体だけでなく体液又は疑似体液、より具体的には胃腸液の中で得られる放出特性を指す。
【0007】
本発明の枠組における「徐放」という用語は即時放出に対するものと理解すべきであり、有効成分が漸進的かつ連続的にある時間にわたって放出され、放出速度は遅いことも速いこともあり、pH値に依存することも、依存しないこともある。とりわけ、経口投与直後に有効成分の総量が製剤から放出されることはなく、また、製剤の投与回数の削減が可能になることをこの用語は示すので、徐放性の定義は遅延放出(slow release)と置き換えることができる。遅延性又は徐放性は、長期的効果(prolonged action)、持続放出(sustained release)又は制御放出(modified release)と同義で用いられ、従来の投与剤形(たとえば、溶液又は即時放出薬剤、従来からの固形剤形)として提供されるものと比較すると、投与回数の削減、患者が正確に摂取することや治療効果における著しい向上を可能にする投与剤形である。
pH非依存放出特性とは、異なるpH媒体でも放出特性が実質的に同じであることを意味する。
本発明の教示により、徐放性錠剤型製剤には異なるイン・ビトロ放出プロファイルが与えられる。
本発明の徐放性錠剤は、膨潤性かつ部分的浸食性のポリマーマトリックスの適用が考えられる。仮定したメカニズムを基にすると、放出プロファイルはおおよそ時間の平方根をたどり、指数関数的イン・ビトロ放出特性となる。特定の態様によるが、製剤(a)はpH1〜7.5では広範にわたりpH値に依存しない。製剤(b)はpH<4.5の疑似胃液においては放出が速いが、pH4.5〜7.5の範囲ではpH値とは無関係である。疑似胃液においては放出が速いのに対し腸液内では放出が遅いのは、充填用量の効果を投与剤形から求める場合は有利となる一方で、広範囲にわたるpHに依存しない放出プロファイルは過量放出や食品の影響といった危険を少なくするのに有利となる。
本発明によると、「製剤(a)」とは、マトリックスが上記(a)で定義した組成物を含む錠剤型製剤と解され、「製剤(b)」とは、マトリックスが上記(b)で定義した組成物を含む錠剤型製剤と解される。
【0008】
本発明の水膨潤性ポリマーとは、プラミペキソール又はその塩を有効成分としてゆっくり放出する徐放性マトリックスを構成する、少なくとも1種の親水性水膨潤性ポリマーを示す。このポリマーは、投与後に水性液体と接触すると膨潤し、その結果、粘性のある薬剤放出制御ゲル層になる。ポリマーの粘度は好ましくは150〜100,000mPa・s(20℃における2%水溶液の見掛粘度)である。
このようなポリマーの例としては、実質的に中性である水膨潤性ポリマー又は水膨潤性アニオンポリマーが挙げられる。
本発明の「実質的に中性である水膨潤性ポリマー」には、メチルセルロース等のアルキルセルロース類;ヒドロキシアルキルセルロース類、例えばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシブチルセルロース;ヒドロキシエチルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等のヒドロキシアルキルアルキルセルロース類;カルボキシアルキルセルロースエステル類;他の天然、半合成又は合成の二糖類、少糖類及び多糖類で、例えば、ガラクトマンナン、トラガカントゴム、寒天、ガーゴム及びポリフルクタン等;メタクリレート共重合体; ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体;ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの混合物;ポリエチレンオキサイド及びポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド類ならびにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体が包含され、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース等のセルロースエーテル誘導体で、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが特に好ましい。
本発明の「水膨潤性アニオンポリマー」という用語には、アクリル酸重合物(polymerisate)、メタクリル酸共重合体、アルギン酸塩類、カラギーナン、アラビアゴム、キサンタンガム、キトサン等のキチン誘導体、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウムが含まれるが、アクリル酸重合物が好ましい。
【0009】
粘度グレードの異なるヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが市販されている。本発明において好ましく使用されるヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の粘度グレードは、約3,500〜約100,000mPa・sの範囲であり、特には約4,000〜約20,000mPa・sの範囲、さらには約6,500〜約15,000mPa・sの範囲(20℃における2%水溶液の見掛粘度)で、例えば、ヒプロメロース2208又は2206(DOW社、ベルギー、アントワープ)である。HPMCタイプ2208には、19〜24質量%のメトキシと4〜12質量%のヒドロキシプロピル置換基が含まれる。
粘度が1,500mPa・sより高い(20℃における1%水溶液の見掛粘度)ヒドロキシプロピルセルロースが好ましく、とりわけ粘度範囲が約1500〜約3000mPa・s、好ましくは4000〜6500mPa・s(2%水溶液)のヒドロキシプロピルセルロースが好ましく、例えば、KlucelシリーズのKlucel M(Hercules社、米国、ウェルミントン)が好ましい。
いかなる理論に拘束されるものではないが、親水性マトリックスからプラミペキソール又はその塩が放出可能となるのには、溶出、浸食及び拡散という3つの主たるメカニズムが存在すると考えられる。可溶性ポリマーで構成されるマトリックスの網状組織中にプラミペキソール又はその塩が均一に分散している場合、溶出のメカニズムにより放出される。この網状組織が胃腸管の中で次第に溶解し、組織中に含まれる充填物を漸次的に放出する。また、マトリックスポリマーはマトリックスの表面から次第に浸食され、やがてはプラミペキソール又はその塩を放出していく。不溶性ポリマーで構成されたマトリックス中にプラミペキソールが処理されている場合は、プラミペキソールは拡散により放出されることになる。つまり、胃腸液がスポンジ状の不溶性マトリックスに浸透し、充填されている薬剤を拡散する。
そのため、マトリックスを構成する水膨潤性ポリマーは、特に製剤(a)によるマトリックスでは、制御された薬剤動態学的放出プロファイルを提供する。調剤中に処理された水膨潤性ポリマーの量により、放出プロファイルを調整することができる。即ち、膨潤性ポリマーの量を多くすれば徐放性効果がより顕著となり、逆の場合も同様である。好ましくは、本製剤における水膨潤性ポリマーの量は約10〜約80質量%である。
【0010】
さらに、ポリマーを組合せて使う場合、それらのポリマーの比率も調剤の放出プロファイルに影響を与える。異なるポリマーを組合せることにより、マトリックスからプラミペキソールを放出する際の異なるメカニズムを組合わすことができる。このような組合せにより、調剤の薬剤動態学的放出プロファイルを自由に調整することが容易になる。例えば、1種以上の水膨潤性ポリマー、とりわけヒドロキシプロピルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースとを用いる場合、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの質量比は好ましくは25〜約62%、ヒドロキシプロピルセルロースの質量比は0〜約16%が好ましい。
ヒドロキシプロピルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含むマトリックスの場合、放出メカニズムが組合さってプラミペキソール又はその塩がマトリックスから放出される。ヒドロキシプロピルメチルセルロースはヒドロキシプロピルセルロースに比べて可溶性が高いため、前者は漸次的に溶出し、マトリックスの浸食を受ける一方、後者はスポンジ状のマトリックス形成体としての役目が大きく、主に拡散により薬剤成分を放出する。
製剤(a)による徐放性錠剤型製剤はpHに依存しない。そのため、食品に関連した過量放出が起きる可能性という問題点は回避される。食品に関連した過量放出が摂取した患者に起こる問題は多数の要因があるが、例えば、胃の内容物や消化されたものに及ぼされる胃の機械的な力や、胃腸管のpH領域の差が原因となる。胃腸管のpH値は管の部位によって異なるだけでなく食物の摂取によっても異なるので、好ましくは、患者が絶食状態又は摂食状態にあるかにかかわらず、徐放性製剤は徐放性プロファイルを提供し、特に、過量放出を回避しなければならない。
徐放性経口製剤(a)による本発明のプラミペキソール成分は、薬剤血漿濃度の望ましくない変動又は完全な過量放出を回避できるように、その薬剤動態学的放出プロファイルが胃腸管を通る際に保持され、とりわけ胃腸管の異なる部位での過量放出を回避する。
製造、圧縮性、調剤の外観や風味を向上させるために、プラミペキソール又はその塩及び水膨潤性ポリマーのほかに、本発明の製剤は更に賦形剤、即ち、医薬的に許容できる配合剤を含有してもよい。これらの配合剤としては、例えば、希釈剤又は充填剤、流動促進剤、結着剤、造粒剤、凝結防止剤、潤滑剤、香味料、染料及び防腐剤が含まれる。当該分野で公知の他の従来からの賦形剤も混合することができる。
【0011】
充填剤は可溶性の充填剤から選択することができ、例えば、スクロース、ラクトース(とりわけラクトース一水和物)、トレハロース、マルトース、マンニトール及びソルビトールから選択することができる。様々なグレードのラクトースの使用が可能である。本発明で好適に使用されるラクトースの1つはラクトース一水和物200メッシュ(DMV社、オランダ、フェフヘル)である。別のラクトース一水和物として、ラクトース一水和物DCL 11(DMV社、オランダ、フェフヘル)も好適に使用することができる。DCLという表示は「Direct Compression Lactose(直接圧縮ラクトース)」を表す。数字11はメーカーの参照番号である。本発明に記載されているような水溶性の有効成分の場合、より好ましくは、アルファー化デンプン以外のデンプン及びデンプン誘導体、例えば、コーンスターチ、馬鈴薯デンプン、米デンプン又は小麦デンプン、微結晶セルロース、第二リン酸カルシウム二水和物及び無水第二リン酸カルシウム等の水不溶性充填剤を、好ましくはコーンスターチを、水溶性充填剤に加えて、又は、水溶性充填剤の代わりに用いることができる。充填剤の総質量パーセントは約5〜約75質量%の範囲である。
流動促進剤の使用により、錠剤成形時及び成形前の粉体流動性を向上させケーキングを抑えることができる。好適な流動促進剤としては、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、タルク、第三リン酸カルシウム等が含まれる。コロイド状二酸化ケイ素は、流動促進剤として錠剤の質量に対して約2%まで、好ましくは約0.2〜約0.8%の量で好適に含有させる。
潤滑剤を使用して、錠剤を形成する装置からの錠剤の離型性を改善することができる。例えば、上側パンチ表面への付着(「ピッキング」)又は下側パンチ表面への付着(「スティッキング」)を防ぐことによって離型性を改善することができる。好適な潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、カノーラ油、パルミトステアリン酸グリセリン、水素化植物油、酸化マグネシウム、鉱物油、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク、水素化植物油、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。態様の1つでは、ステアリン酸マグネシウムを潤滑剤として錠剤質量に対して約0.1〜約1.5%、好ましくは約0.3〜約1%の量で含有させる。
【0012】
マトリックス組成物中にさらに含有させることができる任意の配合剤には、ポリビドン;コポビドン;デンプン;アラビアゴム;ゼラチン;アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム等の海藻誘導体; セルロース、好ましくは微結晶セルロース、例えばエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体で、有用な乾式又は湿式の結着性及び造粒性を有するもの;ならびにタルク及びステアリン酸マグネシウム等の付着防止剤が挙げられる。
本発明の好ましい態様によると、選択的徐放性錠剤型製剤(a)のマトリックスは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(即ちヒプロメロース)及び更なる賦形剤を含有するか、これらから本質的になる。ヒドロキシプロピルメチルセルロースの量は、好ましくは10〜75質量%、特に好ましくは25〜65質量%、さらに好ましくは35〜55質量%である。更なる賦形剤の量は好ましくは90〜25質量%、特に好ましくは75〜35質量%、さらに好ましくは65〜45質量%である。
「本質的になる」という表現は、基本的には、記載の必須成分に加えて、その存在によって製剤の基本的な性状が影響を受けることはない他の成分の存在は排除しないという意味に解釈される。
本発明の態様のなかには、pH依存性放出プロファイルとなるものがある。錠剤からのプラミペキソール又はその塩の放出と、それに続く血流中への吸収は、剤形が胃腸管を通過している間に変動する可能性がある。そこで、製剤(b)は、pH<4.5の範囲では放出特性が速いpH依存放出特性を示し、4.5 ≦pH ≦7.5の範囲では放出速度が遅いpH非依存放出特性を示す。
【0013】
水膨潤性ポリマーについての前記詳細及び任意の賦形剤の選択と種類については、製剤(b)にもあてはめることができる。
さらに、アニオン性水膨潤性ポリマー、好ましくはアクリル酸重合物が製剤(b)においては必須であり、高分子量のアクリル酸重合物として公知のカルボマー又はCarbopol(登録商標)シリーズから好ましくは選択される。とりわけ好ましいのは、例えばカルボマー941(carbopol(登録商標)71 G、carbopol(商標登録)971)及びカルボマー934 (carbopol(登録商標)974)である。アクリル酸重合物は0.25〜25質量%、特に好ましくは0.5〜15質量%、さらに好ましくは1〜10質量%の範囲で含有させることが好適である。製剤(b)のpH依存性は、アニオン性水膨潤性ポリマーの存在、特に好ましくは、pH4.5以上の酸性pH領域とアルカリpH領域において際立った膨潤が想定されるアクリル酸重合物の存在に因る。
アクリル酸の量を増やすと放出速度が遅くなる。そのため、アクリル酸重合物の量を調整することにより、溶出プロファイルを所望通りに更に調整することが可能になる。アクリル酸重合物の量を0.25〜25質量%という好適な範囲に調整すれば、量及び/又は種類の異なるゲル形成剤、水膨潤性ポリマー、充填剤及び乾式結着剤で構成される様々な製剤において、それぞれに合った所望の溶出プロファイルをそれぞれ調整、維持することができるという有利な点が得られる。
本発明の好ましい態様によると、徐放性プラミペキソール錠剤型製剤のマトリックスは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アクリル酸重合物、及び更なる賦形剤を含むか、或いは、これらから本質的になる。ヒドロキシプロピルメチルセルロースの量は好ましくは10〜75質量%、特に好ましくは25〜65質量%、さらに好ましくは35〜55質量%である。アクリル酸重合物の量は好ましくは上記のとおりである。更なる賦形剤の量は90〜25質量%、特に好ましくは75〜35質量%、さらに好ましくは65〜45質量%である。任意であるがカルボキシメチルセルロースナトリウムを5〜50質量%、特に好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは15〜30質量%の範囲で更に含有させてもよい。
【0014】
有効成分としてのプラミペキソール又はその医薬的に許容できる塩は、患者にとって望ましい治療に適した量を含有させることができる。プラミペキソールの好適な塩は二塩酸塩で、さらに好ましいのは一水和物の形態である。プラミペキソールの塩は、通常約0.1〜約5mgである。特に好ましい態様によると、例えばプラミペキソール二塩酸塩一水和物0.750mgを、これは無水塩基0.524mgに対応するが、本発明の徐放性錠剤型製剤で用いる。しかしながら、プラミペキソール又は塩の量が、一度に投与できる少ない錠数で、例えば1〜約4錠という錠数で1日量を供給するのに十分な量でありさえすれば、有効成分の量は治療に適した上記以外の量にして使用することができる。好ましくは1日の総量を1錠にして送達するとよい。プラミペキソール塩の量は、プラミペキソール二塩酸塩一水和物同等物として表すと、1錠あたり約0.1〜約10mg、或いは、組成物の質量に対して約0.05〜約5質量%の量が通常好適となる。好ましくは1錠当たり約0.2〜約6mg、より好ましくは約0.3〜約5mgの量が含有されているとよい。1錠あたりのプラミペキソール二塩酸塩一水和物の特定の用量としては、例えば0.375、0.5、0.75、1.0、1.5、3.0及び4.5mgが挙げられる。治療上の有効量となる量は、治療対象の状態、その状態の重篤度、治療対象の患者によって異なる。
本発明の組合せにおけるプラミペキソール成分として好適な徐放性錠剤型製剤は、好ましくは以下の組成を有する。
プラミペキソール又はその塩 0.05〜5質量%
水膨潤性ポリマー 10〜75質量%
アクリル酸重合物 0〜25質量%
任意である更なる賦形剤 合計で100質量%となる量
【0015】
そこで、本発明によるプラミペキソール成分の特に好適な徐放性錠剤型製剤は、
0.1〜2質量%のプラミペキソール又はその塩、
25〜65質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、
0〜40質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウム、
0〜75質量%のアルファー化デンプン以外のコーンスターチ、
0〜15質量%のアクリル酸重合物、好ましくはカルボマー941、
0.5〜50質量%の賦形剤、好ましくはコロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、ラクトース一水和物、マンニトール、微結晶性セルロース、第二リン酸カルシウム無水物、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、コポビドン、タルク、マクロゴール、硫酸ドデシルナトリウム、酸化鉄及び二酸化チタンからなる群から選択される賦形剤、からなる。
アルファー化デンプン以外のデンプン、好ましくはコーンスターチが含有されている場合は、充填剤、流動促進剤等のいくつかの機能を同時に付与することができる。しかしながら、本発明の錠剤型製剤はデンプンを完全に排除した方が好ましく、その分は1種以上の上記の他の賦形剤で置き換えればよい。さらに、WO2004/010997でクレームされている錠剤を説明する固体断片における引張り強さが、少なくとも約0.15kNcm-2であるデンプンは本発明では必要とされない。
本発明の錠剤型製剤では被膜はない方が好ましい。しかしながら、本発明の徐放性錠剤は、非機能的被膜を有していてもよい。非機能的被膜は、例えばHPMC等のポリマー成分を、任意であるが例えば1種以上の可塑剤、着色剤等の他の成分と共に含有していてもよい。本願文脈における「非機能的」という用語は、錠剤の放出特性には実質的な影響を及ぼさないことを意味し、被膜は別の有用な目的を意図する。例えば、このような被膜により錠剤の外観を特徴的にしたり、包装や輸送の最中の摩滅を防いだり、飲み込みやすくしたり、及び/又は他の利点を付与することができる。非機能的被膜は錠剤を完全に被覆するのに十分な量を適用すればよい。通常、錠剤全体の質量に対し約1〜約10%、さらには約2〜5%が適している。
【0016】
本発明のプラミペキソール錠剤は適切な大きさと適切な形状にすることができ、例えば、丸型、楕円型、多角形又は枕状で、任意であるが非機能的な表面マーキングがあってもよい。本発明によると、徐放性錠剤は白からオフホワイト色で、楕円又は丸型の両凸面型が好ましい。
WO2006/015943のプラミペキソール含有製剤も、徐放性(又は緩慢放出)ペレットを含む一日一回の製剤であるが、繰り返すと、2つの選択的製剤成分により、pH値に依存又は非依存の放出速度が異なるタイプにすることが可能である。
本発明のこの態様の態様の1つは、プラミペキソール及びその医薬的に許容できる塩から選択される有効成分と、少なくとも1種の放出制御用賦形剤とを含む徐放性ペレットに関する。
該ペレットにおいて、有効成分プラミペキソールは少なくとも1種の放出制御用賦形剤で形成されたマトリックス中に包埋されていることが好ましく、この賦形剤は好ましくは脂質類、ワックス類及び水不溶性ポリマー類から選択される。
また、コアと被膜を有する徐放性ペレットで、少なくとも1種の放出制御賦形剤が被膜中に混入されているものも好ましい。
また、有効成分がコアに混入されている徐放性ペレットが好ましい。
また、被膜が少なくとも第1層と第1層を取り囲む第2層とを有し、第1層が有効成分を含み、第2層は、好ましくはエチルセルロース、酢酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート及びアンモニオメタクリレート共重合体から選択される少なくとも1種の放出制御賦形剤を含有する、徐放性ペレットが好ましい。
【0017】
第2層が、好ましくはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン及びポリエチレングリコールから選択される、少なくとも1種の水溶性賦形剤をさらに含む徐放性ペレットがさらに好ましい。
第2層が、好ましくはメタクリル酸共重合体タイプA及びタイプBから選択される腸溶コーティングポリマーをさらに含む徐放性ペレットが特に好ましい。
第2層が、約10〜約85質量%の腸溶コーティングポリマーと約15〜約75質量% の水不溶性ポリマーとを含む徐放性ペレットがとりわけ好適である。
コアがサッカロース等の糖類、デンプン、セルロース及びセルロース誘導体、好ましくは微結晶セルロースを含む徐放性ペレットがさらに好ましい。
本発明の別の態様は、
- 不活性ペレットコアと、
- 有効成分層であって、プラミペキソール又はその医薬的に許容できる塩を含有し、任意で1種以上の湿式結着剤及び他の賦形剤を有していてもよい第1層と、
- 第1層の上に設けられた第2層であって、
(1)少なくとも1種の水不溶性ポリマーを含有し、任意で細孔形成剤を含み、得られるペレットがpH非依存型イン・ビトロ放出特性を有するか、或いは、
(2)pH依存型腸溶コーティングポリマーとpH非依存型水膨潤性ポリマーとの混合物を含み、得られるペレットがpH6.8までの酸性pH値においてはほぼゼロ次のイン・ビトロ放出特性を有し、pH6.8を超えると加速放出となり、pH7.3を超えるとさらに加速された放出となる、徐放性被膜である第2層とを有する徐放性ペレット製剤に関する。
【0018】
「層」という表現は、最も広い定義で解すべきであり、被膜、フィルム又は製薬分野で用いられる明確な厚みを有するいずれのタイプの(部分的又は全体的)囲繞(surrounding)物質も含む。
不活性ペレットコアと有効成分含有第1層とを用いずに、湿式押出又は溶融押出方法で有効成分を賦形剤と一緒に押出しでペレットを形成することもできる。
経口投与用の本発明による徐放性製剤(1)及び(2)は、所望の生体内血漿プロファイルを好ましくは1日1回投与で得るのに、いずれのイン・ビトロ放出特性とタイミングが最適であるかを選択及び評価することが可能である。そのため、2つの異なる製剤成分がペレット用に開発された。この2つの製剤成分は放出速度が異なるタイプであり、異なるpH依存性を利用することができる。薬剤の送達が徐放性であることにより、患者は1日1回投与で自分の症状の治療を行うことができ、患者にとって簡便性が向上し、薬をより正確に摂取することができるようになるので、この選択的製剤は患者にとって有利である。
「イン・ビトロ放出特性」又は「徐放性」又は「本質的になる」という用語は上記で定義したとおりである。
本発明の教示によると、異なるイン・ビトロ放出特性を示す2種の徐放性ペレット製剤を利用することができる。この2種の製剤は同じ構造を有する。即ち、不活性ペレットコアと、第1層と、第1層上に設けられた第2層がこの順番で構成され、第1層は、プラミペキソール又はその医薬的に許容できる塩を含有し、任意で結着剤と更なる賦形剤とを含んでいてもよい有効成分層を表し、第2層は、水不溶性ポリマーを細孔形成剤とともに含むか、或いは、胃液には耐えられる腸溶コーティングポリマーと非溶出性水膨潤ポリマーとの混合物を含有する機能被膜を示す。
本発明によると、「製剤(1)」とは、前記(1)で定義した第2層を有するペレット製剤と解され、「製剤(2)」とは、前記(2)で定義した第2層 を有するペレット製剤と解される。製剤(1)及び(2)の不活性ペレットコアと第1層組成物は同じになる。
【0019】
本発明の徐放性ペレット製剤(1)は、第2層中に水不溶性ポリマーを好ましくは細孔形成剤とともに採用することで、指数関数的(1次)イン・ビトロ放出特性となり、この特性は広い範囲でpH値とは無関係である。本発明の徐放性ペレット製剤(2)はpH依存性腸溶コーティングポリマーとpH非依存性水膨潤ポリマーとの混合物を採用し、得られる層はpH6.8までの酸性pH値においては幅広い時間にわたってほぼゼロ次のイン・ビトロ放出特性を有し、pH6.8を超えると加速放出となり、pH7.3を超えるとさらに加速された放出となる。後者の特徴は、薬剤の大部分がほぼゼロ次の放出を示すことにくわえ、薬剤放出が実質的になるまでにある一定の時間のずれがあることと、薬剤の大部分が放出された後は漸近線に到達するまでの放出プロファイルが平坦になることである。このため、プロファイルはシグモイド、即ちS字型の溶出プロファイルになる。
ほぼゼロ次のイン・ビトロ放出特性は、実質的に一定の上昇勾配を示す。
本発明の選択的ペレット製剤(1)及び(2)のどちらにも存在する不活性ペレットコアは、糖類、好ましくは多糖類、セルロース又はセルロース誘導体、デンプン及び/又はワックスを含有する。コアが糖類(好ましくは多糖)又はセルロースからなるか、本質的になる場合が好ましく、とりわけ好ましくはサッカロース又は微結晶セルロースである。最も好ましいのは微結晶セルロースである。コアの大きさは、0.1〜3.0mm、好ましくは0.5〜1.5mmの篩分級物であるとよい。
不活性ペレットコアが微結晶性セルロースからなるか、或いは、微結晶セルロースで本質的になる場合は、他のコア材料、例えば、サッカロースでコアを構成する場合と比べて、上に設けられる第2層の厚みをかなり薄くしてもよいことがわかった。そのため、放出調整剤ポリマーの量、全体の塗布量、ならびに塗布用分散液又は溶液の塗布工程所要時間を著しく減らすことができる一方、有効成分の放出プロファイルも保持できる。これに関連した有利な点は、賦形剤や溶剤材料の使用量を減らし、工程所要時間を削減できるところであるため、この態様はコスト削減ができる。
【0020】
「本質的になる」という表現は、基本的には、記載の必須成分に加えて、他の成分もその存在が製剤の基本的な性状に影響を与えない成分(賦形剤が含まれる)は、その存在を排除しないという意味に解釈される。
本発明のペレット製剤(1)及び(2)によると、プラミペキソール又はその医薬的に許容できる塩を含み、任意で1種以上の結着剤や更なる賦形剤を含有してもよい第1層又は被膜が不活性コアペレット上に設けられる。第1層又は被膜の厚みは、通常0.5〜25μm、好ましくは1〜5μmである。
有効成分プラミペキソール又はその医薬的に許容できる塩は、患者が所望する治療に適した量を含有させることができる。プラミペキソールの好適な塩は二塩酸塩で、最も好ましいのは、一水和物の形態である。一用量単位中の通常のプラミペキソール塩の量は、約0.1〜約5mgである。好ましい態様によると、例えば、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.750mgの場合、0.524mgの無水塩基に対応するが、カプセルに充填され、圧縮されて錠剤になる全ペレットで所望の投与量(dose strengths)となることを斟酌して、本発明の徐放性カプセル又は錠剤型製剤中に用いる。好ましくは、徐放性ペレットは硬質カプセルに充填するだけでなく、ペレットを更なる賦形剤と一緒に圧縮して錠剤化することも可能である。
しかしながら、プラミペキソール又は塩の量はカプセル1個の中に存在する整数個のペレットであるが、一度に投与できるカプセルの数として例えば1〜約4カプセルという少ないカプセル数で1日量を提供するのに十分でありさえすれば、上記以外の治療に適した有効成分量にして使用することができる。好ましくは、1日の総量は1カプセルで送達するとよい。プラミペキソール塩の量は、プラミペキソール二塩酸塩一水和物同等物として表すと、1カプセルあたり約0.1〜約10mg、或いは、組成物において約0.05〜約5質量%の量が通常好適となる。好ましくは、1カプセルあたり約0.2〜約6mg、より好ましくは約0.3〜約5mgの量が含有されているとよい。1カプセルあたりの特定の用量としては、プラミペキソール二塩酸塩一水和物を例えば0.375、0.5、0.75、1.0、1.5、3.0及び4.5mg含む。治療上の有効量となる量は、治療対象の状態、その状態の重篤度、治療対象の患者によって異なる。
【0021】
第1層に含まれる結着剤は、製薬分野で使用される好適ないずれの湿式結着剤でもよい。 例としては、水と接触して膨潤して接着する親水性ポリマーが挙げられる。これらのポリマーの粘度は、好ましくは1〜1,000mPa・s(20℃における2%水溶液の見掛粘度)である。このようなポリマーの例としては、メチルセルロース等のアルキルセルロース類;例えばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシブチルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース類;ヒドロキシエチルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等のヒドロキシアルキルアルキルセルロース類;カルボキシメチルセルロース等のカルボキシアルキルセルロース類;カルボキシメチルセルロースナトリウム等のカルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩類;カルボキシメチルエチルセルロース等のカルボキシアルキルアルキルセルロース類;カルボキシアルキルセルロースエステル類;他の天然、半合成又は合成多糖類、例えば、アルギン酸、そのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、カラギーナン、ガラクトマンナン、トラガカントゴム、寒天、アラビアゴム、ガーゴム、キサンタンゴム、デンプン類、カルボキシメチルアミロペクチンナトリウム等のペクチン類、 キトサン等のキチン誘導体、ポリフルクタン、イヌリン; ポリアクリル酸及びその塩類;ポリメタクリル酸及びその塩類、メタクリレート共重合体;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体;ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの混合物;ポリエチレンオキサイド及びポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド類ならびにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体が挙げられる。
好適な結着剤は多糖類であり、なかでもセルロース誘導体が好ましく、さらにはセルロースエーテル誘導体が好適である。最も適したセルロースエーテル誘導体はヒドロキシプロピルセルロースである。
【0022】
粘度グレードが異なるヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが市販されている。本発明で湿式結着剤として好ましく使用されるヒドロキシプロピルメチルセルロースの粘度グレードは、約3〜約1,000mPa・s、特には約3〜約20mPa・s、好ましくは粘度グレードが約4〜約18mPa・s(20℃における2%水溶液の見掛粘度)で、例えばヒプロメロース 2910(DOW社、ベルギー、アントワープ)である。
粘度1,500mPa・s未満(20℃における1%水溶液の見掛粘度)のヒドロキシプロピルセルロースが好ましく、特に、粘度範囲が約75〜約150mPa・s(5%水溶液)のヒドロキシプロピルセルロースが好ましく、さらに300〜600mPa・s(10%水溶液)、例えばKlucel EFO (Hercules社、米国、ウィルミントン)が好ましい。
本発明のペレット製剤(1)及び(2)の第1層における結着剤の量は、好ましくは0〜約30質量%、さらに好ましくは約10〜約20質量%である。また、結着剤を組み合わせて使用してもよい。
プラミペキソール成分タイプの好ましい態様によると、徐放性ペレット製剤の選択肢(1)及び(2)の第1層は、ヒドロキシプロピルセルロース、プラミペキソール又はその医薬的に許容できる塩及び賦形剤を含むか、或いは、これらで構成される。ヒドロキシプロピルセルロースの量は、好ましくは1〜30質量%、特に好ましくは5〜25質量%、さらに好ましくは10〜20質量%である。賦形剤の量は、好ましくは1〜40質量%、特に好ましくは2〜25質量%、さらに好ましくは5〜15質量%である。
プラミペキソール又はその塩及び結着剤のほかに、本発明の製剤(1)及び(2)いずれの第1層又は被膜も、賦形剤、即ち、医薬的に許容できる配合剤を含有してもよく、調剤の製造塗工性を促進することができる。配合剤には、例えば、流動促進剤、付着防止剤、結着剤、造粒剤、凝結防止剤及び潤滑剤が含まれる。この分野で公知の他の従来からの賦形剤も包含される。
【0023】
流動促進剤及び付着防止剤は、スプレー工程中の製造加工を向上させ、ペレット同士のスティッキングやピッキングを防止する。好適な流動促進剤はコロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、デンプン、タルク、第三リン酸カルシウム等が含まれる。好ましい態様においては、タルクが第1層の質量に対して約25質量%まで、好ましくは約5〜約15質量%の量で流動促進剤/付着防止剤として含有される。
ワックス類、脂質類及び水不溶性ポリマーを放出制御剤として使用することができる。
好適なワックスとしては、脂肪酸や脂肪アルコール又はステロールのエステル類ならびにその誘導体及び機能的類似物として化学的に定義される化合物が含まれる。通常、脂肪酸部位の鎖長さは少なくとも炭素原子約8個であり、さらには少なくとも約12個の炭素原子である。ワックス類は室温では可塑性のある固体であるが、比較的低い融点、例えば約80〜100℃より低い融点を有することが非常に多い。通常、ワックスは固形脂肪よりも幾分脆く、脂分が少ない。つい最近まで、この定義とは化学的に異なるが特性が同様である化合物もワックスとされていた。このようなワックス類又は機能的類似物も本発明では使用できる。潜在的に適したワックス及びワックス類似物の例としては、白色及び黄色蜜蝋、カルナウバワックス、マイクロクリスタリンワックス、鯨蝋、カンデリラ蝋、 飽和脂肪酸エステル類、サトウキビ蝋、パラフィンワックス、カスターワックス、非イオン性又はアニオン性乳化蝋、セチルエステルワックス、ラノリン等のワックス混合物が含まれる。上記好適なワックスの中で、蜜蝋、カルナウバワックス、飽和脂肪酸エステル及びマイクロクリスタリンワックスが好ましい。
【0024】
好適な脂質としては、グリセリドと同様の特性を有する天然又は合成原物質による親油性化合物又は混合物、リン脂質、スフィンゴ脂質、セラミド、ステロール、ステロイド及びカロチノイド等の他の天然脂質が包含される。脂質は室温で固体又は液体で、液体の状態で粘性があることもある。本発明の実施に使用される脂質は室温で固体であることが好ましく、液体脂質も混合物として、例えば固体脂質又はワックスとの混合物にして使用するとよい。有用と考えられる脂質の例は、モノグリセリド、ジグリセリド、飽和もしくは不飽和脂肪酸のグリセリド、例えば、水素化されていてもよい植物油又は部分水素化されていてもよい植物油(たとえば、落花生、ヒマ(castor)、ココナツ、綿実、椰子、大豆)、食用脂、硬質脂、ベヘン酸グリセリン、ステアリン酸グリセリン、パルミチン酸グリセリン;ステアリン酸、ベヘン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、アラキジン酸、リノレン酸、リノール酸、アラキドン酸及びエルカ酸等の脂肪酸;前記脂肪酸に対応する脂肪アルコールで、特にはセチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール及びパルミチルアルコール;ソルビタン又はポリオキシエチレンで変性された、グリセリド、脂肪酸又は脂肪アルコール;ならびにレシチン又はホスファチジルコリン等のリン脂質が挙げられる。特に適した脂質は、食用脂、硬質脂、水素化落花生油、水素化ひまし油、水素化ココヤシ油、水素化綿実油、水素化パーム油、水素化大豆油、ベヘン酸グリセリン、ステアリン酸グリセリン、パルミチン酸グリセリン、ステアリン酸、ベヘン酸及びパルミチン酸をはじめとする、固体又は少なくとも部分水素化トリグリセリドである。
好適な水不溶性ポリマーには、本発明の製剤用に以下に定義する水不溶性ポリマーが含まれる。
ペレット製剤に更に含有することができる任意の配合剤としては、ポリビドン;デンプン;アラビアゴム;ゼラチン;アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム等の海藻誘導体;セルロース、好ましくは微結晶セルロース、セルロース誘導体、例えばエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の有用な結着性と造粒性とを有するものを挙げることができる。
【0025】
本発明のペレット製剤(1)によると、第2層は第1層上に設けられ、第2層は機能層であり、少なくとも1種の水不溶性ポリマーと好ましくは細孔形成剤とを含有する徐放性被膜又はフィルム被膜であって、結果として得られるペレットはpH非依存性イン・ビトロ放出特性を有する。そのため、第2層は細孔を有する不溶性拡散ラッカーであり、これにより、実質的にpH非依存性イン・ビトロ放出特性を有するペレット製剤(1)が指数関数的(1次)イン・ビトロ放出特性になる。pH非依存性放出特性は、その放出特性がpHの異なる媒体においても実質的に同じであることを示す。
水不溶性ポリマーとは、溶媒1,000部において1部未満、好ましくは溶媒10,000部において1部未満が溶解する水溶性を有するポリマーと定義される。
ペレット製剤(1)による放出制御を行う第2層、被膜又はフィルムは、1種以上の疎水性又は水不溶性ポリマー、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロースポリマー;酢酸セルロース、ポリ酢酸ビニル等のセルロースエステル類;アンモニオメタクリレート共重合体タイプB等のアクリル酸及びメタクリル酸ならびにそれらのエステル類の重合体や共重合体を含有する。特に好ましいのはエチルセルロースである。
疎水性又は水不溶性成分は好ましくはエチルセルロースであるが、この成分がペレットの質量全体に対して通常約1〜約25質量%、好ましくは約3〜約10質量%を占めることが好ましいが、これは上記のごとく微結晶セルロースペレットを使用する場合である。糖類ペレットを用いる場合は、更に多い量のエチルセルロースが必要となることがある。
第2層は1種以上の細孔形成剤を含有することができ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のより水溶性のポリマー(more water soluble polymers)、ポリビニルピロリドン及びポリエチレングリコールのような高水溶性ポリマー、又は、ラクトース及びマンニトール等の他の水溶性賦形剤を含有することができる。特に好適な細孔形成剤はポリエチレングリコール(例えばMacrogol 6000)である。細孔形成剤の量は、層、被膜又はフィルムの質量に対して40質量%までが適しており、好ましくは25質量%までである。ポリエチレングリコールのような細孔形成剤は可塑剤としても機能する。即ち、このような賦形剤の可塑剤及び/又は細孔形成剤としての機能は、明確に区別することができない。
【0026】
第2層は前記の医薬的に許容できる更なる賦形剤を含有してもよく、可塑剤、染料及び付着防止剤の使用が好ましい。特に好ましい可塑剤はポリエチレングリコール類(例えばMacrogol 6000)、トリアセチン及びクエン酸トリエチルである。可塑剤の量は、該層、被膜又はフィルムの質量の25質量%までが適当である。付着防止剤は、タルク及びステアリン酸マグネシウム等が使用できる。
製剤(1)による徐放性ペレット製剤はpHとは無関係である。そのため、危険性のある食品に関連した過量放出という問題が起こるのを防止する。食品に関連した過量放出が摂取した患者に起こる問題には多数の要因があるが、例えば、胃の内容物や消化されたものに及ぼす胃の機械的な力や、胃腸管のpH領域の差が原因となる。胃腸管内で遭遇するpH値は、管の部位によって異なるだけでなく食物の摂取によっても異なるので、好ましくは、徐放性製剤は徐放性プロファイルを提供し、特に、患者が絶食状態又は摂食状態にあるかにかかわらず過量放出を回避しなければならない。
そのため、本発明による経口徐放性製剤(1)は、薬剤血漿濃度の望ましくない変動又は完全な過量放出を回避するために、胃腸管を通過する際にその薬剤動態学的放出プロファイルを保持し、とりわけ胃腸管の違う部位で過量放出が起こるのを防ぐ。
選択的ペレット製剤(2)は、不活性ペレットコア及び第1層組成物に関しては製剤(1)で定義したものと同じ構造を有するが、第2層又はフィルム被膜組成物は異なる。製剤(2)の第2層は、pH依存性腸溶コーティングポリマーとpH非依存性水膨潤ポリマーとの混合物を含有するか、或いは、該混合物から本質的になり、得られるペレットはpH6.8までの酸性pH値においてはほぼゼロ次のイン・ビトロ放出特性を有し、pH6.8を超えると加速放出となり、pH7.3を超えるとさらに加速された放出となる。
【0027】
pH依存性腸溶コーティングポリマーはアニオン性ポリマーが好ましく、より好ましくは、pH5.5を超えると、さらに好ましくはpH7.0を超えると溶出するカルボキシル基を有するアニオン性アクリルポリマーである。アニオン性ポリマーとは、pHによる解離で陰性基をもつポリマーを意味する。本発明の目的のためには、このようなポリマーはpH5.5以上で溶出するとよく、好ましくはpH7.0以上で溶出するとよい。カルボキシル基を有するアニオン性アクリルポリマーは、部分メチルエステル化メタクリル酸ポリマーから選択されることが好ましい。好適な部分メチルエステル化メタクリル酸ポリマーは、Eudragit L及びEudragit Sという商品名で販売されており、Eudragit S100及びL100が好ましくは用いられる。
水不溶性で、pH非依存性膨潤ポリマーは、好ましくは第四アンモニウム置換アクリルポリマーから選択される。このようなポリマーは、Eudragit RS及びEudragit RLという商品名で販売されているが、これらはアンモニウム置換基をそれぞれ約5質量%と約10質量%含む。Eudragit RS 100が好適に用いられる。
該層又は被膜中、カルボキシル基を有するアニオン性アクリルポリマーのような腸溶コーティングポリマーが該層又は被膜の10〜85質量%含まれ、かつ、水不溶性でpH非依存性膨潤ポリマーが第四アンモニウム置換アクリルポリマーから選択され、該層又は被膜の15〜75質量%含まれる場合が特に好適である。放出プロファイルの放出速度、即ち、例えば薬剤の50%が溶出するまでの時間やpH依存性の程度に関しては、調剤中に処理されるポリマーの量及び比率によって調整することができる。一般に、pH値が6.8を超えたところで所望の加速溶出特性を得るには、カルボキシル基を有するアニオン性アクリルポリマー、例えばEudragit S 100が第四アンモニウム置換アクリルポリマーより過剰となることが必要である。
第2層、被膜又はフィルムの厚みは、通常、5〜80μm、好ましくは20〜60μmである。
【0028】
本発明の製剤(2)による第2機能層は、小腸の通過時間がどちらかというと一定で、約2〜5時間であるという事実を利用している。本発明によると、幽門において酸性からほぼ中性にpHが変化することを、該層の物理的状態を変化させて最終的に有効成分の放出を加速させるトリガー機構として用いている。そのため、大部分の薬剤分が小腸、及び、大腸よりも優先的に腸組織の下部である結腸で製剤から放出される。製剤(2)による層又は被膜があることによって、腸下部の生理学的にpHのより高い条件下でプラミペキソール又はその医薬的に許容できる塩の放出が加速されるので、それによってバイオアベイラビリティーの損失を抑え、胃腸管移動時間がより短い状況でpH非依存放出システムで典型的に見られる変動性が増加する。
本発明の好ましい態様によると、細孔形成成分が製剤(2)の第2層又はフィルム被膜中に存在してもよい。細孔形成成分は水溶性ポリマーからなる群から選択されればよく、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体から選択されればよく、好ましくはヒドロキシプロピルセルロースで、Klucelシリーズから選択されることが好ましい。細孔形成成分は通常、第2層中のポリマー混合物の質量に対して約1〜約25質量%、好ましくは約2〜約10質量%含有される。
特に好ましい細孔形成成分は、粘度が約150〜約700mPa・s、好ましくは200〜600mPa・sのヒドロキシプロピルセルロースで、例えばKlucel EF又はLF等のKlucelシリーズ(Hercules社、米国、ウィルミングトン)から選択されるとよい。
【0029】
ポリマー細孔形成成分は拡散孔を形成することにより、酸性からアルカリ性の媒体への変化に伴い水和が促進され、層又はフィルム被膜のリバッファー(rebuffering)特性が変わり、結果、pH>7.3の範囲で有効成分プラミペキソール又はその塩が該層又は被膜を加速的に貫通する。
そのため、細孔形成成分が存在することにより、放出特性が促進され、放出が速くなるという更なる利点が提供される。即ち、第2層の効果が著しく向上する。
好ましい態様によると、徐放性ペレット製剤は以下の組成を有する。
不活性ペレットコア:
サッカロース又は微結晶セルロース 90〜100質量%
賦形剤 0〜10質量%
第1層:
プラミペキソール又はその塩 50〜100 %質量%
結着剤 0〜30質量%
賦形剤 0〜50質量%
第2層:
水不溶性ポリマー 50〜99質量%
賦形剤 1〜50質量%
又は
pH依存性腸溶コーティングポリマー 10〜85質量%

pH非依存性水膨潤性ポリマー 15〜75質量%
との混合物
賦形剤 1〜50質量%
【0030】
第1層及び第2層又は被膜は、プラミペキソール又はプラミペキソール塩の放出速度を最適に調整できるようにするために、できるだけ均一な厚みで設けられるとよい。
ペレットを押出で形成する場合、以下の組成物が非常に好ましい。
湿式押出:
微結晶セルロース、粉末セルロース又はデンプンをプラミペキソールとともに必要量の薬剤を送達できる割合で混合して、充填の再現性と許容できるカプセルのサイズに関して適切な数のペレットにする。水だけを添加するか、或いは、ポビドン又はメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の結着剤を含有する水を添加して押出を行う。所望の放出速度を得るために、ラクトース、微結晶セルロース、デンプン等の他の賦形剤を加えることも可能である。
溶融押出:
溶融押出は、融点が40〜120℃の親水性又は親油性化合物のいずれかで行われる。適切な例としては、ポリエチレングリコール2000〜10000、ポリオキサマー(poloxamer)188、カルナウバワックス、硬化ひまし油、ステアリルアルコール、セチルアルコール及びこれらの混合物が挙げられる。所望の放出速度を得るために、ラクトース、微結晶セルロース、デンプン等の他の賦形剤を添加することができる。
その後、こうしてできたペレットに、不活性スタータとそのまわりに吹き付けられた薬剤層とからなるからなるペレットのところで記載したような遅延ラッカー(retarding lacquers)を塗布する。
適切な徐放性を有する押出成形ペレットを得るために、遅延ラッカーがなくても好適な賦形剤がある。これら賦形剤としては、例えば、親油性ペレット用にはカルナウバワックス、硬化ひまし油、これらの混合物、或いは、カルボポール、例えば部分メチルエステル化メタクリル酸ポリマー等のカルボキシル基を有するアニオン性アクリルポリマーが挙げられる。好適な部分メチルエステル化メタクリル酸ポリマーは商品名Eudragit L及びEudragit Sとして市販されており、Eudragit S100及びL100が好適に使用される。
【0031】
徐放性ペレットの大きさは、直径0.2 〜3mm、好ましくは0.5〜1.5mm、さらに好ましくは0.7〜1.0mmとすることができる。本発明ではペレットを硬質カプセルに充填することが好ましい。徐放性カプセルの大きさ、形状及び色は任意である。例えば、投与量が0.75mgの場合は、カプセルはNo.3の大きさが好ましく使用される。カプセルの殻は通常ヒドロキシプロピルメチルセルロース(いわゆるHPMC又は植物性カプセル)又はゼラチンでできている。通常、本発明のカプセルにはペレットが充填されるが、例えば、150個を超える徐放性ペレットが充填される。各ペレットは、不活性(スタータ)コアペレット、有効成分層及び徐放性フィルム被膜で構成される。1個のカプセル中、ペレットに含有されたプラミペキソール又はその医薬的に許容できる塩の量は、1回の投与で1日量を提供するのに十分な量であることが好ましい。
或いは、微結晶性セルロース、カラギーナン及びアルギン酸塩等の充填剤や結着剤、また、グリコール酸デンプンナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)等の崩壊剤、流動促進剤や潤滑剤等の更なる賦形剤と共に徐放性ペレットを混合し、圧縮して錠剤にすることができる。
さらに本発明は、パーキンソン病及びパーキンソン病に関連した合併症又は障害用の別な治療薬を一緒にした医薬組成物を調製するための、本発明による徐放性ペレット又はカプセルの使用に関する。
前述のプラミペキソール含有徐放性製剤は、パーキンソン病治療の従来の選択肢と一緒に投与することができるが、これらの有効成分は、
−抗パーキンソン病抗コリン作用薬、
−COMT-阻害剤、
−MAO-B-阻害剤、
−ベータ遮断剤、
−DCC-阻害剤、
−アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の少なくとも1種から選択される。
【0032】
下記から選択される少なくとも1種の他の有効成分を一緒にした前記プラミペキソール錠剤の組成物が好ましい。
−L-DOPA、
−エンタカポンまたはトルカポンと組合わせたL-DOPA、
−カルビドーパ、
−ベンセラジド、
−エンタカポン、
−トルカポン、
−アマンタジン、
−セレギリン、
−ラサギリン、
−アジレクト、
−デプレニル、
−コムタン、
−プロプラノロール、
−サフィナミド
−ドネゼピル(donezepil)。
【0033】
この組成物は、好ましくは少なくとも2種の物理的に別個の医薬製剤からなり、1つはプラミペキソールを含む製剤であり、第2の製剤は前述の群の組成物のパートナー薬剤を含む製剤である。2つの製剤は同じ時点で同じ回数にして摂取する必要はない。この任意な組成物の有利なところは、当業者、即ち、医師が患者の必要に応じてそれぞれの製剤パートナーの投与量や投与回数を別個に調整できることである。
本発明の組成物の各構成要素の投与単位(錠剤、カプセル剤等)を容器に包装して、適切な情報、例えば、用量や投与情報、禁忌、注意事項、薬剤相互作用及び副作用等を示す添付文書をそえることができる。
別の態様では、患者にとって取扱いやすくするために、該組成物を1つの包装にして提供するか、或いは物理的に連結(キット又は部品からなるキット)させることもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーキンソン病、特に、進行したパーキンソン病の治療用医薬品を製造するための、パーキンソン病治療の従来の選択肢と組み合わせた、アルファー化デンプン以外の少なくとも1種の水膨潤性ポリマーを含むマトリックス中にプラミペキソール又はその医薬的に許容できる塩を含有する徐放性錠剤型製剤の使用。
【請求項2】
パーキンソン病の治療用医薬品を製造するための、パーキンソン病治療の従来の選択肢と組み合わせた、プラミペキソール又はその医薬的に許容できる塩をマトリックス中に含有する徐放性錠剤型製剤の使用であって、前記マトリックスが、
(a) アルファー化デンプン以外の少なくとも1種の水膨潤性ポリマーを含み、さらに賦形剤を含有していてもよく、得られる錠剤がpH1〜7.5でpH非依存性イン・ビトロ放出特性を示すか、又は、
(b) 少なくとも一種の水膨潤アニオン性ポリマーを含み、さらに賦形剤を含有していてもよく、得られる錠剤が、pH<4.5では放出速度が速いpH依存放出特性を示し、pH4.5〜7.5では放出速度が遅いpH非依存放出特性を示すことを特徴とする使用。
【請求項3】
前記プラミペキソール徐放性錠剤の前記マトリックスが、アルファー化デンプン以外の少なくとも1種の水膨潤性ポリマーと水膨潤アニオン性ポリマーとを含み、さらに賦形剤を含んでいてもよく、得られる錠剤がpH<4.5では放出速度が速いpH依存放出特性を示し、pH4.5〜7では放出速度が遅いpH非依存放出特性を示す、請求項1又は2記載の使用。
【請求項4】
パーキンソン病、特に、進行したパーキンソン病の治療用医薬品を製造するための、パーキンソン病治療の従来の選択肢と組み合わせた、プラミペキソール及びその医薬的に許容できる塩から選択される有効成分と、少なくとも1種の放出制御用賦形剤とを含有する徐放性ペレットの使用。
【請求項5】
パーキンソン病、特に、進行したパーキンソン病の治療用医薬品を製造するための、パーキンソン病治療の従来の選択肢と組み合わせた、徐放性ペレットの使用であって、前記徐放性ペレットが、
不活性ペレットコアと、
プラミペキソール又はその医薬的に許容できる塩を含み、さらに1種以上の湿式結着剤及び更なる賦形剤を含んでいてもよい、有効成分層である第1層と、
前記第1層上に設けられた第2層であって、
(a)少なくとも1種の水不溶性ポリマーを含み、さらに細孔形成剤を含んでいてもよく、得られるペレットがpH非依存性イン・ビトロ放出特性を有する徐放性被膜である前記第2層か、又は、
(b)pH依存性腸溶コーティングポリマーとpH非依存性水膨潤ポリマーとの混合物を含み、得られるペレットがpH6.8までの酸性pH値においてはほぼゼロ次イン・ビトロ放出特性を有し、pH6.8を超えると加速放出であり、pH7.3を超えると更に加速放出である、徐放性被膜である前記第2層と
を含有することを特徴とする前記使用。
【請求項6】
前記パーキンソン病治療の従来の選択肢が、パーキンソン病を治療するのに薬理学的に有効な量の、抗パーキンソン病抗コリン作用薬、COMT-阻害剤、MAO-B-阻害剤、ベータ遮断剤、DCC-阻害剤、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤から選択される少なくとも1種の成分を含む医薬組成物を含有する、請求項1〜11のいずれか1項記載の使用。
【請求項7】
前記パーキンソン病治療の従来の選択肢が、パーキンソン病を治療するのに薬理学的に有効な量の、カルビドーパ、ベンセラジド、エンタカポン、トルカポン、アマンタジン、セレギリン、ラサギリン、アジレクト、デプレニル、コムタン、プロプラノロール、L-DOPA、エンタカポン又はトルカポンと組合わせたL-DOPAから選択される少なくとも1種の成分含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載の使用。
【請求項8】
前記パーキンソン病治療の従来の選択肢が、パーキンソン病を治療するのに薬理学的に有効な量の、カルビドーパ、ベンセラジド、エンタカポン、トルカポン、アマンタジン、セレギリン、ラサギリン、アジレクト、デプレニル、コムタン、プロプラノロール、エンタカポン又はトルカポンと組合わせたL-DOPAから選択される少なくとも1種の成分を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載の使用。
【請求項9】
前記パーキンソン病治療の従来の選択肢が、パーキンソン病を治療するのに薬理学的に有効な量の、カルビドーパ、ベンセラジド、エンタカポン、トルカポン、アマンタジン、セレギリン、ラサギリン、アジレクト、デプレニル、コムタン、プロプラノロールから選択される少なくとも1種の成分を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載の使用。
【請求項10】
前記パーキンソン病治療の従来の選択肢が、パーキンソン病を治療するのに薬理学的に有効な量の、エンタカポン、トルカポン、アマンタジン、セレギリン、ラサギリン、アジレクト、デプレニル、コムタン、プロプラノロールから選択される少なくとも1種の成分を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項記載の使用。
【請求項11】
前記パーキンソン病治療の従来の選択肢が、パーキンソン病を治療するのに薬理学的に有効な量の、サフィナミド、ドネゼピルから選択される少なくとも1種の成分を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項記載の使用。
【請求項12】
前記プラミペキソールが第1の医薬組成物に含まれ、組み合わせる相手が第2の医薬組成物に含まれていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項記載の使用。
【請求項13】
前記2つの医薬組成物が物理的に別々のパッケージに包装されていることを特徴とする、請求項11記載の使用。
【請求項14】
前記2つの医薬組成物が物理的に連結したパッケージに包装されていることを特徴とする、請求項11記載の使用。

【公表番号】特表2010−525018(P2010−525018A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504661(P2010−504661)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/054854
【国際公開番号】WO2008/129043
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】