説明

プランジャポンプ

【課題】部品点数を削減することができ、部品の組み付け工数を削減することができるプランジャポンプを提供することを課題とする。
【解決手段】シリンダ孔10を有するポンプボディ100と、シリンダ孔10内で往復動するプランジャ30と、シリンダ孔10の開口部13を封止する有底筒状の封止部材20と、を備えるプランジャポンプ1であって、封止部材20は、周壁部21の一部を内方に折り曲げて形成した板ばね23を有し、周壁部21内に突出したプランジャ30に対して、板ばね23から押圧力を付与するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プランジャポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
偏心カムなどの駆動部材によってシリンダ孔内のプランジャ(ピストンとも呼ばれる)を軸方向に往復動させることで、吸入口からシリンダ孔内に吸入された液体を吐出口から吐出させるプランジャポンプがある。
このようなプランジャポンプは、シリンダ孔を有するポンプボディと、シリンダ孔内で往復動するプランジャと、シリンダ孔の開口部を封止する蓋部材と、蓋部材とプランジャとの間に介設されたコイルばねと、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2003−528244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来のプランジャポンプでは、蓋部材とコイルばねとが別体に設けられ、さらに、蓋部材およびプランジャには、ばね受け部材がそれぞれ取り付けられている。この構成では、プランジャポンプの部品点数が増加し、部品の組み付け工数が増加するという問題がある。
【0005】
本発明では、前記した問題を解決し、部品点数を削減することができ、部品の組み付け工数を削減することができるプランジャポンプを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、シリンダ孔を有するポンプボディと、前記シリンダ孔内で往復動するプランジャと、前記シリンダ孔の開口部を封止する有底筒状の封止部材と、を備えるプランジャポンプであって、前記封止部材は、周壁部の一部を内方に折り曲げて形成した板ばねを有し、前記周壁部内に突出した前記プランジャに対して、前記板ばねから前記シリンダ孔の奥側に向けて軸方向に押圧力を付与するように構成されている。
【0007】
この構成では、シリンダ孔の開口部を封止する機能と、プランジャを押圧する機能とを単一の封止部材が一体的に備えているため、プランジャポンプの部品点数を削減することができ、部品の組み付け工数を削減することができる。
また、封止部材に形成された板ばねは、同等の弾性力を有するコイルばねと比べて、シリンダ孔の軸方向に小さく形成することができるため、プランジャポンプを小型化することができる。
【0008】
前記したプランジャポンプにおいて、前記封止部材よりも前記シリンダ孔の奥側に、前記プランジャに外嵌されるとともに、前記シリンダ孔の内周面に密着した環状のシール部材を設け、前記シール部材は、前記封止部材の開口縁部によって、前記シリンダ孔の開口部側への移動が規制されるように構成した場合には、封止部材がシール部材の抜け止め機能も兼ねるため、シール部材を保持するためのストッパを省略することができ、部品点数を更に削減することができる。
また、シール部材はシリンダ孔の内周面に保持され、シール部材がプランジャと共にシリンダ孔内で摺動しないため、プランジャをスムーズに往復動させることができる。
【0009】
前記したプランジャポンプにおいて、前記周壁部に複数の前記板ばねを形成し、前記各板ばねを前記周壁部の中心部を挟んで対向する位置に配置した場合には、各板ばねからプランジャに対してバランス良く押圧力が付与されるため、プランジャを安定して移動させることができる。
【0010】
前記したプランジャポンプにおいて、前記封止部材の前記周壁部および底部が、一つの板状の部材をプレス加工することで形成されている場合には、封止部材の製造工数を削減することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のプランジャポンプでは、複数の機能を単一の封止部材が一体的に有しているため、部品点数を削減することができ、部品の組み付け工数を削減することができる。したがって、プランジャポンプの製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態のプランジャポンプを示した側断面図である。
【図2】本実施形態のプランジャポンプを示した分解斜視図である。
【図3】本実施形態の封止部材を示した図で、(a)は側面図、(b)は開口部側から見た図である。
【図4】他の実施形態の封止部材を示した図で、(a)は二つの板ばねを対向させた構成の側断面図、(b)はその封止部材を開口部側から見た図、(c)は二つの板ばねを交差させた構成の側断面図、(d)はその封止部材を開口部側から見た図、(e)は二つの板ばねを平行させた構成の側面図、(f)はその封止部材を開口部側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態では、自動車などの車両に搭載されるブレーキ液圧制御装置の油圧発生装置として用いられるプランジャポンプを例として説明する。
【0014】
プランジャポンプ1は、図1に示すように、シリンダ孔10を有するポンプボディ100と、シリンダ孔10内に摺動自在に装着されるプランジャ30と、プランジャ30に外嵌されたシール部材40と、シリンダ孔10の開口部13を封止するとともに、プランジャ30を軸受穴130側に押圧する封止部材20と、を備えている。
このプランジャポンプ1は、シリンダ孔10内でプランジャ30が往復動することにより、吸入口110からシリンダ孔10内のポンプ室16に吸入されたブレーキ液を吐出口120から吐出するように構成されている。
【0015】
ポンプボディ100は、車両に搭載される略直方体の金属部品であり、その内部にはシリンダ孔10や軸受穴130などの複数の穴によって液路が形成されている。
【0016】
軸受穴130には、偏心カム140が収められている。偏心カム140は、ポンプボディ100に取り付けられた電動モータ(図示せず)の出力軸に設けられている。この偏心カム140の中心位置は、軸受穴130に対して同心に配置された出力軸の軸中心に対して偏心しており、偏心カム140は出力軸の回転に伴って、出力軸の軸中心回りに回転する。
【0017】
シリンダ孔10は、円形断面の孔部であり、一端は軸受穴130に連通しており、他端にはポンプボディ100の一面101に開口した開口部13が形成されている。すなわち、シリンダ孔10は、ポンプボディ100の一面101から中心部に向けて図1の左右方向に形成されている。
【0018】
シリンダ孔10の軸線方向の中間位置よりも軸受穴130側の部位には、円筒状の縮径部11が形成され、シリンダ孔10の軸線方向の中間位置よりも一面101側の部位には、段付き円筒状の拡径部12が形成されている。
【0019】
拡径部12の内周面には、吸入口110および吐出口120が開口している。
吸入口110は、ポンプボディ100内の吸入液路110Aに通じており、吸入液路110Aから吸入口110を通じて、拡径部12内にブレーキ液が吸入される。
吐出口120は、ポンプボディ100内の吐出液路120Aに通じており、拡径部12内のブレーキ液は、吐出口120を通じて吐出液路120Aに吐出される。
【0020】
吸入液路110Aには、拡径部12内へのブレーキ液の流入のみを許容する逆止弁である吸入弁60が設けられている。
吸入弁60は、吸入孔65が貫通している円筒部材64と、吸入孔65の拡径部12側の開口部を封止する吸入弁体61と、吸入弁体61を収容するリテーナ62と、リテーナ62内に収められたばね部材63と、を備えている。
【0021】
円筒部材64は、円筒状の金属部品であり、吸入液路110A内に内嵌されている。円筒部材64の中心部に形成された吸入孔65の拡径部12側の開口縁部には、漏斗状に拡径した弁座が形成されている。
吸入弁体61は、球状の金属部品であり、吸入孔65の弁座に当接することで吸入孔65の開口部を封止している。
リテーナ62は、有底の円筒状の蓋体であり、開口部が円筒部材64の拡径部12側の端部に外嵌されている。このリテーナ62内には吸入弁体61が収められている。また、リテーナ62には複数の連通孔が形成されており、リテーナ62内と吸入液路110A内とが連通している。
ばね部材63は、リテーナ62の底部の内面と吸入弁体61との間に圧縮状態で配置されたコイルばねであり、吸入弁体61を吸入孔65側に押圧している。
【0022】
このような吸入弁60は、吸入液路110Aの下流側のブレーキ液圧から上流側(拡径部12側)のブレーキ液圧を差し引いたときの値が、開弁圧(ばね部材63の付勢力)以上になったときに、ばね部材63の付勢力に抗して、吸入弁体61が円筒部材64の吸入孔65から離間して開弁する。
【0023】
吐出液路120Aには、拡径部12内からのブレーキ液の流出のみを許容する逆止弁である吐出弁70が設けられている。
吐出弁70は、吐出孔75が貫通している円筒部材74と、吐出孔75の拡径部12側の開口部を封止する吐出弁体71と、吐出弁体71を収容するリテーナ72と、リテーナ72内に収められたばね部材73と、を備えている。
【0024】
この吐出弁70は、前記した吸入弁60と同じ構成の逆止弁であり、吐出液路120Aの上流側(拡径部12側)のブレーキ液圧から下流側のブレーキ液圧を差し引いたときの値が、開弁圧(ばね部材73の付勢力)以上になったときに、ばね部材73の付勢力に抗して、吐出弁体71が円筒部材74の吐出孔75から離間して開弁する。
【0025】
シリンダ孔10の開口部13は、拡径部12よりも拡径されている。また、拡径部12には、開口部13を封止する封止部材20が挿入されている。
【0026】
封止部材20は、有底円筒状の金属部品であり(図2参照)、周壁部21と、周壁部21の一方の端部を閉塞する底部22と、を有している。封止部材20の周壁部21および底部22は、一つの板状の金属部材をプレス加工することで形成されている。
【0027】
周壁部21は、拡径部12内に内嵌されており、底部22はシリンダ孔10の開口部13側に配置されている。
なお、シリンダ孔10には、拡径部12の内周面を底部22の外周縁部にかしめることで、封止部材20の抜け止め部12bが形成されている。
【0028】
周壁部21には、吸入口110に対向する吸入側連通口21a、および吐出口120に対向する吐出側連通口21bが形成されている。そして、吸入口110から吸入側連通口21aおよび吐出側連通口21b(主として吸入側連通口21a)を通じて、封止部材20内にブレーキ液が流入し、封止部材20内から吐出側連通口21bおよび吸入側連通口21a(主として吐出側連通口21b)を通じて、吐出口120にブレーキ液が吐出される。
【0029】
周壁部21の先端部(開口縁部21c)は、吸入口110および吐出口120よりもシリンダ孔10の奥側(軸受穴130側)に配置され、開口縁部21cと拡径部12の底面12aとの間には環状の隙間が形成されている。
【0030】
図3(a)に示すように、周壁部21には、板ばね23が形成されている。板ばね23は、周壁部21の一部を内方に折り曲げて形成したものである(図2参照)。すなわち、板ばね23は、周壁部22に切り込みを形成し、その切り込みの内側の部位の底部22側の端部を内方に屈曲させたものである。また、周壁部21において、板ばね23が折り曲げられた部位は、吐出側連通口21bとなっている。
この板ばね23は、図1に示すように、周壁部21の内周面に対して内方に向けて斜めに突出している。また、図3(b)に示すように、板ばね23の先端部は、周壁部21の中心部(シリンダ孔10の中心軸線上)に配置されている。
【0031】
プランジャ30は、図1に示すように、シリンダ孔10内に挿入される円形断面の金属部品であり(図2参照)、縮径部11内に摺動自在に装着される摺動部31と、拡径部12内(封止部材20内)に突出する突出部32とを有している。
【0032】
摺動部31を縮径部11内に装着した状態では、プランジャ30の一端30a(摺動部31側の端部)が軸受穴130内に突出し、一端30aの端面が偏心カム140のカム面141に当接している。偏心カム140は、電動モータ(図示せず)の出力軸の軸回りに偏心して回転するため、出力軸を回転させたときには、プランジャ30はカム面141に押されて拡径部12側に向けて移動する。
【0033】
突出部32は、摺動部31を縮径部11内に装着したときに、拡径部12内に突出することで、封止部材20の周壁部21内に突出する部位である。そして、突出部32の外面および封止部材20の内面によって、シリンダ孔10内にポンプ室16が区画されている。
【0034】
プランジャ30の他端30b(突出部32側の端部)は、封止部材20内で板ばね23の先端部に押し付けられている。これにより、板ばね23は、底部22側に押し込まれて撓んだ状態となっている。そして、板ばね23の弾性力によって、板ばね23からプランジャ30に対して、偏心カム140側(シリンダ孔10の奥側)に向けて軸方向に押圧力が付与されている。
したがって、カム面141がプランジャ30から離れる方向に変位したときには、板ばね23からの押圧力によって、プランジャ30は偏心カム140側に移動するため、プランジャ30の一端30aがカム面141に当接した状態に保たれる。
【0035】
シール部材40は、図2に示すように、拡径可能な環状の弾性部材であり、断面形状は楕円形に形成されている。このシール部材40は、図1に示すように、プランジャ30の突出部32に外嵌されており、封止部材20の開口縁部21cと拡径部12の底面12aとの間に配置されている。
シール部材40の内径は、プランジャ30の外径よりも小さく形成されているため、シール部材40をプランジャ30に外嵌させたときには、シール部材40はプランジャ30の外周面によって押し広げられる。このようにして、シール部材40の外径が拡径され、シール部材40の外周面が拡径部12の内周面に密着することで、プランジャ30の外周面とシリンダ孔10の内周面との間が液密にシールされている。
【0036】
シール部材40は、封止部材20の開口縁部21cによって、シリンダ孔10の開口部13側への移動が規制されている。すなわち、封止部材20によってシール部材40の抜け止めが構成されている。したがって、シール部材40は、封止部材20よりも奥側(軸受穴130側)で、封止部材20の開口縁部21cと拡径部12の底面12aとの間に保持されている。
【0037】
次に、プランジャポンプ1の動作について説明する。
図1に示すように、ポンプ室16内にブレーキ液が満たされた状態で、回転する偏心カム140のカム面141に押されて、プランジャ30が封止部材20の底部22側に往動作したときには、ポンプ室16の容積が減少して、ポンプ室16内のブレーキ液の液圧が上昇する。これにより、吐出弁70が開弁して、ポンプ室16内のブレーキ液が吐出液路120Aに吐出される。
【0038】
続いて、プランジャ30が最も底部22側(上死点)まで移動した後に、カム面141がプランジャ30から離れる方向に変位すると、プランジャ30は、板ばね23からの押圧力によって、偏心カム140側に向けて復動作して、ポンプ室16の容積が増大する。これにより、ポンプ室16内は負圧状態となり、吸入弁60が開弁して、ブレーキ液が吸入液路110Aからポンプ室16内に吸入される。
【0039】
そして、プランジャ30が最も偏心カム140側(下死点)まで復動作した後に、プランジャ30がカム面141に押されて再び往動作することで、ポンプ室16内のブレーキ液が吐出液路120Aに吐出される。
【0040】
次に、前記したプランジャポンプ1の製造方法について説明する。
まず、図1に示すポンプボディ100の内部に、シリンダ孔10や軸受穴130などの穴からなる液路を形成する。
また、プランジャ30にシール部材40を組み付け、図示しない治具を用いて、プランジャ30と共にシール部材40を開口部13から拡径部12内に挿入する。
プランジャ30の一端30aを縮径部11内に挿入していくと、シール部材40は底面12aに押し当てられ、拡径部12の最奥部に位置決めされる。また、シール部材40の外周面は、拡径部12の内周面に密着した状態となっている。
【0041】
さらに、プランジャ30の一端30aがカム面141に当接する位置まで、プランジャ30をシリンダ孔10内に挿入した後に、封止部材20を拡径部12内に圧入して、周壁部21を拡径部12内に内嵌させる。
これにより、プランジャ30の他端30bが、板ばね23の先端部に押し当てられた状態となる。また、シール部材40は、封止部材20の開口縁部21cと拡径部12の底面12aとの間に配置される。
【0042】
そして、封止部材20の底部22の外周縁部に、拡径部12の内周面をかしめて抜け止め部12bを形成し、封止部材20をシリンダ孔10内に固定する。
【0043】
以上のように構成されたプランジャポンプ1では、図1に示すように、シリンダ孔10の開口部13を封止する機能と、プランジャ30を押圧する機能とを単一の封止部材20が一体的に備えている。さらに、シール部材40の抜け止め機能も備えており、シール部材40を保持するためのストッパを省略することができる。したがって、プランジャポンプ1の部品点数を大幅に削減することができ、部品の組み付け工数を削減することができるため、プランジャポンプ1の製造コストを低減することができる。
【0044】
また、封止部材20に形成された板ばね23は、同等の弾性力を有するコイルばねと比べて、シリンダ孔10の軸方向に小さく形成することができるため、プランジャポンプ1を小型化することができる。
【0045】
また、シール部材40はシリンダ孔10の内周面に保持され、シール部材40がプランジャ30と共にシリンダ孔10内で摺動しないため、プランジャ30をスムーズに往復動させることができる。
【0046】
また、封止部材20の周壁部21および底部22は、一つの板状の部材をプレス加工することで形成されているため、封止部材20の製造工数を削減することができる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
前記実施形態では、図3(b)に示すように、封止部材20に一つの板ばね23が形成されているが、板ばね23の数や、その形状は限定されるものではない。
例えば、図4(a)および(b)に示した封止部材20Aのように、周壁部21の両側(図4(b)の上下両側)に形成した二つの板ばね23,23を周壁部21の中心部を挟んで対向させてもよい。この構成では、各板ばね23,23の先端部がプランジャ30の端面の中心部に当接している。
また、図4(c)および(d)に示した封止部材20Bのように、周壁部21の両側(図4(c)の上下両側)に形成した二つの板ばね23,23を周壁部21の中心部に対して点対称の位置関係となるように対向させてもよい。この構成では、各板ばね23,23を側方から見たときに、各板ばね23,23の先端部は、交差した状態でプランジャ30の端面の中心部に当接している。
さらに、図4(e)および(f)に示した封止部材20Cのように、周壁部21の一方の側部に二つの板ばね23,23を平行させて形成し、各板ばね23,23を周壁部21の中心部の両側に配置してもよい。
これらの封止部材20A,20B,20Cのように、二つの板ばね23,23を周壁部21の中心部を挟んで対向する位置に配置した場合には、各板ばね23,23からプランジャ30の端面に対してバランス良く押圧力が付与されるため、プランジャ30を安定して移動させることができる。
【0048】
また、図1に示すシール部材40の形状は限定されるものではなく、断面形状が矩形やV字形状など、各種公知のシール部材を用いることができる。また、図1に示すシール部材40と拡径部12の底面12aとの間に、突出部32を囲繞するバックアップリングを設けてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 プランジャポンプ
10 シリンダ孔
11 縮径部
12 拡径部
12a 底面
12b 抜け止め部
13 開口部
16 ポンプ室
20 封止部材
21 周壁部
21a 吸入側連通口
21b 吐出側連通口
21c 開口縁部
22 底部
30 プランジャ
31 摺動部
32 突出部
40 シール部材
60 吸入弁
70 吐出弁
100 ポンプボディ
110A 吸入液路
120A 吐出液路
130 軸受穴
140 偏心カム
141 カム面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ孔を有するポンプボディと、
前記シリンダ孔内で往復動するプランジャと、
前記シリンダ孔の開口部を封止する有底筒状の封止部材と、を備えるプランジャポンプであって、
前記封止部材は、周壁部の一部を内方に折り曲げて形成した板ばねを有し、
前記周壁部内に突出した前記プランジャに対して、前記板ばねから前記シリンダ孔の奥側に向けて軸方向に押圧力が付与されることを特徴とするプランジャポンプ。
【請求項2】
前記封止部材よりも前記シリンダ孔の奥側には、前記プランジャに外嵌されるとともに、前記シリンダ孔の内周面に密着した環状のシール部材が設けられており、
前記シール部材は、前記封止部材の開口縁部によって、前記シリンダ孔の開口部側への移動が規制されていることを特徴とする請求項1に記載のプランジャポンプ。
【請求項3】
前記周壁部には、複数の前記板ばねが形成されており、
前記各板ばねは、前記周壁部の中心部を挟んで対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプランジャポンプ。
【請求項4】
前記封止部材の前記周壁部および底部は、一つの板状の部材をプレス加工することで形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のプランジャポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−189036(P2012−189036A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55005(P2011−55005)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000226677)日信工業株式会社 (840)
【Fターム(参考)】