説明

プランジャポンプ

【課題】ポンプ室への塵埃の侵入を低減しつつプランジャの外周面を安定して洗浄できるプランジャポンプを提供する。
【解決手段】シリンダ側に設けられた二つのシール用環状凹部81、82の間の隙間にプランジャ20の外周面を洗浄するためのプランジャ洗浄液を供給する供給路64を有し、プランジャ20のストロークは、プランジャ20の外周面のうちポンプ室70内の純水に接する部分と接しない部分との境界95が、シリンダ10の低面から遠い方のシール部材84より前記低面とは逆側に移動しないように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プランジャの外周面を洗浄液によって洗浄しつつ液体を圧送するプランジャポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリンダとプランジャとを備えて構成されるプランジャポンプにおいて、シリンダ側に装着される固定Oリングと、プランジャ側に装着される移動Oリングとを備え、シリンダの内周面とプランジャの外周面との間の隙間であって固定Oリングと移動Oリングとの間の隙間に、プランジャの外周面を洗浄するための洗浄液を供給するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来、シリンダ側に二つの固定Oリングを備え、シリンダの内周面とプランジャの外周面との間の隙間であって二つの固定Oリングの間の隙間に洗浄液を供給するものも知られている(例えば、特許文献1参照)。このプランジャポンプは、プランジャの外周面のうちポンプ室内の液体に接する外周面が、シリンダの低面から遠い方の固定Oリングを挟んで当該低面とは逆側まで移動するようにプランジャのストロークが設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−249076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シリンダ側に装着される固定Oリングとプランジャ側に装着される移動Oリングとを備える従来のプランジャポンプによると、プランジャの移動に伴って移動Oリングが移動することによって固定Oリングと移動Oリングとの間の隙間の容積が変動するので、プランジャ洗浄液の量が安定せず、洗浄効果にムラが生じる虞がある。
【0006】
また、シリンダ側に二つの固定Oリングを備える従来のプランジャポンプによると、プランジャの外周面のうちポンプ室内の液体に接する外周面がシリンダの低面から遠い方の固定Oリングを挟んで当該低面とは逆側まで移動するので、プランジャの外周面のうちポンプ室内の液体に接する外周面が外部の空気に触れ、その際に空気中の塵埃が当該面に付着し、その付着した塵埃がポンプ室まで侵入する虞がある。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ポンプ室への塵埃の侵入を低減しつつプランジャの外周面を安定して洗浄できるプランジャポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、有底筒状のシリンダと、前記シリンダに往復移動可能に嵌合挿入されているプランジャと、を備えるプランジャポンプであって、前記シリンダは、当該シリンダの内面と前記プランジャの先端面とで形成されるポンプ室に液体を導入する導入路と、前記ポンプ室内の液体を外部に導出する導出路と、当該シリンダの内周壁に前記プランジャの外周を全周に亘って囲むように環状に形成されている二つのシール用環状凹部であって、互いに前記プランジャの移動方向に離れて形成されているシール用環状凹部と、各前記シール用環状凹部に嵌め込まれている二つのシール部材であって、前記プランジャの外周面に圧接する環状のシール部材と、当該シリンダの内周面と前記プランジャの外周面との間の隙間であって前記二つのシール用環状凹部の間の隙間に、前記プランジャの外周面を洗浄するためのプランジャ洗浄液を供給する供給路と、を有し、前記プランジャのストロークは、前記プランジャの外周面のうち前記ポンプ室内の前記液体に接する部分と接しない部分との境界が、前記シリンダの低面から遠い方の前記シール部材よりも前記低面とは逆側に移動しないように設定されている。
【0009】
この発明によると、二つのシール部材をシリンダ側に嵌め込むので、プランジャが移動しても二つのシール部材の間の隙間の容積が変動しない。これにより、プランジャ洗浄液の量が安定し、洗浄効果にムラが生じることを低減できる。
また、この発明によると、プランジャのストロークは、プランジャの外周面のうちポンプ室内の液体に接する部分と接しない部分との境界が、シリンダの低面から遠い方のシール部材より前記低面とは逆側に移動しないように設定されているので、ポンプ室内の液体に接する外周面がシリンダの外部の空気に触れない。それにより、空気中の塵埃がプランジャの外周面に付着してポンプ室に侵入することを低減できる。
よってこの発明によると、ポンプ室への塵埃の侵入を低減しつつプランジャの外周面を安定して洗浄できる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明のプランジャポンプであって、前記シリンダは、当該シリンダの内周壁に前記プランジャの外周を全周に亘って囲むように環状に形成されている洗浄用環状凹部であって、二つの前記シール用環状凹部の間に形成され、前記プランジャの外周面と当該洗浄用環状凹部の内面とでプランジャ洗浄室を形成する洗浄用環状凹部を有し、前記供給路は、前記プランジャ洗浄室に前記洗浄液を供給する。
プランジャ洗浄室を設けると、プランジャの外周面がより確実にプランジャ洗浄液に接することができ、洗浄効果をより高めることができる。
【0011】
第3の発明は、第1又は第2の発明のプランジャポンプであって、前記シリンダは、前記二つのシール用環状凹部の間の前記隙間の前記洗浄液を外部に排出する排出路を有する。
排出路を形成すると、供給路から排出路に至るプランジャ洗浄液の流れができるので、常に汚れの少ないプランジャ洗浄液でプランジャを洗浄することができる。これにより、プランジャの外周面の洗浄効果をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態1に係るプランジャポンプの断面図。
【図2】プランジャポンプの要部を拡大して示す断面図。
【図3】プランジャポンプの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図3によって説明する。
(1)プランジャポンプの構造
図1は、本発明の実施形態1に係るプランジャポンプの断面図である。ここでは半導体ウェハーを研磨したパッドに純水(液体の一例)を高圧で噴射して洗浄する高圧洗浄装置に用いられるプランジャポンプを例に説明する。
また、ここでは二つのプランジャポンプ1A、1Bが一体化されている場合を例に説明する。二つのプランジャポンプ1A、1Bは同一構造であるので、以降の説明では図1に示す左側のプランジャポンプ1Aを例に説明する。
【0014】
プランジャポンプ1Aは、有底筒状のシリンダ10、シリンダ10に往復移動可能に嵌合挿入されている円柱状のプランジャ20、外部のエアコンプレッサから供給される圧縮空気の圧力によってプランジャ20を往復移動させるエアシリンダ部40、シリンダ10とエアシリンダ部40とを接続する円筒状の接続部材51などを備えて構成されている。エアシリンダ部40は、二つのプランジャポンプ1A、1Bによって共有されている。
【0015】
シリンダ10は、第1円筒部11、第1円筒部11を軸方向に延長するように連結されている第2円筒部12、第1円筒部11と第2円筒部12とを外側から囲む第3円筒部13、第2円筒部12を第3円筒部13に固定する第4円筒部14、第1円筒部11の一方の開口を封止するリテーナ15、リテーナ15を固定するキャップ16、第1接続部31、第2接続部32、第3接続部33、第4接続部34などを備えて構成されている。
これら各部は嵌合、螺合、接着などの適宜の方法で結合されている。また、金属イオンがパッドに付着して半導体ウェハーが金属汚染されることを低減するため、これら各部は樹脂によって形成されている。この他、本実施形態では純水と接する部材は金属以外の素材(例えば樹脂)で形成されている。
【0016】
第1円筒部11及び第3円筒部13には、シリンダ10の軸に垂直な方向に貫通する2つの貫通穴が形成されており、第1接続部31及び第2接続部32がそれぞれ挿入されている。
第1接続部31には、シリンダ10の内面とプランジャ20の先端面とで形成されるポンプ室70に純水を供給する導入路60が形成されている。第1接続部31は純水を供給する図示しない外部の供給装置と接続されており、外部の供給装置から供給された純水は第1接続部31内の導入路60を流れてポンプ室70に導入される。導入路60には、ポンプ室70内の純水が導入路60を逆流することを防止する逆止弁61が設けられている。
【0017】
第2接続部32には、ポンプ室70内の純水を外部に導出する導出路63が形成されている。第2接続部32にはプランジャポンプ1Aから導出された高圧の純水をパッドに導く図示しない配管が接続され、導出路63から導出された純水は配管を流れてパッドに噴射される。導出路63には、ポンプ室70から導出された純水が導出路63を逆流してポンプ室70内に流入することを防止する逆止弁62が設けられている。
【0018】
プランジャ20は円柱状に形成されており、シリンダ10の第2円筒部12の開口からシリンダ10内に往復移動可能に嵌合挿入されている。プランジャ20は摩耗して金属粉が純水に混入することを防止するためにセラミックによって形成されている。
【0019】
エアシリンダ部40は、中空の円筒状に形成されているハウジング41、円筒状のハウジング41の開口を閉塞してエアシリンダ部40内にエア室を形成する二つの封止部材42、43(規制部の一例)、二つの封止部材42、43の中心を貫通する円柱状のロッド44、ロッド44に固定されている円盤状のフランジ45を備えて構成されている。
【0020】
二つの封止部材42、43には、フランジ45の衝突による衝撃を緩和するための緩衝部材46(例えばOリング)が設けられている。
ロッド44は、フランジ45が固定されている金属製の第1円柱部44Aと、第1円柱部44Aの両端にロッド44の軸方向に延びるように連結されている金属製の二つの第2円柱部44Bとで構成されている。第2円柱部44Bの他端はプランジャ20に連結されている。
【0021】
エアシリンダ部40内のエア室はフランジ45によって第1のエア室71と第2のエア室72とに区画されている。封止部材42には外部のエアコンプレッサから供給される圧縮空気を第1のエア室71に導入/導出するエア供給路73が形成されており、同様に封止部材43には圧縮空気を第2のエア室72に導入/導出するエア供給路74が形成されている。
【0022】
(2)第1円筒部11、及び第2円筒部12の詳細
次に、シリンダ10を構成している第1円筒部11、及び第2円筒部12の詳細について説明する。
【0023】
図2は、第1円筒部11、及び第2円筒部12の周辺を拡大して示す断面図である。
第1円筒部11の内径はプランジャ20の外径よりも大きく形成されており、プランジャ20が往復移動しても第1円筒部11の内周面とプランジャ20の外周面とは接触しない。
第2円筒部12の内径はプランジャ20の外径と略同一であり、プランジャ20は第2円筒部12の内周面に案内されて軸方向に往復移動する。
【0024】
第2円筒部12の内周壁には、二つのシール用環状凹部81、82と、洗浄用環状凹部85とが形成されている。二つのシール用環状凹部81、82と洗浄用環状凹部85とは、それぞれプランジャ20の外周を囲むように環状に形成されている。
【0025】
シール用環状凹部81には、ポンプ室70内の純水がシリンダ10とプランジャ20との間から洩れでることを防止する断面U字状のパッキン83(U字パッキン、シール部材の一例)が嵌め込まれている。U字パッキン83はU字状の断面の開口がポンプ室70側を向くように嵌め込まれている。また、U字パッキン83のU字状の内側にはOリング86が嵌め込まれている。なお、シール部材はU字パッキンのみであってもよいしOリングのみであってもよい。
【0026】
シール用環状凹部82には、シリンダ10の外部の空気(具体的には図2に示す空間90内の空気)中の塵埃がシリンダ10とプランジャ20との間からプランジャ洗浄室88に侵入することを防止するU字パッキン84が嵌め込まれている。U字パッキン84はU字状の断面の開口がプランジャ洗浄室88側を向くように嵌め込まれている。また、U字パッキン84のU字状の内側にはOリング87が嵌め込まれている。なお、シール部材はU字パッキンのみであってもよいしOリングのみであってもよい。
【0027】
U字パッキン83、84は例えばポリエチレンによって形成されており、Oリング86、87は例えばフッ素系ゴムによって形成されている。これらはいずれも金属溶出がないので、パッドの金属汚染を低減できる。
【0028】
洗浄用環状凹部85は、二つのシール用環状凹部81、82の間に形成されており、プランジャ20の外周面と洗浄用環状凹部85の内面とでプランジャ洗浄室88を形成している。図示するように、洗浄用環状凹部85はプランジャ20の軸方向に一定の幅に亘って形成されている。洗浄用環状凹部85の軸方向の幅は、目的の洗浄効果が得られるように適宜に設定可能である。
【0029】
第3円筒部13及び第4円筒部14には、第3接続部33が取り付けられている。第3接続部33は図示しない配管を介して外部の洗浄水供給装置と接続され、洗浄水供給装置から供給される洗浄水(以下「プランジャ洗浄液」という)は、第3接続部33内の流路と、第2円筒部12に形成されている供給路64とを流れてプランジャ洗浄室88に導入される。
【0030】
また、第3円筒部13及び第4円筒部14には、第4接続部34が取り付けられている。第4接続部34は図示しない配管と接続され、プランジャ洗浄室88内のプランジャ洗浄液は、第2円筒部12に形成されている排出路65と、第4接続部34内の流路とを流れて外部に排出される。
【0031】
(3)プランジャのストローク
以下、プランジャ20のストロークについて図2及び図3を参照して説明する。
プランジャ20のストロークは、プランジャ20の外周面のうちポンプ室70内の純水に接する部分と接しない部分との境界95が、シリンダ10の低面(リテーナ15のポンプ室側の面)から遠い方のシール部材84よりも当該低面とは逆側(右側)に移動しないように設定されている。
【0032】
具体的には例えば、図2に示す例ではプランジャ20の外周面のうち破線95より左側の外面が、ポンプ室70内の純水と接する部分である。そして、図3に示すように、破線95はプランジャ20が最も左側に移動したとき(フランジ45が封止部材43の緩衝部材46に当接したとき)に、シール部材84より左側に位置している。したがって、プランジャ20の外周面のうちポンプ室70内の純水と接する部分は、シリンダ10の外部の空気(具体的には図3に示す空間90内の空気)に直接触れない。
【0033】
(4)プランジャポンプの動作
プランジャ20がポンプ室70の容積を最小にする位置にある状態(図1に示す状態)で、封止部材42に形成されているエア供給路73に外部から圧縮空気が供給されると、フランジ45が圧縮空気によって右側に移動し、それに伴ってプランジャ20が右側に移動する。このとき、第2のエア室72内の空気はエア供給路74から排出される。
【0034】
プランジャ20が右側に移動すると、ポンプ室70内の純水の水圧が低下することによって逆止弁61が開弁し、ポンプ室70内に純水が導入される。
図3に示すように、フランジ45が封止部材43の緩衝部材46に当接する位置まで移動すると、エア供給路73からの圧縮空気の供給が停止するとともに、封止部材43に形成されているエア供給路74に外部から圧縮空気が供給される。
【0035】
エア供給路74に外部から圧縮空気が供給されると、フランジ45が圧縮空気によって左側に移動し、この移動に伴ってプランジャ20が左側に移動する。このとき、第1のエア室71内の圧縮空気はエア供給路73から排出される。
プランジャ20が左側に移動すると、ポンプ室70内の純水が加圧され、加圧された純水によって逆止弁62が開弁し、ポンプ室70内の純水が高圧で外部に導出される。外部に導出された純水は、図示しない配管を流れてパッドに高圧で噴射される。
【0036】
(5)プランジャの外周面の洗浄
上述した動作の間、プランジャ洗浄室88には第3接続部33を介して外部からプランジャ洗浄液が供給される。プランジャ20が往復移動すると、プランジャ20の外周面のうち、シリンダ10の外部の空気(具体的には図1に示す空間90内の空気)に触れた部分(プランジャ20がポンプ室70の容積を最大にする位置にあるときに境界95より右側に位置する部分であって、U字パッキン84より右側に位置する部分)がプランジャ洗浄室88を通過する。これにより、シリンダ10の外部の空気中の塵埃がプランジャ20の外周面の上述した部分に付着しても、プランジャ洗浄液によって洗浄され、ポンプ室70に塵埃が侵入することが低減される。
【0037】
(6)実施形態の効果
以上説明した本発明の実施形態1に係るプランジャポンプ1Aによると、二つのU字パッキン83、84をシリンダ10側に嵌め込むので、プランジャ20が往復移動しても二つのU字パッキン83、84の間の隙間(シリンダ10の内周面とプランジャ20の外周面との間の隙間)の容積が変動しない。これにより、プランジャ洗浄液の量が安定し、プランジャの外周面の洗浄効果にムラが生じることを低減できる。
また、プランジャ20のストロークは、プランジャ20の外周面のうちポンプ室70内の液体に接する部分と接しない部分との境界95が、シリンダ10の低面から遠い方のシール部材84より前記低面とは逆側(右側)に移動しないように設定されているので、ポンプ室70内の液体に接する外周面がシリンダの外部の空気に触れない。それにより、シリンダ10の外部の空気中の塵埃がプランジャ20の外周面に付着してポンプ室70に侵入することをより確実に低減できる。
よってプランジャポンプ1Aによると、ポンプ室70への塵埃の侵入を低減しつつプランジャ20の外周面を安定して洗浄できる。
【0038】
更に、プランジャポンプ1Aによると、シリンダ10の内周壁に洗浄用環状凹部85を有しており、プランジャ20の外周面と洗浄用環状凹部85の内面とでプランジャ洗浄室88を形成する。プランジャ洗浄室88を形成すると、プランジャ20の外周面がより確実にプランジャ洗浄液に接することができ、洗浄効果をより高めることができる。
【0039】
更に、プランジャポンプ1Aによると、シリンダ10は、プランジャ洗浄室88内のプランジャ洗浄液を外部に排出する排出路65を有する。排出路65を形成すると、供給路64から排出路65に至るプランジャ洗浄液の流れができるので、常に汚れの少ないプランジャ洗浄液でプランジャ20を洗浄することができる。これにより、プランジャ20の外周面の洗浄効果をより高めることができる。
【0040】
更に、プランジャポンプ1Aによると、U字パッキン83の開口をポンプ室70側に向けるので、ポンプ室70内の純水の圧力によってU字パッキン83が広がり、それによりU字パッキン83がプランジャ20に圧接するので、シール性をより高めることができる。
同様に、U字パッキン84の開口をプランジャ洗浄室88側に向けるので、プランジャ洗浄室88内のプランジャ洗浄液の圧力によってU字パッキン84が広がり、それによりU字パッキン84がプランジャ20に圧接するので、シール性をより高めることができる。
【0041】
更に、プランジャポンプ1Aによると、シリンダ10の外部の空間90が接続部材50によって密閉されているので、空気中の塵埃がプランジャ20に付着し難くなる。
【0042】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0043】
(1)上記実施形態ではシリンダ10に洗浄用環状凹部85を設ける場合を例に説明したが、プランジャ洗浄室88を形成しなくても十分な洗浄効果を得られる場合は、洗浄用環状凹部85を設けなくてもよい。その場合は、シリンダ10の内周面とプランジャ20の外周面との間の隙間(クリアランス)に侵入するプランジャ洗浄液によってプランジャ20の外周面が洗浄されることになる。
【0044】
(2)上記実施形態ではプランジャ洗浄液を排出するための排出路65を設ける場合を例に説明したが、排出路65は必ずしも設けなくてよい。
【0045】
(3)上記実施形態では液体として純水を例に説明したが、液体は洗浄対象物に応じて適宜に選択可能である。
【0046】
(4)上記実施形態ではシリンダ10の外部の空気中の塵埃がポンプ室70に侵入することを低減する目的でプランジャ20の外周面を洗浄する場合を例に説明したが、この洗浄は他の目的で行われてもよい。例えば、試薬や、洗剤が溶解した洗浄液などを圧送する装置の場合に、プランジャ20の外周面に付着した試薬や洗剤の結晶によってシリンダ10やプランジャ20が摩耗することを低減する目的で外周面を洗浄してもよい。
【0047】
(5)上記実施形態では高圧洗浄装置に用いられるプランジャポンプを例に説明したが、プランジャポンプは高圧洗浄装置以外の装置に用いられてもよい。
【0048】
(6)上記実施形態ではエアシリンダ部40に供給される圧縮空気によってプランジャ20を往復移動させる場合を例に説明したが、プランジャ20を往復移動させる方法はこれに限られない。例えばモータの回転運動をカムによってプランジャ20の直線運動に変換することによって往復移動させてもよい。その場合はカムの形状(プロフィール)によってプランジャ20のストロークが設定されることになる。
【符号の説明】
【0049】
1A、1B・・・プランジャポンプ 10・・・シリンダ 11・・・第1円筒部 12・・・第2円筒部 13・・・第3円筒部 14・・・第4円筒部 15・・・リテーナ 16・・・キャップ 20・・・プランジャ 31・・・第1接続部 32・・・第2接続部 33・・・第3接続部 34・・・第4接続部 40・・・エアシリンダ部 41・・・ハウジング 42・・・封止部材 43・・・封止部材 44・・・ロッド 44A・・・第1円柱部 44B・・・第2円柱部 45・・・フランジ 50・・・接続部材 60・・・導入路 61・・・逆止弁 62・・・導出路 62・・・逆止弁 64・・・供給路 65・・・排出路 70・・・ポンプ室 71・・・第1エア室 72・・・第2エア室 73・・・エア供給路 74・・・エア供給路 81・・・シール用環状凹部 82・・・シール用環状凹部 83・・・U字パッキン 84・・・U字パッキン 85・・・洗浄用環状凹部 86・・・Oリング 87・・・Oリング 88・・・プランジャ洗浄室 90・・・空間 95・・・破線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状のシリンダと、
前記シリンダに往復移動可能に嵌合挿入されているプランジャと、
を備えるプランジャポンプであって、
前記シリンダは、
当該シリンダの内面と前記プランジャの先端面とで形成されるポンプ室に液体を導入する導入路と、
前記ポンプ室内の液体を外部に導出する導出路と、
当該シリンダの内周壁に前記プランジャの外周を全周に亘って囲むように環状に形成されている二つのシール用環状凹部であって、互いに前記プランジャの移動方向に離れて形成されているシール用環状凹部と、
各前記シール用環状凹部に嵌め込まれている二つのシール部材であって、前記プランジャの外周面に圧接する環状のシール部材と、
当該シリンダの内周面と前記プランジャの外周面との間の隙間であって前記二つのシール用環状凹部の間の隙間に、前記プランジャの外周面を洗浄するためのプランジャ洗浄液を供給する供給路と、
を有し、
前記プランジャのストロークは、前記プランジャの外周面のうち前記ポンプ室内の前記液体に接する部分と接しない部分との境界が、前記シリンダの低面から遠い方の前記シール部材よりも前記低面とは逆側に移動しないように設定されている、プランジャポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載のプランジャポンプであって、
前記シリンダは、当該シリンダの内周壁に前記プランジャの外周を全周に亘って囲むように環状に形成されている洗浄用環状凹部であって、二つの前記シール用環状凹部の間に形成され、前記プランジャの外周面と当該洗浄用環状凹部の内面とでプランジャ洗浄室を形成する洗浄用環状凹部を有し、
前記供給路は、前記プランジャ洗浄室に前記洗浄液を供給する、プランジャポンプ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のプランジャポンプであって、
前記シリンダは、前記二つのシール用環状凹部の間の前記隙間の前記洗浄液を外部に排出する排出路を有する、プランジャポンプ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−97691(P2012−97691A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247547(P2010−247547)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000117009)旭サナック株式会社 (194)
【Fターム(参考)】