プラーク領域抽出方法及びその装置
【課題】 医師の読影による冠動脈の血管壁内のプラークの抽出と一致するように、プラークを確実に抽出すること。
【解決手段】 プラーク領域抽出装置は、血管を含む被検体を撮影して取得された画像データから血管壁の第1の画像データを抽出し、前記第1の画像データに対して中間領域のフィルタリングを行って中間値の第2の画像データを作成し、前記第1の画像データと前記第2の画像データとの差分から前記第1の画像データにおいて周辺部よりも画素値の低い画像領域を強調処理した第3の画像データを作成し、前記第3の画像データの画素値の標準偏差を求め、この標準偏差に基づく複数レベルの閾値に従って前記血管中のプラークを抽出する。
【解決手段】 プラーク領域抽出装置は、血管を含む被検体を撮影して取得された画像データから血管壁の第1の画像データを抽出し、前記第1の画像データに対して中間領域のフィルタリングを行って中間値の第2の画像データを作成し、前記第1の画像データと前記第2の画像データとの差分から前記第1の画像データにおいて周辺部よりも画素値の低い画像領域を強調処理した第3の画像データを作成し、前記第3の画像データの画素値の標準偏差を求め、この標準偏差に基づく複数レベルの閾値に従って前記血管中のプラークを抽出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えばCT画像中の血管壁内のプラーク領域を自動的に抽出するプラーク領域抽出方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば冠動脈の診断では、冠動脈の血管内のプラークによる心疾患の可能性があるか否かの診断を行っている。冠動脈の血管内のプラークは、破壊すると同血管を閉塞又は強度狭窄となり、重大な虚血性心疾患を誘発することになるので冠動脈の診断が行われる。この冠動脈の診断では、X線CT装置の撮影により取得されたCT画像から冠動脈の血管狭窄部分を特定したり、血管狭窄に至っていない冠動脈内のプラークを特定することが行われる。この冠動脈の診断においては、X線CT装置の撮影により取得されたCT画像から冠動脈の血管壁内のプラーク量を計測し、このプラーク量によって冠動脈の疾患のリスクが診断される。現状では、医師がCT画像を観察して手動によりプラークを抽出し、このプラーク量によって冠動脈の疾患のリスクを診断している。又、プラークを抽出する技術としては、CT画像を予め設定された閾値で切ってプラークを抽出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−275141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、CT画像を閾値で切ってプラークを抽出しても、プラークを確実に抽出できずに見逃したり、プラーク以外の領域を抽出することもあり、例えば医師の読影による冠動脈の血管壁内のプラークの抽出と一致しないことがある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、医師の読影による冠動脈の血管壁内のプラークの抽出と一致するように、プラークを確実に抽出できるプラーク領域抽出方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、血管を含む被検体を撮影して取得された画像データから血管壁の第1の画像データを抽出し、前記第1の画像データに対して中間領域のフィルタリングを行って中間値の第2の画像データを作成し、前記第1の画像データと前記第2の画像データとの差分から前記第1の画像データにおいて周辺部よりも画素値の低い画像領域を強調処理した第3の画像データを作成し、前記第1の画像データの画素値から標準偏差を求め、この標準偏差に基づく複数レベルの閾値に従って前記血管中のプラークを抽出するプラーク領域抽出方法及びその装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一実施形態のプラーク領域抽出装置を適用した医用画像診断装置を示すブロック構成図。
【図2】同装置における医用画像処理装置を示すブロック構成図。
【図3】同装置により作成される冠動脈の三次元ボリュームデータから取得される複数の断面方向を示す摸式図。
【図4】同装置により取得される冠動脈の三次元ボリュームデータに対する複数の断面画像データを示す摸式図。
【図5】同装置により取得される冠動脈の三次元ボリュームデータの複数の断面画像データの表示例を示す図。
【図6】同装置における画像処理部を示す具体的な機能ブロック図。
【図7】同装置における画像処理部により血管壁の二次元の第1の画像データの表示例を示す図。
【図8】同装置における画像処理部の中間領域のフィルタリングを行っ作成される中間値の画像データを示す図。
【図9】同装置における画像処理部の画像処理により得られる差分画像データを示す摸式図。
【図10】同装置における画像処理部により作成された差分値分布を示す図。
【図11】同装置における画像処理部により抽出されたプラーク領域の候補と複数の画像ノイズとを示す図。
【図12】同装置における画像処理部により確定したプラーク領域を示す図。
【図13】同装置のプラーク領域抽出フローチャート。
【図14】同装置によるプラーク領域抽出の動作における画像データ処理の流れを示す図。
【図15】同装置におけるプラーク抽出のシミュレーションモデルの一例を示す図。
【図16】同装置におけるプラーク抽出のシミュレーション結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、プラーク領域抽出装置の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本装置を適用した医用画像診断装置1のブロック構成図を示す。この医用画像診断装置1は、医用画像撮影装置2と、医用画像保管装置3と、医用画像処理装置4とを有する。これら医用画像撮影装置2と、医用画像保管装置3と、医用画像処理装置4とは、ローカルエリアネットワーク(LAN)5等を介して接続されている。医用画像撮影装置2は、例えばX線CT装置(以下、X線CT装置2と称する)である。
このX線CT装置2は、被検体にX線を照射し、この被検体を通過したX線を検出し、被検体の内部(関心部位)のCT画像の三次元(3D)ボリュームデータ等を取得し、ディスプレイ等に表示する。被検体の各部位は、例えば心臓の冠動脈や、肺及び胃などである。
医用画像保管装置3は、X線CT装置2の撮影により取得されたCT画像の3Dボリュームデータ、例えば心臓の冠動脈のCT画像の3Dボリュームデータなどを記憶するデータベースである。この医用画像保管装置3に保存されているCT画像の3Dボリュームデータは、LAN5を介して医用画像処理装置4に送信される。
【0009】
医用画像処理装置4は、医用画像保管装置3に保存されてCT画像の3Dボリュームデータを読み込み、この3Dボリュームデータを画像処理し、例えば冠動脈の血管内のプラークによる心疾患の可能性があるか否かの診断において、CT画像中の血管壁内のプラーク領域を自動的に抽出する。
図2は医用画像処理装置4のブロック構成図を示す。この医用画像処理装置4は、CPU(Central Processing Unit)などの制御部11と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などのメモリ12と、CT画像などの各種画像を表示する表示部13と、操作者からの入力操作を受け付ける操作部14と、X線CT装置2の撮影により取得されたCT画像の3Dボリュームデータを画像処理してそのCT画像を表示部13に表示するために画像処理プログラムや各種データなどを記憶する記憶部15と、外部装置との通信を行う通信部16と、CT画像の3Dボリュームデータなどの各種画像を処理したり、CT画像の3Dボリュームデータ中からプラーク領域を抽出する画像処理部17とを有する。これら制御部11と、メモリ12と、表示部13と、操作部14と、記憶部15と、通信部16と、画像処理部17とは、バスライン18により電気的に接続されている。
【0010】
記憶部15には、上記画像処理プログラムや各種データなどの他に、CT画像の3Dボリュームデータ中からプラーク領域を抽出するためのプラーク領域抽出プログラムが記憶されている。このプラーク領域抽出プログラムは、冠動脈の血管内のプラークによる心疾患を診断するときに実行されるもので、冠動脈等の血管を含む被検体を撮影して取得されたCT画像の3Dボリュームデータから血管壁の第1の画像データを抽出させる血管壁データ抽出機能と、この第1の画像データに対して中間領域のフィルタリングを行って中間値の第2の画像データを作成させる中間画像データ作成機能と、上記第1の画像データと上記第2の画像データとの差分から第1の画像データにおいて周辺部よりも画素値の低い画像領域を強調処理した第3の画像データを作成させる強調処理機能と、第1の画像データの画素値から標準偏差を求め、この標準偏差に基づく複数レベルの閾値に従って冠動脈等の血管中のプラークを抽出させるプラーク抽出機能とを含む。この記憶部15は、例えば、磁気ディスク装置や半導体ディスク装置(フラッシュメモリ)などである。
【0011】
制御部11は、記憶部15に記憶されている上記画像処理プログラムや各種データなどに基づき、操作部14からの入力操作を受け付け、表示部13や通信部16、画像処理部17等を制御し、CT画像の三次元ボリュームデータ等を画像処理して表示部13に表示する。
又、制御部11は、記憶部15に記憶されているプラーク領域抽出プログラムを実行し、画像処理部17に対して冠動脈等の血管を含む被検体を撮影して取得されたCT画像の3Dボリュームデータから血管壁の第1の画像データを抽出し、この第1の画像データに対して中間領域のフィルタリングを行って中間値の第2の画像データを作成し、上記第1の画像データと上記第2の画像データとの差分から第1の画像データにおいて周辺部よりも画素値の低い画像領域を強調処理した第3の画像データを作成し、第1の画像データの画素値から標準偏差を求め、この標準偏差に基づく複数レベルの閾値に従って冠動脈等の血管中のプラークを抽出する。標準偏差は、画素値のばらつきを表す統計解析値である。
【0012】
メモリ12は、制御部11が実行する起動プログラムなどを記憶するメモリであって、制御部11のワークエリアとしても機能する。なお、起動プログラムは、医用画像処理装置4の起動時に制御部11により読み出されて実行される。
表示部13は、2D画像や3D画像などの各種画像をカラー表示するもので、例えば液晶ディスプレイやCRTディスプレイ等である。
操作部14は、操作者により入力操作される入力部であって、画像表示の開始や画像の切り替え、設定の変更などの各種の入力操作を受け付ける入力部である。この操作部14としては、例えば、マウスやキーボードなどの入力デバイスを用いる。
通信部16は、LAN5等を介して外部装置との通信を行うもので、例えばLANカードやモデムなどである。外部装置としては、例えば上記医用画像撮影装置2及び上記医用画像保管装置3などである。
【0013】
画像処理部17は、記憶部15に記憶されているプラーク領域抽出プログラムを実行し、CT画像の3Dボリュームデータ中から例えば冠動脈の血管内のプラークを抽出する。すなわち、画像処理部17は、プラーク抽出装置としての機能を有し、医用画像保管装置3に保存されているCT画像の3Dボリュームデータ、例えば心臓ボリュームデータを読み出し、この心臓ボリュームデータに対して注目領域、例えば冠動脈の一部分を3Dボリュームデータで切り出し、この冠動脈の3Dボリュームデータから冠動脈の血管の芯線を抽出し、この芯線方向に沿って冠動脈の3Dボリュームデータから血管壁の第1の画像データを抽出し、この第1の画像データに対して中間領域のフィルタリングを行って中間値の第2の画像データを作成し、上記第1の画像データと上記第2の画像データとの差分から第1の画像データにおいて周辺部よりも画素値の低い画像領域を強調処理した第3の画像データを作成し、第1の画像データの画素値から標準偏差を求め、この標準偏差に基づく複数レベルの閾値に従って冠動脈等の血管中のプラークを抽出する。
又、画像処理部17は、切り出された冠動脈の3Dボリュームデータから複数断面のCPR(Curved Planer Reconstruction:曲面任意多断面再構成画像)像、例えば図3に示すように冠動脈等の血管100に対してA−A断面、B−B断面、C断面の各画像データDの各スライス像を作成する。A−A断面は、血管100の芯線(血流方向)Eの方向に沿った断面である。B−B断面は、血管100の芯線Eの方向に沿い、かつA−A断面に対して垂直な断面である。C断面は、血管100の芯線Eの方向に垂直な断面である。
【0014】
図4(a)はA−A断面の断面画像データADの摸式図を示し、同図(b)はB−B断面の断面画像データBDの摸式図を示し、同図(c)はC断面の断面画像データCDの摸式図を示す。図5は表示部13に表示されるA−A断面の断面画像データADと、B−B断面の断面画像データBDと、C断面の断面画像データCDとの表示例を示す。
なお、図3乃至図5は、血管100内のプラークP及び石灰化の部分Kを示す。又、Jは内腔を示し、Lは壁を示す。
【0015】
図6は画像処理部17の具体的な機能ブロック図を示す。この画像処理部17は、血管壁データ抽出部17−1と、中間画像データ作成部17−2と、強調処理部17−3と、プラーク抽出部17−4とを有する。
血管壁データ抽出部17−1は、図5に示すようなCT画像の心臓ボリュームデータDから例えば冠動脈の一部分を3Dボリュームデータで切り出し、この3Dボリュームデータから2次元(2D)の冠動脈の血管壁の画像データ(第1の画像データ)Wを抽出する。
図7は血管壁の画像データWの表示例を示し、ADWは図5に示すA−A断面の断面画像データADの血管壁の画像データを示し、BDWは図5に示すB−B断面の断面画像データBDの血管壁の画像データを示し、CDWは図5に示すC断面の断面画像データBDの血管壁の画像データを示す。
【0016】
中間画像データ作成部17−2は、冠動脈の血管壁の画像データW、例えば図7に示すA−A断面に対応する血管壁の画像データADWと、B−B断面に対応する血管壁の画像データBDWと、C断面に対応する血管壁の画像データCDWとに対してそれぞれ中間領域のフィルタリング、すなわち血管壁の画像データADW、BDW、CDWにおける血管100の芯線方向に沿って当該血管壁の各画像データADW、BDW、CDWの持つCT値の全領域の中間となる領域、すなわち中間領域のフィルタリングを行って例えば図8に示すような中間値の画像データ(第2の画像データ)Mを作成する。この中間領域のフィルタリングは、例えばMedianフィルタを用いて行う。
同図8においてADMは図7に示す血管壁の画像データADWをフィルタリングした中間値の画像データを示し、BDMは図7に示す血管壁の画像データBDWをフィルタリングした中間値の画像データを示し、CDMは図7に示す血管壁の画像データCDWをフィルタリングした中間値の画像データを示す。
【0017】
強調処理部17−3は、図7に示す血管壁の画像データADW、BDW、CDWと図8に示す中間値の画像データADM、BDM、CDMとの差分から周辺部よりも画素値の低い画像領域を強調処理した差分画像データ(第3の画像データ)Sを作成する。具体的に強調処理部17−3は、図7に示す血管壁の画像データADW、BDW、CDWと図8に示す中間値の画像データADM、BDM、CDMとの各CT値の差分から周辺部よりもCT値の低い画像領域を強調処理した図9に示すような差分画像データSを作成し、この差分画像データSからCT値の差分に対する画素数を示す図10に示すような差分値分布(ヒストグラム)Hを作成する。
図9に示す差分画像データSにおいて、ADSは図7に示す血管壁の画像データADWと図8に示す中間値の画像データADFとの差分画像データを示し、BDSは図7に示す血管壁の画像データBDWと図8に示す中間値の画像データBDFとの差分画像データを示し、CDSは図7に示す血管壁の画像データCDWと図8に示す中間値の画像データCDFとの差分画像データを示す。
図10に示す差分値分布Hは、図7に示す血管壁の画像データADW、BDW、CDWと図8に示す中間値の画像データADM、BDM、CDMとの各CT値の差分に対する画素数を示す。これらCT値の差分は、例えば、血管壁の画像データADWと中間値の画像データADMとの同一座標の各CT値の差分を画像全体に亘って求める。なお、CT値の差分は、血管壁の画像データBDWと中間値の画像データBDMとの各CT値の差分に対する画素数、又は血管壁の画像データCDWと中間値の画像データCDMとの各CT値の差分に対する画素数から求めても良い。
【0018】
プラーク抽出部17−4は、血管100の所要部位、例えば大動脈起始部における複数のCT値から画像ノイズの標準偏差σを求め、この標準偏差σに基づく複数レベルの閾値、例えば標準偏差σをそれぞれ異なる数値で整数倍して複数の閾値−σ、−2σ、−3σを算出し、これら閾値−σ、−2σ、−3σにより別けられる複数の領域別にCT値の差分を分けてプラーク領域の確信度を確定する。画像ノイズの標準偏差σを求めるのが大動脈起始部であるのは、当該大動脈起始部が体積が大きく、CT値が等しい物体が集合しているからである。
具体的に、プラーク抽出部17−4は、複数の閾値−σ、−2σ、−3σを設定し、閾値−3σ以上のCT値の差分、すなわち図10に示す閾値−3σ以下のCT値の差分の判定範囲Q1に含まれるCT値の差分を無条件でプラーク領域として確定する。
プラーク抽出部17−4は、閾値−3σと閾値−2σとの間の判定範囲Q2に含まれるCT値の差分を第1の条件付でプラーク領域として確定する。この第1の条件は、閾値−3σと閾値−2σとの間のCT値の差分が上記無条件で確定したプラーク領域に隣接している、又は上記判定範囲Q2に含まれるCT値の差分に対応する図5に示す冠動脈の3Dボリュームデータ中の画像部分が一定体積、例えば0.12mm3以上を有しているである。このプラーク抽出部17−4は、第1の条件付きで判定を行うために、上記判定範囲Q2に含まれるCT値の差分に対応する図5に示す冠動脈の三次元ボリュームデータ中の画像部分に対してラベリングを行う。
プラーク抽出部17−4は、閾値−2σと閾値−σとの間の判定範囲Q3に含まれるCT値の差分を第2の条件付でプラーク領域として確定する。この第2の条件は、上記確定したプラーク領域に隣接しているである。このプラーク抽出部17−4は、第2の条件付きで判定を行うために、上記判定範囲Q3に含まれるCT値の差分に対応する図5に示す冠動脈の三次元ボリュームデータ中の画像部分対してラベリングを行う。
又、プラーク抽出部17−4は、各判定範囲Q1、Q2、Q3のCT値の差分において、壁厚が一定値、例えば1mm未満のプラークを除外し、かつ壁の最外の画素を除外する。換言すれば、プラーク抽出部17−4は、各判定範囲Q1、Q2、Q3のCT値の差分において、壁厚が一定値、例えば1mm以上のプラークを抽出し、かつ壁の最外の画素においてプラークを抽出しない。
【0019】
図11は例えば図9に示す差分画像データSに対して閾値−σにより抽出したプラーク領域の候補Pと複数の画像ノイズNとを示す。
これに対して図12はプラーク抽出部17−4により閾値−σ、−2σ、−3σを設定し、これら閾値−σ、−2σ、−3σにより別けられる複数の判定範囲Q1、Q2、Q3別にCT値の差分を分けてプラーク領域の候補PからプラークPsとして確定した結果を示す。
【0020】
次に、上記の如く構成された装置によるプラーク抽出の動作について説明する。
X線CT装置2は、人体等の被検体に造影剤を注入し、被検体にX線を照射し、この被検体を通過したX線を検出し、被検体の関心部位、例えば心臓の冠動脈のCT画像の3Dボリュームデータ等を取得し、ディスプレイ等に表示する。
医用画像保管装置3は、X線CT装置2の撮影により取得されたCT画像の3Dボリュームデータ、例えば心臓の冠動脈のCT画像の3Dボリュームデータをデータベースに記憶する。この医用画像保管装置3に保存されているCT画像の3Dボリュームデータは、LAN5を介して医用画像処理装置4に送信される。
この医用画像処理装置4は、医用画像保管装置3に保存されてCT画像の3Dボリュームデータを読み込み、この3Dボリュームデータを画像処理し、例えば冠動脈の血管内のプラークによる心疾患の可能性があるか否かの診断において、CT画像中の血管壁内のプラーク領域を自動的に抽出する。
【0021】
画像処理部17は、基本処理として、心臓の3Dボリュームデータに対し、画像の切り出しと、石灰化抽出処理と、内腔(造影剤)抽出処理と、外壁抽出処理と、プラーク抽出処理とを行う。
すなわち、画像処理部17は、医用画像保管装置3に保存されているCT画像の3Dボリュームデータ、例えば心臓ボリュームデータを読み出し、この心臓ボリュームデータから注目領域、例えば冠動脈の一部分を3Dボリュームデータとして切り出す。
画像処理部17は、冠動脈のボリュームデータから例えば大動脈起始部のCT値を取得し、この大動脈起始部のCT値の例えば1.2倍を上回るCT値の領域を石灰化(石灰化プラーク)として抽出する。ここで、画像処理部17は、造影剤のCT値より石灰化のCT値が高いことを利用し、特に、パーシャルボリュームエフェクトの小さい大動脈起始部のCT値を用いる。
【0022】
画像処理部17は、切り出した冠動脈の一部分の3Dボリュームデータから複数断面のCPR像、例えば図5に示すようなA−A断面の断面画像データADと、B−B断面の断面画像データBDと、C断面の断面画像データCDとを作成し、これら断面画像データAD、BD、CDから芯線周りにチューブROI(3次元的な関心領域)を取り、このチューブROI内の石灰化を抽出し、除去する。
【0023】
画像処理部17は、例えば図5に示す断面画像データCDを二値化し、冠動脈の血管の内壁に向かう方向にスキャンし、このスキャン結果から冠動脈の血管内の重心を求め、この重心に基づいて冠動脈の血管の芯点を求める。この画像処理部17は、冠動脈の血管の延びている方向にスキャンして複数の断面画像データCDを作成し、これら断面画像データCDからそれぞれ冠動脈の血管の各芯点を求める。画像処理部17は、各芯点を繋ぐことにより冠動脈の血管の芯線Eを求める。
【0024】
以下、プラーク領域の抽出動作について図13に示すプラーク領域抽出フローチャートに従って説明する。なお、図14はプラーク領域抽出の動作における画像データ処理の流れを示す。
血管壁データ抽出部17−1は、ステップ#1において、図5に示すようなCT画像の心臓ボリュームデータDから例えば冠動脈の一部分を3Dボリュームデータで切り出し、この3Dボリュームデータから図7に示すような2Dの冠動脈の血管壁の画像データW、すなわち血管壁の各画像データADW、BDW、CDWを抽出する。
中間画像データ作成部17−2は、ステップ#2において、冠動脈の血管壁の画像データW、例えば図7に示す血管壁の各画像データADW、BDW、CDWに対してそれぞれ血管100の芯線Eの方向に沿って中間領域のフィルタリング、例えばMedianフィルタを用いてフィルタリングを行って例えば図8に示すような中間値の画像データMを作成する。
【0025】
強調処理部17−3は、ステップ#3において、図7に示す血管壁の画像データADW、BDW、CDWと図8に示す中間値の画像データADM、BDM、CDMとの各CT値の差分から周辺部よりもCT値の低い画像領域を強調処理した図9に示すような差分画像データSを作成する。この差分画像データSは、例えば図7に示す血管壁の画像データADW、BDW、CDWからそれぞれ図8に示す中間値の画像データADM、BDM、CDMを減算して作成される。強調処理部17−3は、差分画像データSからCT値の差分に対する画素数を示す図10に示すような差分値分布Hを作成する。
【0026】
プラーク抽出部17−4は、ステップ#4において、血管100の所要部位、例えば大動脈起始部における複数のCT値から画像ノイズの標準偏差σを求める。このプラーク抽出部17−4は、標準偏差σに基づく複数レベルの閾値、例えば標準偏差σをそれぞれ異なる数値で整数倍して複数の閾値−σ、−2σ、−3σを算出し、これら閾値−σ、−2σ、−3σにより別けられる複数の領域別にCT値の差分を分けてプラーク領域の確信度を確定する。
具体的に、プラーク抽出部17−4は、図10に示す差分値分布Hにおいて、閾値−3σ以上のCT値の差分、すなわち図10に示す閾値−3σ以下のCT値の差分の判定範囲Q1に含まれるCT値の差分を無条件でプラーク領域として確定する。
プラーク抽出部17−4は、閾値−3σと閾値−2σとの間の判定範囲Q2に含まれるCT値の差分を第1の条件付でプラーク領域として確定する。この第1の条件は、閾値−3σと閾値−2σとの間のCT値の差分が上記無条件で確定したプラーク領域に隣接している、又は上記判定範囲Q2に含まれるCT値の差分に対応する図5に示す冠動脈の3Dボリュームデータ中の画像部分が一定体積、例えば0.12mm3以上を有しているである。
【0027】
プラーク抽出部17−4は、閾値−2σと閾値−σとの間の判定範囲Q3に含まれるCT値の差分を第2の条件付でプラーク領域として確定する。この第2の条件は、上記確定したプラーク領域に隣接しているである。
プラーク抽出部17−4は、各判定範囲Q1、Q2、Q3のCT値の差分において、壁厚が一定値、例えば1mm未満のプラークを除外し、かつ壁の最外の画素を除外する。換言すれば、プラーク抽出部17−4は、各判定範囲Q1、Q2、Q3のCT値の差分において、壁厚が一定値、例えば1mm以上のプラークを抽出し、かつ壁の最外の画素においてプラークを抽出しない。
【0028】
このプラーク抽出の結果、図12に示すようにプラーク領域の候補PからプラークPsが確定される。この確定されたプラークPsは、図11に示す閾値−σにより抽出した結果と対比すると分るように複数の画像ノイズNが除去され、プラークとして確度の高いプラークPsのみが抽出される。
【0029】
本装置によるプラーク抽出の動作についてのシミュレーション結果について説明する。
プラーク抽出のシミュレーションでは、図15に示すような数値ファントムを用いる。この数値ファントムは、画像ノイズ無しと、画像ノイズ有りがある。閾値は例えば60HUである。プラークPは例えば30HUであり、石灰化の部分Kは400HUであり、内腔Jは350HUであり、壁Lは130HUである。
シミュレーション装置は、かかる数値ファントムから画像再構成して冠動脈の血管の生データを作成し、この生データを用いてプラーク抽出のシミュレーションを実行する。このシミュレーションの結果、例えば図16(a)(b)に示すようにプラークPsを抽出できることができる。同図(a)は画像ノイズ無しであり、同図(b)は画像ノイズ有りである。
【0030】
このように上記一実施の形態によれば、CT画像の心臓ボリュームデータDから切出した例えば冠動脈の3Dボリュームデータから血管壁の画像データWを抽出し、これら血管壁の画像データWに対して中間領域のフィルタリングを行って中間値の画像データMを作成し、これら血管壁の画像データWと中間値の画像データMとの各CT値の差分から周辺部よりもCT値の低い画像領域を強調処理した差分画像データSを作成し、この差分画像データSからCT値の差分に対する画素数を示す差分値分布Hを作成し、かつ例えば大動脈起始部における複数のCT値から求めた画像ノイズの標準偏差σから複数の閾値−σ、−2σ、−3σを算出し、これら閾値−σ、−2σ、−3σにより別けられる複数の領域別にCT値の差分を分けてプラーク領域の確信度を確定する。これにより、プラークPsを確実に抽出することができ、プラークPs以外の領域をプラークとして抽出することがなくなり、例えば医師の読影による冠動脈の血管壁内のプラークの抽出と一致させることができる。
【0031】
このプラーク抽出では、図10に示す差分値分布Hにおいて、図10に示す閾値−3σ以下のCT値の差分の判定範囲Q1に含まれるCT値の差分を無条件でプラーク領域として確定し、閾値−3σと閾値−2σとの間の判定範囲Q2に含まれるCT値の差分を第1の条件付でプラーク領域として確定し、閾値−2σと閾値−σとの間の判定範囲Q3に含まれるCT値の差分を第2の条件付でプラーク領域として確定するので、プラークPsの抽出の確度を高めることができる。
又、各判定範囲Q1、Q2、Q3のCT値の差分において、壁厚が一定値、例えば1mm未満のプラークを除外し、かつ壁の最外の画素を除外することでもプラークPsの抽出の確度を高めることができる。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1:医用画像診断装置、2:医用画像撮影装置(X線CT装置)、3:医用画像保管装置、4:医用画像処理装置、5:ローカルエリアネットワーク(LAN)、11:制御部、12:メモリ、13:表示部、14:操作部、15:記憶部、16:通信部、17:画像処理部、18:バスライン、17−1:血管壁データ抽出部、17−2:中間画像データ作成部、17−3:強調処理部、17−4:プラーク抽出部。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えばCT画像中の血管壁内のプラーク領域を自動的に抽出するプラーク領域抽出方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば冠動脈の診断では、冠動脈の血管内のプラークによる心疾患の可能性があるか否かの診断を行っている。冠動脈の血管内のプラークは、破壊すると同血管を閉塞又は強度狭窄となり、重大な虚血性心疾患を誘発することになるので冠動脈の診断が行われる。この冠動脈の診断では、X線CT装置の撮影により取得されたCT画像から冠動脈の血管狭窄部分を特定したり、血管狭窄に至っていない冠動脈内のプラークを特定することが行われる。この冠動脈の診断においては、X線CT装置の撮影により取得されたCT画像から冠動脈の血管壁内のプラーク量を計測し、このプラーク量によって冠動脈の疾患のリスクが診断される。現状では、医師がCT画像を観察して手動によりプラークを抽出し、このプラーク量によって冠動脈の疾患のリスクを診断している。又、プラークを抽出する技術としては、CT画像を予め設定された閾値で切ってプラークを抽出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−275141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、CT画像を閾値で切ってプラークを抽出しても、プラークを確実に抽出できずに見逃したり、プラーク以外の領域を抽出することもあり、例えば医師の読影による冠動脈の血管壁内のプラークの抽出と一致しないことがある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、医師の読影による冠動脈の血管壁内のプラークの抽出と一致するように、プラークを確実に抽出できるプラーク領域抽出方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、血管を含む被検体を撮影して取得された画像データから血管壁の第1の画像データを抽出し、前記第1の画像データに対して中間領域のフィルタリングを行って中間値の第2の画像データを作成し、前記第1の画像データと前記第2の画像データとの差分から前記第1の画像データにおいて周辺部よりも画素値の低い画像領域を強調処理した第3の画像データを作成し、前記第1の画像データの画素値から標準偏差を求め、この標準偏差に基づく複数レベルの閾値に従って前記血管中のプラークを抽出するプラーク領域抽出方法及びその装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一実施形態のプラーク領域抽出装置を適用した医用画像診断装置を示すブロック構成図。
【図2】同装置における医用画像処理装置を示すブロック構成図。
【図3】同装置により作成される冠動脈の三次元ボリュームデータから取得される複数の断面方向を示す摸式図。
【図4】同装置により取得される冠動脈の三次元ボリュームデータに対する複数の断面画像データを示す摸式図。
【図5】同装置により取得される冠動脈の三次元ボリュームデータの複数の断面画像データの表示例を示す図。
【図6】同装置における画像処理部を示す具体的な機能ブロック図。
【図7】同装置における画像処理部により血管壁の二次元の第1の画像データの表示例を示す図。
【図8】同装置における画像処理部の中間領域のフィルタリングを行っ作成される中間値の画像データを示す図。
【図9】同装置における画像処理部の画像処理により得られる差分画像データを示す摸式図。
【図10】同装置における画像処理部により作成された差分値分布を示す図。
【図11】同装置における画像処理部により抽出されたプラーク領域の候補と複数の画像ノイズとを示す図。
【図12】同装置における画像処理部により確定したプラーク領域を示す図。
【図13】同装置のプラーク領域抽出フローチャート。
【図14】同装置によるプラーク領域抽出の動作における画像データ処理の流れを示す図。
【図15】同装置におけるプラーク抽出のシミュレーションモデルの一例を示す図。
【図16】同装置におけるプラーク抽出のシミュレーション結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、プラーク領域抽出装置の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本装置を適用した医用画像診断装置1のブロック構成図を示す。この医用画像診断装置1は、医用画像撮影装置2と、医用画像保管装置3と、医用画像処理装置4とを有する。これら医用画像撮影装置2と、医用画像保管装置3と、医用画像処理装置4とは、ローカルエリアネットワーク(LAN)5等を介して接続されている。医用画像撮影装置2は、例えばX線CT装置(以下、X線CT装置2と称する)である。
このX線CT装置2は、被検体にX線を照射し、この被検体を通過したX線を検出し、被検体の内部(関心部位)のCT画像の三次元(3D)ボリュームデータ等を取得し、ディスプレイ等に表示する。被検体の各部位は、例えば心臓の冠動脈や、肺及び胃などである。
医用画像保管装置3は、X線CT装置2の撮影により取得されたCT画像の3Dボリュームデータ、例えば心臓の冠動脈のCT画像の3Dボリュームデータなどを記憶するデータベースである。この医用画像保管装置3に保存されているCT画像の3Dボリュームデータは、LAN5を介して医用画像処理装置4に送信される。
【0009】
医用画像処理装置4は、医用画像保管装置3に保存されてCT画像の3Dボリュームデータを読み込み、この3Dボリュームデータを画像処理し、例えば冠動脈の血管内のプラークによる心疾患の可能性があるか否かの診断において、CT画像中の血管壁内のプラーク領域を自動的に抽出する。
図2は医用画像処理装置4のブロック構成図を示す。この医用画像処理装置4は、CPU(Central Processing Unit)などの制御部11と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などのメモリ12と、CT画像などの各種画像を表示する表示部13と、操作者からの入力操作を受け付ける操作部14と、X線CT装置2の撮影により取得されたCT画像の3Dボリュームデータを画像処理してそのCT画像を表示部13に表示するために画像処理プログラムや各種データなどを記憶する記憶部15と、外部装置との通信を行う通信部16と、CT画像の3Dボリュームデータなどの各種画像を処理したり、CT画像の3Dボリュームデータ中からプラーク領域を抽出する画像処理部17とを有する。これら制御部11と、メモリ12と、表示部13と、操作部14と、記憶部15と、通信部16と、画像処理部17とは、バスライン18により電気的に接続されている。
【0010】
記憶部15には、上記画像処理プログラムや各種データなどの他に、CT画像の3Dボリュームデータ中からプラーク領域を抽出するためのプラーク領域抽出プログラムが記憶されている。このプラーク領域抽出プログラムは、冠動脈の血管内のプラークによる心疾患を診断するときに実行されるもので、冠動脈等の血管を含む被検体を撮影して取得されたCT画像の3Dボリュームデータから血管壁の第1の画像データを抽出させる血管壁データ抽出機能と、この第1の画像データに対して中間領域のフィルタリングを行って中間値の第2の画像データを作成させる中間画像データ作成機能と、上記第1の画像データと上記第2の画像データとの差分から第1の画像データにおいて周辺部よりも画素値の低い画像領域を強調処理した第3の画像データを作成させる強調処理機能と、第1の画像データの画素値から標準偏差を求め、この標準偏差に基づく複数レベルの閾値に従って冠動脈等の血管中のプラークを抽出させるプラーク抽出機能とを含む。この記憶部15は、例えば、磁気ディスク装置や半導体ディスク装置(フラッシュメモリ)などである。
【0011】
制御部11は、記憶部15に記憶されている上記画像処理プログラムや各種データなどに基づき、操作部14からの入力操作を受け付け、表示部13や通信部16、画像処理部17等を制御し、CT画像の三次元ボリュームデータ等を画像処理して表示部13に表示する。
又、制御部11は、記憶部15に記憶されているプラーク領域抽出プログラムを実行し、画像処理部17に対して冠動脈等の血管を含む被検体を撮影して取得されたCT画像の3Dボリュームデータから血管壁の第1の画像データを抽出し、この第1の画像データに対して中間領域のフィルタリングを行って中間値の第2の画像データを作成し、上記第1の画像データと上記第2の画像データとの差分から第1の画像データにおいて周辺部よりも画素値の低い画像領域を強調処理した第3の画像データを作成し、第1の画像データの画素値から標準偏差を求め、この標準偏差に基づく複数レベルの閾値に従って冠動脈等の血管中のプラークを抽出する。標準偏差は、画素値のばらつきを表す統計解析値である。
【0012】
メモリ12は、制御部11が実行する起動プログラムなどを記憶するメモリであって、制御部11のワークエリアとしても機能する。なお、起動プログラムは、医用画像処理装置4の起動時に制御部11により読み出されて実行される。
表示部13は、2D画像や3D画像などの各種画像をカラー表示するもので、例えば液晶ディスプレイやCRTディスプレイ等である。
操作部14は、操作者により入力操作される入力部であって、画像表示の開始や画像の切り替え、設定の変更などの各種の入力操作を受け付ける入力部である。この操作部14としては、例えば、マウスやキーボードなどの入力デバイスを用いる。
通信部16は、LAN5等を介して外部装置との通信を行うもので、例えばLANカードやモデムなどである。外部装置としては、例えば上記医用画像撮影装置2及び上記医用画像保管装置3などである。
【0013】
画像処理部17は、記憶部15に記憶されているプラーク領域抽出プログラムを実行し、CT画像の3Dボリュームデータ中から例えば冠動脈の血管内のプラークを抽出する。すなわち、画像処理部17は、プラーク抽出装置としての機能を有し、医用画像保管装置3に保存されているCT画像の3Dボリュームデータ、例えば心臓ボリュームデータを読み出し、この心臓ボリュームデータに対して注目領域、例えば冠動脈の一部分を3Dボリュームデータで切り出し、この冠動脈の3Dボリュームデータから冠動脈の血管の芯線を抽出し、この芯線方向に沿って冠動脈の3Dボリュームデータから血管壁の第1の画像データを抽出し、この第1の画像データに対して中間領域のフィルタリングを行って中間値の第2の画像データを作成し、上記第1の画像データと上記第2の画像データとの差分から第1の画像データにおいて周辺部よりも画素値の低い画像領域を強調処理した第3の画像データを作成し、第1の画像データの画素値から標準偏差を求め、この標準偏差に基づく複数レベルの閾値に従って冠動脈等の血管中のプラークを抽出する。
又、画像処理部17は、切り出された冠動脈の3Dボリュームデータから複数断面のCPR(Curved Planer Reconstruction:曲面任意多断面再構成画像)像、例えば図3に示すように冠動脈等の血管100に対してA−A断面、B−B断面、C断面の各画像データDの各スライス像を作成する。A−A断面は、血管100の芯線(血流方向)Eの方向に沿った断面である。B−B断面は、血管100の芯線Eの方向に沿い、かつA−A断面に対して垂直な断面である。C断面は、血管100の芯線Eの方向に垂直な断面である。
【0014】
図4(a)はA−A断面の断面画像データADの摸式図を示し、同図(b)はB−B断面の断面画像データBDの摸式図を示し、同図(c)はC断面の断面画像データCDの摸式図を示す。図5は表示部13に表示されるA−A断面の断面画像データADと、B−B断面の断面画像データBDと、C断面の断面画像データCDとの表示例を示す。
なお、図3乃至図5は、血管100内のプラークP及び石灰化の部分Kを示す。又、Jは内腔を示し、Lは壁を示す。
【0015】
図6は画像処理部17の具体的な機能ブロック図を示す。この画像処理部17は、血管壁データ抽出部17−1と、中間画像データ作成部17−2と、強調処理部17−3と、プラーク抽出部17−4とを有する。
血管壁データ抽出部17−1は、図5に示すようなCT画像の心臓ボリュームデータDから例えば冠動脈の一部分を3Dボリュームデータで切り出し、この3Dボリュームデータから2次元(2D)の冠動脈の血管壁の画像データ(第1の画像データ)Wを抽出する。
図7は血管壁の画像データWの表示例を示し、ADWは図5に示すA−A断面の断面画像データADの血管壁の画像データを示し、BDWは図5に示すB−B断面の断面画像データBDの血管壁の画像データを示し、CDWは図5に示すC断面の断面画像データBDの血管壁の画像データを示す。
【0016】
中間画像データ作成部17−2は、冠動脈の血管壁の画像データW、例えば図7に示すA−A断面に対応する血管壁の画像データADWと、B−B断面に対応する血管壁の画像データBDWと、C断面に対応する血管壁の画像データCDWとに対してそれぞれ中間領域のフィルタリング、すなわち血管壁の画像データADW、BDW、CDWにおける血管100の芯線方向に沿って当該血管壁の各画像データADW、BDW、CDWの持つCT値の全領域の中間となる領域、すなわち中間領域のフィルタリングを行って例えば図8に示すような中間値の画像データ(第2の画像データ)Mを作成する。この中間領域のフィルタリングは、例えばMedianフィルタを用いて行う。
同図8においてADMは図7に示す血管壁の画像データADWをフィルタリングした中間値の画像データを示し、BDMは図7に示す血管壁の画像データBDWをフィルタリングした中間値の画像データを示し、CDMは図7に示す血管壁の画像データCDWをフィルタリングした中間値の画像データを示す。
【0017】
強調処理部17−3は、図7に示す血管壁の画像データADW、BDW、CDWと図8に示す中間値の画像データADM、BDM、CDMとの差分から周辺部よりも画素値の低い画像領域を強調処理した差分画像データ(第3の画像データ)Sを作成する。具体的に強調処理部17−3は、図7に示す血管壁の画像データADW、BDW、CDWと図8に示す中間値の画像データADM、BDM、CDMとの各CT値の差分から周辺部よりもCT値の低い画像領域を強調処理した図9に示すような差分画像データSを作成し、この差分画像データSからCT値の差分に対する画素数を示す図10に示すような差分値分布(ヒストグラム)Hを作成する。
図9に示す差分画像データSにおいて、ADSは図7に示す血管壁の画像データADWと図8に示す中間値の画像データADFとの差分画像データを示し、BDSは図7に示す血管壁の画像データBDWと図8に示す中間値の画像データBDFとの差分画像データを示し、CDSは図7に示す血管壁の画像データCDWと図8に示す中間値の画像データCDFとの差分画像データを示す。
図10に示す差分値分布Hは、図7に示す血管壁の画像データADW、BDW、CDWと図8に示す中間値の画像データADM、BDM、CDMとの各CT値の差分に対する画素数を示す。これらCT値の差分は、例えば、血管壁の画像データADWと中間値の画像データADMとの同一座標の各CT値の差分を画像全体に亘って求める。なお、CT値の差分は、血管壁の画像データBDWと中間値の画像データBDMとの各CT値の差分に対する画素数、又は血管壁の画像データCDWと中間値の画像データCDMとの各CT値の差分に対する画素数から求めても良い。
【0018】
プラーク抽出部17−4は、血管100の所要部位、例えば大動脈起始部における複数のCT値から画像ノイズの標準偏差σを求め、この標準偏差σに基づく複数レベルの閾値、例えば標準偏差σをそれぞれ異なる数値で整数倍して複数の閾値−σ、−2σ、−3σを算出し、これら閾値−σ、−2σ、−3σにより別けられる複数の領域別にCT値の差分を分けてプラーク領域の確信度を確定する。画像ノイズの標準偏差σを求めるのが大動脈起始部であるのは、当該大動脈起始部が体積が大きく、CT値が等しい物体が集合しているからである。
具体的に、プラーク抽出部17−4は、複数の閾値−σ、−2σ、−3σを設定し、閾値−3σ以上のCT値の差分、すなわち図10に示す閾値−3σ以下のCT値の差分の判定範囲Q1に含まれるCT値の差分を無条件でプラーク領域として確定する。
プラーク抽出部17−4は、閾値−3σと閾値−2σとの間の判定範囲Q2に含まれるCT値の差分を第1の条件付でプラーク領域として確定する。この第1の条件は、閾値−3σと閾値−2σとの間のCT値の差分が上記無条件で確定したプラーク領域に隣接している、又は上記判定範囲Q2に含まれるCT値の差分に対応する図5に示す冠動脈の3Dボリュームデータ中の画像部分が一定体積、例えば0.12mm3以上を有しているである。このプラーク抽出部17−4は、第1の条件付きで判定を行うために、上記判定範囲Q2に含まれるCT値の差分に対応する図5に示す冠動脈の三次元ボリュームデータ中の画像部分に対してラベリングを行う。
プラーク抽出部17−4は、閾値−2σと閾値−σとの間の判定範囲Q3に含まれるCT値の差分を第2の条件付でプラーク領域として確定する。この第2の条件は、上記確定したプラーク領域に隣接しているである。このプラーク抽出部17−4は、第2の条件付きで判定を行うために、上記判定範囲Q3に含まれるCT値の差分に対応する図5に示す冠動脈の三次元ボリュームデータ中の画像部分対してラベリングを行う。
又、プラーク抽出部17−4は、各判定範囲Q1、Q2、Q3のCT値の差分において、壁厚が一定値、例えば1mm未満のプラークを除外し、かつ壁の最外の画素を除外する。換言すれば、プラーク抽出部17−4は、各判定範囲Q1、Q2、Q3のCT値の差分において、壁厚が一定値、例えば1mm以上のプラークを抽出し、かつ壁の最外の画素においてプラークを抽出しない。
【0019】
図11は例えば図9に示す差分画像データSに対して閾値−σにより抽出したプラーク領域の候補Pと複数の画像ノイズNとを示す。
これに対して図12はプラーク抽出部17−4により閾値−σ、−2σ、−3σを設定し、これら閾値−σ、−2σ、−3σにより別けられる複数の判定範囲Q1、Q2、Q3別にCT値の差分を分けてプラーク領域の候補PからプラークPsとして確定した結果を示す。
【0020】
次に、上記の如く構成された装置によるプラーク抽出の動作について説明する。
X線CT装置2は、人体等の被検体に造影剤を注入し、被検体にX線を照射し、この被検体を通過したX線を検出し、被検体の関心部位、例えば心臓の冠動脈のCT画像の3Dボリュームデータ等を取得し、ディスプレイ等に表示する。
医用画像保管装置3は、X線CT装置2の撮影により取得されたCT画像の3Dボリュームデータ、例えば心臓の冠動脈のCT画像の3Dボリュームデータをデータベースに記憶する。この医用画像保管装置3に保存されているCT画像の3Dボリュームデータは、LAN5を介して医用画像処理装置4に送信される。
この医用画像処理装置4は、医用画像保管装置3に保存されてCT画像の3Dボリュームデータを読み込み、この3Dボリュームデータを画像処理し、例えば冠動脈の血管内のプラークによる心疾患の可能性があるか否かの診断において、CT画像中の血管壁内のプラーク領域を自動的に抽出する。
【0021】
画像処理部17は、基本処理として、心臓の3Dボリュームデータに対し、画像の切り出しと、石灰化抽出処理と、内腔(造影剤)抽出処理と、外壁抽出処理と、プラーク抽出処理とを行う。
すなわち、画像処理部17は、医用画像保管装置3に保存されているCT画像の3Dボリュームデータ、例えば心臓ボリュームデータを読み出し、この心臓ボリュームデータから注目領域、例えば冠動脈の一部分を3Dボリュームデータとして切り出す。
画像処理部17は、冠動脈のボリュームデータから例えば大動脈起始部のCT値を取得し、この大動脈起始部のCT値の例えば1.2倍を上回るCT値の領域を石灰化(石灰化プラーク)として抽出する。ここで、画像処理部17は、造影剤のCT値より石灰化のCT値が高いことを利用し、特に、パーシャルボリュームエフェクトの小さい大動脈起始部のCT値を用いる。
【0022】
画像処理部17は、切り出した冠動脈の一部分の3Dボリュームデータから複数断面のCPR像、例えば図5に示すようなA−A断面の断面画像データADと、B−B断面の断面画像データBDと、C断面の断面画像データCDとを作成し、これら断面画像データAD、BD、CDから芯線周りにチューブROI(3次元的な関心領域)を取り、このチューブROI内の石灰化を抽出し、除去する。
【0023】
画像処理部17は、例えば図5に示す断面画像データCDを二値化し、冠動脈の血管の内壁に向かう方向にスキャンし、このスキャン結果から冠動脈の血管内の重心を求め、この重心に基づいて冠動脈の血管の芯点を求める。この画像処理部17は、冠動脈の血管の延びている方向にスキャンして複数の断面画像データCDを作成し、これら断面画像データCDからそれぞれ冠動脈の血管の各芯点を求める。画像処理部17は、各芯点を繋ぐことにより冠動脈の血管の芯線Eを求める。
【0024】
以下、プラーク領域の抽出動作について図13に示すプラーク領域抽出フローチャートに従って説明する。なお、図14はプラーク領域抽出の動作における画像データ処理の流れを示す。
血管壁データ抽出部17−1は、ステップ#1において、図5に示すようなCT画像の心臓ボリュームデータDから例えば冠動脈の一部分を3Dボリュームデータで切り出し、この3Dボリュームデータから図7に示すような2Dの冠動脈の血管壁の画像データW、すなわち血管壁の各画像データADW、BDW、CDWを抽出する。
中間画像データ作成部17−2は、ステップ#2において、冠動脈の血管壁の画像データW、例えば図7に示す血管壁の各画像データADW、BDW、CDWに対してそれぞれ血管100の芯線Eの方向に沿って中間領域のフィルタリング、例えばMedianフィルタを用いてフィルタリングを行って例えば図8に示すような中間値の画像データMを作成する。
【0025】
強調処理部17−3は、ステップ#3において、図7に示す血管壁の画像データADW、BDW、CDWと図8に示す中間値の画像データADM、BDM、CDMとの各CT値の差分から周辺部よりもCT値の低い画像領域を強調処理した図9に示すような差分画像データSを作成する。この差分画像データSは、例えば図7に示す血管壁の画像データADW、BDW、CDWからそれぞれ図8に示す中間値の画像データADM、BDM、CDMを減算して作成される。強調処理部17−3は、差分画像データSからCT値の差分に対する画素数を示す図10に示すような差分値分布Hを作成する。
【0026】
プラーク抽出部17−4は、ステップ#4において、血管100の所要部位、例えば大動脈起始部における複数のCT値から画像ノイズの標準偏差σを求める。このプラーク抽出部17−4は、標準偏差σに基づく複数レベルの閾値、例えば標準偏差σをそれぞれ異なる数値で整数倍して複数の閾値−σ、−2σ、−3σを算出し、これら閾値−σ、−2σ、−3σにより別けられる複数の領域別にCT値の差分を分けてプラーク領域の確信度を確定する。
具体的に、プラーク抽出部17−4は、図10に示す差分値分布Hにおいて、閾値−3σ以上のCT値の差分、すなわち図10に示す閾値−3σ以下のCT値の差分の判定範囲Q1に含まれるCT値の差分を無条件でプラーク領域として確定する。
プラーク抽出部17−4は、閾値−3σと閾値−2σとの間の判定範囲Q2に含まれるCT値の差分を第1の条件付でプラーク領域として確定する。この第1の条件は、閾値−3σと閾値−2σとの間のCT値の差分が上記無条件で確定したプラーク領域に隣接している、又は上記判定範囲Q2に含まれるCT値の差分に対応する図5に示す冠動脈の3Dボリュームデータ中の画像部分が一定体積、例えば0.12mm3以上を有しているである。
【0027】
プラーク抽出部17−4は、閾値−2σと閾値−σとの間の判定範囲Q3に含まれるCT値の差分を第2の条件付でプラーク領域として確定する。この第2の条件は、上記確定したプラーク領域に隣接しているである。
プラーク抽出部17−4は、各判定範囲Q1、Q2、Q3のCT値の差分において、壁厚が一定値、例えば1mm未満のプラークを除外し、かつ壁の最外の画素を除外する。換言すれば、プラーク抽出部17−4は、各判定範囲Q1、Q2、Q3のCT値の差分において、壁厚が一定値、例えば1mm以上のプラークを抽出し、かつ壁の最外の画素においてプラークを抽出しない。
【0028】
このプラーク抽出の結果、図12に示すようにプラーク領域の候補PからプラークPsが確定される。この確定されたプラークPsは、図11に示す閾値−σにより抽出した結果と対比すると分るように複数の画像ノイズNが除去され、プラークとして確度の高いプラークPsのみが抽出される。
【0029】
本装置によるプラーク抽出の動作についてのシミュレーション結果について説明する。
プラーク抽出のシミュレーションでは、図15に示すような数値ファントムを用いる。この数値ファントムは、画像ノイズ無しと、画像ノイズ有りがある。閾値は例えば60HUである。プラークPは例えば30HUであり、石灰化の部分Kは400HUであり、内腔Jは350HUであり、壁Lは130HUである。
シミュレーション装置は、かかる数値ファントムから画像再構成して冠動脈の血管の生データを作成し、この生データを用いてプラーク抽出のシミュレーションを実行する。このシミュレーションの結果、例えば図16(a)(b)に示すようにプラークPsを抽出できることができる。同図(a)は画像ノイズ無しであり、同図(b)は画像ノイズ有りである。
【0030】
このように上記一実施の形態によれば、CT画像の心臓ボリュームデータDから切出した例えば冠動脈の3Dボリュームデータから血管壁の画像データWを抽出し、これら血管壁の画像データWに対して中間領域のフィルタリングを行って中間値の画像データMを作成し、これら血管壁の画像データWと中間値の画像データMとの各CT値の差分から周辺部よりもCT値の低い画像領域を強調処理した差分画像データSを作成し、この差分画像データSからCT値の差分に対する画素数を示す差分値分布Hを作成し、かつ例えば大動脈起始部における複数のCT値から求めた画像ノイズの標準偏差σから複数の閾値−σ、−2σ、−3σを算出し、これら閾値−σ、−2σ、−3σにより別けられる複数の領域別にCT値の差分を分けてプラーク領域の確信度を確定する。これにより、プラークPsを確実に抽出することができ、プラークPs以外の領域をプラークとして抽出することがなくなり、例えば医師の読影による冠動脈の血管壁内のプラークの抽出と一致させることができる。
【0031】
このプラーク抽出では、図10に示す差分値分布Hにおいて、図10に示す閾値−3σ以下のCT値の差分の判定範囲Q1に含まれるCT値の差分を無条件でプラーク領域として確定し、閾値−3σと閾値−2σとの間の判定範囲Q2に含まれるCT値の差分を第1の条件付でプラーク領域として確定し、閾値−2σと閾値−σとの間の判定範囲Q3に含まれるCT値の差分を第2の条件付でプラーク領域として確定するので、プラークPsの抽出の確度を高めることができる。
又、各判定範囲Q1、Q2、Q3のCT値の差分において、壁厚が一定値、例えば1mm未満のプラークを除外し、かつ壁の最外の画素を除外することでもプラークPsの抽出の確度を高めることができる。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1:医用画像診断装置、2:医用画像撮影装置(X線CT装置)、3:医用画像保管装置、4:医用画像処理装置、5:ローカルエリアネットワーク(LAN)、11:制御部、12:メモリ、13:表示部、14:操作部、15:記憶部、16:通信部、17:画像処理部、18:バスライン、17−1:血管壁データ抽出部、17−2:中間画像データ作成部、17−3:強調処理部、17−4:プラーク抽出部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管を含む被検体を撮影して取得された画像データから血管壁の第1の画像データを抽出し、
前記第1の画像データに対して中間領域のフィルタリングを行って中間値の第2の画像データを作成し、
前記第1の画像データと前記第2の画像データとの差分から前記第1の画像データにおいて周辺部よりも画素値の低い画像領域を強調処理した第3の画像データを作成し、
前記第1の画像データの画素値から標準偏差を求め、この標準偏差に基づく複数レベルの閾値に従って前記血管中のプラークを抽出する、
ことを特徴とするプラーク領域抽出方法。
【請求項2】
血管を含む被検体を撮影して取得された画像データから血管壁を含む第1の画像データを抽出する血管壁データ抽出部と、
前記第1画像データに対して、血管の走行方向に沿って中間領域の値を求めるフィルタリングを行って画像データを作成する中間画像データ作成部と、
前記第1の画像データと前記第2の画像データとの差分処理した第3の画像データを作成する強調処理部と、
前記第3の画像データに基づいて、プラーク領域を抽出するプラーク抽出部と、
を具備することを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項3】
前記中間画像データ作成部は、前記第1の画像データに含む前記血管の走行方向に沿って前記中間領域のフィルタリングを行って前記第2の画像データを作成することを特徴とする請求項2記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記画像データは、CT画像データであり、
前記プラーク抽出部は、前記血管の所要部位からCT値の標準偏差を求め、この標準偏差をそれぞれ異なる数値を乗じて複数の閾値を算出し、これら閾値により分けられる複数の領域別に前記CT値の差分を分けて前記プラーク領域の確信度を確定する、
ことを特徴とする請求項2記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記プラーク抽出部は、前記血管の所要部位における画素値の統計解析値に基づいて複数の閾値を求め、この閾値を用いて信頼度の異なる複数のプラーク領域を求めることを特徴とする請求項2記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記画像データは、CT画像データであり、
前記中間画像データ作成部は、前記第1の画像データに含む前記血管の芯線方向に沿って前記中間領域のフィルタリングを行って前記第2の画像データを作成し、
前記強調処理部は、前記第1の画像データと前記第2の画像データとの各CT値の差分から前記周辺部よりも前記CT値の低い画像領域を強調処理した前記第3の画像データとしての差分画像データを作成し、この差分画像データから前記CT値の差分に対する画素数を示す差分値分布を作成し、
前記プラーク抽出部は、前記血管の所要部位から前記CT値の標準偏差を求め、この標準偏差をそれぞれ異なる数値で整数倍して複数の閾値を算出し、これら閾値により別けられる複数の領域別に前記CT値の差分を分けて前記プラーク領域の確信度を確定する、
ことを特徴とする請求項2記載のプラーク領域抽出装置。
【請求項7】
前記プラーク抽出部は、前記複数の閾値として前記標準偏差と、2倍の前記標準偏差と、3倍の前記標準偏差とを設定し、前記3倍の標準偏差以上の前記CT値の差分を無条件で前記プラーク領域として確定し、前記3倍の標準偏差と前記2倍の標準偏差との間の前記CT値の差分を第1の条件付で前記プラーク領域として確定し、前記2倍の標準偏差と前記標準偏差との間の前記CT値の差分を第2の条件付で前記プラーク領域として確定することを特徴とする請求項6記載のプラーク領域抽出装置。
【請求項8】
前記第1の条件は、前記無条件で確定した前記プラーク領域に隣接している、又は一定体積以上を有していることであり、
前記第2の条件は、前記確定した前記プラーク領域に隣接している、
ことを特徴とする請求項6記載のプラーク領域抽出装置。
【請求項1】
血管を含む被検体を撮影して取得された画像データから血管壁の第1の画像データを抽出し、
前記第1の画像データに対して中間領域のフィルタリングを行って中間値の第2の画像データを作成し、
前記第1の画像データと前記第2の画像データとの差分から前記第1の画像データにおいて周辺部よりも画素値の低い画像領域を強調処理した第3の画像データを作成し、
前記第1の画像データの画素値から標準偏差を求め、この標準偏差に基づく複数レベルの閾値に従って前記血管中のプラークを抽出する、
ことを特徴とするプラーク領域抽出方法。
【請求項2】
血管を含む被検体を撮影して取得された画像データから血管壁を含む第1の画像データを抽出する血管壁データ抽出部と、
前記第1画像データに対して、血管の走行方向に沿って中間領域の値を求めるフィルタリングを行って画像データを作成する中間画像データ作成部と、
前記第1の画像データと前記第2の画像データとの差分処理した第3の画像データを作成する強調処理部と、
前記第3の画像データに基づいて、プラーク領域を抽出するプラーク抽出部と、
を具備することを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項3】
前記中間画像データ作成部は、前記第1の画像データに含む前記血管の走行方向に沿って前記中間領域のフィルタリングを行って前記第2の画像データを作成することを特徴とする請求項2記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記画像データは、CT画像データであり、
前記プラーク抽出部は、前記血管の所要部位からCT値の標準偏差を求め、この標準偏差をそれぞれ異なる数値を乗じて複数の閾値を算出し、これら閾値により分けられる複数の領域別に前記CT値の差分を分けて前記プラーク領域の確信度を確定する、
ことを特徴とする請求項2記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記プラーク抽出部は、前記血管の所要部位における画素値の統計解析値に基づいて複数の閾値を求め、この閾値を用いて信頼度の異なる複数のプラーク領域を求めることを特徴とする請求項2記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記画像データは、CT画像データであり、
前記中間画像データ作成部は、前記第1の画像データに含む前記血管の芯線方向に沿って前記中間領域のフィルタリングを行って前記第2の画像データを作成し、
前記強調処理部は、前記第1の画像データと前記第2の画像データとの各CT値の差分から前記周辺部よりも前記CT値の低い画像領域を強調処理した前記第3の画像データとしての差分画像データを作成し、この差分画像データから前記CT値の差分に対する画素数を示す差分値分布を作成し、
前記プラーク抽出部は、前記血管の所要部位から前記CT値の標準偏差を求め、この標準偏差をそれぞれ異なる数値で整数倍して複数の閾値を算出し、これら閾値により別けられる複数の領域別に前記CT値の差分を分けて前記プラーク領域の確信度を確定する、
ことを特徴とする請求項2記載のプラーク領域抽出装置。
【請求項7】
前記プラーク抽出部は、前記複数の閾値として前記標準偏差と、2倍の前記標準偏差と、3倍の前記標準偏差とを設定し、前記3倍の標準偏差以上の前記CT値の差分を無条件で前記プラーク領域として確定し、前記3倍の標準偏差と前記2倍の標準偏差との間の前記CT値の差分を第1の条件付で前記プラーク領域として確定し、前記2倍の標準偏差と前記標準偏差との間の前記CT値の差分を第2の条件付で前記プラーク領域として確定することを特徴とする請求項6記載のプラーク領域抽出装置。
【請求項8】
前記第1の条件は、前記無条件で確定した前記プラーク領域に隣接している、又は一定体積以上を有していることであり、
前記第2の条件は、前記確定した前記プラーク領域に隣接している、
ことを特徴とする請求項6記載のプラーク領域抽出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−200371(P2012−200371A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66796(P2011−66796)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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