説明

プリフォーム、容器および容器成形方法

容器(23)をブロー成形するためのプリフォーム(1)またはプリフォーム・アセンブリであって、プリフォームまたはプリフォーム・アセンブリは首部分(4)と、首部分に設けられた蓋要素(16)と、首部分内に延在し、プリフォームまたはプリフォーム・アセンブリの内部空間にアクセスを提供する開口部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容はプリフォームと容器のブロー成形方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
ブロー成形は、例えば、限定されないが、飲料用ボトルのような容器を製造するための周知の技法である。この技法では、プラスチック製プリフォームが、例えば射出成形により成形される。プリフォームはプラスチックの溶融温度より低い温度に加熱される。ブロー成形工具がプリフォーム内に挿入され、このプリフォームが、所望の容器の形状を有するブロー成形モールド内に置かれる。ブロー成形工具を用いてこのプリフォームが延伸され、次いでプリフォームがモールドの内表面に接触するように吹き込みされて所望の形状になる。
【0003】
場合によって、そのようなブロー成形容器に蓋要素を取付けることが望ましい。
【0004】
WO2008/083782には、超音波溶接またはレーザー溶接のような溶接方法を用いて弁アセンブリを首部分に設けた容器が示されている。この弁アセンブリは容器をブロー成形した後に首領域に溶接される。
【0005】
WO2008/098937には、レーザー溶接方法を用いて首部分に弁アセンブリを設けた容器が示されている。この弁アセンブリは、容器をブロー成形した後に首領域に溶接されるが、これは、首部分の壁を通って弁アセンブリの環状部分に対してレーザービームを指向させることによって行なわれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
蓋要素を取付けたブロー成形容器を製造するための代替的方法およびプリフォームを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様では、本明細書は容器をブロー成形するためのプリフォームに関し、プリフォームから容器をブロー成形する前にプリフォームに蓋要素が取付けられる。
【0008】
他の態様では、本明細書はプリフォームから容器をブロー成形する方法に関する。この方法は、まず蓋要素をプリフォームに取付け、次いでこのプリフォームから容器をブロー成形する工程を備えていてもよい。
【0009】
さらに別の態様では、本明細書は、本明細書のプリフォームからブロー成形された容器、または本明細書による方法の工程を用いてブロー成形された容器に関する。
【0010】
プリフォームおよび方法の他の態様は従属請求項に開示されている。本明細書の主題をさらに明瞭にするために、プリフォーム、方法および容器の実施の形態が添付図面を参照しつつ、以下に説明されるが、これらの図面は概略を示すにすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、プリフォームの第1の実施の形態を示す概略図である。
【図2】図2は、蓋要素を断面図および部分的に底面図で示す概略図である。
【図3】図3は、首部分に蓋要素が取付けられた、図1のプリフォームの概略図である。
【図4】図4は、プリフォームの第2の実施の形態を示す概略図である。
【図5】図5は、プリフォームの第3の実施の形態を示す概略図である。
【図6】図6は、プリフォーム・アセンブリを示す概略図である。
【図7】図7は、別のプリフォーム・アセンブリを示す概略図である。
【図8】図8は、本明細書により製造された容器を示す概略図である。
【図9】図9は、本明細書により製造された、結合手段を有する容器の代替的実施の形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、実施の形態はいずれもプリフォームからブロー成形、例えば延伸ブロー成形されたプラスチック製容器に関して説明がなされるが、プリフォームは、例えば射出成形または押出により製造することができる。これらの容器は、例えば、限定されないが、炭酸飲料のような飲料の貯蔵に用いることができるが、これに限定されない。明らかに、容器はプラスチックのブレンド、プラスチックと金属箔のような金属との組み合わせ、スカベンジャーのような他の材料から作製することができる。これらの実施の形態は単なる例示的実施の形態として開示され、開示内容をなんら制限するものではないことが了解される。
【0013】
本明細書では、ブロー成形は、プリフォームが加熱され長さ方向に延伸され、所望の形状に吹き込みされる延伸ブロー成形を少なくとも含むが、これに限定されない。長さ方向の延伸時、予めプリフォームをある程度吹き込みしておいてもよい。
【0014】
本明細書では、プリフォームはパリソンであってもよいが、プリフォームは、限定されないが、プラスチックから射出成形された要素であって、吹き込みされるとブロー成形容器となる要素を少なくとも含むものと了解されるべきである。本明細書では、プリフォームは、基本的にボトルの形状を有し、首部分と、本体部分と、底部分とを含む容器をブロー成形するためのものであると説明されるべきであるが、当業者には明らかなように、異なる形状の容器を同じ発明概念内の異なる形状のプリフォームを用いて作成することができる。プリフォームは単一層または多層であってもよい。多層プリフォームは、限定されないが、同時注入(co−injection)、同時押出(co−extrusion)またはオーバーモールド工程(over molding)のような周知の技術を用いて製造することができる。多層プリフォームは単層または複数層の剥離層を有していてもよい。
【0015】
本明細書において、「約」および「実質的」という用語はそれが指す所与の値の変動が所与の定義内で許容し得るものであり、その変動は所与の値の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、さらに好ましくは少なくとも15%であることを意味するものと了解されるべきである。
【0016】
本明細書において、プリフォームと容器はPETまたはPETブレンド製であると説明される。しかしながら、本明細書によるプリフォームおよび容器は異なる材料、複数の材料のブレンドまたは組み合わせ、例えば、限定されないが、ポリプロピレンまたはポリスチレン、PEN、ポリエチレン、ポリカーボネート、PBT、およびそれらのブレンドまたは組み合わせを用いて作製することができる。PETまたはPETブレンドの場合、標準PETは、この点に関してプリフォームの射出成形のような成形時のPETの結晶化を防止する添加物を添加されていないPETを少なくとも含むものとして了解されるべきである。
【0017】
本明細書において、飲料、特にビールおよびソフトドリンク類のような炭酸飲料を保持および分注する容器が参照される。しかしながら、他の内容物も本明細書による容器を用いて貯蔵および分注することができる。
【0018】
本明細書において、プリフォームは延伸ブロー成形により比較的薄い壁または壁の組み合わせを有する容器を成形することができるプラスチック材料製であって、プリフォームは実質的にアモルファスであるが、ボトルは少なくとも部分的に結晶性である。好ましくは、プリフォームはグリコール(glycol)のような結晶化阻止添加物を実質的に含まない材料で成形される。そのような添加物は実質的にアモルファスのプリフォームを射出成形するのには有利であるが、これらの添加物はブロー成形された容器に残留し、容器の強度および/または剛性に有害であることが認識されている。これらのプリフォームは、プラスチック材料の結晶化を実質的に阻止するのに十分な小さな肉厚を有するように射出成形されるのが好ましい。
【0019】
プリフォームから延伸ブロー成形された容器であって内部体積が、特に3リットルより大きい容器については、プリフォームの開口部は比較的大きく、例えば2cm以上でなければならない。ラグ(rug)要素により小さい開口部を設けると、より小さい弁または弁アセンブリを容易に配置することができる。例えば、標準的エアロゾル型弁、スプレイ缶型弁等が使用される場合、例えばクリンチされる場合、そのようにすると有利である。
【0020】
図1には、周知の方法で射出成形されたプリフォーム1が示されている。図1の左側はプリフォーム1の断面図、右側は側面図を示す。プリフォーム1は、実質的に円筒状の壁2を有し、第1の端部3が閉じており、首部分4が反対側の第2の端部5にあるものであってもよい。内部体積6は首開口部7から内部空間8まで広がっている。内部空間8は主として内表面9により決まる。内部空間8を囲繞する壁2の厚さTは、例えば首部分4の厚さTと同じかまたはそれより大きくてもよい。首部分4の外面10に把持要素11、例えば1つ以上のフランジ12、および/またはねじ山13を設けることができる。上記一のまたは各フランジ12はプリフォーム1の縦軸(長手軸)Lに実質的に垂直に延在していてもよい。そのようなフランジ12が1つより多い場合、それらのフランジは相互に実質的に平行に延在していてもよい。図1の実施の形態では、1つのそのようなフランジ12が示されている。フランジ12は一般的なものであり、プリフォーム1および/またはそれからブロー成形された容器23を取り扱うのに使用することができる。さらに、これらのフランジは首部分4を剛性化し、その形状と寸法をできるだけ維持するために使用することができる。他の態様では、これらのフランジは首部分に他の要素、例えば、限定されないが、蓋、分注機構、頂部リング構造等を取付けることを可能にするものであってもよい。実施の形態は、種々の直径のフランジを有する構成にしてもよい。
【0021】
図1の実施の形態では、内表面9は首部分4内に直接かつ連続的に延在する。第1の端部3における部分14は実質的に球状かまたは花弁状底部分を形成するための形状をしていてもよいが、これとは別に、内面9は実質的に円筒状にすることができる。首部分4は、第1の端部3に実質的に平坦な、円形の端部表面15を有していてもよい。他の実施の形態では、首部分は異なる形状の端部表面15、例えば、限定されないが、部分的または完全に円錐状、凹状または鋸歯状の端部表面を有していてもよい。他の実施の形態では、端部表面は円形とは異なる形状、例えば、限定されないが、細長形状、卵形状、正方形状、矩形状または多角形状をしていてもよい。
【0022】
図2には蓋要素16が一部断面図で示されている。この実施の形態では、蓋要素16は実質的にリング状であり、周辺リング17と中央開口部18とを有する。中央開口部18は、リング17からまたはこれを通って延在する筒状部分19に設けられている。筒状部分19の外面は、そのような実施の形態においては、蓋要素16に要素、例えば限定されないが図2に破線で概略を示す、筒状部分19にクリンチされた弁20、蓋、エアレーション装置等を取付けるのに有用である。蓋要素16はプリフォーム1の材料と同様のプラスチック材料で作製することができる。他の実施の形態では、蓋要素16はプリフォームの材料とは異なる材料で作製することができる。他の実施の形態では、蓋要素16は部分的にまたは全体的に金属で作製することができる。例示的な一実施の形態では、プリフォームと蓋要素はともにPETまたはPEN、あるいは少なくともPETまたはPENを含むブレンドで作製することができる。一実施の形態では、そのようなブレンドは少なくとも50重量%のPETおよび/またはPENを含むことができる。さらなる一実施の形態では、ブレンドは少なくとも75重量%のPETおよび/またはPENを含んでいてもよい。一実施の形態では、プリフォーム1および/または蓋要素16はCOおよび/またはOバリア特性を有するプラスチック材料で作製することができる。プリフォーム1は複数層を有していてもよく、それらの層の内の1つの層、特に内層が少なくとも部分的にプリフォーム1の他の層から取り外し可能であってもよい。一実施の形態では、プリフォーム1および蓋要素16は溶接または接着可能な材料で作製することができる。
【0023】
図3にはプリフォーム1が示され、首部分4に蓋要素16が取付けられている。この実施の形態では、蓋要素16は端面15上にリング17を固定して配置されている。一実施の形態では、蓋要素16は溶接により表面15に取付けることができる。一実施の形態では、溶接は、超音波溶接により行なうことができる。さらに別の実施の形態では、溶接は、超音波溶接、レーザー溶接、摩擦溶接、スピン溶接および加圧溶接からなるグループから選ばれた溶接技法により達成することができる。さらに別の実施の形態では、蓋要素16は接着によりプリフォーム1に結合することができる。他の実施の形態では、蓋要素16は、他の手段により、例えば限定されないが、スナップ結合、圧入、摩擦ロッキング、ねじ山、バヨネット式ロッキングその他の、2つの要素を結合するための当技術において既知のそのような手段により、取り外せないようにまたは取り外し可能にプリフォーム1に結合することができる。
【0024】
図3から分かるように、蓋要素16はプリフォーム1の内部空間6内へのアクセスを可能にしている。一実施の形態では、内部空間6へのアクセスは蓋要素を通って、特にその中の開口部18を通ってなされる。アクセスは、図3に破線で概略を示すブロー成形工具21に利用可能である。そのようなブロー成形工具21は、例えば、プリフォーム1の縦軸Lと使用時に実質的に一致する縦軸(長手軸)Lを有する要素であってもよい。前端22は、プリフォーム1の第1の端部3に押し付けることができ、前端22はプリフォーム1のプラスチック材料の融解温度より低い温度であるが、プラスチック材料を柔軟にしてプリフォーム1を長手方向に延伸可能にするのに十分高い温度に加熱することができる。次いで、空気のような気体を工具22を通ってプリフォームの内部空間6内に圧入し、プリフォーム1をブロー成形して所望の形状および寸法を有する容器23にすることができる。一実施の形態では、工具21の外面はブロー成形前はプリフォームの内壁に接触していてもよい。他の実施の形態では、工具21の外面は少なくとも部分的にプリフォーム1の他の内壁から離れていてもよい。
【0025】
本明細書の一実施の形態では、ます、プリフォーム1が射出成形される。蓋要素16は、例えば切削、圧延、または射出成形により、別に製造してもよい。異なる実施の形態では、蓋要素16はプリフォームと一緒に形成してもよく、例えば1個取りまたは数個取り(2K)射出成形方法において折りたたみ可能なコアを用いて射出成形することができる。さらに別の実施の形態では、蓋要素16はプリフォームに、例えばその首部分4にヒンジで動くように取付けてもよく、および/または弁20を図4に示すように、リング部17にヒンジで動くように取付け、射出成形および冷却後、首部分の開口部を覆わせるようにしてもよい。さらなる実施の形態では、蓋要素16は、異なる方法で、例えば、スピン溶接、超音波溶接、レーザー溶接、従来の溶接のような溶接、ねじ止め、バヨネット式固定、スナップリングまたはスナップフックのようなスナップ要素、あるいは圧入により、首部分4に取付けることができる。別の実施の形態では、蓋要素はプリフォームに接着することができる。蓋要素16はプリフォーム1および/または蓋要素17が作製される装置内に取付けまたは設けることができる。
【0026】
蓋要素16をプリフォーム1に取付けた後または取付ける直前に、プリフォーム1をブロー成形ステーションに移動して、該ステーションでプリフォーム1を、例えば図8に示すように、ブロー成形して所望の容器23にすることができる。次いで、容器23を充填ステーションに移動し、該充填ステーションで既知の適切な方法で飲料を容器内に注入することができる。プリフォーム1は、好ましくは、ブロー成形前に、特に1つ以上の射出成形装置から出荷する前に、蓋要素16を設けられる。これにより、製造がより容易になり、完全にまたは部分的にブロー成形されていながら空気の他は存在しない空の容器、例えばボトルまたはケグの出荷という環境に優しくない行為を阻止することができる。さらに、充填前に、特にボトリング業者への出荷前に、プリフォームに蓋16を設けることにより、蓋要素16を貯蔵し別途出荷する必要がなく、蓋要素16の取付けが湿気のある環境または他の有害である可能性のある環境で行なわれる必要がない。
【0027】
容器23に飲料を充填した後、さらなるステーションにおいて、容器23を閉鎖する閉鎖構造、弁または例えば、限定されないが、飲料用弁と気体用弁との組み合わせのような弁アセンブリのような他の要素を容器23に追加することができる。そのような弁アセンブリはサンケイ(Sankey)型または平頭型アセンブリのような既知の型の弁であってもよい。他の実施の形態では、ライザー管26およびコネクタ27のような分注装置を、例えば図7及び図8に示すように、蓋16に設け、飲料を分注するために容器23を分注装置30に、例えば図8に示すように、結合できるようにすることができる。そのような分注装置は、例えば、EP1003686またはWO2004/050539またはEP1626925から公知である。他の分注装置は、COのような加圧ガスを容器内に導入し、飲料が容器から、例えば飲料エンジン(beverage engine)、タッピング・コック30A等に分注できるようにするために、例えば、容器23の首部4に結合されるタッピング・ヘッドを有する通常の装置であってもよい。さらに別の実施の形態では、飲料を分注するために、エアロゾル型弁のような弁20を蓋16に設けてもよい。代替的な実施の形態では、これは加圧ガスを容器23に導入するためでもある。そのような弁は、例えば,WO2008/048098から公知である。
【0028】
一実施の形態では、プリフォーム1は容積が1リットルと10リットルの間、例えば2リットルと6リットルの間である容器23をブロー成形するために設計されていてもよい。一実施の形態では、容器23は約5リットルの容積を持つものであってもよい。一実施の形態では、プリフォーム1は、容積が10リットルよりも大きい、例えば10リットルと50リットルの間である容器23を延伸ブロー成形するために設計されていてもよい。一実施の形態では、容器は、15リットルと30リットルの間、例えば約17リットル〜20リットルの容積を持つものであってもよい。本明細書によるプリフォーム1は限定されないがPET,PEN、PP、PS、PCのような単一の材料、あるいは他の熱可塑性材料、および/または結晶化する、および/または延伸ブロー成形可能なプラスチック材料またはそのような材料の組み合わせで作製することができる。他の実施の形態では、プリフォームは、同様または異なる材料、例えばプラスチックまたはプラスチックのブレンドの層を備える多層であってもよい。多層ボトルは当技術において既知であり、ここでは詳しく説明しない。多層ボトルの一例およびそのようなボトル用の分注装置がWO92/012926に開示されている。この国際出願の内容は、その中に開示されている少なくとも分注装置、ボトルおよび材料について、引用により本明細書において参照される。
【0029】
プリフォーム1は、縦軸A−Aに垂直な内部断面を持つ首部分4を有していてもよい。この断面は直径Dが2cmより大きい、例えば直径が2cmと10cmの間、さらに詳しくは3cmと6cmの間、例えば約49mmである円形領域により形成され、またはこれに匹敵する表面積を有する。蓋要素16は中央開口部18を有していてもよく、この中央開口部18は、直径Dが、例えば0.5cmと6cmの間、例えば0.5cmと4cmの間である円形表面により形成されるか、またはこれに匹敵する内部表面積を有する。この面積は首部分4の開口部7の面積よりも小さい。開口部18は円形であってもよく、その中にまたはそれを覆ってエアロゾル弁20を嵌合させるように設計されていてもよい。他の実施の形態では、蓋要素16は異なる開口部18、例えば2つの開口部を隣り合わせに有し、例えば、一方の開口部18に、ライザー管26を持つ弁20、またはライザー管26を持たない弁20のような分注要素を嵌合して容器1の、飲料例えばビールのような内容物を分注するようにすることができ、他方の開口部18には、例えばCO源または空気ポンプ31のようなガス導入口を取付けることができる。
【0030】
一実施の形態では、プリフォームは射出成形することができ、その後で蓋要素16をプリフォーム1もしくはプリフォーム・アセンブリ内の複数のプリフォームのうちの1つの上および/または内に設けられる。次いで、プリフォームをボトリング・ラインに移送することができる。ボトリング・ラインでは、プリフォームは一列に並んで(in line)ブロー成形され、そして、例えば、限定されないが、ビールのような飲料を充填される。一実施の形態では、次いで、弁アセンブリ20または分注アセンブリ30もしくはその部分を開口部18内および/または上に配置することができる。
【0031】
図4には、プリフォーム1が概略断面図で示され、リング17の形状の蓋要素16に、例えば一体化されたヒンジ32により、弁20を取付けたものが示されている。この実施の形態では、リング17はプリフォーム1上に、例えば溶接により、取付けられる。この場合、弁20は中央開口部18から折り返されて外され、プリフォーム1から容器23をブロー成形することができ、充填パイプ21を上記開口部18を通して成形された容器23内に導入することができる。そして弁20を開口部18内に折り返して挿入した後、容器23を閉鎖することができる。図示の実施の形態では、弁20はクランプ管に包まれており、このクランプ管は、図4の右側に概略を示すように、開口部18内に取付けることができる。弁20は、容器23をプリフォームからブロー成形し、容器23を充填した後に開口部18に押し込まれるのが好ましい。図4では、容器の肩部23Aの概略が示されている。
【0032】
図5〜7には、第1のプリフォーム1Aおよび第2のプリフォーム1Bとを備えるプリフォーム・アセンブリ31が示されている。第1のプリフォーム1Aは、第2のプリフォーム1Bに挿入されていてもよく、またその逆でもよい。代替的実施の形態では、第1および第2のプリフォーム1A,Bの一方は2つのプリフォーム1A,Bの他方の内または上に射出されていてもよい。プリフォーム1A,Bは同じまたは異なる材料から射出成形等により別途成形しておいてもよい。プリフォーム1A,Bは、上述のプリフォームの性質のうちのいくつかまたは全てを有していてもよい。
【0033】
図5に示す実施の形態では、第1のプリフォーム1Aは、閉じた第1の端部3Aと反対側の第2の端部5Aに首部分4Aを有する、実質的に円筒状の壁2Aを有していてもよい。内部体積6は首開口部7から内部空間8内に及ぶ。内部空間8は主として内部表面9によってその輪郭が示される。リング17のような蓋要素16が首部分4Aに取付けられており、リング17は、首部分4Aの直径Dniより小さい直径Dを持つ中央開口部18を有し、および/または首部分4Aの外径Dnoよりも大きい外径Dを持つ。蓋要素16は任意の適切な方法、例えば上述の方法により、再び取付けられている。第2のプリフォーム1Bは、閉じた第1の端部3Bと反対側の第2の端部5Bに首部分4Bをに有する、実質的に円筒状の壁2Bを有していてもよい。首部分4Bは壁2Bにより輪郭を示される本体形成部よりも幅広であってもよい。肩部32が首部分4Bと壁2Bとの間に設けられ、第1のプリフォーム1Aが第2のプリフォーム1B内に挿入されると、この肩32上に蓋要素または首部分4Bから延在するフランジもしくはフランジの一部分を載置することができる。このようにして、第1のプリフォーム1Aを第2のプリフォーム1B内に例えば懸架することができる。図5では、第1のプリフォーム1Aの外表面がその少なくとも一部分にわたって第2のプリフォーム1Bの内表面9Bから離隔している。例えば、空気のような気体を充填された空間33を上述の2つの表面の間に設けてもよい。この空間33は、リング17により環境に対して閉鎖することができる。プリフォーム31から容器をブロー成形する際、容器がより剛性が高く、軽くなるように空間33を維持することができる。他の実施の形態では、空間33は、例えばリング17の1つ以上の開口部18A(図9)を通して、および/または少なくともリング17の一部分と第2のプリフォーム1Bの首4Bの周囲の壁との間に若干の空間を残すことにより、環境と連通していてもよい。このようにして、圧力が空間33から解放される、および/または容器23内で、限定されないが、気体、例えば空気のような圧力流体が空間33内に導入され、第1のプリフォーム1Aからブロー成形された容器の部分23Aを圧縮して離すことができる。他の実施の形態では、空間33は硬化性流体で充填され、またはコーティングで充填されていてもよい。このコーティングは、限定されないが、例えばOのような気体の容器内および/または外への移動に対するバリアを提供するコーティング、例えばOのような気体のスカベンジャー、および/または着色剤であってもよい。コーティングは、プリフォーム上または内の層として設けることができ、モールド内ラベルのようなフォイルであってもよく、例えば全空間またはその一部分だけにわたって延在していてもよい。
【0034】
図6において、プリフォーム・アセンブリ31は、第1のプリフォーム1Aを備え、プリフォーム1Aは第2のプリフォーム1Bに比較的にぴったりと嵌合し、それらの端部5A、Bは実質的に同じ平面内にある。開口部18を備えた蓋要素16が2つのプリフォーム1A,Bの少なくとも1つに設けられている。図示の実施の形態では、蓋要素16は、首部分4Bの外表面9Cの外側に延在する外周部分17を有する。好ましくは、蓋要素17は第2のプリフォーム1Bに少なくとも結合され、そのため第1のプリフォーム1Aを第2のプリフォーム1B内に包み込んでいる。
【0035】
図7において、プリフォーム・アセンブリ31は第1のプリフォーム1Aを備え、第1のプリフォーム1Aは第2のプリフォーム1Bに嵌合し、第1のプリフォーム1Aの端部5Aは第2のプリフォーム1Bの端部5Bよりも下にある。開口部18を備えた蓋要素16は2つのプリフォーム1A,Bの少なくとも1つに、好ましくは第1のプリフォーム1Aに設けられている。図示の実施の形態では、蓋要素16は外周部分17を有し、この外周部分は首部分4Aの外表面9Cまで、好ましくはそのわずかに外側に延在する。外周部分17はわずかに柔軟性を有するか、あるいは圧縮性であり、蓋要素16が第2のプリフォーム1Bの首部分4B内の開口部7に圧入することができる。従って、例えば貯蔵および輸送の際、および(延伸)ブロー成形の際に、第1のプリフォーム1Aは第2のプリフォーム1B内部に容易に固定することができる。
【0036】
プリフォームの少なくとも本体形成部分の肉厚は、プリフォームが実質的にアモルファスであるような厚さであることが好ましい。それからブロー成形された容器は、好ましくはプラスチック材料が実質的に結晶性になるように延伸される。プラスチック材料は、限定されないが、グリコールまたは同様の添加物のような結晶化阻止添加物を実質的に含まないことが好ましい。好ましくは、プリフォームは、特に、プラスチック材料が実質的にPETまたはPETブレンドであるとき、最大肉厚が8mmより小さく、好ましくは6mmより小さい。
【0037】
図8において、プリフォーム1またはプリフォーム・アセンブリ31からブロー成形された、例えば、限定されないが、延伸ブロー成形された容器が示されている。蓋要素16は首部4に設けられている。弁20は開口部18に設けられているが、この弁はエアロゾル型弁であってもよい。弁20は蓋要素16に、例えば管またはリング19内で、ロック要素27、例えばクリンチプレートを用いて、クリンチまたはクランプされてもよい。容器23の内部体積6から飲料を分注するために、ライザー管26が弁20に結合されている。図8において、圧力調整器34が容器の内部体積内に設けられており、圧力調整器34からCOのような気体を上記内部体積6内に導入することができ、容器23内の圧力を所望のレベルまたは所望の限界内に、例えば飲料中の気体の平衡圧力レベルにまたはその近傍に保つ。そのような実施の形態では、容器は自己調整することができる。他の実施の形態では、圧力調整器は省略することができ、例えば弁20または他の開口部もしくは弁を介して気体を空間6内に導入することができる。
【0038】
図9は、プリフォーム1またはプリフォーム・アセンブリ31から上述のようにブロー成形、例えば延伸ブロー成形により得られた容器23の一部分の概略を示す。この実施の形態では、第1のプリフォーム1Aからブロー成形された内側の容器部分23Aと、第2のプリフォーム1Bからブロー成形された外側の第2の容器部分23Bとが設けられている。少なくとも容器部分23A、Bの一部分は相互に連結していないか、または少なくともそれぞれから解放可能である。蓋要素16が内側容器部分23Aの首部4Aに設けられ、第2の容器部分23Bの肩部32上にある。内側容器部分23Aは少なくとも部分的に可撓性である。容器23は好ましくは第1および第2のプリフォーム1A、Bから一体にブロー成形されているのが好ましい。少なくとも1つの開口部18Aが蓋要素に設けられ、内側および外側容器部分23A、Bの間の空間33内に開口している。蓋40が首部4を覆って設けられ、フランジ12の下に周辺部分41を用いてクランプされる。弁20が蓋40に設けられており、裾部42により少なくとも部分的に包囲されている。第1のシール43が外側容器部分23Bの首部4Bの端部5Bと蓋40との間に設けられており、一方、第2のシール44が蓋要素16と裾部42の下端との間に設けられている。従って、空間45が裾部42の周りに設けられ、一または各開口部18Aと流体接続している。
【0039】
図9の実施の形態では、ポンプ31が蓋40の第2の開口部18Bに接続され、空間45に開口している。このポンプにより、加圧された流体、例えば空気、を空間45内に導入することができ、この空間45から開口部18Aを通って、矢印Aで示すように、容器部分23A、Bの間の空間33に導入され、内側容器部分23Aを少なくとも部分的に圧縮して、飲料を内部体積6から弁20を通って分注装置30内に押し込む。
【0040】
本開示は、上述した例示に過ぎない実施の形態に限定されない。他の実施の形態も請求項に定義された発明概念内に入り得る。例えば、開示された実施の形態の部分および特徴の任意の組み合わせも本明細書中に開示されたものと了解される。他の実施の形態では、プリフォームは2つの対向端部に開口部を有していてもよく、その開口部には蓋要素16が開口部の少なくとも1つに設けられている。例えば、一方の端部は首部分4を有し、他方の端部は開口部を持つ脚部を有し、該開口部内に弁要素が蓋要素16として設けられているようにしてもよい。他の例としては、弁要素または少なくともその一部分を含む蓋要素16が挙げられる。この場合、ブロー成形工具を弁要素またはその一部分を通して導入またはそれに接続してプリフォームをブロー成形して容器にすることができる。一実施の形態では、蓋要素16は首部分4の一部分だけを閉鎖することができ、開口部18の輪郭が少なくとも部分的に蓋要素により、また部分的に首部分により決定されるようにしてもよい。これらおよび他の実施の形態、例えば変形例は本明細書において開示されているものと了解される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器をブロー成形するためのプリフォームまたはプリフォーム・アセンブリであって、
前記プリフォームまたはプリフォーム・アセンブリは
首部分と、
前記首部分に設けられた蓋要素と、
前記首部分内に延在し、前記プリフォームまたはプリフォーム・アセンブリの内部空間にアクセスを提供する開口部と、を有する
ことを特徴とするプリフォームまたはプリフォーム・アセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリフォームまたはプリフォーム・アセンブリであって、
前記蓋要素に前記開口部が設けられている
ことを特徴とするプリフォームまたはプリフォーム・アセンブリ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプリフォームまたはプリフォーム・アセンブリであって、
前記蓋要素は、前記首部分から取り外せないように接続されている
ことを特徴とするプリフォームまたはプリフォーム・アセンブリ。
【請求項4】
請求項3に記載のプリフォームまたはプリフォーム・アセンブリであって、
前記蓋要素は、溶接により前記首部分に接続されている
ことを特徴とするプリフォームまたはプリフォーム・アセンブリ。
【請求項5】
請求項3または4に記載のプリフォームまたはプリフォーム・アセンブリであって、
前記蓋要素は、前記首部分に超音波溶接、レーザー溶接、摩擦溶接、スピン溶接または加圧溶接により接続される
ことを特徴とするプリフォームまたはプリフォーム・アセンブリ。
【請求項6】
請求項3に記載のプリフォームまたはプリフォーム・アセンブリであって、
前記蓋要素は、前記首部分に接着により接続される
ことを特徴とするプリフォームまたはプリフォーム・アセンブリ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のプリフォームまたはプリフォーム・アセンブリであって、
前記蓋要素は、前記首部分に設けられ、前記開口部はブロー成形工具を前記プリフォームまたはプリフォーム・アセンブリ内に導入するように寸法取りされている
ことを特徴とするプリフォームまたはプリフォーム・アセンブリ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のプリフォームまたはプリフォーム・アセンブリであって、
前記蓋要素は、圧入により前記プリフォームまたはプリフォーム・アセンブリに取付けられる
ことを特徴とするプリフォームまたはプリフォーム・アセンブリ。
【請求項9】
容器をブロー成形する方法であって、
蓋要素をプリフォームまたはプリフォーム・アセンブリに取付け、
前記蓋要素を取付けた後、前記プリフォームまたはプリフォーム・アセンブリ内にブロー成形工具を延在させる
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記蓋要素は、溶接または接着により前記プリフォームまたはプリフォーム・アセンブリに接続される
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記蓋要素は、超音波溶接、スピン溶接、レーザー溶接および加圧溶接からなる群から選ばれる溶接技術を用いることにより、前記プリフォームまたはプリフォーム・アセンブリに溶接される
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって、
前記蓋要素は、圧入により前記前記プリフォームまたはプリフォーム・アセンブリに接続される
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項9に記載の方法であって、
前記蓋要素は、接着により前記前記プリフォームまたはプリフォーム・アセンブリに接続される
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項9〜13のいずれか一項に記載の方法であって、
容器が、前記蓋要素を接続した前記プリフォームまたはプリフォーム・アセンブリからブロー成形され、
飲料が前記蓋要素を通って前記容器内に導入される
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のプリフォームまたはプリフォーム・アセンブリからブロー成形されるか、または請求項9〜14のいずれか一項に記載の方法を用いて作製された容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−532045(P2012−532045A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519486(P2012−519486)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【国際出願番号】PCT/NL2010/050418
【国際公開番号】WO2011/002293
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(311005378)
【Fターム(参考)】