説明

プリンタの制御方法、プリンタ、およびプリンタの制御プログラム

【課題】 印刷機構中に設けられた可動部材を利用して、簡単安価な構成により容易かつ確実に所望の機能選択を行なえるようにする。
【解決手段】 印刷機構中の可動部材、たとえばインクジェットヘッド406の現在位置を検出するリニアエンコーダ405を用いてプリンタの機能選択ユーザーインターフェースを構成する。ユーザ操作に応じてキャリッジモータ305およびベルト403を介してインクジェットヘッド406を移動できるようにし、リニアエンコーダ405により検出したインクジェットヘッド406の現在位置をユーザの機能選択入力情報として取り込む。機能選択中のインクジェットヘッド406の移動速度は印刷処理における移動速度よりも遅く制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機構中の可動部材の現在位置を検出するエンコーダ手段を有するプリンタの制御方法、プリンタ、およびプリンタの制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、表示手段や操作手段などのユーザーインターフェース資源が極めて限定された印刷装置、特に表示手段として点灯、点滅、表示色変更程度の機能しか有していない数個のLEDと、操作手段として数個のボタン(キー)しか設けられていないような印刷装置で機能選択を行なうユーザーインターフェースとして、ボタンの長押しや押下パターンの選択とLEDの点滅回数の違いによりユーザーに機能の選択を行なわせるものが知られている。このような構成によれば、少ない操作ボタンを用いた簡単安価な構成によりボタンの数以上の多くの機能を選択可能とすることができる。
【0003】
一方、印刷装置の記録ヘッドの位置に用紙を適正な姿勢で送り込むため、多くの印刷装置で用紙ガイドが用いられている。この種の用紙ガイドは、多数の用紙サイズに適合するために可動式の構造を用いたものがあり、また、用紙のジャムなどの発生を防ぐため、従来より用紙ガイドの形状や可動機構の構成については種々の工夫が提案されてきた(たとえば下記の特許文献1)。
【特許文献1】特開平07−068879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のLEDと、ボタンの押下態様により機能選択を行なう構成は、コストを削減しながら多くの機能を盛り込むことができるが、その反面、ユーザには直感的に何の機能が何回目で選択されるのかが判りずらく、また、選択させる項目が増えた場合はLEDの点滅回数を多く数えなければならず、間違って機能の選択をしてしまうことも予想され、あまり多くの機能の選択には用いることが出来なかった。
【0005】
この問題を解決するには、メニュー選択が可能なLCDのような表示手段を用いることが考えられるが、表示手段をLEDからLCDに変更するとハードウェアに関するコストがどうしても増大してしまう。
【0006】
ハードウェアに大きな変更を加えることなく、メニューシステムのようなユーザーインターフェースを提供するには、本来他の目的で設けられた可動部材(たとえば上記の用紙ガイドや記録ヘッドなど)をユーザーインターフェース手段として共用することなどが考えられるが、従来ではあまりこのような構成は考えられていない。
【0007】
本発明の課題は上記の問題を解決し、印刷機構中に設けられた可動部材を利用して、簡単安価な構成により容易かつ確実に所望の機能選択を行なえるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
課題を解決するため、本発明では、印刷機構中の可動部材の現在位置を検出するエンコーダ手段を有するプリンタの制御方法、プリンタ、およびプリンタの制御プログラムにおいて、ユーザ操作に応じて前記可動部材の位置を変更し、前記エンコーダ手段により検出した前記可動部材の現在位置をユーザの機能選択入力情報として取り込む機能選択ユーザーインターフェースを含む構成を採用した。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によれば、ユーザーインターフェースのために表示面積の大きい高価な表示器などを用いる必要がなく、印刷機構中に設けられた可動部材を利用して、簡単安価な構成によりメニューシステムに近い使用感で容易かつ確実に所望の機能選択を行なえる優れたユーザーインターフェースを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、印刷機構中の可動部材の現在位置を検出するエンコーダ手段を含むプリンタにおける機能選択ユーザーインターフェースに関し、実施例をいくつか示す。
【実施例1】
【0011】
図1は本発明を採用した印刷システムの構成を示している。図1の印刷システムは、ホストコンピュータ20およびプリンタ40がネットワーク60を介して接続されており、ホストコンピュータ20から送信される印刷ジョブをプリンタ40で印刷する。
【0012】
ホストコンピュータ20は、ROM23に記憶された文書処理プログラムなどに基づき、図形、イメージ、文字、表(表計算などを含む)などが混在した文書の処理を実行するCPU21を有する。CPU21は、システムバス24に接続された各デバイスを総括的に制御する。ROM23には、CPU21によって実行される制御プログラムであるオペレーティングプログラム(以下OS)などが格納されている。
【0013】
RAM22はCPU21の主メモリ、ワークエリアなどとして機能する。キーボードコントローラ(KBC)25はキーボード29や図示しないポインティングデバイスからのキー入力を制御する。CRTコントローラ(CRTC)26はCRTディスプレイ(CRT)30の表示を制御する。ディスクコントローラ(DKC)27は、ハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)などの外部メモリ31とのアクセスを制御する。外部メモリ31には、ブートプログラム、各種アプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、文字イメージデータ生成プログラム、プリンタ制御コマンド生成プログラム(以下、プリンタドライバという)などが記憶されている。
【0014】
28はプリンタコントローラ(PRTC)であり、このプリンタコントローラ(PRTC)28は所定の双方向性インターフェースを介してプリンタに接続され、プリンタとの通信制御処理を実行するが、本実施形態では、ネットワークコントローラ(NETC)32により、所定の双方向インターフェースを介してLANなどのネットワーク60に接続されたプリンタ40や他のコンピュータとの通信制御処理を実行する。
【0015】
一方、プリンタ40は、プリンタCPU42を有し、ROM43に記憶された制御プログラムに基づき、システムバス45に接続された印刷部インターフェース(I/F)46を介して印刷部(プリンタエンジン)47に出力情報としての画像信号を出力する。
【0016】
ROM43には、CPU42によって実行される制御プログラムなどが格納されている。CPU42は、入力部48を介してホストコンピュータ20と通信処理可能となっており、プリンタ内の情報などをホストコンピュータ20に通知する。本実施形態では、入力部48から所定の双方向インターフェースを介して、LANなどのネットワーク60に接続されたホストコンピュータ20、他のコンピュータあるいは他のプリンタに対して通信処理可能となっている。
【0017】
RAM49はCPU42の主メモリ、ワークエリアなどとして機能する。外部メモリ44は、ICカード等であり、メモリコントローラ(MC)50によりアクセス制御される。EEPROM51は、プリンタ40の電源が遮断されている期間においてもその記憶内容を保持できる不揮発性ROMとして設けられたものである。
【0018】
また、プリンタ40の操作部41には、操作パネルで操作するためのスイッチ、および表示器としてのLEDなどが配置されており、操作部41を用いて外部メモリ44、あるいはEEPROM51にプリンタモード設定情報を記憶させることができる。
【0019】
なお、図1はネットワーク接続のプリンタ40を想定しているが、本発明は、ホストコンピュータ20とプリンタ40の接続インターフェースに限定されるものではなくホストコンピュータ20とプリンタ40がIEEE1284などのプリンタI/FやUSBなどを介して直接接続するシステムにおいても実施可能である。
【0020】
図2は、本実施例で用いられるリニアエンコーダ201およびエンコーダセンサ202の構成を示している。エンコーダセンサ202は光学センサや磁気センサなどから構成できるが、発光部および受光部から構成された光学センサを用いる場合にはリニアエンコーダ201に等間隔で配置された開口部の通過回数を検出することなどによりリニアエンコーダ201およびエンコーダセンサ202の相対位置が検出される。本実施例では、エンコーダセンサ202を後述のように記録ヘッド、用紙ガイドあるいは機能選択バーに連動させることにより、これらの部材の位置を検出する。
【0021】
図3は、プリンタ40の制御系の構造をより詳細に示している。図3では図1と対応する部材には同一の参照符号を用いている。図3において、CPU42は、このプリント装置各部の動作の制御処理やデータ処理等を実行する。ROM43にはその処理手順等が格納され、またRAM49は上記処理実行のワークエリアとして用いられる。また、EEPROM51(あるいは前述の外部メモリ44)は印刷動作に必要な設定情報を記憶する。
【0022】
プリントヘッド309は、たとえばインク吐出により記録ドットを形成するインクジェットプリントヘッド(図4の406)であり、そのインク吐出動作は、CPU42が電気熱変換体の駆動データおよび駆動制御信号をヘッドドライバ308に供給することにより行なわれる(発熱方式の場合)。これにより、プリントヘッド309の電気熱変換体が発生する熱エネルギーによりインクに膜沸騰が生じ、インクが吐出口から吐出される。なお、本実施例のプリントヘッド309内にもEEPROM310が設けられており、プリントヘッド309に関する設定情報を記憶できるようになっている。EEPROM310の設定情報は、プリントヘッド309を取り外した状態でも保持される。
【0023】
また、CPU42は、キャリッジを移動させるためのキャリッジモータ305、ローラ部を回転させるための紙送りモータ307をそれぞれモータドライバ304および306を介して制御しつつ、上記のプリントヘッド309の駆動を制御することにより印刷出力を制御する。
【0024】
上記のモータドライバ304、306およびヘッドドライバ308は図1の印刷部I/F46を構成し、キャリッジモータ305、紙送りモータ307、およびプリントヘッド309は図1の印刷部47を構成する。
【0025】
図4はプリンタ40の記録機構の概略構成を模式的に示している。ここではインクジェットプリンタの構成を例示している。
【0026】
図4において、インクジェットヘッド406は図3のプリントヘッド309に対応するもので、複数のノズル407〜410が搭載されており、それぞれのノズルはインクを吐出するためのインク吐出口を所定のピッチで複数配列している。
【0027】
ノズル407〜410はそれぞれ、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクを吐出するためのノズルである。それぞれのノズルは、それぞれ対応するヘッドに供給するインクを貯留したインクタンクと一体に構成されるものであり、これら一体構成であるインクカートリッジがインクジェットヘッド406にそれぞれ着脱自在に搭載される。なお、ヘッドおよびインクタンクの構成が図示の構成に限られないことはもちろんであり、たとえばヘッドとインクタンクとが別体であって、それぞれがキャリッジに対し着脱できる構成であってもよい。
【0028】
インクジェットヘッド406はベルト403を介して伝達されるキャリッジモータ305の駆動力によって左右に駆動走査される。一方、各ヘッドに対する印刷画像信号等の制御信号は、ヘッドドライバ(図3の308)からフレキシブルケーブル404を介して送られる。
【0029】
インクジェットヘッド406の走査により、各色ヘッドはプリント媒体401に対して走査(主走査)を行ない、この走査の間に印刷画像信号に従ってインクが吐出され、プリント媒体401上に記録が行なわれる。
【0030】
プリント媒体401としては、普通紙や高品位プリント専用紙、OHPシート、光沢紙、光沢フィルム、ハガキ等を用いることができる。
【0031】
プリント媒体401は不図示の搬送ローラと排紙ローラとによって上述のヘッド走査の間に間欠的に所定量づつ図中下方向に搬送される。不図示の搬送ローラおよび排紙ローラは所定の伝達機構を介して伝達される搬送モータの駆動力によって回転駆動されるものであり、これにより記録副走査が行なわれる。
【0032】
インクジェットヘッド406の走査位置はリニアエンコーダ405によって検出される。この検出信号に基づいてたとえば各ヘッドの吐出タイミングが制御される。リニアエンコーダ405には、図2に示したリニアエンコーダ201を用いることができ、その場合、エンコーダセンサ202はインクジェットヘッド406下部などに装着される。
【0033】
本実施例では、リニアエンコーダ405(201)を用いて、プリンタの機能選択のためのユーザーインターフェースを構成する。
【0034】
図4の構成では、リニアエンコーダ405はインクジェットヘッド406の位置を検出できるよう構成されているから、インクジェットヘッドの位置を介してユーザの操作入力を取り込むことができれば、操作部41を複雑化させることなく判り易いユーザーインターフェースを構成できる。
【0035】
このためには図5のような構成が考えられる。501〜504は各機能を選択させるためのエリアで、たとえば、インクジェットヘッドの走査範囲近傍のプリンタの外装などに刻印などを施すことにより形成する(あるいは後述のような機能選択用紙を用いてもよい)。機能選択エリア501〜504には、「機能1」〜「機能4」の機能表示を付し、ユーザがどのような機能を選択できるか判り易く表示する。なお、本発明において選択可能な機能の例については後で説明する。
【0036】
図5の下部は、図5の方式で操作部41に必要な構成例を示しており、ここでは機能ボタン411、左矢印キー412、右矢印キー413、および選択ボタン414と、表示用のLED415が設けられている。
【0037】
図5の構成において、機能ボタン411を押下することにより、プリンタを機能選択状態に移行させることができる。符号505はインクジェットヘッド(図4の406)の位置を示しており、左矢印キー412、または右矢印キー413を押下することによりキャリッジモータ(図3、図4の305)によりインクジェットヘッド(図4の406)を機能選択エリア501〜504に沿って左右に移動させる。このときユーザに十分に判別する時間を与えるために、インクジェットヘッドの移動速度を実際の印刷処理における移動速度よりも遅い速度に制御する。
【0038】
このヘッド位置505の移動をユーザは確認し、自分が選択したい機能選択エリア501〜504のいずれかにヘッド位置505が来たときに選択ボタン414を押す。これにより機能選択エリア501〜504にあらかじめ割り付けられた機能が選択される。
【0039】
なお、機能選択エリア501〜504の境界(図5の一点鎖線)付近で選択ボタン414が押されており、ユーザが、いずれの機能を選択したのかの判断があいまいな場合は選択エラーとして機能実行は行なわないようにする。このようにしてユーザに確実に機能を選択させることができる。
【0040】
図8は、上記の機能選択ユーザーインターフェースを実現するための処理手順を示している。図8の処理手順はCPU42の制御プログラムとしてROM43に格納しておく。図8のステップS801は、機能ボタン411の押下検出で、機能ボタン411が押下されると、以後の機能選択が実行される。
【0041】
ステップS802では、操作部41のキー/ボタン操作が検出され、左右の矢印キー412または413が操作されると、ステップS803でキャリッジモータ(図3、図4の305)によりインクジェットヘッド(図4の406)を機能選択エリア501〜504に沿って左右に移動させる。
【0042】
また、ステップS802で選択ボタン414が操作されると、ステップS804で機能選択エリア501〜504の境界付近で選択ボタン414が押されているか否かを判定する。
【0043】
ステップS804が肯定されると、ステップS806でエラー表示を行なう。エラー表示は、LED415の点滅や表示色変更により行なう。ここでは、たとえば図5の一点鎖線で示す位置の両側数mm程度を無効入力領域とし、この範囲内でリニアエンコーダにより選択ボタン414が押されていることが検出された場合、エラー処理を行なう。
【0044】
ステップS806では、あるいはさらに、音声出力などにより選択している機能がわかる位置で選択ボタンを押すよう促してもよい。これにより、ユーザーが意図していない間違った動作を行なうことがないよう確実に制御できる。
【0045】
一方、ステップS804が否定された場合は、リニアエンコーダの出力を調べることにより選択ボタン414が押された時のヘッド位置が機能選択エリア501〜504のいずれの範囲内であるかを特定し、機能選択エリア501〜504にあらかじめ割り付けられた機能を実行する。
【0046】
以上のような構成により、インクジェットヘッドを機能選択エリア501〜504に沿って移動させ、所望の機能に対応する機能選択エリア501〜504で停止させることにより、当該機能選択エリアにあらかじめ割り付けられた機能を実行することができる。
【0047】
本実施例によれば、従来のようなLEDの点滅回数などによるあいまいなユーザーインターフェースと異なり、メニュー表示を用いたユーザーインターフェースとほぼ同様の判り易い機能選択ユーザーインターフェースを提供することができ、また、表示面積の大きな表示器を必要とすることなく、簡単安価な構成によって、より多数の機能選択を行なえる優れた機能選択ユーザーインターフェースを実現することができる。
【0048】
なお、本実施例において用紙ガイドの位置を検出するリニアエンコーダは、ヘッド位置を検出するものと共用してもよいし、またそれとは別の専用のものを用いてもよい。
【実施例2】
【0049】
以上では、プリントヘッドの位置を検出するリニアエンコーダによりユーザの機能選択操作を検出する構成を示したが、以下のように用紙ガイドを用いて機能選択ユーザーインターフェースを構成することもできる。
【0050】
図6は用紙ガイドを用いた機能選択ユーザーインターフェースの構成例を示している。図6において符号605は用紙ガイドで、この用紙ガイド605は、手動で(あるいは電動で移動させる構成でもよい)プリント媒体(図4の401)としての用紙サイズに適合した位置に移動させ、用紙の側縁をガイドすることによりプリント媒体としての用紙の搬送姿勢を制御するためのものである。
【0051】
機能選択エリア601〜604は、たとえば、用紙ガイド605の移動範囲近傍のプリンタの外装などに刻印などを施すことにより形成するか、あるいは後述のような機能選択用紙を用いて画成する。
【0052】
また、用紙ガイド605の通常、用紙の側縁をガイドする部分は着脱可能としておき、この状態で機能選択エリア601〜604に沿った移動を行なうようにしてもよい。このように用紙ガイド605の用紙の側縁をガイドする部分を取り外せるようにしておけば、特に後述のような機能選択用紙を用いる場合、自由に用紙ガイド605を移動させることができる。
【0053】
本実施例では、用紙ガイド605は機能選択エリア601〜604内のいずれかに移動させることによりユーザに機能選択を行なわせるので、エンコーダセンサ(図2の202)は用紙ガイド605に連動させ、用紙ガイド605の現在位置を検出できるようにしておく。また、本実施例でも、前記実施例1のヘッドによる選択同様、境界付近でユーザがどちらの機能を選択したのかがあいまいな場合に備えて選択エラーとなる領域を設け、ユーザが確実に選んだ機能を実行できるようにしておく。
【0054】
操作部41に必要な構成は、図6下部に示すようなものであり、手動で用紙ガイド605を移動させる場合は左右の矢印キー412または413は必要ない。その他の構成は図5のものと同じである。なお、プリンタの全体構成は図1〜図4に示したものと同様である。
【0055】
CPU42の制御プログラムは、図8に示したものとほぼ同様に実施することができる。
【0056】
ただし、図8のステップS801の機能ボタン411の操作検出は、用紙ガイド605の用紙の側縁をガイドする部分の取り外しの検出処理に置換してもよい。これにより、用紙ガイド605のプリント媒体としての用紙の側縁をガイドする部分の取り外しによって容易に機能選択モードに入ることができる。
【0057】
また、図8のステップS802およびS803は手動で用紙ガイド605を移動させる構成においては必要ない。さらに、ステップS804やS805における位置検出の対象が本実施例では用紙ガイド605の位置であるのはもちろんである。
【0058】
以上のような構成により、用紙ガイド605を機能選択エリア601〜604に沿って移動させ、所望の機能に対応する機能選択エリア601〜604で停止させることにより、当該機能選択エリアにあらかじめ割り付けられた機能を実行することができる。
【0059】
本実施例でも、従来のようなLEDの点滅回数などによるあいまいなユーザーインターフェースと異なり、メニュー表示を用いたユーザーインターフェースとほぼ同様の判り易い機能選択ユーザーインターフェースを提供することができ、また、表示面積の大きな表示器を必要とすることなく、簡単安価な構成によって、より多数の機能選択を行なえる優れた機能選択ユーザーインターフェースを実現することができる。
【実施例3】
【0060】
以上では、プリントヘッドや用紙ガイドの位置をリニアエンコーダにより検出し、ユーザの機能選択操作を検出する構成を示したが、以下のように専用の機能選択バーを用いて機能選択ユーザーインターフェースを構成することもできる。このような構成においても、専用ハードウェア部品として必要なのはほぼ機能選択バー程度であり、大きな製造コストは必要ない。
【0061】
図7は機能選択バーを用いた機能選択ユーザーインターフェースの構成例を示している。図7において、符号705は機能選択バーで、この機能選択バー705にはエンコーダセンサ(図2の202)を配置し、ヘッド位置を検出するためのリニアエンコーダ(または機能選択バー705専用のリニアエンコーダ)により機能選択バー705が機能選択エリア701〜704のいずれに移動したかを検出できるようにしておく。
【0062】
操作部41の構成は図6のものと同様である。
【0063】
本実施例では、機能選択エリア701〜704は機能選択用紙706により構成されている。機能選択エリア701〜704は、機能選択用紙706上に図示のような機能表示(「機能1」〜「機能4」)を印刷したもので、プリンタとともに出荷するか、プリンタそれ自体が記録出力する。なお、機能選択用紙706の材質は紙以外のプラスチックなどであってもよい。
【0064】
さらに、この場合は機能選択用紙706を図7下部に示したような機能選択用紙711に交換することによりさらに多くの機能選択707〜710をユーザに選択させることができる。なお、複数の機能選択用紙のいずれかを用いることができるような構成において、機能選択用紙の区別は、用紙の種類を検出できるメディアセンサにより用紙の種類を判別し、どのような機能選択のグループの紙が置かれているかを判断する方法や用紙に切り込みを設けて種類を判別する方法、バーコードを用いる等さまざま考えられる。
【0065】
また、操作部41の機能キー411の数を機能選択用紙の種類に対応した数とし、いずれの機能キー411を押下したかにより、どの機能選択用紙を用いているかをユーザが選択できるようにするとよい。また、機能キー411の押下回数により、ユーザが装填した機能選択用紙を指定できるようにしてもよい。
【0066】
上記のような機能選択用紙706、711…は、先に触れたように、前述の各実施例において機能選択エリアを構成するために用いることができるのはもちろんである。
【0067】
本実施例の機能選択バー705による選択の場合も、前述の各実施例同様に、機能選択エリアの境界付近でユーザがどちらの機能を選択したのかがあいまいな場合に備えて、選択エラーとなる領域を設けユーザが確実に選んだ機能を実行できるようにする。
【0068】
CPU42の制御プログラムは、前述の実施例2の場合とほぼ同様の変更を行なうことにより、図8に示したものとほぼ同様に構成することができる。ステップS804やS805における位置検出の対象が本実施例では機能選択バー705の位置であるのはもちろんである。
【0069】
以上のような構成により、機能選択バーを機能選択エリア701〜704(あるいは707〜710)に沿って移動させ、所望の機能に対応する機能選択エリア701〜704(あるいは707〜710)で停止させることにより、当該機能選択エリアにあらかじめ割り付けられた機能を実行することができる。
【0070】
本実施例でも、従来のようなLEDの点滅回数などによるあいまいなユーザーインターフェースと異なり、メニュー表示を用いたユーザーインターフェースとほぼ同様の判り易い機能選択ユーザーインターフェースを提供することができ、また、表示面積の大きな表示器を必要とすることなく、簡単安価な構成によって、より多数の機能選択を行なえる優れた機能選択ユーザーインターフェースを実現することができる。また、本実施例のように機能選択用紙を用いる構成によれば、より多くの機能を選択することができる。
【0071】
なお、本実施例のように機能選択バー705を用いる場合でも、前述の実施例同様に機能選択エリア701〜704を機能選択バー705の移動範囲近傍のプリンタの外装などに刻印などを施すことにより形成してもよい。
【実施例4】
【0072】
上記実施例1〜3においては、選択可能な機能の例を具体的に述べなかったが、プリンタで実施可能なものであれば、本発明の機能選択ユーザーインターフェースは、印刷制御、あるいは機能設定、モード選択などあらゆる機能選択に用いることができる。本発明の機能選択ユーザーインターフェースは、たとえば印刷品位の選択、用紙やホスト装置との接続インターフェースの選択、カラーモードの選択や、デジタルカメラからのダイレクトプリントモードなどの選択、エミュレーションモードの選択、などの機能選択に用いることが考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は印刷機構中の可動部材の現在位置を検出するエンコーダ手段を有するプリンタに適用することができる。本発明の制御プログラムは種々の外部記憶媒体(CDROM、フレキシブルディスクなど)などからホスト装置に供給することができ、あるいは任意のサーバから直接、ネットワーク経由でこれらの機器に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明を採用した印刷システムの構成を示したブロック図である。
【図2】図1のプリンタで用いられるリニアエンコーダの構成を示した説明図である。
【図3】図1のプリンタの制御系の構成を示したブロック図である。
【図4】図1のプリンタの印刷機構の構成を示した説明図である。
【図5】図1のプリンタの機能選択ユーザーインターフェースの構成を示した説明図である。
【図6】図1のプリンタの機能選択ユーザーインターフェースの異なる構成を示した説明図である。
【図7】図1のプリンタの機能選択ユーザーインターフェースのさらに異なる構成を示した説明図である。
【図8】図1のプリンタの機能選択ユーザーインターフェースの制御手順を示したフローチャート図である。
【符号の説明】
【0075】
20 ホストコンピュータ
21 CPU
22 RAM
23 ROM
25 キーボードコントローラ
26 CRTコントローラ
27 ディスクコントローラ
28 プリンタコントローラ
29 キーボード
30 CRTディスプレイ
31 外部メモリ
32 ネットワークコントローラ
40 プリンタ
41 操作部
42 CPU
43 ROM
44 外部メモリ
45 システムバス
46 印刷部インターフェース(I/F)
47 印刷部(プリンタエンジン)
48 入力部
49 RAM
50 メモリコントローラ(MC)
51 EEPROM
60 ネットワーク
201 リニアエンコーダ
202 エンコーダセンサ
304、306 モータドライバ
305 キャリッジモータ
307 紙送りモータ
308 ヘッドドライバ
309 プリントヘッド
310 EEPROM
401 プリント媒体
403 ベルト
404 フレキシブルケーブル
405 リニアエンコーダ
406 インクジェットヘッド
407〜410 ノズル
411 機能ボタン
412 左矢印キー
413 右矢印キー
414 選択ボタン
415 LED
706 機能選択用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機構中の可動部材の現在位置を検出するエンコーダ手段を有するプリンタの制御方法において、
ユーザ操作に応じて前記可動部材の位置を変更し、
前記エンコーダ手段により検出した前記可動部材の現在位置をユーザの機能選択入力情報として取り込む機能選択ユーザーインターフェースを含むことを特徴とするプリンタの制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタの制御方法において、前記可動部材がプリントヘッドであることを特徴とするプリンタの制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載のプリンタの制御方法において、前記可動部材がプリント媒体の搬送姿勢を制御するガイド部材であることを特徴とするプリンタの制御方法。
【請求項4】
請求項3に記載のプリンタの制御方法において、前記ガイド部材のプリント媒体の側縁をガイドする部分の取り外しによって、前記機能選択ユーザーインターフェースが起動されることを特徴とするプリンタの制御方法。
【請求項5】
請求項1に記載のプリンタの制御方法において、前記可動部材が機能選択バーであることを特徴とするプリンタの制御方法。
【請求項6】
請求項1に記載のプリンタの制御方法において、前記可動部材の可動範囲に沿って装置外装に設けられた表示により、選択される機能の機能表示を行なうことを特徴とするプリンタの制御方法。
【請求項7】
請求項1に記載のプリンタの制御方法において、前記可動部材の可動範囲に沿って搬送され、かつ交換可能なプリント媒体としての機能選択用紙に配置された表示により、選択される機能の機能表示を行なうことを特徴とするプリンタの制御方法。
【請求項8】
請求項1に記載のプリンタの制御方法において、前記可動部材の現在位置が選択すべき機能範囲の境界部分にある場合には、いずれの機能も選択しないよう制御することを特徴とするプリンタの制御方法。
【請求項9】
請求項1に記載のプリンタの制御方法において、前記可動部材がユーザ操作に応じて動作する駆動手段により移動される際、前記可動部材の移動速度を印刷処理における移動速度よりも遅く制御することを特徴とするプリンタの制御方法。
【請求項10】
請求項1に記載のプリンタの制御方法を実施すべく動作する構成ハードウェアを含むことを特徴とするプリンタ。
【請求項11】
請求項1に記載のプリンタの制御方法を実施すべくプリンタの構成ハードウェアを制御することを特徴とするプリンタの制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−289701(P2006−289701A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−111502(P2005−111502)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】