説明

プリンタ用梱包箱

【課題】 プリンタ本体と補助装置と、補助装置を使用しない際に収納・保管する為の別の専用収納箱を同梱せずに、上記補助装置を収納・保管可能なプリンター用梱包箱を提供する。
【解決手段】 プリンタを収納してその物流に供する梱包箱106において、内側に在ってプリンタ本体とその他の同梱物とを隔てる仕切部材105に、同梱物を収納若しくは保管可能で前記梱包箱とは別体の箱形状へ形成可能とする手段若しくは、前記プリンタに付加して前記プリンタの搬送機能を補助することを可能とする手段の少なくとも一方の手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスや家庭で用いられるプリンタの梱包箱に関わり、特にプリンタ本体とは別体の付属物や機器を同梱して、その物流に供するプリンタ用梱包箱に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のコンピュータやネットワーク、そしてデジタル・カメラやビデオなどの急速な発展と普及に伴い、これらの情報出力、即ちハードコピー用としてLBPやインクジェット方式などの種々のプリンタも発展し広く普及して来ている。
【0003】
中でもインクジェットプリンタは、記録ヘッドから微少なインク滴を紙などの披記録媒体上へ吐出して着弾させ、それを定着させることにより文字や画像を記録するもので、カラー情報の印字や静穏印字、小型・低廉化のプリンタを求める場合に適しており、家庭用から業務用のプリンタとして広範囲に使用されている。
【0004】
特に最近では、これまで主流であった普通紙に加えて、写真画像の印字に適した特殊紙、さらには異形状の被記録媒体、例えば樹脂製のCDやDVD等にインク受容層を設けることで、これに直接印字出来るようにもなって来ている。
【0005】
よって被記録媒体として、普通紙から特殊紙、写真サイズからA4サイズ等と、様々な材質とサイズの被記録媒体が使用されるようになって来ている。
【0006】
また特に家庭においては、デジカメや携帯電話で撮影した画像を出力する機会が増えて、特にカードサイズの特殊紙を使用するケースが増えて来ている。
【0007】
一方で家庭用プリンタとしては、プリンタ本体の大きさが小さいことを要求されており、本体サイズを抑えて、種々の媒体に高品位画像を印字可能とするプリンタが要求されていた。
【0008】
最近では、上記のような種々の被記録媒体への高品位な印字、或いはCD/LVDなどの大容量の被記録媒体への印字要求に対して、プリンタ本体とは別体の補助機器をプリンタ本体へ装着することでこれらの要求を達成するプリンタが開発され上市されてきた。
【0009】
前記プリンタでは、(プリンタ本体と別体の)主にインクジェット印字用の葉書やカードサイズの被記録媒体を専用でスタックし給紙補助を可能とする装置(以下、カード搬送補助装置)と ディスク形状でインクジェット印字可能な媒体(CDやDVD)の搬送を補助する装置(以下、CD搬送補助装置)とを、プリンタの梱包箱に一緒に収納(同梱)している。
【0010】
またこれらの補助装置を使用しない場合に、保管・収納する為の、紙製の専用収納箱も同梱(折り畳んだ状態で)している。
【0011】
図4は上記プリンタの梱包箱110を開いて、梱包状態の概要を説明する図であり、プリンタ本体100は、左右の緩衝部材101A、101Bで保持されており、付属物102(マニュアル、インクタンク、電源コードなど)と補助装置(103:CD搬送補助装置と104:カード用紙搬送補助装置)は段ボール製の仕切り部材105 によってプリンタ本体と隔てて収納されている。
【0012】
この仕切り部材105は、外表面を形成する外表面部材106(ダンボール製の外箱)に対し、図示のように箱内部で橋桁状に配置されている。 梱包箱への物流時の外部負荷(落下や振動などにより箱内の装置に加わる荷重)や保存時の静圧荷重などに対しては、主に外箱106や緩衝部材101などが受け持つ(吸収・緩和・支持)が、仕切り部材も補助的に役立つように構成されている。
【0013】
また201は、同梱している補助装置である103:CD搬送補助装置と104:カード用紙搬送補助装置とを専用に収納して保管可能とする紙製の収納箱であり、折り畳んだ状態で梱包箱内に同梱されている。
【0014】
図5はプリンタ本体100に、前記の補助装置である103:CD搬送補助装置と104:カード用紙搬送補助装置とを装着して使用可能な状態を表す図である。(尚、実際には両装置を同時に使用することは出来ない)
107はCDトレイであり、CD状の被記録媒体を保持して、前記CD搬送補助装置での搬送を可能としている。
【0015】
図6は、同梱された専用の紙製収納部材201を組立た状態であり、前記補助装置103,104を使用しない場合にこれらを保管・収納可能となっている。
【0016】
ここで前記収納部材201は図4においてプリンタ本体100の上に折り畳んだ状態で収納されている。
【0017】
図6(a)、(b)に示したように、収納部材201は横方向(a)、縦方向(b)の両方向に保持可能となっており、補助装置103,104を使用しない場合に、これらを最小限のスペースですっきりと収納し、装置の信頼性や使用環境の維持(小占有スペース、美観性など)が可能となっている。
【0018】
従来例としては、例えば特許文献1と特許文献2をあげることが出来る。
【特許文献1】特開2001−114385号公報
【特許文献2】特開平9−156673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、前記従来例においては、補助装置を使用しない場合の収納・保管用に、プリンタ本体や梱包部材とは別体で、専用の収納部材を準備しておき同梱する必要があった。
【0020】
また、梱包箱に在る仕切り部材105は、印刷付で大きな外箱(外表面部材106)に比べて、無地の内部部品である場合が多いことから、少なくともプリンタのサイズ以上の大きさを持った紙部材であるにもかかわらず、開梱の際には不要物(ゴミ)として捨てられることが多かった。
【0021】
従って、仕切り部材のエコロジー対応(資源の無駄使い防止、環境負荷の低減など)と、収納箱を専用化して同梱する為の所要コスト、などが課題となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0022】
プリンタを収納してその物流に供する梱包箱においてその外表面を形成する外表面部材と、該箱の内側に在ってプリンタ本体とその他の同梱物とを隔てる仕切部材とを有する梱包箱において、前記外表面部材若しくは前記仕切り部材の少なくとも一方の部材に、前記同梱物を収納若しくは保管可能で前記梱包箱とは別体の箱形状へ形成可能とする手段若しくは前記外表面部材若しくは前記仕切り部材の少なくとも一方の部材に、前記プリンタに付加して前記プリンタの搬送機能を補助することを可能とする手段の少なくとも一方の手段 を設ける。
【発明の効果】
【0023】
本発明のプリンタ用梱包箱によればプリンタ本体の梱包箱を形成する部材を、物流時の梱包部材としての機能(仕切りによる整列配置や、負荷の分担支持)に加えて、プリンタ本体とは別体の装置や付属物を収容して保管する為の収納箱への転用が可能となる。
【0024】
これにより、従来のように専用の収納箱を準備する必要が無くなり、プリンタのコスト削減が成される。
【0025】
さらには、専用部品の削減と、無駄な部品廃棄が無くなることによりエコロジー効果(省資源・省エネ・リサイクル)も得られることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。(本質的に変わらないものについては従来例と同一の図と番号を用いた)
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態であるプリンタ用梱包箱に使用される仕切り部材105の外観図である。
【0027】
この例では、プリンタ本体と共に梱包箱110に同梱される103:CD搬送補助装置と104:カード用紙搬送補助装置とを収納保管可能とする手段を、仕切り部材105へ設けている。
【0028】
ここで、仕切り部材105は薄手のダンボール紙で形成され、その外形状は従来例の図4と同様である。
【0029】
図1(A)においてミシン目を破線で、折り曲げ補助の目的で凹状に前加工した稜線を実線で図示している。
【0030】
このミシン目を設けておくことで、ユーザーが開梱時に同図(B)の形状に容易に切り出すことが出来る。続いて、図(C)のように凹上稜線に沿って折り曲げることで箱形状に組立てることでき、最終的に同図(D)のような収納/保管箱9を形成することが出来る。図(D)には、前記収納箱9へ、CD搬送補助装置とカード用紙搬送補助装置とを収納・保管した状態を示している。
【0031】
このように、本提案のプリンタ用梱包箱によれば、同梱された補助装置やマニュアルなどを使用しない場合に、これらを確実に整頓・安定して収納・保管可能とする状態を、梱包箱を構成する部材の一部(仕切り部材)を利用してユーザーが容易に形成することが可能となっている。
【0032】
(第2の実施の形態)
図2は第2の実施の形態であるプリンタ用梱包箱の外観図であり、仕切り部材105に、プリンタの印字用紙の給紙を補助する部材を形成可能な手段を設けた例を表している。同図(A)で、の仕切り部材105の外形状は従来例の図4のそれと同じであるが、内側に図示のようにミシン目と穴を設けてある。これにより、容易にb,c,d,e,fの各ミシン目で切り出すことが出来、そしてミシン目i,hで折り曲げれば、図2(a)に示すように、補助給紙トレイ10を形成できる。
【0033】
該トレイをプリンタの給紙部へ装着した状態を(C)図に示した。これにより、例えばA4サイズ以上の普通紙を長期積載した後に印字する場合に、吸湿や自重により紙が大きく変形することを抑制できることから、常に安定した給紙、ひいては高画質印字を確保することが出来る。
【0034】
(第3の実施の形態)
図3は、第3の実施の形態であり、プリンタ用梱包箱の仕切り部材を標準装備の排紙トレイ108の補助トレイとして適用した例を示している。図3の補助排紙トレイ11は、第2の実施形態と同様に仕切り部材105から、ミシン目に沿って切り出して折り曲げたものである。これを標準排紙トレイ108の上に配置することにより、印字後の長手の被記録媒体を、その全長にわたって積載し、安定して保持することが可能となる。
【0035】
(尚書き)
(1) 実施の形態はオプション機器を装着可能なインクジェットプリンタに付いて説明したが、当然ながらこれに限定されるものではなく、同様のオプション機器を使用可能な記録装置、例えばレーザープリンタ、熱転写プリンタなどの梱包箱へも適用可能である。
【0036】
(2) 実施の形態は全て仕切り部材で収納箱やトレイなどを形成する例を示したが、当然ながら外箱で形成しても良いし、仕切り部材と外箱の両方で形成しても良い。
【0037】
(3) 実施の形態の梱包箱を形成する部材の材質は全て紙(段ボール製)で記述したが、これに限らず 全て樹脂製、或いは樹脂製部材と紙製部材とを使用してもよい。
【0038】
(4) 実施の形態では、収納される補助装置については、その全てが梱包箱に同梱される場合を示したが、これに限らず非同梱(別売り)のオプション装置を収納可能な箱を形成できる仕切り部材や外箱の構成であっても良い。
【0039】
(5) 実施例では、ミシン目と凹加工を施した例を説明したが、これに限らず、同じ効果が得られる別の手段であっても良い。
【0040】
(6) ユーザが、より簡単に収納箱を形成できるように、作業ガイドとなる文字やイラストなどの印刷を、仕切り部材や外箱に印刷しておいても良い。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施の形態のインクジェットプリンタ用梱包箱の仕切り部材の説明図
【図2】本発明の第2の実施の形態のインクジェットプリンタ用梱包箱の説明図
【図3】本発明の第3の実施の形態のインクジェットプリンタ用梱包箱の仕切り部材の説明図
【図4】従来例のプリンタ梱包箱の説明図
【図5】プリンタ本体に補助装置を装着した状態の説明図
【図6】補助装置を収納・保管した状態の説明図(従来例)
【符号の説明】
【0042】
9 収納保管箱
10 補助給紙トレイ
11 補助排紙トレイ
100 プリンタ本体
101A,B 緩衝材
102 付属品(マニュアル、インクタンク、電源コードなど)
103 CD搬送補助装置
104 カード用紙搬送補助装置
105 仕切り部材
106 外表面部材(外箱)
107 CDトレイ
108 排紙トレイ
110 プリンタ梱包箱
201 収納箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタを収納してその物流に供する梱包箱において、該梱包箱がその外表面を形成する外表面部材と、該箱の内側に在ってプリンタ本体と同梱物とを略隔てる仕切部材とを有し、
前記外表面部材若しくは前記仕切り部材の少なくとも一方の部材に、
前記同梱物、若しくは非同梱で前記プリンタに付設可能な補助装置や使用可能な消耗部材の少なくとも一つを収納可能とする、前記梱包箱とは別体の箱形状部材を形成可能とする手段
若しくは
前記プリンタに付設して前記プリンタの搬送機能を補助することを可能とする手段の少なくとも一方の手段
を有することを特徴とするプリンタ用梱包箱。
【請求項2】
前記梱包箱を形成可能とする手段として分離用ミシン目、若しくは屈曲用凹状稜線のいずれかを有することを特徴とする請求項1のプリンタ用梱包箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−161265(P2007−161265A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−356512(P2005−356512)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】