説明

プリンタ装置、その制御方法、プログラム、及び記憶媒体

【課題】 工場出荷工程を容易にすることができるプリンタ装置を提供する。
【解決手段】 工場モードにおけるプリンタ装置100においてセンサ110はフィードされている用紙のバーコードのバーコードデータを読み取り、センサ110及びエンジンコントローラ150を介してプリンタコントローラ160がバーコードデータを読み取る。プリンタコントローラ160は受信したバーコードデータを解析し、工場出荷設定項目の設定値を求め、NVRAM161に記憶されている工場出荷設定項目の値を求めた設定値に書き換える。プリンタコントローラ160はこの設定値をNVRAM161から読み出し、テストパターン画像と組み合わせて工場ページを生成し、印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタやインクジェットプリンタ等のプリンタ装置、その制御方法、プログラム、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザプリンタやインクジェットプリンタ等のプリンタ装置において、用紙タイプを特定するためのセンサが取り付けられている。このセンサは、印刷開始時に用紙タイプを検知し、ユーザが要求している用紙タイプと実際に給送されている用紙タイプが一致しているか否かを判別するために備えられている。
【0003】
次いで、上述のような用紙タイプを検知する機能を持った従来のプリンタ装置を製造後に製造工場から出荷する場合に行われる工場出荷工程の一例を説明する。
【0004】
まず、プリンタ装置のエンジンによりテストページ(テストパターン画像)を印刷し、印刷された画像の評価によりエンジンの印刷精度やプリンタコントローラの画像処理のテストを行って、印刷評価を行う。このテストページの一般的な印刷方法としては、プリンタ装置に格納されているテストページを印刷する方法や、ユーザが用意したテストページを外部機器からプリンタ装置に送信して印刷する方法等が挙げられる。
【0005】
次いで、印刷評価が終了すると、プリンタ装置の初期設定等を行うための工場出荷設定が行われる。
【0006】
この工場出荷設定において設定される工場出荷設定項目には、例えば、プリンタ装置1台毎に与えられる固有の番号であるシリアル番号の書き込み、当該プリンタ装置が販売される地域において一般的に使用されている用紙トレイのサイズ設定、及びプリンタ装置のユーザが使用する言語等の設定や、工場において作業者が書き込む可能性のあるエラーログの消去や、テストページを印刷することにより増加する印刷カウンタの消去等が含まれる。
【0007】
そして最後に、工場出荷設定を確認するための確認ページを印刷し、この確認ページの内容を確認してプリンタ装置を出荷する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平06−106824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のプリンタ装置における工場出荷工程においては、上述のように、印刷評価、工場出荷設定、及び工場出荷設定確認を行う必要があり、いくつかの工程を経る必要があった。
【0009】
また、印刷評価及び工場出荷設定確認の工程において、プリンタ装置に用紙をセットしてテストページ及び確認ページを印刷する必要があり、このため、従来のプリンタ装置においては、工場出荷工程で最低でも数枚の印刷を行う必要があった。
【0010】
さらに、印刷評価工程及び工場出荷設定工程においては、プリンタ装置以外に、プリンタ装置と接続可能な検査用・工場出荷設定用装置が必要であった。例えば、実際のユーザの環境を想定して評価するためには、ホストパーソナルコンピュータ(以下、ホストPCと称呼する。)等が検査用・工場出荷設定用装置として必要であった。
【0011】
従って、従来のプリンタ装置において、工場出荷工程は作業者にとって煩わしいものであった。
【0012】
本発明の目的は、工場出荷工程を容易にすることができるプリンタ装置、その制御方法、プログラム、及び記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1記載のプリンタ装置は、印刷を実行する機構としてのエンジンと、該エンジンを制御するエンジンコントローラと、外部装置からのデータに対して画像処理を行うプリンタコントローラとを備えるプリンタ装置において、用紙に印字されたバーコードを読み取り可能なセンサを備え、前記エンジンコントローラは前記センサを制御し、前記プリンタコントローラは前記センサに読み取られたバーコードデータに基づいて前記プリンタにおける所定の設定値を設定することを特徴とする。
【0014】
請求項15記載のプリンタ装置の制御方法は、印刷を実行する機構としてのエンジンと、該エンジンを制御するエンジンコントローラと、外部装置からのデータに対して画像処理を行うプリンタコントローラとを備えるプリンタ装置の制御方法であって、センサにより用紙に印字されたバーコードを読み取る読取ステップと、エンジンコントローラにより前記センサを制御するセンサ制御ステップと、前記プリンタコントローラにより前記センサに読み取られたバーコードデータに基づいて前記プリンタにおける所定の設定値を設定する設定ステップとを備えることを特徴とする。
【0015】
請求項16記載のプログラムは、印刷を実行する機構としてのエンジンと、該エンジンを制御するエンジンコントローラと、外部装置からのデータに対して画像処理を行うプリンタコントローラとを備えるプリンタ装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、センサにより用紙に印字されたバーコードを読み取る読取モジュールと、エンジンコントローラにより前記センサを制御するセンサ制御モジュールと、前記プリンタコントローラにより前記センサに読み取られたバーコードデータに基づいて前記プリンタにおける所定の設定値を設定する設定モジュールとを備えることを特徴とする。
【0016】
請求項17記載の記憶媒体は、印刷を実行する機構としてのエンジンと、該エンジンを制御するエンジンコントローラと、外部装置からのデータに対して画像処理を行うプリンタコントローラとを備えるプリンタ装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記プログラムは、センサにより用紙に印字されたバーコードを読み取る読取モジュールと、エンジンコントローラにより前記センサを制御するセンサ制御モジュールと、前記プリンタコントローラにより前記センサに読み取られたバーコードデータに基づいて前記プリンタにおける所定の設定値を設定する設定モジュールとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載のプリンタ装置、請求項15記載の制御方法、請求項16記載のプログラム、及び請求項17記載の記憶媒体によれば、作業者がバーコードが印刷された用紙を給紙することにより、センサがこのバーコードを読み取り、プリンタコントローラが、センサに読み取られたバーコードデータに基づいてプリンタ装置における所定の設定値を設定する。このため、工場出荷工程において、所定のバーコードが印字された用紙を用いて工場出荷設定を行うことができ、工場出荷設定において、プリンタ装置以外の特別な装置を不要にすることができる。従って、工場出荷工程を容易にすることができる。加えて、ユーザは、所定のバーコードが印字された用紙を用いてプリンタ装置の設定を行うことができ、プリンタ装置の設定を容易にすることができる。
【0018】
請求項2記載のプリンタ装置によれば、プリンタコントローラが、設定値の設定後に、この設定値と、当該設定値に対応する設定項目と、エンジン、エンジンコントローラ、及びプリンタコントローラの画像処理評価のためのテストパターン画像との少なくとも1つを有するページを生成する。加えて、エンジンコントローラが、生成されたページを、読み取られたバーコードが印刷された用紙においてこのバーコードの下方に印刷する。このため、工場出荷工程において、1回の印刷でテストパターン画像(テストページ)及び工場出荷設定項目の確認(工場出荷設定確認)を行うことができる。従って、バーコードが印字された用紙を給紙することにより、印刷評価、工場出荷設定、及工場出荷設定確認を同時に行うことができ、工場出荷工程をより容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係るプリンタ装置の概略構成を示すブロック図である。
【0021】
図1に示すように、プリンタ装置100は、センサ110と、印刷を実際に行う機構であるエンジン120と、操作手段としてのオペレーションパネル130と、ホストPC等の外部装置200とケーブル300を介して通信可能に接続するためのインターフェース140とを備える。
【0022】
また、プリンタ装置100は、エンジン120を制御するエンジンコントローラ150と、外部装置200から受信したデータに対して画像処理を行うプリンタコントローラ160と、プリンタ装置100の全体を制御するCPU170とを備える。
【0023】
センサ110は、用紙に印字されたバーコードを読み取ることができる。また、センサ110は、印刷用紙の用紙タイプを検知することができる。センサ110は、例えば、メディアセンサ、ラインセンサ、又は2次元バーコードセンサである。
【0024】
センサ110は、プリンタ装置100において通常の印刷が行われる場合には、用紙タイプを検知するユーザモードで動作する。また、センサ110は、バーコードが印字された用紙が給紙される場合には、このバーコードを読み取る工場モードで動作する。
【0025】
オペレーションパネル130は、ユーザが所定の操作を行うことにより種々の動作を指令するためのパネルでる。ユーザは、オペレーションパネル130における操作によってセンサ110の動作モードをユーザモード及び工場モードの間で任意に切り換えることができる。また、ユーザは、外部装置200において所定の操作を行い、プリンタ装置100にモード切換コマンドを送信することにより、センサ110の動作モードをユーザモード及び工場モードの間で任意に切り換えることができる。
【0026】
エンジンコントローラ150は、センサ100を制御する。具体的には、ユーザによるオペレーションパネル130の操作、及び外部装置200から送信されるモード切換コマンドに応じてセンサ100の動作モードをユーザモード及び工場モードの間で切り換える。また、エンジンコントローラ150は、後述するように、エンジン120を制御してテストページや工場出荷確認ページを印刷する。
【0027】
プリンタコントローラ160は、書き換え可能な不揮発性記憶媒体としてのNVRAM161を有する。プリンタコントローラ160は、後述するように、センサ110によって読み取られたバーコードのバーコード情報に基づいてプリンタ装置100における所定の設定値を設定し、この設定値を印刷する。例えば、プリンタコントローラ160は、所定の工場出荷設定値を設定する工場出荷設定を行い、また、工場出荷確認ページを生成する。
【0028】
上述の構造を有するプリンタ装置100の動作を以下に説明する。
【0029】
図2は、工場出荷工程においてプリンタ装置100が実行する工場ページ印刷処理を示すフローチャートである。
【0030】
本処理においては、図2に示すように、まず、センサ110の動作モードとして工場モードが選択されたか否かを判別する(ステップS101)。具体的には、例えば、作業者がプリンタ装置100を起動してセンサ110の動作モードとして工場モードを選択したか否かを判別する。
【0031】
動作モードとして工場モードが選択されない場合は、センサ110の動作モードをユーザモードに設定してプリンタ装置100をユーザモードにし(ステップS111)、本処理を終了する。センサ110の動作モードがユーザモードに設定されると、センサ110はプリンタ装置100が印刷データを受信する度に給送する印刷用紙の用紙タイプを検知する。そして、プリンタ装置100において、センサ110によって検知された用紙タイプがユーザが要求している用紙タイプと一致するか否かを判別するエラー処理が行われる。
【0032】
一方、動作モードとして工場モードが選択された場合は、センサ110の動作モードを工場モードに設定してプリンタ装置100を工場モードにする(ステップS102)。
【0033】
ここで、センサ110の動作モードの切換方法としては、上述のように、オペレーションパネル130の操作による切換方法や、外部装置200からモード切換コマンドを送信する切換方法等がある。
【0034】
次いで、ユーザは、プリンタ装置100が工場モードへ移行したことを確認すると、バーコードが印字された用紙をプリンタ装置100の図示しない給紙トレイにセットする。
【0035】
上述の用紙に印字されたバーコードの印字形式や印字形態は、センサ110の種類により異なる。センサ110としてメディアセンサを使用した場合は、図3(A)に示すように、メディアセンサが読み取ることが可能な範囲は微小な範囲であるため、バーコードを用紙の縦方向に印字しておく。センサ110としてラインセンサを使用した場合は、図4(A)に示すように、ラインセンサが読み取ることが可能な範囲はメディアセンサに比べ横方向に広いため、バーコードを用紙の横方向に印字しておく。
【0036】
センサ110として2次元バーコードセンサを使用した場合のバーコードの印字形態を、図5(A)に示す。2次元バーコードとは、縦・横2方向に情報を持たせることで記録できる情報量を単一方向のみに情報を持つバーコードに比べて飛躍的に増加させたコードである。このため、バーコードに大量の情報を持たせる場合には、1次元バーコードに比べ2次元バーコードはより少ない面積で情報を表現することが可能である。このため、この場合、2次元バーコードを用紙の上部に配置すれば、その下方には大きなスペースが確保されるので、例えば左上に印字する(図5(A)参照)。
【0037】
次いで、上述のようなバーコードが印字された用紙が給紙トレイにセットされた状態において、ユーザが工場ページの印刷の開始を指示すると、プリンタ100は、このユーザによる工場ページの印刷開始の指示を受信する(ステップS103)。
【0038】
上述の工場ページの印刷開始を指示する方法としては、センサ110の動作モード切換と同様に、オペレーションパネル130における操作により指示する方法や外部装置200からの印刷開始コマンドの送信により指示する方法等がある。また、上述の工場ページは、テストページ及び工場設定項目確認ページの少なくとも一方を有するページである。
【0039】
次いで、エンジンコントローラ150は、センサ110がバーコードを読み取るために適切な用紙フィード速度で用紙をフィードするようにエンジン130を制御し、エンジン130がこの用紙フィード速度で用紙をフィードする。そして、センサ110がこの用紙のバーコードからバーコードデータを読み取る(ステップS104)。
【0040】
そして、図6で後述するバーコード読取処理を実行して(ステップS105)、センサ110及びエンジンコントローラ150を介してプリンタコントローラ160がバーコードでーたの読み取りを実行する。
【0041】
図6は、工場ページ印刷処理のステップS105において実行されるバーコード読取処理を示すフローチャートである。
【0042】
図6に示すように、まず、エンジンコントローラ150がセンサ110の読み取ったバーコードデータを受信する(ステップS201)。次いで、エンジンコントローラ150は所定のデータ数をセンサ110から受信したか否かを判別する(ステップS202)。
【0043】
エンジンコントローラ150が所定のデータ数を受信した場合は、センサ110によるバーコードの読み取りを終了する(ステップS203)。次いで、エンジンコントローラ150は、チェックサムが正しいか否かを判別することにより受信したバーコードデータに誤りがあるか否かを判別する(ステップS204)。ステップS204においては、受信したバーコードデータの評価にチェックサムを使用しているが、その他の方法としてCRC等を使用することも可能である。
【0044】
ステップS204においてチェックサムの結果が正しく、受信したバーコードデータに誤りがない場合は、エンジンコントローラ150は、プリンタコントローラ160にバーコードデータを正しく受信できたことを通知する(ステップS205)。このステップS205における通知方法としては、割り込みによる通知やシリアル通信による通知等が考えれられる。
【0045】
次いで、プリンタコントローラ160がバーコードデータを受信し(ステップS206)、本処理を終了する。ここで、プリンタコントローラ160のバーコードデータ取得方法として、例えば、ステップS205においてエンジンコントローラ150が割り込みによる通知方法を使用した場合、プリンタコントローラ160がエンジンコントローラ150にアクセスしてこのバーコードデータを取得することが考えられる。また、ステップS205において、プリンタコントローラ160がシリアル通信による通知方法を使用した場合、エンジンコントローラ150からのデータ割り込み線がプリンタコントローラ16
0に用意されており、エンジンコントローラ150がプリンタコントローラ160へデータ割り込み線を通じて割り込み信号を送信することで、エンジンコントローラ150からシリアル通信により送信されるバーコードデータをプリンタコントローラ160が受信することが可能になる。
【0046】
上記ステップS202において、センサ110の読み取りエラーが発生したり、バーコード自体に不具合が生じているため、エンジンコントローラ150が所定のデータ数を受信しない場合には、エンジンコントローラ150はプリンタコントローラ160にバーコードの読み込みエラーを通知し(ステップS207)、プリンタコントローラ160がエラー通知を受信して(ステップS208)、本処理を終了する。ステップS208におけるプリンタコントローラ160のエラー受信方法は。ステップS206において正常なバーコードデータを受信する場合と同様である。
【0047】
上記ステップS204においてチェックサムの結果が正しくなく、受信したバーコードデータに誤りがある場合は、ステップS207以降の処理を行う。
【0048】
図1に戻って、ステップS105におけるバーコード読取処理(図6)が終了すると、プリンタコントローラ160がバーコードの読み取りに成功したか否かを判別する(ステップS106)。
【0049】
プリンタコントローラ160がバーコードの読み取りに失敗したと判別した場合は、オペレーションパネル130の図示しないLCDにバーコードの読み取りに失敗した旨を表示すると共に、図示しないエラーLEDを点滅させる(ステップS112)。これにより、ユーザにバーコードの読み取りに失敗したことを報知する。次いで、用紙に工場ページを印刷せず用紙を排紙し(ステップS113)、本処理を終了する。
【0050】
一方、プリンタコントローラ160がバーコードの読み取りに成功したと判別した場合は、プリンタコントローラ160がエンジンコントローラから受信したバーコードデータを解析し、所定の工場出荷設定項目の設定値を求める(ステップS107)。次いで、NVRAM161に記憶されている各工場出荷設定項目の値をステップS107において求めた設定値に書き換える(ステップS108)。ここで、工場出荷設定項目の設定値が書き込まれる場所は上述のNVRAM161の他、プリンタ装置100が備える図示しないハードディスク等であってもよい。
【0051】
ステップS108におけるNVRAM161に対する工場出荷設定項目の書き換えにより工場出荷設定が終了すると、プリンタコントローラ160は、工場出荷設定項目の設定値をNVRAM161から読み出す。そして、プリンタコントローラ160は、この読み出した設定値とプリンタコントローラ160内部の所定の領域で保持するテストパターン画像(テストページ)と組み合わせた工場ページを生成する(ステップS109)。次いで、エンジンコントローラ150がエンジン130を制御してステップS109において生成された工場ページを印刷し(ステップS109)、本処理を終了する。
【0052】
上記処理において、センサ110のバーコードの読取終了後から工場ページの印刷までの間、つまり、ステップS105〜ステップS109の間においては、バーコードの印字位置の直ぐ下から工場ページの印刷を開始することができるように、用紙が適切な用紙フィード速度でフィードされる。
【0053】
以下、ステップS109において印刷される工場ページの例を説明する。工場ページにおいて工場出荷設定値と組み合わせる情報や画像は、工場出荷時に検査が必要となるものであればよい。
【0054】
センサ110としてメディアセンサを使用した場合の工場ページの印刷結果例を図3(B)に示す。この場合、図3(B)に示すように、工場出荷設定項目として、シリアルナンバー、F/Wバージョン、用紙サイズ、部数、原稿の向き、プリンタエラー、及びページカウントが印字されている。また、シリアルナンバーがXXXXXXX、F/WバージョンがYYY、用紙サイズがA4、部数が1、原稿の向きが縦、プリンタエラーが0、及びページカウントが0として各設定項目の設定値が印字されている。
【0055】
ここで、プリンタ装置100が両面印刷機能を有している場合には、工場ページの生成に時間がかかるときや、用紙の印字スペースが足りないときには、設定結果を裏面に印刷することが可能である。
【0056】
センサ110としてラインセンサを使用した場合の工場ページの印刷結果例を図4(B)に示す。ラインセンサを使用した場合には用紙のバーコード印字領域の下に十分な印刷スペースが確保されるため、バーコードの下に画像テストパターン及び図3(B)と同様の設定結果が印刷される。
【0057】
センサ110として2次元バーコードセンサを使用した場合の工場ページの印刷結果例を図5(B)に示す。この場合もバーコード印字面の下に十分な印刷スペースが確保されるため、バーコードの下に画像テストパターン及び図3(B)と同様の設定結果が印字される。
【0058】
上記工場ページ印刷処理により、作業者は、印刷された工場ページに基づいて画像テストパターンの評価を行い、エンジンコントローラ150やプリンタコントローラ160等のプリンタ装置100全体の印刷精度を評価することができる。加えて、作業者は、印刷された工場ページの設定結果から、バーコードにより設定された工場出荷設定値を確認することができる。
【0059】
上述のように、本実施の形態に係るプリンタ装置100によれば、PCが接続されていない環境であっても、バーコードが印字された1枚の用紙からバーコードを読み取ることことにより、工場出荷設定が行われ、画像テストパターン及び工場出荷設定値がこの用紙に印刷される。そして、この印刷された画像テストパターン及び工場設定値を夫々評価及び確認することにより、印刷評価及び工場出荷設定確認を行うことができる。
【0060】
このように、本実施の形態によれば、バーコードが印字された1枚の用紙を給紙するだけで、工場出荷設定、及びテストページ並びに確認ページの印刷を同時に実行することができ、印刷評価、工場出荷設定、及び工場出荷設定確認、即ち工場出荷工程を同時に実行することができる。また、特別な検査用・工場出荷設定用装置を不要にすることができる。従って、工場出荷工程を容易にすることができる。
【0061】
次いで、プリンタ装置100の他の実施例について説明する。本実施例においては、センサ110を一般のユーザが使用する場合のプリンタ装置100の動作を示す。
【0062】
図7は、Webページの印刷設定ページを利用したプリンタ設定処理のフローチャートである。
【0063】
まず、ユーザは、外部装置200等を用いてインターネット等のWebに接続し、プリンタ装置100の製造メーカが用意するWebサイトに接続する。この製造メーカの用意するWebサイトには、プリンタ装置100の所定の設定項目、この設定項目を選択するための選択欄、及び設定項目の値を設定するための設定欄を表示するWebページが用意されている。Webページ上の設定項目としては、プリンタ名、用紙サイズ、デフォルト部数、原稿の向き、言語、及び後述する保存されるマクロデータの登録名等がある。
【0064】
ユーザはこのWebページから所望の設定項目を選択し、その設定値を入力する。そして、ユーザがこのWebページのダウンロードを実行すると、Webにおいて選択された設定項目及びその設定値からバーコードデータが生成される。さらに、選択された設定項目、入力された設定値、及び生成されたバーコードデータに対応するバーコードを含むプリンタ設定ページが生成され、ユーザはこのプリンタ設定ページをダウンロードすることが可能となる。
【0065】
ユーザが生成されたプリンタ設定ページを印刷し、印刷されたプリンタ設定ページ(図8(A)参照)をプリンタ装置100の図示しない給紙トレイにセットし、オペレーションパネル130において図示しないプリンタ設定ページの読み取りメニューを選択すると、本処理が開始する。
【0066】
ここで、本実施例においては、ユーザは、上述のWebページにおいて、設定項目として、プリンタ名、用紙サイズ、デフォルト部数、原稿の向き、言語、及びマクロ登録名を選択するものとする。そして、ユーザは、プリンタ名、用紙サイズ、デフォルト部数、原稿の向き、言語、及びマクロ登録名の設定値として、XXXX、A4、1、縦、日本語、及びYYYを夫々設定するものとする。また、印刷されるプリンタ設定ページには、図8(A)に示すように、選択された設定項目、入力された設定値、及び生成されたバーコードが表示される。
【0067】
本処理は、まず、オペレーションパネル130においてプリンタ設定ページの読み取りメニューが選択されたことを検知すると(ステップS301)、上述の図2のステップS104〜S106をステップS302〜S304において夫々実行してバーコードの読み取りを行う。
【0068】
ステップS304においてバーコードの読み取りに失敗した場合は、オペレーションパネル130にバーコード読み取りの際にエラーが発生したことを示すためのエラーメッセージを表示し、更にエラーLEDを点滅させる(S310)。次いで、バーコードの読み取りエラーが発生した場合は、プリンタ設定ページに何も印字せずそのまま廃紙し(ステップS311)、本処理を終了する。
【0069】
一方、ステップS304においてバーコードの読み取りに成功した場合は、プリンタコントローラ160はセンサ110により読み取ったバーコードデータからプリンタ設定値を解析する(ステップS305)。次いで、ステップS305において解析したバーコードデータがプリンタ装置100に対応したデータであるか否かを判別する(ステップS306)。
【0070】
バーコードデータがプリンタ装置100とは異なる機種に対応するデータである場合は、S304においてバーコードの読み取りに失敗したときと同様に、ステップS310,S311の処理を行う。
【0071】
一方、バーコードデータがプリンタ装置100に対応している場合は、バーコードデータの解析結果に基づいてプリンタ装置100の設定を行い、その設定全体をマクロデータとしてNVRAM161やハードディスク等に保存し、更にはこのマクロデータに対応してその登録名をオペレーションパネル130のメニューに登録する(ステップS307)。これにより、プリンタ装置100は、ユーザがWebページにおいて選択した設定項目が入力した設定値に設定される。
【0072】
次いで、設定結果を、即ちプリンタ設定が正常に行われたことを示すためのデータを生成し(ステップS308)、この生成されたデータに基づいて、プリンタ設定ページの余白にプリンタ設定が正常に行われた旨を印刷して(ステップS309)(図8(B)参照)、本処理を終了する。本実施例においては、プリンタ設定が正常に行われた旨を示すために、図8(B)に示すように「pass」の文字がプリンタ設定ページに印刷される。
【0073】
上述のように、本実施例によれば、ユーザが、Webからダウンロードしたプリンタ設定ページを印刷し、このプリンタ設定ページをプリンタ装置100にセットすることで、プリンタ装置100の設定値が所望の設定値に設定される。加えて、この設定がプリンタ装置100においてマクロデータとして保存されると共に、マクロデータに対応して登録名が登録される。
【0074】
従って、プリンタ装置100を複数のユーザが使用する場合には、単純にオペレーションパネル130のメニューから各ユーザのマクロデータを選択することにより、簡単にプリンタ装置100の設定を変更することが可能になる。
【0075】
また、本発明の目的は、前述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。
【0076】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0077】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0078】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施の形態の機能が実現されるだけではなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0079】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、次のプログラムコードの指示に基づき、その拡張機能を拡張ボードや拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施の形態に係るプリンタ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】工場出荷工程において図1のプリンタ装置が実行する工場ページ印刷処理を示すフローチャートである。
【図3】図1のプリンタ装置におけるセンサとしてメディアセンサを使用した場合の工場ページを説明する図であり、図3(A)は工場ページ印刷前の用紙の一例を示す図であり、図3(B)は工場ページ印刷後の用紙の一例を示す図である。
【図4】図1のプリンタ装置におけるセンサとしてラインセンサを使用した場合の工場ページを説明する図であり、図4(A)は工場ページ印刷前の用紙の一例を示す図であり、図4(B)は工場ページ印刷後の用紙の一例を示す図である。
【図5】図1のプリンタ装置におけるセンサとして2次元バーコードセンサを使用した場合の工場ページを説明する図であり、図5(A)は工場ページ印刷前の用紙の一例を示す図であり、図5(B)は工場ページ印刷後の用紙の一例を示す図である。
【図6】工場ページ印刷処理のステップS105において実行されるバーコード読取処理を示すフローチャートである。
【図7】Webページの印刷設定ページを利用したプリンタ設定処理のフローチャートである。
【図8】プリンタ設定ページを説明する図であり、図8(A)はプリンタ設定ページ印刷前の用紙の一例を示す図であり、図8(B)はプリンタ設定ページ印刷後の用紙の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0081】
100 プリンタ装置
110 センサ
120 エンジン
130 オペレーションパネル
140 インターフェース
150 エンジンコントローラ
160 プリンタコントローラ
161 NVRAM
170 CPU
200 外部装置
300 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷を実行する機構としてのエンジンと、該エンジンを制御するエンジンコントローラと、外部装置からのデータに対して画像処理を行うプリンタコントローラとを備えるプリンタ装置において、
用紙に印字されたバーコードを読み取り可能なセンサを備え、
前記エンジンコントローラは前記センサを制御し、前記プリンタコントローラは前記センサに読み取られたバーコードデータに基づいて前記プリンタにおける所定の設定値を設定することを特徴とするプリンタ装置。
【請求項2】
前記プリンタコントローラは前記設定値の設定後に、前記設定値と、該設定値に対応する設定項目と、前記エンジン、前記エンジンコントローラ、及び前記プリンタコントローラの画像処理評価のためのテストパターン画像との少なくとも1つを有するページを生成し、前記エンジンコントローラは前記エンジンを制御して前記ページを前記用紙において前記バーコードの近傍に印刷することを特徴とする請求項1記載のプリンタ装置。
【請求項3】
前記プリンタコントローラは、書換可能な不揮発性記憶媒体を有し、前記プリンタコントローラは前記バーコードデータを受信すると該バーコードデータに基づいて前記記憶媒体に前記設定値を設定することを特徴とする請求項1又は2記載のプリンタ装置。
【請求項4】
前記センサが前記エンジンによって給送されている前記用紙の前記バーコードを読み取っている間、前記エンジンコントローラは前記エンジンが前記用紙を給送する用紙給送速度を、前記センサが前記バーコードを読み取り可能な用紙給送速度に制御可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプリンタ装置。
【請求項5】
前記エンジンコントローラは前記エンジンにおける前記用紙給紙速度を、前記用紙において前記センサが前記バーコードを読み取り直後から、前記ページを印刷可能な用紙給送速度に制御可能であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のプリンタ装置。
【請求項6】
前記バーコードデータを前記エンジンコントローラから前記プリンタコントローラへ転送する転送手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプリンタ装置。
【請求項7】
前記センサは印刷用紙の用紙タイプを検知することが可能であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のプリンタ装置。
【請求項8】
前記センサは印刷用紙の用紙タイプを検知することが可能であり、前記バーコードの内前記用紙に縦長に印字されたバーコードを読み取るメディアセンサであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のプリンタ装置。
【請求項9】
前記センサは印刷用紙の用紙タイプを検知することが可能であり、前記バーコードの内前記用紙に印字された2次元バーコードを読み取る2次元バーコード読取センサであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のプリンタ装置。
【請求項10】
前記センサは印刷用紙のタイプを検知することが可能であり、前記バーコードの内前記用紙に横長に印字されたバーコードを読み取るラインセンサであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のプリンタ装置。
【請求項11】
前記センサは、通常印刷時において前記用紙タイプを検知するユーザモードで動作し、前記バーコードが印字された前記用紙が給紙される場合において前記バーコードを読み取る工場モードで動作することを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載のプリンタ装置。
【請求項12】
前記ユーザモード及び前記工場モードを切り換え可能な操作部を備えることを特徴とする請求項11記載のプリンタ装置。
【請求項13】
前記ユーザモード及び前記工場モードを前記外部装置から送信されるモード切換コマンドに応じて切り換え可能であることを特徴とする請求項12記載のプリンタ装置。
【請求項14】
前記外部装置と通信可能に接続する通信手段を備えることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のプリンタ装置。
【請求項15】
印刷を実行する機構としてのエンジンと、該エンジンを制御するエンジンコントローラと、外部装置からのデータに対して画像処理を行うプリンタコントローラとを備えるプリンタ装置の制御方法であって、
センサにより用紙に印字されたバーコードを読み取る読取ステップと、
エンジンコントローラにより前記センサを制御するセンサ制御ステップと、
前記プリンタコントローラにより前記センサに読み取られたバーコードデータに基づいて前記プリンタにおける所定の設定値を設定する設定ステップとを備えることを特徴とするプリンタ装置の制御方法。
【請求項16】
印刷を実行する機構としてのエンジンと、該エンジンを制御するエンジンコントローラと、外部装置からのデータに対して画像処理を行うプリンタコントローラとを備えるプリンタ装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
センサにより用紙に印字されたバーコードを読み取る読取モジュールと、
エンジンコントローラにより前記センサを制御するセンサ制御モジュールと、
前記プリンタコントローラにより前記センサに読み取られたバーコードデータに基づいて前記プリンタにおける所定の設定値を設定する設定モジュールとを備えることを特徴とするプログラム。
【請求項17】
印刷を実行する機構としてのエンジンと、該エンジンを制御するエンジンコントローラと、外部装置からのデータに対して画像処理を行うプリンタコントローラとを備えるプリンタ装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記プログラムは、
センサにより用紙に印字されたバーコードを読み取る読取モジュールと、
エンジンコントローラにより前記センサを制御するセンサ制御モジュールと、
前記プリンタコントローラにより前記センサに読み取られたバーコードデータに基づいて前記プリンタにおける所定の設定値を設定する設定モジュールとを備えることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−315340(P2006−315340A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−141625(P2005−141625)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】