説明

プリンタ

【課題】プリンタにおいて、FFCのインク残量情報送受用の信号線を抹消して、コストを削減する。
【解決手段】プリンタ1は、シャーシ4に設けられたメイン基板17に制御部が実装され、キャリア10に設けられたキャリア基板18にヘッド駆動回路が実装され、そして、制御部とヘッド駆動回路がFFC19により電気的に接続されている。また、キャリア10には、キャリア側接続端子20m、20cが設けられ、シャーシ4には、筐体側接続端子21m、21cが設けられている。キャリア10がホーム位置にあるとき、キャリア側接続端子20m、20cが筐体側接続端子21m、21cに当接し、これにより、制御部41は、リード線39m、39c、筐体側接続端子21m、21c、及びキャリア側接続端子20m、20cを介して、インク残量メモリ9m、9cにアクセス可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷用紙にインクを噴射して画像を印刷するプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、印刷用紙にインクを噴射して画像を印刷する、いわゆるインクジェットプリンタがある。この種のプリンタでは、一般的に、印刷ヘッドを保持するキャリアを移動させつつ印刷ヘッドからインクを噴射させることにより、印刷用紙に所定印刷幅のスワス画像を印刷し、そして、このようなスワス画像の印刷と印刷用紙の搬送とを繰り返すことにより、印刷用紙の全体に画像を印刷するようになっている。
【0003】
印刷ヘッドは、ヘッド駆動回路により駆動されてインクを噴射するようになっており、ヘッド駆動回路は、印刷ヘッドと共に移動するように、キャリアに設けられている。また、印刷ヘッドは、インクカートリッジに貯蔵されているインクを噴射するようになっており、インクカートリッジは、印刷ヘッドと共に移動するように、そして、貯蔵しているインクが無くなったときに交換できるように、キャリアに着脱自在に設けられている。インクカートリッジには、インク残量を示すインク残量情報を記憶するためのインク残量メモリが設けられており、このインク残量メモリに記憶しているインク残量情報に基いて、インクカートリッジのインク残量が管理されるようになっている。
【0004】
従来のプリンタにおいては、制御部が筐体に対して固定的に設けられており、FFC(フレキシブルフラットケーブル)を介して、制御部からヘッド駆動回路に、印刷ヘッドを駆動するための(印刷ヘッドからインクを噴射させるための)ヘッド駆動信号を送信し、また、FFCを介して、制御部とインク残量メモリとの間で、インク残量情報を送受信するようになっている。
【0005】
また、このようなプリンタにおいて、FFCを使用せずにヘッド駆動信号を制御部からヘッド駆動回路に送信するようにしたものも知られている(例えば特許文献1乃至特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2005−59401号公報
【特許文献2】特開2004−351686号公報
【特許文献3】特開2003−237051号公報
【特許文献4】特開2001−191622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上述した従来のプリンタにおいては、ヘッド駆動信号及びインク残量情報の送受信にFFCを使用しており、FFCは高価であるため、コストが高くなる。そこで、上記特許文献1乃至特許文献4に記載のプリンタのように、FFCを使用せずにヘッド駆動信号を制御部からヘッド駆動回路に送受する構成が考えられる。しかしながら、特許文献1乃至特許文献4の構成では、制御部から送信されたヘッド駆動信号をヘッド駆動回路側で全て記憶しておく必要があるため、容量の大きいメモリをキャリアに設けなければならず、メモリは高価であるため、コストが高くなる。また、特許文献1乃至特許文献4に記載されたプリンタにおいては、インク残量情報を送受信する構成については、十分な考慮がなされていない。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、FFCのインク残量情報送受用の信号線を抹消して、コストを削減することができることができるプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、印刷用紙を搬送する用紙搬送手段と、印刷用紙に画像を印刷するためにインクを噴射する印刷ヘッドと、用紙搬送手段により搬送される印刷用紙に沿って移動自在に支持され、印刷ヘッドを保持するキャリアと、キャリアを用紙搬送手段により搬送される印刷用紙に沿って移動させるキャリア移動手段と、印刷ヘッドから噴射するためのインクを貯蔵し、貯蔵しているインクが無くなったときに交換できるように、キャリアに着脱自在に保持されるインクカートリッジと、印刷ヘッドを駆動して印刷ヘッドからインクを噴射させるヘッド駆動回路と、インクカートリッジのインク残量を示すインク残量情報を記憶するためのインク残量メモリと、少なくともキャリア及びインクカートリッジを収納する筐体と、筐体に設けられ、ユーザがインクカートリッジを交換するときに、ユーザにより開閉されるカバーと、カバーの開閉を検出するカバーセンサと、本装置に電源を投入するためにユーザに操作される電源ボタンと、本装置の動作を制御する制御手段とを備え、制御手段は、キャリアをキャリア移動手段により移動させつつ印刷ヘッドからインクを噴射させて印刷用紙に所定印刷幅のスワス画像を印刷する動作と、用紙搬送手段により印刷用紙を搬送する動作とを繰り返すことにより、複数のスワス画像によって印刷用紙の全体に画像を印刷する印刷動作を実行し、キャリアにヘッド駆動回路が設けられ、インクカートリッジにインク残量メモリが設けられ、筐体に制御手段が設けられたプリンタにおいて、ヘッド駆動回路と制御手段とを常に電気的に接続するフレキシブルフラットケーブルと、キャリアに設けられ、キャリアにインクカートリッジが保持されているときに、インク残量メモリと電気的に接続されるインク残量情報送受用のキャリア側接続端子と、筐体に設けられ、制御手段に常に電気的に接続されていると共に、キャリアがホーム位置にあるときに、キャリア側接続端子が当接されて、キャリア側接続端子と電気的に接続されるインク残量情報送受用の筐体側接続端子と、をさらに備え、キャリアがホーム位置にあるときにキャリア側接続端子が筐体側接続端子に当接することにより、キャリア側接続端子及び筐体側接続端子を介してインク残量メモリと制御手段とが電気的に接続されて、制御手段がインク残量メモリにアクセス可能となり、制御手段は、電源ボタンの操作により本装置に電源が投入されたとき、キャリアをキャリア移動手段によりホーム位置に移動させて、インク残量メモリにアクセスし、インク残量メモリに記憶しているインク残量情報を取得し、カバーセンサによりカバーの開放を検出すると、キャリアをキャリア移動手段によりインクカートリッジを交換するためのカートリッジ交換位置であるカバーに対向する位置へ移動させ、その後、カバーセンサによりカバーが閉じられたことを検出したとき、キャリアをキャリア移動手段によりホーム位置に移動させて、インク残量メモリにアクセスし、インク残量メモリに記憶しているインク残量情報を取得し、印刷動作を行うための印刷指示がなされると、インクカートリッジのインク残量を管理しつつ印刷動作を実行し、印刷動作が終了したとき、キャリアをキャリア移動手段によりホーム位置に移動させて、インク残量メモリにアクセスし、インク残量メモリに記憶しているインク残量情報を更新するものである。
【0009】
請求項2の発明は、印刷用紙を搬送する用紙搬送手段と、印刷用紙に画像を印刷するためにインクを噴射する印刷ヘッドと、用紙搬送手段により搬送される印刷用紙に沿って移動自在に支持され、印刷ヘッドを保持するキャリアと、キャリアを用紙搬送手段により搬送される印刷用紙に沿って移動させるキャリア移動手段と、印刷ヘッドから噴射するためのインクを貯蔵し、貯蔵しているインクが無くなったときに交換できるように、キャリアに着脱自在に保持されるインクカートリッジと、印刷ヘッドを駆動して印刷ヘッドからインクを噴射させるヘッド駆動回路と、インクカートリッジのインク残量を示すインク残量情報を記憶するためのインク残量メモリと、本装置の動作を制御する制御手段とを備え、制御手段は、キャリアをキャリア移動手段により移動させつつ印刷ヘッドからインクを噴射させて印刷用紙に所定印刷幅のスワス画像を印刷する動作と、用紙搬送手段により印刷用紙を搬送する動作とを繰り返すことにより、複数のスワス画像によって印刷用紙の全体に画像を印刷する印刷動作を実行し、キャリアにヘッド駆動回路が設けられ、インクカートリッジにインク残量メモリが設けられ、筐体に制御手段が設けられたプリンタにおいて、ヘッド駆動回路と制御手段とを常に電気的に接続するフレキシブルフラットケーブルと、キャリアに設けられ、キャリアにインクカートリッジが保持されているときに、インク残量メモリと電気的に接続されるインク残量情報送受用のキャリア側接続端子と、筐体に設けられ、制御手段に常に電気的に接続されていると共に、キャリアがホーム位置にあるときに、キャリア側接続端子が当接されて、キャリア側接続端子と電気的に接続されるインク残量情報送受用の筐体側接続端子と、をさらに備え、キャリアがホーム位置にあるときにキャリア側接続端子が筐体側接続端子に当接することにより、キャリア側接続端子及び筐体側接続端子を介してインク残量メモリと制御手段とが電気的に接続されて、制御手段がインク残量メモリにアクセス可能となり、制御手段は、キャリアをキャリア移動手段によりホーム位置に移動させて、インク残量メモリにアクセスし、インク残量メモリに記憶しているインク残量情報を取得又は更新するものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2に記載のプリンタにおいて、制御手段は、本装置に電源が投入されたとき、又は、インクカートリッジが交換されたとき、キャリアをキャリア移動手段によりホーム位置に移動させて、インク残量メモリにアクセスし、インク残量メモリに記憶しているインク残量情報を取得し、印刷動作を終了したとき、キャリアをキャリア移動手段によりホーム位置に移動させて、インク残量メモリにアクセスし、インク残量メモリに記憶しているインク残量情報を更新するものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、キャリア側接続端子及び筐体側接続端子を介してインク残量メモリと制御手段とが電気的に接続されて、インク残量メモリに記憶しているインク残量情報が取得又は更新される。つまり、インク残量情報は、FFCを介さずにインク残量メモリと制御手段との間で送受信される。従って、FFCのインク残量情報送受用の信号線を抹消することができ、これにより、コストを削減することができる。しかも、印刷ヘッドを駆動するための(印刷ヘッドからインクを噴射させるための)ヘッド駆動信号は、FFCを介して制御手段からヘッド駆動回路に送信される。従って、制御手段から送信されたヘッド駆動信号をヘッド駆動回路側で記憶するためのメモリが不要であり、これにより、メモリ用のコストが増大することがなく、FFCにおけるインク残量情報送受信用の信号線の抹消によるコストの削減を維持することができる。しかも、電源が投入されたとき及びカバーが開閉されたときに、インク残量メモリに記憶しているインク残量情報を取得し、印刷動作を終了したときに、インク残量メモリに記憶しているインク残量情報を更新することにより、キャリアの少ない移動回数で、インクカートリッジのインク残量を適切に管理することができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、キャリア側接続端子及び筐体側接続端子を介してインク残量メモリと制御手段とが電気的に接続されて、インク残量メモリに記憶しているインク残量情報が取得又は更新される。つまり、インク残量情報は、FFCを介さずにインク残量メモリと制御手段との間で送受信される。従って、FFCのインク残量情報送受用の信号線を抹消することができ、これにより、コストを削減することができる。しかも、印刷ヘッドを駆動するための(印刷ヘッドからインクを噴射させるための)ヘッド駆動信号は、FFCを介して制御手段からヘッド駆動回路に送信される。従って、制御手段から送信されたヘッド駆動信号をヘッド駆動回路側で記憶するためのメモリが不要であり、これにより、メモリ用のコストが増大することがなく、FFCにおけるインク残量情報送受信用の信号線の抹消によるコストの削減を維持することができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、電源が投入されたとき又はインクカートリッジが交換されたときに、インク残量メモリに記憶しているインク残量情報を取得し、印刷動作を終了したときに、インク残量メモリに記憶しているインク残量情報を更新することにより、キャリアの少ない移動回数で、インクカートリッジのインク残量を適切に管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施形態に係るプリンタについて図面を参照して説明する。図1(a)(b)は、プリンタの構成を示す。プリンタ1は、印刷用紙2に画像を印刷する装置である。このプリンタ1は、印刷用紙2にインクを噴射して画像を印刷する、いわゆるインクジェットプリンタである。
【0015】
プリンタ1は、筐体3と、シャーシ4と、印刷用紙2が載置されるペーパレスト5と、印刷用紙2を搬送するための給紙ローラ6a、フィードローラ6b、及びエグジットローラ6cと、印刷用紙2に画像を印刷するための印刷ヘッド7m、7cと、印刷用紙2に画像を印刷するためのインクを貯蔵するインクカートリッジ8m、8cと、インクカートリッジ8m、8cのインク残量を示すインク残量情報を記憶するためのインク残量メモリ9m、9cと、印刷ヘッド7m、7cを保持して移動するキャリア10と、インクカートリッジ8m、8cを交換するときに開閉されるカバー11とを備える。
【0016】
また、プリンタ1は、プリンタ1に電源を投入するための電源ボタン12と、各種メッセージを表示するためのLCD13と、給紙ローラ6a、フィードローラ6b、及びエグジットローラ6cを回転させるためのフィードモータ14と、キャリア10を移動させるためのキャリアモータ15と、キャリア10の位置を検出するためのエンコーダ16とを備える。
【0017】
さらに、プリンタ1は、プリンタ1を動作させるための電子部品及び回路が実装された回路基板であるメイン基板17及びキャリア基板18と、メイン基板17とキャリア基板18とを電気的に接続するためのFFC(フレキシブルフラットケーブル)19と、メイン基板17とインク残量メモリ9m、9cとを電気的に接続するためのキャリア側接続端子20m、20c及び筐体側接続端子21m、21c等を備える。
【0018】
シャーシ4は、筐体3内に収納されており、筐体3に固定されている。シャーシ4は、左側壁4a、右側壁4b、及び後壁4cを有しており、左側壁4aと右側壁4bは、略平行になっており、後壁4cは、左側壁4a及び右側壁4bの後端において、左側壁4aと右側壁4bに繋がっている。
【0019】
印刷用紙2は、1枚又は複数枚のものが重ねられて、その下端側が筐体3の給紙口3aに挿入されて、ペーパレスト5に載置される。給紙ローラ6aは、ペーパレスト5に載置されている印刷用紙2を取り込んでフィードローラ6bへと搬送する。フィードローラ6bは、給紙ローラ6aから搬送された印刷用紙2をエグジットローラ6cへと搬送し、エグジットローラ6cは、フィードローラ6bから搬送された印刷用紙2をさらに搬送して、筐体3の排紙口3bから排出する。
【0020】
給紙ローラ6aは、給紙アーム25に回転自在に支持されており、給紙アーム25は、不図示の支持部材を介してシャーシ4の後壁4cに支持されている。フィードローラ6b、及びエグジットローラ6cは、シャーシ4の右側壁4bと左側壁4aに回転自在に支持されている。給紙ローラ6a、フィードローラ6b、及びエグジットローラ6cは、フィードモータ14の駆動力により、不図示のギア等から成るローラ駆動機構を介して回転制御される。給紙ローラ6a、フィードローラ6b、エグジットローラ6c、フィードモータ14、及びローラ駆動機構等により、印刷用紙2を搬送する用紙搬送手段が構成されている。
【0021】
印刷ヘッド7mは、モノクロ用の印刷ヘッドであり、印刷ヘッド7cは、カラー用の印刷ヘッドである。インクカートリッジ8mは、モノクロ用のインクカートリッジであり、印刷ヘッド7mから噴射するためのモノクロ(ブラック)インクを貯蔵している。インクカートリッジ8cは、カラー用のインクカートリッジであり、印刷ヘッド7cから噴射するためのカラー(シアン、マゼンダ、イエロー)インクを貯蔵している。
【0022】
モノクロ用の印刷ヘッド7mは、モノクロ用のインクカートリッジ8mに一体的に設けられており、モノクロ用のインクカートリッジ8mに貯蔵されているモノクロインクを噴射する。カラー用の印刷ヘッド7cは、カラー用のインクカートリッジ8cに一体的に設けられており、カラー用のインクカートリッジ8cに貯蔵されているカラーインクを噴射する。
【0023】
インク残量メモリ9mは、モノクロ用のインクカートリッジ8mのインク残量を示すインク残量情報を記憶するメモリであり、インク残量メモリ9cは、カラー用のインクカートリッジ8cのインク残量を示すインク残量情報を記憶するメモリである。モノクロ用のインク残量メモリ9mは、モノクロ用のインクカートリッジ8mに一体的に設けられており、カラー用のインク残量メモリ9cは、カラー用のインクカートリッジ8cに一体的に設けられている。
【0024】
インクカートリッジ8m、8cは、各々、貯蔵しているインクが無くなったときに交換できるように、キャリア10に着脱自在に保持されている。なお、印刷ヘッド7m及びインク残量メモリ9mは、インクカートリッジ8mと共にキャリア10に着脱されて、インクカートリッジ8mと共に交換され、印刷ヘッド7c及びインク残量メモリ9cは、インクカートリッジ8cと共にキャリア10に着脱されて、インクカートリッジ8cと共に交換される。インクカートリッジ8m、8cは、印刷ヘッド7m、7cから下方に向けてインクを噴射するように、印刷ヘッド7m、7cを下に向けてキャリア10に装着されて保持される。
【0025】
キャリア10は、ガイド軸27、28に摺動自在に支持されている。ガイド軸27、28は、フィードローラ6b及びエグジットローラ6cにより搬送される印刷用紙2の上方において、印刷用紙2の印刷面と平行であって印刷用紙2の搬送方向と直交する方向に延びている。ガイド軸27は、シャーシ4の後壁4cに固定的に支持されており、ガイド軸28は、シャーシ4の右側壁4bと左側壁4aに固定的に支持されている。
【0026】
つまり、キャリア10は、筐体3に対して、ガイド軸27、28の延びている方向(すなわち、フィードローラ6b及びエグジットローラ6cにより搬送される印刷用紙2の上方において、印刷用紙2に沿って、印刷用紙2の搬送方向と直交する方向)に往復移動自在に支持されている。従って、キャリア10に保持された印刷ヘッド7m、7c、インクカートリッジ8m、8c、及びインク残量メモリ9m、9cは、キャリア10が移動することにより、フィードローラ6bとエグジットローラ6cとの間において、キャリア10と共に印刷用紙2の搬送方向と直交する方向に往復移動する。
【0027】
キャリア10は、キャリアモータ15の駆動力により、キャリアベルト29等から成るキャリア駆動機構を介して移動制御される。キャリアモータ15、ガイド軸27、28、及びキャリア駆動機構等により、印刷用紙2に沿ってキャリア10を移動させるキャリア移動手段が構成されている。なお、キャリア10は、印刷用紙2に画像を印刷しないときには、ホーム位置(図示で最も左側の位置)に待機させられる。
【0028】
カバー11は、インクカートリッジ8m、8cを交換(インクカートリッジ8m、8cをキャリア10に着脱)するために開閉されるものであり、筐体3の上面に開閉自在に設けられている。筐体3は、ガイド軸27、28、キャリア10、及びキャリア10に装着されたインクカートリッジ8m、8c等を収納しており、カバー11を開くことにより、インクカートリッジ8m、8cを交換することが可能となる。カバー11は、ユーザの手動によって開閉されるようになっており、ユーザがインクカートリッジ8m、8cを交換するときに、ユーザにより開閉される。カバー11は、インクカートリッジ8m、8cの移動経路上に設けられている。
【0029】
エンコーダ16は、所定ピッチの明暗パターンが形成されたエンコーダストリップ31と、エンコーダストリップ31からの反射光を検出する光センサ32等を有している。エンコーダストリップ31は、ガイド軸27に設けられており、キャリア10の移動経路に沿って所定ピッチの明暗パターンが形成されている。光センサ32は、キャリア10の背部に設けられており、キャリア10と共に移動するようになっている。このような構成のエンコーダ16は、光センサ32によりエンコーダストリップ31の明暗パターンからの反射光を検出し、その反射光強度の変化に基いて、キャリア10の移動量に比例したパルス数のキャリア移動量検出信号を光センサ32から出力する。
【0030】
メイン基板17は、シャーシ4の後壁4cの背面に取付けられている。つまり、メイン基板17は、シャーシ4を介して筐体3に設けられており、筐体3に対して固定されている。キャリア基板18は、キャリア10の背部に取付けられている。つまり、キャリア基板18は、キャリア10に設けられており、キャリア10と共に移動するようになっている。
【0031】
キャリア基板18は、不図示の導電配線を介して、エンコーダ16の光センサ32と電気的に接続されている。また、キャリア基板18は、キャリア10にインクカートリッジ8mが保持されているときに、不図示の導電配線を介して、印刷ヘッド7mと電気的に接続されると共に、キャリア10にインクカートリッジ8cが保持されているときに、不図示の導電配線を介して、印刷ヘッド7cと電気的に接続される。
【0032】
FFC19は、印刷ヘッド7m、7cからインクを噴射させるためのヘッド駆動信号をメイン基板17からキャリア基板18に送信し、また、エンコーダ16の光センサ32から出力されるキャリア移動量検出信号をキャリア基板18からメイン基板17に送信するためのものであり、ヘッド駆動信号及びキャリア移動量検出信号を送受信するための信号線を有している。FFC19は、メイン基板17とキャリア基板18との間に架設されており、キャリア10がどの位置にあるときも、また、キャリア10が筐体3に対して移動しているときも、常にメイン基板17とキャリア基板18とを電気的に接続している。
【0033】
キャリア側接続端子20m及び筐体側接続端子21mは、モノクロ用のインク残量情報をメイン基板17とインク残量メモリ9mとの間で送受信するためのインク残量情報送受用の端子であり、キャリア側接続端子20c及び筐体側接続端子21cは、カラー用のインク残量情報をメイン基板17とインク残量メモリ9cとの間で送受信するためのインク残量情報送受用の端子である。
【0034】
キャリア側接続端子20m、20cは、キャリア10の側面に取付けられている。つまり、キャリア側接続端子20m、20cは、キャリア10に設けられており、キャリア10と共に移動するようになっている。これらキャリア側接続端子20m、20cは、キャリア10がホーム位置(図示で最も左側の位置)にあるときに筐体側接続端子21m、21cに当接するように、キャリア10の側面からシャーシ4の左側壁4a側に突出している。
【0035】
キャリア側接続端子20mは、キャリア10にインクカートリッジ8mが保持されているときに、不図示の導電配線を介して、インク残量メモリ9mと電気的に接続される。また、キャリア側接続端子20cは、キャリア10にインクカートリッジ8cが保持されているときに、不図示の導電配線を介して、インク残量メモリ9cと電気的に接続される。
【0036】
筐体側接続端子21m、21cは、シャーシ4の左側壁4aに取付けられている。つまり、筐体側接続端子21m、21cは、シャーシ4を介して筐体3に設けられており、筐体3に対して固定されている。これら筐体側接続端子21m、21cは、キャリア10がホーム位置にあるときにキャリア側接続端子20m、20cが当接するように、シャーシ4の左側壁4aからキャリア10側に突出している。
【0037】
筐体側接続端子21mは、リード線39mを介して常にメイン基板17と電気的に接続されていると共に、キャリア10がホーム位置にあるときに、キャリア側接続端子20mが当接されて、キャリア側接続端子20mと電気的に接続される。また、筐体側接続端子21cは、リード線39cを介して常にメイン基板17と電気的に接続されていると共に、キャリア10がホーム位置にあるときに、キャリア側接続端子20cが当接されて、キャリア側接続端子20cと電気的に接続される。
【0038】
このような構成のプリンタ1は、キャリア10を往路移動又は復路移動させつつ印刷ヘッド7m、7cからインクを噴射させることにより、印刷用紙2に所定印刷幅のスワス画像(印刷ヘッド7m、7cの1回の往路移動又は復路移動によって印刷される画像)を印刷するようになっている。そして、プリンタ1は、このようなスワス画像の印刷と印刷用紙2の搬送とを繰り返すことにより、複数のスワス画像によって印刷用紙2の全体に画像を印刷するようになっている。また、このプリンタ1は、インク残量メモリ9m、9cに記憶しているインク残量情報を基に、インクカートリッジ8m、8cのインク残量を管理するようになっている。
【0039】
図2は、プリンタ1の電気的ブロック構成を示す。プリンタ1は、上述の構成に加え、プリンタ1の動作を制御するためのCPU、ROM、及びRAM等を含む制御部(制御手段)41と、フィードモータ駆動回路42と、キャリアモータ駆動回路43と、ヘッド駆動回路44と、カバーセンサ45と、外部機器接続部46と、ワークメモリ47等を備える。制御部41のROM内には、プリンタ1の動作を制御するためのファームウェアや各種データが記憶されている。
【0040】
制御部41、フィードモータ駆動回路42、キャリアモータ駆動回路43、及びワークメモリ47は、メイン基板17に実装されている。つまり、制御部41、フィードモータ駆動回路42、キャリアモータ駆動回路43、及びワークメモリ47は、メイン基板17及びシャーシ4を介して筐体3に設けられており、筐体3に対して固定されている。ヘッド駆動回路44は、キャリア基板18に実装されている。つまり、ヘッド駆動回路44は、キャリア基板18を介してキャリア10に設けられており、キャリア10と共に移動するようになっている。
【0041】
FFC19は、制御部41とヘッド駆動回路44とを常に電気的に接続している。従って、制御部41は、常に、印刷ヘッド7m、7cからインクを噴射させるためのヘッド駆動信号をヘッド駆動回路44に送信することが可能になっている。また、FFC19は、制御部41とエンコーダ16の光センサ32とを常に電気的に接続している。従って、制御部41は、常に、エンコーダ16の光センサ32から出力されるキャリア移動量検出信号を受信することが可能になっている。
【0042】
筐体側接続端子21mは、リード線39mを介して制御部41に常に電気的に接続されており、筐体側接続端子21cは、リード線39cを介して制御部41に常に電気的に接続されている。上述のように、筐体側接続端子21m、21cは、キャリア10がホーム位置にあるときに、キャリア側接続端子20m、20cと電気的に接続され、キャリア側接続端子20m、20cは、キャリア10にインクカートリッジ8m、8cが保持されているときに、インク残量メモリ9m、9cと電気的に接続される。従って、制御部41は、キャリア10がホーム位置にあるとき、リード線39m、筐体側接続端子21m、及びキャリア側接続端子20mを介して、キャリア10に保持されたインクカートリッジ8mのインク残量メモリ9mと電気的に接続されて、インク残量メモリ9mにアクセス可能となると共に、リード線39c、筐体側接続端子21c、及びキャリア側接続端子20cを介して、キャリア10に保持されたインクカートリッジ8cのインク残量メモリ9cと電気的に接続されて、インク残量メモリ9cにアクセス可能となる。
【0043】
プリンタ1は、外部機器であるPC(パーソナルコンピュータ)60に接続して使用されるようになっており、PC60には、プリンタ1による印刷動作をPC60からの操作により行うためのプリンタドライバ70がインストールされている。プリンタ1は、プリンタドライバ70からの印刷指示に基いて、印刷用紙2に画像を印刷する。
【0044】
インク残量メモリ9mは、制御部41による制御のもと、インクカートリッジ8mのインク残量を示すインク残量情報を記憶し、インク残量メモリ9cは、制御部41による制御のもと、インクカートリッジ8cのインク残量を示すインク残量情報を記憶する。なお、インク残量メモリ9mは、インクカートリッジ8mの未使用の初期状態において、インクカートリッジ8mに貯蔵しているインク量を示す情報をインク残量情報として予め記憶している。同様に、インク残量メモリ9cは、インクカートリッジ8cの未使用の初期状態において、インクカートリッジ8cに貯蔵しているインク量を示す情報をインク残量情報として予め記憶している。
【0045】
電源ボタン12は、ユーザにより押下操作されるようになっており、電源ボタン12が押下されることにより、プリンタ1に電源が投入されるようになっている。電源ボタン12の押下は、制御部41により検出される。LCD13は、制御部41による制御のもと、インクカートリッジ8m、8cの交換等のユーザに対する要求を示すメッセージや、プリンタ1の動作状況に関するメッセージを表示する。
【0046】
エンコーダ16の光センサ32は、上述のように、キャリア10の移動量に比例したパルス数のキャリア移動量検出信号を出力する。光センサ32から出力されたキャリア移動量検出信号は、FFC19を介して制御部41に入力され、制御部41は、このキャリア移動量検出信号に基いて、キャリア10(印刷ヘッド7m、7c)の位置及び移動方向等を判断する。
【0047】
フィードモータ駆動回路42は、制御部41による制御のもと、フィードモータ14を駆動する。フィードモータ14が駆動されることにより、給紙ローラ6a、フィードローラ6b、及びエグジットローラ6cが回転して、印刷用紙2が搬送される。キャリアモータ駆動回路43は、制御部41による制御のもと、キャリアモータ15を駆動する。キャリアモータ15が駆動されることにより、キャリア10が移動して、印刷ヘッド7m、7cが移動する。
【0048】
ヘッド駆動回路44は、制御部41による制御のもと、印刷ヘッド7m、7cを駆動して、印刷ヘッド7m、7cからインクを噴射させる。制御部41は、印刷ヘッド7m、7cを駆動するための(印刷ヘッド7m、7cからインクを噴射させるための)ヘッド駆動信号を出力し、制御部41から出力されたヘッド駆動信号は、FFC19を介してヘッド駆動回路44に入力される。ヘッド駆動回路44は、このヘッド駆動信号に基いて、印刷ヘッド7m、7cを駆動して、印刷ヘッド7m、7cからインクを噴射させる。
【0049】
カバーセンサ45は、カバー11の開閉状態を検出するセンサである。カバーセンサ45は、カバー11が開いているときに、カバー開放信号を出力する。カバーセンサ45から出力されたカバー開放信号は、制御部41に入力され、制御部41は、このカバー開放信号に基いて、カバー11が閉じているか開いているかを判断する。
【0050】
外部機器接続部46は、PC60と通信を行うものであり、USBケーブルを介してPC60が接続されるようになっている。外部機器接続部46は、制御部41による制御のもと、USBケーブルを介してPC60との間で各種データの送受信を行う。ワークメモリ47は、制御部41による制御のもと、PC60から受信した各種データや、プリンタ1の動作を制御するための各種データ、プリンタ1の動作を制御するために制御部41で行った各種演算処理の結果等を一時的に記憶する。
【0051】
制御部41は、フィードモータ駆動回路42によるフィードモータ14の回転駆動を制御することにより、給紙ローラ6a、フィードローラ6b、エグジットローラ6cによる印刷用紙2の搬送を制御する。また、制御部41は、キャリアモータ駆動回路43によるキャリアモータ15の回転駆動を制御することにより、キャリア10による印刷ヘッド7m、7cの移動を制御すると共に、ヘッド駆動回路44による印刷ヘッド7m、7cからのインクの噴射を制御して、印刷ヘッド7m、7cによる印刷用紙2へのスワス画像の印刷を制御する。そして、制御部41は、これら印刷用紙2を搬送する動作と印刷用紙2へスワス画像を印刷する動作を制御することにより、複数のスワス画像によって印刷用紙2の全体に画像を印刷する印刷動作を実行する。
【0052】
また、制御部41は、インク残量メモリ9m、9cに記憶しているインク残量情報の読出し(取得)及び書換え(更新)を行う。上述のように、制御部41は、キャリア10がホーム位置にあるときに、インク残量メモリ9m、9cにアクセス可能となる。制御部41によるインク残量メモリ9m、9cのインク残量情報の読出し、及び書換えは、キャリア10がホーム位置にある状態において、以下のようにして行われる。
【0053】
すなわち、インク残量メモリ9mに記憶しているインク残量情報を読出す(取得する)場合には、制御部41は、インク残量メモリ9mのインク残量情報を読出すための読出信号を出力する。制御部41から出力された読出信号は、リード線39m、筐体側接続端子21m、及びキャリア側接続端子20mを介してインク残量メモリ9mに入力され、インク残量メモリ9mは、この読出信号を受けて、記憶しているインク残量情報を読出す。インク残量メモリ9mから読出されたインク残量情報は、キャリア側接続端子20m、筐体側接続端子21m、及びリード線39mを介して制御部41に入力される。
【0054】
また、インク残量メモリ9cに記憶しているインク残量情報を読出す場合には、制御部41は、インク残量メモリ9cに記憶のインク残量情報を読出すための読出信号を出力する。制御部41から出力された読出信号は、リード線39c、筐体側接続端子21c、及びキャリア側接続端子20cを介してインク残量メモリ9cに入力され、インク残量メモリ9cは、この読出信号を受けて、記憶しているインク残量情報を読出す。インク残量メモリ9cから読出されたインク残量情報は、キャリア側接続端子20c、筐体側接続端子21c、及びリード線39cを介して制御部41に入力される。
【0055】
一方、インク残量メモリ9mに記憶しているインク残量情報を書換える(更新する)場合には、制御部41は、インク残量メモリ9mのインク残量情報を書換えるための書換信号をインク残量情報と共に出力する。制御部41から出力された書換信号及びインク残量情報は、リード線39m、筐体側接続端子21m、及びキャリア側接続端子20mを介してインク残量メモリ9mに入力され、インク残量メモリ9mは、この書換信号及びインク残量情報を受けて、記憶しているインク残量情報を書換える。
【0056】
また、インク残量メモリ9cに記憶しているインク残量情報を書換える場合には、制御部41は、インク残量メモリ9cのインク残量情報を書換えるための書換信号をインク残量情報と共に出力する。制御部41から出力された書換信号及びインク残量情報は、リード線39c、筐体側接続端子21c、及びキャリア側接続端子20cを介してインク残量メモリ9cに入力され、インク残量メモリ9cは、この書換信号及びインク残量情報を受けて、記憶しているインク残量情報を書換える。このようにして、制御部41によるインク残量メモリ9m、9cのインク残量情報の読出し及び書換えが行われる。
【0057】
プリンタドライバ70は、PC60における操作を受けて、プリンタ1に対して印刷指示を行うようになっており、プリンタ1に対して印刷指示を行うときに、画像を印刷するための印刷データをプリンタ1に送信する。印刷データには、画像を印刷するためのビットマップデータ、フォントデータ、書式データ、印刷濃度、印刷解像度、改行幅を示すデータ等が含まれている。
【0058】
プリンタ1は、上述のように、電源ボタン12が押下されることにより、電源が投入されるようになっており、プリンタ1の制御部41は、電源ボタン12が押下されて電源が投入されると、プリンタ1の各部へ電力の供給を開始し、そして、プリンタ1の立上げ動作を実行する。また、プリンタ1は、上述のように、カバー11を開くことにより、インクカートリッジ8m、8cを交換できるようになっており、プリンタ1の制御部41は、カバー11が開けられると、インクカートリッジ8m、8cを交換するためのカートリッジ交換動作を実行する。さらに、プリンタ1は、上述のように、プリンタドライバ70からの印刷指示に基いて、印刷用紙2に画像を印刷するようになっており、プリンタ1の制御部41は、プリンタドライバ70から印刷指示を受けると、その印刷指示に続いてプリンタドライバ70から送信される印刷データに基いて、上記複数のスワス画像によって印刷用紙2の全体に画像を印刷する印刷動作を実行する。
【0059】
図3は、上記プリンタ1の電源投入時の立上げ動作のフローチャートを示す。プリンタ1の制御部41は、電源ボタン12が押下されて、電源投入がなされると(#1でYES)、まず、キャリアホーム位置検出動作を行う(#2)。キャリアホーム位置検出動作とは、キャリア10をホーム位置に移動させて、キャリア10がホーム位置にあることを検出する動作である。このキャリアホーム位置検出動作を行うことにより、その後にエンコーダ16の光センサ32から出力されるキャリア移動量検出信号に基いて、キャリア10の位置が検出可能となる。また、上述のように、キャリア10がホーム位置にあるとき、制御部41は、インク残量メモリ9m、9cにアクセス可能となる。
【0060】
キャリアホーム位置検出動作の後、制御部41は、キャリア10がホーム位置にある状態で、インク残量メモリ9m、9cにアクセスし(#3)、インク残量メモリ9m、9cに記憶しているインク残量情報を読出して取得する(#4)。このとき、制御部41は、インク残量メモリ9m、9cから取得したインク残量情報をワークメモリ47に記憶する(#5)。続いて、制御部41は、インク残量メモリ9m、9cから取得したインク残量情報(ワークメモリ47に記憶しているインク残量情報)に基いて、インクカートリッジ8m、8cにインクが残っているか否かを判断する(#6)。
【0061】
そして、インクカートリッジ8m、8cのインクが残っている場合には(#6でYES)、制御部41は、そのまま、アイドル状態になる(#7)。一方、インクカートリッジ8m、8cのインクが残っていない場合には(#6でNO)、制御部41は、LCD13及びPC60のディスプレイに、インクカートリッジ8m、8cの交換をユーザに要求する表示を行い(#8)、その後、アイドル状態になる(#7)。
【0062】
図4は、上記プリンタ1のカートリッジ交換動作のフローチャートを示す。プリンタ1の制御部41は、カバー11が開けられると(#21でYES)、まず、キャリア10をインクカートリッジ8m、8cを交換するためのカートリッジ交換位置(つまりカバー11に対向する位置)へ移動させる(#22)。続いて、カバー11が閉じられると(#23でYES)、制御部41は、インクカートリッジ8m、8cが交換されたと判断して、キャリア10をホーム位置へ移動させる(#24)。
【0063】
その後、制御部41は、キャリア10がホーム位置にある状態で、インク残量メモリ9m、9cにアクセスし(#25)、インク残量メモリ9m、9cに記憶しているインク残量情報を読出して取得する(#26)。このとき、制御部41は、ワークメモリ47に既に記憶しているインク残量情報(すなわち、電源投入時の立上げ動作、前回のカートリッジ交換動作、又は、印刷動作において記憶したインク残量情報)を、インク残量メモリ9m、9cから取得したインク残量情報に書換えて更新する(#27)。続いて、制御部41は、インク残量メモリ9m、9cから取得したインク残量情報(ワークメモリ47に記憶しているインク残量情報)に基いて、インクカートリッジ8m、8cにインクが残っているか否かを判断する(#28)。
【0064】
そして、インクカートリッジ8m、8cのインクが残っている場合には(#28でYES)、制御部41は、そのまま、アイドル状態になる(#29)。一方、インクカートリッジ8m、8cのインクが残っていない場合には(#28でNO)、制御部41は、LCD13及びPC60のディスプレイに、インクカートリッジ8m、8cの交換をユーザに要求する表示を行い(#30)、その後、アイドル状態になる(#29)。
【0065】
図5は、上記プリンタ1の印刷動作のフローチャートを示す。プリンタ1の制御部41は、プリンタドライバ70から印刷指示を受けると(#31でYES)、印刷用紙2を取込んで(#32)、印刷用紙2に画像の印刷を開始する(#33)。印刷用紙2への画像の印刷は、上述のように、プリンタドライバ70から送信される印刷データに基いて、スワス画像の印刷と印刷用紙2の搬送とを繰り返すことにより行われる。印刷が完了すると(#34でYES)、制御部41は、印刷用紙2を排出し(#35)、キャリア10をホーム位置へ移動させる(#36)。
【0066】
そして、制御部41は、今回の印刷動作において使用したインク使用量を基に、ワークメモリ47に既に記憶しているインク残量情報(すなわち、電源投入時の立上げ動作、カートリッジ交換動作、又は、前回の印刷動作において記憶したインク残量情報)を、今回の印刷動作後のインク残量を示すインク残量情報に書換えて更新する(#37)。プリンタドライバ70から送信される印刷データは、上述のように、画像を印刷するためのビットマップデータ、フォントデータ、印刷濃度、印刷解像度を示すデータ等を含んでおり、印刷動作において使用したインク使用量は、これらのデータに基いて求められる。また、今回の印刷動作後のインク残量は、ワークメモリ47に既に記憶しているインク残量情報の示すインク残量から今回の印刷動作において使用したインク使用量を差し引くことにより求められる。
【0067】
その後、制御部41は、キャリア10がホーム位置にある状態で、インク残量メモリ9m、9cにアクセスし(#38)、インク残量メモリ9m、9cに記憶しているインク残量情報を、ワークメモリ47に記憶しているインク残量情報(すなわち、今回の印刷動作後のインク残量を示すインク残量情報)に書換えて更新する(#39)。続いて、制御部41は、ワークメモリ47に記憶しているインク残量情報に基いて、インクカートリッジ8m、8cにインクが残っているか否かを判断する(#40)。
【0068】
そして、インクカートリッジ8m、8cのインクが残っている場合には(#40でYES)、制御部41は、そのまま、アイドル状態になる(#41)。一方、インクカートリッジ8m、8cのインクが残っていない場合には(#40でNO)、制御部41は、LCD13及びPC60のディスプレイに、インクカートリッジ8m、8cの交換をユーザに要求する表示を行い(#42)、その後、アイドル状態になる(#41)。
【0069】
このような構成のプリンタ1によれば、キャリア側接続端子20m、20c及び筐体側接続端子21m、21cを介してインク残量メモリ9m、9cと制御部41とが電気的に接続されて、インク残量メモリ9m、9cに記憶しているインク残量情報が読出し(取得)又は書換え(更新)される。つまり、インク残量情報は、FFC19を介さずにインク残量メモリ9m、9cと制御部41との間で送受信される。従って、FFC19のインク残量情報送受用の信号線を抹消することができ、これにより、コストを削減することができる。
【0070】
しかも、印刷ヘッド7m、7cを駆動するための(印刷ヘッド7m、7cからインクを噴射させるための)ヘッド駆動信号は、FFC19を介して制御部41からヘッド駆動回路44に送信される。従って、制御部41から送信されたヘッド駆動信号をヘッド駆動回路44側で記憶するためのメモリが不要であり、これにより、メモリ用のコストが増大することがなく、FFC19におけるインク残量情報送受信用の信号線の抹消によるコストの削減を維持することができる。
【0071】
また、電源が投入されたとき及びカバー11が開閉(インクカートリッジ8m、8cが交換された)に、インク残量メモリ9m、9cに記憶しているインク残量情報を取得し、印刷動作を終了したときに、インク残量メモリ9m、9cに記憶しているインク残量情報を更新することにより、キャリア10の少ない移動回数で、インクカートリッジ8m、8cのインク残量を適切に管理することができる。
【0072】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、種々の変形が可能である。例えば、印刷用紙の全体に画像を印刷する印刷動作中において、各スワス画像の印刷を終える毎に、キャリアをホーム位置へ移動させて、インク残量メモリに記憶しているインク残量情報の読出し及び書換えを行ってもよい。電源投入時、インクカートリッジの交換時、印刷開始時、及び印刷終了時に、LCD及びPCのディスプレイに、インク残量を表示するようにしてもよい。キャリア側接続端子は、キャリア基板を介して、インク残量メモリと電気的に接続されてもよい。印刷ヘッド及びインクカートリッジの構成としては、印刷ヘッドをインクカートリッジに一体的に設けた構成に限られず、例えば、印刷ヘッドをキャリアに固定的に設け、インクカートリッジのみをキャリアに着脱するようにした構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】(a)は本発明の一実施形態に係るプリンタの概略構成を示す斜視図、(b)は同プリンタの一部破断した斜視図。
【図2】同プリンタの電気的ブロック構成図。
【図3】同プリンタの電源投入時の立上げ動作を示すフローチャート。
【図4】同プリンタのカートリッジ交換動作を示すフローチャート。
【図5】同プリンタの印刷動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0074】
1 プリンタ
2 印刷用紙
3 筐体
4 シャーシ
5 ペーパレスト
6a 給紙ローラ
6b フィードローラ
6c エグジットローラ
7m、7c 印刷ヘッド
8m、8c インクカートリッジ
9m、9c インク残量メモリ
10 キャリア
11 カバー
12 電源ボタン
13 LCD
14 フィードモータ
15 キャリアモータ
16 エンコーダ
17 メイン基板
18 キャリア基板
19 FFC(フレキシブルフラットケーブル)
20m、20c キャリア側接続端子
21m、21c 筐体側接続端子
27、28 ガイド軸
29 キャリアベルト
31 エンコーダストリップ
32 光センサ
39m、39c リード線
41 制御部
42 フィードモータ駆動回路
43 キャリアモータ駆動回路
44 ヘッド駆動回路
45 カバーセンサ
46 外部機器接続部
47 ワークメモリ
60 PC(パーソナルコンピュータ)(外部機器)
70 プリンタドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用紙を搬送する用紙搬送手段と、印刷用紙に画像を印刷するためにインクを噴射する印刷ヘッドと、前記用紙搬送手段により搬送される印刷用紙に沿って移動自在に支持され、前記印刷ヘッドを保持するキャリアと、前記キャリアを前記用紙搬送手段により搬送される印刷用紙に沿って移動させるキャリア移動手段と、前記印刷ヘッドから噴射するためのインクを貯蔵し、貯蔵しているインクが無くなったときに交換できるように、前記キャリアに着脱自在に保持されるインクカートリッジと、前記印刷ヘッドを駆動して前記印刷ヘッドからインクを噴射させるヘッド駆動回路と、前記インクカートリッジのインク残量を示すインク残量情報を記憶するためのインク残量メモリと、少なくとも前記キャリア及びインクカートリッジを収納する筐体と、前記筐体に設けられ、ユーザが前記インクカートリッジを交換するときに、ユーザにより開閉されるカバーと、前記カバーの開閉を検出するカバーセンサと、本装置に電源を投入するためにユーザに操作される電源ボタンと、本装置の動作を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記キャリアを前記キャリア移動手段により移動させつつ前記印刷ヘッドからインクを噴射させて印刷用紙に所定印刷幅のスワス画像を印刷する動作と、前記用紙搬送手段により印刷用紙を搬送する動作とを繰り返すことにより、複数のスワス画像によって印刷用紙の全体に画像を印刷する印刷動作を実行し、
前記キャリアに前記ヘッド駆動回路が設けられ、前記インクカートリッジに前記インク残量メモリが設けられ、前記筐体に前記制御手段が設けられたプリンタにおいて、
前記ヘッド駆動回路と前記制御手段とを常に電気的に接続するフレキシブルフラットケーブルと、
前記キャリアに設けられ、前記キャリアに前記インクカートリッジが保持されているときに、前記インク残量メモリと電気的に接続されるインク残量情報送受用のキャリア側接続端子と、
前記筐体に設けられ、前記制御手段に常に電気的に接続されていると共に、前記キャリアがホーム位置にあるときに、前記キャリア側接続端子が当接されて、前記キャリア側接続端子と電気的に接続されるインク残量情報送受用の筐体側接続端子と、をさらに備え、
前記キャリアがホーム位置にあるときに前記キャリア側接続端子が前記筐体側接続端子に当接することにより、前記キャリア側接続端子及び前記筐体側接続端子を介して前記インク残量メモリと前記制御手段とが電気的に接続されて、前記制御手段が前記インク残量メモリにアクセス可能となり、
前記制御手段は、
前記電源ボタンの操作により本装置に電源が投入されたとき、前記キャリアを前記キャリア移動手段によりホーム位置に移動させて、前記インク残量メモリにアクセスし、前記インク残量メモリに記憶しているインク残量情報を取得し、
前記カバーセンサにより前記カバーの開放を検出すると、前記キャリアを前記キャリア移動手段により前記インクカートリッジを交換するためのカートリッジ交換位置である前記カバーに対向する位置へ移動させ、その後、前記カバーセンサにより前記カバーが閉じられたことを検出したとき、前記キャリアを前記キャリア移動手段によりホーム位置に移動させて、前記インク残量メモリにアクセスし、前記インク残量メモリに記憶しているインク残量情報を取得し、
前記印刷動作を行うための印刷指示がなされると、前記インクカートリッジのインク残量を管理しつつ前記印刷動作を実行し、前記印刷動作が終了したとき、前記キャリアを前記キャリア移動手段によりホーム位置に移動させて、前記インク残量メモリにアクセスし、前記インク残量メモリに記憶しているインク残量情報を更新する、
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
印刷用紙を搬送する用紙搬送手段と、印刷用紙に画像を印刷するためにインクを噴射する印刷ヘッドと、前記用紙搬送手段により搬送される印刷用紙に沿って移動自在に支持され、前記印刷ヘッドを保持するキャリアと、前記キャリアを前記用紙搬送手段により搬送される印刷用紙に沿って移動させるキャリア移動手段と、前記印刷ヘッドから噴射するためのインクを貯蔵し、貯蔵しているインクが無くなったときに交換できるように、前記キャリアに着脱自在に保持されるインクカートリッジと、前記印刷ヘッドを駆動して前記印刷ヘッドからインクを噴射させるヘッド駆動回路と、前記インクカートリッジのインク残量を示すインク残量情報を記憶するためのインク残量メモリと、本装置の動作を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記キャリアを前記キャリア移動手段により移動させつつ前記印刷ヘッドからインクを噴射させて印刷用紙に所定印刷幅のスワス画像を印刷する動作と、前記用紙搬送手段により印刷用紙を搬送する動作とを繰り返すことにより、複数のスワス画像によって印刷用紙の全体に画像を印刷する印刷動作を実行し、
前記キャリアに前記ヘッド駆動回路が設けられ、前記インクカートリッジに前記インク残量メモリが設けられ、前記筐体に前記制御手段が設けられたプリンタにおいて、
前記ヘッド駆動回路と前記制御手段とを常に電気的に接続するフレキシブルフラットケーブルと、
前記キャリアに設けられ、前記キャリアに前記インクカートリッジが保持されているときに、前記インク残量メモリと電気的に接続されるインク残量情報送受用のキャリア側接続端子と、
前記筐体に設けられ、前記制御手段に常に電気的に接続されていると共に、前記キャリアがホーム位置にあるときに、前記キャリア側接続端子が当接されて、前記キャリア側接続端子と電気的に接続されるインク残量情報送受用の筐体側接続端子と、をさらに備え、
前記キャリアがホーム位置にあるときに前記キャリア側接続端子が前記筐体側接続端子に当接することにより、前記キャリア側接続端子及び前記筐体側接続端子を介して前記インク残量メモリと前記制御手段とが電気的に接続されて、前記制御手段が前記インク残量メモリにアクセス可能となり、
前記制御手段は、
前記キャリアを前記キャリア移動手段によりホーム位置に移動させて、前記インク残量メモリにアクセスし、前記インク残量メモリに記憶しているインク残量情報を取得又は更新することを特徴とするプリンタ。
【請求項3】
前記制御手段は、
本装置に電源が投入されたとき、又は、前記インクカートリッジが交換されたとき、前記キャリアを前記キャリア移動手段によりホーム位置に移動させて、前記インク残量メモリにアクセスし、前記インク残量メモリに記憶しているインク残量情報を取得し、
前記印刷動作を終了したとき、前記キャリアを前記キャリア移動手段によりホーム位置に移動させて、前記インク残量メモリにアクセスし、前記インク残量メモリに記憶しているインク残量情報を更新する、
ことを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−105333(P2008−105333A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−292075(P2006−292075)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】