説明

プリンタ

【課題】蓋体を閉じる際に印字ヘッドと他の構造物との干渉を防止できるプリンタを提供する。
【解決手段】本発明のプリンタ11は、本体12と、蓋体13と、蓋体13に設けられる第1の印字ヘッド14と、本体12に設けられる第2の印字ヘッド15と、ヒンジ機構16と、を具備する。蓋体13は、本体12にロール紙17を着脱できるように本体12に対して開いている第1の状態P1と、本体12に対して閉じている第2の状態P2との間で、ヒンジ機構16を中心に回転可能である。第1の印字ヘッド14および第2の印字ヘッド15は、蓋体13の回転軌跡方向Sに沿った方向T1、T2にそれぞれ回動することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙の両面に印刷可能なプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、用紙の両面に同時印刷可能な両面印刷機構が知られている。この内特にサーマルヘッドを用いて感熱紙の両面に印刷する機構が知られている。この両面印刷機構は、用紙搬送路を挟んで第1のサーマルヘッドおよび第1のプラテンローラを有する第1の印字部と、用紙搬送路を挟んで第2のサーマルヘッドおよび第2のプラテンローラを有する第2の印字部と、を互いに対称に配置している。
【0003】
この両面印刷機構では、用紙搬送路を通る感熱紙に対し、第1のサーマルヘッドが感熱紙に印刷を行った後、第2のサーマルヘッドがこの感熱紙に印刷を行って、感熱紙の両面に印刷処理できるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記の両面印刷機構の構成を、本体に対して開閉可能な蓋体を有するサーマルプリンタに適用することが考えられる。このサーマルプリンタでは、例えば、本体は、第1のプラテンローラと、第2のサーマルヘッドのみを含んで構成される。蓋体に、第1のサーマルヘッドと、第2のプラテンローラとを配置するようにする。
【0005】
また、所定の押し圧を確保する観点から、第1のサーマルヘッドおよび第2のサーマルヘッドを、圧縮ばねを介してプラテンローラに押し付けられるように構成するとともに、所定のストロークで回動できるように構成する。
【特許文献1】特開平11−286147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記構成を有するサーマルプリンタにおいて、第1のサーマルヘッドと、第2のサーマルヘッドとが所定のストローク分変位した状態で、蓋体を閉じる動作を行う場合には、第1のサーマルヘッドと第2のサーマルヘッドとがサーマルプリンタの他の構造物に干渉して、これらを破損してしまう可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、蓋体を閉じる際に印字ヘッドと他の構造物との干渉を防止することができるプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係るプリンタは、ロール紙を取り付ける本体と、前記本体に被さる蓋体と、前記本体と前記蓋体との間に位置するとともに、前記本体に前記ロール紙を着脱できるように、前記本体に対して前記蓋体が開いている第1の状態と、前記本体に対して前記蓋体が閉じている第2の状態との間で、前記蓋体を回転可能に保持するヒンジ機構と、前記ロール紙の第1の面に印刷できるように前記蓋体に設けられる第1の印字ヘッドと、前記ロール紙の前記第1の面とは反対側の第2の面に印刷できるように前記本体に設けられる第2の印字ヘッドと、を具備し、前記第1の印字ヘッドおよび前記第2の印字ヘッドは、前記蓋体の回転軌跡方向に沿った方向にそれぞれ回動可能である。
【0009】
この場合、前記本体と前記蓋体との間の位置で、前記ヒンジ機構の反対側に配置されるとともに、前記第1の印字ヘッドと前記第2の印字ヘッドとによって印刷された前記ロール紙を排出する排出部をさらに具備する。前記蓋体は、前記ヒンジ機構が配置される一方の半部と、前記排出部が配置される他方の半部とを含み、前記第1の印字ヘッドは、前記蓋体の前記他方の半部に配置されるとよい。前記本体は、前記ヒンジ機構が配置される第1の半部と、前記排出部が配置される第2の半部とを含み、前記第2の印字ヘッドは、前記本体の前記第2の半部に配置されることが好ましい。さらに好ましくは、前記ロール紙は、前記本体の前記第1の半部に取り付けられる。
【0010】
この場合、前記蓋体は、前記ヒンジ機構が固定される一方の半部と、この一方の半部と反対側の他方の半部を含み、前記第1の印字ヘッドは、前記蓋体の前記一方の半部に配置されている。前記本体は、前記ヒンジ機構が固定される第1の半部と、この第1の半部と反対側の第2の半部を含み、前記第2の印字ヘッドは、前記本体の前記第1の半部に配置されるとよい。さらに、前記ロール紙は、前記本体の前記第2の半部に取り付けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、蓋体の回転軌跡方向に沿って、第1の印字ヘッドと第2の印字ヘッドとが回動できるため、蓋体を開閉する際に、第1の印字ヘッドおよび第2の印字ヘッドと、本体の他の構造物とが干渉してしまうことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明の一例としてここではサーマルヘッドを用いた機構で説明する。
【0013】
図1、図2を参照して、プリンタの第1の実施形態について説明する。図1に示すように、プリンタの一例であるサーマルプリンタ101は、印字ヘッドである第2のサーマルヘッド102を有する本体103と、印字ヘッドである第1のサーマルヘッド104を有するとともに本体103に被さる蓋体105と、本体103と蓋体105との間に位置するヒンジ機構106と、本体103と蓋体105との間の位置でヒンジ機構106の反対側に配置される排出部107と、を備えている。蓋体105は、ヒンジ機構106によって回転できるように保持されている。すなわち、蓋体105は、図2に示すような本体103に対して開いている第1の状態P1と、図1に示すような本体103に対して閉じている第2の状態P2との間で回動することができる。
【0014】
排出部107は、本体103と蓋体105との間に設けられる排出口で構成されている。排出部107は、第1のサーマルヘッド104と第2のサーマルヘッド102とによって印刷されたロール紙108を外部に排出することができる。
【0015】
図1と図2に示すように、本体103は、内部にロール紙108が取り付けられる筐体111と、ロール紙108に印刷するための第2のサーマルヘッド102と、蓋体105の第1のサーマルヘッド104に対応するように本体103に回転可能に保持される第1のプラテンローラ112と、第1のプラテンローラ112の下流に隣接して配置するカッタ機構113の一部と、を備えている。ロール紙108は、いわゆる両面感熱紙で構成されている。ロール紙108は、第1の面108Aと、第1の面108Aとは反対側の第2の面108Bとを有している。ロール紙108は、筐体111内部の図示しない窪み部にはめ込まれて回転できるように保持されている。第2のサーマルヘッド102は、ロール紙108の第2の面108Bに印刷することができる。
【0016】
第1のプラテンローラ112は、例えば筐体111に両持ちで回転可能に保持されている。第2のサーマルヘッド102は、第1のプラテンローラ112よりも、ロール紙108の送り方向において、下流に配置している。本体103は、さらに、ロール紙108の送りを駆動する駆動部109と、第1のプラテンローラ112および第2のプラテンローラ114に駆動部109の駆動力を伝達するための複数の減速歯車とを備えている。駆動部109は、例えばステッピングモータで構成されている。なお、本実施形態では、減速歯車の図示を省略している。
【0017】
本体103は、ヒンジ機構106が固定される第1の半部103Aと、この第1の半部103Aの反対側で排出部107が配置される第2の半部103Bとを含んでいる。第2のサーマルヘッド102は、本体103の第2の半部103Bに配置している。さらに、ロール紙108は、本体103の第1の半部103Aに取り付けられている。ロール紙108は、ロール紙本体108Cと、ロール紙本体108Cから繰り出された端部108Dと、を有している。すなわち、ロール紙108は、ロール紙本体108Cから端部108Dを繰り出した状態で、本体103に装着される。端部108Dは、その一部を排出部107に重ねるように配置されている。
【0018】
蓋体105は、図示しないアッパーフレームと、ロール紙108の第1の面108Aに印刷するための第1のサーマルヘッド104と、第2のサーマルヘッド102に対応するように、アッパーフレームに回転可能に保持される第2のプラテンローラ114と、カッタ機構113の一部と、を備えている。アッパーフレームの端部は、ヒンジ機構106に固定されている。第1のサーマルヘッド104は、アッパーフレームに取り付けられている。第1のサーマルヘッド104は、第2のプラテンローラ114よりも、ロール紙108の送り方向において、上流に配置している。
【0019】
図1に示すように、蓋体105は、ヒンジ機構106が固定される一方の半部105Aと、この一方の半部105Aの反対側で排出部107が配置される他方の半部105Bとを含んでいる。第1のサーマルヘッド104は、蓋体105の他方の半部105Bに配置している。
【0020】
図1に示すように、第1のサーマルヘッド104は、第1のサーマルヘッド本体104Aと、第1のサーマルヘッド本体104Aを回動可能に支持する第1の軸部104Bと、第1のサーマルヘッド本体104Aとアッパーフレームとの間に配置された第1のばね104Cと、を有している。第1の軸部104Bは、アッパーフレームに設けられている。第1のばね104Cは、第1のサーマルヘッド本体104Aとばね座117との間に圧縮された状態で配置されている。第1のサーマルヘッド本体104Aは、第1のばね104Cにより、ロール紙108を間に挟んで第1のプラテンローラ112に対して所定の押し圧で押し付けられている。
【0021】
第2のサーマルヘッド102は、第2のサーマルヘッド本体102Aと、第2のサーマルヘッド本体102Aを回動可能に支持する第2の軸部102Bと、第2のサーマルヘッド本体102Aと筐体111のばね座116との間に配置された第2のばね102Cと、を有している。第2の軸部102Bは、筐体111に設けられている。第2のばね102Cは、第2のサーマルヘッド本体102Aとばね座116との間に圧縮された状態で配置されている。第2のサーマルヘッド本体102Aは、第2のばね102Cにより、ロール紙108を間に挟んで第2のプラテンローラ114に対して所定の押し圧で押し付けられている。
【0022】
ここで、図1を参照して、サーマルプリンタ101の印刷駆動について説明する。駆動部109によって、減速歯車が回転されると、第1のプラテンローラ112と、第2のプラテンローラ114とが回転する。これらの回転により、ロール紙108がその送り方向である排出部107に向かって送られる。そして、第1のサーマルヘッド104は、ロール紙108の第1の面108Aに対して印刷処理を行う。続いて、第2のサーマルヘッド102は、ロール紙108の第2の面108Bに対して印刷処理を行う。最後にカッタ機構113がロール紙108を所定の長さの短冊状に切断して、サーマルプリンタ101の印刷処理が終了する。
【0023】
続いて、図1と図2を参照して、蓋体105を本体103に対して開閉する際の、第1のサーマルヘッド104および第2のサーマルヘッド102の動作について説明する。図2に示す第1の状態P1から、図1に示す第2の状態P2にする際には、蓋体105は、ヒンジ機構106を中心に回転する。
【0024】
蓋体105が閉じる方向の回転に伴って、蓋体105の第1のサーマルヘッド104が本体103の第1のプラテンローラ112に対して、所定の力で押し付けられる。より具体的には、第1のサーマルヘッド104の第1の軸部104Bが下方に移動する。それに伴って、第1のサーマルヘッド本体104Aが第1のプラテンローラ112に接しつつ移動するとともに、蓋体105の回転軌跡方向Sに沿った方向T1に回動する。これにより、ばね座117と第1のサーマルヘッド本体104Aとの間に位置する第1のばね104Cが圧縮される。この反作用で、第1のサーマルヘッド本体104Aが、ロール紙108を間に挟んで第1のプラテンローラ112に対して所定の押し圧で押し付けられる。
【0025】
同様に、蓋体105の回転に伴い、蓋体105の第2のプラテンローラ114が本体103の第2のサーマルヘッド102に対して、押し付けられる。この第2のプラテンローラ114の移動に伴って、第2のサーマルヘッド102は、第2の軸部102Bを中心に蓋体105の回転軌跡方向Sに沿った方向T2に回動する。これにより、第2のばね102Cは、第2のサーマルヘッド本体102Aと本体103のばね座116との間で圧縮される。第2のばね102Cの圧縮の反作用により、第2のサーマルヘッド本体102Aが、ロール紙108を間に挟んで第2のプラテンローラ114に対して所定の押し圧で押し付けられるようになる。
【0026】
以上が、本実施形態のサーマルプリンタ101である。本実施形態のサーマルプリンタ101によれば、第1のサーマルヘッド104および第2のサーマルヘッド102は、蓋体105の回転軌跡方向Sに沿った方向T1、T2にそれぞれ回動することができる。このため、蓋体105を本体103に対して開閉する際に、第1のサーマルヘッド104の動きおよび第2のサーマルヘッド102の動きが蓋体105の開閉動作と干渉することがない。これにより、第1のサーマルヘッド104と第2のサーマルヘッド102とが、サーマルプリンタ101の他の構造物と衝突するのを防いで、これらを保護することができる。また、蓋体105の開閉もスムーズに行うことができる。さらに、第1のサーマルヘッド104および第2のサーマルヘッド102が回転軌跡方向Sに沿った方向T1、T2に回動できるようになっているため、これらの設置スペースも小さくして、サーマルプリンタ101を小型にできる。
【0027】
この場合、本体103と蓋体105との間の位置で、ヒンジ機構106の反対側に配置される排出部107をさらに具備している。この構成によれば、排出部107がヒンジ機構106の反対側に配置されるため、排出部107へのアクセスを容易にすることができる。このため、ロール紙108を本体103に装着する際には、ロール紙108の本体103を第1の半部103Aに取り付けるとともに、ロール紙108の端部108Dを排出部107に重ねて配置すれば足りる。よって、ロール紙108を本体103に簡単に装着することができる。
【0028】
この場合、第1のサーマルヘッド104は、蓋体105のうち、排出部107が配置される他方の半部105Bに配置している。このため、第1のサーマルヘッド104を排出部107に近い位置に集約的に配置して、サーマルプリンタ101を小型に構成することができる。
【0029】
この場合、第2のサーマルヘッド102は、本体103のうち、排出部107が固定される第2の半部103Bに配置している。このため、第2のサーマルヘッド102を第1のサーマルヘッド104と排出部107とに近接して配置することができる。これにより、排出部107の近傍に第1のサーマルヘッド104と第2のサーマルヘッド102とを集約的に配置して、サーマルプリンタ101を小型に構成することができる。また、ロール紙108を着脱する際に、第2のサーマルヘッド102が邪魔になることを防止できる。
【0030】
ロール紙108は、本体103のうち、ヒンジ機構106が配置される第1の半部103Aに配置している。これにより、第1のサーマルヘッド104や第2のサーマルヘッド102が配置している排出部107の近傍から離れた位置に、ロール紙108を配置することができる。このため、ロール紙108を交換する際に、蓋体105の第1のサーマルヘッド104およびその周辺の構造物である第2のプラテンローラ114などが作業に邪魔になることがなく、ロール紙108の交換作業を円滑に行うことができる。
【0031】
続いて、図3から図7を参照して、プリンタの第2の実施形態について説明する。図3に示すように、プリンタの一例であるサーマルプリンタ11は、印字ヘッドである第2のサーマルヘッド15を有する本体12と、印字ヘッドである第1のサーマルヘッド14を有するとともに本体12に被さる蓋体13と、本体12と蓋体13との間に位置するヒンジ機構16と、を備えている。蓋体13は、ヒンジ機構16によって回転できるように保持されている。つまり、蓋体13は、図4に示す本体12に対して開いている第1の状態P1と、図3に示す本体12に対して閉じている第2の状態P2と、の間で回転することができる。
【0032】
図3と図4に示すように、本体12は、ロール紙17が取り付けられる筐体21と、ロール紙17に印刷するための第2のサーマルヘッド15と、蓋体13の第1のサーマルヘッド14に対応するように本体12に回転可能に保持される第1のプラテンローラ22と、第1のプラテンローラ22の下流に隣接して配置するカッタ機構23と、を備えている。ロール紙17は、いわゆる両面感熱紙で構成されている。ロール紙17は、第1の面17Aと、第1の面17Aとは反対側の第2の面17Bとを有している。ロール紙17は、筐体21内部の図示しない窪み部にはめ込まれて回転できるように保持されている。第2のサーマルヘッド15は、ロール紙17の第2の面17Bに印刷することができる。
【0033】
第1のプラテンローラ22は、例えば筐体21に両持ちで回転可能に保持されている。第2のサーマルヘッド15は、第1のプラテンローラ22よりも、ロール紙17の送り方向において、上流に配置している。本体12は、さらに、ロール紙17の送りを駆動する駆動部24と、第1のプラテンローラ22および第2のプラテンローラ25に駆動部24の駆動力を伝達するための複数の減速歯車26と、第2のサーマルヘッド15よりも上流に位置するガイドローラ27を備えている。駆動部24は、例えばステッピングモータで構成されている。
【0034】
本体12は、ヒンジ機構16が固定される第1の半部12Aと、この第1の半部12Aと反対側の第2の半部12Bを含んでいる。第2のサーマルヘッド15は、本体12の第1の半部12Aに配置している。さらに、ロール紙17は、本体12の第2の半部12Bに取り付けられている。
【0035】
蓋体13は、アッパーフレーム31と、ロール紙17の第1の面17Aに印刷するための第1のサーマルヘッド14と、第2のサーマルヘッド15に対応するように、アッパーフレーム31に回転可能に保持される第2のプラテンローラ25と、ロール紙17を外部に排出するための排出口32と、を備えている。アッパーフレーム31の端部は、ヒンジ機構16に固定されている。第1のサーマルヘッド14は、アッパーフレーム31に取り付けられている。第2のプラテンローラ25は、アッパーフレーム31に両持ちで保持されている。第1のサーマルヘッド14は、第2のプラテンローラ25よりも、ロール紙17の送り方向において、下流に配置している。
【0036】
図3に示すように、蓋体13は、ヒンジ機構16が固定される一方の半部13Aと、この一方の半部13Aと反対側の他方の半部13Bを含んでいる。第1のサーマルヘッド14は、蓋体13の一方の半部13Aに配置している。
【0037】
図5に示すように、第1のサーマルヘッド14は、第1のサーマルヘッド本体41と、第1のサーマルヘッド本体41を回動可能に支持する第1の軸部42と、第1のサーマルヘッド本体41に取り付けられた第1の調節ねじ43と、第1のサーマルヘッド本体41とアッパーフレーム31との間に配置された第1のばね44と、を有している。第1の軸部42は、アッパーフレーム31に設けられている。第1のサーマルヘッド本体41は、第1のばね44により、ロール紙17を間に挟んで第1のプラテンローラ22に対して所定の押し圧で押し付けられている。第1のサーマルヘッド本体41が回動できる角度は、第1の調節ねじ43により調整できるようになっている。
【0038】
第2のサーマルヘッド15は、第2のサーマルヘッド本体51と、第2のサーマルヘッド本体51を回動可能に支持する第2の軸部52と、第2のサーマルヘッド本体51に取り付けられた第2の調節ねじ53と、第2のサーマルヘッド本体51と筐体21のフレーム54との間に配置された第2のばね55と、を有している。第2の軸部52は、筐体21に設けられている。第2のサーマルヘッド本体51は、第2のばね55により、ロール紙17を間に挟んで第2のプラテンローラ25に対して所定の押し圧で押し付けられている。第2のサーマルヘッド本体51が回動できる角度は、第2の調節ねじ53により調整することができる。
【0039】
ここで、図3を参照して、サーマルプリンタ11の印刷駆動について説明する。駆動部24によって、減速歯車26が回転されると、第1のプラテンローラ22と、第2のプラテンローラ25とが回転する。これらの回転により、ロール紙17がその送り方向である排出口32に向かって送られる。そして、第2のサーマルヘッド15は、ロール紙17の第2の面17Bに対して印刷処理を行う。続いて、第1のサーマルヘッド14は、ロール紙17の第1の面17Aに対して印刷処理を行う。最後にカッタ機構23がロール紙17を所定の長さの短冊状に切断して、サーマルプリンタ11の印刷処理が終了する。
【0040】
続いて、図3から図6を参照して、蓋体13を本体12に対して開閉する際の、第1のサーマルヘッド14および第2のサーマルヘッド15の動作について説明する。図3に示す第1の状態P1から、図4に示す第2の状態P2にする際には、蓋体13は、ヒンジ機構16を中心に回転する。
【0041】
図6に示すように、蓋体13が閉じる方向の回転に伴って、蓋体13の第1のサーマルヘッド14が本体の第1のプラテンローラ22に対して、所定の力で押し付けられる。より具体的には、第1のサーマルヘッド14の第1の軸部42が下方に移動する。それに伴って、第1のサーマルヘッド本体41は、第1のプラテンローラ22に接しつつ移動するとともに、蓋体13の回転軌跡方向Sに沿った方向T1に回動する。これにより、アッパーフレーム31と第1のサーマルヘッド本体41との間に位置する第1のばね44が圧縮される。この反作用で、第1のサーマルヘッド本体41が、ロール紙17を間に挟んで第1のプラテンローラ22に対して所定の押し圧で押し付けられる。
【0042】
同様に、図7に示すように、蓋体13の回転に伴い、蓋体13の第2のプラテンローラ25が本体12の第2のサーマルヘッド15に対して、押し付けられる。これにより、第2のプラテンローラ25の移動に伴って、第2のサーマルヘッド15が蓋体13の回転軌跡方向Sに沿った方向T2に回動するとともに、第2のサーマルヘッド本体51と本体12のフレーム54との間で、第2のばね55が圧縮される。第2のばね55の圧縮の反作用により、第2のサーマルヘッド本体51が、ロール紙17を間に挟んで第2のプラテンローラ25に対して所定の押し圧で押し付けられるようになる。
【0043】
以上が、本実施形態のサーマルプリンタ11である。本実施形態のサーマルプリンタ11によれば、第1のサーマルヘッド14および第2のサーマルヘッド15は、蓋体13の回転軌跡方向Sに沿った方向T1、T2にそれぞれ回動することができる。このため、蓋体13を本体12に対して開閉する際に、第1のサーマルヘッド14の動きおよび第2のサーマルヘッド15の動きが蓋体13の開閉動作と干渉することがない。これにより、第1のサーマルヘッド14と第2のサーマルヘッド15とが、サーマルプリンタ11の他の構造物と衝突するのを防いで、これらを保護することができる。また、蓋体13の開閉もスムーズに行うことができる。さらに、第1のサーマルヘッド14および第2のサーマルヘッド15が回転軌跡方向Sに沿った方向T1、T2に回動できるようになっているため、これらの設置スペースも小さくして、サーマルプリンタ11を小型にできる。
【0044】
第1のサーマルヘッド14は、蓋体13のうち、ヒンジ機構16が固定される一方の半部13Aに配置している。このため、第1のサーマルヘッド14をヒンジ機構16に近い位置に集約的に配置して、サーマルプリンタ11を小型に構成することができる。このように、第1のサーマルヘッド14がヒンジ機構16に近接して配置されれば、蓋体13を開放した際に、第1のサーマルヘッド14が外部に対して突出することがない。このため、ロール紙17を交換する際に邪魔になることを防止することができる。
【0045】
第2のサーマルヘッド15は、本体12のうち、ヒンジ機構16が固定される第1の半部12Aに配置している。このため、第2のサーマルヘッド15を第1のサーマルヘッド14とヒンジ機構16とに近接して配置することができる。これにより、ヒンジ機構16の近傍に第1のサーマルヘッド14と第2のサーマルヘッド15とを集約的に配置して、サーマルプリンタ11を小型に構成することができる。また、ロール紙17を着脱する際に、第2のサーマルヘッド15が邪魔になることを防止できる。
【0046】
ロール紙17は、本体のうち、ヒンジ機構16が固定される第1の半部12Aとは反対側の第2の半部12Bに配置している。これにより、第1のサーマルヘッド14や第2のサーマルヘッド15が配置しているヒンジ機構16の近傍から離れた位置に、ロール紙17を配置することができる。このため、ロール紙17を交換する際に、開放している蓋体13や、蓋体13の第1のサーマルヘッド14およびその周辺の構造物である第2のプラテンローラ25などが作業に邪魔になることがなく、ロール紙17の交換作業を円滑に行うことができる。
【0047】
本明細書では記録方式としてサーマルヘッドを用いた例を記載してきたが、他の記録方式でも本発明は実施をできることはいうまでもない。例えば第1のサーマルヘッド104、14及び第2のサーマルヘッド102、15をそれぞれ第1のインクジェットヘッド、第2のインクジェットヘッドに置き換えることで実現が可能である。なおその際サーマルヘッドは印字用紙に対して直接接触するがインクジェットヘッドの様に印字用に直接接触させず、ある規定間隔だけ空間を設ける必要がある。その際には、インクジェットヘッドと印字用紙との間に規定間隔の空間を設ける為のローラ等のスペーサを設けることにより本発明を実現することは可能である。
【0048】
また、本発明のサーマルプリンタは、上記実施形態に示したものに限られない。すなわち、本実施形態では、ロール紙を両面感熱紙で構成しているが、例えばインクリボンを用いてロール紙の両面に印刷するようにしてもよい。その他、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1の実施形態に係るサーマルプリンタにおいて、蓋体が閉じている第2の状態を模式的に示す側面図。
【図2】図1に示されたサーマルプリンタにおいて、蓋体が開いている第1の状態を模式的に示す側面図。
【図3】第2の実施形態に係るサーマルプリンタにおいて、蓋体が閉じている第2の状態を示す断面図。
【図4】図3に示されたサーマルプリンタにおいて、蓋体が開いている第1の状態を示す断面図。
【図5】図3に示されたサーマルプリンタの主要部を拡大して示す断面図。
【図6】図5に示されたサーマルプリンタの第1のサーマルヘッドの動作を示す断面図。
【図7】図5に示されたサーマルプリンタの第2のサーマルヘッドの動作を示す断面図。
【符号の説明】
【0050】
101…サーマルプリンタ、102…第2のサーマルヘッド、103…本体、103A…第1の半部、103B…第2の半部、104…第1のサーマルヘッド、105…蓋体、105A…一方の半部、105B…他方の半部、106…ヒンジ機構、107…排出部、108…ロール紙、108A…第1の面、108B…第2の面、111…筐体、113…カッタ機構、114…第2のプラテンローラ、11…サーマルプリンタ、12…本体、12A…第1の半部、12B…第2の半部、13…蓋体、13A…一方の半部、13B…他方の半部、14…第1のサーマルヘッド、15…第2のサーマルヘッド、16…ヒンジ機構、17…ロール紙、17A…第1の面、17B…第2の面、S…回転軌跡方向、T1…方向、T2…方向、P1…第1の状態、P2…第2の状態

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙を取り付ける本体と、
前記本体に被さる蓋体と、
前記本体と前記蓋体との間に位置するとともに、前記本体に前記ロール紙を着脱できるように、前記本体に対して前記蓋体が開いている第1の状態と、前記本体に対して前記蓋体が閉じている第2の状態との間で、前記蓋体を回転可能に保持するヒンジ機構と、
前記ロール紙の第1の面に印刷できるように前記蓋体に設けられる第1の印字ヘッドと、
前記ロール紙の前記第1の面とは反対側の第2の面に印刷できるように前記本体に設けられる第2の印字ヘッドと、
を具備し、
前記第1の印字ヘッドおよび前記第2の印字ヘッドは、前記蓋体の回転軌跡方向に沿った方向にそれぞれ回動可能であることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記第1の印字ヘッドと前記第2の印字ヘッドとによって印刷された前記ロール紙を排出する排出部をさらに具備し、
前記排出部は、前記本体と前記蓋体との間の位置で、前記ヒンジ機構の反対側に配置されることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記蓋体は、前記ヒンジ機構が配置される一方の半部と、前記排出部が配置される他方の半部とを含み、
前記第1の印字ヘッドは、前記蓋体の前記他方の半部に配置されることを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記本体は、前記ヒンジ機構が配置される第1の半部と、前記排出部が配置される第2の半部とを含み、
前記第2の印字ヘッドは、前記本体の前記第2の半部に配置されることを特徴とする請求項3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記ロール紙は、前記本体の前記第1の半部に取り付けられることを特徴とする請求項4に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記蓋体は、前記ヒンジ機構が配置される一方の半部と、この一方の半部と反対側の他方の半部とを含み、
前記第1の印字ヘッドは、前記蓋体の前記一方の半部に配置されることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記本体は、前記ヒンジ機構が配置される第1の半部と、この第1の半部と反対側の第2の半部とを含み、
前記第2の印字ヘッドは、前記本体の前記第1の半部に配置されることを特徴とする請求項6に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記ロール紙は、前記本体の前記第2の半部に取り付けられることを特徴とする請求項7に記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−30437(P2008−30437A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−16592(P2007−16592)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】