説明

プリントコイル及びプリントモータ

【課題】モータ効率を向上させることが可能なプリントコイル及びプリントモータを提供する。
【解決手段】プリントコイルに設けられた複数のコイル片20aの直線部30aには、内側接続片22a側と外側接続片24a側とを並列に接続する並列回路部34aが形成されている。従って、並列回路部34aに並列に設けられた各導体部36aの幅寸法W1を小さく設定しつつ、導体部36aの数を増やすことができる。これにより、プリントコイルにおける渦電流損を抑えつつ電機子抵抗を低くできる。この結果、プリントモータのモータ効率を向上させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリントコイル及びプリントモータに係り、特に、複数のコイル片を備えて構成されたプリントコイル、及び、これを電機子として備えたプリントモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のプリントモータとしては、次のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のプリントモータでは、ロータにプリントコイルが備えられている。このプリントコイルには、電機子コイルを構成するための複数のコイル片が備えられている。そして、このプリントコイルにブラシが当接されて駆動電流が供給されると、プリントコイルは、磁界を発生し、フレミングの左手の法則によりロータの回転力を発生する。
【0003】
ところで、この種のプリントモータでは、モータ効率を向上させるための一つの手段として、上述のコイル片の導体幅を大きく設定することが考えられる。つまり、コイル片の導体幅を大きく設定すると、電機子抵抗を低くでき抵抗損失を低減できる。ところが、このように、コイル片の導体幅を大きく設定すると、コイル片の渦電流損は逆に増加し、回転ロスが増加する。この結果、モータ効率が低下する虞がある。
【特許文献1】特開2000−312450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、モータ効率を向上させることが可能なプリントコイル及びプリントモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1に記載のプリントコイルは、複数のコイル片を環状に並設した層が絶縁板を挟んで少なくとも2層設けられ、奇数層の各コイル片の内側接続片がそれぞれ軸方向の一方に隣合う偶数層のコイル片の内側接続片に接続され、各層の各コイル片の外側接続片が他の層のコイル片の外側接続片に接続されたプリントコイルにおいて、前記複数のコイル片のうち少なくとも一つのコイル片の一部には、前記内側接続片側と前記外側接続片側とを並列に接続する並列回路部が形成されていることを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載のプリントコイルによれば、複数のコイル片を環状に並設した層が絶縁板を挟んで少なくとも2層設けられ、奇数層の各コイル片の内側接続片は、それぞれ軸方向の一方に隣合う偶数層のコイル片の内側接続片に接続され、各層の各コイル片の外側接続片は、他の層のコイル片の外側接続片に接続される。これにより、複数のコイル片が接続されて、プリントコイルに複数の電機子コイルが構成される。そして、このプリントコイルにブラシが当接されて駆動電流が供給されると、プリントコイルは、磁界を発生し、フレミングの左手の法則によりロータの回転力を発生する。
【0007】
ここで、プリントコイルに設けられた複数のコイル片のうち少なくとも一つのコイル片の一部には、内側接続片側と外側接続片側とを並列に接続する並列回路部が形成されている。従って、並列回路部に並列に設けられた各導体部の幅を小さく設定しつつ、導体部の数を増やすことができる。これにより、プリントコイルにおける渦電流損を抑えつつ電機子抵抗を低くできる。この結果、モータ効率を向上させることが可能となる。
【0008】
請求項2に記載のプリントコイルは、請求項1に記載のプリントコイルにおいて、前記並列回路部は、前記コイル片に長手方向に沿ってスリット部が形成されることにより枝分かれ状に形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載のプリントコイルによれば、コイル片に長手方向に沿ってスリット部を形成してコイル片の一部を枝分かれ状とするだけで、コイル片の一部に並列回路部を簡単且つ確実に形成することができる。
【0010】
請求項3に記載のプリントコイルは、請求項2に記載のプリントコイルにおいて、前記コイル片は、その一部に他の部位よりも幅広の幅広部を有して構成され、前記スリット部は、前記幅広部に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載のプリントコイルによれば、コイル片の幅広部であれば幅寸法に余裕があるので並列回路部を容易に形成することができる。しかも、複数のコイル片が幅広部を隣合わせにして配置される場合には、複数のコイル片の間の隙間を少なくでき、コイル片が銅板を打ち抜いて形成される場合の打ち抜き後の廃棄部材を少なくできる。また、複数のコイル片が幅広部を隣合わせにして配置される場合、複数のコイル片の間の隙間の部分はコイル片が銅板を打ち抜いて形成される際に廃棄される部位であるので、この部位に並列回路部を形成することで、この部位を有効活用でき、且つ、この部位に並列回路部を形成してもコストアップとなることを抑制できる。
【0012】
請求項4に記載のプリントコイルは、請求項2又は請求項3に記載のプリントコイルにおいて、前記コイル片は、前記内側接続片側に位置されてインボリュート曲線状をなす内側インボリュート曲線部と、前記外側接続片側に位置されてインボリュート曲線状をなす外側インボリュート曲線部と、前記内側インボリュート曲線部と前記外側インボリュート曲線部との間に位置する直線部と、を備え、前記スリット部は、前記直線部に形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載のプリントコイルによれば、コイル片に、内側接続片側に位置する内側インボリュート曲線部と、外側接続片側に位置する外側インボリュート曲線部とが形成された場合でも、上述のスリット部は内側インボリュート曲線部と外側インボリュート曲線部との間に位置する直線部に形成されているので、スリット部の加工が容易である。これにより、コイル片に、内側接続片側に位置する内側インボリュート曲線部と、外側接続片側に位置する外側インボリュート曲線部とが形成された場合でも、コイル片の一部に並列回路部を簡単且つ確実に形成することができる。
【0014】
請求項5に記載のプリントモータは、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のプリントコイルを、当接されるブラシを介して駆動電流が供給される電機子として備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載のプリントモータによれば、プリントモータにブラシが当接されて駆動電流が供給されると、プリントコイルは、磁界を発生し、フレミングの左手の法則によりロータの回転力を発生する。このとき、プリントコイルにおいては渦電流損が抑えられつつ電機子抵抗が低くなるので、これにより、モータ効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
はじめに、本発明の一実施形態に係るプリントモータ50の構成について説明する。
【0017】
図1には、本発明の一実施形態に係るプリントモータ50の全体構成が側面断面図にて示されている。この図に示されるプリントモータ50は、例えば、車両に搭載されるラジエータの冷却システムに好適に用いられるものである。このプリントモータ50には、モータハウジング52が備えられている。
【0018】
モータハウジング52は、エンドフレーム54とカバーハウジング56とを有して構成されている。エンドフレーム54は、略円盤形状に形成されており、その中央部に中心孔54aを有して構成されている。この中心孔54aには、シャフト58の基端部が固定されている。カバーハウジング56は、エンドフレーム54の外周側端部に固定されており、軸方向に沿って延びる円筒部56aと、この円筒部56aの端部から径方向内側に延びる円盤部56bとを備えて構成されている。
【0019】
また、エンドフレーム54には、一対の樹脂性のブラシホルダ60が固定されている。各ブラシホルダ60には、モータハウジング52内に開口するブラシ収容部62が形成されており、このブラシ収容部62には、ブラシ64が軸方向に移動可能に収容されている。また、ブラシ収容部62には、スプリング66が収容されている。そして、ブラシ64は、このスプリング66によりカバーハウジング56側に向かって付勢されている。また、エンドフレーム54の外周側には、環状のマグネット68が固定されている。マグネット68は、周方向にN極とS極が交互に着磁されている。
【0020】
シャフト58の外周部には、略円筒形状のセンタピース70が軸受72,74を介して回転可能に支持されている。このセンタピース70は、モータハウジング52内に収容され、その一端部がカバーハウジング56の中央孔56cから外部に露出されている。センタピース70の軸方向中間部の外周部には、マグネット68よりも外径の大きな略円盤形状に形成されたプリントコイル10が固定されている。プリントコイル10は、図6の側面断面図で示されるように、それぞれ軸方向に隣合う4層の導電層12a〜12dと、その間に配置される3層の絶縁層14a〜14cとにより構成されている。
【0021】
このプリントコイル10の構造及びその製造方法を以下に詳述すると、このプリントコイル10において、4層の導電層12a〜12dは、図2,図3に示される4枚の銅板16a〜16dを用いてそれぞれ製造される。なお、図2(a)には第1層の導電層12aを形成するための銅板16aの表面図、図2(b)には第2層の導電層12bを形成するための銅板16bの裏面図、図3(a)には第3層の導電層12cを形成するための銅板16cの表面図、図3(b)には第4層の導電層12dを形成するための銅板16dの裏面図がそれぞれ示されている。
【0022】
第1層の導電層12a及び第2層の導電層12bを形成するためには、まず、図2
(a),(b)に示されるように、正方形の各銅板16a,16bに、放射方向に延びる略弧状の細孔18a,18bを打ち抜きにより多数形成する。このとき、銅板16aと銅板16bについては、表面から見て同形状となるように加工する。そして、この打ち抜きにより、各細孔18a,18bの間に残された部分の両端部以外は環状に並設されたコイル片20a,20bとして形成され、その内端は内側接続片22a,22bとして形成され,その外端は外側接続片24a,24bとして形成される。
【0023】
また、このとき、より具体的には、第1層の導電層12aを形成するための銅板16a、及び、第2層の導電層12bを形成するための銅板16bについては、図4に示されるように各コイル片20a,20bを形成する。なお、図4においてコイル片20bの各部構成の符号については括弧書きで示す。
【0024】
つまり、コイル片20a(20b)に、内側接続片22a(22b)側に位置されてインボリュート曲線状をなす内側インボリュート曲線部26a(26b)と、外側接続片24a(24b)側に位置されてインボリュート曲線状をなす外側インボリュート曲線部28a(28b)と、この内側インボリュート曲線部26a(26b)と外側インボリュート曲線部28a(28b)との間に位置する直線部30a(30b)と、を形成する。
【0025】
また、直線部30a(30b)は、内側インボリュート曲線部26a(26b)及び外側インボリュート曲線部28a(28b)よりも幅広の幅広部とする。さらに、この直線部30a(30b)には、長手方向に沿ってスリット部32a(32b)を形成し、枝分かれ状の並列回路部34a(34b)を形成する。
【0026】
同様に、第3層の導電層12c及び第4層の導電層12dを形成するためには、図3
(a),(b)に示されるように、正方形の各銅板16c,16dに、放射方向に延びる略弧状の細孔18c,18dを打ち抜きにより多数形成する。このとき、銅板16cと銅板16dについては、表面から見て同形状となるように加工する。そして、この打ち抜きにより、各細孔18c,18dの間に残された部分の両端部以外は環状に並設されたコイル片20c,20dとして形成され、その内端は内側接続片22c,22dとして形成され,その外端は外側接続片24c,24dとして形成される。
【0027】
また、このとき、より具体的には、第3層の導電層12cを形成するための銅板16c、及び、第4層の導電層12dを形成するための銅板16dについては、図5に示されるようにコイル片20c,20dを形成する。なお、図5においてコイル片20dの各部構成の符号については括弧書きで示す。
【0028】
つまり、コイル片20c(20d)に、内側接続片22c(22d)側に位置されてインボリュート曲線状をなす内側インボリュート曲線部26c(26d)と、外側接続片24c(24d)側に位置されてインボリュート曲線状をなす外側インボリュート曲線部28c(28d)と、内側インボリュート曲線部26c(26d)と外側インボリュート曲線部28c(28d)との間に位置する直線部30c(30d)と、を形成する。
【0029】
また、直線部30c(30d)は、内側インボリュート曲線部26c(26d)及び外側インボリュート曲線部28c(28d)よりも幅広の幅広部とする。さらに、この直線部30c(30d)には、長手方向に沿ってスリット部32c(32d)を形成し、枝分かれ状の並列回路部34c(34d)を形成する。
【0030】
続いて、図2,図3に示される上述の各銅板16a〜16dの中央部を円形に切落とすことにより、各コイル片20a〜20dの各内側接続片22a〜22dを形成する。そして、図6に示されるように、銅板16aと銅板16bとを円環状の絶縁シート38aを挟んで背中合わせに重ねて接着する。このとき、銅板16aの内側接続片22aと銅板16bの内側接続片22bを、銅板16a,16bの直交方向に向い合うように重ねる。
【0031】
同様に、銅板16cと銅板16dとを円環状の絶縁シート38cを挟んで背中合わせに重ねて接着する。このとき、銅板16cの内側接続片22cと銅板16dの内側接続片22dを、銅板16c,16dの直交方向に向い合うように重ねる。そして、図6に示されるように、銅板16aの内側接続片22aと銅板16bの内側接続片22b、及び、銅板16cの内側接続片22cと銅板16dの内側接続片22dをそれぞれ溶接部40,42によって溶接する。
【0032】
続いて、このようにして二枚一組とされた二組の銅板16a,16bと銅板16c,16dとの間に円環状の絶縁シート38bを挟んで互いを背中合わせに重ねて接着する。このとき、銅板16aの外側接続片24aと銅板16dの外側接続片24dを、銅板16a〜16dの直交方向に向い合うように重ね、銅板16bの外側接続片24bと銅板16cの外側接続片24cを、銅板16a〜16dの直交方向に向い合うように重ねる。
【0033】
続いて、各銅板16a〜16dの外側を円形に切落とすことにより、各コイル片20a〜20dの各外側接続片24a〜24dを形成する。そして、銅板16aの外側接続片24dと銅板16dの外側接続片24d、銅板16bの外側接続片24bと銅板16cの外側接続片24cをそれぞれ溶接部44,46によって溶接する。なお、図7には、各コイル片20a〜20dの内側接続片22a〜22d及び外側接続片24a〜24dの結線図が示されている。このプリントモータ50では、この図に示されるように各コイル片20a〜20dの内側接続片22a〜22d及び外側接続片24a〜24dが結線されている。
【0034】
そして、このようにして製造されたプリントコイル10は、図1に示されるプリントモータ50の電機子として組み込まれたときには、第4層のコイル片20dの表面に各ブラシ64が押圧接触される。
【0035】
また、このように構成されたプリントモータ50では、プリントコイル10に各ブラシ64を介して駆動電流が供給されると、プリントコイル10は、磁界を発生し、フレミングの左手の法則によりロータの回転力を発生する。これにより、プリントコイル10及びセンタピース70がシャフト58に支持された状態で一体的に回転する。
【0036】
次に、比較例と比較しながら、本発明の一実施形態に係るプリントモータ50の特徴的な作用について説明する。
【0037】
図8には、比較例に係るプリントコイルのコイル片120が示されている。この図に示されるように、比較例に係るプリントコイルのコイル片120は、内側接続片122側に位置されてインボリュート曲線状をなす内側インボリュート曲線部126と、外側接続片124側に位置されてインボリュート曲線状をなす外側インボリュート曲線部128と、この内側インボリュート曲線部126と外側インボリュート曲線部128との間に位置する直線部130と、を有して構成されている。
【0038】
ここで、コイル片120の導体幅を大きく設定すると、電機子抵抗を低くでき抵抗損失を低減できるが、渦電流損は逆に増加し、回転ロスが増加する。従って、この比較例では、最も幅広の直線部130の導体幅を、例えば渦電流損が許容範囲の最大値となる寸法W1(例えば、1mm)に設定している。
【0039】
ところが、この比較例では、直線部130の導体幅の寸法が小さく、モータ効率を向上させるためには、改良の余地がある。また、この比較例のように、コイル片120の導体幅を寸法W1に設定すると、コイル片120間の隙間121が大きくなり、打ち抜き時に廃棄する部位が多くなる。
【0040】
これに対し、本発明の一実施形態に係るプリントコイル10によれば、プリントコイル10に設けられた複数のコイル片20a〜20dには、図4,図5に示されるように、直線部30a〜30dに並列回路部34a〜34dがそれぞれ形成されている。従って、並列回路部34a〜34dに並列に設けられた各導体部36a〜36dの幅を小さく設定しつつ、導体部36a〜36dの数を増やすことができる。
【0041】
つまり、例えば、並列回路部34a〜34dの導体部36a〜36dの各導体幅を比較例と同じ寸法W1(例えば、1mm)に設定し、且つ、導体部36a〜36dのそれぞれの数を複数(この場合、各2本)とすることができる。従って、比較例に係る構成に比して、直線部30a〜30dの導体幅を同一寸法とすることでプリントコイル10における渦電流損を同程度に抑えつつ、直線部30a〜30dの各導体幅の合計寸法が増加することでプリントコイル10における電機子抵抗を低くできる。この結果、モータ効率を向上させることが可能となる。
【0042】
また、本発明の一実施形態に係るプリントコイル10によれば、コイル片20a〜20dの幅広部である直線部30a〜30dであれば幅寸法に余裕があるので並列回路部34a〜34dをそれぞれ容易に形成することができる。しかも、本実施形態のように、複数のコイル片20a〜20dが幅広部である直線部30a〜30dを隣合わせにしてそれぞれ配置される場合には、複数のコイル片20a〜20dの各コイル片間の隙間を少なくでき、コイル片20a〜20dが銅板16a〜16dを打ち抜いて形成される場合の打ち抜き後の廃棄部材を少なくできる。
【0043】
また、本実施形態のように、複数のコイル片20a〜20dが直線部30a〜30dを隣合わせにしてそれぞれ配置される場合、複数のコイル片20a〜20dの各コイル片間の隙間の部分はコイル片20a〜20dが銅板16a〜16dを打ち抜いて形成される際に廃棄される部位であるので、この部位に並列回路部34a〜34dを形成することで、この部位を有効活用でき、且つ、この部位に並列回路部34a〜34dを形成してもコストアップとなることを抑制できる。
【0044】
また、本発明の一実施形態に係るプリントコイル10によれば、コイル片20a〜20dに長手方向に沿ってスリット部32a〜32dを形成してコイル片20a〜20dの直線部30a〜30dを枝分かれ状とするだけで、コイル片20a〜20dの一部に並列回路部34a〜34dをそれぞれ簡単且つ確実に形成することができる。
【0045】
また、本発明の一実施形態に係るプリントコイル10によれば、コイル片20a〜20dに、内側接続片22a〜22d側に位置する内側インボリュート曲線部26a〜26dと、外側接続片24a〜24d側に位置する外側インボリュート曲線部28a〜28dとが形成された場合でも、上述のスリット部32a〜32dは内側インボリュート曲線部26a〜26dと外側インボリュート曲線部28a〜28dとの間に位置する直線部30a〜30dにそれぞれ形成されているので、スリット部32a〜32dの加工が容易である。
【0046】
これにより、コイル片20a〜20dに、内側接続片22a〜22d側に位置する内側インボリュート曲線部26a〜26dと、外側接続片24a〜24d側に位置する外側インボリュート曲線部28a〜28dとがそれぞれ形成された場合でも、コイル片20a〜20dの一部に並列回路部34a〜34dをそれぞれ簡単且つ確実に形成することができる。
【0047】
次に、本発明の一実施形態に係るプリントモータ50の変形例について説明する。
【0048】
上記実施形態では、プリントコイル10にコイル片20a〜20dを備えた導電層12a〜12dが4層設けられていたが、プリントコイル10にコイル片20a〜20dを備えた導電層12a〜12dが例えば2層設けられていても良く、6層設けられていても良い。
【0049】
また、上記実施形態では、コイル片20a〜20dの並列回路部34a〜34dに導体部36a〜36dが2本ずつ設けられていたが、コイル片20a〜20dの並列回路部34a〜34dに導体部36a〜36dが3本以上ずつ設けられていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態に係るプリントモータの全体構成を示す側面断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るプリントコイルのコイル片を形成するための銅板を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るプリントコイルのコイル片を形成するための銅板を示す平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るコイル片の構成を示す平面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るコイル片の構成を示す平面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るプリントコイルの構成を示す側面断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るプリントコイルの結線図である。
【図8】比較例に係るコイル片の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0051】
10…プリントコイル、12a〜12d…導電層、14a〜14c…絶縁層、16a〜16d…銅板、18a〜18d…細孔、20a〜20d…コイル片、22a〜22d…内側接続片、24a〜24d…外側接続片、26a〜26d…内側インボリュート曲線部、28a〜28d…外側インボリュート曲線部、30a〜30d…直線部、32a〜32d…スリット部、34a〜34d…並列回路部、36a〜36d…導体部、38a〜38c…絶縁シート、40,42,44,46…溶接部、50…プリントモータ、52…モータハウジング、54…エンドフレーム、56…カバーハウジング、58…シャフト、60…ブラシホルダ、62…ブラシ収容部、64…ブラシ、66…スプリング、68…マグネット、70…センタピース、72,74…軸受

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコイル片を環状に並設した層が絶縁板を挟んで少なくとも2層設けられ、奇数層の各コイル片の内側接続片がそれぞれ軸方向の一方に隣合う偶数層のコイル片の内側接続片に接続され、各層の各コイル片の外側接続片が他の層のコイル片の外側接続片に接続されたプリントコイルにおいて、
前記複数のコイル片のうち少なくとも一つのコイル片の一部には、前記内側接続片側と前記外側接続片側とを並列に接続する並列回路部が形成されていることを特徴とするプリントコイル。
【請求項2】
前記並列回路部は、前記コイル片に長手方向に沿ってスリット部が形成されることにより枝分かれ状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプリントコイル。
【請求項3】
前記コイル片は、その一部に他の部位よりも幅広の幅広部を有して構成され、
前記スリット部は、前記幅広部に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のプリントコイル。
【請求項4】
前記コイル片は、
前記内側接続片側に位置されてインボリュート曲線状をなす内側インボリュート曲線部と、
前記外側接続片側に位置されてインボリュート曲線状をなす外側インボリュート曲線部と、
前記内側インボリュート曲線部と前記外側インボリュート曲線部との間に位置する直線部と、
を備え、
前記スリット部は、前記直線部に形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のプリントコイル。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のプリントコイルを、当接されるブラシを介して駆動電流が供給される電機子として備えたことを特徴とするプリントモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−99429(P2008−99429A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−277766(P2006−277766)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】