説明

プリントシステムおよびプリント方法

【課題】ユーザが複数の公共の場所に設置されたプリンタのうち所望の場所に設置されたプリンタから安全に文書や画像などをプリントする。
【解決手段】NGN1に接続された認証サーバ4、プリント受付サーバ2、蓄積サーバ3、公共の場所に設置されたプリンタ8a,8b、プリンタ8a,8bに併設された公共端末7a,7b、公共端末7a,7bをシンクライアントとして機能させ、操作画面を提供し、入力を受け付ける公共端末サーバ6を有し、認証サーバ4により認証されたユーザのユーザ端末からのプリント申込をプリント受付サーバ2により受け付け、プリントデータを蓄積サーバ3に一時蓄積し、公共端末サーバ6が、認証サーバ4により認証されたユーザの公共端末7a,7bからの入力に基づいて、公共端末7a,7bに紐付けされたプリンタ8a,8bへ蓄積サーバ3からプリントデータを送信させ、プリント出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが公共の場所に設置されたプリンタからプリントすることが可能なプリントシステムおよびプリント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ上の文書ファイルや画像ファイルなどの印刷したいファイルをインターネットのホームページ上からサーバに転送して登録し、その際に発行される予約番号を最寄りのコンビニエンスストアのコピー機に入力し、料金を支払うことにより印刷することができるネットプリントサービスが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
また、例えば特許文献1には、低価格もしくは無償の写真プリントを利用者に提供可能とするため、利用者の画像が印画された写真プリントに広告を掲載するようにした広告付写真プリントの製造方法が開示されている。この広告は、利用者の個人情報をもとにして、ある特定範囲の利用者の写真プリントに対してのみ掲載されるようになっている。なお、特許文献1には、個人情報を利用せず、プリント注文を受け付けた取次店、ネット注文時に利用者が写真プリントを受け取りに行く店として指定した取次店、およびその地域などによって、広告を選択する方法も開示されている。
【0004】
また、例えば特許文献2には、店舗に設置された画像形成装置の利用者が取得する広告物に広告等を添付する画像形成システムが開示されている。この画像形成システムでは、利用者は画像形成装置に印刷ジョブを実行させる際、添付するコンテンツを選択させるための情報を、画像形成装置または利用側端末より入力する。これに対して画像形成装置は、入力された情報を参考として利用者に見合ったコンテンツを印刷物に添付する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−177727号公報
【特許文献2】特開2003−285512号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“ネットプリント”,[online],富士ゼロックス株式会社,[平成年月日検索],インターネット<URL:http://www.printing.ne.jp/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1に記載のネットプリントサービスでは、印刷したいファイルをサーバに転送して登録し、印刷の際には、このファイルが印刷するコンビニエンスストアのコピー機に転送されて印刷される。すなわち、このサービスでは、ファイルがコンビニエンスストアのコピー機内に保存されることになり、セキュリティ面では脆弱である。そのため、利用は個人の写真印刷が大半であり、ビジネス上の重要文書などの印刷には不向きである。特許文献1,2に記載のシステムについても同様であり、印刷ファイルが印刷するプリンタ(画像形成装置)内に保存されるため、セキュリティ面では脆弱である。
【0008】
そこで、本発明においては、ユーザが複数の公共の場所に設置されたプリンタのうち所望の場所に設置されたプリンタから安全に文書や画像などをプリントすることが可能なプリントシステムおよびプリント方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプリントシステムは、認証された複数のネットワーク機器に対してそれぞれ一意にIPアドレスが割り当てられる通信ネットワークに接続される複数のネットワーク機器の1つとしての認証サーバであり、ユーザの認証を行う認証サーバと、通信ネットワークに接続される複数のネットワーク機器の1つとしてのプリント受付サーバであり、認証サーバにより認証されたユーザのユーザ端末からのプリント申込を受け付けるプリント受付サーバと、通信ネットワークに接続される複数のネットワーク機器の1つとしての蓄積サーバであり、ユーザ端末からプリント申込されたプリントデータを一時蓄積する蓄積サーバと、通信ネットワークに接続される複数のネットワーク機器の1つとしてのプリンタであり、複数の公共の場所に設置される複数のプリンタと、複数のプリンタのそれぞれに併設され、通信ネットワークに接続される複数のネットワーク機器の1つとしての公共端末であり、併設されたプリンタのIPアドレスと紐付けされた公共端末と、公共端末をシンクライアントとして機能させ、公共端末に操作画面を提供し、公共端末からの入力を受け付ける公共端末サーバであり、認証サーバにより認証されたユーザの公共端末からの入力に基づいて、この公共端末に紐付けされたプリンタへ蓄積サーバからプリントデータを送信させ、プリント出力させる公共端末サーバとを含むものである。
【0010】
また、本発明のプリント方法は、認証された複数のネットワーク機器に対してそれぞれ一意にIPアドレスが割り当てられる通信ネットワークに接続される複数のネットワーク機器の1つとしての認証サーバと、通信ネットワークに接続される複数のネットワーク機器の1つとしてのプリント受付サーバと、通信ネットワークに接続される複数のネットワーク機器の1つとしての蓄積サーバと、通信ネットワークに接続される複数のネットワーク機器の1つとしてのプリンタであり、複数の公共の場所に設置される複数のプリンタと、複数のプリンタのそれぞれに併設され、通信ネットワークに接続される複数のネットワーク機器の1つとしての公共端末であり、併設されたプリンタのIPアドレスと紐付けされた公共端末と、公共端末をシンクライアントとして機能させ、公共端末に操作画面を提供し、公共端末からの入力を受け付ける公共端末サーバとによるプリント方法であって、認証サーバにより認証されたユーザのユーザ端末からのプリント申込をプリント受付サーバにより受け付けること、ユーザ端末からプリント申込されたプリントデータを蓄積サーバに一時蓄積すること、公共端末サーバが、認証サーバにより認証されたユーザの公共端末からの入力に基づいて、この公共端末に紐付けされたプリンタへ蓄積サーバからプリントデータを送信させ、プリント出力させることを含むことを特徴とする。
【0011】
これらの発明において、認証サーバ、プリント受付サーバ、蓄積サーバ、プリンタ、公共端末および公共端末サーバは、認証された複数のネットワーク機器に対してそれぞれ一意にIPアドレスが割り当てられる通信ネットワークに接続されているため、なりすましは不可能であり、信頼性が高い。この種の通信ネットワークとしては、例えば国際通信連合(ITU−T)等の場で国際標準化が活発に行われている次世代ネットワーク(NGN:Next Generation Network)がある。NGNでは、通信ネットワークに接続する際の認証が、現在のインターネットと比べて強化されており、ネットワーク機器が通信ネットワークに接続されると、そのネットワーク機器が認証されるとともに、認証されたネットワーク機器に対して一意にIPアドレスが割り当てられ、信頼性が高い。
【0012】
そして、本発明では、このような通信ネットワークに接続され、認証されて一意にIPアドレスが割り当てられた認証サーバ、プリント受付サーバ、蓄積サーバ、プリンタ、公共端末および公共端末サーバにより安全にプリント処理が行われる。すなわち、認証サーバによりユーザの認証を行い、この認証サーバにより認証されたユーザのユーザ端末からのプリント申込をプリント受付サーバにより受け付け、ユーザ端末からプリント申込されたプリントデータは蓄積サーバに一時蓄積される。この蓄積サーバは上記のなりすましが不可能な通信ネットワークに接続されており、プリントデータが外部に漏れることはなく安全である。次に、ユーザは、複数の公共の場所に設置される複数のプリンタのうち、所望の場所に設置されたプリンタに併設された公共端末から入力を行うと、この公共端末に紐付けされたプリンタへ蓄積サーバからプリントデータが送信され、プリントされる。このとき、公共端末は公共端末サーバによってシンクライアントとして機能させるものであり、操作画面および入力は公共端末自体に保存されないため、安全である。また、蓄積サーバからプリントデータが送信されるプリンタは上記のなりすましが不可能な通信ネットワークに接続されたものであり、プリントデータが外部に漏れることはなく安全である。
【0013】
ここで、本発明のプリントシステムは、公共端末に接続されたカードリーダ、または複数のプリンタのそれぞれに併設され、通信ネットワークに接続される複数のネットワーク機器の1つとしてのカードリーダであり、併設されたプリンタのIPアドレスとそれぞれ紐付けされたカードリーダをさらに含み、認証サーバは、カードリーダによってユーザのカードから読み取った情報に基づいてユーザを認証するものであることが望ましい。
【0014】
これにより、ユーザは所望の場所に設置されたプリンタからプリントする際、カードリーダにユーザのカードを読み取らせることで、認証サーバにより認証が行われるので、ユーザは容易にプリントすることができる。なお、カードリーダが公共端末に接続されている場合には、カードリーダにより読み取られたカード情報は、認証されて一意にIPアドレスが割り当てられ、シンクライアントとして機能するこの公共端末のIPアドレスを用いてカードリーダから認証サーバに送信され、認証されるので、カード情報が外部に漏れることはなく安全である。また、カードリーダが複数のプリンタのそれぞれに併設され、通信ネットワークに接続される複数のネットワーク機器の1つとしてのカードリーダであり、併設されたプリンタのIPアドレスとそれぞれ紐付けされたカードリーダの場合には、カードリーダにより読み取られたカード情報は、上記のなりすましが不可能な通信ネットワークに接続されたカードリーダから認証サーバに送信され、認証されるので、カード情報が外部に漏れることはなく安全である。
【0015】
また、プリント受付サーバから蓄積サーバへ送信されるプリントデータは、プリンタによるプリント出力にのみ利用可能な形式の中間ファイルであり、蓄積サーバは、この中間ファイルを一時蓄積するものであることが望ましい。前述のように、本発明のプリントシステムでは、蓄積サーバはなりすましが不可能な通信ネットワークに接続されており、プリントデータが外部に漏れることはなく、安全であるが、さらにこのプリントデータをプリンタによるプリント出力にのみ利用可能な形式の中間ファイルにより、プリント受付サーバから蓄積サーバへ送信し、蓄積サーバに一時蓄積することで、この安全な通信ネットワーク内での安全性をさらに高めることが可能となる。
【0016】
また、ユーザ端末は、上記の通信ネットワーク、すなわち、認証された複数のネットワーク機器に対してそれぞれ一意にIPアドレスが割り当てられる通信ネットワークに接続される複数のネットワーク機器の1つであることが望ましい。これにより、ユーザ端末自身も上記のなりすましが不可能な通信ネットワークに接続されるため、ユーザ端末からのプリントデータの送信の際にプリントデータが外部に漏れることがなく、さらに安全性が高くなる。
【発明の効果】
【0017】
(1)認証された複数のネットワーク機器に対してそれぞれ一意にIPアドレスが割り当てられる通信ネットワークに接続され、認証されて一意にIPアドレスが割り当てられた認証サーバ、プリント受付サーバ、蓄積サーバ、プリンタ、公共端末および公共端末サーバによりプリント処理が行われる構成により、プリントデータが外部に漏れることはなく、操作画面および入力も公共端末自体に保存されないので、ユーザは複数の公共の場所に設置されたプリンタのうち所望の場所に設置されたプリンタから安全に文書や画像などをプリントすることが可能となる。
【0018】
(2)公共端末に接続されたカードリーダ、または複数のプリンタのそれぞれに併設され、通信ネットワークに接続される複数のネットワーク機器の1つとしてのカードリーダであり、併設されたプリンタのIPアドレスとそれぞれ紐付けされたカードリーダをさらに含み、認証サーバが、カードリーダによってユーザのカードから読み取った情報に基づいてユーザを認証するものであることにより、ユーザは所望の場所に設置されたプリンタからプリントする際、カードリーダにユーザのカードを読み取らせることで、容易にプリントすることが可能となる。また、認証後にプリントするので、他人が不正にプリントを入手することはなく、安全である。さらに、カード情報が外部に漏れることもなく安全である。
【0019】
(3)プリント受付サーバから蓄積サーバへ送信されるプリントデータは、プリンタによるプリント出力にのみ利用可能な形式の中間ファイルであり、蓄積サーバは、この中間ファイルを一時蓄積するものであることにより、安全な通信ネットワーク内での安全性をさらに高めることが可能となる。
【0020】
(4)ユーザ端末が、認証された複数のネットワーク機器に対してそれぞれ一意にIPアドレスが割り当てられる通信ネットワークに接続される複数のネットワーク機器の1つであることにより、ユーザ端末自身もなりすましが不可能となり、ユーザ端末からのプリントデータの送信の際にプリントデータが外部に漏れることがなく、さらに安全性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態におけるプリントシステムの概略構成図である。
【図2】図1のプリントシステムによるプリント処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本発明の実施の形態におけるプリントシステムの概略構成図、図2は図1のプリントシステムによるプリント処理のフロー図である。
【0023】
図1において、本発明の実施の形態におけるプリントシステムは、認証された複数のネットワーク機器に対してそれぞれ一意にIPアドレスが割り当てられる通信ネットワークとしてのNGN1に接続されるネットワーク機器としてのプリント受付サーバ2、蓄積サーバ3、認証サーバ4、課金サーバ5、公共端末サーバ6、公共端末7a,7bやプリンタ8a,8b等により構成される。
【0024】
公共端末7a,7bおよびプリンタ8a,8bは、駅などの複数の公共の場所に設置されている。また、公共端末7a,7bには、それぞれカードリーダ9a,9bが接続されている。なお、公共端末7aおよびプリンタ8aと、公共端末7bとプリンタ8bとは、それぞれ併設されており、互いのIPアドレスは紐付けされて、公共端末サーバ6に登録されている。
【0025】
公共端末7aおよびプリンタ8aはルータ10aを通じてNGN1に接続され、公共端末7bおよびプリンタ8bはルータ10bを通じてNGN1に接続されている。プリント受付サーバ2、蓄積サーバ3、認証サーバ4、課金サーバ5および公共端末サーバ6は、ルータ10cを通じてNGN1に接続されている。また、NGN1には、ルータ10dを通じて各ユーザが使用するユーザ端末としてのパーソナルコンピュータ(以下、「PC」と称す。)11a,11bが接続されている。
【0026】
NGN1は、ITU−T等により標準化された次世代ネットワークである。NGN1では、ネットワーク機器が接続されると、そのネットワーク機器が認証されるとともに、認証されたネットワーク機器に対して一意にIPアドレスが割り当てられるため、なりすましは不可能であり、信頼性が高い。NGN1では、接続されるネットワーク機器をNGN1内で判別するための回線識別番号がそれぞれのネットワーク機器に割り当てられており、ネットワーク機器が接続された際にそれぞれがこの回線識別番号により認証されるとともに、認証されたネットワーク機器のそれぞれに対して一意にIPアドレスが割り当てられる。ここで、割り当てられるIPアドレスは、IPv6というプロトコルに基づく128ビットのアドレスである。
【0027】
プリント受付サーバ2は、認証サーバ4により認証された各ユーザのPC11a,11bからのプリント申込を受け付けるものである。各ユーザがPC11a,11bからプリント受付サーバ2にアクセスすると、プリント受付サーバ2はPC11a,11bにログイン画面を提供し、各ユーザがPC11a,11bからログイン手続きを行うと、プリント受付サーバ2は認証サーバ4に認証を求める。
【0028】
認証後、プリント受付サーバ2は各ユーザのPC11a,11bからプリント申込を受け付ける。プリント受付サーバ2は、このプリント申込の受け付けの際、各ユーザのPC11a,11bからプリント対象の文書ファイルや画像ファイル等のプリントデータの送信を求める。認証サーバ4はユーザの認証を行うものであり、予め認証に必要なIDやパスワード等のユーザ情報が登録されている。
【0029】
また、本実施形態においては、NGN1外からのプリント申込を可能にするため、プリント受付サーバ2はゲートウェイ(GW)10eを通じてインターネット12に接続されている。これにより、各ユーザはインターネット12に接続された各ユーザ端末としてのPC13a,13bからプリント受付サーバ2にアクセスして前述と同様にプリント申込を行うことが可能となっている。
【0030】
また、NGN1には、ゲートウェイ(以下、「GW」と称す。)10fを通じて携帯電話網14が接続されており、基地局15を通じてスマートフォン(携帯端末)16aや携帯電話機16bなどからプリント受付サーバ2にアクセスして、前述と同様にプリント申込を行うことが可能となっている。
【0031】
なお、PC11a,11b,13a,13b、スマートフォン16aや携帯電話機16b等のユーザ端末からプリント受付サーバ2へのアクセスおよびプリントデータの送信は、各ユーザ端末に搭載されているブラウザから行う構成としたり、電子メールにファイルを添付して送信する構成としたり、各ユーザ端末上で動作する専用のアプリケーションから行う構成としたりすることが可能である。
【0032】
このとき、プリント受付サーバ2は、各ユーザ端末から受信したプリントデータを、プリンタ8a,8bによるプリント出力にのみ利用可能なファイル形式の中間ファイルに変換して、蓄積サーバ3に送信する。あるいは、この中間ファイル形式への変換は各ユーザ端末上で動作する専用のアプリケーションにより行い、中間ファイル形式のプリントデータをプリント受付サーバ2が受信して蓄積サーバ3に送信する構成とすることも可能である。
【0033】
蓄積サーバ3は、このプリント受付サーバ2から送信された中間ファイル形式のプリントデータを一時蓄積するものである。蓄積サーバ3は、これらの送信された中間ファイル形式のプリントデータを各ユーザのユーザ情報と関連づけて一時蓄積する。このように、蓄積サーバ3は、ユーザ端末からプリント申込されたプリントデータを、そのままのファイル形式ではなく、プリンタ8a,8bによるプリント出力にのみ利用可能な中間ファイル形式で一時蓄積する。
【0034】
公共端末サーバ6は、公共端末7a,7bをシンクライアントとして機能させ、公共端末7a,7bに操作画面を提供し、公共端末7a,7bからの入力を受け付けるものであり、公共端末7a,7bには、操作画面および入力は一切保存されないようになっている。公共端末サーバ6は、認証サーバ4により認証されたユーザの公共端末7a,7bからの入力に基づいて、この公共端末7a,7bに紐付けされたプリンタ8a,8bへ蓄積サーバ3からプリントデータを送信させ、プリント出力させる。
【0035】
公共端末7a,7bは、ユーザがプリント受付サーバ2によりプリント申込し、蓄積サーバ3に一時蓄積したプリントデータを、所望の場所に設置されたプリンタ8a,8bからプリントする際に操作するものである。また、これらの公共端末7a,7bに接続されているカードリーダ9a,9bは、クレジットカード、会員カードや携帯電話機等に内蔵のICチップから非接触通信により情報を読み取る非接触型ICカードリーダ・ライタである。なお、カードリーダ9a,9bとしては、磁気ストライプ型のカードから読み取るものを採用することも可能である。
【0036】
前述のように公共端末7a,7bはシンクライアントとして機能するものであり、その処理は公共端末サーバ6によって行われる。公共端末7a,7bの操作画面は公共端末サーバ6によって提供され、ユーザが公共端末7a,7bを操作すると、その入力は公共端末7a,7bからの入力として公共端末サーバ6に入力される。公共端末サーバ6は、この入力に基づいてユーザの認証、プリント内容のプレビュー、公共端末7a,7bと紐付けされているプリンタ8a,8bへのプリント出力指示を行う。
【0037】
ユーザの認証は、公共端末7a,7bにそれぞれ接続されているカードリーダ9a,9bによってユーザのクレジットカード、会員カードや携帯電話機等に内蔵のICチップからカード情報を読み取ることにより行う。カードリーダ9a,9bによって読み取られたカード情報は公共端末サーバ6に入力され、認証サーバ4により認証される。各ユーザのカード情報は、予め前述のユーザ情報に紐付けされて認証サーバ4に登録されている。なお、ユーザの認証は、公共端末7a,7bからユーザがユーザ情報を入力することによって行う構成とすることも可能である。
【0038】
また、公共端末サーバ6には、前述のように公共端末7a,7bおよびプリンタ8a,8bのIPアドレスが互いに紐付けされて登録されているが、さらにその設置場所に関する情報、設置場所の周辺地域の広告情報、観光案内情報、買い物情報、クーポン券情報や割引券情報等の地域情報も登録されている。そして、公共端末7a,7bを操作してそれぞれのプリンタ8a,8bからプリントする際に、その公共端末7a,7bが設置されている場所に関連するこれらの地域情報もプリントすることが可能となっている。
【0039】
課金サーバ5は、プリント料金の課金処理を行うものである。公共端末サーバ6はユーザからのプリント申込によりプリンタ8a,8bからプリントした料金について、課金サーバ5による課金処理を行う。なお、前述のように、プリントする際に、前述の地域情報もプリントする場合には、この地域情報の情報提供者がプリント料金を負担するようにし、プリントするユーザのプリント料金を割引したり、無料としたりすることも可能である。
【0040】
次に、上記構成のプリントシステムによるプリント処理の手順について、図2のフロー図に基づいて説明する。
【0041】
まず、ユーザは、PC11a,11b,13a,13b、スマートフォン16aや携帯電話機16b等のユーザ端末からプリント受付サーバ2にアクセスし、プリント申込を行う(ステップS101)。このとき、プリント受付サーバ2に送信されたプリントデータは、プリンタ8a,8bによるプリント出力にのみ利用可能な中間ファイル形式に変換されて、蓄積サーバ3に一時蓄積される(ステップS102)。
【0042】
次に、ユーザは、所望の場所に設置されているプリンタ、例えばプリンタ8aからプリントを行う場合、このプリンタ8aに併設されている公共端末7aを操作する(ステップS103)。このとき、ユーザは、カードリーダ9aにより、ユーザのクレジットカード、会員カードや携帯電話機等に内蔵のICチップの読み取りを行い(ステップS104)、公共端末サーバ6は、認証サーバ4により認証を行う(ステップS105)。
【0043】
公共端末サーバ6は、ユーザの認証後、プリント内容のプレビュー画面をシンクライアントである公共端末7aに表示させる(ステップS106)。そして、ユーザがプレビュー画面の確認後、プリント出力を指示すると(ステップS107)、公共端末サーバ6は、この公共端末7aと紐付けされているプリンタ8aへ蓄積サーバ3から中間ファイル形式のプリントデータを送信させ、プリンタ8aからプリント出力させる(ステップS108)。
【0044】
このように本実施形態におけるプリントシステムによれば、ユーザは複数の公共の場所に設置されたプリンタ8a,8bのうち所望の場所に設置されたプリンタから安全に文書や画像などをプリントすることが可能である。すなわち、このプリンタシステムでは、NGN1に接続され、認証されて一意にIPアドレスが割り当てられたなりすましが不可能な認証サーバ4、プリント受付サーバ2、蓄積サーバ3、プリンタ8a,8b、公共端末7a,7bおよび公共端末サーバ6によりプリント処理が行われるため、プリントデータが外部に漏れることはなく、安全である。
【0045】
また、プリントは公共端末7a,7bに接続されたカードリーダ9a,9bによってユーザのカード等を読み取り、認証された後に行われるので、他人が不正にプリントを入手することはなく、安全である。また、カード情報もNGN1の外部に漏れることがなく、安全である。さらに、公共端末7a,7bはシンクライアントであり、操作画面および入力も公共端末7a,7b自体に保存されないので、公共端末7a,7bが盗難されたとしても情報の漏洩がない。
【0046】
また、本実施形態におけるプリントシステムでは、蓄積サーバ3が、ユーザ端末からプリント申込されたプリントデータを、プリンタ8a,8bによるプリント出力にのみ利用可能な形式で一時蓄積するため、より安全性が高い。特に、このプリントシステムでは、プリント受付サーバ2から蓄積サーバ3へ送信するプリントデータが、プリンタ8a,8bによるプリント出力にのみ利用可能な中間ファイル形式に変換されたものであるため、NGN1内での万一のデータ漏洩に対してもプリント内容を保護することが可能となっている。
【0047】
また、ユーザ端末としてNGN1に接続されたPC11a,11bを用いた場合には、ユーザ端末自身もなりすましが不可能であるため、ユーザ端末からのプリントデータの送信の際にプリントデータが外部に漏れることがなく、さらに安全性が高くなる。
【0048】
また、本実施形態におけるプリントシステムは、公共端末7a,7b、プリンタ8a,8bおよびカードリーダ9a,9bを各駅に設置すると、生活動線から外れることなくプリントすることが可能となる。また、ユーザのプリントデータのプリントの際に、各駅に関する情報、各駅の周辺地域の広告情報、観光案内情報、買い物情報、クーポン券情報や割引券情報等の地域情報も一緒にプリントすることが可能であり、利便性が高い。
【0049】
なお、本実施形態においては、カードリーダ9a,9bはそれぞれ公共端末7a,7bに接続した構成としているが、カードリーダ9a,9bをNGN1に接続し、それぞれ併設されたプリンタ8a,8bのIPアドレスと紐付けした構成とすることも可能である。また、ユーザが決済サービスに対応したカードを使用してカードリーダ9a,9bによる読み取りを行った場合、このカード情報を利用して課金サーバ5による課金処理を行うことも可能となる。
【0050】
さらに、このカードとしてPiTaPa(商標)やSUICA(商標)など、駅あるいはバス等の交通機関の改札機で使用するICカードを使用する場合には、ユーザのプリントデータのプリントの際に、改札機での入出札情報を利用して関連情報も一緒にプリントするなどのサービスを提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、ユーザが駅などの複数の公共の場所に設置されたプリンタのうち所望の場所に設置されたプリンタから安全に文書や画像などをプリントすることが可能なプリントシステムおよびプリント方法として有用である。
【符号の説明】
【0052】
1 NGN
2 プリント受付サーバ
3 蓄積サーバ
4 認証サーバ
5 課金サーバ
6 公共端末サーバ
7a,7b 公共端末
8a,8b プリンタ
9a,9b カードリーダ
10a,10b,10c,10d ルータ
10e,10f ゲートウェイ(GW)
11a,11b,13a,13b パーソナルコンピュータ(PC)
12 インターネット
14 携帯電話網
15 基地局
16a スマートフォン
16b 携帯電話機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証された複数のネットワーク機器に対してそれぞれ一意にIPアドレスが割り当てられる通信ネットワークに接続される前記複数のネットワーク機器の1つとしての認証サーバであり、ユーザの認証を行う認証サーバと、
前記通信ネットワークに接続される前記複数のネットワーク機器の1つとしてのプリント受付サーバであり、前記認証サーバにより認証されたユーザのユーザ端末からのプリント申込を受け付けるプリント受付サーバと、
前記通信ネットワークに接続される前記複数のネットワーク機器の1つとしての蓄積サーバであり、前記ユーザ端末からプリント申込されたプリントデータを一時蓄積する蓄積サーバと、
前記通信ネットワークに接続される前記複数のネットワーク機器の1つとしてのプリンタであり、複数の公共の場所に設置される複数のプリンタと、
前記複数のプリンタのそれぞれに併設され、前記通信ネットワークに接続される前記複数のネットワーク機器の1つとしての公共端末であり、併設されたプリンタのIPアドレスと紐付けされた公共端末と、
前記公共端末をシンクライアントとして機能させ、前記公共端末に操作画面を提供し、前記公共端末からの入力を受け付ける公共端末サーバであり、前記認証サーバにより認証されたユーザの前記公共端末からの入力に基づいて、この公共端末に紐付けされたプリンタへ前記蓄積サーバからプリントデータを送信させ、プリント出力させる公共端末サーバと
を含むプリントシステム。
【請求項2】
前記公共端末に接続されたカードリーダ、または前記複数のプリンタのそれぞれに併設され、前記通信ネットワークに接続される前記複数のネットワーク機器の1つとしてのカードリーダであり、併設されたプリンタのIPアドレスとそれぞれ紐付けされたカードリーダをさらに含み、
前記認証サーバは、前記カードリーダによって前記ユーザのカードから読み取った情報に基づいて前記ユーザを認証するものである
請求項1記載のプリントシステム。
【請求項3】
前記プリント受付サーバから前記蓄積サーバへ送信されるプリントデータは、前記プリンタによるプリント出力にのみ利用可能な形式の中間ファイルであり、前記蓄積サーバは、前記中間ファイルを一時蓄積するものである請求項1または2に記載のプリントシステム。
【請求項4】
前記ユーザ端末は、前記通信ネットワークに接続される前記複数のネットワーク機器の1つである請求項1から3のいずれかに記載のプリントシステム。
【請求項5】
認証された複数のネットワーク機器に対してそれぞれ一意にIPアドレスが割り当てられる通信ネットワークに接続される前記複数のネットワーク機器の1つとしての認証サーバと、
前記通信ネットワークに接続される前記複数のネットワーク機器の1つとしてのプリント受付サーバと、
前記通信ネットワークに接続される前記複数のネットワーク機器の1つとしての蓄積サーバと、
前記通信ネットワークに接続される前記複数のネットワーク機器の1つとしてのプリンタであり、複数の公共の場所に設置される複数のプリンタと、
前記複数のプリンタのそれぞれに併設され、前記通信ネットワークに接続される前記複数のネットワーク機器の1つとしての公共端末であり、併設されたプリンタのIPアドレスと紐付けされた公共端末と、
前記公共端末をシンクライアントとして機能させ、前記公共端末に操作画面を提供し、前記公共端末からの入力を受け付ける公共端末サーバと
によるプリント方法であって、
前記認証サーバにより認証されたユーザのユーザ端末からのプリント申込を前記プリント受付サーバにより受け付けること、
前記ユーザ端末からプリント申込されたプリントデータを前記蓄積サーバに一時蓄積すること、
前記公共端末サーバが、前記認証サーバにより認証されたユーザの前記公共端末からの入力に基づいて、この公共端末に紐付けされたプリンタへ前記蓄積サーバからプリントデータを送信させ、プリント出力させること
を含むプリント方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−64063(P2012−64063A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208678(P2010−208678)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(399038631)
【出願人】(508158241)
【出願人】(510250629)
【出願人】(510250630)
【出願人】(510250641)
【Fターム(参考)】