説明

プリントシステム

【課題】 プリンタがバッテリー等の電池で駆動されているモバイル型の場合は、電池の残量が無くなった場合、ホストとの通信の途中でもプリンタの電源をオフする。このため、印刷が無駄になる事が多かった。
【解決手段】 複数のプリンタのうちのいずれか1つのプリンタとホスト装置とを所定の通信規約により通信の接続を行なうプリントシステムであって、ホスト装置は、通信の接続を行なってプリンタに記録データを送信している間に、プリンタが所定の状態になった場合、通信の接続をやめ、複数のプリンタのうちの他のプリンタを選択し、選択したプリンタと通信の接続を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子カメラ等の撮像装置や移動通信端末及びパーソナル情報携帯装置とプリンタ、特に電池駆動のプリンタと無線データ通信によりデータの送受信を行う無線データ通信装置及びそれを利用したプリントシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話等の通信装置、電子カメラ等の画像を撮像する撮像装置(以下、DSC)、Personal Data Assistant(以下、PDA)などのパーソナル情報携帯装置や、パーソナルコンピュータ(以下、PC)とのインターフェイスを有するプリンタ出力装置に於いて、これらの通信装置や撮像装置或いは、PDA、PCから画像や、ドキュメント等を印刷するときは、個々にプリンタとケーブル接続したり、ネットワーク接続を経由して印刷されているのが一般的である(特許文献1)。
【0003】
このような環境において、特に、プリンタがバッテリー等の電池で駆動されているモバイル型の場合は、電池の残量が無くなっても予備の電池に交換するためには、プリンタの電源を切るしかなく、そのまま使用し続けると強制的に電源が切断される事態となり、何れにせよ印刷を途中で終了するしか方法がなく、それまでの印刷が無駄になる事が多かった。或いは、電池残量が少なくなるとACアダプタなどを接続して電池駆動からAC駆動に切り替える必要があり、常にACアダプターを携帯しなければならず煩わしさがあった。
【0004】
以下、図8を用いて従来例を以下説明する。
【0005】
図8は、パーソナルコンピュータ802と内蔵或いは、外部取り付けのバッテリー801にて駆動される出力機器であるプリンタ800を所定のケーブル803、例えばUSBケーブルにて接続するようにした一般的なPCとプリンタの接続形態である。PC802に実装されている不図示の専用ソフトウエア(以下、アプリケーションソフトウエア)の制御の基に、ユーザーは、所望の画像或いは、ドキュメントをケーブル803を介してプリンタ800に出力することになる。
【0006】
この状態において、プリンタ800に装着されているバッテリー801の電池残量が充分なときは、PC802からの印刷データを印刷することが可能であるが、一般的にバッテリー駆動型のプリンタ、特にインクジェットプリンタなどのプリンタ800は、インクの乾燥によるインクヘッドのノズル(不図示)詰まりを防止するために、電源が切断されているときや動作待機時などには、所定の位置で前記ヘッドノズルに乾燥防止用の蓋をするようになっている。この為、プリンタ800は、バッテリーの電池残量が少なくなり印刷できなくなると予測すると、プリンタ800は、完全に動作できなくなる前に前記説明したようにインクヘッドを所定の位置へ待機してノズルに蓋をすることになる。その為には、常にバッテリーの残量を検知する必要がある。
【0007】
したがって、印刷の途中であってもヘッドノズルの詰まりを防止するためには、ユーザーにバッテリー801の残量がないことを警告し、ACアダプタ804の接続か、或いは、一端ACアダプタ804をプリンタ800に装着後にバッテリー801の交換を促すことになるが、バッテリー駆動型であるため常にACアダプタ804や予備のバッテリー801を携帯しているとは限らず、またこのような警告状態になってあわてて準備をするなど煩わしさがあった。
【0008】
更には、予備のバッテリー801のみしか携帯していない場合は、印刷途中でバッテリー801を外すこともできず、結果として一度印刷を中止し、インクヘッドを所定の位置へ待機させてノズルに蓋をした後、電源を切断することになる。この為、印刷していたドキュメントは途中でキャンセルすることになってしまう。したがって、予備のバッテリー801を装着後に再度PC802から印刷をやり直す必要が発生し、それまで印刷していたドキュメントは用紙の途中で印刷が中止となったりするために無駄になることもあった。
【特許文献1】特開2003−198411号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような従来のPCなどの情報機器とバッテリー駆動型プリンタの接続形態によるプリントシステムにおいては、常にACアダプタ804や予備のバッテリー801を携帯している必要があり煩わしさがあった。
【0010】
また、予備のバッテリー801のみしか携帯していない場合は、印刷途中でバッテリー801を外すこともできず、結果として一度印刷を中止し、予備のバッテリー801を装着後に再度PC802から印刷をやり直す必要が発生し、それまで印刷していたドキュメントは用紙の途中で印刷が中止となったりするために無駄になるという問題点があった。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みて、発明されたものであり、パーソナルコンピュータなどの情報機器と印刷装置であるプリンタとを無線データ通信により接続することにより、プリンタ側の電源異常状態時には、接続先のプリンタを他の無線接続可能なプリンタや情報機器などに自在に変更することにより、ACアダプタや予備のバッテリー等を必要とせず、また印刷途中までのドキュメントや画像データなどを無駄にせず、且つ確実に印刷できる印刷システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明はかかる目的を達成するために、プリンタにプリンタの電池状態を検出する電池残量検出手段と電池残量情報や、ドキュメント及び画像データ等の印刷情報を送受信する無線データ通信手段とを搭載する。また、無線データ通信機能を備える情報機器には、接続先のプリンタからの要求により接続先プリンタを切り替える手段を搭載する。これにより無線データ通信機能を有する情報機器との接続や、印刷中に電池残量なしなどの印刷中のプリンタの動作に異常が発生した場合、接続切り替え要求を送信することにより、接続先の情報機器は、同様の無線データ通信機能を備える代替のプリンタと再接続をして印刷することが可能な印刷システムを提供できる。また、無線データ通信手段をBluetoothやIrDAなどの方式を用いて、通信規約(以下、プロファイル)に則った無線データ通信により送受信することも可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上、説明した様に近距離無線データ通信を使用することにより、プリンタに搭載されたプリンタの異常検知手段の出力を通信回線接続されている通信装置に送信することにより、接続された通信回線を切断し、再度別の接続可能なプリンタと新たな通信回線を接続して印刷処理を続行することが可能となり不必要な印刷を避けることが可能となる。特にプリンタが電池駆動型の場合は、プリンタの電源を切断する必要もなく、またACアダプターや予備のバッテリを常に携行する煩わしさもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第一の実施例)
以下、本発明の実施例に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の第一の実施形態の接続手順のシーケンスを示す図である。図2は、本発明の第一の実施形態のシステム全体構成ブロックを示す図である。また、図3及び図4は、本実施例におけるプリンタA100と通信装置200の構成ブロックを示す図である。
【0016】
図2において、100は、無線データ通信機能を有するバッテリー駆動型印刷装置200(以下、プリンタA)は、通信装置としてのNoteBook PC200(無線データ通信機能を有する携帯電話或いは、PDA等の機器でもよい)は、無線データ通信機能を有する他の印刷装置300(以下、プリンタB)である。
【0017】
図3及び図4において、プリンタA100は、通信部103及びアンテナ110を介して、通信装置200は、通信部208及びアンテナ209を介して、無線データ通信にて相互にコマンド、ドキュメント及び画像データを含むデータの送受信を可能としている。また、プリンタA100と通信装置200間の無線データ通信は、Bluetooth等のスペクトラム拡散方式やIrDAなどの赤外線通信方式により行われている。すなわち、通信部103、208は、前述のBluetoothやIrDAなどの通信規約(以下、プロファイル)に則った無線データ通信により送受信出来る必要がある。Bluetoothは、スエーデンのEricsson社などが開発した近距離無線データ通信技術で、主にコンピュータと携帯電話などの移動体通信装置とを無線で接続することを目的とした技術である。データ通信を実行する双方の通信部103,208は、Bluetooth等の所定のプロファイルを搭載しておく必要があるのは、言うまでもない。
【0018】
Bluetoothは、現在は、最大伝送距離は、10メートルで、最大データ転送速度は、1Mbpsである。また、IrDAは、赤外線を利用した通信技術であり、Bluetoothの場合と同様に、双方の通信部103、208は、赤外線の受光/発光部である必要がある。
【0019】
プリンタA100は、電源投入後プリンタ制御部102のワークエリアであるランダムアクセスメモリ107(以下、RAM)の初期化、プリンタエンジン101の初期化、通信部103の初期化を実行した後、通信部103、アンテナ110を介して他の無線データ通信装置との接続待ち状態となり通信待機状態となる。
【0020】
一方通信装置200は、キー操作部203からのキー操作入力の指示の基に、プリンタA100との通信接続をし、通信部208、アンテナ209を介して送受信が可能となる。
【0021】
以下、図3及び図4の詳細を説明をする。図2において、101は、プリンタエンジンであって、プリントヘッド、プリントヘッド搬送機構、印刷用紙の搬送機構及びその駆動モータ等を装備したものである。
【0022】
102は、プリンタA100の全体を制御するプリンタ制御部であり、プリンタエンジン101を駆動制御したり、電池残量検知部104からの情報を管理したり、通信部103とのデータの送受信を制御するプリンタ制御部であり、マイクロコントローラ(不図示、以下、CPU)や専用回路(以下、ASIC)等で構成されている。
【0023】
103は、通信部で、Bluetooth等のスペクトラム拡散通信やIrDA等の赤外線通信等の各種近距離データ通信機能を有する。110は、通信部103によりプリンタA100を他の機器と接続するためのアンテナである。
【0024】
104は、プリンタA100に内蔵、若しくは外部接続された電池109の電池残量を検知する電池残量検知部であり、電池109の電池電圧などを検出したり、電池109からの消費電流を積算して電池109の残量を予測、検知する制御部である。電池残量がプリンタA100の動作を保証する予め決められた所定の残量より少なくなったと判断した場合は、プリンタ制御部102に動作状態情報として通知、或いは警告する。
【0025】
105は、不図示のACアダプタ或は、電池109などの直流電源からシステム電源を生成する電源部である。106は、プリンタA100の操作部であり、プリンタA100の電源スイッチや状態表示用のLED等で構成される。107は、プリンタ制御部102のCPUが動作するときの作業用メモリや一時記憶部として使用する記憶部であり、RAMである。
【0026】
108は、プリンタ制御部102の動作用の定数、変数、プログラムが格納されているリードオンリーメモリ(以下、ROM)であって、プリンタ制御部102、通信部103などの制御プログラムや電池残量検知部104からの情報により接続先プリンタの切り替え要求を発行するなどの制御プログラムやBluetoothやIrDA等のプロファイルのソフトウエア等が格納されている。
【0027】
109は、プリンタA100に装着される内蔵或いは、外部接続されたバッテリーであり、ニッケルカドニウムやリチウムイオンなどの二次電池が一般的に用いられている。
【0028】
110は、通信部103と接続されるアンテナであり、他の無線データ通信装置と無線データ通信をするためのアンテナである。
【0029】
111は、インク残量を検出するためのインク残量検知部であり、反射型のフォトセンサーなどの光学センサーで構成されており、インク残量がなくなったときにプリンタ制御部102に警告を出力する。
【0030】
112は、印刷用紙の検出部であり、一般的には、プリンタエンジン101の紙搬送機構の中に組み込まれており、フォトインタラプタなどの光学センサーで構成され、印刷用紙が給紙される時に印刷用紙がセンサーを通過することで、印刷用紙検出部112の出力が変化し、この変化を判定することで、用紙の有り無し、或いは、紙ジャムなどを検知することが出来る。
【0031】
また、プリンタBは、電源供給の形態がAC電源駆動である点が、プリンタAと異なる点以外は、基本的にプリンタAと同様の構成を成す物である為、詳細の説明は省略する。
【0032】
図4において、201は、通信装置200全体を制御するマイクロプロセッサであり、ROM205に格納されているプログラムに従って、システム制御部202に指示をする。
【0033】
202は、システム制御部であり、CPU201の指示の基に通信装置200のすべての制御を司る制御部であり専用回路で構成される制御部であり、記憶装置207とのデータの書き込み、読み出しや表示部206に表示データを送信したりする。またキー操作部203からのキー指示データの読み込みや通信部208とのデータの送受信などの制御もすることになる。
【0034】
203は、システム制御部202の各種動作指示を入力するための操作部であり、スイッチやダイヤル、タッチパネル、ポインティングデバイスなどの単一或は、複数の組合わせにて構成される。
【0035】
操作部203によれば、通信装置200の電源の接/断、通話の実行/停止、電話番号の入力/選択、通信モードの切替え、機能の選択等の操作を行うことが出来る。
【0036】
204は、CPU201及び専用回路から構成されるシステム制御部の作業用メモリや、プリンタA100から送信された動作状態情報などを格納するためのメモリでありRAMなどで構成されている。
【0037】
205は、システム制御部202の制御用プログラム、システムの起動用の制御プログラムやBluetoothやIrDA等のプロファイルのソフトウエア等や動作用の各種定数、変数等が格納されている。ROM、或いは、電気的に消去/再書き込みができる不揮発性のメモリ(以下、EEPROM)などで構成されている。
【0038】
206は、システム制御部202でのプログラムの実行に応じて、RAM204に格納された画像データや操作部203からの操作指示情報で動作状況やメッセージなどを表示する画像表示部であり、液晶表示器(以下、LCD)などにて構成される。
【0039】
207は、記憶装置であり、一時的にデータを記憶したり、或いは、アプリケーションソフトウエアを記憶しておくための記憶装置である。また、接続先プリンタの切り替えを指示するなどの印刷制御プログラムの他、通信装置と送受信したデータを格納したりするためにも使用されるものであり、ハードディスク装置や半導体メモリやメモリカードなどで構成される。ROM205に格納されているシステム制御プログラムを格納することも可能である。
【0040】
208は、通信部であり、Bluetooth等のスペクトラム拡散通信、IrDA等の赤外線通信等の各種近距離無線データ通信機能を有する。209は、通信部208により通信装置200を他の近距離データ通信装置と接続するアンテナである。
【0041】
210は、電源部であり、通信装置200の各部が必要とするシステム電源を生成する回路で、AC電源入力からシステムの電源を生成する。
【0042】
次に、図1の接続手順シーケンス図及び図5、図6の初期処理フロー図を用いて第一の実施例の詳細を説明する。
【0043】
図5は、接続先プリンタA及びプリンタBの初期処理フローであり、また、図6は、接続先ホスト(以下、通信装置)の初期処理フローである。また、通信に関する動作は、BluetoothやIrDA等の近距離無線データ通信技術の通信規約等に規定されている方式に則って実施されるものとし、詳細の説明は、省くが基本的な動作の流れを図1の接続手順シーケンス図を用いて説明する。
【0044】
先ず、図2のシステム構成において、プリンタA100の操作部106の電源スイッチ(不図示)を押下することにより電源の接続をすると、S1において、ROM108に格納されているプログラムの制御の基にプリンタ制御部102は、操作部106の電源ON表示LED(不図示)の表示やプリンタA100のプリンタエンジン101およびRAM107等の初期化を実行する。即ち、ワークRAMのクリアやプリンタエンジン101のプリントヘッド(不図示)などの機構を初期位置へ戻す。
【0045】
次に、S2において、ROM108に格納されている通信部103の制御に関する変数等、例えば、通信部の初期周波数や通信部103との通信速度(ボーレイト)等をRAM107に設定したり、または、通信部103へ送り通信部103の初期設定を実行する。
【0046】
この後、S3へと移行し、プリンタA100は、通信待機状態になり通信装置200からの指示待ち状態となる。この状態では、プリンタA100が通常装備している不図示のUSBやセントロニクスなどのインターフェイスを介して入力されるケーブル接続された不図示のホストからのデータを受信し、印刷できることは言うまでもない。また、同様にプリンタB300もプリンタBの操作部(不図示)の操作により、電源投入されたのち通信待機状態となり、通信装置200からの指示待ち状態となる。
【0047】
一方、通信装置200においても、通信装置200の操作部203の電源スイッチ(不図示)を押下することにより、電源の接続をすると、S4にて、ROM205に格納されたプログラムの制御の基に、システム制御部202は、プリンタA100と同様にRAM204の初期化及び、表示部206の初期化を実行する。
【0048】
次に、S5において、通信部208の制御に関する変数等、例えば、通信部の初期周波数や通信部208との通信速度(ボーレイト)等をRAM204に設定したり、または、通信部208へ送り通信部208の初期設定を実行する。
【0049】
通信部208の初期化を実行した後、S6にて、記憶装置207に格納されているオペレーティング ソフトウエア(以下、OS)の制御の基に、アプリケーションソフトウエアを実行し、操作部203からのユーザーの指示待ち状態になる。
【0050】
いま、ユーザーが、ROM205或いは、記憶装置207に格納されているアプリケーションソフトウエアにて、画像やドキュメントを印刷しようとすると、印刷制御用のアプリケーションソフトウエアが前述のOSの制御の基に起動され、印刷先のプリンタの指定が要求される。通常、ケーブル接続されているプリンタの場合は、印刷制御用のアプリケーションソフトウエアが表示部206に表示する接続先プリンタを選択指定すれば良いのは、言うまでもないが、無線接続する場合は、まず、所定の手続に則り無線接続の回線を接続する(以下、リンクをはる)必要がある。したがって、印刷開始する前に、リンクをはる必要がある。
【0051】
ここで、リンクをはるために、無線接続するプリンタとの接続手順を図1の接続手順のシーケンス図を用いて詳細に説明する。
【0052】
先ず、通信装置200は、周囲の無線データ通信が可能な接続先プリンタを検索する必要がある。すなわち、SQ1では、周囲に近距離無線データ通信が可能な装置(接続先プリンタ)が所在しているか否かを調べるために、通信部208、アンテナ209を介して全ての装置に対して接続要求信号を送信して所定の検索方法にて検索する。この時の手続きは、BluetoothやIrDAなどの通信規約に則り通信装置を検索し、通信可能な装置から装置の識別番号等の応答を待つことになる。
【0053】
この時、接続先プリンタであるプリンタA100は、アンテナ110、通信部103を介して受信した接続先ホストである通信装置200からの接続要求信号を検出し、SQ2の返答をする。
【0054】
つまり、SQ2では、通信装置200の接続要求が何であるかを判断する。即ち、Bluetooth等の通信規約に則って接続先プリンタの検索要求(例えば、「Get DeviceID」)なのか、自分への接続要求(例えば、「Connection Request」)なのかを判別する。接続先プリンタの識別信号要求と判断すれば、SQ2にて、プリンタAは、例えば「INK JET PRINTER A」という識別番号(以下、ID)や通信接続可能状態である旨の通知、例えば、「Ready」を返答し、同様に、プリンタBは、SQ3にて、例えば「INK JET PRINTER B」という識別番号(以下、ID)や通信接続可能状態である旨の通知、例えば、「Ready」を接続先ホストである通信装置200に対して、それぞれ返答する。応答送信後は、再び接続先ホストである通信装置200からの要求待ちの通信待機状態となる。
【0055】
この様にして、プリンタA100からの識別番号であるIDやプリンタA100の通信接続可能状態の通知及び本プリンタA100以外の接続可能プリンタB300からの同様の通知をアンテナ209、通信部208を介して応答受信した通信装置200は、表示部206に接続可能なプリンタデバイスの識別番号、接続可能状態などの情報を一覧として表示する。即ち、本実施例の場合、「INK JET PRINTER A」「INK JET PRINTER B」の二つのプリンタからの識別番号や状態を表示することになる。
【0056】
ここで、ユーザは、表示部206に表示された前記接続可能デバイスの一覧から接続可能な装置のIDを操作部203を用いて、例えば、一般的に装備されている不図示のスクロールキーなどを用いて、「INK JET PRINTER A」を接続先プリンタとして選択指定すると、SQ4において、システム制御部202は、無線部208、アンテナ209を介して、選択された接続先プリンタであるところの「INK JET PRINTER A」のプリンタA100とのみ再接続の要求のためにID及び接続要求指示を送信する。例えば、IDとしての「INK JET PRINTER A」及び「Connection Request」を送信する。
【0057】
一方、この要求を受信したプリンタA100は、接続先のIDから自分が選択されたと判断し、また受信した信号から接続要求(「Connection Request」)であると判断して、Bluetooth等の通信プロファイルに則り、接続先ホストである通信装置200と通信回線接続を実行する。この段階で、プリンタA100と通信装置200は、それぞれのアンテナ110、209、通信部103、208を介して、近距離無線データ通信回線が結ばれたことになる。いわゆる、リンクがはれた状態になる。この時、プリンタBは、プリンタAと同様にID及び接続要求指示を受信するが、接続要求先のIDが自分のIDと異なるために待機状態のままでいることになる。
【0058】
次に、SQ5にて、プリンタA100は、通信回線の接続が完了すると、これ以降の無線データ通信の準備が完了したという旨の通知を接続先ホストである通信装置200に応答送信する。例えば、「Connection Ready」の応答を送信して、接続先ホストである通信装置200からの次の要求受信待ち状態で待機する。
【0059】
この状態になって、初めてアプリケーションソフトからの印刷をすることが可能となる。即ち、SQ6において、通信装置200は、アプリケーションソフトウエア及び、印刷制御用のソフトウエアの制御の基に接続先のプリンタA100を選択指定し、システム制御部202にて所望の印刷データを作成し、記憶装置207に一時的にプリントデータとして記憶すると共に、逐次印刷データをプリンタA100に送信する。送信する印刷データは、プリンタAがサポート可能なデータ形式で有れば良く、一般的には、ビットマップデータなどが扱われるが、プリンタAが、JPEGなどの画像ファイル形式をサポートしていれば、ファイル形式であっても構わない。
【0060】
この状態で、プリンタA100は、通信装置200からの受信データを印刷開始することになる。ここで、プリンタA100は、電池駆動型のプリンタであるため、電池残量が充分にあったとしても稼働時間には限りがあり、印刷稼働中に電池残量が少なくなり残量警告を検知してしまう事が考えられる。
【0061】
一般的にインクジェットプリンタでは、従来例でも説明したようにヘッドのノズルの乾燥を防止しノズルの詰まりを防ぐためにインクヘッドに蓋をするように構成されており、電池駆動型のプリンタの場合は、この目的のために常に電池残量を検知し、駆動可能時間を予測しておく必要がある。
【0062】
したがって、印刷中に電池残量検知部104が電池109の残量が少ないと検知すると電池の交換をユーザーに促す警告をするのが通常であるが、本実施例の場合は、プリンタの接続先を変更するように、プリンタA100のプリンタ制御部102が通信装置200に対して、切り替えのための警告を送信するように制御する。
【0063】
SQ7において、電池残量検知部104の検出出力を受信したプリンタ制御部102は、電池109の状態情報として電池残量警告の通知を通信装置200に送信する。例えば、「Battery Low」などの警告を印刷中でも送信する。
【0064】
SQ8において、電池残量警告を受信した通信装置200は、直ちにプリンタA100への印刷データの送信を中止し、プリンタA100に通信回線の切断要求、例えば、「Disconnection Request」を送信する。
【0065】
SQ9において、回線の切断要求を受信したプリンタA100は、通信回線の切断要求の了解通知、例えば、「ACK Disconnection」を通信装置200に送信し、通信回線の切断処理を実行すると共に、RAM107に残っている印刷データを印刷終了後にプリンタエンジン101の動作を止め、プリントヘッド(不図示)を初期位置へ移動させてヘッドノズルの乾燥防止の蓋をして待機状態になる。
【0066】
SQ10においては、SQ9にて回線切断要求の了解通知を受信した通信装置200は、記憶装置207に格納されているプリンタの切り換え手段である印刷制御プログラムの制御の基に、プリンタA100が確実に回線切断処理に移行したと判断し、プリンタA100との通信回線を切断する。
【0067】
更に、前述のSQ1からSQ3にて検索したとき応答のあったプリンタBとの回線接続を実行するために、SQ4と同様に、通信装置200のシステム制御部202は、無線部208、アンテナ209を介して、表示部206に表示されていた接続可能デバイスの一覧から自動的に次の接続可能なプリンタであるプリンタB300を選択し、接続先プリンタであるところの「INK JET PRINTER B」のプリンタA300とのみ再接続の要求のためにID及び接続要求指示を送信する。例えば、IDとしての「INK JET PRINTER B」及び「Connection Request」を送信する。
【0068】
一方、この要求を受信したプリンタB300は、接続先のIDから自分が選択されたと判断し、また受信した信号から接続要求(「Connection Request」)であると判断して、Bluetooth等の通信プロファイルに則り、接続先ホストである通信装置200と通信回線接続を実行する。この段階で、プリンタB300と通信装置200は、近距離無線データ通信回線が結ばれたことになる。いわゆる、リンクがはれた状態になる。この時、プリンタAは、プリンタBと同様にID及び接続要求指示を受信するが、接続要求先のIDが自分のIDと異なるために待機状態のままでいることになる。
【0069】
次に、プリンタB300は、通信回線の接続が完了すると、SQ11にて、これ以降の無線データ通信の準備が完了したという旨の接続完了通知を接続先ホストである通信装置200に応答送信する。例えば、「Connection Ready」の応答を送信して、接続先ホストである通信装置200からの次の要求受信待ち状態で待機する。
【0070】
プリンタB300から接続完了通知を受信した後、アプリケーションソフトからの印刷をすることが可能となり、SQ12において、通信装置200は、前期SQ6において作成され一時的に記憶装置207に記憶されていたプリントデータを再度読み出し印刷データとして自動選択指定したプリンタB300に再送信する。
【0071】
次に、SQ13では、プリンタB300は、通信回線を経由して受信した印刷データを順次印刷し、印刷が完了するとプリンタB300は、印刷が終了した旨の印刷完了通知を通信装置200に送信する。例えば、「Print Complete」などを送信する。
【0072】
SQ14にて、「Print Complete」の印刷完了通知を受信した通信装置200は、プリンタB300に通信回線の切断要求、例えば、「Disconnection Request」を送信する。
【0073】
SQ15において、回線の切断要求を受信したプリンタB300は、通信回線の切断要求の了解通知、例えば、「ACK Disconnection」を通信装置200に送信し、通信回線の切断処理を実行すると共に、プリントヘッド(不図示)を初期位置へ移動させてヘッドノズルの乾燥防止の蓋をして待機状態になる。
【0074】
一方、プリンタB300からの通信回線切断要求を了解通知「ACK Disconnection」を受信すると通信装置200は、プリンタ側の通信回線切断処理が実行されたと判断し、通信装置200の通信回線の切断処理を実行し初期化直後の状態に戻り操作部203からの指示待ち状態となる。
【0075】
以上、第一の実施例では、電池駆動型の電池残量の状態によって無線接続先のプリンタを切り換えるシステムを説明したが、電池駆動型のプリンタ以外でも印刷途中での異常状態が発生するときがある。即ち、インクなし警告や印刷用紙なし警告、或いは、紙ジャムなどでの用紙搬送不良などが考えられる。
【0076】
これらの異常時においても、第一の実施例と同様に接続先を切り換えることにより不要な印刷や途中でのシステム切断などの煩わしさを回避することが可能となる。
【0077】
図7は、他の実施例の接続手順シーケンス図である。基本的な接続手順は、第一の実施例と同様であるので詳細の説明は省略するが、図7のSQ7において、接続先のプリンタA100は、プリンタ制御回路102にインク残量検知部111からのインクなしの信号を受信すると通信装置200にインクなしの警告、例えば「Out OF Ink」を送信する。
【0078】
或いは、用紙検知部112からの用紙無しの信号を受信すると通信装置200に用紙なしの警告、例えば「Out Of Paper」を送信する。「Out Of Ink」や「Out Of Paper」の通知を受信した通信装置200は、第一の実施例と同様にSQ8〜SQ15の手順を実行し、プリンタを他の接続可能なプリンタに切り換えて印刷動作を完了させることになる。
【0079】
ここでのプリンタ異常時の警告は、その一例であり、その他の警告にも利用できることは言うまでもない。
【0080】
以上の説明は、BluetoothやIrDA等の近距離無線データ通信で説明してきたが、この他の無線データ通信方式や双方向通信機能を有する有線の通信方式に適用できることは、言うまでもない。また、通信装置200としてパーソナルコンピュータで説明してきたが、近距離無線データ通信機能を装備し、印刷機能を有するアプリケーションソフトウエアを搭載し、キー入力等の入力手段及び表示器を有する機器、例えば、携帯電話、パーソナル データ アシスタントやデジタルテレビなどの機器にも適用できることは明らかである。また、本実施例では、無線データ通信機能を有するプリンタが二つの場合で説明してきたが、プリンタのそれぞれが識別番号を持つために使用したいプリンタの判別が可能であり、接続可能台数を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】第一の実施例の接続手順のシーケンス図
【図2】第一の実施例のシステム全体構成ブロック
【図3】第一の実施例の印刷装置の構成ブロック図
【図4】第一の実施例の通信装置の構成ブロック図
【図5】接続先プリンタA及びプリンタBの初期処理フロー
【図6】接続先ホスト(通信装置)の初期処理フロー
【図7】他の実施例の接続手順のシーケンス図
【図8】従来例
【符号の説明】
【0082】
100 プリンタA
101 プリンタエンジン
102 プリンタ制御部
103 通信部
104 電池残量検知部
105 電源部
106 操作部
107 ランダムアクセスメモリ(RAM)
108 リードオンリーメモリ(ROM)
109 電池
110 アンテナ
111 電池残量検知部
112 用紙検知部
200 通信装置
201 CPU
202 システム制御部
203 キー操作部
204 ランダムアクセスメモリ(RAM)
205 リードオンリーメモリ(ROM)
206 表示部
207 記憶装置
208 通信部
209 アンテナ
210 電源部
300 プリンタB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプリンタのうちのいずれか1つのプリンタとホスト装置とを所定の通信規約により通信の接続を行なうプリントシステムであって、
前記ホスト装置は、前記通信の接続を行なって前記プリンタに記録データを送信している間に、前記プリンタが所定の状態になった場合、前記通信の接続をやめ、前記複数のプリンタのうちの他のプリンタを選択し、選択したプリンタと通信の接続を行なうことを特徴とするプリントシステム。
【請求項2】
前記プリンタは、インクジェット方式であることを特徴とする請求項1に記載のプリントシステム。
【請求項3】
前記プリンタは、二次電池で駆動可能とすることを特徴とする請求項1、2に記載のプリントシステム。
【請求項4】
前記プリンタは、電池残量検出手段を備え、前記所定の状態は、前記電池残量検出手段がインクの残量が所定量より少なくなったことを検知した状態であることを特徴とする請求項1のプリントシステム。
【請求項5】
前記プリンタは、二次電池残量検出手段を備え、前記所定の状態は、前記二次電池残量検出手段が前記二次電池の残量が所定量より少なくなったことを検知した状態であることを特徴とする請求項1のプリントシステム。
【請求項6】
前記ホスト装置が、携帯端末、パーソナルコンピュータ、携帯電話のいずれかであることを特徴とする請求項1のプリントシステム。
【請求項7】
前記通信規約が、Bluetoothまたは、IrDAよりなることを特徴とする請求項1のプリントシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−11809(P2006−11809A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187857(P2004−187857)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】