説明

プリント回路板及びこれを用いたICカード

【課題】ICカードの主面を平坦に保つことができるプリント回路板及びICカードを提供する。
【解決手段】基材10と、基材10の主面10Aに実装される第1電子部品20a,b及びこの第1電子部品20a,bよりも高さの高い第2電子部品30a,bと、基材10の主面10A側に、第1電子部品20a,bの高さ方向Zに積層される複数のシート80と、を備え、シート80は、第1電子部品20a,bと第2電子部品30a,bに対応する所定の領域に第1欠損部91abが形成された第1シート81と、第1シート81に積層され、第2電子部品30a,bに対応する所定の領域に第2欠損部92b1,92b2が形成された第2シート82,83と、を含み、第1シート81の厚さは第1電子部品20a,bの高さ以上とし、第1シート81と第2シート82、83の積層体の合計の厚さは第2電子部品30a,bの高さ以上とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品が実装されたプリント回路板及びこれを用いたICカードに関する。
【背景技術】
【0002】
対向する一対のリライトシートとICチップが実装されたインレットシートの間に、ICチップに嵌合する開口部が設けられたコアシートが接着されているリライト記録媒体が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−207431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年のICカードの機能の多様化に伴い、高さの異なる電子部品が同一基材に実装されるタイプのものが増えている。従来の技術では、一つのICチップの高さに合わせた厚さを有する一枚のコアシートが配置されるので、その電子部品の実装された部分では平坦化を図ることができるものの、高さの異なる電子部品が実装された部分においては凹凸が生じてしまうため、ICカードの主面を平坦にすることができないという問題がある。
【0005】
高さの異なる電子部品が実装された部分において凹凸が生じると、ICカードが曲げられたときに内部の電子部品や配線に応力が集中して作用する場合があり、ICカードの耐久性が損なわれるという問題がある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、一の基材に高さの異なる電子部品を実装する場合であっても、各電子部品が実装された部分に凹凸を生じさせずに、ICカードの主面を平坦に保つことができるプリント回路板及びICカードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基材と、前記基材の主面に実装される第1電子部品及び当該第1電子部品よりも高さの高い第2電子部品と、前記基材の主面側に、前記電子部品の高さ方向に積層される複数のシートと、を備え、前記シートは、前記第1電子部品と前記第2電子部品の実装領域に対応する所定の領域に第1欠損部が形成された第1シートと、前記第1シートに積層され、前記第2電子部品に対応する所定の領域に第2欠損部が形成された第2シートと、を含み、前記第1シートの厚さは前記第1電子部品の高さ以上、かつ、第2電子部品の高さより低く、前記第1シートと前記第2シートの積層体の厚さは前記第2電子部品の高さ以上であることを特徴とするプリント回路板を提供することにより、上記課題を解決する。
【0008】
上記発明において、前記欠損部の面積は、当該欠損部が対応する前記電子部品の実装領域の面積よりも大きく構成することができる。
【0009】
上記発明において、前記欠損部を、平面視において曲線を含む形状に形成することができる。
【0010】
上記発明において、前記第1欠損部を、前記第1電子部品及び前記第2電子部品の実装領域に対応する所定の領域に形成することができる。
【0011】
上記発明において、前記第1欠損部を、前記第1電子部品の実装領域に対応する所定の領域に形成された欠損部と、前記第2電子部品の実装領域に対応する所定の領域に形成された欠損部とを含むように構成することができる。
【0012】
上記発明において、基材と、前記基材の主面に実装される高さの異なる複数の電子部品と、前記基材の主面側に、前記電子部品の高さ方向に積層される複数のシートと、を備え、前記シートは、前記電子部品の実装領域に対応する所定の領域に形成された欠損部を有し、前記複数のシートのうち、前記基材の主面側に積層された下層側シートに形成された欠損部の面積は、当該下層側のシートよりも前記電子部品の高さ方向側に積層された上層側シートの欠損部の面積よりも大きいことを特徴とするプリント回路板を提供することにより、上記課題を解決する。
【0013】
上記発明において、上記発明に係るプリント回路板と、このプリント回路板の最上層に積層された外装材とを有するICカードを提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、複数の電子部品の実装領域及び電子部品の高さに応じて欠損部がそれぞれ形成されたシートを積層するので、一つの基材に高さの低い第1電子部品と高さの高い第2電子部品を実装する場合であっても、下層側に積層されたシートが第1電子部品を覆うため、各電子部品が実装された部分に凹凸を生じさせずに、ICカードの主面を平坦に保つことができる。この結果、内部の電子部品に応力が集中して作用することを防止し、ICカードの耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るキャッシュカード(ICカード)の平面図である。
【図2】図1に示すキャッシュカードの分解斜視図である。
【図3】図1に示すIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図1に示すIV−IV線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
本実施形態では、情報表示機能を備えたキャッシュカードに、本発明に係るICカードを適用した例を説明する。なお、本実施形態のICカードは、キャッシュカードのほか、IDカード、クレジットカード、ポイントカードなどとして用いることができる。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るキャッシュカード(ICカード)100の平面図、図2は、図1に示すキャッシュカード100の分解斜視図である。
【0019】
図1に示すように、本発明の本実施形態のキャッシュカード100は、最下層に配置された基材10と、この基材10の主面に実装された複数の電子部品20,30,40,50,60(これらを符号Dで総称することもある)と、同じく基材10の主面に積層される複数のシート群80とを有するプリント回路板1を有する。
【0020】
基材10は、ポリイミド(PI)やポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などの樹脂を用いることができる。基材10の主面側には、電子部品Dが実装されるランドや、このランドと接続する配線が形成されている。基材10は厚さが0.5mm〜5mm程度の単一の平板材で形成してもよいし、厚さが0.5mm〜5mm程度の平板材の上に厚さ10μm〜250μm程度の樹脂基材を貼り合わせて基材10を形成してもよい。
【0021】
特に限定されないが、本実施形態のキャッシュカード100に実装される電子部品Dは、演算処理を行う2つのICチップ20a,20bと、このICチップ20a,20bにそれぞれ接続されるコンデンサ30a,30bと、動作命令を受け付けるスイッチ40と、暗証番号等の情報を表示するためのディスプレイ50と、ディスプレイ50に電力を供給するバッテリ60とを含む。電子部品Dの種類はICカードに求められる機能に応じて選択することができる。なお、スイッチ40は、基材10の主面10Aに形成された接点と、一端面が接点に接し、接点からキャッシュカード100の厚さ方向に沿って延在し、他端面がキャッシュカード100の主面に位置する押し子とを有する。本実施形態のスイッチ40の高さは、押し子の高さと略等しい。
【0022】
本実施形態のキャッシュカード100に実装される電子部品Dの高さはそれぞれ異なる。本実施形態において電子部品Dの高さとは、基材10の主面から電子部品Dの平面部(実装面を底面部とした場合に底面部と対向する面)までの距離である。
【0023】
特に限定されないが、本実施形態のスイッチ40の高さはコンデンサ30a,30bよりも高く、コンデンサ30a,30bの高さはディスプレイ50よりも高く、ディスプレイ50の高さはICチップ20a,20bよりも高い。また、スイッチ40の高さは、電池60と同等の高さである。つまり、本実施形態のキャッシュカード100に実装される電子部品Dの高さは、スイッチ40の高さ、電池60の高さ>コンデンサ30a,30bの高さ>ディスプレイ50の高さ>ICチップ20a,20bの高さとなっている。
【0024】
二つの電子部品の相対的な高さに着目すると、本実施形態の電子部品Dは、相対的に高さの低いICチップ20a,20b(第1電子部品)と、このICチップ20a,20bよりも高さの高いコンデンサ30a,30b(第2電子部品)を含んでいる。同様に、本実施形態の電子部品Dは、相対的に高さの低いICチップ20a,20b(第1電子部品)と、このICチップ20a,20bよりも高さの高いディスプレイ50(第2電子部品)を含んでいる。このように、本実施形態では上述した相対的な高さの関係に応じて第1電子部品と第2電子部品とを任意に定義することができる。全ての例示は省略するが、他の例を挙げると、本実施形態の電子部品Dは、相対的に高さの低いディスプレイ50(第1電子部品)と、このディスプレイ50よりも高さの高いコンデンサ30a,30b(第2電子部品)を含んでいる。さらに、本実施形態の電子部品Dは、相対的に高さの低いディスプレイ50(第1電子部品)と、このディスプレイ50よりも高さの高いスイッチ40、電池60(第2電子部品)を含んでいる。
【0025】
また、電子部品Dの実装領域の間には、積層構造のシート80が配置されている。各シート80には、電子部品Dの実装領域に対応する所定の領域70ab,70c,70d,70eに欠損部90が形成されている。
【0026】
欠損部90は、一つの電子部品Dの実装領域又は近接して実装される複数の電子部品Dの実装領域に応じた所定の領域を除去して形成される。シート80の欠損部90は、所定の領域を切り欠いて形成されたもの(切欠部)及び所定の領域を切り抜いて形成されたもの(開口部)を含む。
【0027】
図2に示すように、相対的に基材10側に積層される第1シート81の第1欠損部91abは、第1電子部品(ICチップ)20a,20bの実装領域及び第2電子部品(コンデンサ)30a,30bの実装領域に対応する所定の領域に形成されている。言い換えると、相対的に基材10側に積層される第1シート81の第1欠損部91abは、第1電子部品(ICチップ)20a,20bの実装領域に対応する領域の欠損部と、第2電子部品(コンデンサ)30a,30bの実装領域に対応する所定の領域に形成された欠損部と含んで構成されている。
【0028】
このように、近接するICチップ20a,20bとコンデンサ30a,30bについては、個々の電子部品ごとに欠損部を設けるのではなく、複数の電子部品Dの実装領域に対応する所定の領域に欠損部90abを設けたので、欠損部90の作成及び欠損部90と電子部品Dとの位置合わせを容易にすることができる。
【0029】
図2に示すように、シート(群)80は、複数のシート81〜84(総称してシート80とも称する)の積層体であり、基材10から電子部品Dの高さ方向(図中Z方向)に向かって、シート81、シート82、シート83、シート84が順次積層されている。各シート83は接着層を含み、この接着層を介して固定される。各シート81〜84は、ポリイミド(PI)やポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などの樹脂を用いて製造された、厚さが10μm〜100μm程度のフィルム状の材料である。シート80は可撓性を有するものを用いることができる。また、各シート80の一方主面に形成されている接着層は特に限定されず、エポキシ系接着剤、光硬化性接着剤、熱可塑性の接着剤などの一般的な接着剤を用いることができる。
【0030】
各シート81〜84に形成された欠損部の面積を比較すると、図2に示すように、基材10の主面10A側に積層された下層側シート(例えば81)に形成された欠損部90の面積の合計は、当該下層側のシートよりも電子部品Dの高さ方向側に積層された上層側シート(例えば82,83、84)の欠損部90の面積の合計よりも大きい。換言すると、シート81〜84のそれぞれに形成される欠損部90の総面積は、電子部品Dの高さ方向(図中Z方向)に沿う位置が高い方向になるにつれて(基材10から離隔するにつれて)小さくなる。つまり、最下層のシート81に形成された欠損部91の総面積よりもシート81に積層されたシート82の欠損部92の総面積の方が小さく、このシート82に積層されるシート83の欠損部93の総面積はさらに小さく、最上層を構成するシート84に形成された欠損部94の総面積は最も小さい。
【0031】
また、シート群80を構成するシートのうち、二枚(一対)の、シートnとシートn+1(具体的には81と82、82と83、83と84)に着目すると、第1シート80nには、相対的に高さの低い第1電子部品Dと相対的に高さの高い第2電子部品Dの実装領域に対応する所定の領域に第1欠損部90nが形成され、第1シート80nに積層された第2シート80n+1には、第1電子部品Dよりも高さの高い第2電子部品Dの実装領域に対応する所定の領域に第2欠損部90n+1が形成されている。
【0032】
図2に示す例で詳しく説明すると、基材10の主面10Aに積層されるシート81は、二つのICチップ20a,20bと二つのコンデンサ30a,30bの実装領域に対応する所定の領域に形成された欠損部91abと、スイッチ40の実装領域に対応する所定の領域に欠損部91cと、ディスプレイ50の実装領域に対応する所定の領域に形成された欠損部91dと、電池60の実装領域に対応する所定の領域に形成された欠損部91eとを有する。
【0033】
同図に示すように、シート81に積層されるシート82は、ICチップ20a,20bよりも高さの高い二つのコンデンサ30a,30bの実装領域に対応する所定の領域に形成された欠損部92b1,92b2と、ICチップ20a,20bよりも高さの高いスイッチ40の実装領域に対応する所定の領域に形成された欠損部92cと、ディスプレイ50の実装領域に対応する所定の領域に形成された欠損部92dと、電池60の実装領域に対応する所定の領域に形成された欠損部92eとを有する。
【0034】
シート82に積層されるシート83も、ICチップ20a,20bよりも高さの高い二つのコンデンサ30a,30bの実装領域に対応する所定の領域に形成された欠損部93b1,93b2と、ICチップ20a,20bよりも高さの高いスイッチ40の実装領域に対応する所定の領域に形成された欠損部93cと、電池60の実装領域に対応する所定の領域に形成された欠損部93eとを有する。
【0035】
シート83に積層され、最上層を形成するシート84は、ICチップ20a,20b、コンデンサ30a,30bよりも高さの高いスイッチ40の実装領域に対応する所定の領域に形成された欠損部94cと、電池60の実装領域に対応する所定の領域に形成された欠損部94eとを有する。なお、シート83及びシート84のうち、少なくともディスプレイ50を覆う部分は透明となっている。
【0036】
本実施形態のシート83には意匠のために印刷が施されており、シート83に積層される透明のシート84はシート83の印刷面を保護する。このように、本実施形態ではシート83及び84を外装材として機能させることができるので、キャッシュカード100の薄化を図ることができる。もちろん、シート84の上に別の外装材を積層してもよい。この場合の外装材の材質は、基材10と同様のものを用いることができる。また、本実施形態のキャッシュカード100は、高さの異なる電子部品Dが実装されているにもかかわらず、主面側が平坦であるので、外装板に画素の細かい画像を形成することができ、意匠性を向上させることができる。また、本実施形態のキャッシュカード100の主面が平坦であるので、凸状の部分が摩擦されて印刷が部分的に劣化することを防止することができる。
【0037】
ちなみに、欠損部を形成する際には、欠損部90の面積が、この欠損部90に対応し、欠損部90と向かい合う電子部品Dの実装領域の面積よりも大きくなるようにすることが望ましい。特に欠損部90の内縁と電子部品Dの側壁(ZX面、ZY面に沿う側壁)とが所定の間隔を有するように欠損部90を形成することが好ましい。このように、電子部品Dの実装領域に対応する欠損部90の面積を電子部品Dの実装領域の面積よりも大きくすることにより、キャッシュカード100に曲げの力が作用した場合に、内部の電子部品Dに応力が集中して作用することを防止して、電子部品Dの故障の発生率を低減させることができる。この結果、キャッシュカード100の耐久性を向上させることができる。また、熱工程が施される場合に、シート80が熱収縮を起こした場合であっても、電子部品Dに影響を与えないようにすることができる。
【0038】
また、XY平面視における欠損部90は、曲線を含む形状とすることが望ましい。具体的に、欠損部90は円弧を含む形状、円形、楕円形又は矩形であっても角部が曲線で構成されている形状とすることができる。このように、欠損部90を曲線が含まれる形状とし、直線で構成される角部を含まない形状とすることにより、キャッシュカード100に曲げの力が印加された場合に、内部の電子部品Dに応力が集中して作用することを防止することができる。この結果、電子部品Dの故障の発生率を低減させ、キャッシュカード100の耐久性を向上させることができる。また、欠損部90を円形や楕円形のように曲線を含む形状とすると、型抜き加工の処理を容易にすることができる。
【0039】
図3は、図1に示すIII−III線に沿う断面図、図4は、図1に示すIV−IV線に沿う断面図である。
【0040】
図3に示すように、基材10の主面10Aには、高さの異なる電子部品としてICチップ20a、コンデンサ30a,スイッチ40,電池60が実装されている。本発明に係る第1電子部品をICチップ20aとし、第2電子部品をコンデンサ30aとした場合には、第1シート81の厚さはICチップ(第1電子部品)20aの高さ以上であり、かつ、コンデンサ(第2電子部品)30aの高さ未満である。また、第1シート81と第2シート82,83の積層体の厚さ(第1シート81と第2シート82,83の合計の厚さ)はコンデンサ(第2電子部品)30aの高さ以上である。同図に示すように、本例では、第1シート81の厚さとICチップ(第1電子部品)20aの高さが略等しく、第1シート81と第2シート82,83の積層体の厚さがコンデンサ(第2電子部品)30aの高さと略等しい例を示している。
【0041】
このようにシート80の厚さを電子部品Dの高さ以上とすることにより、キャッシュカード100の主面から押圧力が印加された場合であっても、シート80が押圧力を受けることにより、電子部品Dに押圧力が作用しないようにすることができる。このような観点から、シート80の厚さを電子部品Dの高さ未満とならないようにすることが望ましい。もちろん、シート80の厚さを電子部品Dの高さと同等にすることもできるが、シート80の厚さを大きくし、シート80の上面の高さが電子部品Dの高さよりも高くする場合には、第1シート81の厚さとICチップ(第1電子部品)20aの高さ(厚さ)の差、第1シート81と第2シート82,83の積層体の厚さとコンデンサ(第2電子部品)30aの高さ(厚さ)の差が、キャッシュカード100の全体の厚さの1%〜50%、好ましくは1%〜25%、さらに好ましくは1%〜10%程度とすることができる。シート80の厚さが大きく、シート80の上面の高さが電子部品Dの高さよりも高いほど電子部品Dに押圧力が作用しないようにすることができるが、厚さの差が大きすぎると電子部品Dの周囲に凹凸が形成されてしまうからである。
【0042】
本実施形態では、第1シート81の厚さはICチップ(第1電子部品)20aの高さ(厚さ)と略等しく、第1シート81と第2シート82,83の積層体の厚さはコンデンサ(第2電子部品)30aの高さ(厚さ)と略等しく(誤差を含む)なるように構成されている。本実施形態の第2シートは、同じ位置に同じ大きさの欠損部90が設けられた2枚のシート82及びシート83により構成されている。
【0043】
なお、本実施形態では第1シート81の厚さとICチップ(第1電子部品)20aの高さ(厚さ)の差、第1シート81と第2シート82,83の積層体の厚さとコンデンサ(第2電子部品)30aの高さ(厚さ)の差は、キャッシュカード100の全体の厚さの1%〜5%となっている。
【0044】
また、本発明に係る第1電子部品をコンデンサ30aとし、第2電子部品をスイッチ40とした場合には、同図に示すように、第1シート81,82,83の厚さはコンデンサ(第1電子部品)30aの高さ以上且つスイッチ(第2電子部品)40の高さ未満であり、第1シート81,82,83と第2シート84の積層体の厚さはスイッチ(第2電子部品)40の高さ以上である。
【0045】
さらに、本発明に係る第1電子部品をICチップ20aとし、第2電子部品をスイッチ40とした場合には、同図に示すように、第1シート81の厚さはICチップ(第1電子部品)20aの高さ以上且つスイッチ(第2電子部品)40の高さ未満であり、第1シート81と第2シート82,83,84の積層体の厚さはスイッチ(第2電子部品)40の高さ以上である。
【0046】
図4に示すように、基材10の主面10Aには、高さの異なる電子部品50,60が実装されている。本発明に係る第1電子部品をディスプレイ50とし、第2電子部品を電池60とした場合には、第1シート81、82の厚さはディスプレイ(第1電子部品)50の高さ以上且つ電池(第2電子部品)60の高さ未満であり、第1シート81,82と第2シート83,84の積層体の厚さは電池(第2電子部品)60の高さ以上である。
【0047】
なお、本発明に係る第1シート、第2シートは、単一のシート80で形成してもよいし、複数のシート80で形成してもよい。
【0048】
図3及び図4に示すように、本実施形態に係るキャッシュカード100の内部においては、高さの異なる複数の電子部品Dの実装領域及び電子部品Dの高さに応じて形成された欠損部90を有する複数のシート80が積層されているので、高さの異なる各電子部品の実装領域の上面側に凹凸が形成されず、キャッシュカード100の主面を平坦にすることができる。
【0049】
換言すれば、本実施形態に係るキャッシュカード100の内部においては、実装された電子部品Dの平面側には凹凸を構成する空間が形成されていない。つまり、ICチップ20a、20bの上面はシート82に覆われ、コンデンサ30a及び20bの上面はシート84に覆われ、ディスプレイ50の上面はシート83に覆われている。つまり、各電子部品Dの上面側はシート80で充填され、電子部品Dの各凹凸がシート80により埋められているので、キャッシュカード100の主面を平坦にすることができる。
【0050】
このように、電子部品Dの実装領域に凹凸が形成されていないので、キャッシュカード100の主面側から押圧力を受けても、内部の電子部品Dに応力が集中することを防止することができる。
【0051】
ちなみに、一枚のシートでは、高さの異なる電子部品Dが実装された基材の主面を平坦にすることはできない。一枚のシートに複数の開口を設けたとしても、シートの高さは何れか一つの電子部品に合わされているので、相対的に高さの低い電子部品の上には空間が形成されてしまう。ICカードの内部に空間が形成されると、電子部品が実装される部分には凹凸が生じてしまう。また、ICカードの内部に形成された空間に閉じ込められた空気は温度の変化に伴って膨張・収縮を繰り返すのでICカードの耐久性を低下させるおそれがある。
【0052】
これに対し、本発明の実施形態に係るキャッシュカード100は、電子部品Dに応じて異なる位置及び異なる大きさの欠損部90が形成されたシート80を電子部品Dの位置及び高さに応じて積層するので、電子部品Dの周囲、特に上面側に空間が形成されることがない。この結果、内部の電子部品Dに応力が集中して作用することを防止し、ICカードの耐久性を向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態に係るキャッシュカード100の主面が平坦であるので、最上層に剛性を保つための厚さを有する板部材を設ける必要が無い。この結果、厚さの薄いキャッシュカード100を提供することができる。
【0054】
また、本実施形態に係るキャッシュカード100の主面には凹凸が無く平坦であるので、最上層のシート84に画像等を印刷して外装材として利用することができる。凹凸があると、摩擦により印刷面が部分的に損傷する場合があるが、凹凸が無いのでこのような事態を防止することができる。この結果、キャッシュカード100の主面に細かい文字表示や細かい画素の模様を付することができ、意匠性を高めることができる。
【0055】
以下、本実施形態に係るキャッシュカード100の製造方法を簡潔に説明する。
まず、PET製の基材10を準備する。基材10の主面10Aには電子部品Dと接続するランド及び回路を形成する。形成手法は特に限定されず、導電性ペーストを用いたスクリーン印刷により形成してもよいし、基材10に貼り付けられた銅箔の所定領域を一般的なフォトリソグラフィー法によりエッチングして形成してもよい。
【0056】
回路が形成された基材10に電子部品10を実装する。本実施形態では、二つのICチップ20a,20b、二つのコンデンサ30a,30bと、スイッチ40と、ディスプレイ50と、電池60を実装する。
【0057】
基材10の上に順次積層された場合に各電子部品Dの実装領域に対応する所定の領域が除去され、各電子部品Dの位置及び高さに応じた欠損部90が形成された各シート80を準備する。
【0058】
電子部品Dの実装後、欠損部90が形成されたシート81〜84を所定の順番で積層する。シート81〜84の一方主面には接着層が形成されており、この接着層により各シート80を互いに接着させる。シート84には予め銀行名などの発行者名を印刷しておき、外装材として用いることができる。
【0059】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0060】
100…キャッシュカード、ICカード
1…プリント回路板
10…基材
10A…主面(電子部品の実装面)
D…電子部品(総称)
20,20a,20b…ICチップ(電子部品)
30,30a,30b…コンデンサ(電子部品)
40…スイッチ(電子部品)
50…ディスプレイ(電子部品)
60…電池(電子部品)
70,70ab,70c,70d,70e…領域(実装領域に対応する所定の領域)
80…シート群
81,82,83,84…シート,
83,84…外装材,シート
90…欠損部
91ab,91c,91d,91e…(シート81の)欠損部
92b1,92b2,92c,92d,92e…(シート82の)欠損部
93b1,93b2,93c,93e…(シート83の)欠損部
94c,94e…(シート84の)欠損部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の主面に実装される第1電子部品及び当該第1電子部品よりも高さの高い第2電子部品と、
前記基材の主面側に、前記電子部品の高さ方向に積層される複数のシートと、を備え、
前記シートは、前記第1電子部品と前記第2電子部品の実装領域に対応する所定の領域に第1欠損部が形成された第1シートと、前記第1シートに積層され、前記第2電子部品に対応する所定の領域に第2欠損部が形成された第2シートと、を含み、
前記第1シートの厚さは前記第1電子部品の高さ以上、かつ、第2電子部品の高さより低く、前記第1シートと前記第2シートの積層体の厚さは前記第2電子部品の高さ以上であることを特徴とするプリント回路板。
【請求項2】
前記欠損部の面積は、当該欠損部に対応する前記電子部品の実装領域の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のプリント回路板。
【請求項3】
前記欠損部は、平面視において曲線を含む形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント回路板。
【請求項4】
前記第1欠損部は、前記第1電子部品及び前記第2電子部品の実装領域に対応する所定の領域に形成されることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のプリント回路板。
【請求項5】
前記第1欠損部は、前記第1電子部品の実装領域に対応する所定の領域に形成された欠損部と、前記第2電子部品の実装領域に対応する所定の領域に形成された欠損部とを含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のプリント回路板。
【請求項6】
基材と、
前記基材の主面に実装される高さの異なる複数の電子部品と、
前記基材の主面側に、前記電子部品の高さ方向に積層される複数のシートと、を備え、
前記シートは、前記電子部品に対応する所定の領域に形成された欠損部を有し、
前記複数のシートのうち、前記基材の主面側に積層された下層側シートに形成された欠損部の面積は、当該下層側のシートよりも前記電子部品の高さ方向側に積層された上層側シートの欠損部の面積よりも大きいことを特徴とするプリント回路板。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載のプリント回路板と、
前記プリント回路板の最上層に積層された外装材とを有するICカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−142476(P2012−142476A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−328(P2011−328)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】