説明

プリント基板たわみ防止具、プリント基板たわみ防止具の製造方法、プリント基板たわみ防止方法

【課題】金属製の補強具と樹脂製の絶縁部材とを備え、両者が締結具を用いずに一体となったプリント基板たわみ防止具及びそのプリント基板たわみ防止具の製造方法を提供する。また、プリント基板たわみ防止具によって、プリント基板の片面にストレスが加えられてもプリント基板のたわみを防止するプリント基板たわみ防止方法を提供する。
【解決手段】プリント基板たわみ防止具は、プリント基板のたわみを防止するプリント基板たわみ防止具であって、凹形状の断面形状を有する補強具と、凹形状の内部にあって、凹形状の底部に固定され、凹形状の深さと同等の厚さを有する絶縁部材とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板の片面から加えられるストレスによって発生するプリント基板のたわみを防止する、プリント基板たわみ防止具及びそのプリント基板たわみ防止具の製造方法、プリント基板たわみ防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板の片面から加えられるストレスによってプリント基板にたわみが発生すると、プリント基板の回路の損傷や搭載されている電子部品の損傷が起きる可能性がある。そこで、プリント基板たわみ防止具が、プリント基板に取り付けられる。図1及び図2に、従来のプリント基板たわみ防止具の断面構造を示す。図1に示すプリント基板たわみ防止具の場合は、プリント基板2に、プレス成形によって成形された金属製の補強金具4が取り付けられている。補強金具4は、締結具6を用いてプリント基板2に取り付けられる。締結具6は、ネジやリベットなどが用いられる。補強金具4がプリント基板2と接触するために必要な面積が、プリント基板2に確保されなければならない。すなわち、プリント基板2に形成されている回路に補強金具4が接触しないように、補強金具4の接触面積をプリント基板2に設けなければならないのである。また、締結具6を取り付ける工数が、締結具6の個数に応じて必要である。
【0003】
図2に示すプリント基板たわみ防止具の場合も、プリント基板2に、プレス成形によって成形された金属製の補強金具8が取り付けられている。補強金具8のフランジ部分が、締結具14によってプリント基板2に取り付けられている。締結具14は、ネジやリベットなどが用いられる。補強金具8だけでは、プリント基板2がたわむとともに補強金具8もたわんでしまうので、絶縁部材10を補強金具8に取り付けて、プリント基板2を支持するようにしてプリント基板2のたわみを防いでいる。締結具12は、例えばネジである。絶縁部材10は、締結具12によって補強金具8に固定されている。絶縁部材10は、導電性がないので、プリント基板2と接触してもよい。したがって、絶縁部材10がプリント基板2に接触するために必要な面積を、プリント基板2に特別に確保する必要がない。ただし、締結具12を取り付ける工数が、締結具12の個数に応じて必要である。また、複数の絶縁部材10を用いることになるため、部品点数が多くなる。
【0004】
特許文献1に、合成樹脂射出成形品の主体部に一体成形される任意形状の立体部に対し、これの輪郭縁堤部を含む全域面に成形品母体樹脂と熱融着し得る積層構造の加飾フィルムプレートを自動的に被覆させる立体部自動加飾成形法であって、成形品主体部成形コア−と型締めされる同成形キャビティ側に摺動的に内挿した先端部に立体部塑造型と環状周壁及び切断エッジを有するプレスコアーを前進させて、該エッジにより金型内に挟圧固定させたテープ状の加飾フィルムプレートを所要寸法に打ち抜きする工程と、打ち抜きしたフィルムプレートをプレスコアー先端部に吸着支持させたまま環状周壁が成形キャビティ面と面一になるよう型締めする工程と、この型締めによって形成された成形型腔内に成形品母体樹脂をフィルムプレートの中心部に対向して射出充填することにより該フィルムプレートを中心部より半径方向に亘り放射状に加圧して立体部塑造型に即した立体形状に塑性変形させる工程と、これと同時に塑性変形させた加飾フィルムプレートを成形品主体部に一体成形された立体部に融着被覆する工程からなることを特徴とする立体部自動加飾成形法が開示されている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開昭57−91246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、金属製の補強具と樹脂製の絶縁部材とを備え、両者が締結具を用いずに一体となったプリント基板たわみ防止具を提供することである。
【0007】
本発明の目的は、金属製の補強具と樹脂製の絶縁部材とを備え、両者が締結具を用いずに一体となったプリント基板たわみ防止具が、低コストで製造できるプリント基板たわみ防止具の製造方法を提供することである。
【0008】
本発明の目的は、プリント基板たわみ防止具によって、プリント基板の片面にストレスが加えられてもプリント基板のたわみを防止するプリント基板たわみ防止方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下に、(発明を実施するための最良の形態)で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、(特許請求の範囲)の記載と(発明を実施するための最良の形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0010】
本発明によるプリント基板たわみ防止具(30)は、プリント基板のたわみを防止するプリント基板たわみ防止具(30)であって、凹形状の断面形状を有する補強具(22)と、凹形状の内部にあって、凹形状の底部に固定され、凹形状の深さと同等の厚さを有する絶縁部材(16)とを備えている。
【0011】
本発明によるプリント基板たわみ防止具(30)は、補強具(22)が、金属材料であって、絶縁部材(16)は、樹脂材料である。
【0012】
本発明によるプリント基板たわみ防止具(30)は、補強具(22)の凹形状の底部にあけられた穴(40a)とを具備し、絶縁部材(16)は、リベット形状部を有し、凹形状の凹面の裏側から穴(40a)に、リベット形状部の胴部(18)が差し込まれ、凹形状の底部に固定される絶縁部材とリベット形状部とが一体である。
【0013】
本発明によるプリント基板たわみ防止具(30)の製造方法は、プリント基板のたわみを防止するプリント基板たわみ防止具(30)の製造方法であって、補強具(40)を金型の下型にセットするステップと、補強具(40)を金型の上型(32)で押して成形するステップと、上型(32)及び下型(34)に設けられた空間(32c、34a)に樹脂を射出し、補強具(40)と樹脂を一体化するステップとを備えている。
【0014】
本発明によるプリント基板たわみ防止具(30)の製造方法は、更に、上型(32)によって、補強具(40)を所定の形状に打ち抜くステップとを備えている。
【0015】
本発明によるプリント基板たわみ防止方法は、プリント基板のたわみを防止するプリント基板たわみ防止具(30)であって、凹形状の断面形状を有する補強具(22)と、凹形状の内部にあって、凹形状の底部に固定され、凹形状の深さと同等の高さを有する絶縁部材(16)とを具備するプリント基板たわみ防止具(30)をプリント基板に取り付け、プリント基板の片面にストレスがかかった際に、補強具(22)が、プリント基板のたわみを防止するステップと、絶縁部材(16)の上面部がプリント基板に接触し、プリント基板のたわみを防止するステップとを備えている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、金属製の補強具と樹脂製の絶縁部材とを備え、両者が締結具を用いずに一体となったプリント基板たわみ防止具が提供される。
【0017】
本発明によれば、金属製の補強具と樹脂製の絶縁部材とを備え、両者が締結具を用いずに一体となったプリント基板たわみ防止具が、低コストで製造できるプリント基板たわみ防止具の製造方法が提供される。
【0018】
本発明によれば、プリント基板たわみ防止具によって、プリント基板の片面にストレスが加えられてもプリント基板のたわみを防止するプリント基板たわみ防止方法を提供することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
添付図面を参照して、本発明によるプリント基板たわみ防止具、プリント基板たわみ防止具の製造方法、プリント基板たわみ防止方法を実施するための最良の形態を以下に説明する。
【0020】
図3に、本発明に係るプリント基板たわみ防止具の断面構造を示す。プリント基板たわみ防止具30は、絶縁部材16と補強具22の2部品にて構成されている。絶縁部材16は、樹脂製であって射出成形によって成形される。また、補強具22は、金属板をプレス成形によって成形したものである。補強具22の凹形状の底部には、穴があけられており、絶縁部材16の通し穴部18が、その穴に通り、その穴の直径よりも大きな直径を有する固定部20を設けて、絶縁部材16が補強具22に固定されている。補強具22の接触面22aがプリント基板に接触し、ネジやリベットなどの締結具で補強具22はプリント基板に固定される。また、絶縁部材16の接触面16aがプリント基板に接触する。絶縁部材16の接触面16aが、プリント基板に接触することで、プリント基板のたわみを防止することができる。
【0021】
絶縁部材16は、射出成形用の金型を用い成形し、補強具22は、プレス成形用の金型を用い成形することができるが、各々の部品を成形するための金型が必要であるので、金型のコストがかかる。また、絶縁部材16を補強具22にはめ込むことにより一体化することが可能だが、そのはめ込みの工数がかかる。したがって、少ない工程数、かつ、低コストで図3に示すプリント基板たわみ防止具30を製造することが必要である。以下に本発明にかかるプリント基板たわみ防止具30の製造方法について説明する。
【0022】
図4に、本発明に係るプリント基板たわみ防止具30の製造に用いる金型の断面構造を示す。金型は、上型32と下型34で構成されている。上型32には、上型プレス面36があり、金属板を上型プレス面36にてプレス成形する。したがって、上型プレス面36の形状に応じた形状に金属板を成形することができる。また、上型32には、射出口32aと射出経路32bが備えてあり、射出成形空間32cが設けられている。
【0023】
下型34には、下型プレス面38があり、金属板を上型32でプレス成形する際に、下型プレス面38の形状に応じた形状に金属板を成形することができる。また、下型34には、射出成形空間34aが設けられている。
【0024】
図5に、本発明に係るプリント基板たわみ防止具30の製造におけるプレス成形前の状態を示す。平板状の補強具40を下型34の載置面34bに置く。なお、補強具40には、あらかじめ打ち抜き加工やレーザ加工等によって、通し穴40aがあけられている。
【0025】
図6に、本発明に係るプリント基板たわみ防止具30の製造における樹脂射出後の状態を示す。上型32は下降して、補強具40をフランジ付きの凹形状にプレス成形する。その後、上型32が所定の下死点に達したままで上型32の射出口32aに樹脂射出を行う。樹脂は、射出経路32bを通って射出成形空間32cに充填される。さらに、補強具40の通し穴40aにも樹脂が充填され、射出成形空間34aにも樹脂が充填される。補強具40の通し穴40aに充填された樹脂と、射出成形空間34aに充填された樹脂がリベット形状の部材となって、射出成形空間32cに充填された樹脂と一体になる。
【0026】
以上のような製造方法によって、絶縁部材16と補強具22が一体となったプリント基板たわみ防止具30が製造される。プレス成形に用いる金型と射出成形に用いる金型を共通にして用いるため、金型のコストを低くおさえることができる。また、プレス成形の工程と射出成形の工程を一体化しているため、別々の工程で行うよりも少ない工数でプリント基板たわみ防止具30を製造することができる。
【0027】
なお、プレス成形前の平板状の補強具40は、必要な寸法に切り出されたものを用いてもよいが、上型32及び下型34に打ち抜き用金型としての役割も持たせ、打ち抜き加工も同じ金型で行うこともできる。このようにすれば、打ち抜き加工とプレス成形と射出成形が一組(上型と下型)の金型でまかなえることになり、より金型のコストを低くおさえることができる。また、打ち抜き加工の工程とプレス成形の工程と射出成形の工程を一体化しているため、別々の工程で行うよりも少ない工数でプリント基板たわみ防止具30を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、従来のプリント基板たわみ防止具の断面構造を示す。
【図2】図2は、従来のプリント基板たわみ防止具の断面構造を示す。
【図3】図3は、本発明に係るプリント基板たわみ防止具の断面構造を示す。
【図4】図4は、本発明に係るプリント基板たわみ防止具の製造に用いる金型の断面構造を示す。
【図5】図5は、本発明に係るプリント基板たわみ防止具の製造におけるプレス成形前の状態を示す。
【図6】図6は、本発明に係るプリント基板たわみ防止具の製造における樹脂射出後の状態を示す。
【符号の説明】
【0029】
2 :プリント基板
4 :補強金具
6 :締結具
8 :補強金具
10 :絶縁部材
12 :締結具
14 :締結具
16 :絶縁部材
16a:接触面
18 :通し穴部
20 :固定部
22 :補強具
22a:接触面
30 :プリント基板たわみ防止具
32 :上型
32a:射出口
32b:射出経路
32c:射出成形空間
34 :下型
34a:射出成形空間
34b:載置面
36 :上型プレス面
38 :下型プレス面
40 :補強具
40a:通し穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板のたわみを防止するプリント基板たわみ防止具であって、
凹形状の断面形状を有する補強具と、
前記凹形状の内部にあって、前記凹形状の底部に固定され、前記凹形状の深さと同等の厚さを有する絶縁部材と
を具備する
プリント基板たわみ防止具。
【請求項2】
前記補強具は、金属材料であって、
前記絶縁部材は、樹脂材料である
請求項1に記載のプリント基板たわみ防止具。
【請求項3】
前記補強具の前記凹形状の前記底部にあけられた穴と
を具備し、
前記絶縁部材は、リベット形状部を有し、前記凹形状の凹面の裏側から前記穴に、前記リベット形状部の胴部が差し込まれ、前記凹形状の底部に固定される前記絶縁部材と前記リベット形状部とが一体である
請求項1又は2に記載のプリント基板たわみ防止具。
【請求項4】
プリント基板のたわみを防止するプリント基板たわみ防止具の製造方法であって、
補強具を金型の下型にセットするステップと、
前記補強具を前記金型の上型で押して成形するステップと、
前記上型及び前記下型に設けられた空間に樹脂を射出し、前記補強具と前記樹脂を一体化するステップと
を具備する
プリント基板たわみ防止具の製造方法。
【請求項5】
更に、前記上型によって、前記補強具を所定の形状に打ち抜くステップと
を具備する
プリント基板たわみ防止具の製造方法。
【請求項6】
プリント基板のたわみを防止するプリント基板たわみ防止具であって、
凹形状の断面形状を有する補強具と、
前記凹形状の内部にあって、前記凹形状の底部に固定され、前記凹形状の深さと同等の高さを有する絶縁部材と
を具備するプリント基板たわみ防止具を前記プリント基板に取り付け、
前記プリント基板の片面にストレスがかかった際に、
前記補強具が、前記プリント基板のたわみを防止するステップと、
前記絶縁部材の上面部が前記プリント基板に接触し、前記プリント基板のたわみを防止するステップと
を具備する
プリント基板たわみ防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−103619(P2008−103619A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−286363(P2006−286363)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】