説明

プリント基板及びその製造方法

【課題】回路層の分離を最小化するとともにリードタイムを減らし、製造コストを節減することができるプリント基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】絶縁部材120の一面に含浸された回路パターン、絶縁部材120の一面に積層されたビルドアップ絶縁層142に回路パターンと連結されるビアを含む回路層144が形成されたビルドアップ層、及びビルドアップ層に積層されたソルダレジスト層150を含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体チップの高密度化及び信号伝達速度の高速化に対応するための技術として、半導体チップをプリント基板に直接実装する技術に対する要求が増大している。これに応じて、半導体チップの高密度化に対応することが可能な高密度及び高信頼性のプリント基板の開発が要求されている。
【0003】
高密度及び高信頼性のプリント基板に対する要求仕様は半導体チップの仕様に密接に関連しているが、回路の微細化、高度な電気特性、高速信号伝達構造、高信頼性、高機能性などの多大な課題がある。このような要求仕様に対応した微細回路パターン及びマイクロビアホールを形成することができるプリント基板製造技術が要求されている。
【0004】
通常、プリント基板の回路パターンを形成する方法は、サブトラクティブ法(subractive process)、フールアディティブ法(full additive process)、及びセミアディティブ法(semi−additive process)などがある。このような方法のうち、回路パターンの微細化が可能なセミアディティブ法が現在注目を浴びている。
【0005】
図1〜図6は、従来の一例によるセミアディティブ法で回路パターンを形成する方法を工程順に示す工程断面図であり、これを参照して回路パターンの形成方法を説明すれば次のようである。
【0006】
まず、図1に示すように、一面に金属層14が形成された絶縁層12にビアホール16を加工する。
【0007】
ついで、図2に示すように、ビアホール16の内壁を含み絶縁層12上に無電解メッキ層18を形成する。この際、無電解メッキ層18は以後に行われる電解メッキ工程の前処理工程の役目をする。電解メッキ層24を形成するためには、一定厚さ以上(例えば、1μm以上)の無電解メッキ層18を形成しなければならない。
【0008】
ついで、図3に示すように、ドライフィルム20を積層し、回路パターン形成領域を露出させる開口部22を持つようにパターニングする。
【0009】
ついで、図4に示すように、ビアホール16を含み開口部22に電解メッキ層24を形成する。
【0010】
ついで、図5に示すように、ドライフィルム20を除去する。
【0011】
最後に、図6に示すように、フラッシュエッチング(flash etching)、クィックエッチング(quick etching)などによって、電解メッキ層24が形成されない無電解メッキ層18を除去することで、ビア26を含む回路パターン28を形成する。
【0012】
しかしながら、従来のセミアディティブ法で形成された回路パターン28は、絶縁層12上に陽刻部の形状に形成されているから、絶縁層12から分離される問題点があった。特に、次第に回路パターン28が微細化していくにつれて絶縁層12と回路パターン28間の接着面積が減少して接着力が弱化し、回路パターン28の分離が酷くなり、多層構造を有するプリント基板において、最外層に形成された回路パターン28の分離はプリント基板の信頼性を格段に低下させる問題点があった。
【0013】
近年には、このような限界を克服するために新工法が提案されている。その一つとして、絶縁層上にレーザーでトレンチ(trench)を形成し、メッキ、研磨、エッチングの工程によって回路パターンを製造するLPP法(Laser Patterning Process)が注目を浴びている。
【0014】
図7〜図10は、従来の他の例によるLPP法で回路パターンを形成する方法を工程順に示す工程断面図であり、これを参照して回路パターン形成方法を説明すれば次のようである。
【0015】
まず、図7に示すように、一面に金属層54が形成された絶縁層52に回路パターン用トレンチ56a及びビア用トレンチ56bを含むトレンチ56をレーザーで加工する。
【0016】
ついで、図8に示すように、トレンチ56の内壁を含み絶縁層52上に無電解メッキ層58を形成する。
【0017】
ついで、図9に示すように、無電解メッキ層58上に電解メッキ層60を形成する。
【0018】
最後に、図10に示すように、エッチング工程またはグラインディング工程によって、絶縁層52の上部に突出した無電解メッキ層58及び電解メッキ層60を除去してビア62を含む埋込型回路パターン64を形成する。
【0019】
しかしながら、LPP工法でプリント基板を製作する場合、回路パターン64が埋め込まれた構造を持つので分離される問題を予防することができる利点はあるが、トレンチ56が形成される領域とそうではない領域の間で発生するメッキ偏差を減らすために付加の研磨工程を行わなければならなく、層別にトレンチ加工工程及び研磨工程を行わなければならないため、リードタイム(lead time)が長くなる問題点があった。また、トレンチ加工に使用する装備が高価なものであるから、製造コストが増加する問題点があった。よって、多層プリント基板の製作においてLPP工法を全面的に適用するのには困難さがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、本発明は前記のような問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、ビルドアップ工法を適用するに際して、最外層の回路層は製造工程の単純なインプリンティング工法によって含浸構造を持つように形成することにより、回路層の分離を最小化するとともにリードタイムを減らし、製造コストを節減することができるプリント基板及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
即ち、本発明によれば、絶縁部材の一面に含浸された回路パターン;前記絶縁部材の一面に積層されたビルドアップ絶縁層に前記回路パターンと連結されるビアを含む回路層が形成されたビルドアップ層;及び前記ビルドアップ層に積層されたソルダレジスト層;を含むことを特徴とするプリント基板が提供される。
【0022】
前記絶縁部材の一面には、インプリンティング工法によってパターン用トレンチが形成され、前記回路パターンは前記パターン用トレンチの内部に形成されることができる。
【0023】
前記絶縁部材は、前記回路パターンと連結されるとともに前記絶縁部材の他面に露出するように形成されるバンプパッドを含むことができる。
【0024】
前記バンプパッドの露出面には表面処理層が形成されることができる。
【0025】
前記絶縁部材には、パターン用トレンチと前記絶縁部材を貫通するように加工されたバンプパッド用トレンチが形成され、前記回路パターンは前記パターン用トレンチの内部に形成され、前記バンプパッドは前記バンプパッド用トレンチの内部に形成されることができる。
【0026】
前記絶縁部材は、前記回路パターンと連結されるバンプパッド、及び前記バンプパッドと連結されるとともに前記絶縁パッドの他面に露出するように形成され、前記バンプパッドより大きな直径を持つ補助パッドを含むことができる。
【0027】
前記補助パッドの露出面には、表面処理層が形成されることができる。
【0028】
前記ソルダレジスト層には、前記回路層中の第1パッド部を露出させる第1オープン部が形成され、前記絶縁部材には前記回路パターン中の第2パッド部を露出させる第2オープン部が形成されることができる。
【0029】
また、本発明によれば、(A)キャリアに絶縁部材を塗布し、前記絶縁部材にインプリンティング工法によってパターン用トレンチを加工する段階;(B)前記パターン用トレンチの内部にメッキ工程を行って回路パターンを形成する段階;(C)前記絶縁部材にビルドアップ絶縁層を積層し、層間連結のためのビアを含む回路層を形成する段階;及び(D)前記ビルドアップ絶縁層にソルダレジスト層を形成し、前記キャリアを除去する段階;を含むことを特徴とするプリント基板の製造方法が提供される。
【0030】
前記(D)段階で、前記ソルダレジスト層に前記回路層中の第1パッド部を露出させる第1オープン部を加工する段階を行うことができる。
【0031】
前記(D)段階の後に、(E)前記絶縁部材に前記回路パターン中の第2パッド部を露出させる第2オープン部を加工する段階をさらに含むことができる。
【0032】
前記(E)段階の後に、(F)前記パッド部に表面処理層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0033】
更に、本発明によれば、(A)キャリアに絶縁部材を塗布し、前記絶縁部材にインプリンティング工法によってパターン用トレンチと前記絶縁部材を貫通するバンプパッド用トレンチを加工する段階;(B)前記パターン用トレンチと前記バンプパッド用トレンチの内部にメッキ工程を行って回路パターン及びバンプパッドを形成する段階;(C)前記絶縁部材にビルドアップ絶縁層を積層し、層間連結のためのビアを含む回路層を形成する段階;及び(D)前記ビルドアップ絶縁層にソルダレジスト層を形成し、前記キャリアを除去する段階;を含むことを特徴とするプリント基板の製造方法が提供される。
【0034】
前記(D)段階で、前記ソルダレジスト層に前記回路層中の第1パッド部を露出させる第1オープン部を加工する段階を行うことができる。
【0035】
前記(D)段階の後に、(E)前記バンプパッドの露出面に表面処理層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0036】
前記(D)段階の後に、(E1)前記バンプパッドとその側面の前記絶縁部材に厚さ方向にオープン部を加工する段階;及び(E2)前記オープン部にメッキ工程を行って補助パッドを形成する段階;をさらに含む。
【0037】
前記(E2)段階の後に、(E3)前記補助パッドに表面処理層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0038】
本発明の特徴及び利点は添付図面に基づいた以降の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【0039】
本発明の詳細な説明に先立ち、本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は通常的で辞書的な意味に解釈されてはいけなく、発明者がその自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則にしたがって本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されなければならない。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、ビルドアップ工法を適用するに際して、最外層の回路層は製造工程の単純なインプリンティング工法によって含浸構造を持つように形成することで、回路層の分離を最小化するとともにリードタイムを減らし、製造コストを節減することができる。一方、ビルドアップ工法とインプリンティング工法を共に適用することで、インプリンティング工法の全面的適用による層間不整合の問題を防止することができる。
【0041】
また、本発明によれば、絶縁キャリアに積層されて支持された状態で後続の工程が実行されるため、ビルドアップ層の回路形成工程を経た後にも絶縁部材は平たく維持され、これにより、絶縁部材に第2パッド部を露出させる第2オープン部を加工するとき、第2パッド部と第2オープン部がずれて発生する加工誤差を減らすことができる。
【0042】
そして、本発明によれば、絶縁部材に回路パターンと連結されるバンプパッドを備えることで、絶縁部材にパッド部を露出させる加工工程が不要になる。
【0043】
更に、本発明によれば、バンプパッドのサイズを拡大することができる補助パッドを形成することで、外部接続端子との接触信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】従来の一例によるセミアディティブ法によって回路パターンを形成する方法の工程(1)を示す工程断面図である。
【図2】従来の一例によるセミアディティブ法によって回路パターンを形成する方法の工程(2)を示す工程断面図である。
【図3】従来の一例によるセミアディティブ法によって回路パターンを形成する方法の工程(3)を示す工程断面図である。
【図4】従来の一例によるセミアディティブ法によって回路パターンを形成する方法の工程(4)を示す工程断面図である。
【図5】従来の一例によるセミアディティブ法によって回路パターンを形成する方法の工程(5)を示す工程断面図である。
【図6】従来の一例によるセミアディティブ法によって回路パターンを形成する方法の工程(6)を示す工程断面図である。
【図7】従来の他の例によるLPP工法によって回路パターンを形成する方法の工程(1)を示す工程断面図である。
【図8】従来の他の例によるLPP工法によって回路パターンを形成する方法の工程(2)を示す工程断面図である。
【図9】従来の他の例によるLPP工法によって回路パターンを形成する方法の工程(3)を示す工程断面図である。
【図10】従来の他の例によるLPP工法によって回路パターンを形成する方法の工程(4)を示す工程断面図である。
【図11】本発明の好適な第1実施例によるプリント基板の断面図である。
【図12】本発明の好適な第2実施例によるプリント基板の断面図である。
【図13】本発明の好適な第3実施例によるプリント基板の断面図である。
【図14】図11に示すプリント基板の製造方法の工程(1)を示す工程断面図である。
【図15】図11に示すプリント基板の製造方法の工程(2)を示す工程断面図である。
【図16】図11に示すプリント基板の製造方法の工程(3)を示す工程断面図である。
【図17】図11に示すプリント基板の製造方法の工程(4)を示す工程断面図である。
【図18】図11に示すプリント基板の製造方法の工程(5)を示す工程断面図である。
【図19】図11に示すプリント基板の製造方法の工程(6)を示す工程断面図である。
【図20】図11に示すプリント基板の製造方法の工程(7)を示す工程断面図である。
【図21】図11に示すプリント基板の製造方法の工程(8)を示す工程断面図である。
【図22】図12に示すプリント基板の製造方法の工程(1)を示す工程断面図である。
【図23】図12に示すプリント基板の製造方法の工程(2)を示す工程断面図である。
【図24】図12に示すプリント基板の製造方法の工程(3)を示す工程断面図である。
【図25】図12に示すプリント基板の製造方法の工程(4)を示す工程断面図である。
【図26】図12に示すプリント基板の製造方法の工程(5)を示す工程断面図である。
【図27】図12に示すプリント基板の製造方法の工程(6)を示す工程断面図である。
【図28】図12に示すプリント基板の製造方法の工程(7)を示す工程断面図である。
【図29】図13に示すプリント基板の製造方法の工程(1)を示す工程断面図である。
【図30】図13に示すプリント基板の製造方法の工程(2)を示す工程断面図である。
【図31】図13に示すプリント基板の製造方法の工程(3)を示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の目的、利点及び特徴は添付図面を参照する以下の詳細な説明及び好適な実施例からもっと明らかになろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるに際して、同じ構成要素には、たとえ異なる図面に表示されていても、できるだけ同一符号を付けることにする。また、本発明の説明において、関連の公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにすることができると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0046】
以下、添付図面に基づいて本発明の好適な実施例を詳細に説明する。
【0047】
図11は、本発明の好適な第1実施例によるプリント基板の断面図である。以下、これを参照して本実施例によるプリント基板100aについて説明する。
【0048】
図11に示すように、本実施例によるプリント基板100aは、一面に回路パターン130が含浸された絶縁部材120にビルドアップ絶縁層142と回路層144を含むビルドアップ層140が積層され、前記ビルドアップ層140にソルダレジスト層150が形成されたことを特徴とするものである。
【0049】
ここで、回路パターン130は、絶縁部材120の一面に含浸された構造、つまり絶縁部材120の一面と同一表面高さを持つように埋め込まれた構造を持つ。この際、回路パターン130は絶縁部材120の一面から厚さ方向に一部分にだけ形成され、インプリンティング工法によって形成されたパターン用トレンチ122の内部にメッキ工程によって形成される。
【0050】
また、回路パターン130中の第2パッド部は絶縁部材120に形成される第2オープン部124aを通じて露出され、第2パッド部にはソルダボールのような外部接続端子170が付着される。この際、第2パッド部には、腐食/酸化の防止及び外部接続端子170との接着力の向上のために、表面処理層160が形成できる。
【0051】
ビルドアップ層140は、回路パターン130が含浸された絶縁部材120の一面にビルドアップ絶縁層142が積層され、前記ビルドアップ絶縁層142に、層間連結のためのビアを含む回路層144が形成された構造を持つ。ここで、回路層144は、ビルドアップ層140の表面に突出するように形成される構造を持つことになる。
【0052】
ソルダレジスト層150は最外層ビルドアップ絶縁層142に形成された回路層144を外部から保護するためのもので、ビルドアップ絶縁層142の上部に積層される。この際、ソルダレジスト層150には、最外層の回路層144の第1パッド部を露出させる第1オープン部152が形成される。
【0053】
図12は、本発明の好適な第2実施例によるプリント基板の断面図である。以下、これを参照して本実施例によるプリント基板100bについて説明する。
【0054】
図12に示すように、本実施例によるプリント基板100bは、絶縁部材120にその一面に含浸された回路パターン130を含み、前記回路パターン130に連結されて絶縁部材120の他面に露出するように形成されたバンプパッド132が形成されたことを特徴とするものである。これを除き、その外の構成要素は同一であるので、重複する部分についての説明は省略する。
【0055】
ここで、バンプパッド132は、絶縁部材120の他面と同一高さを有するように形成され、絶縁部材120の他面に露出面を持つ。第1実施例によるプリント基板100aとは異なり、本実施例によるプリント基板100bは、回路パターン130と連結されたバンプパッド132が絶縁部材120の他面まで伸びるように形成されるので、パッド部を露出させるために絶縁部材120にオープン部を加工する必要がなくなる。本実施例においては、表面処理層160がバンプパッド132の露出面に形成され、その上に外部接続端子170が連結される。
【0056】
図13は、本発明の好適な第3実施例によるプリント基板の断面図である。以下、これを参照して本実施例によるプリント基板100cについて説明する。
【0057】
図13に示すように、本実施例によるプリント基板100cは、第2実施例によるプリント基板100bからバンプパッド132の幅方向一部とともにバンプパッド132の側面部の絶縁部材120にオープン部が加工され、前記オープン部にバンプパッド132と連結される補助パッド134が形成されたことを特徴とするものである。すなわち、バンプパッド132より大きな直径を持つとともに絶縁部材120の他面と同一高さを持つ補助パッド134を備えることで、これに連結される外部接続端子との接触面積を増大させて外部接続端子170との接触力を増大させることができる。この際、表面処理層160は補助パッド134の上部に形成される。
【0058】
図14〜図21は、図11に示すプリント基板の製造方法を工程順に示す工程断面図である。以下、これを参照して本実施例によるプリント基板の製造方法について説明する。
【0059】
まず、図14に示すように、キャリア110に絶縁部材120を積層する。ここで、キャリア110は製造過程中に支持機能をすることができる材質で形成され、後続の容易な除去のために、付加の離型層が表面に形成されていることが好ましい。この際、絶縁部材120はキャリア110の一面または両面に積層される。以下では、一例としてキャリア110の両面に絶縁部材120が積層され、付加の工程が進むものとして図示及び説明する。
【0060】
ついで、図15に示すように、絶縁部材120にパターン用トレンチ122を加工する。この際、パターン用トレンチ122は、回路パターン130が形成されるサイズ及び厚さを考慮して絶縁部材120の厚さ方向に一部分を除去することによって形成される。ここで、パターン用トレンチ122は、例えば加工時間及び加工費用を節減するために、インプリンティング工法(imprinting method)によって形成される。すなわち、パターン用トレンチ122は、トレンチ状に対応する形状を持つインプリントモールド(imprint mold)で絶縁部材120をインプリンティングすることで形成される。
【0061】
ついで、図16に示すように、パターン用トレンチ122の内部にメッキ工程を行って回路パターン130を形成する。この際、回路パターン130はパターン用トレンチ122の内壁とともに絶縁部材120の表面に無電解メッキ層を形成した後、前記無電解メッキ層のうちパターン用トレンチ122の内部に電解メッキ層を形成することで形成される。ここで、パターン用トレンチ122の内部にメッキ層を形成する過程で、絶縁部材120の上部に形成される無電解メッキ層及び電解メッキ層は、回路パターン130が絶縁部材120の一面と同一表面高さを持つように(含浸構造)、機械的及び/または化学的研磨工程によって除去されることが好ましい。
【0062】
ついで、図17に示すように、回路パターン130が形成された絶縁部材120にビルドアップ絶縁層142を積層し、層間連結のためのビアを含む回路層144を形成する。すなわち、ビルドアップ(build−up)工程によってビルドアップ層140を形成する。この際、回路層144は、例えばビルドアップ絶縁層142にビアホールを加工し、前記ビアホールの内部とともに前記ビルドアップ絶縁層142の上部にメッキ層を形成した後、前記メッキ層をパターニングすることで形成される。この際、絶縁部材120の直上に積層されるビルドアップ絶縁層142に形成される回路層144はビアを介して回路パターン130と連結される。
【0063】
ついで、図18に示すように、ビルドアップ絶縁層142にソルダレジスト層150を形成し、前記ビルドアップ絶縁層の最外層の回路層144のうち第1パッド部を露出させる第1オープン部152を加工した後、キャリア110を除去する。ここで、ソルダレジスト層150はビルドアップ絶縁層142の最外層に形成された回路層144を保護するために最外層ビルドアップ絶縁層142に形成され、外部との連結端子の役目をする第1パッド部は例えばレーザーダイレクトアブレーション(laser direct ablation;LDA)工程によってソルダレジスト層150に形成された第1オープン部152によって外部に露出される。
【0064】
ついで、図19に示すように、絶縁部材120に回路パターン130の第2パッド部を露出させる第2オープン部124aを加工する。この際、第2オープン部124aも第1オープン部152と同様にレーザーダイレクトアブレーション工程によって形成可能である。一方、本発明においては、絶縁部材120がキャリア110の上部に積層された状態で後続の工程が実行されるので、トレンチ加工工程及び回路形成工程を経った後にでも絶縁部材120は平たい構造を持つことになる。これにより、第2オープン部124aと第2パッド部の間で発生し得る加工誤差を最小化することができる。一方、本発明においては、回路パターン130が絶縁部材120の一面に含浸された構造を持つので、絶縁部材120が回路パターン130を外部から保護する機能をするので、付加のソルダレジスト層を形成する必要がなくなる。
【0065】
ついで、図20に示すように、第2オープン部124aを通じて露出された第2パッド部に表面処理層160を形成する。この際、表面処理層160は露出された第2パッド部の腐食及び酸化を防止するためのもので、必要によって選択的に形成できる。例えば、表面処理層160はニッケル(Ni)メッキ層またはニッケル合金メッキ層で形成されるか、あるいは前記ニッケルメッキ層または前記ニッケル合金メッキ層の上部に、パラジウム(Pd)メッキ層または金(Au)メッキ層が形成されるか、あるいは前記パラジウムメッキ層及び前記金メッキ層が順次に形成された構造を持ち、薄肉に形成される。
【0066】
最後に、図21に示すように、第2パッド部にソルダボールのような外部接続端子170を形成して図11に示すようなプリント基板100aを製造する。ここで、外部接続端子は外部システムと連結する導電性接続端子の役目をするもので、プリンティング工程によって第2オープン部124aにソルダペーストを印刷し、リフロー(reflow)工程を実行することによって形成される。
【0067】
図22〜図28は、図12に示すプリント基板の製造方法を工程順に示す工程断面図である。以下、これら図を参照して本実施例によるプリント基板の製造方法について説明する。本実施例の説明において、以前の実施例と対応する構成要素に対しては同一符号を付与し、重複する部分についての説明は省略する。
【0068】
まず、図22に示すように、製造過程で支持機能をするキャリア110に絶縁部材120を塗布する。
【0069】
ついで、図23に示すように、絶縁部材120にパターン用トレンチ122及びバンプパッド用トレンチ124bを加工する。
【0070】
この際、パターン用トレンチ122は、回路パターン130が形成されるサイズ及び厚さを考慮して、絶縁部材120の厚さ方向一部分に形成され、バンプパッド用トレンチ124bは絶縁部材120を貫通するように形成される。
【0071】
ついで、図24に示すように、パターン用トレンチ122及びバンプパッド用トレンチ124bの内部にメッキ工程を行って、それぞれ回路パターン130及びバンプパッド132を形成する。この際、回路パターン130は絶縁部材120の一面と同一表面高さを有し(含浸構造)、バンプパッド132は絶縁部材120の他面まで貫通する構造を持つ。
【0072】
ついで、図25に示すように、絶縁部材120にビルドアップ絶縁層142を積層し、層間連結のためのビアを含む回路層144を形成する。
【0073】
ついで、図26に示すように、ビルドアップ絶縁層142にソルダレジスト層150を形成し、前記ビルドアップ絶縁層142の最外層の回路層144のうち第1パッド部を露出させる第1オープン部152を加工した後、キャリア110を除去する。
【0074】
ついで、図27に示すように、絶縁部材120の他面に露出されたバンプパッド132に表面処理層160を形成する。この際、表面処理層160は必要によって選択的に形成できる。
【0075】
最後に、図28に示すように、バンプパッド132にソルダボールのような外部接続端子170を形成して図12に示すようなプリント基板100bを製造する。
【0076】
図29〜図31は、図13に示すプリント基板の製造方法を工程順に示す工程断面図である。以下、これら図を参照して本実施例によるプリント基板の製造方法について説明する。
【0077】
まず、図29に示すように、図22〜図26の製造過程によって製造されたプリント基板において、絶縁部材120にバンプパッド132の幅方向一部とともに前記バンプパッドの側面部にオープン部を加工し、前記オープン部にメッキ工程を行うことで、前記バンプパッドと連結される補助パッド134を形成する。ここで、補助パッド134はバンプパッド132と連結され、バンプパッド132より大きな直径を持つように形成され、外部接続端子170との接触面積を増大させることで外部接続端子170との接着力を増大させる役目をすることになる。
【0078】
ついで、図30に示すように、補助パッド134に表面処理層160を形成する。
【0079】
最後に、図31に示すように、補助パッド134にソルダボールのような外部接続端子170を形成して図13に示すようなプリント基板100cを製造する。
【0080】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのもので、本発明によるプリント基板及びその製造方法はこれに限定されなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を持った者によって多様な変形及び改良が可能であろう。本発明の単純な変形ないし変更はいずれも本発明の範疇内に属するもので、本発明の具体的な保護範囲は特許請求範囲によって明らかに決まるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、半導体チップの高密度化に対応することが可能な高密度及び高信頼性のプリント基板に適用可能である。
【符号の説明】
【0082】
110 キャリア
120 絶縁部材
122 パターン用トレンチ
124b バンプパッド用トレンチ
130 回路パターン
132 バンプパッド
134 補助パッド
142 ビルドアップ絶縁層
144 回路層
150 ソルダレジスト層
160 表面処理層
170 外部接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁部材の一面に含浸された回路パターン;
前記絶縁部材の一面に積層されたビルドアップ絶縁層に前記回路パターンと連結されるビアを含む回路層が形成されたビルドアップ層;及び
前記ビルドアップ層に積層されたソルダレジスト層;
を含むことを特徴とするプリント基板。
【請求項2】
前記絶縁部材の一面には、インプリンティング工法によってパターン用トレンチが形成され、前記回路パターンが、前記パターン用トレンチの内部に形成されることを特徴とする請求項1に記載のプリント基板。
【請求項3】
前記絶縁部材が、前記回路パターンと連結されるとともに、前記絶縁部材の他面に露出するように形成されるバンプパッドを含むことを特徴とする請求項1に記載のプリント基板。
【請求項4】
前記バンプパッドの露出面には、表面処理層が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のプリント基板。
【請求項5】
前記絶縁部材には、パターン用トレンチと前記絶縁部材を貫通するように加工されたバンプパッド用トレンチが形成され、前記回路パターンが、前記パターン用トレンチの内部に形成され、前記バンプパッドが、前記バンプパッド用トレンチの内部に形成されることを特徴とする請求項3に記載のプリント基板。
【請求項6】
前記絶縁部材が、前記回路パターンと連結されるバンプパッド、及び前記バンプパッドと連結されるとともに、前記絶縁パッドの他面に露出するように形成され、前記バンプパッドより大きな直径を持つ補助パッドを含むことを特徴とする請求項3に記載のプリント基板。
【請求項7】
前記補助パッドの露出面には、表面処理層が形成されていることを特徴とする請求項6に記載のプリント基板。
【請求項8】
前記ソルダレジスト層には、前記回路層中の第1パッド部を露出させる第1オープン部が形成され、前記絶縁部材には、前記回路パターン中の第2パッド部を露出させる第2オープン部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプリント基板。
【請求項9】
(A)キャリアに絶縁部材を塗布し、前記絶縁部材にインプリンティング工法によってパターン用トレンチを加工する段階;
(B)前記パターン用トレンチの内部にメッキ工程を行って回路パターンを形成する段階;
(C)前記絶縁部材にビルドアップ絶縁層を積層し、層間連結のためのビアを含む回路層を形成する段階;及び
(D)前記ビルドアップ絶縁層にソルダレジスト層を形成し、前記キャリアを除去する段階;
を含むことを特徴とするプリント基板の製造方法。
【請求項10】
前記(D)段階で、前記ソルダレジスト層に前記回路層中の第1パッド部を露出させる第1オープン部を加工する段階を行うことを特徴とする請求項9に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項11】
前記(D)段階の後に、(E)前記絶縁部材に前記回路パターン中の第2パッド部を露出させる第2オープン部を加工する段階をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項12】
前記(E)段階の後に、(F)前記パッド部に表面処理層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項11に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項13】
(A)キャリアに絶縁部材を塗布し、前記絶縁部材にインプリンティング工法によってパターン用トレンチと前記絶縁部材を貫通するバンプパッド用トレンチを加工する段階;
(B)前記パターン用トレンチと前記バンプパッド用トレンチの内部にメッキ工程を行って回路パターン及びバンプパッドを形成する段階;
(C)前記絶縁部材にビルドアップ絶縁層を積層し、層間連結のためのビアを含む回路層を形成する段階;及び
(D)前記ビルドアップ絶縁層にソルダレジスト層を形成し、前記キャリアを除去する段階;
を含むことを特徴とするプリント基板の製造方法。
【請求項14】
前記(D)段階で、前記ソルダレジスト層に前記回路層中の第1パッド部を露出させる第1オープン部を加工する段階を行うことを特徴とする請求項13に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項15】
前記(D)段階の後に、(E)前記バンプパッドの露出面に表面処理層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項16】
前記(D)段階の後に、
(E1)前記バンプパッドとその側面の前記絶縁部材に厚さ方向にオープン部を加工する段階;及び
(E2)前記オープン部にメッキ工程を行って補助パッドを形成する段階;
をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項17】
前記(E2)段階の後に、(E3)前記補助パッドに表面処理層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載のプリント基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2011−35358(P2011−35358A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213185(P2009−213185)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】