説明

プリント配線板および代替パッド

【課題】部品の改修時に部品搭載パッドが容易に剥がれないようにしたプリント配線板を提供するとともに、部品搭載パッドが剥がれた場合に代替の部品搭載パッドを容易に用意することができるようにする。
【解決手段】プリント配線板10に設けられる部品を搭載するための部品搭載パッド11の両端部にスルーホール15を設ける。両端部にスルーホール15を設けたことにより、部品搭載パッド11のプリント配線板10に対する接着強度が増し、部品改修の際に熱を加えられても部品搭載パッド11は剥がれにくくなる。また部品搭載パッドが剥がれた場合に備えて代替パッドを用意する。代替パッドはスルーホールに挿入されてはんだ付けされることにより新たな部品搭載パッドとして使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を搭載するための部品搭載パッドを有するプリント配線板およびプリント配線板に用いられる部品搭載パッドの代替パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品を搭載するプリント配線板においては、電子部品が搭載される面に導電パッド(部品搭載パッド)を配設し、この部品搭載パッド上に部品を搭載してはんだ付けを行っている。図12は従来の部品搭載パッドの配置を示す平面図である。
【0003】
図12にはプリント配線板1上に複数対の部品搭載パッド2a、2bが配設されている。部品搭載パッド2a、2bは銅箔で形成され、導体配線4が接続され、実装部品5のリード6がはんだ付けされる。部品搭載パッド2a、2bの寸法は実装部品5のリード6の幅やピッチで決定される。このような部品搭載パッドを有するプリント配線板として、例えば、特開平05−006411号公報に開示されるものがある。
【特許文献1】特開平05−006411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のプリント配線板においては、部品の改修時に部品をプリント配線板から取り外す際に、部品のリードを固定しているはんだを溶融するために加熱を行うが、そのときの熱により部品搭載パッドが剥がれることがあった。部品搭載パッドの配置の間隔が狭くなるほど、部品搭載パッドのプリント配線板に対する接着力は弱く、また鉛フリーはんだの使用により従来の共晶はんだの改修時よりも高温の熱をプリント配線板に加えることで部品搭載パッドはさらに剥がれやすくなっている。
【0005】
例えば、Sn3Ag0.5Cuの鉛フリーはんだを使用したプリント配線板の改修においては、はんだの融点が219℃のため、部品を固定しているはんだを溶融させるためには、この融点以上の温度の熱を加えないと溶融させることができない。
【0006】
また、部品搭載パッドが剥がれたプリント配線板は廃棄するか、または部品搭載パッドを介さないで搭載部品のリード部にジャンパー線等を直接はんだ付けして配線を行うようにするが、直接はんだ付けした場合には接続不良となる惧れがある。
【0007】
そこで本発明は、部品の改修時に部品搭載パッドが容易に剥がれないようにしたプリント配線板を提供することを第1の目的とするとともに、部品搭載パッドが剥がれた場合に代替の部品搭載パッドを容易に用意することができる手段を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために第1の発明は、部品を搭載するための部品搭載パッドを有するプリント配線板において、前記部品搭載パッドの両端部にスルーホールを設けたことを特徴とするものである。
【0009】
また第2の発明は、プリント配線板に設けられ、両端部にスルーホールを形成した部品搭載パッドが剥がれた跡に配設され、前記スルーホールに挿入されてはんだ付けされることにより新たな部品搭載パッドとして使用可能な代替パッドを提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明によれば、部品搭載パッドの両端部にスルーホールを設けたことにより、部品搭載パッドのプリント配線板に対する接着強度が増し、部品改修の際に熱を加えられても部品搭載パッドは剥がれにくくなる。
【0011】
また第2の発明によれば、部品搭載パッドが剥がれた場合、その剥がれた跡のスルーホールに挿入することにより容易に代替パッドを配置することができ、代替パッドを新たな部品搭載パッドとして使用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。各図面に共通する要素には同一の符号を付す。図1は本発明の第1の実施例のプリント配線板を示す平面図、図2は第1の実施例のプリント配線板を示す断面図である。
【0013】
図1、図2において、プリント配線板10には、複数の部品搭載パッド11が設けられている。部品搭載パッド11は、導体配線13に接続され、プリント配線板10に接着されている。部品搭載パッド11の両端部には導体部14を介してスルーホール15が形成されている。導体配線13は、設計時に、両端のスローホール15のどちらかを経由して部品搭載パッド11に接続させる。部品搭載パッド11の両端部にスルーホール15を設けることにより、部品搭載パッド11のプリント配線板10に対する接着強度が増す。
【0014】
図2に示すように、実装部品16は両側にリード部17を有し、リード部17が部品搭載パッド11の上部にはんだ18によりはんだ付けされる。これによりリード部17と導体配線13が接続される。また実装部品16を改修する場合、このはんだ18に熱を加えて溶融させ、実装部品16を取り外すようにする。
【0015】
実装部品16を改修する場合、リード部17を固定しているはんだ18に熱を加えて溶融させる。はんだ18が溶融すると、実装部品16がプリント配線板10から取り外される。はんだ18が加熱される際に、部品搭載パッド11およびプリント配線板10も加熱され、部品搭載パッド11のプリント配線板10に対する接着力が弱められる。したがって実装部品16を取り外す際に、同時に部品搭載パッド11も引き剥がされやすくなる。しかしながら、部品搭載パッド11はスルーホール15に繋がっているので、容易には引き剥がされることはない。
【0016】
図3、図4に第2の実施例の部品搭載パッドを示す。両図において、第2の実施例の部品搭載パッド22は、内部の両端部に直に(導体部を介することなく)スルーホール23を設けたものである。このような構成にすることにより、部品と委細パッド22のプリント配線板10に対する密着力がさらに強化され、部品改修の際に加熱されてもさらに引き剥がされにくくなる。
【0017】
また図5、図6に第3の実施例の部品搭載パッドを示す。第3の実施例の部品搭載パッド32は、第1の実施例と同様に、両端部に導体部33を介してスルーホール34を設けるとともに、部品搭載パッド32自体にもスルーホール35が形成されている。スルーホール35は実装部品のリード部が接続されるのに影響を与えない程度の大きさにすることが望ましい。またスルーホール35を設ける数は1つに限らず、数個形成してもよい。
【0018】
このように部品搭載パッド32の両端部にスルーホール34を設けるほかに、部品搭載パッド32の内部にさらにスルーホール35を設ける構成とすることにより、部品搭載パッド32のプリント配線板10に対する密着力がさらに強化され、部品改修の際にさらに引き剥がされにくくなる。
【0019】
ところで、第1実施例の部品搭載パッド11において説明するが、実装部品16の改修の際に、例えばはんだ18が十分溶融されていない状態で実装部品16が強大な力で取り外されると、部品搭載パッド11がプリント配線板10から引き剥がされることがある。このとき、部品搭載パッド11は、導体部14との間で分離するようになっている。
【0020】
部品搭載パッド11が引き剥がされた状態を図7に示す。図7において、プリント配線板10上には部品搭載パッド11は引き剥がされて存在していないが、スルーホール15および導体部14はプリント配線板10上に残っている。符号11aは部品搭載パッド11が引き剥がされた跡を示す。
【0021】
ここで部品搭載パッド11が引き剥がされた場合の実装部品の搭載について説明する。図8はパッド部が引き剥がされた場合に仮の部品搭載パッドとして使用される代替パッドを示す斜視図である。図8において、代替パッド41は、平坦面を有するパッド部42およびその両端の挿入部43とから構成されている。パッド部42は実装部品のリード部がはんだ付けされる部分であり、挿入部43はプリント配線板に固定される部分である。
【0022】
図9に代替パッドの作製工程を示す。図9において、代替パッド41の材料は(a)に示す線状部材50である。線状部材50をまず(b)に示すようにコの字形に折り曲げる。そして中央部50aを平坦にして(c)に示すようにパッド部42を作製する。このように線状部材50から作製できるので、非常に簡易に作製することができる。
【0023】
次に代替パッドを用いて実装部品を実装する手順を説明する。図10はプリント配線板に代替パッドを固定する動作を示す説明図である。図10において、代替パッド41を固定する場合、まず(a)に示すように、図7に示す部品搭載パッド11が引き剥がされた跡11aの両側のスルーホール15に、代替パッド41の挿入部43を挿入する。(b)に示すように、挿入部43が挿入された後、(c)に示すようにはんだ44により挿入部43をはんだ付けし、代替パッド41を固定する。
【0024】
このとき、はんだ44として高温はんだ等の鉛フリーはんだの融点よりも高温のはんだを用いる。このように鉛フリーはんだの融点よりも高温のはんだを用いることにより、実装部品をはんだ付けする際にはんだ44が溶融することはなく、代替パッド41のはんだ付け不良を防止することができる。代替パッド41を固定した後に、代替パッド41のパッド部42に実装部品をはんだ付けする。この状態を図11に示す。
【0025】
図11において、実装部品16の一方のリード17aは部品搭載パッド11にはんだ付けされ、他方のリード17bは代替パッド41のパッド部42にはんだ付けされる。このときのはんだ付けは通常のはんだ付けであり、部品搭載パッド11およびパッド部42上にフィレット60を形成することができる。以上ではんだ付けを完了する。
【0026】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では代替パッド41を線状部材50から作製したが、角状部材から作製するようにしてもよく、またパッド部42と挿入部43を別部材で形成し、互いに接合して形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施例のプリント配線板を示す平面図である。
【図2】第1の実施例のプリント配線板を示す断面図である。
【図3】第2の実施例の部品搭載パッドを示す平面図である。
【図4】第2の実施例の部品搭載パッドを示す断面図である。
【図5】第3の実施例の部品搭載パッドを示す平面図である。
【図6】第3の実施例の部品搭載パッドを示す断面図である。
【図7】部品搭載パッドを引き剥がした状態を示す平面図である。
【図8】代替パッドを示す斜視図である。
【図9】代替パッドの作成工程を示す説明図である。
【図10】代替パッドを固定する動作を示す説明図である。
【図11】代替パッドに実装部品をはんだ付けした状態を示す断面図である。
【図12】従来の部品搭載パッドの配置を示す平面図である。
【符号の説明】
【0028】
10 プリント配線板
11、22、32 部品搭載パッド
15、23、34、35 スルーホール
16 実装部品
41 代替パッド
43 挿入部
50 線状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を搭載するための部品搭載パッドを有するプリント配線板において、
前記部品搭載パッドの両端部にスルーホールを設けたことを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
前記部品搭載パッドの内部にスルーホールを設けた請求項1記載のプリント配線板。
【請求項3】
前記部品搭載パッドが剥がれた跡に、剥がれた部品搭載パッドの両端部に設けたスルーホールに挿入しはんだ付けすることにより新たな部品搭載パッドとして使用可能な代替パッドが搭載可能である請求項1または2記載のプリント配線板。
【請求項4】
前記部品搭載パッドが剥がれた跡に、剥がれた部品搭載パッドの両端部に設けたスルーホールに挿入しはんだ付けすることにより新たな部品搭載パッドとして使用可能な代替パッドを設けた請求項1または2記載のプリント配線板。
【請求項5】
前記スルーホールに挿入された前記代替パッドは搭載部品のはんだ付け温度より高い温度ではんだ付けされる請求項4記載のプリント配線板。
【請求項6】
プリント配線板に設けられ、両端部にスルーホールを形成した部品搭載パッドが剥がれた跡に配設され、前記スルーホールに挿入されてはんだ付けされることにより新たな部品搭載パッドとして使用可能な代替パッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−180255(P2007−180255A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−376755(P2005−376755)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】