説明

プリント配線板及びその製造方法、プリント配線板半製品連鎖体

【課題】絶縁層が経時的に剥がれ落ちることを抑制することを可能とする。
【解決手段】絶縁層19を備えた金属基板13の折り曲げ前に、折曲部15,16の対応部41,43に絶縁層19を分断する断面V字状の折曲溝45,47を設けると共に、金属基板13の絶縁層19のない裏面17で折曲部15,16の対応部41,43に断面V字状の突当溝49,51を設け、折曲溝45,47及び突当溝49,51を起点に金属基板13を折り曲げると共に、突当溝49,51を閉じるように突当溝49,51内の面35a,37aを突き当てて折曲部15,16の折り曲げ角度を決定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)などの電子部品が取り付けられるプリント配線板及びその製造方法、その製造方法に用いるプリント配線板半製品連鎖体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED(発光ダイオード)などに代表される電子部品は、その利便性より広い分野で使用されている。この場合、例えば、LEDを取り付けたプリント配線板を折り曲げて使用し、或いは取り付けることもある。
【0003】
このプリント配線板では、例えば表面に絶縁層を備えた細長い長方形状の金属基板を折曲部で折り曲げ、先端部の両側に取り付け用等の脚部を形成する。絶縁層の表面には、LEDを取り付けるためのプリントされた配線部を備える。
【0004】
このようなプリント配線板は、特許文献1と同様に絶縁層がポリイミドであれば折り曲げ加工しても問題はない。
【0005】
反面、ポリイミドの絶縁層は、折り曲げ加工には適しているが、伝熱性に難がある。
【0006】
一方、LED等の電子部品は、性能や耐久性の維持のために発生する熱を逃がす必要があり、絶縁層は、エポキシ化合物材料にアルミナやシリカなどの伝熱性のよい無機フィラーを含有させたものを用いるのがよい。
【0007】
しかし、エポキシ化合物材料にアルミナやシリカなどの無機フィラーを含有させた絶縁層は脆性であり前記折り曲げ加工には適さず、折り曲げ加工すると折り曲げ部で絶縁層が経時的に剥がれ落ち、障害を招く原因となる恐れがある。
【0008】
【特許文献1】特開平8−125295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、無機フィラーを含有させた絶縁層は脆性であり、折り曲げ加工すると折り曲げ部で絶縁層が経時的に剥がれ落ち、障害を招く原因となる恐れがあった点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、絶縁層が経時的に剥がれ落ちることを抑制するために、表面に脆性な絶縁層を備えた金属基板を折曲部で折り曲げて先端部とこの先端部に交差する脚部とを一体に設け、少なくとも前記先端部の絶縁層表面に、電子部品を取り付けるためのプリントされた配線部を備えるプリント配線板であって、前記折曲部の全長に沿って、前記絶縁層を分断した絶縁層分断部を設けたことをプリント配線板の最も主要な特徴とする。
【0011】
前記プリント配線板を製造するためのプリント配線板の製造方法であって、 前記絶縁層を備えた金属基板の折り曲げ前に、前記折曲部の対応部に前記絶縁層を分断する断面V字状の折曲溝を設け、前記折曲溝を起点に前記金属基板を折り曲げたことをプリント配線板の製造方法の最も主要な特徴とする。
【0012】
前記プリント配線板の製造方法に用いるプリント配線板半製品連鎖体であって、前記絶縁層及び配線部を備えた金属基板の折り曲げ前に、隣接間に断面V字状の分割溝を介して該折り曲げ前の金属基板を複数連設し、前記分割溝に交差して前記折曲溝又は前記折曲溝及び突当溝を複数の金属基板に渡って連続形成したことをプリント配線板半製品連鎖体の最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、表面に脆性な絶縁層を備えた金属基板を折曲部で折り曲げて先端部とこの先端部に交差する脚部とを一体に設け、少なくとも前記先端部の絶縁層表面に、電子部品を取り付けるためのプリントされた配線部を備えるプリント配線板であって、前記折曲部の全長に沿って、前記絶縁層を分断した絶縁層分断部を設けた。
【0014】
このため、折曲部の折り曲げにより脆弱した絶縁層が存在することはなく、絶縁層の剥がれ落ちを規制し、絶縁層の剥がれ落ちによる障害を抑制することができる。
【0015】
前記プリント配線板を製造するためのプリント配線板の製造方法であって、 前記絶縁層及び配線部を備えた金属基板の折り曲げ前に、前記折曲部の対応部に前記絶縁層を分断する断面V字状の折曲溝を設け、前記折曲溝を起点に前記金属基板を折り曲げた。
【0016】
このため、折曲溝を起点に前記金属基板を折り曲げても折曲部の折り曲げにより脆弱した絶縁層が存在することはなく、絶縁層の剥がれ落ちを規制し、絶縁層の剥がれ落ちによる障害を抑制することができる。
【0017】
前記プリント配線板の製造方法に用いるプリント配線板半製品連鎖体であって、前記絶縁層及び配線部を備えた金属基板の折り曲げ前に、隣接間に断面V字状の分割溝を介して該折り曲げ前の金属基板を複数連設し、前記分割溝に交差して前記折曲溝又は前記折曲溝及び突当溝を複数の金属基板に渡って連続形成した。
【0018】
このため、前記絶縁層及び配線部を備えた金属基板を折り曲げ前の状態で分割溝により離脱させ、単体にした状態で前記折り曲げを行わせることができる。
【0019】
したがって、複数のプリント配線板の取り扱いが容易となる。
【0020】
しかも、折曲溝を起点に前記金属基板を折り曲げても折曲部の折り曲げにより脆弱した絶縁層が存在することはなく、絶縁層の剥がれ落ちを規制し、絶縁層の剥がれ落ちによる障害を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
絶縁層が経時的に剥がれ落ちを抑制するという目的を、絶縁層を分断する断面V字状の折曲溝により実現した。
【実施例1】
【0022】
[プリント配線板]
図1は、本発明実施例1に係り、プリント配線板にLEDを支持させた断面図である。
【0023】
図1のように、プリント配線板1は、先端部7と、この先端部7に交差する一対の脚部9,11とを一体に設けたものである。先端部7と一対の脚部9,11との交差は、本実施例において直行するが、その他の角度で交差させることもできる。
【0024】
先端部7と脚部9,11とは、例えばアルミの金属基板13を折曲部15,16で裏面17側へ折り曲げて形成している。金属基板13の表面18には、絶縁層19が備えられている。金属基板13は、放熱のために伝熱性のよいアルミを用いているが、アルミ以外に、伝熱性のよいアルミ合金、銅のいずれかで形成することもできる。
【0025】
絶縁層19は、例えば、エポキシ化合物材料などの熱硬化性樹脂を主体とし、アルミナやシリカなどの伝熱性の良い無機フィラーを含有させた材料が用いられている。従って、絶縁層19は、脆性ではあるが伝熱性が良い。
【0026】
先端部7は矩形状に形成され、この先端部7には、銅箔のプリントによる配線部21が備えられ、電子部品であるLED(発光ダイオード)23が搭載されている。
【0027】
脚部9,11は、矩形状の先端部7の2辺縁部25,27に対抗して形成され、細長いケースに沿って延設され、ケース側の基部に固定して取り付けられている。この脚部9,11は、取り付け用であると共に放熱フィンを構成する。
【0028】
前記折曲部15,16には、その外側全長に沿って、前記絶縁層19を分断した絶縁層分断部31,33が設けられている。この絶縁層分断部31,33は、本実施例において断面V字状の溝31a,33aにより構成されている。
【0029】
前記金属基板13の絶縁層のない裏面17には、前記折曲部15,16の折り曲げ角度を決定する突当部35,37が該金属基板13の板厚内に設けられている。突当部35,37は、その面35a,37aが相互に突き当たって折曲部15,16の折り曲げ角度を前記のように直角に決定している。但し、折り曲げ角度は、直角以外の60°等、種種選択することができる。
【0030】
上記のようなプリント配線板1では、LED23の発熱を伝熱性のよい絶縁層19を介して同じく伝熱性のよいアルミの先端部7に伝熱される。この伝熱された熱は、脚部9,11を介してさらに伝熱され、ケース等を介して外部へ放熱される。
[プリント配線板の製造方法]
図2は、折り曲げ前の金属基板の平面図、図3は、同断面図、図4は、金属基板折り曲げ後のプリント配線板の断面図である。
【0031】
図2,図3の折り曲げ前の金属基板13は、例えば次のようにして製造する。
【0032】
半硬化状態の絶縁材の一方の面に金属基板13を配置し、他方の面に銅箔を配置し、積層プレスにより一体化し、銅張り積層板構造を形成する。
【0033】
次いで、他方の面に配置した銅箔を回路形成し、図2に示される配線部21を形成する。
【0034】
次に、プレスにより設定された大きさに打ち抜き、折り曲げ前の絶縁層19を備えた金属基板13を形成する。
【0035】
次に、前記絶縁層19及び配線部21を備えた金属基板13の折り曲げ前に、前記折曲部15,16の対応部41,43に前記絶縁層19を分断する断面V字状の折曲溝45,47をそれぞれ2本設ける。折曲溝45,47は、金属基板13の幅方向に渡って形成されている。
【0036】
また、前記金属基板13の絶縁層のない裏面17で前記15,16の対応部41,43に断面V字状の突当溝49,51をそれぞれ2本設ける。突当溝49,51は、折曲溝45,47に表裏対応した位置に配置されている。
【0037】
折曲溝45,47及び突当溝49,51は、同じ深さで形成され、折曲溝45,47は、絶縁層19の厚みよりも深く形成されている。本実施例では、金属基板13の厚みが1mmであり、折曲溝45,47及び突当溝49,51の深さはそれぞれ0.35mm程度とされ、折曲溝45,47及び突当溝49,51間の残余の厚みは、0.3mm程度とされ、手作業による折り曲げを可能にしている。
【0038】
金属基板13の厚みは、1mm〜3mmが採用され、いずれの厚みの金属基板13でも残余の厚みは、0.3mm程度とされる。
【0039】
なお、折曲溝45,47が、配線部21に近接するときは、折曲溝45,47を小さく形成するが、折曲溝45,47及び突当溝49,51間の残余の厚みは、0.3mm程度とされる。
【0040】
折曲溝45,47及び突当溝49,51は、金属基板13がアルミであることを考慮し、例えばダイヤモンドを埋め込んだチップを供える回転刃により切削される。
【0041】
次いで、前記折曲溝45,47及び突当溝49,51を起点に前記金属基板13を折り曲げると共に、前記突当溝49,51を閉じるように突当溝49,51内の面35a,37aを突き当てて前記のように折曲部15,16の折り曲げ角度を決定し、図4のプリント配線板1を得ることができる。
【0042】
プリント配線板1の絶縁層分断部31,33は、折り曲げ前の金属基板13の折曲溝45,47が折り曲げにより広がることで構成されている。
【0043】
なお、折曲溝45,47及び突当溝49,51は、金属基板13をプレスにより設定された大きさに打ち抜く前後のいずれにおいても形成することができる。
[プリント配線板半製品連鎖体]
図5は、プリント配線板半製品連鎖体の平面図である。
【0044】
前記のように図4のプリント配線板1は、図2,図3のように、プレスで打ち抜いた個々の金属基板13の折り曲げにより形成することもできるが、図5のプリント配線板半製品連鎖体53から形成することもできる。
【0045】
図5の複数本の折り曲げ前の金属基板13を並列的に形成できるアルミの基板材55をプレスで打ち抜き、この基板材55に前記同様な手順により絶縁層19を全体に形成し、複数組の配線部21を形成する。
【0046】
次いで、基板材55の表裏に断面V字状の分割溝57,59,61,63を前記と同様な回転刃により切削形成する。表裏の分割溝57,59,61,63間の残余の厚みは、手作業で分割することを考慮し、0.3mm程度としている。
【0047】
分割溝57,63は、捨て板部65,67を分割し、分割溝61,63は、捨て板部69,71を分割するためのものである。分割溝59は、各金属基板13を分割するためのものである。
【0048】
こうして、前記絶縁層19及び配線部21を備えた金属基板13の折り曲げ前に、隣接間に断面V字状の分割溝59を介して該折り曲げ前の金属基板13を複数連設する。
【0049】
次に前記分割溝59に交差して前記折曲溝45,47及び前記の突当溝49,51(但し、図5では図示せず。)を複数の金属基板13に渡って連続形成する。
【0050】
こうして形成したプリント配線板半製品連鎖体53は、周辺に備えた捨て板部65,67,69,71を分割溝57,61,63により分割除去し、金属基板13を隣接する金属基板13から分割溝59により分割して図2と同様な形態とし、前記同様な折り曲げにより図4のプリント配線板1を順次得ることができる。
【0051】
なお、図5のプリント配線板半製品連鎖体53は、複数個をさらに連鎖体として一括して形成し、プレスで打ち抜き、個々のプリント配線板半製品連鎖体53とすることもできる。
[実施例1の効果]
本発明実施例1は、表面に脆性な絶縁層19を備えた金属基板13を折曲部15,16で裏面17側へ折り曲げて先端部7とこの先端部7に交差する脚部9,11とを一体に設け、少なくとも前記先端部7の絶縁層19表面に、LED23を取り付けるためのプリントされた配線部21を備えるプリント配線板1であって、前記折曲部15,16の外側全長に沿って、前記絶縁層19を分断した絶縁層分断部31,33を設けた。
【0052】
このため、折曲部15,16の外側で折り曲げにより脆弱した絶縁層19が存在することはなく、絶縁層19の剥がれ落ちを規制し、絶縁層19の剥がれ落ちによる障害を抑制することができる。
【0053】
前記絶縁層分断部31,33は、断面V字状の溝31a,33aである。
【0054】
このため、折曲部15,16において絶縁層19を確実に分断することができる。
【0055】
前記先端部7は、矩形状に形成され、前記脚部9,11は、前記先端部7の2辺縁部に設けられた。
【0056】
このため、脚部9,11による確実な支持と放熱を行わせることができる。
【0057】
前記金属基板13の絶縁層19のない裏面17に、前記折曲部15,16の折り曲げ角度を決定する突当部35,37を該金属基板13の板厚内に設けた。
【0058】
このため、板厚を増すことなく折曲部15,16の折り曲げ角度を決定することができ、小型化に有利である。
【0059】
前記脚部9,11は、放熱フィンである。
【0060】
従って、先端部7のLED23の発熱を、脚部9,11を介して的確に行わせることができる。
【0061】
前記金属基板13は、アルミ、アルミ合金、銅のいずれかで形成された。
【0062】
このため、伝熱性を向上させ、放熱を確実に行わせることができる。
【0063】
前記プリント配線板1を製造するためのプリント配線板1の製造方法であって、 前記絶縁層19を備えた金属基板13の折り曲げ前に、前記折曲部15,16の対応部41,43に前記絶縁層19を分断する断面V字状の折曲溝45,47を設け、前記折曲溝45,47を起点に前記金属基板13を折り曲げた。
【0064】
このため、折曲溝45,47を起点に前記金属基板13を折り曲げても折曲部45,47の外側で折り曲げにより脆弱した絶縁層19が存在することはなく、絶縁層19の剥がれ落ちを規制し、絶縁層19の剥がれ落ちによる障害を抑制することができる。
【0065】
前記絶縁層19を備えた金属基板13の折り曲げ前に、前記折曲部15,16の対応部41,43に前記絶縁層19を分断する断面V字状の折曲溝45,47を設けると共に、前記金属基板13の絶縁層19のない裏面17で前記折曲部15,16の対応部41,43に断面V字状の突当溝49,51を設け、前記折曲溝45,47及び突当溝49,51を起点に前記金属基板13を折り曲げると共に、前記突当溝49,51を閉じるように突当溝49,51内の面35a,37aを突き当てて前記折曲部15,16の折り曲げ角度を決定する。
【0066】
このため、折曲部15,16の折り曲げ角度を確実に決定することができる。
【0067】
前記プリント配線板1の製造方法に用いるプリント配線板半製品連鎖体53であって、前記絶縁層19及び配線部21を備えた金属基板13の折り曲げ前に、隣接間に断面V字状の分割溝59を介して該折り曲げ前の金属基板13を複数連設し、前記分割溝59に交差して前記折曲溝45,47又は前記折曲溝45,47及び突当溝49,51を複数の金属基板13に渡って連続形成した。
【0068】
このため、前記絶縁層19及び配線部21を備えた金属基板13を折り曲げ前の状態で分割溝59により手作業により離脱させ、単体にした状態で前記折り曲げを行わせることができる。
【0069】
したがって、複数のプリント配線板13の取り扱いが容易となる。
【0070】
しかも、折曲溝45,47を起点に前記金属基板13を折り曲げても折曲部15,16の外側で折り曲げにより脆弱した絶縁層19が存在することはなく、絶縁層19の剥がれ落ちを規制し、絶縁層19の剥がれ落ちによる障害を抑制することができる。
【0071】
プリント配線板半製品連鎖体53は、周辺に断面V字状の分割溝を57,61,63介して捨て板部65,67,69,71を備えた。
【0072】
このため、金属基板13を単体として切り離すまで金属基板13間の分割溝59での不用意な分割を規制し、取扱いを容易にすることができる。
【実施例2】
【0073】
図6〜図9は、本発明の実施例2に係り、図6は、折り曲げ前の金属基板の平面図、図7は、同断面図、図8は、金属基板折り曲げ後のプリント配線板の断面図、図9は、プリント配線板半製品連鎖体の平面図である。なお、基本的な構成は、実施例1と同様であり、同一又は対応する構成部分には、同符号又は同符号にAを付して説明する。
【0074】
本実施例のプリント配線板1Aは、図8のように、先端部7に配線部21Aaを備えると共に、脚部9,11の絶縁層19表面にも、電子部品、例えばLEDを取り付けるためのプリントされた配線部21Abを備えた。
【0075】
その他、図6〜図8で示されるプリント配線板1Aの製造方法は、図2〜図4で示される実施例1のプリント配線板1の製造方法と同様であり、図9で示されるプリント配線板半製品連鎖体53Aは、図5で示されるプリント配線板半製品連鎖体53と同様である。
従って、本実施例においても、実施例1と同様な作用効果を奏することができる。
【実施例3】
【0076】
図10〜図12は、本発明の実施例3に係り、図10は、折り曲げ前の金属基板の平面図、図11は、同断面図、図12は、金属基板折り曲げ後のプリント配線板の断面図である。なお、基本的な構成は、実施例2と同様であり、同一又は対応する構成部分には、同符号又は同符号のAをBに代えて説明する。
【0077】
図10〜図12のように、本実施例のプリント配線板1Bでは、前記先端部7Bが、矩形状に形成され、それぞれ2本の脚部9B,11Bが、前記先端部7Bの4辺縁部に分けて設けられている。
【0078】
図10〜図12で示されるプリント配線板1Bの製造方法は、図2〜図4で示される実施例1のプリント配線板1の製造方法と同様である。
【0079】
但し、本実施例の各2本の脚部9B,11B(図10に脚部9B,11B相当部を符号にカッコを付けて示した。)に対応する各2カ所の折曲溝45B,47B及び突当溝49B,51Bはそれぞれ1本で構成され、金属基板13Bの折り曲げにより各2カ所の折曲溝45B,47Bが各2カ所の平面の絶縁層分断部31B,33B(但し、図12の断面では、一対のみ示す。)を形成し、各2カ所の突当溝49B,51Bの各面35a,37aが突き当たって各2カ所の折曲部15B,16B(但し、図12の断面では、一対のみ示す。)の折り曲げ角度を決定し、各2カ所の突当部35B,37Bを該金属基板13Bの板厚内に設けた構成となる。
【0080】
従って、本実施例でも上記実施例と同様な作用効果を奏することができる。
【0081】
また、本実施例では、脚部9B,11Bが計4本であり、各脚部9B,11Bに配線部21Bbを介して電子部品、例えばLEDを取り付けても、放熱性を十分に確保することができる。
【0082】
なお、本実施例において、脚部9B,11Bの配線部21Bbは省略することもできる。
【実施例4】
【0083】
図13、図14は、本発明の実施例4に係り、図13は、折り曲げ前の金属基板の断面図、図14は、金属基板折り曲げ後のプリント配線板の断面図である。なお、基本的な構成は、実施例2と同様であり、同一又は対応する構成部分には、同符号又は同符号のAをCに代えて説明する。
【0084】
本実施例のプリント配線板1Cは、図14のように、先端部7Cの裏面に配線部21Caを備えると共に、脚部9C,11C裏面の絶縁層19C表面にも、電子部品、例えばLEDを取り付けるためのプリントされた配線部21Cbを備えた。さらに、脚部9C,11Cには延長部9Ca,11Caが形成され、延長部9Ca,11Caの裏面の絶縁層19C表面にも、配線部21Ccを備えた。
【0085】
図13、図14で示されるプリント配線板1Cの製造方法は、図2〜図4で示される実施例1のプリント配線板1の製造方法と同様である。
【0086】
但し、本実施例のプリント配線板1Cは、絶縁層19C、配線部21Ca,21Cb,21Ccが、金属基板13Cの裏面側に設けられ、突当部35C,37Cは絶縁層分断部を構成する。
【0087】
したがって、本実施例でも、実施例2と同様な効果を奏することができる。
【実施例5】
【0088】
図15、図16は、本発明の実施例5に係り、図15は、折り曲げ前の金属基板の断面図、図16は、金属基板折り曲げ後のプリント配線板の断面図である。なお、基本的な構成は、実施例4と同様であり、同一又は対応する構成部分には、同符号又は同符号のCをDに代えて説明する。
【0089】
本実施例のプリント配線板1Dは、図15,図16のように、突当部35D,37Dがそれぞれの箇所で単一に形成され、実施例3と同様になっている。
[その他]
上記各実施例において、突当部35,37,35B,37B,35C,37C,35D,37Dは省略することもできる。突当部35,37,35B,37B,35C,37C,35D,37Dを省略するときは、プリント配線板1,1A,1B,1C,1Dの製造方法において、突当溝49,51,49B,51B,49C,51C,49D,51Dは、形成されない。このとき、金属基板13,13A,13B,13C,13D折り曲げ用の残余厚みは、前記同様に0.3mm程度に形成される。
【0090】
絶縁層19C,19D側に形成される突当部35C,37C,35D,37Dは、絶縁層分断部を構成するため省略されることはない。
【0091】
脚部9,11,9B,11B,9C,11C,9D,11Dは、放熱を無視し、単なる支持用として用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】プリント配線板にLEDを支持させた断面図である。(実施例1)
【図2】折り曲げ前の金属基板の平面図である。(実施例1)
【図3】折り曲げ前の金属基板の断面図である。(実施例1)
【図4】金属基板折り曲げ後のプリント配線板の断面図である。(実施例1)
【図5】プリント配線板半製品連鎖体の平面図である。(実施例1)
【図6】折り曲げ前の金属基板の平面図である。(実施例2)
【図7】折り曲げ前の金属基板の断面図である。(実施例2)
【図8】金属基板折り曲げ後のプリント配線板の断面図である。(実施例2)
【図9】プリント配線板半製品連鎖体の平面図である。(実施例2)
【図10】折り曲げ前の金属基板の平面図である。(実施例3)
【図11】折り曲げ前の金属基板の断面図である。(実施例3)
【図12】金属基板折り曲げ後のプリント配線板の断面図である。(実施例3)
【図13】折り曲げ前の金属基板の断面図である。(実施例4)
【図14】金属基板折り曲げ後のプリント配線板の断面図である。(実施例4)
【図15】折り曲げ前の金属基板の断面図である。(実施例5)
【図16】金属基板折り曲げ後のプリント配線板の断面図である。(実施例5)
【符号の説明】
【0093】
1,1A,1B,1C,1D プリント配線板
7,7B,7C,7D 先端部
9 ,11,9B,11B 脚部
13,13A,13B 金属基板
15,16 分割部
17 裏面
18 表面
19 絶縁層
23 LED(電子部品)
25,27 2辺縁部
31,33,31B,33B 絶縁層分断部
35,37,35B,37B 突当部
35C,37C,35D,37D 突当部(絶縁層分断部)
35a,37a 面
41,43 折曲部の対応部
45,47,45B,47B 折曲溝
49,51,49B,51B,49C,51C 突当溝
57,59,61,63 分割溝
65,67,69,71 捨て板部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に脆性な絶縁層を備えた金属基板を折曲部で折り曲げて先端部とこの先端部に交差する脚部とを一体に設け、
少なくとも前記先端部の絶縁層表面に、電子部品を取り付けるためのプリントされた配線部を備えるプリント配線板であって、
前記折曲部の全長に沿って、前記絶縁層を分断した絶縁層分断部を設けた、
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
請求項1記載のプリント配線板であって、
前記絶縁層分断部は、断面V字状の溝である、
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項3】
請求項1又は2記載のプリント配線板であって、
前記先端部は、矩形状に形成され、
前記脚部は、前記先端部の2辺縁部又は4辺縁部に設けられた、
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のプリント配線板であって、
前記脚部の絶縁層表面に、電子部品を取り付けるためのプリントされた配線部を備えた、
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のプリント配線板であって、
前記折曲部の折り曲げ角度を決定する突当部を該金属基板の板厚内に設けた、
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のプリント配線板であって、
前記脚部は、放熱フィンである、
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のプリント配線板であって、
前記金属基板は、アルミ、アルミ合金、銅のいずれかで形成された、
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のプリント配線板を製造するためのプリント配線板の製造方法であって、
前記絶縁層及び配線部を備えた金属基板の折り曲げ前に、前記折曲部の対応部に前記絶縁層を分断する断面V字状の折曲溝を設け、
前記折曲溝を起点に前記金属基板を折り曲げた、
ことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項9】
請求項5〜7のいずれかに記載のプリント配線板を製造するためのプリント配線板の製造方法であって、
前記絶縁層及び配線部を備えた金属基板の折り曲げ前に、前記折曲部の対応部に前記絶縁層を分断する断面V字状の折曲溝又は突当溝の少なくとも一方を設けると共に、前記金属基板の絶縁層のない裏面で前記折曲部の対応部に断面V字状の突当溝を設け、
前記折曲溝及び突当溝を起点に前記金属基板を折り曲げると共に、前記突当溝を閉じるように突当溝内の面を突き当てて前記折曲部の折り曲げ角度を決定する突当部とした、
ことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項10】
請求項8又は9記載のプリント配線板の製造方法に用いるプリント配線板半製品連鎖体であって、
前記絶縁層及び配線部を備えた金属基板の折り曲げ前に、隣接間に断面V字状の分割溝を介して該折り曲げ前の金属基板を複数連設し、
前記分割溝に交差して前記折曲溝又は前記折曲溝及び突当溝を複数の金属基板に渡って連続形成した、
ことを特徴とするプリント配線板半製品連鎖体。
【請求項11】
請求項10記載のプリント配線板半製品連鎖体は、周辺に断面V字状の分割溝を介して捨て板部を備えた、
ことを特徴とするプリント配線板半製品連鎖体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−129984(P2010−129984A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306759(P2008−306759)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】