説明

プルプリント印刷システム

【課題】 プルプリントシステムにおいて、再利用可能でかつデバイスにあわせて高速に印刷できる、またはデバイスによらない形で再利用可能となるユーザにとって使いやすいシステムを提供する。
【解決手段】 プルプリント印刷手段と、印刷データをWEBサーバ上に登録する手段と、登録時に自動的に複数の他形式の印刷データを作成する手段と、それらの印刷データとURL情報、対象プリンタ機種情報をまとめた情報ヘッダを作成する手段と、プルプリント印刷手段は、印刷データ種から最適な印刷データを取得して印刷を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク上の所在情報から文書を取得して印刷するプルプリント印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットのプリンティングプロトコルとして規定されているIPP(Internet Printing Protocol)に対応したプリンタでは、URLを指定したWEBサーバ上のデータを取得して印刷するプルプリント機能を持っている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−134125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら印刷中間言語のひとつであるPDL(Page Description Language)は、プリンタに依存し、他機種では使用することができない。一方で、機種限定されていても良いから更に高速に印刷をしたいという要望も強くある。
【0004】
本発明は、以上の点に着目して成されたもので、他機種のプリンタでも印刷でき、また高速に印刷することができるプルプリント印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の問題点を解決するため、本発明におけるプルプリント印刷システムは、ネットワーク上の所在情報から文書を取得して印刷するプルプリント印刷手段と、印刷データをWEBサーバ上に登録してURLを取得する印刷データ登録手段と、印刷データ登録時に自動的に複数の他形式の印刷データを作成する印刷データ作成手段と、それらの印刷データとURL情報、対象プリンタ機種情報をまとめた情報ヘッダを作成する情報ヘッダ作成手段とを持ち、前記プルプリント印刷手段は、前期情報ヘッダに書かれている印刷データ種から最適な印刷データを取得して印刷を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数の印刷データの中からプリンタに合わせて最適な印刷データを選択して印刷することが可能となり、他機種のプリンタでも印刷でき、また高速に印刷することができる。
【0007】
また、複数の印刷データの中からプリンタに合わせて最適な印刷データを選択して印刷することが可能となり、他機種のプリンタでも印刷でき、また高速に印刷することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例】
【0009】
本発明に係るプルプリント印刷システムの1例を図1に示す。
【0010】
1はCPU、2はデータ入力のためのキーボード、3は文書画像を表示するディスプレイ、4は文書を格納するハードディスク、5は装置を制御するプログラムや必要な情報をあらかじめ記憶するROM、6は様々なワークエリアとして利用されるRAM、7は所望の文書を印刷するにあたって複数の印刷データを作成する印刷データ作成部、8は所望の文書からPDL(Page Description Language)データを作成するPDL作成部、9は所望のデータからプリンタ非依存の印刷中間データを作成するプリンタ非依存印刷中間データ作成部、10はRIP(Raster Image Process: ベクトルデータをラスタイメージに展開)済みデータを作成するソフトRIP等のRIP済みデータ作成部である。
【0011】
11は8,9,10で作成された各印刷データを登録したときに得られるURL情報と印刷データの関係及び対象プリンタ機種情報を記述した情報ヘッダを作成する情報ヘッダ作成部、12は8,9,10で作成された印刷データ及び11で作成された情報ヘッダを登録しURLを受け取り情報ヘッダ作成部11に渡す印刷データ登録部、13はプルプリント印刷可能なIPP(Internet Printing Protocol)対応プリンタ、14は情報ヘッダを解釈する情報ヘッダ解釈部、15は指定されたURLからIPPを用いてデータを入手する情報入手部、16は印刷する印刷部、17は各種データを転送するデータバスである。
【0012】
図2は、本発明の実施例の印刷システムを示す図である。201はWEBサーバかつクライアントで印刷データを作成しWEB上に登録する。なお、WEBサーバ201はサーバとクライアントに分かれていても効果は同じである。13はIPP対応プリンタである。それらはネットワーク202で接続されている。203は複数の印刷データをひとまとめにして管理している印刷データコンテナである。204は情報ヘッダで印刷データコンテナ203に含まれる複数の印刷データとそれらが登録されているURL及び対象プリンタ機種情報が記述されている。205は関連付け情報で、ユーザが印刷したい各オリジナルデータとそれに対応する印刷データコンテナ204の情報ヘッダ205のURLの関連付けを示している。
【0013】
図3〜5は、本発明の画像処理を示すフローチャートである。本発明のプルプリント印刷システムの好適な実施例を説明する。
【0014】
以下、WEBサーバ201で印刷データを選択しIPP対応プリンタ13でプルプリントするまでの処理について説明する。
【0015】
まず初めに、ステップS301で印刷データ作成部7のPDL作成部8において、印刷したいデータを選択する。次にステップS302で、選択されたデータがすでにWEBサーバ上に登録されていないか確認する。登録されていれば2重に登録する必要は無いので、ステップS308へ進んでPull Printする。
【0016】
登録されていなければステップS303へ進む。
【0017】
ステップS303では選択されたデータをRAM6上に記憶し、データを印刷するために必要なアプリケーションを起動し「印刷」を実行してPDL(Page Description Language)を作成する。
【0018】
次にステップS304で印刷データ登録部12において、前記PDLデータをWEBサーバ201上に登録してURLを記憶する。
【0019】
ステップS305で、印刷データ作成部7は、印刷データが登録されたことが感知された場合、自動的に他形式の印刷データを作成し、WEBサーバ201に登録しURLを記憶する。
【0020】
図4は、図3のステップS305を詳しく説明したフローであり、それに従って説明する。
【0021】
ステップS401は、印刷データ作成部7がサーバ上で印刷データが登録されたかどうか確認を行うサービス処理であり、印刷データが登録された場合にはステップS402に進む。印刷データが登録されたかどうかの確認方法は、例えば拡張子がprnのファイルが登録された場合は、PDLが登録されたと判断する。
【0022】
次にステップS402では、すでに同じ印刷データが登録されていないか確認する。印刷データ作成部7のプリンタ非依存印刷中間データ作成部9において前述のRAM6上に記憶されているオリジナルデータからプリンタ非依存型印刷データを作成する。たとえばプリンタ非依存型印刷データとしては、PDF(Portable Document Format)がある。他にもSVG(Scalable Vector Graphics)などがある。例えば、プリンタ非依存印刷中間データ作成部9は、オリジナルアプリから印刷するプリンタドライバのように動作し、PDLを作成する代わりにPDFなどのプリンタ非依存印刷中間データを作成する。
【0023】
次にステップS403では印刷データ作成部7のRIP済みデータ作成部10においてRIP済みデータの作成を行う。たとえば前記PDFのようなベクターデータからプリンタにおいて最終的に印刷されるビットマップ(ラスタイメージ)にラスタライズ(展開)してRIP済みデータを作成する。
【0024】
ステップS404では、印刷データ登録部12において前述の各印刷データをWEBサーバ201に登録し、各URLをRAM6に記憶して、ステップS303の全処理を終了する。
【0025】
再び図3のフローに戻り、ステップS306に進む。
【0026】
ステップS306では、印刷データ作成部7の情報ヘッダ作成部11において、すでに作成された全ての印刷データとそれぞれのURL、対象となるプリンタの情報をひとまとめにした情報ヘッダ205を作成しWEBサーバに登録して、得られたURLをRAM6に記憶する。
【0027】
ステップS307では、印刷データ作成部7において、前述の各印刷データと情報ヘッダ205をひとまとめにして印刷データコンテナ204を作成する。その際印刷したいオリジナルデータとその印刷データコンテナ204の情報ヘッダ205の関連付け情報205をRAM6に記憶する。
【0028】
最後にステップS308では、それらの印刷データを元にIPP対応プリンタ13においてPull Print印刷を行う。IPP対応プリンタ13が行う詳しい処理の流れは図5のフローに記述しており、それに従ってPull Print印刷処理に関して説明する。
【0029】
図5のステップS501では、ユーザが指定した印刷したいオリジナルデータからそれに対応する印刷データコンテナ204の情報ヘッダ205のURLをステップS305でRAM6に記憶している関連付け情報205から取得し、WEBサーバ201がIPP対応プリンタ13に対して印刷データコンテナ204の情報ヘッダ205のURLを指定する。
【0030】
次にステップS502では、IPP対応プリンタ13内の情報入手部15において、ステップS501で指定されたURLより情報ヘッダを取得する。
【0031】
ステップS503では、情報ヘッダ解釈部14において情報ヘッダの中からIPP対応プリンタ13にあわせて最も高速に印刷可能なデータを選択する。たとえば、印刷データコンテナ204内のステップS403で作成したRIP済みデータがこのIPP対応プリンタでも問題なく使えるのであればRIP済みデータを選択する。それらの情報は、ステップS306で作成した情報ヘッダ205内に格納されている。使えない場合は、PDLデータがこのIPP対応プリンタでも問題なく使えないか確認し、使えればPDLデータを選択する。PDLデータも使えない場合は、プリンタ非依存の印刷データ、例えばPDFデータを選択する。
【0032】
ステップS504では、ステップS503で選択された最も高速に印刷可能な印刷データのURLを元にWEBサーバから印刷データを取得し印刷を行う。
【0033】
[第2の実施形態]
図5のステップS503において第一の実施例ではデバイスにあわせて最も高速に印刷可能な印刷データを選択したが、WEBサーバとIPP対応プリンタ間のネットワークが非常に低速である場合には、データサイズが重要になる。
【0034】
第2の実施例では、図5のステップS503において、以下のように動作する。
【0035】
「情報ヘッダの中から最もデータ量の小さいデータを選択する」
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態のPull Print印刷システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態のPull Print印刷システムを示す概念図である。
【図3】本発明の一実施例であるPull Print印刷システムの印刷処理を示すフローチャートである。
【図4】図3に示す本発明の一実施例であるPull Print印刷システムの印刷処理の中のステップS305の詳細な処理を示すフローチャートである。
【図5】図3に示す本発明の一実施例であるPull Print印刷システムの印刷処理の中のステップS308の詳細な処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
1 CPU
2 キーボード
3 ディスプレイ
4 ハードディスク
5 ROM
6 RAM
7 印刷データ作成部
8 PDL作成部
9 プリンタ非依存印刷中間データ作成部
10 RIP済みデータ作成部
11 情報ヘッダ作成部
12 印刷データ登録部
13 IPP対応プリンタ
14 情報ヘッダ解釈部
15 情報入手部
16 印刷部
17 データバス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上の所在情報から文書を取得して印刷するプルプリント印刷手段と印刷データをWEBサーバ上に登録してURLを取得する印刷データ登録手段と、印刷データ登録時に自動的に複数の他形式の印刷データを作成する印刷データ作成手段と、それらの印刷データとURL情報、対象プリンタ機種情報をまとめた情報ヘッダを作成する情報ヘッダ作成手段とを持ち、前記プルプリント印刷手段は、前期情報ヘッダに書かれている印刷データ種から最適な印刷データを取得して印刷を行うことを特徴とするプルプリント印刷システム。
【請求項2】
前記印刷データ作成手段は、指定したプリンタ用のページ記述言語データ、プリンタまたはOSに依存しない印刷中間データおよび、指定したプリンタ用の展開済みデータを選択的に作成することを特徴とする請求項1に記載のプルプリント印刷システム。
【請求項3】
前記プルプリント印刷手段は、前記情報ヘッダに書かれている印刷データ種、対象プリンタ機種情報から最も高速に印刷できる印刷データを取得し印刷を行うことを特徴とする請求項1に記載のプルプリント印刷システム。
【請求項4】
前記プルプリント印刷手段は、前記情報ヘッダに書かれている印刷データ種から最もデータ量の小さな印刷データを取得し印刷を行うことを特徴とする請求項1に記載のプルプリント印刷システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−252300(P2006−252300A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−69460(P2005−69460)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】