説明

プレカット加工システム

【課題】同種加工機を備えたシリアル又はパラレルの加工ラインにおいて、各加工機の負荷の平準化を通じて、総加工時間を短縮する。
【解決手段】上下面側面加工機をシリアル配列にて2台備えた加工ラインにおいて、下流側加工機の直前に貯留コンベアを備え、振り分け対象素材を上流側加工機で加工した場合の加工終了時刻における下流側加工機の加工残本数を算出しS40、加工残本数が設定値に達するまでは下流側へ、設定値に達した場合は上流側へと振り分けを実行するS50。A,B2列のパラレル配列の場合は、各ラインの加工機直前に貯留コンベアを備え、振り分け対象素材をA側加工機で加工した場合の終了時刻におけるB側加工残本数と、B側加工機で加工した場合の終了時刻におけるA側加工残本数の内の小さい方へと振り分けを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造軸組住宅構造材のプレカット加工設備において、同様の加工機能を持った複数の加工機械に被加工材を効率よく流すシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プレカット工場における生産性向上のために、加工ライン内での被加工材の振り分けに関する提案がある(特許文献1〜3)。
【0003】
特許文献1は、複数の加工ラインを並列状に配置すると共に、加工ラインの搬送コンベアに対して立体交差する様に移載装置を設置し、特定の木材に対して加工すべき情報を管理し、搬送コンベア及び移載装置の動作を制御する制御手段を備えたシステムを提案している。
【0004】
特許文献2は、処理能力の異なる複数の加工機を並列に配置し、各加工機の近傍に貯蔵コンベアを配置し、各加工機の処理能力を記憶しておき、供給コンベアから供給される被加工材を各加工機の処理能力に応じて分配するシステムを提案している。
【0005】
しかし、これら特許文献1,2は、具体的にどの様な制御をするのかを示しておらず、どの様な制御を実施するとよいかは提案できていない。
【0006】
これに対し、特許文献3は、それぞれがプレカット加工機を備えた加工ラインにおいて、CADを用いて作成した加工データをCAMへ送って制御データに変換すると共に、複数のプレカット加工機の負荷(加工時間)を平準化するためのスケジューリングを提案している。
【特許文献1】特開2003−170402号公報
【特許文献2】特開2006−56609号公報
【特許文献3】特開平9−104004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この特許文献3には、シリアル配列の加工ラインについて具体的なスケジューリング手法の説明がある。その説明によれば、加工ラインは、切断手段と、搬送手段及び4軸直交型ロボットよりなるプレカット加工機を備えた第1,第2の加工セルと、搬送手段及び5軸の直交型ロボットよりなるプレカット加工機を備えた第3の加工セルと、搬送手段及びタレットを備えたプッレカット加工機よりなる第4の加工セルとからなる。
【0008】
そして、所定寸法に切断された木材は第1加工セル〜第4加工セルの何れかへ送られる。このとき、第1〜第4加工セルに設けられたプレカット加工機の1台でしか加工できない加工箇所のある木材は、当該加工セルへ送ってまずその個所を加工し、次に複数台のプレカット加工機で加工が可能な個所を加工するに当って、各プレカット加工機の負荷が平準化するように木材を振分けるというものである。
【0009】
また、この負荷の平準化は、複数の加工セルで加工可能なデータの負荷積(加工形状×加工個数×1個当りの加工時間)より総加工時間を算出し、それぞれのプレカット加工機の総加工時間が等しくなるようにするというものである。
【0010】
従って、この特許文献3の提案する技術では、木口加工の必要な木材は、長さ切断後に第4の加工セルへと振り分けられ、木口加工の必要ない木材は第1〜第3の加工セルへ振り分けて負荷の平準化を図ることになる。
【0011】
しかし、横架材のほとんどは、木口加工と側面及び上下面加工とが必要である。このため、特許文献3の提案を実施しようとすると、最初に第4の加工セルへ振り分けて木口加工を行った後、第1〜第3の加工セルへ戻して側面及び上下面加工を行うことになり、負荷の平準化はできても加工中に戻り搬送が頻繁に発生することとなり、加工効率は悪化するおそれがある。
【0012】
そこで、本発明は、同様の加工を行うことのできるプレカット加工機を複数備えたシリアル又はパラレルの加工ラインにおいて、各加工機の負荷の平準化を通じて、総加工時間の短縮することを目的としてなされた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するためになされた本発明のプレカット加工システムは、素材に対して同様のプレカット加工を行うことのできる同種加工機複数台をシリアル配列にて備えた加工ラインにおいて、以下の構成を備えたことを特徴とする。
(1−1)前記各同種加工機の内の下流側の加工機に対する素材貯留手段を備えていること。
(1−2)前記加工ラインにおいて新たな素材の加工を開始する際に、前記同種加工機の内の上流側の加工機で当該素材を加工した場合の加工終了時刻における下流側の加工機の素材貯留手段に存在する加工残本数を算出する加工残本数算出手段を備えていること。
(1−3)前記加工残本数算出手段が算出した素材の加工残本数と予め定めた設定値とを比較し、加工残本数が設定値に達するまでは下流側の加工機へと加工の振り分けを実行し、加工残本数が設定値に達した場合は上流側の加工機へと加工の振り分けを実行する振り分け手段を備えていること。
【0014】
かかる構成を備えたプレカット加工システムによれば、加工開始時には同種加工機の内の下流側の加工機が優先的に使用されることになる。そして、当該下流側の加工機の貯留手段に貯留された素材の加工残本数が設定値に達したら、上流側の加工機へと加工の振り分けを行う。
【0015】
ところで、横架材に対する加工の種類を例示すると、以下の様なものがある。
上下面加工種類:ほぞ穴、間柱欠き、垂木欠き、隅木欠き、ボルト穴、金物取付穴など
側面加工種類:大入れ蟻掛け、根太彫り、火打ち彫り、ボルト穴、座ぐり穴、金物取付彫り、金物取付穴など
木口面加工種類:大入れ蟻掛け、鎌金継ぎ手、蟻継ぎ手、差し、ボルト穴、座ぐり穴、金物取付溝、金物取付穴など
【0016】
また、素材の大きさは、長さで1m未満のものから6m以上のもの、幅で90〜150mm以上のもの、高さで90〜450mmのものが有り、その要因で加工時間や移送時間が異なる。従って、加工負荷量を素材の本数のみで判断すると実際と大きな違いが出て、加工負荷量がむらになり、どちらかの加工機が遊ぶ状態が出て全体の加工能力が落ちる。
【0017】
また、本発明のプレカット加工システムは、同種加工機をシリアル配列していることから、上流側の加工機で加工した素材も下流側の加工機の素材貯留手段に貯留され、下流側の加工機を通過していく。従って、単に素材貯留手段の貯留している実本数で振り分けを行うならば、ある時点までは下流側加工機で加工し、その後は主として上流側の加工機で加工するといった状況が生じ得る。
【0018】
これらの問題に対し、本発明のプレカット加工システムは、素材貯留手段にどれだけの数の素材が溜まっているかではなく、下流側の加工機の加工残本数がどの様に変化していくかを予測し、振り分けを実行するのである。従って、センサを用いて素材の本数をフィードバック制御して負荷をある範囲の振れ幅の中に収めるといった方法などよりも、より的確に負荷の平準化がなされる。この結果、総加工時間を短縮することができる。また、このための加工残本数を、上流側の加工機の加工終了時刻について予測することとしているので、下流側の加工機における加工進捗状況を十分に反映させることができる。
【0019】
ここで、本発明のプレカット加工システムは、さらに、以下の構成を備えることが望ましい。
(1−4)前記下流側の加工機は、加工の終了時にその旨を通知する加工終了通知手段を備えていること。
(1−5)前記振り分け手段による振り分けの結果を履歴として記憶する振り分け履歴記憶手段を備えていること。
(1−6)前記加工残本数算出手段は、前記加工を開始する素材の加工データと、前記同種加工機の内の上流側の加工機の加工能力に関する情報とから前記加工終了時刻を算出すると共に、前記振り分け履歴記憶手段の記憶している振り分け履歴と、該履歴に対応する素材の加工データと、前記加工終了通知手段からの通知の状況と、前記同種加工機の内の下流側の加工機の加工能力に関する情報とから前記下流側の加工機の加工の進捗状況を参酌して前記加工残本数を算出する手段として構成されていること。
【0020】
かかる構成をも備えることにより、上述した加工残本数の予測をより的確に実行することができる。
【0021】
また、本発明のプレカット加工システムは、さらに、以下の構成をも備えることが望ましい。
(1−7)前記同種加工機が上下面側面加工機であり、加工機として連続して配列され、前記上流側の同種加工機にはクロスカットソーが備えられていること。
(1−8)前記振り分け手段が下流側の同種加工機へと加工を振り分けた場合には、前記上流側の同種加工機にはクロスカットソーによる切断を実行したら素材を下流に送る切断制御手段を備えていること。
【0022】
住宅一棟分の横架材を加工する場合に上下面側面加工に要する時間の方が木口加工に要する時間よりも平均して長くなるという実態がある。一方、素材投入時に実行されるクロスカットは横架材の加工の中では短時間で終了する。(1−7)、(1−8)の構成を備えることにより、この加工時間の長短を有効に利用し、加工開始時には下流側の加工機に対する振り分けをある程度優先して実行し、加工残本数が設定値に達して下流側の加工機が連続的に稼働している状況において上流側の加工機による上下面側面加工を実行することになり、各加工機が遊んでいる状況をより少なくすることができる。
【0023】
この場合、さらに、以下の構成をも備えることが望ましい。
(1−9)前記設定値は、前記素材貯留手段の貯留能力の5割以下(より望ましくは4割以下、さらに望ましくは3割以下)の値に設定されていること。
【0024】
前述した様に、下流側の加工機の直前に位置する素材貯留手段には、上流側の加工機が上下面側面の加工を実行した素材も貯留される。従って、(1−9)の構成をも備えることで、下流側の加工機に対して極めて長い加工時間を要する素材が振り分けられ、なかなか加工残本数が減らないといった場合に、上流側の加工機が受け持つこととなった素材に対する加工が比較的単純で短時間で次々と処理できる様な状況になっても、素材貯留手段の貯留能力オーバーによる素材投入の一時停止を回避することができる。この結果、同種加工機の負荷の平準化による総加工時間の短縮という目的に対して新たな問題の発生をも防止することができる。
【0025】
また、上記目的を達成するためになされた本発明のプレカット加工システムは、素材に対して同様のプレカット加工を行うことのできる同種加工機をそれぞれ備えた加工ラインをA側,B側にパラレル配列し、以下の構成を備えたことを特徴とする。
(2−1)前記各同種加工機の上流側に、それぞれ素材貯留手段を備えていること。
(2−2)前記加工ラインにおいて新たな素材の加工を開始する際に、前記パラレル配列された同種加工機の内のA側の加工機で当該素材を加工した場合の加工終了時刻におけるB側の加工機の素材貯留手段に貯留されている加工残本数と、前記B側の加工機で当該素材を加工した場合の加工終了時刻における前記A側の加工機の素材貯留手段に貯留されている加工残本数とを算出する加工残本数算出手段を備えていること。
(2−3)前記加工残本数算出手段が算出したA側の加工残本数とB側の加工残本数とを比較し、加工残本数の少ない側へと加工の振り分けを実行する振り分け手段を備えていること。
【0026】
かかる構成を備えたプレカット加工システムによれば、加工開始時にはA,Bの両方の加工機に順番に加工が振り分けられる。そして、どちらかに振り分けられた素材に対する加工の内容が複雑で多数ある様な場合に、加工状況の時間的な推移に対する加工残本数を平均化する様に加工の振り分けが実行される。
【0027】
前述の様に、横架材に対する加工を考えると、その種類が多く、かつ、素材の大きさも種々に異なることから、単純な本数で判断すると実際と大きな違いが出て、加工負荷量がむらになり、どちらかの加工機が遊ぶ状態が出て全体の加工能力が落ちる可能性がある。
【0028】
これに対し、本発明は、パラレル配列とした加工ラインに対して、単に素材貯留手段にどれだけの数の素材が溜まっているかではなく、A,B両方の側の加工機の加工残本数がどの様に変化していくかの予測結果に基づいて振り分けを実行するのである。従って、センサを用いて本数の変化をフィードバック制御する方法などよりも、さらに的確に負荷の平準化がなされる。この結果、総加工時間を短縮することができる。また、このためのA,B他方の加工残本数を、A,B一方の加工機の加工終了時刻について予測することとしているので、A,B両方の加工機における加工進捗状況を十分に反映させることができる。
【0029】
ここで、(2−1)〜(2−3)の構成に加えて、さらに、以下の構成を備えることが望ましい。
(2−4)前記各同種加工機は、それぞれ、加工の終了時にその旨を通知する加工終了通知手段を備えていること。
(2−5)前記振り分け手段による振り分けの結果を履歴として記憶する振り分け履歴記憶手段を備えていること。
(2−6)前記加工残本数算出手段は、前記加工を開始する素材の加工データと、前記同種加工機の各加工能力に関する情報とから前記各加工終了時刻を算出すると共に、前記振り分け履歴記憶手段の記憶している各振り分け履歴と、該履歴に対応する素材の加工データと、前記加工終了通知手段からの各通知の状況と、前記同種加工機の各加工能力に関する情報とから前記加工残本数を算出する側の加工機の加工の進捗状況を参酌して当該加工残本数を算出する手段として構成されていること。
【0030】
ここで、(2−4)〜(2−6)の構成をも備えることで、上記予測をより的確に実行することができる。
【発明の効果】
【0031】
この様に、本願各発明によれば、加工機に対する加工残本数の推移を予測して振り分けを実行することで、同様の加工を行うことのできる加工機を複数備えたシリアル又はパラレルの加工ラインのいずれにおいても、各加工機の負荷の平準化を通じて、総加工時間の短縮を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態は、図1に示す様なシリアル配列の横架材加工ライン100を対象にした例である。この横架材加工ライン100には、上流側から、素材貯留コンベア101、投入コンベア102、上下面側面加工機103、取り出しコンベア104、貯留コンベア105、投入コンベア106、上下面側面加工機107、取り出しコンベア108、貯留コンベア109、投入コンベア110、木口加工機111、取り出しコンベア112、貯留コンベア113、投入コンベア114、木口加工機115、取り出しコンベア116、加工済み材貯留コンベア117が備えられている。
【0033】
ここで、上流側の上下面側面加工機102は上下面側面加工軸に加えてクロスカットソーをも備えている。下流側の上下面側面加工機107は上下面側面加工軸を備えているが、クロスカットソーは備えていない。従って、本実施形態においては、次の2通りの加工方法を実施可能となっている。
【0034】
[第1の加工方法]
上流側の上下面側面加工機103でクロスカットのみを実施し、上下面側面加工は下流側の上下面側面加工機107で実施する。
[第2の加工方法]
上流側の上下面側面加工機103でクロスカット及び上下面側面加工を行い、下流側の上下面側面加工機107は通過させる。なお、上流側の木口加工機111は右端部の加工を実行し、下流側の木口加工機115は左端部の加工を実行する様に、それぞれ加工軸の取付方向が異なっており、上述の様な振り分けは行われない。
【0035】
次に、本実施形態における上下面側面加工の振り分け方法を説明する。まず、この振り分け方法を実現するための制御系統の構成を図2で説明する。
【0036】
本実施形態においては、各加工機103,107,111,115は、それぞれシーケンサ103a,107a,111a,115aによりNC制御されている。また、これら各シーケンサ103a,107a,111a,115aに対してデータを送信する制御装置120を備えている。この制御装置120は、住宅一棟毎にCADを用いて作成した加工データを読み込み、NCデータに変換すると共に、後述する上下面側面加工振り分けプログラムに従ってシーケンサ103a,107a等へNCデータ並びに素材搬送データを送信する。また、各シーケンサ103a,107a等は、制御装置120から受信したNCデータ並びに素材搬送データに従って、各コンベア101,102等による素材の取り込み・取り出し並びに加工を実行している。また、各シーケンサ103a,107a等は、加工終了時には制御装置120に対して終了信号を送信する。なお、最も上流の素材投入コンベア101には、CADで作成した加工データによって決定された素材投入順番に対応する寸法の素材が、作業者によって投入される。
【0037】
次に、制御装置120が実行する上下面側面加工振り分けプログラムによる制御処理の内容を図3のフローチャートに基づいて説明する。制御装置120は、素材貯留コンベア101から素材を取り込むタイミングになると(S10:YES)、当該素材を加工するためのデータを読み出し(S20)、上下面側面の加工を上流側の上下面側面加工機103で行うか下流側の上下面側面加工機107で行うかの振り分け判断をするために、以下の演算を実行する。
【0038】
まず、当該素材の上下面側面加工をそのまま上流側の上下面側面加工機103で実行した場合の加工終了時刻T1finを算出する(S30)。次に、当該加工終了時刻T1finにおける貯留コンベア105上の加工残本数Nwを算出する(S40)。そして、S40で算出した加工残本数Nwが設定値V以下か否かを判定する(S50)。設定値V以下の場合は(S50:YES)、下流側の上下面側面加工機107のシーケンサ107aに対して当該素材の上下面側面加工のためのデータを送信すると共に(S60)、当該送信履歴を記憶する(S65)。一方、設定値Vを越える場合は(S50:NO)、上流側の上下面側面加工機103のシーケンサ103aに対して当該素材の上下面側面加工のためのNCデータを送信する(S70)。
【0039】
制御装置120は、以上の処理を繰り返すことによって、上下面側面加工の振り分けを実行する。ここで、設定値Vは、下流側の上下面側面加工機107の直前にある貯留コンベア105の貯留能力に対して十分に小さな値(例えば、貯留能力の5割以下、より望ましくは4割以下、さらに望ましくは3割以下の値)が設定される。なお、上下面側面加工以外は振り分け制御をしていないので、クロスカットのためのデータはシーケンサ103aに、木口加工のためのデータは、シーケンサ111a,115aに対して送信される。これは、横架材の加工時間は、住宅一棟分の横架材で平均した場合、概ね、上下面側面加工が最も時間を要することから、上下面側面加工を複数台の加工機に振り分けることで総加工時間を短縮する効果を十分に発揮するからである。
【0040】
S30における上流側加工機103で加工した場合の加工終了時刻T1finは、当該加工機103の加工能力に関するデータと加工データとから算出する。なお、制御装置120には、この加工終了時刻T1finを算出するために必要な加工能力に関するデータとして、以下の情報が予め入力されている。
【0041】
(1)加工のための各軸の動作スピードと動作距離から算出した加減速時間も加味した時間
(2)素材のクランプ及びアンクランプの動作時間
(3)素材の移動のスピードと移動距離から算出した時間
(4)素材の取り込みや取り出しに必要な時間
(5)制御タイミングに必要な各タイマーの設定時間
(6)素材の移動時の滑りによる時間増加要因などの各動作の補正時間
【0042】
また、加工終了時刻T1finの算出に当たって、(1)の時間については、複数の加工軸が同時に動作をすることとなる場合は長い方の時間を取り入れることとしている。そして、(2)の動作時間としては、クランプ用油圧シリンダの動作時間を用いることとしている。また、(3)の移動時間については加減速時間も加味することとしている。さらに、(4)の時間については取り込み/取り出し用空圧シリンダの動作時間を用いることとしている。
【0043】
次に、S40における加工残本数Nwの算出手順の詳細を説明する。制御装置120は、図4に示す様に、下流側加工機107のシーケンサ107aに対する送信履歴から、送信済み総本数Ntotal から1を減じた値を初期値として設定する(Nw=Ntotal−1;S110)。次に、シーケンサ107aから受信した加工終了信号の受信回数Nfin を減算する(Nw=Nw−Nfin ;S120)。これにより、現時点における下流側の上下面側面加工機107の加工残本数Nwが求められることになる。なお、初期値の設定において総本数Ntotal から1を減じたずるのは、下流側の上下面側面加工機107に取り込まれて加工を開始している素材があることを考慮したものである。
【0044】
次に、送信履歴の中の最新のものから加工残本数Nwだけ遡ったデータを読み出し(S130)、当該データに対応する加工を下流側の上下面側面加工機107が終了する時刻T2finを算出する(S140)。この加工終了時刻T2finは、S30における上流側の上下面側面加工機103で加工した場合の加工終了時刻T1finを算出する方法と同様に、下流側の上下面側面加工機107の加工能力に関するデータと加工データとから算出する。従って、下流側の上下面側面加工機107についても、この演算に必要な上記(1)〜(6)のデータが予め記憶されている。
【0045】
次に、S140で算出された下流側の上下面側面加工機107を用いた場合の加工終了時刻T2finと、S30で算出した上流側の上下面側面加工機103を用いた場合の加工終了時刻T1finを比較し(S150)、T2finの方が時刻が遅い場合は(S150:遅い)、現在算出されている加工残本数Nwを算出結果として確定する(S160)。
【0046】
一方、T2finの方が時刻が早い場合は(S150:早い)、加工残本数Nwをデクリメントして(Nw=Nw−1;S170)、S130に戻る。これにより、先程の計算で用いたデータの次に送信したデータについて下流側の上下面側面加工機107が加工を終了する時刻T2finが算出されることとなる。そして、最終的にはS150の判定が「遅い」となって加工残本数Nwの算出結果が確定される。
【0047】
上流側の上下面側面加工機103における切断のみと、下流側の上下面側面加工機107による継ぎ手等の加工とを比べると、一般的には、継ぎ手等の加工の方が時間がかかる。従って、通常は、加工残本数Nwは、0→1→0→1→2→3→2→3→4→5→6→5…といった様に、時々デクリメントが生じながら、次第に値は増加していく。
【0048】
そして、Nw=Vになると、加工データは上流側の上下面側面加工機103のシーケンサ103aに送信され、上流側の上下面側面加工機103によって、クロスカットのみだけではなく、上下面側面加工が実行される。この間に、下流側の上下面側面加工機107における加工が進み、貯留コンベア105上の加工残の加工残本数Nwが減少する。なお、外見的には、上流側の上下面側面加工機103が上下面側面加工を実行した素材も貯留コンベア105に載置されることとなるが、上述の様に、送信履歴に基づいて加工残本数Nwを算出しているので、この加工済みの素材は加工残本数Nwに算入されない。
【0049】
以上の様な制御処理を実行することにより、上流側の上下面側面加工機103と下流側の上下面側面加工機107の間の貯留コンベア105の上に適度な数の素材が貯留された状態で、両方の加工機103,107による上下面側面加工が並行して実行される。
【0050】
ここで、本実施形態において、上流側の上下面側面加工機103を用いて上下面側面の加工を実施した素材を貯留コンベア105の加工残本数Nwに算入しないのは、両加工機103,107の負荷を最適化するという目的によるものである。そして、設定値Vを貯留コンベア105の貯留能力に対して十分に小さく設定することで、かかる不算入を行っても貯留コンベア105が満杯にならない様にしている。なお、貯留コンベア105に貯留された素材の実本数が貯留能力に達する様な場合には、別のプログラムによって、貯留コンベア105に貯留された素材の実本数を管理しておき、貯留能力に近い設定値に達したら次の素材の取り込みを一時待機する処理を行うことで、貯留能力オーバーを回避することができる。
【0051】
これにより、本実施形態では、2台の上下面側面加工機103,107を備えたことによる総加工時間の短縮を、各加工機103,107の加工負荷を平準化しつつ効果的に達成することができる。よって、設備の利用率が高く、かつ総加工時間を短縮するという効果を発揮する。また、そのために新たに生じ得る不具合も、設定値Vを十分に小さくしておくことで回避することができている。
【0052】
また、本実施形態によれば、新たな素材の投入に際して振り分け判定を実行し、シーケンサからの加工終了信号による確認も実行しているので、下流側の加工機でマニュアルによる停止等の処理が実行されている様な場合に、上流側の加工機を有効に利用して総加工時間の短縮に寄与する効果も発揮される。
【0053】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、図5に示す様なパラレル配列の横架材加工ライン200を対象にした例である。この横架材加工ライン200には、上流側から、素材貯留コンベア201、クロスカットソー202、分岐コンベア203を備え、分岐コンベア203の下流に、貯留コンベア204A、投入コンベア205A、上下面側面加工機206A、取り出しコンベア207A、貯留コンベア208A、投入コンベア209A、木口加工機210A、取り出しコンベア211AからなるA側ラインと、貯留コンベア204B、投入コンベア205B、上下面側面加工機206B、取り出しコンベア207B、貯留コンベア208B、投入コンベア209B、木口加工機210B、取り出しコンベア211BからなるB側ラインとを備え、最終段としてA側ラインからB側ラインの存在する方向へ向かって加工済み材を横移送する横移送コンベア212と、B側ラインからこの横移送コンベア212へと加工済み材を縦移送する合流コンベア213と、加工済み材貯留コンベア214とが備えられている。
【0054】
ここで、A側ラインとB側ラインの上下面側面加工機206A,206B、木口加工機210A,210Bは、いずれも同じ機能を備えている。従って、本実施形態においては、クロスカットソー202で全長切断の完了した素材は、A側で加工する方法と、B側で加工する方法の2通りの加工方法を実施可能となっている。
【0055】
次に、本実施形態における加工振り分け方法を説明する。まず、この振り分け方法を実現するための制御系統の構成を図6で説明する。本実施形態においては、各加工機202,206A,206B,210A,210Bは、それぞれシーケンサ202a,206Aa,206Ba,210Aa,210BaによりNC制御されている。また、これら各シーケンサ202a,206Aa,206Ba,210Aa,210Baに対してデータを送信する制御装置220を備えている。この制御装置220は、住宅一棟毎にCADを用いて作成した加工データを読み込み、NCデータに変換すると共に、後述する加工振り分けプログラムに従ってA側あるいはB側のシーケンサ206Aa,206Ba等へNCデータ並びに素材搬送データを送信する。また、各シーケンサ206Aa,206Ba等は、制御装置220から受信したNCデータ並びに素材搬送データに従って、各コンベア205A、205B等による素材の取り込み・取り出し並びに加工を実行している。また、各シーケンサ206Aa,206Ba等は、加工終了時には制御装置220に対して終了信号を送信する。なお、最も上流の素材投入コンベア201には、CADで作成した加工データによって決定された素材投入順番に対応する寸法の素材が、作業者によって投入される。
【0056】
次に、制御装置220が実行する加工振り分けプログラムによる制御処理の内容を図7、図8のフローチャートに基づいて説明する。制御装置220は、素材貯留コンベア201から素材を取り込むタイミングになると(S210:YES)、当該素材を加工するためのデータを読み出し(S220)、上下面側面の加工をA側の上下面側面加工機206Aで行うかB側の上下面側面加工機206Bで行うかの振り分け判断をするために、以下の演算を実行する。
【0057】
まず、当該素材をA側の加工ライン206Aで加工した場合の加工終了時刻TAfinを算出する(S230)。次に、S230で算出した加工終了時刻TAfinにおけるB側の貯留コンベア204B上の加工残本数NwBを算出する(S240)。そして、この加工残本数NwBが設定値VB以下か否かを判定する(S250)。
【0058】
NwB≦VBの場合は(S250:YES)、次に、当該素材をB側の加工ライン206Bで加工した場合の加工終了時刻TBfinを算出する(S260)。次に、S260で算出した加工終了時刻TBfinにおけるA側の貯留コンベア204A上の加工残本数NwAを算出し(S270)、この加工残本数NwAが設定値VA以下か否かを判定する(S280)。
【0059】
NwA≦VAの場合は(S280:YES)、S240で算出した加工残本数NwBとS270で算出した加工残本数NwAとを比較し、NwA≧NwBとなっているか否かを判定する(S290)。この判定結果が「YES」ならば、今回取り込む素材をB側の加工ラインに振り分けると共に(S300)、B側送信履歴として記憶する(S310)。一方、「NO」と判定された場合は、今回取り込む素材をA側の加工ラインに振り分けると共に(S320)、A側送信履歴として記憶する(S330)。
【0060】
一方、S250の判定がNOの場合(NwB>VB)は、S260〜S280と同様の演算を実行し(S360〜S380)、NwA≦VAの場合は(S380:YES)、S320へ進み、今回取り込む素材をA側の加工ラインに振り分けると共に(S320)、A側送信履歴として記憶する(S330)。
【0061】
また、S280の判定がNOの場合(NwA>VA)は、S300へ進み、今回取り込む素材をB側の加工ラインに振り分けると共に(S300)、B側送信履歴として記憶する(S310)。
【0062】
そして、S380がNOの場合は、いずれかのシーケンサ206Aa,206Baから加工終了信号が入力されるまで待機した後(S390)、S230へと戻る。
【0063】
ここで、本実施形態では、各貯留コンベア204A,204Bにおける加工残本数NwA,NwBは貯留されている素材の実本数と一致する。従って、設定値VA,VBは、第1実施形態の設定値Vよりも貯留能力に対する割合を大きく設定して構わないことから、設定値VA,VBは、各貯留コンベア204A,204Bの貯留能力オーバーを避けるための所定の安全率を乗じた本数を設定する。
【0064】
制御装置220は、以上の処理を繰り返すことによって、パラレルに配置されたA側及びB側の各加工ラインへの素材の振り分けを実行する。
【0065】
S230及びS250における加工終了時刻TAfin,TBfinは、第1実施形態のS30の処理と同様に、上下面側面加工機206A,206Bの加工能力に関するデータと加工データとから算出する。このため、制御装置220には、第1実施形態で説明した(1)〜(6)の加工能力に関するデータが、各上下面側面加工機206A,206Bについてそれぞれ記憶されている。
【0066】
次に、S240における加工残本数NwBの算出手順の詳細を説明する。制御装置220は、図9に示す様に、B側の上下面側面加工機206Bのシーケンサ206Baに対する送信履歴から、送信済み総本数NBtotalから1を減じた値を初期値として設定する(NwB=NBtotal−1;S410)。次に、シーケンサ206Baから受信した加工終了信号の受信回数NBfinを減算する(NwB=NwB−NBfin;S420)。これにより、現時点におけるB側の上下面側面加工機206Bに対する加工残本数NwBが求められることになる。なお、初期値の設定において総本数Ntotal から1を減じたずるのは、送り込んだ素材の内で加工を開始している素材があることを考慮したものである。
【0067】
次に、B側送信履歴の中の最新のものから加工残本数だけ遡ったデータを読み出し(S430)、当該データに対応する加工をB側の上下面側面加工機206Bが終了する時刻TBfinを算出する(S440)。この加工終了時刻TBfinは、S260と同様の処理である。
【0068】
次に、S440で算出されたB側の上下面側面加工機206Bを用いた場合の加工終了時刻TBfinと、S230で算出したA側の上下面側面加工機206Aを用いた場合の加工終了時刻TAfinを比較し(S450)、TBfinの方が時刻が遅い場合は(S450:遅い)、現在算出されている加工残本数NwBを算出結果として確定する(S460)。
【0069】
一方、TBfinの方が時刻が早い場合は(S450:早い)、加工残本数NwBをデクリメントして(NwB=NwB−1;S470)、S430に戻る。これにより、先程の計算で用いたデータの次にB側に送信したデータについてB側の上下面側面加工機206Bが加工を終了する時刻TBfinが算出されることとなる。そして、最終的にはS450の判定が「遅い」となって加工残本数NwBの算出結果が確定される。
【0070】
S270における加工残本数NwAの算出手順も、図10に示す様に、上述したS410〜S470の処理と同様に構成されている(S510〜S570)。
【0071】
以上の様な制御処理を実行することにより、A側,B側の両方の加工ラインが、常時稼働し、かつ、稼働終了時刻もほぼ一致する様に振り分けが実行される。よって、設備の利用率が高く、かつ総加工時間を短縮するという効果を発揮する。
【0072】
なお、本実施形態においては、A,B両加工ラインの上下面側面加工機206A,206Bは、第1実施形態の上流側の上下面側面加工機103と同様に、クロスカットソーを備えており、一本の長い素材から複数本の横架材を切り出して加工する場合は、クロスカットソー202では切断を実行せずに、素材が流された方の上下面側面加工機において切断も実行し、多本取りを行う。従って、上述した加工終了時刻の算出に当たっては、多本取りの場合は、多本取りのための加工動作の全てが終了する時刻を算出する様に構成する。
【0073】
また、本実施形態においても、新たな素材の投入に際して振り分け判定を実行し、シーケンサからの加工終了信号による確認も実行しているので、一方の加工機でマニュアルによる停止等の処理が実行されている様な場合に、他方の加工機を有効に利用して総加工時間の短縮に寄与する効果も発揮される。
【0074】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限らず、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の態様にて実施することができる。
【0075】
例えば、第1実施形態の横架材加工ラインで、貯留コンベア105上には、上下面側面加工機107で加工する素材とすでに上下面側面加工機103で加工済みで上下面側面加工機107では加工しない素材が混ざっている。従って、加工終了時刻の算出において、上下面側面加工機107を通過するだけの素材の通過時間も考慮する様にしてもよい。
【0076】
また、振り分けのための演算処理の開始タイミングは、素材投入時ではなく素材の端切りの実行時等、素材の加工を開始する際の所定のタイミングとすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】第1実施形態の加工ラインの構成を示す平面図である。
【図2】第1実施形態の制御系統のブロック図である。
【図3】第1実施形態の振り分け判定処理のフローチャートである。
【図4】第1実施形態の加工残本数算出処理のフローチャートである。
【図5】第2実施形態の加工ラインの構成を示す平面図である。
【図6】第2実施形態の制御系統のブロック図である。
【図7】第2実施形態の振り分け判定処理のフローチャートである。
【図8】第2実施形態の振り分け判定処理のフローチャートである。
【図9】第2実施形態の加工残本数算出処理のフローチャートである。
【図10】第2実施形態の加工残本数算出処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
[第1実施形態]
100・・・横架材加工ライン
101・・・素材貯留コンベア
102・・・投入コンベア
103・・・上下面側面加工機
103a・・・シーケンサ
104・・・取り出しコンベア
105・・・貯留コンベア
106・・・投入コンベア
107・・・上下面側面加工機
107a・・・シーケンサ
108・・・取り出しコンベア
109・・・貯留コンベア
110・・・投入コンベア
111・・・木口加工機
111a・・・シーケンサ
112・・・投入コンベア
113・・・貯留コンベア
114・・・投入コンベア
115・・・木口加工機
115a・・・シーケンサ
116・・・取り出しコンベア
117・・・加工済み材貯留コンベア
120・・・制御装置
[第2実施形態]
200・・・横架材加工ライン
201・・・素材貯留コンベア
202・・・クロスカットソー
202a・・・シーケンサ
203・・・分岐コンベア
204A,204B・・・貯留コンベア
205A,205B・・・投入コンベア
206A,206B・・・上下面側面加工機
206Aa,206Ba・・・シーケンサ
207A,207B・・・取り出しコンベア
208A,208B・・・貯留コンベア
209A,209B・・・投入コンベア
210A,210B・・・木口加工機
210Aa,210Ba・・・シーケンサ
211A,211B・・・取り出しコンベア
212・・・横移送コンベア
213・・・合流コンベア
214・・・加工済み材貯留コンベア
220・・・制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素材に対して同様のプレカット加工を行うことのできる同種加工機複数台をシリアル配列にて備えた加工ラインにおいて、以下の構成を備えたことを特徴とするプレカット加工システム。
(1−1)前記各同種加工機の内の下流側の加工機に対する素材貯留手段を備えていること。
(1−2)前記加工ラインにおいて新たな素材の加工を開始する際に、前記同種加工機の内の上流側の加工機で当該素材を加工した場合の加工終了時刻における下流側の加工機の素材貯留手段に存在する加工残本数を算出する加工残本数算出手段を備えていること。
(1−3)前記加工残本数算出手段が算出した素材の加工残本数と予め定めた設定値とを比較し、加工残本数が設定値に達するまでは下流側の加工機へと加工の振り分けを実行し、加工残本数が設定値に達した場合は上流側の加工機へと加工の振り分けを実行する振り分け手段を備えていること。
【請求項2】
さらに、以下の構成を備えたことを特徴とする請求項1記載のプレカット加工システム。
(1−4)前記下流側の加工機は、加工の終了時にその旨を通知する加工終了通知手段を備えていること。
(1−5)前記振り分け手段による振り分けの結果を履歴として記憶する振り分け履歴記憶手段を備えていること。
(1−6)前記加工残本数算出手段は、前記加工を開始する素材の加工データと、前記同種加工機の内の上流側の加工機の加工能力に関する情報とから前記加工終了時刻を算出すると共に、前記振り分け履歴記憶手段の記憶している振り分け履歴と、該履歴に対応する素材の加工データと、前記加工終了通知手段からの通知の状況と、前記同種加工機の内の下流側の加工機の加工能力に関する情報とから前記下流側の加工機の加工の進捗状況を参酌して前記加工残本数を算出する手段として構成されていること。
【請求項3】
さらに、以下の構成を備えたことを特徴とする請求項2記載のプレカット加工システム。
(1−7)前記同種加工機が上下面側面加工機であり、加工機として連続して配列され、前記上流側の同種加工機にはクロスカットソーが備えられていること。
(1−8)前記振り分け手段が下流側の同種加工機へと加工を振り分けた場合には、前記上流側の同種加工機にはクロスカットソーによる切断を実行したら素材を下流に送る切断制御手段を備えていること。
【請求項4】
さらに、以下の構成を備えたことを特徴とする請求項3記載のプレカット加工システム。
(1−9)前記設定値は、前記素材貯留手段の貯留能力の5割以下の値に設定されていること。
【請求項5】
素材に対して同様のプレカット加工を行うことのできる同種加工機をそれぞれ備えた加工ラインをA側,B側にパラレル配列し、以下の構成を備えたことを特徴とするプレカット加工システム。
(2−1)前記各同種加工機の上流側に、それぞれ素材貯留手段を備えていること。
(2−2)前記加工ラインにおいて新たな素材の加工を開始する際に、前記パラレル配列された同種加工機の内のA側の加工機で当該素材を加工した場合の加工終了時刻におけるB側の加工機の素材貯留手段に貯留されている加工残本数と、前記B側の加工機で当該素材を加工した場合の加工終了時刻における前記A側の加工機の素材貯留手段に貯留されている加工残本数とを算出する加工残本数算出手段を備えていること。
(2−3)前記加工残本数算出手段が算出したA側の加工残本数とB側の加工残本数とを比較し、加工残本数の少ない側へと加工の振り分けを実行する振り分け手段を備えていること。
【請求項6】
さらに、以下の構成を備えたことを特徴とする請求項5記載のプレカット加工システム。
(2−4)前記各同種加工機は、それぞれ、加工の終了時にその旨を通知する加工終了通知手段を備えていること。
(2−5)前記振り分け手段による振り分けの結果を履歴として記憶する振り分け履歴記憶手段を備えていること。
(2−6)前記加工残本数算出手段は、前記加工を開始する素材の加工データと、前記同種加工機の各加工能力に関する情報とから前記各加工終了時刻を算出すると共に、前記振り分け履歴記憶手段の記憶している各振り分け履歴と、該履歴に対応する素材の加工データと、前記加工終了通知手段からの各通知の状況と、前記同種加工機の各加工能力に関する情報とから前記加工残本数を算出する側の加工機の加工の進捗状況を参酌して当該加工残本数を算出する手段として構成されていること。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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