説明

プレストレストコンクリート門型ラーメン橋

【課題】強度および耐久性を低下させることなく、橋桁および橋台をより小型化することができ、目地材、支承材および落橋防止手段も不要で、従来の門型ラーメン橋に比して著しく低廉に構築可能なプレストレストコンクリート門型ラーメン橋を提供する。
【解決手段】本発明のプレストレストコンクリート門型ラーメン橋1は、両側にそれぞれ設けられた橋台2A,2Bと、橋台2A,2B上に架設され固定された橋桁3とを有し、橋台2A,2Bと橋桁3とが垂直方向に配されたPC鋼材4,5にてプレストレスされ結合固定されると共に、橋桁3内に水平方向に配されたPC鋼材6にてプレストレスされることにより、橋台2A,2Bと橋桁3との固定により両側にそれぞれ発生する曲げモーメントがPC鋼材4,5,6によるプレストレス力にて打ち消されていることを特徴とするプレストレストコンクリート門型ラーメン橋である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PC鋼材によりコンクリートがプレストレスされて構築されたプレストレストコンクリート門型ラーメン橋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の門型ラーメン橋としては、鉄筋コンクリート橋や鉄骨と鉄筋コンクリートとの合成橋がある。これらは全断面に隙間なくコンクリートが打設されるため自重が重くなり、橋の長さは15m程度までが限界である。
これに対して、プレストレストコンクリート橋は、PC鋼材によりコンクリートがプレストレスされたもので、橋桁(主桁)の縦断面は中空となっているため軽量で、PC鋼材も鉄筋の10倍程の強度を有し、さらにコンクリートの弱点であるクラックの発生をPC鋼材による圧縮で防止しているため、40m程度の長さの橋まで構築可能である。近年、門型橋としては、このプレストレストコンクリート橋が多用されている。
【0003】
しかし、従来のプレストレストコンクリート門型橋は、図16に示すように、両端に設けられた橋台91の上部にプレストレスされた橋桁92を載置した単純桁橋構造であるため、以下のような問題点がある。
【0004】
第一に、橋桁92(上部工)は橋台91A,91B(下部工)に載置され固定されずそれぞれが独立しているため、構造計算も別々に計算することとなり、橋桁92、橋台91共に大型化し、その分、部材も大きくかつ大量に必要でコスト高となっていた。具体的には、橋桁92(上部工)には、図17に示すように、中央部が最大となる曲げモーメントtaが作用するため、それに対応して橋桁92の桁高(Tb)も図16に示すように大きくする必要があり、PC鋼材も多く必要となっていた。他方、橋台91も、背景の土圧(Wb)に対して独立して対応しなければならないため大きな断面が必要となり、高さ(Hb)、幅共に大きくすることが必要となっていた。
第二に、橋桁92と橋台91との間隙に、橋桁92の温度変化よる伸縮を吸収させるための目地材(ジョイント)93を介在させるが、この目地材は一般に鋼鉄製で高価な製品であり設置費が高額となり、取換費などのメンテナンス費用はさらに高額でコスト高の一因となっていた。
第三に、橋桁92を橋台91に載置する際に支承材94を介在させる必要があるが、このメンテナンス費用も極めて高額で、かつ継続的に必要でありコスト高の一因となっていた。
第四に、近年、地震による落橋が相次いでおり、落橋防止手段95を設置して地震に備える場合があり、この設置費用も極めて高額でコスト高の一因となっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、従来のプレストレストコンクリート門型橋の上記問題点を一挙に解決するために想起されたものであり、すなわち、本発明の課題は、強度および耐久性を低下させることなく、橋桁および橋台をより小型化することができ、目地材、支承材および落橋防止手段も不要で、従来の門型ラーメン橋に比して著しく低廉に構築可能なプレストレストコンクリート門型ラーメン橋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するものは、両側にそれぞれ設けられた橋台と、該橋台上に架設され固定された橋桁とを有するプレストレストコンクリート門型ラーメン橋であって、前記橋台と前記橋桁とが垂直方向に配されたPC鋼材にてプレストレスされ結合固定されると共に、前記橋桁内に水平方向に配されたPC鋼材にてプレストレスされることにより、前記橋台と前記橋桁との固定により両側にそれぞれ発生する曲げモーメントが前記PC鋼材によるプレストレス力にて打ち消されていることを特徴とするプレストレストコンクリート門型ラーメン橋である。
【0007】
前記垂直方向に配されたPC鋼材は正面視において重心線より外側にそれぞれ偏位して配され、前記水平方向に配されたPC鋼材は正面視において重心線より外側に偏位して配されていることが好ましい。前記橋台の上部は正面視において下部より幅広に構成され、前記橋桁の両端部は正面視において中央部より桁高が大きく構成されていることが好ましい。前記PC鋼材が配された部位のうちプレストレス力の付与が不要な部位のPC鋼材には、被覆材が被覆されていることが好ましい。前記橋桁の下部には、前記橋台の上部内側面にて係止される凸部が形成されていることが好ましい。前記プレストレストコンクリート門型ラーメン橋は連続梁橋であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載した発明によれば、強度および耐久性を低下させることなく、橋桁および橋台をより小型化することができ、目地材、支承材および落橋防止手段も不要で、従来の門型ラーメン橋に比してプレストレストコンクリート門型ラーメン橋を著しく低廉に構築できる。
請求項2に記載した発明によれば、プレストレス力をより有効に付与することができる。
請求項3に記載した発明によれば、偏位して配されたPC鋼材によるプレストレス力を、より効果的に橋桁および橋台に付与することができる。
請求項4に記載した発明によれば、橋桁内の必要部位のみに必要量のプレストレス力を付与できる。
請求項5に記載した発明によれば、地震による水平方向の力を抑止してより安全なプレストレストコンクリート門型ラーメン橋を構築できる。
請求項6に記載した発明によれば、長スパンのプレストレストコンクリート門型ラーメン橋を構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のプレストレストコンクリート門型ラーメン橋の一実施例の正面概略図であり、曲げモーメントを打ち消すPC鋼材の配置を示した説明図である。
【図2】図1におけるA−A´応力分布図である。
【図3】図1におけるB−B´応力分布図である。
【図4】図1におけるC−C´応力分布図である。
【図5】図1に示したプレストレストコンクリート門型ラーメン橋においてPC鋼材の配置部位を説明するための部分正面概略図である。
【図6】図1に示したプレストレストコンクリート門型ラーメン橋においてPC鋼材の偏位配置による効果を説明するための説明図である。
【図7】図1に示したプレストレストコンクリート門型ラーメン橋における橋桁と橋台との結合部位付近の縦断面概略図である。
【図8】図7のD―D´線一部断面図である。
【図9】図1に示したプレストレストコンクリート門型ラーメン橋における鉄筋配置を説明するための部分正面概略図である。
【図10】図1に示したプレストレストコンクリート門型ラーメン橋において橋桁内のPC鋼材の配置を説明するための説明図である。
【図11】図1に示したプレストレストコンクリート門型ラーメン橋においてプレストレス力を抜く構造を説明するための縦断面図である。
【図12】本発明のプレストレストコンクリート門型ラーメン橋の他の実施例における橋桁と橋台との結合部位付近の正面概略図である。
【図13】本発明のプレストレストコンクリート門型ラーメン橋の他の実施例の正面概略図である。
【図14】図1に示したプレストレストコンクリート門型ラーメン橋の施工方法を説明するための正面概略図である。
【図15】図1に示したプレストレストコンクリート門型ラーメン橋の想定曲げモーメント図である。
【図16】従来のプレストレストコンクリート門型橋(単純桁橋)の正面概略図である。
【図17】図16に示したプレストレストコンクリート門型橋の想定曲げモーメント図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、橋台と橋桁とが垂直方向に配されたPC鋼材にてプレストレスされ結合固定されると共に、橋桁内に水平方向に配されたPC鋼材にてプレストレスされることにより、橋台と橋桁との固定により両側にそれぞれ発生する曲げモーメントがPC鋼材によるプレストレス力にて打ち消され、強度および耐久性を低下させることなく、橋桁および橋台をより小型化することができ、目地材、支承材および落橋防止手段も不要で、従来の門型ラーメン橋に比して著しく低廉に構築できるプレストレストコンクリート門型ラーメン橋を実現した。
【実施例1】
【0011】
本発明のプレストレストコンクリート門型ラーメン橋を図面に示した一実施例を用いて説明する。
この実施例のプレストレストコンクリート門型ラーメン橋1は、図1に示すように、両側にそれぞれ設けられた橋台2A,2Bと、橋台2A,2B上に架設され固定された橋桁3とを有するプレストレストコンクリート門型ラーメン橋であって、橋台2A,2Bと橋桁3とが垂直方向に配されたPC鋼材4,5にてプレストレスされ結合固定されると共に、橋桁3内に水平方向に配されたPC鋼材6にてプレストレスされることにより、橋台2A,2Bと橋桁3との固定により両側にそれぞれ発生する曲げモーメントがPC鋼材4,5,6によるプレストレス力にて打ち消されていることを特徴とするプレストレストコンクリート門型ラーメン橋である。以下、各構成について順次詳述する。
【0012】
橋台2A,2Bは上部に固定される橋桁3を支持するためのものであり、橋桁3の両端下部付近にそれぞれ構築される。橋台2A,2BはPC鋼材4,5と後述する鉄筋7をそれぞれ配した後、コンクリートを打設して構成されている。
【0013】
橋桁3は橋台2A,2B上に架設され両端部がそれぞれ橋台2A,2B上に固定され一体化されている。橋桁3は、中空のコンクリート製桁13が、図8に示すように、橋の長手方向に直交する方向に複数並設されて構成されている。
【0014】
そして、橋台2A,2Bと橋桁3とは、垂直方向に配されたPC鋼材4,5にてプレストレスされ、それぞれ結合固定されている。ここで、固定材としてPC鋼材を用いるのは、PC鋼材が鉄筋の十倍ほどの強度を有しているからである。すなわち、橋台2A,2Bと橋桁3との接合部には自重等による曲げモーメントが、図15に示すように、上側に働くが、これを打ち消すためには鉄筋では不十分であるため、PC鋼材が使用されている。また、橋桁3は、図8に示すように、桁13を並べて構成されるが、鉄筋は桁間にしか配することができず、PC鋼材であれば桁に予め穴を設けて桁13内を挿通させて直接締めることができ、使用本数も少なくて足りるからである。
【0015】
このように、橋台2A,2Bの上部に橋桁3の両端部を固定する構造を採用すると、図15に示した曲げモーメントがプレストレストコンクリート門型ラーメン橋1の両側に発生する。すなわち、本発明のプレストレストコンクリート門型ラーメン橋の特徴は、橋台2A,2Bと橋桁3とを一体化することにより荷重を分散することにあり、図17に示した従来の門型橋に比して曲げモーメントが一部に大きく集中することなく各部に分散される。それら分散された曲げモーメントを所要部に付与されたプレストレス力により打ち消して対応するものである。
【0016】
具体的には、A−A´断面には自重および車荷重などにより、図2(a)に示した応力(P1)が発生するため、これをPC鋼材4によって図2(b)に示したP1と同等以上のプレストレス力(P2)を付与して対応する。B−B´断面にも自重および車荷重などにより、図3(a)に示した応力(P1)が発生するため、これをPC鋼材6によってP1と同等以上のプレストレス力(P2)を付与して対応する。なお、橋台2B側においても同様にPC鋼材5,6にてプレストレス力(P2)を付与して応力に対応する。
【0017】
さらに、C−C´断面には自重および車荷重などにより、図4(a)に示した応力(P3)が発生するため、これをPC鋼材8によってP3と同等以上のプレストレス力(P4)を付与して対応する。
【0018】
垂直方向に配されたPC鋼材4は、図5に示すように、正面視において、橋台2Aおよび橋桁3から構成される端部の重心線Fより外側に偏位して配されている。これは、例えば、端部の中心にPC鋼材4を配してプレストレス力を付与すると、図6(a)に示すように、外側(図6中左側)と内側(図6中左側)に均等に荷重がかかる構造となるが、図6(b)または図6(c)に示すように、PC鋼材4を外側に配するほど大きなプレストレス力が外側に付与され、荷重が大きい外側に対応させることができるため、PC鋼材4によるプレストレス力をより有効に作用させることができる。
【0019】
橋台2Bおよび橋桁3から構成される端部に垂直方向に配されたPC鋼材5についても、同様であり、橋台2Bおよび橋桁3から構成される端部の重心線Fより外側に偏位して配されている。さらに、水平方向に配されたPC鋼材6も同様な理由により、正面視において重心線Fより外側(図5中上側)に偏位して配されている。なお、これら重心線から偏位させる距離は両端部に発生する曲げモーメントに対応するように構造計算の上、決定される。
【0020】
橋台2A,2Bの上部は、図1に示すように、正面視において下部より幅広に構成され、橋桁3の両端部は正面視において中央部より桁高が大きくなるように構成されている。具体的には、この実施例では、橋台2A,2Bは、内側ライン2a,2bが斜め上方に向かい下端から上端に向かうにつれて徐々に幅広となるように構成されている。これにより、偏位して配されたPC鋼材4,5によるプレストレス力を、より効果的に橋台2A,2Bに付与できる。
【0021】
また、橋桁3の内側ライン3aも両端部付近において外側につれて徐々に斜め下方に向かい、中央部より桁高が大きくなるように構成されている。これにより、偏位して配されたPC鋼材6によるプレストレス力を、より効果的に橋桁3に付与できる。
【0022】
橋桁3内において、PC鋼材6,8によってプレストレス力の付与が必要な部位は、図10に示した実線部分であり点線部分は不要となる。しかし、PC鋼材6,8は一般に全長に渡って配されるため、点線部分のプレストレス力を抜く必要が生じる。そこで、PC鋼材6については、図11に示すように、プレストレス力の付与が不要な部分である中央部分のPC鋼材6は被覆材9にて被覆し、コンクリートとPC鋼材6とが直接接触しない状態で配し、例えばSの位置で切断した後、間詰コンクリート10を打設しておけば、中央部付近のプレストレス力を抜くことができる。
【0023】
また、PC鋼材8については、両端部のPC鋼材8を被覆材9にて被覆しておけば、コンクリートとPC鋼材8が接触せず、プレストレス力が作用しないように配することができる。これらの方法により、橋桁3内の必要部位のみに必要量のプレストレス力を付与することができる。なお、被覆材としては筒状体やテープ部材などが好適に使用できる。
【0024】
つぎに、本発明のプレストレストコンクリート門型ラーメン橋1の施工方法について説明する。
図14に示すように、まず、橋台(下部工)2A,2Bを現場にて構築するために、矢板11および打ち込み杭12を打ち込み、その後、掘削を行う。そして、図7および図9に示すように、垂直方向に配するPC鋼材4,5および鉄筋7を配した後、コンクリートを打設して橋台(下部工)2A,2Bをそれぞれ構築する。
【0025】
ここで、本発明のプレストレストコンクリート門型ラーメン橋1は、橋桁3が橋台2A,2Bに固定され一体物として構造計算が可能であり、さらにPC鋼材4,5,6で曲げモーメントを打ち消すように構成されているため、橋桁3および橋台2A,2Bをより小型化することができる。そのため、矢板11間の距離Baも図16のBbに比して小さくすることができ、高さHaも図16の高さHbも小さくすることができ、打ち込み杭12の本数も少なく、打ち込む深さも浅くて足りる。
【0026】
また、橋台2A,2Bに作用する土圧Waは、橋台2A,2Bが小さくなることの他、曲げモーメントが外側に向かう引張力として作用し、これが土圧Waを打ち消す方向に作用しているため、土圧Waも図16のWbに比して小さくなる。
【0027】
さらに、橋桁3の中央部に発生する曲げモーメントta(図15参照)もtb(図17参照)より小さくなるため、桁高Ta(図14参照)もTb(図16参照)に比して小さくできる。
【0028】
橋台(下部工)2A,2Bが完成したら、モルタル(図示しない)を橋台(下部工)2A,2Bの上面に敷均し、図7に示すように、その上部に橋桁3を配置する。橋桁3内にはPC鋼材6,8が配されており、図8に示すように、桁13間に間詰コクリート14を打設して橋桁(上部工)3を完成させた後、必要なプレストレス力をPC鋼材6,8を付与する。
【0029】
さらに、橋台(下部工)2A,2Bおよび橋桁(上部工)3の完成を待って、PC鋼材4,5を緊張させ橋台(下部工)2A,2Bと橋桁(上部工)3とを一体化させると共に、必要なプレストレス力を付与する。
【0030】
PC鋼材4,5,6,8に付与されるプレストレス力、1本の桁13に配するPC鋼材4,5,6,8の本数は構造計算の上、適宜決定される。なお、間詰コンクリート14内にPC鋼材4,5,6,8を配してもよい。また、図7または図8中、符号12は横締用PC鋼材であり、橋の幅方向の一体化を図るものである。
【0031】
橋台(下部工)2A,2Bおよび橋桁(上部工)3の完成後、地覆作業を行い、高覧を設置する。さらに、土工事の埋め戻しを行い、法面保護を行って、プレストレストコンクリート門型ラーメン橋1の構築施工が完了する。
【0032】
以上のように、橋台(下部工)2A,2Bおよび(上部工)の構築にあたっては、仮締切、土工事が少なくなり、土移動や運搬量も大幅に削減される。周囲への影響や負担も減少し、工事期間も短縮でき、環境にも優しい工法となる。また、橋台2A,2Bと橋桁3との固定により両側にそれぞれ発生する曲げモーメントはPC鋼材4,5,6によるプレストレス力にて打ち消されるため、強度および耐久性を低下させることがない。さらに、橋桁3が橋台2A,2Bに固定されているため、目地材、支承材および落橋防止手段など高価な部材および構造体も不要で、それらのメンテナンスも不要となるため、従来の門型ラーメン橋に比して大幅な費用削減を図ることができ、著しく低廉にプレストレストコンクリート門型ラーメン橋を構築できる。
【0033】
さらに、図12に示した本発明のプレストレストコンクリート門型ラーメン橋の他の実施例について説明する。
この実施例のプレストレストコンクリート門型ラーメン橋30と前述したプレストレストコンクリート門型ラーメン橋1との相違は、橋桁3の両端下部付近に、橋台2A,2Bの上部内側面にてそれぞれ係止される凸部31が形成されている点のみであり他は同様である。プレストレストコンクリート門型ラーメン橋1と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
【0034】
具体的には、凸部31は、正面視において橋桁3の下部が外側に向かうについて徐々に幅広となり、下端部32が橋台2Aと橋桁3との接合ラインLを越えて下方に位置するように形成されている。そして、凸部31の左側面が橋台2Aの上部内側面に係止されるため、地震による水平方向の力が抑止され、より安全なプレストレストコンクリート門型ラーメン橋を構築できる。
【0035】
なお、凸部31Aの左側面と橋台2Aの上部内側面との間にはモルタルが介在されていることが好ましい。また、橋台2B側についても左右対称となるが、同様に凸部が設けられていることが好ましい。
【0036】
さらに、図13に示した本発明のプレストレストコンクリート門型ラーメン橋の他の実施例について説明する。
この実施例のプレストレストコンクリート門型ラーメン橋40と前述したプレストレストコンクリート門型ラーメン橋1との基本的な相違は、プレストレストコンクリート門型ラーメン橋40が、橋台2A,2B間に2本の橋脚41が設けられた連続梁橋であり、垂直方向に配されるPC鋼材4,5が橋脚41内に配されている点であり他は同じである。プレストレストコンクリート門型ラーメン橋1と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
【0037】
このように、本発明のプレストレストコンクリート門型ラーメン橋は連続梁橋に適用することも可能であり、これにより、長スパンのプレストレストコンクリート門型ラーメン橋を構築できる。
【符号の説明】
【0038】
1 プレストレストコンクリート門型ラーメン橋
2A 橋台
2B 橋台
3 橋桁
4 PC鋼材
5 PC鋼材
6 PC鋼材
7 鉄筋
8 PC鋼材
9 被覆材
10 間詰コンクリート
11 矢板
12 打ち込み杭
13 桁
14 間詰コンクリート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側にそれぞれ設けられた橋台と、該橋台上に架設され固定された橋桁とを有するプレストレストコンクリート門型ラーメン橋であって、前記橋台と前記橋桁とが垂直方向に配されたPC鋼材にてプレストレスされ結合固定されると共に、前記橋桁内に水平方向に配されたPC鋼材にてプレストレスされることにより、前記橋台と前記橋桁との固定により両側にそれぞれ発生する曲げモーメントが前記PC鋼材によるプレストレス力にて打ち消されていることを特徴とするプレストレストコンクリート門型ラーメン橋。
【請求項2】
前記垂直方向に配されたPC鋼材は正面視において重心線より外側にそれぞれ偏位して配され、前記水平方向に配されたPC鋼材は正面視において重心線より外側に偏位して配されている請求項1に記載のプレストレストコンクリート門型ラーメン橋。
【請求項3】
前記橋台の上部は正面視において下部より幅広に構成され、前記橋桁の両端部は正面視において中央部より桁高が大きく構成されている請求項2に記載のプレストレストコンクリート門型ラーメン橋。
【請求項4】
前記PC鋼材が配された部位のうちプレストレス力の付与が不要な部位のPC鋼材には、被覆材が被覆されている請求項1ないし3のいずれかに記載のプレストレストコンクリート門型ラーメン橋。
【請求項5】
前記橋桁の下部には、前記橋台の上部内側面にて係止される凸部が形成されている請求項1ないし4のいずれかに記載のプレストレストコンクリート門型ラーメン橋。
【請求項6】
前記プレストレストコンクリート門型ラーメン橋は連続梁橋である請求項1ないし5のいずれかに記載のプレストレストコンクリート門型ラーメン橋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−64000(P2011−64000A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215717(P2009−215717)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(597170704)
【Fターム(参考)】