説明

プロガストリンに対するモノクローナル抗体

本発明は、ガストリン−17(G17)、ガストリン−34(G−34)、グリシン延長ガストリン−17(G17−Gly)、及びグリシン延長ガストリン−34(G34−Gly)に結合しない、プロガストリンに特異的なプロガストリン結合分子を提供する。さらに、本発明は、ガストリン前駆体分子であるプロガストリンのN−末端及びC−末端で配列に選択的なモノクローナル抗体(MAb)、及びこれらのMAbを産生するハイブリドーマを提供する。また、免疫検出及び免疫定量アッセイにおけるプロガストリン及びガストリンホルモン種の検出及び定量に有用なMAbのパネルも提供する。これらのアッセイは、ガストリン促進性の疾患若しくは状態を診断しモニターするのに、又は治療の経過の進行をモニターするのに有用である。本発明は、生検試料又は組織スライス等の固体試料におけるガストリン種を検出し、可視化するのに適する免疫組織化学(IHC)及び免疫蛍光(IF)アッセイを含む、固相アッセイをさらに提供する。プロガストリン結合分子は、プロガストリン促進性の疾患又は状態におけるプロガストリンに対する受動免疫に治療上有用である。また、アミノ酸約10個から約35個のペプチド鎖である代用参照標準(SRS)分子も提供し、SRS分子は、アミノ酸約50個を超える対象のタンパク質に見出されるエピトープを少なくとも2つ含む。このようなSRS分子は、対象の真正タンパク質の代わりに、標準として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物、特にヒトにおけるin vivoで見出された、ガストリンホルモン前駆体である、プロガストリンの特定の領域に対する抗体に関する。本発明は、これらのモノクローナル抗体(MAb)の、ガストリン促進性の疾患及び状態の検出、診断、及びモニターへの適用、並びに本発明のMAbのガストリン促進性の疾患及び状態の予防及び治療のための使用方法にさらに関する。本発明は、また、代用分子、及び免疫アッセイにおける参照標準としてのその代用分子の使用、特にペプチドホルモンに適用した際の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトプロガストリンは、アミノ酸101個のペプチドであり、ガストリン遺伝子の主要な翻訳産物であり、以下の構造:
MQRLCVYVLIFALALAAFSEASWKPRSQQPDAPLGTGANRDLELPWLEQQGPASHHRRQLGPQGPPHLVADPSKKQGPWLEEEEEAYGWM DFGRRSAEDEN(配列番号1)
を有する。
【0003】
プロガストリンは、プレプロガストリンから最初の21個のアミノ酸(単一のペプチドを構成する)の切断により形成される。アミノ酸80個の長さのプロガストリンの鎖は、切断及び修飾酵素により、ガストリン−17(G17)、ガストリン−34(G−34)、グリシン延長ガストリン−17(G17−Gly)、及びグリシン延長ガストリン−34(G34−Gly)を含む、いくつかの生物学的に活性を有するガストリンホルモンの形態にさらにプロセシングされる。
【0004】
成熟G17は、アミノ末端及びカルボキシ末端の残基の両方で修飾され、N−末端のグルタミン酸は環化されてピログルタミン酸(pGlu)を形成し、C−末端フェニルアラニン残基の遊離のカルボキシル基は、酵素であるぺプチジルα−アミド化モノオキシゲナーゼ(PAM)によりアミド化されてC−末端のPhe−NHを形成する。成熟G34は、そのC−末端が同じくアミド化されてC−末端Phe−NHを形成する(Dockrayら、Ann.Rev.Physiol.(2001年)、63巻、119〜139頁)。
【0005】
ヒトにおける「リトル」ガストリンの優勢型である、成熟G17は、アミノ酸配列:pEGPWLEEEEEAYGWMDF−NH(配列番号2)を有する。G17−Glyは、健常ヒト対象で「リトル」ガストリンの少数の構成要素として見出される、ガストリンの不完全にプロセシングされた形態であり、アミノ酸配列:pEGPWLEEEEEAYGWMDFG(配列番号3)を有する。
【0006】
ガストリン−34は、ヒトにおける「ビッグ」ガストリンの優勢型であり、アミノ酸配列:pELGPQGPPHLVADPSKKEGPWLEEEEEAYGWMDF−NH(配列番号4)を有する。グリシン延長ガストリン34(G34−Gly)は、C−末端にグリシン残基を有し、アミノ酸配列:pELGPQGPPHLVADPSKKEGPWLEEEEEAYGWMDFG(配列番号5)を有する。
【0007】
ガストリンは、ガストリン放出ペプチド(GRP)に反応して、胃の幽門洞のG細胞によって分泌され、胃酸、及びいくつかのペプチドホルモンの、最も顕著にはソマトスタチンのパラクリン作用により抑制される。ガストリンペプチドは健常個体の胃で酸の分泌を刺激する機能をすることは長い間認められていたが、これらのペプチドが胃腸(GI)系で様々な細胞タイプの増殖、分化、及び成熟の制御もすることは最近示されているにすぎない。
【0008】
プロガストリンは、通常、ガストリンホルモンの形態に完全にプロセシングされる。プロガストリンは、過剰に産生されると、少なくとも部分的にプロセシングされて、胃腸系に作用してガストリン促進性の腫瘍の形成を増強し得る1つ又は複数の形態のガストリンホルモンとなる。場合によっては、プロガストリンは血中を循環し、プロガストリン促進性の疾患又は状態に罹患している患者の尿中で検出することができる。
【0009】
G17及びより少ない程度でG17−Glyは、GI系におけるそれらの局所活性の他に血流中に放出され、胃がん、結腸直腸がん、及び膵臓がん等の胃腸の障害及び疾患に罹患している患者の血清で増加することが見出されている。これらのガストリン種は、小細胞肺がん(SCLC)及び肝臓に転移した腫瘍等、胃腸管と関連のない他の疾患に関連することも、より最近では見出されている。例えば、「Gastrin and Colon Cancer:a unifying hypothesis」、S.N.Joshiら、Digestive Diseases(1996年)、14巻、334〜344頁、並びに「Gastrin and Colorectal Cancer」、Smith,A.M.及びWatson,S.A.、(2000年)、Alimentary Pharmacology and Therapeutics、14巻(10)、1231〜1247頁を参照されたい。
【0010】
抗体は、医薬、獣医学、及び他の免疫検出の分野で用いられる多くのアッセイ技術における主要な試薬である。このような試験には、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫組織化学(IHC)、免疫蛍光(IF)アッセイ等、多くの日常的に用いられる免疫アッセイ技術が含まれる。
【0011】
抗ガストリンポリクローナル抗体は、ガストリン活性を阻害するのに有効であることが示されており(「Inhibition of gastrin activity by incubation with antibodies to the C−terminal tetrapeptide of gastrin」、Jaffeら、Surgery、(1969年)、65巻(4)、633〜639頁)、非ヒト抗ガストリンポリクローナル抗体は、摂食による刺激なしに過剰のガストリンが産生される病態であるゾリンジャー エリソン症候群に罹患している患者における治療に適用されている。Hughesらの「Therapy with Gastrin Antibody in the Zollinger−Ellison Syndrome」、HughesらのDigestive Diseases、(1976年)、21巻(3)、201〜204頁を参照されたい。しかし、これらのウサギ抗ガストリン抗体は、「この患者において、良くてもせいぜい短期の効果」を有するものであった(Hughes、204頁)。米国特許第5886128号、及び第5785970号は、ガストリンホルモンペプチド複合体で免疫されることによって、その成長が、ガストリンホルモンに依存するか又はそれに刺激される潰瘍又は腫瘍、を治療する方法を開示している。
【0012】
今までに、感度よく検出することができ、プロガストリンをプロセシングされた形態のガストリンホルモンと正確に区別することができるMAbは入手できなかった。さらに、本発明までは、例えば、生体液の試料等の試料でプロガストリンの量を正確に測定することはできなかった。本発明のMAbは、正常状態及び疾患状態においてプロガストリンの生物学を精密に規定するための、臨床検査のためのアッセイで用いることができる。本発明は、薬剤の使用のためのMAb組成物、及びプロガストリン促進性の疾患及び状態の予防及び治療のための方法も提供する。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、ガストリン−17(G17)、ガストリン−34(G−34)、グリシン延長ガストリン−17(G17−Gly)、及びグリシン延長ガストリン−34(G34−Gly)に結合せず、プロガストリンに選択的に結合するプロガストリン結合分子を提供する。プロガストリン結合分子は、モノクローナル抗体、抗体結合領域、又は単鎖抗体等の抗体分子であってよい。
【0014】
一態様では、本発明は、プロガストリンのアミノ酸配列の1〜9番目のアミノ酸、すなわちSWKPRSQQP(配列番号6)内のエピトープでプロガストリンに選択的に結合するモノクローナル抗体(MAb)を提供する。プロガストリンのアミノ酸配列の1〜9番目のアミノ酸、すなわちSWKPRSQQP(配列番号6)内のエピトープでプロガストリンに選択的に結合するMAbを産生するハイブリドーマも提供する。
【0015】
別の一態様では、本発明は、アミノ酸配列の6〜14番目のアミノ酸、すなわちSQQPDAPLG(配列番号7)内のエピトープでプロガストリンに選択的に結合するMAbを提供する。アミノ酸配列の6〜14番目のアミノ酸からなるSQQPDAPLG(配列番号7)内のエピトープでプロガストリンに選択的に結合するMAbを産生するハイブリドーマも提供する。
【0016】
さらに別の一態様では、本発明は、プロガストリンのアミノ酸配列の72〜80番目のアミノ酸からなるGRRSAEDEN(配列番号8)内のエピトープでプロガストリンに選択的に結合するMAbを提供する。アミノ酸配列の72〜80番目のアミノ酸からなるGRRSAEDEN(配列番号8)内のエピトープでプロガストリンに選択的に結合するMAbを産生するハイブリドーマも提供する。
【0017】
本発明によると、上記分子がガストリン−17(G17)、ガストリン−34(G−34)、グリシン延長ガストリン−17(G17−Gly)、及びグリシン延長ガストリン−34(G34−Gly)に結合しないため、プロガストリンの2つ以上の組合せを、プロガストリン結合分子のパネルに用いることができる。
【0018】
また、薬学的に許容できる担体と組み合わせても、プロガストリン結合分子がガストリン−17(G17)、ガストリン−34(G−34)、グリシン延長ガストリン−17(G17−Gly)、及びグリシン延長ガストリン−34(G34−Gly)に結合しない、プロガストリン結合分子の医薬組成物を提供する。詳しい一態様では、本発明は、(1)プロガストリンの1〜9番目のアミノ酸からなるSWKPRSQQP(配列番号6)に対応するアミノ酸配列内のエピトープでプロガストリンに、(2)アミノ酸配列の6〜14番目のアミノ酸からなるSQQPDAPLG(配列番号7)内のエピトープでプロガストリンに、又は(3)アミノ酸配列の72〜80番目のアミノ酸からなるGRRSAEDEN(配列番号8)内のエピトープでプロガストリンに、選択的に結合するMAbを、薬学的に許容できる担体と組み合わせた医薬組成物を提供する。
【0019】
本発明は、プロガストリンの免疫アッセイをさらにまた提供する。この方法は、最初にプロガストリンをアッセイする試料を得るステップと、結合し、存在する任意のプロガストリンにプロガストリン−プロガストリン結合分子複合体を形成させるのに適した条件下で、ガストリン−17(G17)、ガストリン−34(G34)、グリシン延長ガストリン−17(G17−Gly)、及びグリシン延長ガストリン−34(G34−Gly)に結合しないプロガストリン結合分子を、試料に接触させるステップと、次いで、プロガストリン−プロガストリン結合分子複合体の存在又は非存在を検出するステップ、及び/又は免疫検出法により試料におけるプロガストリン−プロガストリン結合分子複合体の量を決定するステップと、を含む。
【0020】
本発明は、患者からの生体液の試料におけるプロガストリンのレベルを決定すること、及び試料におけるプロガストリンのレベルを、1つ又は複数の対照の個体からの生体液の試料におけるプロガストリンのレベル又は参照標準と比較することにより、患者におけるガストリン促進性の疾患又は状態を診断する方法をさらに提供する。このようなガストリン促進性の疾患又は状態は、(1)プロガストリンの1〜9番目のアミノ酸からなるSWKPRSQQP(配列番号6)に対応するアミノ酸配列内のエピトープで、プロガストリンに、(2)プロガストリンのアミノ酸配列の6〜14番目のアミノ酸からなるSQQPDAPLG(配列番号7)内のエピトープでプロガストリンに、又は(3)プロガストリンのアミノ酸配列の72〜80番目のアミノ酸からなるGRRSAEDEN(配列番号8)内のエピトープでプロガストリンに選択的に結合するプロガストリン結合分子を含む医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することにより、予防又は治療することができる。
【0021】
患者におけるガストリン促進性の疾患又は状態をモニターする方法も提供する。この方法は、最初の時点で、ガストリン促進性の疾患又は状態に罹患している患者、又はその危険のある患者からの生体液の試料におけるプロガストリンのレベルを決定するステップと、1つ又は複数の異なる時点で、患者からの生体液の1つ又は複数の試料におけるプロガストリンのレベルを決定するステップと、異なる時点で測定したプロガストリンのレベルを比較するステップと、それによりガストリン促進性の疾患又は状態をモニターするステップとを含む。
【0022】
本発明は、抗プロガストリン結合分子、及び適切な容器を含む、免疫アッセイを行うためのキットをさらに提供する。プロガストリン結合分子は、プロガストリンに選択的に結合するが、ガストリン−17(G17)、ガストリン−34(G−34)、グリシン延長ガストリン−17(G17−Gly)、及びグリシン延長ガストリン−34(G34−Gly)に結合しない。
【0023】
また、本質的に、アミノ酸約10個から約35個のペプチド鎖を含む代用参照標準(SRS)分子を提供する。SRS分子は、アミノ酸約50個を超える対象のタンパク質に見出される少なくとも2つのエピトープの免疫模倣物を含む。
【0024】
本発明は、第1及び第2のエピトープを含む、アミノ酸約50個を超える対象のタンパク質に対するサンドイッチ免疫アッセイを標準化する方法もさらに提供し、この方法は、標準量の代用参照標準(SRS)分子を用いた免疫アッセイで生成されるシグナルを検出するステップ又は測定するステップを含む。SRS分子は、本質的に、対象のタンパク質の第1及び第2のエピトープの免疫模倣物を含む、アミノ酸10個から約35個の間のペプチド鎖からなる。
【発明の詳細な説明】
【0025】
以下に、本明細書で用いられる用語及び成句の定義を提供する。
【0026】
本明細書で用いる「プレプロガストリン」は、アミノ酸101個の、ガストリン遺伝子の主要な翻訳産物であり、N−末端の21個のアミノ酸のシグナル配列、プロ−ペプチド配列、及びガストリンホルモン配列を含む。
【0027】
本明細書で用いる「プロガストリン」は、プレプロガストリンから21個のアミノ酸シグナル配列が切断された後に形成される、アミノ酸80個の産物である。「プロガストリン」は、ガストリンホルモンの生物学的に活性な形態全ての主要な前駆体である。
【0028】
本明細書で用いる「プロガストリン−免疫模倣物」は、プロガストリンに結合し、抗プロガストリン抗体が結合する抗体を誘発する部分である。本明細書で用いるプロガストリン免疫模倣物部分は、C−末端がアミド化されていても遊離のC−末端を有していてもガストリン−17(G17)に結合せず、グリシン延長ガストリン−17(G17−Gly)、C−末端がアミド化された形態及び遊離のC−末端を有する形態の両方を含むガストリン−34(G34)、及びグリシン延長ガストリン−34(G34−Gly)に結合しない。
【0029】
本明細書で用いる「ガストリンホルモン」又は「ガストリンホルモン形態」は、交換可能に用いられ、任意の生物学的に活性があり、及び/又は免疫学的に交差反応性のあるガストリンホルモンペプチドを意味する。ガストリンホルモンの主要な形態には、それだけには限定されないが、ガストリン−17(G17)(C−末端がアミド化されていても遊離のC−末端を有していても)、グリシン延長ガストリン−17(G17−Gly)、C−末端がアミド化された形態及び遊離のC−末端を有する形態の両方を含むガストリン−34(G34)、グリシン延長ガストリン−34(G34−Gly)が含まれる。
【0030】
本明細書で用いる「生体液」は、生物起源の材料を含む任意の液体を意味する。本発明で用いるための好ましい生体液には、動物、例えば哺乳動物、好ましくはヒト対象の体液が含まれる。体液は、それだけには限定されないが、血液、血漿、血清、リンパ液、脳脊髄液(CSF)、唾液、汗、及び尿を含む、任意の体液であってよい。
【0031】
本明細書で用いる「保存剤」は、生体液の試料、又は生物学的構成成分を含む液体試料における時間依存性のガストリンの劣化を低減する任意の物質、サプリメント、又は添加剤を意味する。本発明を実施するのに有用な保存剤は、それだけには限定されないが、一般的な化学的保存剤、例えば、アジ化ナトリウム、EDTA、並びにプロテアーゼ阻害薬、例えば、PMSF(フェニルメチルスルホニルフルオリド)、及びアプロチニン(例えば、Trasylol)、又は、例えばヘパリン等の生物学的保存剤を含む、当技術分野ではよく知られている多くの保存剤が含まれる。
【0032】
本明細書で用いる「プロガストリン結合分子」は、プロガストリンに結合するが、ガストリン−17(G17)、ガストリン−34(G−34)、グリシン延長ガストリン−17(G17−Gly)、及びグリシン延長ガストリン−34(G34−Gly)には結合しない任意の分子であってよい。
【0033】
本明細書で用いる「ガストリン促進性の疾患又は状態」は、ガストリン及び/又はプロガストリンが刺激的役割を担う任意の疾患又は状態を意味する。例えば、ガストリンは多くの形態の腫瘍、特に胃腸の腫瘍、例えば結腸直腸腫瘍の成長及び増殖を刺激することがよく知られている。Michaeliらへの米国特許第6548066号を参照されたい。
【0034】
本発明のプロガストリン結合分子は、例えば、抗体分子又は受容体分子等の任意のプロガストリン結合分子であってよい。抗体分子は、モノクローナル抗体等の任意の抗体であってよい。抗プロガストリン抗体分子は、単鎖の抗体分子、又は抗体フラグメント、例えばFabフラグメント、又はプロガストリン結合領域を含む任意の他の抗体フラグメントであってよい。好ましくは、本発明の抗プロガストリン抗体分子は、ウサギ、マウス、又はヒトの抗体分子等、哺乳動物の抗体分子である。本発明の抗プロガストリン抗体分子は、ヒト/非ヒトキメラ抗体(例えば、ヒト/マウスキメラ)、ヒト化の、又は完全にヒトの抗体であってよい。
【0035】
モノクローナル抗体(MAb)は、多くの点でポリクローナル抗血清より優れ、これらのアッセイの多くで用いる場合にポリクローナル抗血清から精製した抗体より優れるものとする独特の特徴を有する。これらの属性には、標的抗原に対する一決定基の特異性(すなわち、単一のエピトープに対する特異性)、様々な抗体調製物の間での不変の特異性、並びに経時的に不変の親和性及び化学組成が含まれる。さらに、MAbは、in vitroの方法により、不確定に、及び無制限の量で産生され得る。これらの特性は、関連する生物学的変異性が不可避で、免疫化した動物の寿命にわたって抗体の産生能力に制限があるin vivoの免疫化方法、を必要とするポリクローナル抗体の特性、と際立って対照的である。
【0036】
このような利点があるにもかかわらず、MAbは同一のエピトープに特異的であっても、個々のMAb間には相違が存在する。例えば、単一の抗原のエピトープ領域で免疫化することにより誘導されたMAb間の相違が、以下の特徴のいずれか又は全てに関して生じることがある:1)分子組成及びエピトープの4次構造に対する精巧な特異性、2)抗体のイディオタイプ、3)抗体の親和性、4)抗体のアロタイプ、及び5)抗体のアイソタイプ。これらの特徴的な相違は、特定の免疫アッセイでMAbの挙動に影響を及ぼすことがあり、その結果、同一の抗原の領域に対して生じた様々なMAb単離物が、所与のアッセイで異なって挙動することがある。したがって、MAbには、特定の免疫アッセイで試薬として用いる場合に、同一のエピトープに結合する他のものより優れるものがある。
【0037】
本発明の抗プロガストリン結合分子、特に抗プロガストリンMAbは、免疫アッセイで特に有用である。免疫アッセイは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫拡散アッセイ、又は免疫検出アッセイ、例えば表面プラズモン抵抗アッセイ(例えば、Biacore(登録商標))アッセイ)、ELISPOT、スロットブロット、又はウエスタンブロットであってよい。このような技術の一般的な手引きとして、例えば、Ausubelら(編集)、(1987年)、「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley and Sons、ニューヨーク、ニューヨーク州を参照されたい。
【0038】
特に有用な実施形態では、本発明のプロガストリン結合分子を、組織試料においてガストリンホルモンの形態を可視化するための、免疫組織化学(IHC)染色アッセイ又は免疫蛍光(IF)手順等の免疫アッセイで用いることができる。例えば、「Principles and Practice of Immunoassay」、(1991年)、Christopher P.Price及びDavid J.Neoman(編集)、Stockton Press、ニューヨーク、ニューヨーク州を参照されたい。
【0039】
免疫組織化学染色は、腫瘍の検出及び診断で大きな価値があり、例えば、Bodey,B.、「The significance of immunohistochemistry in the diagnosis and therapy of neoplasms」、(2002年)、Expert Opin Biol Ther.、2巻(4)、371〜93頁を参照されたい。Osin PP、Lakhani SR.、(1999年)、The Pathology of Familial Breast Cancer: Immunohistochemistry And Molecular Analysis.Breast Cancer Res.、1巻(1)36〜40頁も参照されたい。
【0040】
抗プロガストリンモノクローナル抗体
特定の適用で使用するのに最適なモノクローナル抗体(MAb)の選択は、特定の意図する適用において、個々の候補のMAb各々の性能を評価することにより実現することが好ましい。この理由から、意図する適用において、最適の機能性に関して候補のMAbを試験することは、意図する使用に最適であるMAbを誘導する選択過程の一部である。この選択ステップは、標的にした抗原への結合と、持続的な細胞の成長及び分化、並びに不確定の期間にわたる一貫した非制限の抗体の産生を含む、ハイブリドーマ細胞系の本質的な特徴の安定性を確実するためにMAbを産生するハイブリドーマの連続的なクローニングと、を含む、MAbを誘導するのに通常行われる選択ステップに加えて行われる。
【0041】
本明細書で用いる、プロガストリンの特定の標的のエピトープに対して「選択的」である抗体は、任意の他のガストリンエピトープよりも少なくとも約10倍高い、好ましくは任意の他のガストリンエピトープよりも100倍高い、最も好ましくは任意の他のガストリンエピトープよりも少なくとも約1000倍高いKで、プロガストリンの特定の標的のエピトープに抗体が結合することを意味する。
【0042】
一態様では、本発明は、MAbが優れた特性を有する、プロガストリンのN−末端及びC−末端に選択的なMAbを同定する方法を提供する。これらのMAbは、液体、特に生体液におけるガストリンホルモンの特定の形態を測定するようにデザインされている免疫酵素測定アッセイ(一般的に「ELISA」又は酵素結合免疫吸着アッセイと呼ばれる)における使用に特に適している。
【0043】
本発明のMAbは、免疫検出アッセイ、例えば、ELISPOT、ラジオイムノアッセイ、抗体ベースのサンドイッチ捕獲アッセイ、表面プラズモン抵抗検出法(例えば、Biacore(登録商標)タイプのシステム)、ドットブロット、スロットブロット、及びウエスタンブロットアッセイ、並びに免疫蛍光アッセイ及び免疫組織化学アッセイでガストリンホルモンを検出し、及び/又は定量するのにも適している。
【0044】
別の一態様では、本発明は、プロガストリンのアミノ酸配列の1〜9番目のアミノ酸(SWKPRSQQP、配列番号6)、すなわちアミノ酸21個のシグナル配列形態のプレプロガストリン(ガストリン遺伝子の主要な翻訳産物)の切断後に形成される産物内のエピトープでプロガストリンに選択的に結合するMAbを提供する。
【0045】
さらに別の一態様では、本発明は、プロガストリンのアミノ酸配列の6〜14番目のアミノ酸(SQQPDAPLG、配列番号7)、すなわちアミノ酸21個のシグナル配列形態のプレプロガストリン(ガストリン遺伝子の主要な翻訳産物)の切断後、プロガストリンのアミノ酸1〜5がさらに除去された後に形成される産物内のエピトープでプロガストリンに選択的に結合するMAbを提供する。
【0046】
さらなる一態様では、本発明は、プロガストリンC−末端領域のアミノ酸配列の72〜80番目のアミノ酸(GRRSAEDEN、配列番号8)、すなわちアミノ酸21個のシグナル配列形態のプレプロガストリン(ガストリン遺伝子の主要な翻訳産物)の切断後に形成される産物内のエピトープでプロガストリンに選択的に結合するMAbを提供する。
【0047】
またさらなる一態様では、本発明は、プロガストリンに選択的に結合するMAbを提供する。これらのMAbは、プロガストリンに結合するが、プロセシングされたガストリンホルモンの形態である、G17、G34、G17−Gly、及びG34−Glyには結合しない。プロガストリンに選択的な本発明のMAbは、ヒトプロガストリンのC−末端領域に結合するMAbを含む。ヒトプロガストリンのC−末端に結合するこれらのMAbは、それからプロガストリン及びガストリンが引き続きプロセシングされるアミノ酸101個のペプチド鎖からなるプレプロガストリンにも結合する。しかし、プレプロガストリンのプロセシングは、急速であり、それが合成される小胞体(ER)で起こる。プロガストリンに結合する本発明のMAbは、試料におけるプロガストリンを検出し、定量するための、本明細書に記載するアッセイに有用である。
【0048】
本発明のMAbは、当技術分野ではよく知られ、確立されている技術により、キメラ化又はヒト化することができる。例えば、「Recombinant immunoglobin preparations」というタイトルのCabillyへの米国特許第4816567号、及び「Labeled humanized anti−CD−18 antibodies and fragments and kits」というタイトルのWaldmanらへの米国特許第6689869号、及び「Method for making humanized antibodies」というタイトルのCarterらへの米国特許第6639055号を参照されたい。ヒト化抗体を作り変えて、オリジナルのマウスMabの結合親和性に、より緊密にマッチさせることができる。例えば、「Re−shaped human anti−HM1.24抗体」というタイトルのOnoらへの米国特許第6699974号を参照されたい。
【0049】
本発明は、プロガストリン試料の、特に、生体液及び細胞、組織、生検試料、並びに臓器切片等の生物学的試料の検出のための方法も提供する。本発明は、罹患している組織における、又は正常の組織及び細胞におけるプロガストリンの存在を決定することにより、患者におけるガストリン促進性の疾患又は状態を診断する方法をさらに提供する。この方法は、患者からの生体液の試料におけるプロガストリンのレベルを決定するステップと、患者の試料におけるプロガストリンのレベルを、1つ又は複数の対照の個体からの生体液の試料におけるプロガストリンのレベルと比較するステップとを含む。対照の個体からの試料は、健常個体からのプール生体液とすることができる。あるいは、患者の試料におけるプロガストリンのレベルを、参照標準と比較できる。参照標準は、健常個体におけるプロガストリンの正常範囲内にキャリブレーションした標準とすることができる。このような対照試料は、当業者であれば必要以上の実験を行わずに容易に調製することができる。代用参照標準については、また、以下を参照されたい。
【0050】
これらの検出及び診断の方法は、本発明の抗プロガストリンMAbを用いて、生検検体を免疫組織化学的に染色することにより実現できる。抗プロガストリンMabの組織試料への結合は、例えば、蛍光、免疫金、又は酵素が促進する染色等の免疫組織化学法により可視化することができる。診断手順における免疫組織化学の一般的な再考には、例えば、Millerら、Fixation and epitope retrieval in diagnostic immunohistochemistry:a concise review with practical considerations.、Appl.Immunohistochem.Mol.Morphol.、(2000年)、8巻(3)、228〜235頁を参照されたい。
【0051】
このような方法により、当業者であれば、本発明の抗プロガストリンMabを利用して、プロガストリンの存在及び分布に関して、罹患している、癌性の、又は前癌状態の組織を含めた組織を評価することができる。この情報は診断に有用であることができ、診断されたガストリン促進性の又はプロガストリン促進性の疾患及び状態に対して適切な治療を選択するのにも有用であり得る。
【0052】
代用参照標準
抗原により発現される2つの別々のエピトープに対する抗体の結合に頼るアッセイ系において、抗原が検出され、又は測定される、抗原に対する抗体ベースのアッセイは、ある状況下では実用性で制限され得る。試験試料におけるその抗原に対して定量をするアッセイのための参照抗原を容易に得ることができず、又は合成することができない場合がそうである。例えば、本出願に記載するプロガストリンサンドイッチELISAでは、既知濃度の参照抗原の溶液の段階希釈を用いて検量線を作成する。
【0053】
したがって、プロガストリンを定量するためのアッセイを行って、プロガストリンの希釈系列を用いて検量線を確立することができる。生成されたシグナルに対するプロガストリン濃度を測定するための検量線は、試験試料で得られたシグナルを比較し、検量線からプロガストリンの濃度を読むことにより、試験試料におけるプロガストリンの定量を可能にさせる。この手順の限界は、いくつかの抗原は、純粋な形態で、及び臨床で使用するための実際的なアッセイを生成するのに十分な量で得るのが困難であり、又は過剰に高価であることがあるということである。例えば、精製したプロガストリン(アミノ酸80個のプロホルモン)は、生成するのに費用がかかり、正確に合成するのが困難である。これらの制約は、分子の2つの末端への抗体の結合に頼る、プロガストリンに対する捕獲ELISAの実用性を厳しく制限するものである。
【0054】
この問題に対する解決は、天然の分子の代わりに代用参照標準(SRS)を代用することである。SRSは、免疫アッセイに必要とされる、天然の分子により発現されるエピトープを両方含み、SRSに結合する抗体の捕獲及び検出の両方を可能にするものである。しかし、SRSでは、天然分子の介在領域(及び/又は各エピトープから末端までの領域)は除去され、置き換わり、又は短縮されており、その結果、SRSは天然の分子よりも著しく短く、したがって、妥当な費用で容易に合成することができる。
【0055】
アミノ酸の長さ約35個までのペプチドは、現存するペプチド合成方法により、容易に、かつ経済的に合成することができる。したがって、SRSの2つのエピトープを連結する、アミノ酸1個から約20個までのリンカーの付加は実際的である。特定の実施形態では、リンカーは、アミノ酸の長さ約4個から約15個まで、又はアミノ酸の長さ約8個から約12個までとすることができる。リンカーは、SRSが参照標準として働く特定の免疫アッセイにおいて最適の性能のための好適な長さ及び性質(例えば、剛性又は柔軟性、親水性又は疎水性等)のリンカーを選択することによりアッセイ性能を増強するようにデザインできる。
【0056】
代用参照標準の概念は、より単純な合成化合物が、より複雑な天然化合物の代用として働くことができるアッセイにおいて、幅広く応用可能である。したがって、抗原がある特異的抗体によって捕獲され、第2の特異的抗体によって検出されるサンドイッチELISAの場合には、SRSは一般構造:
[X−エピトープ1−L−エピトープ2−Y]
を有し、この場合、エピトープ1及びエピトープ2は、天然分子の異なるエピトープの免疫模倣物であり、その結果、エピトープ1又はエピトープ2に結合する抗体は、天然分子の対応するエピトープにも結合する。SRS分子の長さは、アミノ酸約10個と35個の間である。エピトープ1及びエピトープ2は、ペプチドリンカー若しくは非ペプチドリンカーであるLにより、リンカーで結合していてもよく、あるいは、Lは共有結合であってもよい。X及びYは、各々、アミノ酸、ペプチド配列、又はブロック基とすることができる。あるいは、X若しくはYのいずれか、又は両方とも、それぞれ、SRSのN−末端又はC−末端の水素原子とすることができる。
【0057】
本発明を実施するのに有用なリンカーには、任意のリンカー部分が含まれる。このような部分は、当技術分野ではよく知られている。例えば、有用なペプチドリンカー部分には、Laddらによって発行された米国特許第5759551号、9列64行目に記載されているgly−gly、Wienhuesらによって発行された米国特許第6613530号、3列38〜47行目の不活性ペプチド、及びShenらによって発行された米国特許第5683695号に開示されているプロリンリッチな柔軟なヒンジスペーサーが含まれる。さらに、非ペプチドのスペーサー部分も有用であり、それらは一般的にプロテアーゼ抵抗性であるというさらなる特徴を有している。Cohenらによって発行された米国特許第5736146号及び第5869058号に開示されているように、そのどちらもが、このような部分に、例えば、−O−R−CO−、−NH−R−CO−、−NH−R−NH−、−O−R−NH−、又は−NH−R−CH−が含まれ、式中、Rは、1個又は複数の芳香族基又はヘテロ原子、例えば、窒素原子、酸素原子、又はイオウ原子により場合により置換され及び/又は割り込まれている飽和又は不飽和の炭化水素鎖である。Wangによって米国特許第6780969号に開示されている非ペプチドの化学リンカーも、本発明を実施するのに有用である。
【0058】
プロガストリンは、多量に精製するのが困難で高価な、アミノ酸80個の大型ペプチドである。SRSは、プロガストリンのN末端エピトープ(例えば、プロガストリンの1〜9番目のアミノ酸)からなり、場合により短いリンカーが続き、プロガストリンC末端のエピトープ(例えば、72〜80番目のアミノ酸)に付着しており、固相ペプチド合成等の日常的な方法により合成することができる。リンカーは、例えば、アミノ酸、ペプチド、又は非ペプチドのリンカー等の任意のリンカーであってよい。SRSは、プロガストリン免疫アッセイを標準化するのに有用である。
【0059】
特定の一実施形態では、プロガストリンSRSは、場合によっては2つのペプチド間をリンカー配列により結合された、各々がアミノ酸9個のエピトープ含有ペプチドを2つ含んでいる。SRSの全長がアミノ酸残基約35個の長さを超えず、それぞれの同種のエピトープに対する抗体の十分な結合が十分なアッセイ性能を保持しているのであれば、エピトープ含有ペプチドの配列の長さは、短くても長くても置換できる。
【0060】
上記のように、ペプチドリンカーが2つのプロガストリンのエピトープの間に含まれている場合は、プロガストリンSRSペプチドの長さは、リンカーの長さにより増大する。例えば、−Pro−Pro−又は−Gly−Gly−のリンカーにより、ペプチドの全長は、アミノ酸18個から20個に増大する。長い方のアミノ酸リンカーを置換することができ、プロガストリンSRSとして使用するのに最適の配列が選択される。好ましい実施形態では、リンカーは、例えば、−Pro−Pro−Gly−Gly−Pro−Pro(配列番号9)等のプロリンとグリシンとの組合せを含むペプチドである。アミノ酸約35個までの長さのこのようなペプチドは、標準の方法により妥当な費用で高レベルの純度で、容易に大量に合成することができる。例えば、Merrifield、Methods in Enzymology、(1997年)、289巻、3〜13頁、また、Wade&Tragear、Solid Phase Peptide Synthesis、Australas.Biotechnol.、(1993年)、3巻(6)、332〜6頁を参照されたい。
【0061】
プロガストリンのSRSを、以下のように、真正プロガストリンの参照標準の代わりに用いることができる。プロガストリンSRSの溶液を、プロガストリンが参照標準であった場合に用いるのと同モルのペプチドの濃度で調製する。この溶液の段階希釈を調製し、次いで、参照曲線(モル濃度対シグナル、例えば吸収)を確立するためのアッセイで用いる。
【0062】
プロガストリンそれ自体の溶液と免疫測定の応答が同一であれば、プロガストリンSRS溶液をモルベースで調製でき、プロガストリンSRSで、真正プロガストリンで得たのと類似の、又は同一の検量線が得られる。ヒト血漿等、プロガストリンを含む実際の試験試料から得られた吸光度値を、次いで、SRS検量線と比較して試験試料におけるプロガストリンの濃度を決定する。プロガストリンSRS標準のプロガストリン標準に対する比較は、1回行う必要があるだけであり、引き続き正確度をチェックする必要があるだけである。
【0063】
あるいは、SRSを用いて、真正の参照標準分子に対してキャリブレートする必要のない、任意の検量線を生成することができる。次いで、結果を全て、便利な標準の濃度のSRSとの比較に基づいて、任意の単位として表す。
【0064】
リンカーエレメントは、それが適用される特定のアッセイ方法に望まれるSRSの属性に応じて、必要とされることも、されないこともある。プロガストリンELISAで使用するのに適切なプロガストリンSRSペプチドの例には、
[プロガストリンの1〜9番目のアミノ酸]−[プロガストリンの72〜80番目のアミノ酸](SWKPRSQQPGRRSAEDEN、配列番号10)、
[プロガストリンの6〜14番目のアミノ酸]−[プロガストリンの72〜80番目のアミノ酸](SQQPDAPLGGRRSAEDEN、配列番号11)、
[プロガストリンの1〜9番目のアミノ酸]−Gly−Gly−[プロガストリンの72〜80番目のアミノ酸](SWKPRSQQPGGGRRSAEDEN、配列番号12)、
[プロガストリンの1〜9番目のアミノ酸]−Pro−[プロガストリンの72〜80番目のアミノ酸](SWKPRSQQPPGRRSAEDEN、配列番号13)、
[プロガストリンの1〜9番目のアミノ酸]−Pro−Gly−Gly−Pro−Pro−[プロガストリンの72〜80番目のアミノ酸](SWKPRSQQPPGGPPGRRSAEDEN、配列番号14)、
[プロガストリンの6〜14番目のアミノ酸]Pro−Pro−Gly−Gly−Pro−Pro−[プロガストリンの72〜80番目のアミノ酸](SQQPDAPLGPPGGPPGRRSAEDEN、配列番号15)、
が含まれる。
【0065】
プロガストリンSRSペプチドのさらなる可能な配列は、当業者であれば不必要な実験を行わずに容易に決定できる。任意の特定の免疫アッセイに最適なプロガストリンSRSは、免疫アッセイシステムで候補のSRSペプチドを試験し、アッセイの条件下(例えば、温度及びイオン強度、並びに2価陽イオン濃度等の)で対象の濃度範囲における真正プロガストリンを擬するSRSペプチドを選ぶことにより選択できる。
【0066】
抗プロガストリンモノクローナルのパネル
本発明は、試料におけるプロガストリン及びガストリンを、明確に同定し、定量することができる抗プロガストリン及び抗ガストリンのMAbのパネルを、初めて提供するものである。本発明のMAbを用いることができる日常の免疫アッセイには、それだけには限定されないが、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、表面プラズモン抵抗タイプのアッセイ(例えば、Biacore(登録商標)タイプのアッセイ)、免疫蛍光アッセイ(IF)、免疫組織化学アッセイ(IHC)、免疫拡散アッセイ等が含まれる。例えば、日常の診断アッセイ方法の例として、「Synthetic peptides in human papilloma virus 1,5,6,8,11,16,18,31,33 and 56 useful in immunoassay for diagnostic purposes」というタイトルのDillnerらへの米国特許第5932412号を参照されたい。
【0067】
MAbのパネルを、特定のガストリンホルモン種に選択的に結合する1つ又は複数のさらなるMAbで補うことで、試料におけるプロガストリンの他に、1つを超えるガストリンホルモン種(プロガストリンのプロセシングにより生成される)の特有の同定及び定量の能力がもたらされる。例えば、成熟G17形態のN−末端に選択的なMAbを抗体の上記パネルに加えることにより、本発明の抗プロガストリンMAbによるプロガストリンの同定及び定量に加えて、試料における成熟G17ホルモンの特有の同定及び定量がさらに可能になる。同様に、本発明の抗プロガストリンMAb及びG34のN−末端に選択的なMAbも含むMAbのパネルにより、試料におけるG34の特有の同定及び定量も可能になる。したがって、上記したように、任意の特定のガストリンホルモンの形態に選択的なMAbをそのパネルに追加することにより、本発明の抗プロガストリンMAbで得たプロガストリンに関する情報に加えて、試料における特定のガストリンホルモン形態の性質及び量に関するさらなる情報を得ることができる。
【0068】
他の形態のガストリンホルモンを同定し、定量し、モニターするためのMAbのパネルに有用なMabの他の組合せは、当業者であれば直ちに明らかであろう。本発明は、本発明のそのようなMAbの対を全て、及び本発明のMAbの2つ以上の組合せを包含する。
【0069】
本発明のMAbは、ガストリンホルモンが促進する疾患及び状態に対する素因を評価するための、及びそれらに罹患している患者におけるそのような疾患及び状態を検出し診断するための、プロガストリン/ガストリンホルモン形態の量及び比率を正確に決定する手段を提供する。例えば、本発明の抗ガストリンMAbを、プロガストリン、並びにG17、G34、及びG17−Gly、及びG34−Glyのガストリンホルモン形態の任意の1つ又は全てに対して患者の血清及び他の生体液を大規模スクリーニングするためのELISAアッセイに組み入れることができる。
【0070】
本発明のMAb、本発明のMAbから選択されたMAbの対の組合せ、及び本発明のMAbのパネルは、ハイスループットの方法に適用した場合に特に有用である。このような方法には、ガストリンホルモンの抗原を検出するマイクロチップ及びマイクロアレイの方法が含まれ、したがって、多くの試料を、マイクロプレート若しくはスライド、又は他のアッセイ基質、例えば、仮想ウェルのあるプレート(例えば、Garyantesらへの米国特許第6565813号に記載されているもの等)等の上で試験できる。結合の検出は、現在入手可能な多くの最先端の検出システムの任意の1つによって可能となる。結合の検出は、例えば、抗原−抗体結合等、特定の生物分子の反応によって引き起こされる表面プラズモン抵抗(SPR)の変化によって可能となる。酵素アッセイへのこの技術の適用については、例えば、Taremiらへの米国特許第5981167号を参照されたい。この技術は、継続的なフローモードで適用でき、ガストリンホルモン等、表面が固定化されたペプチド又はタンパク質への抗体の結合を検出するのに、又はガストリン−抗体複合体を検出するのに同様に適用できる。後者の複合体は、それに対する結合が複合体の抗体によって立体障害を受けないガストリンホルモンの形態(G17、G34、G17−Gly、又はG34−Gly)のエピトープに特異的な表面を固定化した抗体への結合により検出できる。さらに、この技術は、ハイスループットの適用可能性、及び放射標識を必要としない高感度という利点を有する。
【0071】
本発明のMAbは、例えば生検材料等からの、組織試料の免疫組織化学(IHC)及び免疫蛍光(IF)アッセイにも有用である。このような分析を用いて異常レベルの個々のガストリン−ホルモン形態を検出し、したがってガストリンホルモンが促進する疾患及び状態を診断することができる。
【0072】
本発明のMAbは、プロガストリンホルモンが促進する疾患及び状態の予防、診断、及び治療にも有用である。本発明の抗プロガストリンMAbを、特定のガストリンホルモン形態に対して受動免疫化するための医薬組成物に配合できる。例えば、「Anti−factor IX/IXa antibodies」というタイトルのBlackburnらの米国特許第6391299号(以後‘299特許と呼ぶ)を参照されたい。例えば、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、及び、それらに向けられているガストリンホルモン形態に結合する能力を保持する任意のフラグメント(フラグメントの記載については‘299特許を参照されたい)等の、本発明のMAbの機能上のフラグメントも、医薬組成物中に組み入れ、治療に適用できる。有用な医薬組成物については、‘299特許を参照されたい。本発明の医薬組成物の好ましい投与経路には、皮下、筋肉内、及び静脈内等の、非経口の投与経路が含まれる。さらに、ある種の疾患、特に、食道又は胃の潰瘍性疾患等、胃腸管の疾患を治療するために、経口の経路を用いることができる。
【0073】
あるいは、本発明の医薬組成物を、経鼻的に送達できる。このような医薬組成物は、ガストリンホルモンが促進する疾患又は状態になる可能性が高い予後を有する患者におけるそのような疾患又は状態の予防又は治療や、すでにこのような疾患又は状態に罹患している患者の治療に有効な量で投与する場合に特に有用である。本発明の医薬組成物は、症状の軽減、及びプロガストリン促進性の疾患及び状態の進行の阻止にも有用である。
【0074】
抗ガストリンMAb、特に、ガストリン促進性の疾患又は状態を治療するための本発明のヒト化抗ガストリンMAbの、完全な、又は機能上のフラグメントを含む、医薬組成物の有効量は、疾患又は状態の発症を予防し、又は進行の速度を緩める量と定義され、より好ましくは、有効量は疾患又は状態を安定化させる量であり、さらにより好ましくは、有効量は疾患又は状態の緩解を引き起こす量である。最も好ましくは、有効量は、疾患又は状態を完全に治療する量である。
【0075】
さらに、本発明のMAbを、ガストリンホルモンが促進する疾患及び状態の進行をモニターするための免疫アッセイに適用でき、この場合、プロガストリンのレベル又は量は、治療又は治療の成功の指標、又は疾患若しくは状態の進行の指標を提供する。
【0076】
さらに、本発明のMAbは、ガストリンホルモンが促進する疾患又は状態に罹患している患者の、プロガストリンホルモン阻害治療を評価する方法に有用である。この方法には、
a)治療の前又は初期段階に、患者から生体液の第1の試料を得るステップと、
b)免疫アッセイ法により、第1の試料におけるプロガストリンのレベルを決定するステップと、
c)その時間内に治療が効果を有する適切な時間後に、患者から生体液の第2の試料を得るステップと、
d)免疫アッセイ法により、第2の試料におけるプロガストリンのレベルを決定するステップと、
e)プロガストリン結合治療又は阻害治療の有効性を決定するために、第1の試料における決定量のプロガストリンを、第2の試料におけるプロガストリンの量と比較するステップと、
が含まれる。
【0077】
患者におけるプロガストリン結合治療又は阻害治療を評価するために適用する上記に記載した方法は、ある治療レジメンで進めるか、又は別の治療レジメンで進めるかの決定のタイミングが、患者に対する成果に決定的であり得る場合に、臨床で実施するのに特に価値がある。本発明の方法は、これらの臨床上の決定の根拠を何に置くかについての情報を提供するものである。この方法は、治療の前又は初期段階のプロガストリンの量の測定値を提供し、治療開始後1つ又は複数の期間に、特に、治療が功を奏し始めることが予測されるときに、プロガストリンの1つ又は複数の測定値を提供する。
【0078】
プロガストリン阻害治療は、患者に対する抗プロガストリン抗体の受動的投与であることができる。プロガストリン阻害物質は、それだけには限定されないが、抗プロガストリン抗体、特に、ヒト/非ヒトキメラ抗体、ヒト化の、若しくは完全なヒトの抗プロガストリンモノクローナル抗体、又はプロガストリンに結合するのに機能的な任意の他の分子を含む、任意のプロガストリン阻害物質であってもよい。
【0079】
本発明は、プロガストリンを含むことが疑われる試料をスクリーニングするための組成物、方法及びキットも提供する。このようなスクリーニングは、そのようなポリペプチドを含み、又は産生することが疑われる患者の試料又は検査室の試料で行うことができる。キットは、本発明の抗体を含むことができる。キットは、試料と本発明の抗体との間の相互作用を検出するのに適するバッファー及び試薬を含むことができる。提供する試薬は、本発明の抗体と結合又は相互作用することができる、放射標識され、蛍光的に標識され、又は酵素的に標識された物質であるとすることができる。
【0080】
キットの試薬は、液体の溶液として提供され、固体の支持体に付着しており、又は乾燥粉末として提供される。試薬が液体の溶液で提供される場合は、液体の溶液は水溶液であるのが好ましい。試薬が固体の支持体に付着して提供される場合は、固体の支持体はクロマトグラフィーの媒体、複数のウェルを有するテストプレート、又はスライドガラスとすることができる。提供される試薬が乾燥粉末である場合は、粉末は、提供され得る適切な溶剤を加えることにより再構成できる。
【0081】
本発明のキットは、その中に抗体、抗原、又は検出試薬を配置でき、好ましくは適切に等量にされているバイアルを一般的に含む容器で提供できる。本発明のキットは、市販用に、抗体、抗原、及び試薬容器を含むための手段も、典型的に含む。このような容器には、その中に望ましいバイアルが保持されるプラスチック製の容器、並びに、クロマトグラフィーの材料、溶剤及び溶離液、試験管、界面活性剤、抗体、及び検出反応用の化学物質等の、1つ又は複数の必要な化学物質が含まれ得る。
【0082】
またさらなる実施形態では、本発明は、免疫検出方法及び関連するキットに関する。プロガストリン又はそのペプチドフラグメントを使用して、それとの反応性を有する抗体を検出することができ、あるいは、本発明により調製した抗体を使用して、プロガストリン、プロガストリン模倣分子、又はプロガストリンエピトープ含有ペプチドを検出し得ることが提唱されている。一般的には、これらの方法は、最初にこのような前駆体、ペプチド、又は抗体を含むことが疑われる試料を得るステップと、免疫複合体を形成させるのに有効な条件下で、試料を、本発明による抗体又はペプチドと接触させるステップと、次いで免疫複合体の存在を検出するステップと、を含む。
【0083】
例えば、ELISA、RIA、免疫ブロット(例えば、ドットブロット、スロットブロット、ウエスタンブロット等)、間接免疫蛍光技法、及び、例えば表面プラズモン抵抗等の物理的パラメータにおける変化の検出に頼る方法等、免疫複合体の形成の広範囲な検出方法が、当技術分野ではよく知られている。一つの広く用いられている方法では、免疫複合体の形成が、放射標識又は酵素タグ(例えば、アルカリホスファターゼ、又は西洋ワサビのペルオキシダーゼ)等の標識の使用により検出される。当技術分野ではよく知られている方法による、第2の抗体、又はビオチン化したリガンドに結合するためにアビジン結合している分子等、第2の結合性リガンドの使用により、さらなる利点が生じることがある。
【実施例】
【0084】
実施例1.ヒトプロガストリンのN−末端に対するMAbの産生
ヒトプロガストリンのアミノ酸配列の1〜9番目のアミノ酸:SWKPRSQQP(配列番号17)を含み、ヒトプロガストリンのN−末端エピトープを形成し、リンカー配列−Pro−Cys−が続くペプチドSWKPRSQQPPC(「hProGastrin(1〜9)−PC、配列番号16」を、標準の固相ペプチド合成方法により工業的に合成した。
【0085】
以下のように、ペプチドを免疫原中に組み入れて、ヒトプロガストリンのN−末端に対する抗体を誘発した:ペプチドを最初にジフテリア毒素(「DT」)に共有結合させてペプチド−担体複合体を生成させた。各DT担体上で置換したペプチドユニットの数を決定し、最後に複合体を免疫原として配合した。用いた技術は、Gevasらの米国特許第5622702号に記載された通りであった。
【0086】
手短に述べると、ペプチドをヘテロ二官能性の架橋剤であるε−マレイミドカプロン酸N−ヒドロキシスクシンイミド(ε−MCS)を、担体に化学的に複合させた。複合体を、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝食塩水、pH7.3(PBS)に対して透析することにより精製し、タンパク質濃度をLowry法により決定した。複合体のアミノ酸分析により、DT上のペプチドの置換レベル(DTの分子量100000Daあたり14.7個のペプチド)を、モルベースで決定した。次いで、溶解した複合体を免疫原とし、アジュバントとして、Montanide ISA 703(SEPPIC、フランス)とMontanide ISA 703油とを30/70の比(複合体溶液/アジュバントの重量/重量)で含む複合体溶液を混合することにより配合した。混合は、各液体の好適な体積をシリンジ中に引き込み、次いで溶液を、インターロックハブを通してこのシリンジと第2のシリンジ間をすばやく往復させ通過させることにより実現した。
【0087】
マウスを、最初に、0.1mLの体積のペプチド−DT複合体免疫原/Montanide ISA 703 0.1mgをi.p.注射することにより免疫化した。同じ投与量の第2の注射を、第1の注射の3週間後に投与した。
【0088】
ヒトプロガストリンのN−末端に選択的なMAbを産生するハイブリドーマを作り出すために、当業者にはよく知られている標準の技術により、免疫化したマウスからの脾臓細胞を標準マウスミエローマ融合パートナー細胞系と融合させた。例えば、Kaprowskiらへの米国特許第4196265号、Method of producing antibodies;「Selected Methods in Cellular Immunology」(第17章:Immunoglobulin Producing Hybrid Cell Lines、B.Mishell and S.Shiigi、W.H.Freeman and Co.、サンフランシスコ、1980年);Harlowe and Lane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1988年;Zola、Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques、CRC Press,Inc.、Boca Raton、フロリダ州、1987年を参照されたい。上記に記載したペプチド−DT複合体0.1mgのPBS溶液のi.p.注射で、免疫化したマウスを追加免疫し、4日後にそれらの脾臓細胞を細胞融合用に収集した。Mishell及びShiigiが記載しているように、ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジンを補った培地を用いて、ハイブリッド細胞の最初の選択を行った。この融合物はF490と呼ばれた。
【0089】
ヒトプロガストリンのN−末端に対するMAbを産生するハイブリドーマを単離するための最初の選択ステップは、標的のペプチドに対する抗体の産生し、ハイブリッド細胞系が安定している細胞を選択することであった。抗体を産生する細胞の選択は、ヒトプロガストリンのN−末端に対する抗体の単一のクローンを含む組織培養ウェルから得た細胞培養液をスクリーニングすることにより行った。免疫学的担体としてウシ血清アルブミン(BSA)に、末端システイン−11により連結している合成ペプチドhProGastrin(1〜9)−PCの複合体を標的抗原として用いて、ELISAによりスクリーニングした。適切なELISA技術は、当業者には知られており、そのいくつかの例を以下に列挙する。ELISA試験でhProGastrin(1〜9)−PC−BSA複合体に結合した抗体を産生した各ハイブリッドを2回クローニングすることにより、安定な細胞系を得た。これらの方法により、ヒトプロガストリンのN−末端に対するMAbを産生する8つのハイブリッド細胞系を得た。これらのハイブリッド系は、490−1、490−2、490−3、490−4、490−5、490−6、490−7、及び490−8と呼ばれた。
【0090】
実施例2.ヒトプロガストリンのN−末端領域に対するMAbの産生
ヒトプロガストリンのアミノ酸配列の6〜14番目のアミノ酸からなるSQQPDAPLG(配列番号19)を含み、ヒトプロガストリンのN−末端領域のエピトープを形成し、その後にリンカー配列−PPCが続くペプチドSQQPDAPLGPPC(「hProGastrin(6〜14)−PPC、配列番号18」を、標準の固相ペプチド合成方法により工業的に合成した。
【0091】
SQQPDAPLGPPCペプチド(配列番号18)を、上記実施例1に記載したように、免疫原中に組み入れて、ヒトプロガストリンのN−末端領域に対する抗体を誘発した。F491と呼ばれた融合物の免疫化及び単離は、やはり上記に記載したように行った。
【0092】
ヒトプロガストリンのN−末端領域に対するMAbを産生するハイブリドーマの選択は、ヒトプロガストリンのN−末端領域に対する抗体に対する単一のクローンを含む組織培養ウェルから得た細胞培養液をスクリーニングすることにより行った。免疫学的担体としてのウシ血清アルブミン(BSA)にシステイン−12により連結している合成ペプチドhProGastrin(6〜14)−PPCを含む複合体を標的抗原として用いて、ELISAによりスクリーニングした。ELISAでhProGastrin(6〜14)−PPC−BSA複合体に結合した抗体を産生した各ハイブリッドを2回クローニングすることにより、安定した細胞系を得た。ヒトプロガストリンのN−末端領域に対するMAbを産生する3つのハイブリッドの細胞系を得た。これらのハイブリッド細胞系は、491−1、492−2、及び491−3と呼ばれた。
【0093】
実施例3.ヒトプロガストリンのC−末端に対するMAbの産生
ヒトプロガストリンのアミノ酸配列の72〜80番目のアミノ酸からなるGRRSAEDEN(配列番号21)をC−末端に有しリンカー配列CPP−が先行するペプチドCPPGRRSAEDEN(「hProGastrin(72〜80)−PPC、配列番号20」を、標準の固相ペプチド合成方法により工業的に合成した。上記実施例1及び2に記載したように、ペプチドを免疫原中に組み入れて、ヒトプロガストリンのC−末端に対する抗体を誘発した。
【0094】
マウスを、最初に、0.1mLの体積のペプチド−DT複合体免疫原/Montanide ISA 703 0.1mgをi.p.注射することにより免疫化した。同じ投与量の第2の注射を、第1の注射の3週間後に投与した。
【0095】
ヒトプロガストリンのC−末端に選択的なMAbを産生するハイブリドーマを作り出すために、上記に記載した標準の技術により、免疫化したマウスからの脾臓細胞を、標準マウスミエローマ融合パートナー細胞系と融合して、F495と呼ばれる融合体を生成した。
【0096】
ヒトプロガストリンのC−末端に対するMAbを産生するハイブリドーマを単離するための最初の選択ステップは、標的のペプチドに対する抗体を産生し、ハイブリッド細胞系が安定している細胞を選択することであった。抗体を産生する細胞の選択は、ヒトプロガストリンのC−末端に対する抗体に対する単一のクローンを含む組織培養ウェルから得た細胞培養液をスクリーニングすることにより行った。免疫学的担体としてウシ血清アルブミン(BSA)に、システイン−1により連結した合成ペプチドhProGastrin(72〜80)−PPCを含む複合体を標的抗原として用いて、ELISAによりスクリーニングを行った。ELISAでhProGastrin(72〜80)−PPC−BSA複合体に結合した抗体を産生した各ハイブリッドを2回クローニングすることにより、安定な細胞系を得た。ヒトプロガストリンのC−末端に対するMAbを産生した4つのハイブリッド細胞系を得た。これらのハイブリッド系は、495−1、495−2、495−3、及び495−4と呼ばれた。
【0097】
実施例4.プロガストリンの特異的な領域に対するELISAの抗体の力価
この分析方法の目的は、ELISAにより、試験試料における抗プロガストリン抗体を検出し、力価を決定することである。本発明の抗プロガストリン抗体ELISAは、抗体(ポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよい)の、プロガストリンペプチド−BSA複合体への特異的な結合に基づくものである。ELISAにおけるペプチドの結合により、抗体が複合体のプロガストリンペプチド配列内のプロガストリンエピトープに特異的に結合することが確認されている。
【0098】
試験したプロガストリン−BSA複合体には、実施例1、2、及び3に列挙した3つの複合体、すなわち、(それぞれ)hProGastrin(1〜9)−PC−BSA、hProGastrin(6〜14)−PPC−BSA、及びhProGastrin(72〜80)−PPC−BSAが含まれていた。複合体は、上記に記載したように、架橋試薬ε−MCSを用いて、DT−連結した免疫原を作成するために用いたのと同じプロガストリンペプチドを用いて調製した。
【0099】
ELISAの最初のステップで、複合体は、96ウェルELISAプレートのウェルに結合した。96ウェルプレートウォッシャーを用いて洗浄ステップにより、遊離の複合体を除去した。次いで、試験(又は対照)の抗血清を加えた。抗原上に存在するプロガストリンペプチドエピトープのおかげで、試験血清に存在する抗プロガストリンAbは、複合体に結合した。次いで、検出される抗プロガストリン抗体に特異的な種である抗IgG−アルカリホスファターゼ試薬を加えることにより、結合している抗体を検出した。例えば、Ab検出試薬として、マウスの抗プロガストリンAbに結合するウサギ抗マウスIgG−アルカリホスファターゼ複合体(「RAM−AP」)を用いて、マウスの抗プロガストリン抗体を検出した。抗Ig−AP複合体のAP部分は、引き続き、基質の着色生成物(p−ニトロフェノール)への変換を触媒した。色の発色を、ELISAプレートリーダーで405nmの吸光度として測定した。
【0100】
プールしたマウスの抗プロガストリン血清(抗プロガストリンハイブリドーマの産生に対して免疫化したマウスから収集した)又はマウスの抗プロガストリンMAbを含む腹水を、抗体を誘発するために用いたプロガストリンのエピトープを標的とするELISAの陽性対照として用いた。試験試料と同じ動物種からの血清を、陰性対照として用いた(例えば、正常の血清、又は免疫前の血清等)。
【0101】
直線範囲における色の発色の大きさは、標的抗原に結合している抗プロガストリンAbの量に直接比例していた。陽性標準(抗プロガストリン)血清の希釈系列対吸光度値のプロットを用いて、結合曲線を生成した。次いで、試験試料の抗プロガストリンAbの力価を、同じ希釈の陰性対照で得た吸光度と区別することができる吸光度を生成する最大希釈から決定した(限界希釈分析)。
【0102】
試薬溶液:
この分析方法で調製するように指定された試薬及び溶液の量は、利便性のためだけに選択されたものであり、例として提供されたものであって、限定的なものとして理解すべきではない。実際の量は、必要に応じて見積もることができる。
【0103】
1. 0.02%NaNを含む炭酸塩バッファー(「炭酸塩バッファー」)は、1.59gのNaCO及び2.93gのNaHCOを約750mlの蒸留水に溶解し、マグネチックスターラーで撹拌して調製した。4mlの5%NaN溶液を加えて撹拌した。溶液を、水で1.0リットルに調節した。pHを測定し(9.6±0.2でなければならない)、必要であれば1.0M NaOH又は1.0M HClで調節した。バッファーは、必要時まで冷蔵庫で貯蔵した。
【0104】
2. 0.05%Tween−20及び0.02%NaNを含むFTA(PBS)(「FTA/Tween」)は、9.23gのFTAを、約750mlの精製水に溶解して調製した。0.5mlのTween−20及び4mlの5%NaNを加え、水で1.000リットルに調節した。
【0105】
3. 1%BSAのFTA/Tween溶液(「BSA/FTA/Tween」)は、10gのBSAを1000mlのFTA/Tweenに溶解して調製した。
【0106】
4. 基質バッファー:50mgのMgCl・6HOを精製水448mlに溶解した。50mlのDEA及び2mlの5%NaNを加え、濃塩酸でpHを9.8に調節した。バッファーは、室温で、光から保護して貯蔵した。
【0107】
5. PBS、pH7.2:固体のFTA(FTA赤血球凝集バッファー(「FTA」)(Becton Dickenson Microbiology Systems、Cockeysville、メリーランド州)から調製した。
【0108】
ELISA手順:
抗原でのコーティング:プロガストリン−BSA複合体標的抗原の1μg/mlの炭酸塩バッファー溶液を調製した。各プレートをコーティングするのに、最低5.2mlの抗原溶液が必要とされた。炭酸塩バッファーで1mg/ml複合体貯蔵溶液の1:1000希釈を作成することにより抗原溶液を調製した。プレートは、例えば、Microtiter(登録商標)免疫アッセイプレート、硬質スチレン製(例えば、Immulon(登録商標)2「U」底96ウェルプレート、Dynatech Laboratories,Inc.、バージニア州;又は平底96ウェルプレート、ポリスチレン製;例えば、Microwell Plates、NUNC、業者VWR)等、ELISAアッセイに適する任意のプレートであればよい。Immulon(登録商標)2「U」底プレートは、抗原溶液を1ウェルあたり50μl加えることにより、抗原でコーティングする。プレートを、水分の損失を防ぐために湿潤室(例えば、湿ったペーパータオルを入れた密閉容器)に貯蔵し、冷蔵庫で(2°〜8℃)で一夜インキュベートした。
【0109】
血清希釈液の調製:
任意の好都合な希釈系列が許容できる。例えば、表1に示すように、陽性標準及び陰性対照及び試験血清の1/100.5の連続的な希釈系列を用いた。試料を、平底96ウェルプレートで、BSA/FTA/Tween溶液で希釈した(12チャンネルマルチピペッターにより最高12個の血清の同時希釈が可能である)。
【0110】
【表1】

【0111】
各試料希釈の十分な体積を調製して、最小の作用体積である200μlとした。試料の力価に応じて、列Aにおいて、各試料の1/100希釈(低力価の試料に対して)又は1/1000希釈(高力価の試料に対して)で始まる希釈を作成し、次いで、各カラムを列Hまで段階希釈を進め(表9を参照されたい)、各試料の全8希釈を生成した。陰性対照の希釈系列を、1/100希釈で開始して調製した。陽性標準の抗体、及び前採血(prebleed)/陰性対照の抗体の希釈系列の試料は、各プレート上に2回ずつ繰り返して作成した。
【0112】
プレート洗浄:
プレートウォッシャー(例えば、Ultrawash Plus、若しくはDyna Washer II(Dynatech Laboratories,Inc、バージニア州)又は同等物)を用いて、コーティングしたプレートを、各々、FTA/Tweenで4回洗浄し、次いでプレートをペーパータオル上に「たたきつけて」残留した溶液を除去した。
【0113】
抗体の結合:
以下の表2に示すような試料のプレート希釈系列に従って、50μl/ウェルとなるように希釈した試料を、抗原でコーティングした「U」プレートの対応するウェルに移した。プレートを、湿潤室で1時間、室温でインキュベートした。
【0114】
【表2】

【0115】
抗体検出試薬:
好適に希釈した抗Ig−アルカリホスファターゼ複合体を、FTA/Tweenで調製した。アッセイでは、1プレートあたり最低5.2mlが必要とされた。上記に記載したようにプレートを洗浄した。50μl/ウェルのRAM−AP溶液(抗Ig−アルカリホスファターゼ複合体、例えば、試験するマウス抗プロガストリン抗体、ウサギ抗マウスIgG(H+L)−アルカリホスファターゼ(Zymed))を「U」プレートの全てのウェルに加え、湿潤室で1時間、室温でインキュベートした。
【0116】
マウス以外の種から得た血清における抗プロガストリン抗体を検出するためには、試験血清を産生した種に特異的な抗Ig−AP複合体を使用しなければならない(例えば、ヒト抗プロガストリン抗体は、抗ヒトIgG−AP試薬を試薬の各ロットに対して確立した希釈で用いて検出する)。陽性標準及び陰性対照の血清は、試験血清と同じ種から得なければならない。
【0117】
基質溶液:
p−NPP錠剤(ホスファターゼ基質錠剤、Sigma104(「p−NPP」)(Sigma Chemical Co.、St.Louis、ミズーリ州)として提供されるp−ニトロフェニルリン酸)を冷凍庫から出し室温に放置して暖める。使用する直前に、室温で、p−NPPの錠剤1個にDEA基質バッファー5mlを加えて、p−NPPの1mg/ml溶液を調製した。アッセイプレート1枚に、基質溶液の各5mlのアリコートで十分であった。基質溶液を、使用するまで暗所に貯蔵した。
【0118】
基質の添加:
上記に記載したようにプレートを洗浄した。カラム1から開始し、列Aから開始するように8(又は12)チャンネルマルチピペッターで、全ウェルに対して、p−NPP溶液を50μl/ウェルの用量で同時に添加した。
【0119】
反応のモニター:
基質溶液の発色を、10〜15分後に停止した。
【0120】
反応の停止:
8(又は12)チャンネルピペッターで、各ウェルに1.0M NaOH50μlを加えることにより反応を停止した。NaOH溶液をウェルに、基質溶液を添加したのと同じ順番、かつ同じタイミングで加えた。カウンタートップ上でプレートを注意深く振盪することにより、試薬を穏やかに混和した。
【0121】
吸光度測定:
プレート全体をELISAリーダーで読んだ。ELISAリーダーは、p−ニトロフェノールに対してA405nmで測定するように設定した。
【0122】
データ分析:
各血清の抗体の力価を以下のように決定した:片対数のグラフ目盛り上に、各試料について得られた吸光度を、縦軸(均等目盛り)上にプロットし、それに対し、陽性標準を含む各血清について(1/希釈)を横軸(対数目盛り)上にプロットした。希釈の逆数をプロットすることにより、力価をX軸上で直接読むことができた。場合によっては、吸光度値は、特定の血清に関して結合曲線を明らかにはずれ(異常値ポイント)、このような値は曲線から除外した。各血清の力価を、吸光度値を基に同じ希釈の陰性対照試料と区別することができる試験抗体の最終希釈として決定する。一般的に、2つの結果の間の差の限界は、0.25吸光度単位以上の(アッセイにおける試料同士のばらつきに応じて)吸光度である。
実施例5.阻害ELISAによる抗体特異性の決定
【0123】
上記の実施例と同じ方法を、ペプチド阻害ELISAに対してならったが、以下に記載する例外があった。
【0124】
阻害物質の調製:
好適な標的ホルモンのペプチド、この場合はプロガストリンのエピトープを表すペプチドを、1μmol/ml(1000μM)のワーキングストックとして調製した。ワーキングストック溶液から、阻害の希釈系列を、希釈比1:2から1:10まで調製し、プレートの配置に応じて全部で8又は12希釈を作成した。
【0125】
試料希釈の調製:
試料の一連の力価測定を行い、その後、阻害アッセイを行って50%最大結合で抗体試料の希釈を確立した。次いで、等体積のペプチド阻害物質と混合するために、及び阻害アッセイにおける対照としてのバッファーと混合するために、試料を2×(2倍)の50%結合濃度に調製した。試料混合物を湿潤室で約30分間インキュベートし、次いで、洗浄したコーティングしたELISAプレートに加え、湿潤室で約1時間インキュベートした。阻害剤入りの試料から得られた吸光度を、阻害剤なしの試料対照から得られた吸光度で除して、この値に100を乗じることにより、吸光度の読み(バックグラウンドから差し引いた)から、結合パーセントを決定した。最後に、100%から結合パーセントを差し引くことにより、阻害パーセントを決定した。
【0126】
このアッセイで用いるための試験試料は、血清、細胞培養上清におけるMAb、腹水、又はアフィニティー精製した抗体(Ab)であることができる。プロガストリンのアミノ末端以外の標的抗原に対するAbに対しては、好適な標的のホルモンの抗原及び阻害物質を用いる。関連のないペプチド阻害物質を、陰性対照として含まれなければならない。
【0127】
実施例6.ELISAによるアイソタイプ及び特異性に関する抗プロガストリンMAb
実施例1(F490)、実施例2(F491)、及び実施例3(F495)に記載した抗プロガストリンMAbを、ELISAにより、アイソタイプ及び特異性に関して特徴づけた。各MAbに対する標的抗原は、実施例1から3に記載したものと同じであった。したがって、融合物490からのMAbはhProGastrin(1〜9)−PC−BSAに対して試験し、融合物491からのMAbはhProGastrin(6〜14)−PPC−BSAに対して試験し、融合物495からのMAbはhProGastrin(72〜80)−PPC−BSAに対して試験した。実施例4の方法によりアイソタイプを決定し、この場合第2のウサギ抗マウスIg試薬は、マウス抗体のアイソタイプに特異的であった。実施例5の方法により、以下のペプチドを阻害物質として用いて特異性を決定した:hProGastrin(1〜9)−PC、hProGastrin(6〜14)−PPC、hProGastrin(72〜80)−PPC、ヒトG17、ヒトG34、ヒトG17−グリシン延長、及び陰性対照として黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)。
【0128】
これらの試験の結果を表3に示す。表に示すように、MAbは全てIgG1のサブクラスであり、例外として抗体491−2及び495−2の両者がIgG2aサブクラスであった。表は、個々のMAbが、各々、免疫化のために用いたエピトープに特異的であったことも示している。したがって、490シリーズのMAbは全てプロガストリンのエピトープ配列1〜9に特異的であり、491シリーズのMAbは全てプロガストリンのエピトープ配列6〜14に特異的であり、495シリーズのMAbは全てプロガストリンのエピトープ配列72〜80に特異的であった。これらのMAbは、液体のいずれか(例えば、血漿、リンパ液、腹水、唾液等)からなる生物学的試験試料において、及び組織検体(例えば、正常組織若しくは腫瘍起源の、又はそのような組織から脱落した細胞の生検検体等)において、プロガストリンを検出し、測定するようにデザインされた試験に適すると考えられている。
【0129】
【表3】

【0130】
実施例7.免疫アッセイによりプロガストリンを測定するためのプロガストリン代用参照標準(SRS)の合成
SRSの有用性を実証するために、2つのプロガストリンSRSペプチドを、固相ペプチド合成により合成した。使用した合成方法は、一般的に工業的に利用されているものであり、当業者にはよく知られている。
【0131】
ヒトプロガストリン1〜80を検出し、定量するためのアッセイで使用するために、プロガストリンSRS1を合成した。プロガストリンSRS1ペプチドは、以下の構造を有していた:[プロガストリンの1〜9番目のアミノ酸−(PGGPP)−プロガストリンの72〜80番目のアミノ酸]。ペプチドのアミノ酸配列は、SWKPRSQQPPGGPPGRRSAEDEN(配列番号14)であった。このペプチドの質量は2535.1であり、このペプチドの純度はHPLCで試験した場合90%を超えていた。
【0132】
ヒトプロガストリン6〜80を検出し、定量するためのアッセイで使用するために、プロガストリンSRS2を合成した。プロガストリンSRS2ペプチドは、以下の構造を有していた:[プロガストリンの6〜14番目のアミノ酸−(PPGGPP)−プロガストリンの72〜80番目のアミノ酸]。ペプチドのアミノ酸配列は、SQQPDAPLGPPGGPPGRRSAEDEN(配列番号15)であった。このペプチドの質量は2432.4であり、このペプチドの純度はHPLCで試験した場合90%を超えていた。
【0133】
実施例8.プロガストリンを測定するための、抗プロガストリンMAb及びプロガストリンSRSペプチドを利用する免疫酵素測定アッセイ
以下の分析方法(免疫酵素測定アッセイ)で、ヒト血漿等の生体液に存在する遊離の(複合していない)ヒトプロガストリン1〜80又はヒトプロガストリン6〜80を、アッセイされるプロガストリンの特定の分子形態のN−末端又はC−末端に対するモノクローナル抗体及び/又はポリクローナル抗体を用いて決定した。あるいは、分子のN−末端又はC−末端に対するポリクローナル抗体の組合せを、それぞれ分子のC−末端又はN−末端に対するモノクローナル抗体と組み合わせて用いることができる。
【0134】
1.プレートコーティング:
試験する特定のヒトプロガストリン分子形態のN末端に選択的な抗体を、最適な濃度でテストプレートのマイクロウェルの表面上にコーティングした。NUNC Maxisorp、F96 ELISAプレート(カタログ番号439454)テストプレートを使用し、抗体コーティング溶液をホウ酸ナトリウムバッファー(20mM、pH8.0、0.1%アジ化ナトリウムを含む)で調製する。コーティング溶液におけるアフィニティー精製したMabの濃度は、好ましくは約5μg/mLであった。1ウェルあたり100μLのMab溶液を加え、湿潤密封箱中4℃で一夜、コーティングを進行させた。アッセイで検量線を確立するためのSRS1を用いて、プロガストリン1〜80を検出するために、アフィニティー精製した490−1Mabでプレートをコーティングした。アッセイで検量線を確立するためのSRS2を用いて、プロガストリン6〜80を検出するために、アフィニティー精製した491−1Mabでプレートをコーティングした。
【0135】
2.プレート洗浄:
コーティング溶液を除去し、洗浄バッファー(1ウェルあたり約400μl)を加え、その後除去した。この洗浄サイクルは、必要に応じて多くの回数繰り返し、通常は全部で3回又は4回の洗浄であった。洗浄バッファーは、0.0027M塩化カリウム及び0.137M塩化ナトリウムを含む、pH7.4の0.010Mリン酸塩バッファーで、0.01%w/vTritonX−100を含んでいた。プレート洗浄は自動化してもよい。
【0136】
3.プレートの阻害:
タンパク質及び界面活性剤を含む阻害バッファー(コーティングバッファー中、1%BSA/0.1%TritonX−100)をマイクロウェルに加え(200μL/ウェル)、プレートを、湿潤箱で1時間、室温でインキュベートした。プレートを、この状態で、約4℃で冷蔵貯蔵した。
【0137】
4.試料及び標準の添加:
上記のようにプレートを洗浄した。参照標準(例えば、SRS1、SRS2、若しくは真正プロガストリン形態、又は、ガストリン17等の陰性対照ペプチド)を、希釈系列として調製して検量線を生成した。この実施例の試験では、SRS1及びSRS2を10μMの濃度で調製し、1:10の希釈系列で100fMまで希釈した。標準及び試験試料を、アッセイバッファー(1%BSA、0.1%ウシγ−グロブリンを洗浄バッファーで調製)で調製した。次いで、溶液を各ウェルに加えた(100μL/ウェル)。湿潤箱で2時間、室温で反応を進行させた。
【0138】
アッセイする形態の既知濃度のプロガストリンSRSを用いて検量線を生成することにより、最適の抗原濃度を決定し、検量線は、必要とされる有用な濃度範囲にわたって必要とされる感度及び精度を有していた。プロガストリン(1〜80も、6〜80も)では、アッセイの有用なプロガストリン濃度範囲は、一般的にバックグラウンド(約1pM又はそれ未満)から約100nMまでであった。1:2希釈系列のような、より狭い範囲の希釈系列の参照標準を用いることにより、より大きな正確度を達成することができる。
【0139】
アッセイの感度及び精度は、ウェルのコーティング又は酵素標識に関する特定のMabの選択、試薬の濃度、バッファーの組成、酵素−基質系の選択、インキュベーション時間、及びアッセイの必要条件に適するように改変し得る他のパラメータ等、他のアッセイパラメータの変更により容易に改変又は向上され得ることが、直ちに認識されよう。必要とされる範囲にわたる好適な感度及び精度は、当業者であれば必要以上の実験を行わずに容易に決定することができる。
【0140】
5.複合体の添加:
洗浄後、(酵素標識と複合させた)アッセイするプロガストリン形態のC−末端に特異的なモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を含むアッセイバッファーを、各ウェルに加えた。この実施例の場合は、プロガストリンのC−末端に対するMAbをアフィニティー精製し、次いで、西洋わさびのペルオキシダーゼ(HRP)に結合させた。MAbは、プロガストリンのC末端に対する結合性を保持し、HRP活性を有することが示された。458−1〜458−4の4つのMabの各々で、別々の複合体を作成した。この試験の目的のため、複合体を別々に使用し、混合しなかった。複合体は、630μg/mLの保存溶液の1:2000希釈で用い、1ウェルあたり100μを加えた。反応を、少なくとも1時間、室温(通常+22℃)で進行させた。
【0141】
6.基質の添加:
上記のようにウェルを洗浄し、各ウェルにTMB溶液(Pierce)基質溶液を100μL加えた。反応を30分間進行させ、次いで、各ウェルに0.2M HSOの停止溶液を100μLを加えた。検出化合物の発色で使用するのに適する酵素基質の例には、アルカリホスファターゼに対するニトロフェニルリン酸、又は西洋わさびのペルオキシダーゼに対するテトラメチルベンチジンスルホネート(TMBS)が含まれる。吸光度の単位で読む(AU、TNBSの場合は450nmで、p−ニトロフェノールの場合は405nmで読む)色の発色の度合いは、試験試料に存在するプロガストリンの量を示しており、実際の濃度は、既知濃度のSRSで生成した検量線に対して、又は真正プロガストリンで生成した検量線に対して、試験試料の吸光度を読むことにより決定できる。
【0142】
7.読み:
十分なアッセイシグナルを達成した場合、マイクロプレートリーダー/分光光度計を用いてシグナルを測定した。
【0143】
8.データの加工:
SRS(又はプロガストリン)形態の既知の標準溶液で得たアッセイシグナルを用いて、較正曲線(シグナル対濃度)を構築した。較正曲線を用いて、試験試料におけるガストリンホルモン形態の濃度を補間した。
【0144】
実施例9.プロガストリン1〜80を測定するようにデザインされた免疫酵素測定アッセイ
プロガストリン1〜80に対するアッセイの結果を表4に示す。このアッセイに関する一般的な方法は、実施例8に記載してある。この試験では、プロガストリンのN末端に特異的な、アフィニティー精製したMab490−1でウェルをコーティングした。用いた検出複合体は、Mab495−1−HRP複合体であった。データが示すように、SRS1は100pMまで低い濃度で検出されたが、緊密に関連するSRS2は100nMまでしか検出されなかった。したがって、プロガストリン1〜80に対するこのアッセイの作用範囲は、100nM未満であるが10pMを超える。陰性対照のペプチドであるガストリン17は検出されなかった。この実施例は、プロガストリンのMabを用いて、プロガストリン1〜80に対するアッセイができることを実証している。この実施例は、ELISAによりプロガストリン1〜80を測定するための標準の分子としてのSRS1の有用性も実証している。
【0145】
【表4】

【0146】
実施例10.プロガストリン6〜80を測定するようにデザインされた免疫酵素測定アッセイ
プロガストリン6〜80に対するアッセイの結果を表5に示す。このアッセイに関する一般的な方法は、実施例8に記載してある。この試験では、プロガストリンのN末端領域(6〜14番目のアミノ酸)に特異的な、アフィニティー精製したMab491−1でウェルをコーティングした。用いた検出複合体は、Mab495−1−HRP複合体であった。データが示すように、SRS2は100pMまで低い濃度で検出されたが(この濃度における吸光度はベースラインより上であり、アッセイは100pM未満を検出できた)、緊密に関連するSRS1は100μMまでしか検出されなかった。したがって、プロガストリン6〜80に対するこのアッセイの作用範囲は、100μM未満であるが10pMを超える。陰性対照のペプチドであるガストリン17は検出されなかった。この実施例は、プロガストリンのMabを用いて、プロガストリン6〜80をアッセイができることを実証している。この実施例は、プロガストリン6〜80を測定するためのSRS2の有用性も実証している。
【0147】
【表5】

【0148】
実施例11.特定の適用に対する最適のMabの選択
一定のエピトープに対する異なるMabは、一定のエピトープに対して特異性を共有しているが、特定の適用においてそれらの性能が異なることがある。したがって、特定の適用で使用するのに最適の性能のMAbを選択するために、Mabを、各状況下におけるその活性に関して比較しなければならない。この実施例は、プロガストリンのC末端に特異的なMAbが、プロガストリンに対する免疫酵素測定アッセイでプロガストリン検出抗体として働くその能力においてどのように異なり、最適の製剤をどのように提供するかを実証するものである。
【0149】
プロガストリンに対する定量アッセイにおける検出抗体試薬(実施例8に記載)は、HRPに連結しているプロガストリンのC末端のエピトープに対するMabである。プロガストリンのC末端エピトープに特異的な4つのMabは、上記の融合体である495からクローニングすることにより単離した。これらは、Mab495−1、495−2、495−3、及び495−4であった。これらのMabのHRP複合体を調製するために、我々の独特の構成成分を主要なステップで市販のキットと組み合わせて使用することにより、当業者が精通している方法論に従った。したがって、495−1から−4の各MAbは、マウスで腹水MAbとして別々に産生された(Mishell及びShiigi、第17章に記載された通り)。腹水におけるMAbの存在を、上記のように、標的抗原hProGastrin(72〜80)−PPC−BSAに対する直接結合ELISAにより確認した。
【0150】
Pierce Sulfolink Kitで提供される指示に従って、スルホリンクゲル(Pierce)に連結しているhProGastrin(72〜80)−PPCによるカラムクロマトグラフィーで、グリシンバッファーで溶離することにより、腹水からMAbをアフィニティー精製した。MabをAmiconろ過ユニットで透析することによりさらに精製し、A280の測定により、タンパク質の最終濃度を決定した。4つの精製したMAb調製物の各々を、Pierce EZ−Link(登録商標)Plusキットを用いてHRPに複合させた。精製後、各Mab−HRP複合体のHRP及び抗原結合性活性を、hProGastrin(72〜80)−PPC−BSA標的抗原に対する直接結合ELISAにより確認し、全て活性であることが見出された。4つの複合体の最終濃度を、0.63から0.68mg/mLに設定した。
【0151】
プロガストリンに対する免疫酵素測定アッセイにおいて4つのMAb−HRP複合体の性能を比較するために、SRS1を用いて実施例9に記載した通りに、及びSRS2を用いて実施例10に記載した通りに、アッセイを行った。495MAb−HRP複合体の各々は、捕獲したSRS1及びSRS2の検出試薬として、個々のアッセイで、それぞれで別々に試験した。MAb−HRP複合体を、保存溶液から1:2000希釈して用いた。SRS2を検出するためのアッセイ(プロガストリン6〜80に対して)では、プレートをMAb491−1でコーティングし、それにより、SRS2が捕獲されたことからも、捕獲されたSRS2の検出に最適な複合体は、491−1−HRPであった。これは、表6で見てとることができ、458−1−HRPは100pMの濃度でSRS2を検出する。他の3つの複合体は、それほど有効性がなく、SRS2を1nMまで検出した。したがって、495−1−HRP複合体は、この実施例の条件下で行う際、SRS2を用いて、プロガストリン6〜80に対する免疫酵素測定アッセイにおける検出試薬として用いられる。
【0152】
【表6】

【0153】
プロガストリン1〜80に対するSRS1のアッセイで、4つの495−HRP MAb複合体を試験した場合にも同様の結果が得られ、これらのアッセイにおいて495−1−HRP複合体が優れていることが実証された。
【0154】
ハイブリドーマ細胞系の寄託
以下のハイブリドーマが、2004年9月1日に、American Type Culture Collection(ATCC、Manassas、バージニア州)に寄託された:
1. MAb490−1を産生するハイブリドーマ490−1は、受託番号PTA−6189に割り当てられた。
2. MAb491−1を産生するハイブリドーマ491−1は、受託番号PTA−6190に割り当てられた。
3. MAb495−1を産生するハイブリドーマ495−1は、受託番号PTA−6191に割り当てられた。
【0155】
参照による組み入れ
本明細書に引用される米国特許の明細書及び各参考文献の本文は、その全文が参照として本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガストリン−17(G17)、ガストリン−34(G−34)、グリシン延長ガストリン−17(G17−Gly)及びグリシン延長ガストリン−34(G34−Gly)に結合せず、プロガストリンに選択的に結合するプロガストリン結合分子。
【請求項2】
抗体結合領域を含む、請求項1に記載のプロガストリン結合分子。
【請求項3】
抗体である、請求項1又は2のいずれか一項に記載のプロガストリン結合分子。
【請求項4】
モノクローナル抗体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロガストリン結合分子。
【請求項5】
単鎖抗体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロガストリン結合分子。
【請求項6】
前記抗体は、哺乳動物の抗体である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロガストリン結合分子。
【請求項7】
前記哺乳動物の抗体は、マウス抗体である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロガストリン結合分子。
【請求項8】
前記哺乳動物の抗体は、ヒト/マウスキメラ抗体、ヒト抗体、又はヒト化抗体である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロガストリン結合分子。
【請求項9】
アミノ酸配列SWKPRSQQP(配列番号6)内のエピトープに選択的に結合する、モノクローナル抗体。
【請求項10】
ハイブリドーマ490−1によって産生されるモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合する、請求項9に記載のモノクローナル抗体。
【請求項11】
アミノ酸配列SQQPDAPLG(配列番号7)内のエピトープに選択的に結合する、モノクローナル抗体。
【請求項12】
ハイブリドーマ491−1によって産生されるモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合する、請求項11に記載のモノクローナル抗体。
【請求項13】
アミノ酸配列GRRSAEDEN(配列番号8)内のエピトープに選択的に結合する、モノクローナル抗体。
【請求項14】
ハイブリドーマ495−1によって産生されるモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合する、請求項13に記載のモノクローナル抗体。
【請求項15】
配列番号6のアミノ酸配列内のエピトープでプロガストリンのN−末端に選択的に結合する抗体、配列番号7のアミノ酸配列内のエピトープでプロガストリンのN−末端に選択的に結合する抗体、及び配列番号8のアミノ酸配列内のエピトープでプロガストリンのC−末端に選択的に結合する抗体、からなる群から選択される2以上の抗体を含む、モノクローナル抗体のパネル。
【請求項16】
ハイブリドーマ490−1(ATCC受託番号PTA−6189)。
【請求項17】
ハイブリドーマ491−1(ATCC受託番号PTA−6190)。
【請求項18】
ハイブリドーマ495−1(ATCC受託番号PTA−6191)。
【請求項19】
請求項1〜14のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体及び薬学的に許容できる担体、を含む医薬組成物。
【請求項20】
前記モノクローナル抗体は、ヒト/マウスキメラ抗体、ヒト抗体、又はヒト化抗体である、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
a)プロガストリンをアッセイするための試料を得るステップと、
b)抗体が結合し、存在する任意のプロガストリンにプロガストリン−モノクローナル抗体複合体を形成させるのに適した条件下で、プロガストリンに特異的に結合するが、ガストリン−17(G17)、ガストリン−34(G34)、グリシン延長ガストリン−17(G17−Gly)、及びグリシン延長ガストリン−34(G34−Gly)には結合しないモノクローナル抗体を、試料に接触させるステップと、
c)プロガストリン−モノクローナル抗体複合体の存在又は非存在を検出するステップ、及び/又は免疫検出方法により試料におけるプロガストリン−モノクローナル抗体複合体の量を決定するステップと、
を含む、プロガストリンの免疫アッセイ。
【請求項22】
前記モノクローナル抗体は、アミノ酸配列SWKPRSQQP(配列番号6)内のエピトープ、アミノ酸配列SQQPDAPLG(配列番号7)内のエピトープ、又はアミノ酸配列GRRSAEDEN(配列番号8)内のエピトープに選択的に結合する、請求項21に記載のプロガストリンの免疫アッセイ。
【請求項23】
前記モノクローナル抗体は、490−1、491−1、及び495−1、からなる群から選択されるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合する、請求項21又は22のいずれか一項に記載のプロガストリン免疫アッセイ。
【請求項24】
前記免疫検出方法は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫組織化学(IHC)アッセイ、免疫蛍光(IF)アッセイ、凝集アッセイ、ウエスタンブロットアッセイ、ドットブロットアッセイ、スロットブロットアッセイ、又は表面プラズモン抵抗検出法である、請求項21〜23のいずれか一項に記載のプロガストリン免疫アッセイ。
【請求項25】
患者からの生体液の試料におけるプロガストリンのレベルを決定するステップと、
前記試料におけるプロガストリンのレベルを、1つ若しくは複数の対照の個体からの生体液の試料におけるプロガストリンのレベル又は参照標準と比較するステップと、
を含む、患者におけるガストリン促進性の疾患又は状態を診断する方法。
【請求項26】
請求項19の医薬組成物を、それを必要とする患者に投与するステップを含む、ガストリン促進性の疾患又は状態を予防又は治療する方法。
【請求項27】
最初の時点で、ガストリン促進性の疾患又は状態に罹患している患者又はその危険のある患者からの生体液の試料におけるプロガストリンのレベルを決定するステップと、
様々な時点で、前記患者からの生体液の1つ又は複数の試料におけるプロガストリンのレベルを決定するステップと、
それによりガストリン促進性の疾患又は状態をモニターするステップと、
を含む、患者におけるガストリン促進性の疾患又は状態をモニターする方法。
【請求項28】
ガストリン−17(G17)、ガストリン−34(G−34)、グリシン延長ガストリン−17(G17−Gly)、及びグリシン延長ガストリン−34(G34−Gly)に結合せず、プロガストリンに選択的に結合するモノクローナル抗体と、適切な容器と、を含む、免疫アッセイを行うためのキット。
【請求項29】
アミノ酸約50個を超える対象のタンパク質に存在する少なくとも2つのエピトープの各々の免疫模倣物を含み、本質的に、アミノ酸約10個から約35個のペプチド鎖を含む、代用参照標準(SRS)分子。
【請求項30】
前記対象のタンパク質は、ペプチドホルモン又はペプチドホルモン前駆体である、請求項29に記載の代用参照標準(SRS)分子。
【請求項31】
合成ペプチドである、請求項29又は30のいずれか一項に記載の代用参照標準(SRS)分子。
【請求項32】
組換えペプチドである、請求項29〜31のいずれか一項に記載の代用参照標準(SRS)分子。
【請求項33】
前記ペプチドホルモン前駆体は、プロガストリンである、請求項29〜32のいずれか一項に記載の代用参照標準(SRS)分子。
【請求項34】
第1及び第2のエピトープを含むアミノ酸約50個を超える対象のタンパク質に対するサンドイッチ免疫アッセイを標準化する方法であって、
対象のタンパク質の前記第1及び第2のエピトープの免疫模倣物を含み、本質的に、アミノ酸約10個から約35個のペプチド鎖を含む代用参照標準(SRS)分子、の標準量を用いた免疫アッセイで生成されるシグナルを検出するステップ又は測定するステップを含む、方法。
【請求項35】
標準量の代用参照標準(SRS)分子を用いた免疫アッセイで生成されたシグナルを、未知量の対象のタンパク質を含む試料を用いた免疫アッセイで生成されたシグナルと比較する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
標準量の代用参照標準(SRS)分子を用いた免疫アッセイで生成されたシグナルを、既知量の対象のタンパク質を含む試料を用いた免疫アッセイで生成されたシグナルと比較する、請求項34又は35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記免疫アッセイは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫組織化学(IHC)アッセイ、免疫蛍光(IF)アッセイ、凝集アッセイ、ウエスタンブロットアッセイ、ドットブロットアッセイ、スロットブロットアッセイ、又は表面プラズモン抵抗検出法である、請求項34〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記対象のタンパク質は、ペプチドホルモン又はペプチドホルモン前駆体である、請求項34〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記ペプチドホルモン前駆体は、プロガストリンである、請求項34〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記代用参照標準(SRS)分子は、[プロガストリンの1〜9番目のアミノ酸]−[プロガストリンの72〜80番目のアミノ酸](SWKPRSQQPGRRSAEDEN、配列番号10)、[プロガストリンの6〜14番目のアミノ酸]−[プロガストリンの72〜80番目のアミノ酸](SQQPDAPLGGRRSAEDEN、配列番号11)、[プロガストリンの1〜9番目のアミノ酸]−Gly−Gly−[プロガストリンの72〜80番目のアミノ酸](SWKPRSQQPGGGRRSAEDEN、配列番号12)、[プロガストリンの1〜9番目のアミノ酸]−Pro−[プロガストリンの72〜80番目のアミノ酸](SWKPRSQQPPGRRSAEDEN、配列番号13)、[プロガストリンの1〜9番目のアミノ酸]−Pro−Gly−Gly−Pro−Pro−[プロガストリンの72〜80番目のアミノ酸](SWKPRSQQPPGGPPGRRSAEDEN、配列番号14)、及び[プロガストリンの6〜14番目のアミノ酸]−Pro−Pro−Gly−Gly−Pro−Pro−[プロガストリンの72〜80番目のアミノ酸](SQQPDAPLGPPGGPPGRRSAEDEN、配列番号15)からなる群から選択される、請求項34〜39のいずれか一項に記載の方法。


【公表番号】特表2008−513536(P2008−513536A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532982(P2007−532982)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【国際出願番号】PCT/IB2005/002793
【国際公開番号】WO2006/032980
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(506331147)レセプター バイオロジックス インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】