説明

プログラマブル表示器、その表示制御装置

【課題】液晶ディスプレイの調光範囲を広くし、特に下限側の範囲を広くする。
【解決手段】変換部32は、画面データ保持メモリ32に格納された画面データのRGBデータに対して、ビットシフトによる色変換(濃淡変更)を行い、特に色を濃くする変換を行うことで、輝度を下げる。PWM制御部36によってバックライトの光量を下限まで下げた後でも、上記変換部32によって更に輝度を下げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラマブル表示器に係わり、特にその調光制御方式に関する。
【背景技術】
【0002】
プログラマブル表示器は、液晶ディスプレイ(LCD)とタッチパネルを有するものが多い。
プログラマブル表示器に限らず、液晶ディスプレイ(LCD)は、光源(バックライト)を有するものであり、この為、LCD表示の輝度を調整する場合にはバックライトの光量を調整する手法が一般的である。この手法として、例えば、バックライトに電力供給している電源を、PWM制御方式にてON/OFFさせることで点灯時間を制御する手法や、電源電圧を調整することでバックライトの明るさを調整する方法等が知られている。この様な従来手法の一例が、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1には、従来のバックライトの輝度制御装置として、当該バックライトに供給する電圧の大きさを制御する手法や、PWM変調制御によりバックライトの輝度を制御する手法が開示されている。そして、特許文献1の発明では、PWM変調制御に基づいて、目標輝度に対応する目標パルス幅の値に応じて、当該目標パルス幅に収束させるまでのパルス幅の変化率を変化させる手法を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−292775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、従来より、液晶ディスプレイに関して、調光範囲を拡大して広範囲の調光を行えることが要望されている。調光範囲は、下限と上限によって規定されるが、特に上限を大きくすることで、最大輝度を大きくすることが要望されてきた。これは、例えばリビング等に設置される液晶テレビに関して、昼間に太陽光等によって室内が非常に明るくなる場合には、画面が見難くなる為、輝度を大きくする必要があるからである。
【0006】
また、調光範囲の拡大に関して、上記の例とは逆に、下限側を拡大して(下限を小さくして)、輝度を出来るだけ小さくすることが出来ることも要望されている。これは一部のユーザからの要望であり、例えば船舶において夜間に出来るだけ外部に光が漏れないようにすることが要望される場合がある。この例に限らず、何らかの理由で暗い環境下で使用する場合には、輝度を限界まで低くしても、まぶしく感じる場合がある。
【0007】
特に、プログラマブル表示器などの液晶ディスプレイを使用する装置を、暗い環境下で操作する場合には(例えば夜間に操作する)、輝度を出来るだけ小さくして使用することが要望されている。
【0008】
上記従来技術のようにバックライトの光量を調整することで輝度を調整する手法では、光量を減少させるにも限界があり、下限を越えるような光量減少を試みると突然消灯してしまう。
【0009】
尚、バックライトが消灯した場合でも、装置内部では画面上の操作ボタン等の表示位置等は管理できており、またタッチパネル上での操作位置も検出可能であるが、液晶ディスプレイの制御の一例としては、バックライトが消灯した場合には操作不能な状況であるものとしてユーザの操作を受け付けない。
【0010】
ここで、何らかの専用の構成を追加することで輝度の下限を下げることが可能になるかもしれないが、その為の回路構成が複雑となってしまいコスト高となる。この様な要望は一部のユーザからである為、その為に専用の構成を追加したコスト高の装置を製造することは、他のユーザの理解が得られず実現困難である。
【0011】
このように、従来のLCDバックライト調光方式では、調光範囲(明るさ(輝度)の調整範囲)に限界があり、充分な低輝度化を実現できなかった。
また、バックライトに冷陰極管を使用した場合、従来方式にて明るさを微小にすると個体差や使用温度環境条件によりバックライトの点灯開始が困難となる。また、PWM制御方式を用いた場合には、LCDに表示される画面がちらついて見える場合がある。
【0012】
本発明の課題は、プログラマブル表示器に係わり、特にその液晶ディスプレイの輝度調整に関して、何らかの専用の構成を追加することなく、RGBデータを均等にビットシフトすることで色の濃淡を変化させ以って輝度を変化させることで、低輝度化を実現できるプログラマブル表示器、その表示制御装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のプログラマブル表示器は、表示部を備えるプログラマブル表示器であって、前記表示部に任意の表示画面を表示する表示制御装置を有し、該表示制御装置は、前記表示画面の各画素の表示色を決定する各RGBデータに対して、ビットシフトによる色変換を実行することで、該表示色の濃淡を変更する色変換手段を有し、前記色変換手段は、所定の指示操作があった場合には前記表示色を濃くするように前記ビットシフトを行うことで前記表示部に表示される前記表示画面の輝度を低下させる。
【0014】
同色系(例えば青)であっても淡い(明るい)青と濃い(暗い)青があり、表示色の濃淡を変更することは、明暗を変更することを意味する。これより、例えばバックライトの光量を下限まで低下させた状況で更に輝度を低下させたい場合には、例えばユーザ等が所定の指示操作を行うことで、色変換手段によって例えば淡い(明るい)青の表示を濃い(暗い)青の表示へと変更することで、輝度を更に低下させることが可能となる。
【0015】
上記プログラマブル表示器において、例えば、任意の設定時刻に対応付けて所定の復帰データが記憶された復帰データ記憶手段を更に有し、前記色変換手段は、現在時刻が前記設定時刻になったら、該設定時刻に対応する前記復帰データに応じて、前記表示色が現状より淡くなるように前記ビットシフトを行うことで、前記輝度が低下させられた表示画面の輝度を上げるようにしてもよい。
【0016】
例えば夜間等の暗い環境下で使用する場合には、上記所定の指示操作を行って表示画面の輝度を低下させるが、例えば夜が明けて明るい環境下になっていくと、表示画面が見難くなる。これによって、表示画面上に各種操作ボタンも見難くなり、以って輝度を上げる為の操作ボタンも見難くなる。これより、設定時間に応じて自動的に輝度を上げていくようにする。これは、例えば上記のように色変換手段によって表示画面全体の輝度を上げるようにしてもよいし、以下に記すように表示画面の一部分の輝度を上げるようにしてもよい。あるいは、以下に記すように、色変換手段に限らず、既存のバックライト光量制御によって輝度を上げるようにしてもよい。
【0017】
すなわち、上記プログラマブル表示器において、例えば、前記表示制御装置は、複数の画面部品を表示することで前記表示画面の表示を行い、任意の設定時刻に対応付けて所定の復帰データが記憶された復帰データ記憶手段を更に有し、前記色変換手段は、現在時刻が前記設定時刻になったら、該設定時刻に対応する前記復帰データに応じて、前記複数の画面部品のうち予め決められた特定の画面部品に対して、その表示色が現状より淡くなるように前記ビットシフトを行うことで、前記輝度が低下させられた表示画面における前記特定の画面部品の輝度を上げるようにしてもよい。
【0018】
あるいは、上記プログラマブル表示器において、例えば、前記表示部のバックライトの光量を調整制御するバックライト制御手段と、任意の設定時刻に対応付けて所定の復帰データが記憶された復帰データ記憶手段とを更に有し、該バックライト制御手段は、現在時刻が前記設定時刻になったら、該設定時刻に対応する前記復帰データに応じて前記バックライトの光量を増加することで、前記輝度が低下させられた表示画面の輝度を上げるようにしてもよい。
【0019】
あるいは、上記プログラマブル表示器において、例えば、前記表示部上に表示される画面部品としての操作ボタンとは異なる、物質的な操作ボタンを更に有し、該物質的な操作ボタンには、前記表示画面の輝度を上げるためのコマンド、または前記表示画面上に表示される複数の画面部品のうちの所定の画面部品の輝度を上げるためのコマンドが割り当てられているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明のプログラマブル表示器、その表示制御装置等によれば、プログラマブル表示器に係わり、特にその液晶ディスプレイの輝度調整に関して、何らかの専用の構成を追加することなく、RGBデータを均等にビットシフトすることで色の濃淡を変化させ以って輝度を変化させることで、従来よりも低輝度とすることができる。更に、周囲の明るさに応じて自動的に輝度復帰させること等もできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)、(b)は、本例のプログラマブル表示器の構成例(その1)、(その2)である。
【図2】プログラマブル表示器の構成・機能ブロック図である。
【図3】(a)、(b)は、色変換(ビットシフト)の具体例を示す図である。
【図4】変形例のプログラマブル表示器の構成・機能ブロック図である。
【図5】画面部品表示の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1(a)、(b)は、本例のプログラマブル表示器のハードウェア構成例(その1)、(その2)である。
【0023】
尚、図1(a)、(b)や後述する図2、図4は、プログラマブル表示器の全構成・全機能を示すものではなく、LCDパネル(表示部)における表示画面の表示制御に係わる構成・機能を示すものである。これは、プログラマブル表示器における表示制御装置の構成を示すものということもできる。
【0024】
よって、本例のプログラマブル表示器は、特に図示・説明しないが、他にもプログラマブル表示器としての一般的な構成・機能(例えば、タッチパネル等の入力装置、プログラマブルコントローラ本体やI/Oモジュールとの通信インタフェース、タッチパネル上での操作に応じたプログラマブルコントローラ本体やI/Oモジュールの制御/データ収集処理機能等の各種構成・各種機能)を有するものである。
【0025】
図1(a)は、本例のプログラマブル表示器のハードウェア構成例(その1)であり、プログラマブル表示器10の構成を示すものである。
図1(a)に示すプログラマブル表示器10は、CPU11、FROM12、SDRAM13、グラフィックアクセラレータ14、SDRAM15、LVDSコントローラIC16、LCDパネル17等を有する。尚、SDRAMは、Dynamic Random Access Memory(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)の略である。LCDは、Liquid Crystal Displayの略である。FROMはフラッシュROMの略である。
【0026】
尚、以下の説明では表示画面の表示に関しては特に色に係わる説明を中心とし、他の説明(形状の表示等)は省略する場合もある。
CPU11は、プログラマブル表示器10全体を制御する中央処理装置であり、既存の各種機能については特に詳細には説明しないが、本例では更に後述する色変換機能を備えている。尚、本例の色変換とは、例えば赤から青に変換することを意味するのではなく、例えば“明るい青”から“暗い青”に変換することを意味する。つまり、色(RGBの3原色の組み合わせのバランス;RGBバランス)はそのままで濃淡変更(階調変更)を行うことを意味する。詳しくは後述する。
【0027】
尚、RGBは光の3原色であり、Rは赤色、Gは緑色、Bは青色である。これらRGB3色の組み合わせにより、様々な色を表現できる。
FROM12は、フラッシュメモリ等であり、LCDパネル17に表示させる画面の描画データが格納される。また、FROM12には、各種アプリケーションプログラムが記憶されてもよく、例えば本例の色変換機能をCPU11で実行させる為のアプリケーションプログラムが記憶されていてもよい。
【0028】
SDRAM13には、例えばセンサからの収集データや各種設定値等が格納されるが、ここでは関係ないのでこれ以上説明しない。
LCDパネル17上に画面を表示する場合には、CPU11が上記FROM12から描画データを読み出して、例えばそのRGBデータに基づいてSDRAM15のRGBレジスタに表示画面の全画素のRGBデータをセットする。但し、本手法では、場合によってはCPU11が描画データにおけるRGBデータに対して色変換(濃淡変更)を行ってからSDRAM15のRGBレジスタに全画素のRGBデータをセットする。
【0029】
尚、SDRAM15は既存の構成(ビデオメモリ)であり、更にグラフィックアクセラレータ14、LVDSコントローラIC16も既存の一般的な構成であるので、ここでは簡単に説明する。グラフィックアクセラレータ14は、上記SDRAM15(ビデオメモリ)のRGBレジスタにセットされたRGBデータ等を読出し、これをLVDSコントローラIC16に渡す。LVDSコントローラIC16は、このRGB信号をLVDS(Low voltage differential signaling)信号に変換してLCDパネル17に送る。
【0030】
SDRAM15(ビデオメモリ)のRGBレジスタにセットされた描画データが、CPU11による色変換(濃淡変更)後のデータである場合には、基本的には、当該色変換を行わない場合に比べて輝度が低い画面が、LCDパネル17上に表示されることになる。
【0031】
LCDパネル17は、液晶セルと当該液晶セルの背面に位置するバックライト等から成り、例えばCPU11(あるいは不図示の他のマイクロコンピュータ等)が、バックライトに対してPWM調光信号を出力して、バックライトの光量を調整制御している。尚、バックライトの光量のPWM制御については、例えば上記特許文献1等に記載のように既存技術であるので、ここでは特に詳細には説明しない。
【0032】
液晶セルは、各画素(ピクセル)毎にRGB3色のサブピクセルから成り、各サブピクセルを透過する光量によって、目に見える色が決まる。尚、以下の説明では、R(赤色)に対応するサブピクセルをサブピクセルR等と記す場合もある(緑や青についても同様である)。
【0033】
現在では、各サブピクセル毎に透過させる光量を256段階に調整可能であり、これはRGBの各色毎に256段階の濃淡(階調)をもつことを意味する。例えば、サブピクセルR,Gは光を透過させず、サブピクセルBのみ光を透過させた場合、目に見える色は“青”となるが、サブピクセルBについて上記256段階の階調調整を行うことで、「明るい(淡い)青」、「暗い(濃い)青」等を表示することができる。(以下では256段階のサブピクセルを保有する場合の例を記載するが、この最大階調数が変化した場合でも適用可能である。)
上記各ピクセル毎の色を例えば(R,G,B)=(0〜255,0〜255,0〜255)で表現するならば、上記青色は(R,G,B)=(0,0,1〜255)等と定義でき、また同じ青であっても例えば(0,0,63)は(0,0,127)よりも濃い(暗い)青色と定義できる。
【0034】
あるいは、例えば“黄色”を表示したい場合には、通常、サブピクセルBのみ光を透過させず、サブピクセルR,Gは光を透過させると共に階調は略同一とする。つまり、例えば、(127,127,0)、(63,63,0)、(31,31,0)等とする。(63,63,0)に比べて、(127,127,0)はより明るい(淡い)黄色、(31,31,0)はより暗い(濃い)黄色ということになる。
【0035】
この様に、濃淡調整(階調調整)を行うことで、明るさを調整できることになる。これを利用して本手法では、上記色変換機能としての濃淡(明暗)変更を行う。すなわち、例えば輝度を徐々に低下させていきたい場合には、例えばまずPWM調光によってバックライトの光量を徐々に低下させていくことで輝度を低下させていき、バックライトの光量が下限に達したらPWM調光を止める(上記の通り、下限を越えるとバックライトが消灯してしまうので)。その後は本手法による濃淡調整によって色を徐々に濃く(暗く)していくことで、輝度を更に低下させていく。
【0036】
勿論、これは一例であり、このような例に限らず、例えばバックライトの光量を低下させつつ同時に濃淡調整によって色を濃く(暗く)していくようにしてもよい。
ここで、図2に、上記プログラマブル表示器10の構成・機能ブロック図を示す。尚、図2は、後述する図1(b)のプログラマブル表示器20の構成・機能ブロック図であるということもできる。
【0037】
図2において、画面データ保持メモリ(フラッシュメモリ等)31は、上記FROM12に相当する構成であり、上記描画データにおける色データ(RGBデータ)に相当する“オリジナルアプリケーション画面データ”が格納される。この“オリジナルアプリケーション画面データ”は、例えば、不図示のエディタ装置(アプリケーション画面データ作成ツール)上でプログラマ等によって任意に作成されてプログラマブル表示器10にダウンロードされた所謂“画面データ”の一部であると考えてよい。
【0038】
また、このオリジナルアプリケーション画面データ”には、上記エディタ装置上での作成の際にユーザが任意に設定した“変換度合いデータ(シフト量)”が含まれていてもよい。尚、本例では上記色変換(濃淡変更)はビットシフトによって実現するものとし、例えばシフト量=‘1’であったならば、後述する一例のように1ビットずつビットシフトすることになる。
【0039】
また、図2に示す変換(ビットシフト)部32は、上記CPU11の色変換機能(濃淡変更による輝度調整機能)に相当するものであり、上記FROM12に格納されている描画データを用いて上記SDRAM15のRGBレジスタにデータセットする際に、上記“オリジナルアプリケーション画面データ”に対して上記“シフト量”に応じて色変換(濃淡変更;ビットシフト)を行い、この変換結果(“変換後アプリケーション画面データ”と呼ぶ)をビデオメモリ33に格納する。
【0040】
但し、変換部32が上記色変換を行うのは、基本的にはユーザによる所定の指示があった場合である。この指示が無い場合には変換部32は機能しないが、ここではこの場合でもビデオメモリ33に格納されるデータは“変換後アプリケーション画面データ”と呼ぶものとする。
【0041】
ここで、上記画面データ保持メモリ31やビデオメモリ33には図示のように色データ(RGBデータ)が格納され、これは例えば上記のように(R,G,B)=(0〜255,0〜255,0〜255)で示されるものである。
【0042】
そして、例えば、ビデオメモリ33に格納される変換後アプリケーション画面データは、画面上の全画素について各ピクセル毎のRGBデータが格納されたものとなっている。仮に、表示画面が1万画素であれば、1万個のRGBデータが格納されることになる。これは、上記画面データ保持メモリ31に格納されるRGBデータについても同様であってよいが、この例に限らない。すなわち、上記描画データは、後に図5で説明するように、各画面部品毎の各パーツ毎に指定される色のRGBデータと座標データ、各画面部品の形状データ等であってもよい。この場合には、CPU11は、描画データに基づいてビデオメモリ33上に既存の描画処理を行うことになるが、これについては後に図5を参照して説明するものとする。
【0043】
図2に示すグラフィックコントローラ34は、上記グラフィックアクセラレータ14及びLVDSコントローラIC16に相当するものであり、また図2に示す表示部35は上記LCDパネル17に相当するものであり、上述したように何れも既存の構成なのでここでは特に詳細には説明しないが、グラフィックコントローラ34は、ビデオメモリ33に格納される上記“変換後アプリケーション画面データ”に基づいて表示部35に画面表示する。
【0044】
ここで、図2に示すように、表示部35に対してはPWM制御部36が既存のPWM制御(バックライト制御)によるバックライト光量制御も行っている。このPWM制御部36は、例えばCPU11が実現してもよいし、不図示の専用ICチップ等が実現してもよい。本説明ではCPU11が実現するものとして説明するが、この例に限らない。
【0045】
上記画面データに基づいて表示部35に表示される画面上には、通常、メータ、スイッチ、グラフ、ボタン、数値表示等の各種画面部品が表示され、画面部品によってはそのときの状態(ON/OFF、収集したデータ等)を反映させた表示内容となる。そして、例えば輝度調整に係わる何らかの機能が割り当てられたボタン等も表示される。この表示画面については特に図示しないが、PWM制御部36の既存のPWM制御(バックライト制御)によるバックライト光量調整指示用のボタンとして、従来より例えば「輝度UP」、「輝度DOWN」等のボタンがあるものとする。
【0046】
CPU11は、従来と同様に、ユーザによるこれら「輝度UP」/「輝度DOWN」ボタン操作に応じて、バックライト光量をUP/DOWNする制御を行う。
そして、本例のプログラマブル表示器10では、上記表示部35に表示される画面上には更に、ユーザが上記変換部32による上記色変換実行を指示する為の操作ボタンとして例えば不図示の「色濃(暗)」/「色淡(明)」ボタンが表示されるものとする。
【0047】
これら「色濃(暗)」/「色淡(明)」ボタン操作に応じた色変換の具体例について、図3(a)、(b)を参照して説明する。但し、これは一例であり、この例に限らない。例えば、上記「輝度UP」、「輝度DOWN」ボタンを操作すると、バックライト光量をUP/DOWNすると共に、色変換(濃淡変更;階調変更)も行うようにしてもよい。
【0048】
まず、本例では上記のようにRGB各色毎に256段階の階調をもつので、図3(a)に示すように、RGB各色毎に8bitで構成される。これらRGBの組み合わせによって約1677万のカラーパターンが存在する。尚、図3(a)の上側に示す対応ビット‘7’〜‘0’は上記8bitの各ビットを意味し、ここでは最も左の‘7’が最上位ビット、最も右の‘0’が最下位ビットであるものとする。
【0049】
図3(a)には簡単な例として白と黒の表示パターンを示す。
図示の通り、白表示パターンでは、RGB3色全てにおいて、8bit全てがONしている(=255)。つまり、白表示パターンの(R,G,B)=(255,255,255)である。同様に、黒表示パターンでは、RGB3色全てにおいて、8bit全てがOFFしている(=0)。つまり、黒表示パターンの(R,G,B)=(0,0,0)である。
【0050】
上記本例の色変換(濃淡変更)処理は、一例としてはビットシフトを行うものであり、上記白表示パターンをビットシフトさせ、最終的には黒表示パターンへと変化させるプロセスを、図3(b)に示す。この色変換(ビットシフト)は、ユーザが上記「色濃(暗)」/「色淡(明)」ボタンを操作することで行われる。尚、本例では、上記シフト量=1とする。従って、操作毎に1ビットずつシフトする。
【0051】
図3(b)に示す例では、まず、最初は図上最上部に示すように白表示パターンが表示されている。すなわち、RGB各色全てにおいて8bit=“11111111”となっている。
この状態でユーザが上記「色濃(暗)」ボタンを1回操作した場合、CPU11はRGB各色全てにおいて各ビットを右へ(下位側へ)1bitシフトする(均等にビットシフトする)色変換を実行することになる。この色変換実行の結果、図3(b)の(1)に示すように、RGB各色全てにおいて8bit=“01111111”(=127)となる。つまり、(R,G,B)=(127,127,127)となる。
【0052】
この状態でユーザが更に上記「色濃(暗)」ボタンを1回操作した場合(合計2回操作した場合)、CPU11はRGB各色全てにおいて各ビットを右へ2bitシフトする(均等にビットシフトする)色変換を実行することになる。この色変換実行の結果、図3(b)の(2)に示すように、RGB各色全てにおいて8bit=“00111111”(=63)となる。つまり、(R,G,B)=(63,63,63)となる。
【0053】
同様に、この状態でユーザが更に上記「色濃(暗)」ボタンを1回操作した場合(合計3回操作した場合)、CPU11はRGB各色全てにおいて各ビットを右へ3bitシフトする(均等にビットシフトする)色変換を実行することになる。この色変換実行の結果、図3(b)の(3)に示すように、RGB各色全てにおいて8bit=“00011111”(=31)となる。つまり、(R,G,B)=(31,31,31)となる。
【0054】
尚、上記ビットシフト(1bitシフト〜3bitシフト)は、全て、白表示パターンに対して行うものとして説明している。現在の表示パターンに対して行うものとするならば、全て1bitシフトとなる。
【0055】
以降、同様にして、上記「色濃(暗)」ボタンの操作回数に応じて、色変換結果は図3(b)の(4)〜(7)に示す状態となり、最終的には上記黒表示パターンとなる。但し、実際には、黒表示パターンにすることはなく、その直前の図3(b)(7)の状態でストップする(見えなくなってしまうので)。またはユーザーでの使用条件に合わせて、その範囲を任意設定することも可能である。
【0056】
何れの場合でも、各ビットを右(下位ビット側)へシフトすることで、上位ビットが空くことになるが、空いた上位ビットは全て‘0’とする。
また、例えば上記図3(b)(3)の状態において、ユーザが上記「色淡(明)」ボタンを操作すると、左(上位ビット側)に1bitシフトすることで、図3(b)(2)の状態に戻る。この場合には、左(上位ビット側)にシフトすることで下位ビットが空くことになるが、空いた下位ビットは元の状態に戻す。すなわち、1ビット右にシフトする毎にそのときの最下位ビットをスタック等に格納するものとし、これより例えば図3(b)(3)の状態では‘111’がスタック等に保持されていることになる。そして、左シフトの場合にはスタックからデータを戻すことにする。よって、上記図3(b)(3)の状態で上記「色淡(明)」ボタンを操作されて1bitずつ左にシフトすることで空いた最下位ビットには‘1’が戻されると共に、新たなスタック保持状態は‘11’となる。
【0057】
尚、上記シフト量=2の場合には上記「色濃(暗)」ボタンを1回操作するだけで図3(b)の(1)に示す変換結果となり、上記シフト量=3の場合には上記「色濃(暗)」ボタンを1回操作するだけで図3(b)の(2)に示す変換結果となる。
【0058】
また、尚、例えば変換部32は、シフト数を示す変数Jを保持している。この変数Jは、初期値=‘0’であり、上記シフト量=1の場合には、「色濃(暗)」ボタンが1回操作される毎に+1インクリメントされ、「色淡(明)」ボタンが1回操作される毎に−1デクリメントされる。変換部32は、例えば定周期でまたは表示画面内容が変更される毎に、上記FROM12に格納されている描画データに基づいて、SDRAM15の格納データを更新するものであり、その際に上記変数Jに応じた色変換(ビットシフト)処理を実行する。但し、変数J=0の場合には、実質的に色変換は行われないことになる。
【0059】
尚、上記の例では変数Jの最大値は‘7’とし、それ以上インクリメントすることはない(黒表示は行わない;見えなくなるので)。
また、表示色が“青”の場合であってオリジナルでは(R,G,B)=(0,0,255)である場合には、これを上記図3(b)(1)の場合と同様に右に(下位ビット側へ)1bitシフトすると(均等にビットシフトすると)、(R,G,B)=(0,0,127)となる。同様に、図3(b)(2)の場合と同様に右に2bitシフトすると(均等にビットシフトすると)、(R,G,B)=(0,0,63)となり、図3(b)(3)の場合と同様に右に3bitシフトすると(均等にビットシフトすると)、(R,G,B)=(0,0,31)となり、淡い(明るい)青から徐々に濃い(暗い)青へと変化していくことになる。
【0060】
同様に、例えば“黄色”の場合であってオリジナルでは(R,G,B)=(255,255,0)である場合には、これを上記図3(b)(1)の場合と同様に右に(下位ビット側へ)1bitシフトすると(均等にビットシフトすると)、(R,G,B)=(127,127,0)となる。同様に、図3(b)(2)の場合と同様に右に2bitシフトすると(均等にビットシフトすると)、(R,G,B)=(63,63,0)となり、図3(b)(3)の場合と同様に右に3bitシフトすると(均等にビットシフトすると)、(R,G,B)=(31,31,0)となり、淡い(明るい)黄色から徐々に濃い(暗い)黄色へと変化していくことになる。
【0061】
何れにしても、RGB3色全てに対して同じビットシフトを行うことで(均等にビットシフトすることで)、RGBの3原色の組み合わせのバランス(RGBバランス)を略同様に保ちながら濃淡(明るさ)を変化させることができ、バックライトの光量を下限まで落とした後でも、更に表示画面の輝度を低下させることができる。
【0062】
上記ビットシフトによる色変換(濃淡(明るさ)変更)は、CPU11が所定のアプリケーションプログラム実行することで行われる(ソフトウェア的に行われる)。このアプリケーションプログラムは、例えば予めFROM12に格納されている。ハードウェア的には図1に示す構成は全て既存の構成であり、ソフトウェア的に上記変換部32等の機能を実現することができるので、何らかの専用の構成を追加することなく(よってコスト高となることなく)、輝度の下限を従来よりも小さくすることができる。
【0063】
また、本手法では、複雑な演算処理を用いずに、RGBデータに対するビットシフト処理のみで輝度低減を実現できるので、CPUを用いる例に限らず、例えば基板上のPLD等でも簡易的に実現可能である(構成図等は特に図示しない)。これにより、CPUに一切負荷を掛けずに済み、また低コストで実現可能となる。
【0064】
また、上記のようにCPU11等で実現する場合においても、複雑な演算処理を必要としないため、CPUに掛かる負荷を最小限に抑え、プログラマブル表示器の他の機能に大きな影響を及ぼさずに済む。
【0065】
図1(b)は、本例のプログラマブル表示器のハードウェア構成例(その2)である。
図1(b)に示すプログラマブル表示器20は、上記グラフィックアクセラレータ14やLVDSコントローラIC16等が無いだけであり、基本的には上記プログラマブル表示器10と略同様と見做してよい。
【0066】
すなわち、プログラマブル表示器20は、CPU21、FROM22、SDRAM23、LCDパネル24等を有する。
CPU21は、FROM22に格納されている描画データを読み出して、これに基づいてSDRAM23のRGBレジスタに表示画面の全画素のRGBデータをセットする。これは、例えば、LCDパネル24上の表示画面の変更時等に行なわれる。その際、場合によっては(上記「色濃(暗)」ボタン等によってユーザから指示があった場合等)、CPU21は、例えば上記変換部32の色変換機能によって、上記描画データが示すRGBデータに対して色変換を行って、SDRAM23のRGBレジスタに変換後のRGBデータをセットする。この色変換自体は、上記プログラマブル表示器10の場合と略同様であり、ここでは特に説明しない。
【0067】
また、本例では、上記グラフィックアクセラレータ14やLVDSコントローラIC16等が無いので、CPU21が上記SDRAM23のRGBレジスタにセットされたRGBデータ(場合によっては色変換後となる)等を用いて、LCDパネル24上に画面表示を行うことになるが、これについては既存の動作と略同様であり、また本手法の特徴は主に上記変換部32の色変換機能であるので、特に詳細には説明しない。
【0068】
この様に、図1(b)に示すプログラマブル表示器20は、機能的には上記プログラマブル表示器10と略同様と見做してよく、従ってその構成・機能ブロック図は、図2に示すものと略同様と見做してよい。よって、プログラマブル表示器20の機能については、ここではこれ以上説明しないものとする。
【0069】
本手法は、上記図1(a)の構成に限らず、例えば上記図1(b)の構成等にも適用可能であり、また特に図示しない他の構成についても適用可能である。
図4は、変形例のプログラマブル表示器30の構成・機能ブロック図である。
【0070】
上記本例のプログラマブル表示器10,20の色変換機能は、特に夜間等に暗い場所で使用する際に、出来るだけ光が漏れないようにする、または暗闇でもまぶしくないように出来るだけ輝度を低くする等という要望に応じた機能であるが、そのまま朝を迎えて明るい環境下になると画面が見難くなるという問題が生じる。
【0071】
すなわち、画面の内容を視認できる為の最低限の輝度は、周囲の明るさ等に影響されて変わるので、本手法の色変換機能によって輝度を非常に低くしても、例えば夜間の海上(船舶上等)のように周囲が非常に暗い場合には画面内容を視認できるが、明るくなってくると視認できなくなる。
【0072】
この為、輝度を上げる必要があるが、既に明るくなり始めた状態で画面内容を視認し難くなっていると、輝度を上げることが困難になるという問題が生じる。すなわち、輝度を上げる為にはユーザが上記表示部35上の画面内に表示される上記「輝度UP」ボタンまたは「色淡(明)」ボタンを操作する必要があるが、何れも既に見難くなっている可能性が高く、ボタンの位置が分からない等の理由で操作困難となってしまう。
【0073】
変形例のプログラマブル表示器30は、この様な問題に対応できるものである。
まず、変形例のプログラマブル表示器30は、ハードウェア構成自体は上記図1(a)または図1(b)に示す構成であり、ここでは図1(a)であるものとして説明する。
【0074】
図4において、グラフィックコントローラ44、表示部45、PWM制御部46は、上記グラフィックコントローラ34、表示部35、PWM制御部36と略同様であり、ここでは特に説明しない。
【0075】
また、画面データ保持メモリ41やビデオメモリ43も、上記画面データ保持メモリ31やビデオメモリ33と略同様であってよい(図4ではデータ格納形式が多少異なるが、これについては後に説明する)。
【0076】
変換部42または/及びPWM制御部46は、上記変換部32、PWM制御部36と同様にユーザ操作に応じた色変換(濃淡変更)またはバックライト光量制御を行うが、本例では更に、設定部47に応じて自動的に色変換(濃淡変更)またはバックライト光量制御を行う機能(輝度の自動復帰機能)も備える。
【0077】
設定部47には、上記輝度の自動復帰機能を実現させる為の設定データが格納される。この設定データは、例えば上記エディタ装置(アプリケーション画面データ作成ツール)においてプログラマ等が任意の画面データを作成した際に、任意に設定したものであり、作成された画面データと共にプログラマブル表示器30にダウンロードされて例えばFROM12内の所定の記憶領域に記憶されるものである。但し、この例に限らず、設定部47は、例えばプログラマブル表示器上でユーザに任意の設定を行わせてこの設定データを記憶するものであってもよい。
【0078】
設定部47に格納される設定データは、任意の各設定時刻に対応付けて、輝度を上げる為の何らかの情報(「復帰データ」と呼ぶものとする;例えば、上記変数Jの値の指定、上記変数Jを−1デクリメントする、バックライトの光量を所定量分アップする等、例えば上記「輝度UP」ボタンまたは「色淡(明)」ボタンが操作されたことに相当するコマンド等)が格納されているものである。
【0079】
上記任意の各設定時刻とは、例えば朝の各時刻であり、AM4:00、AM5:00、AM6:00等の徐々に明るくなっていく時間帯における任意の各時刻である。
上記設定データは、一例としては、例えば、「AM4:00:変数J=4」、「AM5:00:変数J=3」、「AM6:00:変数J=1」等としてもよい。つまり、任意の設定時刻に任意の変数Jの設定値を対応付けるものとしてもよい。
【0080】
上記変換部42は、上記変換部32と同様に、例えばユーザ操作による色変換指示に応じた上記変数Jを保持しており、この変数Jに応じた色変換を行うことになる。しかし、上記変換部42の場合には、上記設定データの設定時刻になると現在の変数Jの値に関係なく強制的に変数Jの値を設定値に変更する。そして、変更後の変数Jを用いて色変換を行うことになる。基本的には上記一例のように周囲が明るくなっていくことに応じて徐々に明るい(淡い)色へとシフトしていくことで、輝度を上げていくことになる。
【0081】
尚、この例に限らず、上記「輝度UP」ボタンが操作されたことに相当する設定データとしてもよく、この場合にはバックライト光量を徐々に増加していくことで輝度を上げていくことになる。あるいは、明るい(淡い)色への色変換とバックライト光量増加の両方を行うような設定データとしてもよい。
【0082】
尚、タイマ48は、プログラマブル表示器が有する既存のクロック機能であり、例えば変換部42(CPU11)は、タイマ48から現在時刻を取得して上記設定時刻と比較することで、設定時刻になったか否かを判定できる。
【0083】
上述した設定部47の設定データに基づく輝度復帰処理は、上記の説明では画面全体に対して行ったが、画面内の一部について行っても良い。すなわち、上記の通り、基本的には「輝度UP」ボタンまたは/及び「色淡(明)」ボタンの表示位置さえ分かれば、ユーザがこれらのボタンを操作して輝度を上げることが出来るので、例えばこれらの所定の画面部品(ボタン)の表示のみ、上述した設定部47の設定データに基づく輝度復帰処理の対象としてもよい。尚、この様な輝度復帰処理は、部分的な輝度復帰処理と呼ぶものとする。
【0084】
その為に、例えば、図4に示すように、上記画面データ保持メモリ41やビデオメモリ43において、予め、上記「輝度UP」ボタンまたは/及び「色淡(明)」ボタンのような特定の設定用ボタンに係わる色データ(RGBデータ)を格納する領域(輝度設定用画面データ記憶領域41b、43b)と、他の画面部品の色データ(RGBデータ)を格納する領域(アプリケーション画面データ記憶領域41a,43a)とを区別しておく。
【0085】
そして、変換部42は、ユーザ操作による色変換指示に応じて色変換を行う場合には、上記2つの領域について特に区別することなく色変換(濃淡変更)処理を実行する。一方、変換部42は、上記輝度復帰処理に関しては輝度設定用画面データ記憶領域の画面データのみを対象とする。
【0086】
例えば設定データが上記「AM4:00:変数J=4」であったとした場合、更に仮にユーザ操作によって変数J=5になっていたとした場合、変換部42は、AM4:00になる前は、上記画面データ保持メモリ41の記憶領域41a、41bのRGBデータに対して、変数J=5に応じた色変換を行って、色変換後のRGBデータを、それぞれ上記ビデオメモリ43の記憶領域43a、43bに格納する。
【0087】
一方、現在時刻がAM4:00になった後には、変換部42は、上記画面データ保持メモリ41の記憶領域41aのRGBデータに対しては、変数J=5に応じた色変換を行って、色変換後のRGBデータをビデオメモリ43の記憶領域43aに格納する。一方、変換部42は、上記画面データ保持メモリ41の記憶領域41bのRGBデータに対しては、上記設定データに従って変数J=4に応じた色変換を行って、色変換後のRGBデータをビデオメモリ43の記憶領域43bに格納する。
【0088】
このようにすることで、輝度設定用画面データ記憶領域の画面データすなわち例えば上記「輝度UP」ボタンまたは/及び「色淡(明)」ボタンのような輝度の設定に係わるボタンに係わる画面データは、周囲が明るくなっていくことに対応して自動的に明るく表示されるので、ユーザがこれらのボタンの表示位置が分からなくなるようなことはなく、これらのボタンを操作して輝度を上げることで、これらボタン以外の他の画面部品も明るく表示され、周囲が明るくなってきても見難くなることを防ぐことができる。
【0089】
尚、上述したことは一例であり、設定部47の設定内容によって、様々な処理を実現させることができる。例えば、最初は上記画面全体の輝度復帰を行い、その後に上記部分的な輝度復帰を行わせること等もできる。
【0090】
また、変形例の他の例としては、図4に示す物理ボタン51(ファンクションスイッチ)を用いるようにしてもよい。物理ボタン51は、「輝度UP」ボタンや「色淡(明)」ボタンのようにディスプレイ上に表示されてタッチパネルによって操作するボタンではなく、物理的に押すことができるボタン(物理的な操作ボタン;物質的な操作ボタン)を意味する。従って、たとえ表示画面が真っ暗になったとしても、物理ボタン51は何等問題なく操作できる。この様にタッチパネルによって操作するボタン(表示ボタン)とは別に複数の物理ボタン51を備えるプログラマブル表示器は少なくない。
【0091】
この様な複数の物理ボタン51の一部(少なくとも1つ)に、上記「輝度UP」ボタンや「色淡(明)」ボタンに相当する機能を割り当てるようにしてもよい。これによって、夜間の暗さに応じて輝度を小さくした為に、明るくなったときに画面の内容が見難くなったとしても、物理ボタン51は何等関係なく見ることができるので、物理ボタン51を操作して画面全体の輝度を上げることで、対応可能となる。あるいは、画面全体ではなく、部分的に(予め任意に決められたボタン、スイッチ等)のみ、物理ボタン51を操作して輝度を上げることができるようにすることも可能である。
【0092】
あるいは、夜間においても、輝度を小さくすることで上記“ディスプレイ上に表示されてタッチパネルによって操作するボタン”等が見え難くなる場合もある。この様な場合には、操作するときだけ一時的に輝度を上げたいことになる。これは、ユーザによる操作対象(ボタンやスイッチ等)が見えればよいので、上記部分的な輝度復帰処理を実現する機能を、任意の物理ボタン51に割り当てればよい。
【0093】
この様な物理ボタン51をユーザが操作した場合、上述した部分的な輝度復帰処理によって、上記記憶領域43bの画面データのみが、輝度が上がって明るくなることになる。尚、物理ボタン51操作時点から所定時間(例えば1、2分程度)経過したら、輝度を元に戻して、再び画面を暗くするようにしてもよい。あるいは、他の物理ボタン51に、輝度を元に戻す(輝度復帰処理を止める)機能を割り当てるようにしてもよい。
【0094】
あるいは、任意の物理ボタン51に対して、所定の画面部品のみ現状の表示状態のままとし、他の表示領域は全て真っ暗(上記黒表示パターン)とする機能を割り当てるようにしてもよい。
【0095】
ここで、例えば図4に示す例では図上に記すように、画面データ保持メモリ41及びビデオメモリ43には、表示画面上の全画素のRGBデータが格納されている(表示画面のドット数分のRGBデータが存在している)。但し、これは一例であり、この例に限らない。例えば、画面データ保持メモリ41に格納されるRGBデータは、全画素のデータではなくてもよい。これについて、以下、図5を参照して説明する。
【0096】
まず、一般的に、プログラマブル表示器の場合、そのLCDパネル17に表示させる表示画面は、複数の画面部品をそれぞれ所定の位置に表示させることで成り立つものである。画面部品とは、例えば、ボタン、スイッチ、グラフ、メータ等の各種画面部品である。尚、これらの画面部品の形状データ等は、描画データに含まれるか、あるいは予めFROM12に格納されている。
【0097】
図5には、この様な画面部品の一例と、その画面データを示す。
図5には、ON/OFFするスイッチの画面部品が表示画面上の所定の位置に表示されている様子と、このスイッチ表示の為の画面部品データの一例を示している。
【0098】
図示の例では、画面部品データには、まず、このスイッチの枠の座標データ(矩形;(x1、y1)−(v2、y2))と枠の色(=白)とがある。更に、この枠内を所定の色で塗り潰すことを指定するデータも有する。本例では所定の色は、スイッチOFF時には青、スイッチON時には赤である。更に、文字表示に係わるデータとして、始点座標(x3、y3)と文字列データ“ON”と文字の色(=緑)を指定するデータも有する。尚、上記スイッチOFF時の青は(R,G,B)=(0,0,255)であるものとする。
【0099】
例えば上記FROM12に格納される描画データは、表示画面上に表示される様々な画面部品に関する上記の様な画面部品データを含んでいる。そして、例えばCPU11が、この描画データと現在の状態とに基づいて、ビデオメモリ43上で表示画面を描画する。例えば、現在の状態がスイッチOFFであった場合には、ビデオメモリ43上で上記矩形「(x1、y1)−(v2、y2)」の枠内を青色で塗り潰すことになる。これにより、ビデオメモリ43において、この枠内の全ての画素のRGBデータが、(R,G,B)=(0,0,255)となる。
【0100】
一方、もし色変換が行われる場合には、CPU11は、まず上記スイッチOFF時の青「(R,G,B)=(0,0,255)」に対して色変換を行って例えば(R,G,B)=(0,0,63)の青にする。そして、変換後の青「(R,G,B)=(0,0,63)」を用いて上記矩形「(x1、y1)−(v2、y2)」の枠内を変換後の青色で塗り潰すことになる。これにより、ビデオメモリ43において、この枠内の全ての画素のRGBデータが、(R,G,B)=(0,0,63)となる。
【0101】
また、例えば、上記スイッチON/OFF操作に伴って表示色が変わる(赤/青)ことや、センサ等の収集データ(数値)を表示する画面部品に関してはデータ内容が変わることで、表示画面の内容が変わることになり、例えばCPU11等は表示画面の内容が変わる毎に、SDRAM15のRGBレジスタに変更後の表示画面に係わるRGBデータを格納することになり、その際に上記色変換等を行ってから格納することになる。但し、この例に限らず、SDRAM15のRGBレジスタの格納データの更新(表示画面の更新)は、例えば定周期で実行してもよいし、あるいは変数Jの更新時に実行してもよいし、これらを組み合わせて実行してもよい。
【0102】
また、上記表示画面の更新は、各画面部品毎に行うこともできる。例えば図5に示すスイッチのON/OFF切換時に、このスイッチの描画のみを更新することもできる。
あるいは、各画面部品毎に識別IDが割り当てられているので、たとえば各識別IDに対応付けて上記変数Jを登録/変更できるようにしてもよい。これは、上記自動的/手動の何れにおいても実現できる。これによって、例えば上記色変換に関して、各画面部品毎に輝度が異なるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0103】
10 プログラマブル表示器
11 CPU
12 FROM
13 SDRAM
14 グラフィックアクセラレータ
15 SDRAM
16 LVDSコントローラIC
17 LCDパネル
20 プログラマブル表示器
21 CPU
22 FROM
23 SDRAM
24 LCDパネル
31 画面データ保持メモリ
32 変換(ビットシフト)部
33 ビデオメモリ
34 グラフィックコントローラ
35 表示部
36 PWM制御部
41 画面データ保持メモリ
42 変換(ビットシフト)部
43 ビデオメモリ
44 グラフィックコントローラ
45 表示部
46 PWM制御部
47 設定部
48 タイマ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を備えるプログラマブル表示器であって、
前記表示部に任意の表示画面を表示する表示制御装置を有し、
該表示制御装置は、
前記表示画面の各画素の表示色を決定する各RGBデータに対して、ビットシフトによる色変換を実行することで、該表示色の濃淡を変更する色変換手段を有し、
前記色変換手段は、所定の指示操作があった場合には前記表示色を濃くするように前記ビットシフトを行うことで前記表示部に表示される前記表示画面の輝度を低下させることを特徴とするプログラマブル表示器。
【請求項2】
前記ビットシフトのシフト量の設定値を記憶する記憶手段を更に有し、
前記色変換手段は該シフト量に従って前記ビットシフトを実行することを特徴とする請求項1記載のプログラマブル表示器。
【請求項3】
任意の設定時刻に対応付けて所定の復帰データが記憶された復帰データ記憶手段を更に有し、
前記色変換手段は、現在時刻が前記設定時刻になったら、該設定時刻に対応する前記復帰データに応じて、前記表示色が現状より淡くなるように前記ビットシフトを行うことで、前記輝度が低下させられた表示画面の輝度を上げることを特徴とする請求項1または2記載のプログラマブル表示器。
【請求項4】
前記表示制御装置は、複数の画面部品を表示することで前記表示画面の表示を行い、
任意の設定時刻に対応付けて所定の復帰データが記憶された復帰データ記憶手段を更に有し、
前記色変換手段は、現在時刻が前記設定時刻になったら、該設定時刻に対応する前記復帰データに応じて、前記複数の画面部品のうち予め決められた特定の画面部品に対して、その表示色が現状より淡くなるように前記ビットシフトを行うことで、前記輝度が低下させられた表示画面における前記特定の画面部品の輝度を上げることを特徴とする請求項1または2記載のプログラマブル表示器。
【請求項5】
前記表示部のバックライトの光量を調整制御するバックライト制御手段と、
任意の設定時刻に対応付けて所定の復帰データが記憶された復帰データ記憶手段とを更に有し、
該バックライト制御手段は、現在時刻が前記設定時刻になったら、該設定時刻に対応する前記復帰データに応じて前記バックライトの光量を増加することで、前記輝度が低下させられた表示画面の輝度を上げることを特徴とする請求項2記載のプログラマブル表示器。
【請求項6】
前記表示部上に表示される画面部品としての操作ボタンとは異なる、物質的な操作ボタンを更に有し、
該物質的な操作ボタンには、前記表示画面の輝度を上げるためのコマンド、または前記表示画面上に表示される複数の画面部品のうちの所定の画面部品の輝度を上げるためのコマンドが割り当てられていることを特徴とする請求項1記載のプログラマブル表示器。
【請求項7】
表示部と、該表示部に任意の表示画面を表示する表示制御装置を有するプログラマブル表示器における該表示制御装置であって、
前記表示画面の各画素の表示色を決定する各RGBデータに対して、ビットシフトによる色変換を実行することで、該表示色の濃淡を変更する色変換手段を有し、
前記色変換手段は、所定の指示操作があった場合には前記表示色を濃くするように前記ビットシフトを行うことで前記表示部に表示される前記表示画面の輝度を低下させることを特徴とするプログラマブル表示器の表示制御装置。


【図1】
image rotate

【図5】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−63694(P2012−63694A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209507(P2010−209507)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(591016253)発紘電機株式会社 (23)
【Fターム(参考)】